この1年で、協働ロボットは「やろうと思えば、たいていのことができる」と言っても過言でないほどに、「進化」「細分化」しています。もはや、協働ロボットは「人にぶつからない」「ぶつかっても怪我をしない」というレベルではなく、あらゆる場面で「人がやらざるを得なかった作業の代替」や「人の作業負荷の軽減」を行う存在になっています。
最近の変化としては、ロボット本体の「装置」先行型であったものが、アプリケーション、アクセサリ、協働ロボットシステムインテグレーション(ロボットSI)、ティーチングなどの「トータルシステム」としての整備が進んだことで、さまざまな場面で利用ができるようになってきたということが挙げられます。
ロボット本体に関しては、調査会社のBRA社によると2017年はユニバーサルロボット社のシンプルな多軸アーム型ロボット『eシリーズ』が6割のシェアを占めており、あまりバラエティに富んだ市場状況ではありませんでした。
一方で、片手で持ち運びできる重量わずか4kgの協働ロボット『COBOTTA』(デンソーウェーブ / 2017年)や可搬重量35kgの『CR-35iA』(ファナック / 2015年)など可搬サイズはバラエティに富み、肘のないロボット『CORO』(ライフロボティクス / 2016年)や7軸ロボット『LBR iiwa』(KUKA / 2015年)に見られるようにアームも進化。加えて人型の双腕ロボット『NEXTAGE』(カワダロボティクス / 2011年)、『YuMi』(ABB / 2015年)といった人の作業の模写や人との連携ができるものなど、すでに多くの協働ロボットが存在していました。
これからの協働ロボットの利用拡大の原動力として、人が主にあつかってきた「不定形」「柔らかいもの」「力を加えると壊れる・傷むもの」を正しく認識する「AIを活用した画像認識技術」や、適切にハンドリングする「新しいロボットハンドやグリッパー」などの新技術や新製品により、人がやらざるを得なかった作業を代替できるようになってきたことが挙げられます。
前述のユニバーサルロボット社も、ロボットハンドやグリッパーは積極的にパートナー企業を取り込んで差別化を図っています。また、不定形・柔らかい・壊れる・傷むワークに対する「画像認識技術」は、正解の3Dデータと比較するネジの識別や機械部品・製品の外観検査よりも難易度が高く、最近になってようやく実用レベルになってきました。
さらに協働ロボット向けのロボットSIのサービスも重要になってきています。通常の産業用ロボットのラインと協働ロボット(と人)のラインでは、ラインを組む技術は同じでも、ノウハウは異なっている場合が多く、協働ロボット向けのロボットSIのサービスの発展は、協働ロボット市場拡大に不可欠なものといえます。一方で、ロボットSI全般のリソースは不足しており、協働ロボットに強いロボットSIを見つけることは簡単ではありません。
ロボットティーチングの簡易化やティーティレス化も、ロボットメーカーやロボットSIにより進んできています。
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