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スピーカ

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スピーカー(英: speaker)、より正式にはラウドスピーカー(英: loudspeaker)とは、電気信号を音に変える装置である。電気的振動を物理的振動に変える電気音響変換器。音響装置の一種。語尾を伸ばさずに「スピーカ」とも、漢字表現では「拡声器」とも。エンクロージャーおさめられたスピーカーシステム」全体を指している場合と、スピーカーユニット(後述)だけを指している場合とがある。

概説

スピーカーは、電気信号を、物理的な音、つまり空気の振動に変える装置である。ラジオ受信機、携帯電話 等々、さまざまな音響装置に組み込まれている。一般に、入力された電気信号をできるだけ忠実に音へと変換するスピーカーが「良いスピーカー」や「高性能のスピーカー」などとされている。性能が良いと価格も高めになる傾向がある。また、あまりにスピーカーのサイズが小さいと、低音(の信号)が音にほとんど変換されなくなる傾向がある。用途ごとに、コストや、最終的に実現すべき製品サイズも考慮しつつ選ばれている。コンポーネントステレオ、特に高級オーディオのスピーカーでは、高性能のユニットを複数組み合わせて、大型のエンクロージャーに組み込んでスピーカーシステムが組み上げられていることが一般的で、信号再生の忠実度は高いものの、大きくて重く、高価なものとなる。一方、携帯ラジオなどでは、小さくて軽いスピーカーを選ぶことになり、音質については妥協される。

歴史

ダイナミックスピーカーは、1925年にエドワードW.ケロッグとチェスターW.ライスが発明し、1929年4月に米国特許を取得した。音声から電気信号を生むダイナミックマイクとは逆に、ダイナミックスピーカーは電気信号から音を生成する。永久磁石の極の間の円形の隙間にボイスコイルと呼ばれるコイル状のワイヤーを吊るし、そこに交流電気のオーディオ信号を流すと、ファラデーの法則により、コイルは急速に前後に震える。このコイルにダイアフラム(通常は円錐形)を固定することでダイヤフラムが前後に移動し、空気を押して音波を生成する。この最も一般的な方法に加えて、電気信号を音に変換するために使用できるいくつかの代替技術がある。

スピーカーの種類・分類

ユニットの変換方式による分類

ダイナミック型コンデンサ型(静電型)リボン型イオン型(放電型)マグネティック型圧電型

振動板の形状による分類

コーン型ドーム型平面型ベンディングウェーブ型ウォルシュユニットマンガーユニットハイルドライバーリニアムドライバー

振動板の配置による分類

フルレンジ
1種類のスピーカーユニットで低音から高音まで全て再生する。
マルチウェイ
複数種類のスピーカーユニットで、再生する音域を分担する(ユニットの種類数により2ウェイ、3ウェイ、‥‥というふうに増える)。

特定の振動板がない振動スピーカー

コーン紙など特定の振動板ではなく、直接に振動体(圧電振動子の耐熱樹脂ケース入など)を設置し家の壁、床、その他自動車の天井や花など共鳴するものを振動板とするスピーカーである。振動スピーカー、共鳴スピーカー、伝導スピーカーと呼ばれる。また、放電型(イオン型)スピーカーやサーモホンのように振動板を使うことなく音を発生させるスピーカーもある。放電型スピーカーは高周波放電で発生する空気の振動を利用するもので、過渡応答が優れているという特徴がある。サーモホンは熱音響効果を利用し、周期的な熱の変動による圧力の変化を利用し音を発生させる。十分な音圧が得られなかったため長く忘れられていたが、カーボンナノチューブなどの新しい素材の発明に伴いシート状スピーカーなどへの応用が研究されている。

形状・サイズによる分類

ブックシェルフ型フロア型トールボーイ型埋め込み型可般型ウェアラブルスピーカーヘッドフォンネックスピーカー平面バッフル/後面開口型(ダイポール型)密閉型バスレフ型ダンプドバスレフ型ドローンコーン型ASW型(ケルトン方式/チューニングダクト方式)ダブルバスレフ型共鳴管方式TQWTトランスミッションラインIR方式ホーン型フロントロードホーン型バックロードホーン型※これらは組み合わせて使用されることも多い。

用途による分類

ピュアオーディオ用モニタースピーカー用PA/SR/拡声用楽器用 - 構造上はアクティブスピーカーと同一であるが、対象の楽器の一部として考えられている。ロータリースピーカー - スピーカーを回転させるなどしてビブラートなどの音響効果を生むもの。水中用組み込み用(携帯電話など)軍用(音響兵器他)その他 特殊用途

内蔵アンプの 有 / 無 による分類

スピーカーシステム側にアンプを内蔵しているタイプと、そうでないタイプがある。アンプを内蔵するスピーカーシステムを慣習的に「アクティブスピーカー」と呼び、アンプを内蔵しないものは慣習的に「パッシブスピーカー」と呼んでいる。

ドライバー(スピーカーユニット)

音を出す核心的な部分を「スピーカーユニット」(または単に「ユニット」)と呼ぶ。英語では「driver ドライバ」と呼んだりもする。これだけでも音は出るが、通常はむき出しの状態で使われることは少なく、ラジオやテレビなどの筐体に内蔵される。スーパートゥイーターの中にはスピーカーの箱や容器に入れず、単体で上部に置いた状態で使うものもある。低音再生のためにコーン紙を大きくすると重くなること、分割振動や異なる部分からの音の干渉により高音が出しにくくなることから、ひとつのユニットで人の可聴域(およそ 20 — 20,000 Hz)全てを再生することは困難である。
そこで、特定の周波数帯(範囲)を得意とするスピーカーユニットが作られており、ユニットを複数組み合わせることで、全体として広い周波数域をカバーする。周波数帯域によって、以下のように分類されている。フルレンジ - 全帯域用であるが、中音域に比べ低音や高音の再生を両立することが難しい。これを改善するためにダブルコーンやイコライザーなどが使われることがある。サブウーファー - 超低音用ウーファー - 低音用ミッドバス - 中低音用スコーカーあるいはミッドレンジ - 中音用ツイーター - 高音用スーパーツイーター - 超高音用なお、どの範囲の周波数が超低音・低音・中低音・中音・高音・超高音なのか、厳密な定義は存在しない

スピーカーシステム

上述のドライバー(スピーカーユニット)やエンクロージャーなどを組み合わせることで、スピーカーシステムが作られている。
スピーカーシステムの種類・分類
以下はスピーカーシステムの種類をリストにしたもの1ウェイスピーカー(「フルレンジスピーカー」とも) - スピーカーユニットがひとつだけのものであり、ひとつで済ませるために「フルレンジユニット」と呼ばれる、中音域に優れ全音域をほどほどにカバーするユニットを選ぶのが常套手段である。2ウェイスピーカー - 音域を2分割し、2種のスピーカーユニットで再生する。主に「ウーファー+トゥイーター」で構成される(例外もある)。3ウェイスピーカー - 音域を3分割し、3種のスピーカーユニットで再生する。主に「ウーファー+スコーカー+トゥイーター」で構成される(例外もある)。4ウェイスピーカー(以上) - 音域を4(以上に)分割し、4種(以上)のスピーカーユニットで再生する。2ウェイ・3ウェイと異なり、構成はまちまちである。

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