一次元・二次元コードの基礎知識から最適なリーダの選定方法
工業用バーコードの基礎知識について、体系的にまとめたガイドです。ファクトリーオートメーション(工程自動化)や物流に初めて携わる方はもちろん、若手技術者指導用の資料をお探しの方、基礎知識を体系的に整理したい熟練の技術者や設備管理者の皆様にもおススメのガイドです。
このカタログについて
ドキュメント名 | 工業用バーコード読み取り入門 |
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ドキュメント種別 | 製品カタログ |
ファイルサイズ | 13.6Mb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | コグネックス株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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目次
バーコードとは.......................................................................................3
バーコードの使い方...............................................................................5
バーコードの種類...................................................................................6
. 一次元バーコード....................................................................... 6
. 二次元マトリックスコード........................................................... 8
バーコードの印刷およびマーキング方法..........................................10
. 熱転写およびインクジェット印刷............................................ 10
. ダイレクトパーツマーキング................................................... 11
バーコードリーダの種類.....................................................................12
. レーザスキャナ........................................................................ 12
. 画像処理式リーダ.................................................................... 14
リーダの選び方...................................................................................19
用語集..................................................................................................25
工業用バーコード読み取り入門 2
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バーコードとは
バーコードは、製品や包装、部品につけられる機械読み取りが可能なパターンです。バーコードには、情報提供や宣
伝目的で利用されるデータのほか、ライフサイクル全体を通して製品を追跡するためのデータが含まれます。
もともと、バーコードテクノロジの特許が取得されたのは1952年でしたが、1974年にオハイオ州の.Marsh®
スーパーマーケットでWrigleyのガムが商品として初めてスキャンされるまで、バーコードが使用されることはあり
ませんでした。現在、さまざまな形式のバーコードが使用されています。単純な線が並んだだけの一次元(1D)
バーコードや、ドットと正方形で構成される二次元(2D)コードがあり、QR(Quick.Response)コードとデータマト
リックスコードは最もよく使われる二次元コードです。最新の二次元コードには、一次元コードをはるかに上回る量
のデータを保存し、取得することができます。これは、一次元コードではデータを水平方向にしか記録できないのに
対して、二次元コードには、水平、垂直の両方向に情報を格納できるからです。
一次元線形バーコード データマトリックスコード QRコード
ポスタルコード スタック型線形バーコード
図1:一次元および二次元コードのフォーマット
従来から、一次元バーコードの「読み取り」にはレーザスキャナが使用されています。このテクノロジでは、レーザ光
線を回転するプリズムに当ててバーコードに照射し、センサを使って反射光の強さを測定し、黒いバーと白いバーを
区別します。残念ながら、このスキャン方法にはいくつかの制約があります。たとえば、航空、自動車から食品、医薬品
までさまざまな消費者向けおよび産業用アプリケーションで二次元コードの使用が増えていますが、これらの二次
元コードをレーザスキャナでは読み取ることができません。また、レーザスキャナが使用している機械的に回転した
り周期的に振動するミラーやプリズムは摩耗しますし、衝撃や振動により簡単に損傷する可能性もあります。
工業用バーコード読み取り入門 3
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センサ
オシレータ式
ミラー
バーコード
レーザ
図2:レーザベースのバーコードスキャナ
その点、画像処理式リーダには可動部品がないため、より壊れにくく、産業用には最適です。画像処理式リーダは、
一次元および二次元バーコードの向きにかかわらず読み取れます。これに対し、シングルラインレーザスキャナは
全方向性ではないため、バーコードをレーザスキャナの前に正しい向きで配置する必要があります。
バーコード
照明 レンズ センサ
図3:画像処理式バーコードリーダ
工業用バーコード読み取り入門 4
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バーコードの使い方
ほとんどの業界で、バーコードの1つや2つは目につくはずです。たとえば、バーコードの利用により、飲食料品、包
装、小売流通、医療、医薬品、電機、自動車、航空業界の製造、処理、追跡の分野で変革が起こりました。バーコード
は、携帯電話のバッテリーから新品のジョギングシューズの箱まで、あらゆるエレクトロニクス製品やコンシューマ
向け製品についています。一次元または二次元コードの利用により、サプライチェーンの管理、在庫管理、出庫、購
買が自動化され、簡単になります。
図4:バーコードはほとんどの産業で使用されている
危険防止と法的責任も、産業界によるバーコードの採用に拍車をかけています。近年、世界中の政府が、医療機器
メーカーや製薬会社に対し、薬品の個包装を含むあらゆるパッケージに、機械による読み取りが可能なコードの添
付を義務付け始めました。万が一、欠陥商品が店頭に並んだ場合、すべてのパッケージが追跡されていれば、リコー
ルの際にサプライチェーン全体で品質管理データを利用しながらすばやく回収作業を行うことができます。
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バーコードの種類
一次元バーコード
世界で初めて実装されたバーコードは一次元バーコードでした。この線形コードには、英数字データしか格納でき
ません。コードの文字はそれぞれ、製品の異なる何かを表します。各文字が何を意味するかは、データベースが提供
します。
ほとんどの場合、一次元バーコードは左から右へ読み取られます。バーとスペースの幅はバーコード内の特定の文
字に関連しています。クワイエットゾーン(マージン)はバーコードの左右にある空白域で、リーダはこの領域を検出
してバーコードの位置を判断します。一般にクワイエットゾーンは、最も細いバーの幅の7~10倍必要です。
ガードパターン チェックデジット
5 0 6 0 0 3 4 4 8 1 4 6 1
クワイエットゾーン
図5:一次元コードの構造
細バー(最小エレメント)の幅を基準に、コード内のその他のバーの幅が決められます。たとえば、よく使われる割合
は2:1、3:1、2.5:1で、これは最も幅の狭い黒いバーを基準にした時の白いバーおよび黒いバーの幅の比を表
しています。また、ガードパターンを持つバーコードもあります。ガードパターンはバーコードの先頭と末尾にあるパ
ターンで、リーダにバーコードがどこで始まってどこで終わるのかを知らせます。
シンボル
一般的な一次元バーコードには、GS1、小売商品や日用品によく見られるUPC(共通商品コード。Universal.
Product.Codeの略)、欧州連合で使用されているEAN、128個のASCII文字すべてを記述でき、物流でよく使用
されるCode128などがあります。このようなバーコードの大半は、標準仕様の一部としてチェックデジットを保有
しています。チェックデジットは、コードが完全で損傷がない、または情報の欠落がないことを検証するために使用
されます。チェックデジットによる検証はコード内のデータを使って数学的に行われます。
工業用バーコード読み取り入門 6
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Code.39(軍事関係で広く用いられているコード)、POSTNET(米国郵政公社:United.States.Postal.
Service®で使用されているコード)、Codabar、Interleaved.2.of.5などの一次元コードでは、チェックデジットは
オプションで読み取りエラーが増える場合などに適用されます。製薬業界で使用されているPharmacodeは、前
後両方から読み取れます。このコードには、画像処理式リーダを使用する場合でも、読み取りの際には毎回同じ方
向からの読み取りに配置しなければならないという弱点があります。
Code.128 UPC-A
代表的な用途: 代表的な用途:
物流 米国内の小売業、スーパー
EAN-13 Code.39
代表的な用途: 代表的な用途:
ヨーロッパの小売業、 軍事、自動車
スーパー
Code.93 Codabar
代表的な用途: 代表的な用途:
軍事、自動車、 米国内の血液バンク、
ヘルスケア 写真現像所、FedEx®Airbill、
図書館
Interleaved.2.of.5 MSI/Plessy
代表的な用途: 代表的な用途:
流通、倉庫 スーパー
POSTNET
代表的な用途:
米国郵政公社(USPS®)
Intelligent.Mail.Barcode
代表的な用途:
米国郵政公社(USPS)の一部
図6:一次元コードの種類
工業用バーコード読み取り入門 7
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二次元マトリックスコード
一次元バーコードとは異なり、二次元マトリックスコードは垂直、水平の両方向に情報をが入るため大量のデータを
格納できます。たとえば、Code.39が保持できる文字数は39個ですが、二次元コードは1つで最大3,116個の数
字または2,335個の英数字を格納できます。
一次元バーコードとは異なり二次元コードにはエラー訂正機能が組み込まれています。これは、一部の一次元コード
で使われているチェックデジットと似たもので、読み取りミスを効果的に排除します。1個の二次元データマトリック
スコードで、データは通常3回エンコードされます。これによりコードが正しく読み取られる確率が飛躍的に高まりま
す。画像処理式のバーコードリーダが1個の二次元バーコードで読み取りエラーを出す確率は、スキャン.1050万
回につき1回です。一方、レーザスキャナでは二次元コードを読み取れませんし、このレベルの精度も出せません。
一次元コードにはコードの始点と終点を特定するためのクワイエットゾーンとガードパターンがありますが、二次元
コードにはクワイエットゾーン、ファインダパターン、クロッキングパターンがあります。ファインダパターンは二次
元コードの外側にあるL字型のパターンです。これは、デコードに際してコードの正しい向きを判断するために使用
されます。ファインダパターンの反対側にあるのがクロッキングパターンです。これは、黒いモジュールと白いモ
ジュール(セル)が連続して交互に並んだもので、デコード用に1つのセルの大きさとコードのサイズ(行数と列数)
を定義します。クワイエットゾーンは一次元バーコードのクワイエットゾーンと似ていますが、二次元コードでは必ず
コード全体を取り囲んでいます。
クロッキング
パターン
モジュール
またはセル データ
領域
ファインダパターンまたは
L字パターン クワイエット
ゾーン
図7:二次元コードの構造
シンボル
よく見られる二次元コードには航空、防衛、印刷媒体、米国郵便事業で使用されているデータマトリックス、物流で
使用されているドットベースのMaxiCode、自動車や宣伝目的で使用されるQRコード、チケット販売所やレンタ
カー会社で使用されているAztecコードなどがあります。
工業用バーコード読み取り入門 8
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データマトリックス MaxiCode
代表的な用途: 代表的な用途:
航空、 物流
自動車、
エレクトロニクス、
米国郵政公社(USPS)
QR Aztec
代表的な用途: 代表的な用途:
自動車部品、 旅行チケット、
商業 自動車登録文書
マーケティング
PDF417 GS1.DataBar.Stacked
代表的な用途: 代表的な用途:
米国運転免許証 スーパー
物流
DotCode
代表的な用途:
パッケージング、物流、
盗難防止対策
図8:二次元コードの種類
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バーコードの印刷
およびマーキング方法
コードを使ったアプリケーションでは、中央のデータベースから情報を集めます。これには通常、生産国などの製造
データが含まれます。その後このデータを対象物に適用します。対象物にコードを付ける方法にはインクジェットま
たはサーマルプリンタを使用してパッケージやラベルにコードを印刷する方法と、ドットピーン、化学エッチング、
レーザマーキングなどダイレクトパーツマーキング(DPM)方式で、パーツ上に直接コードを恒久的にマークする方
法の2通りがあります。
熱転写およびインクジェット印刷
パッケージやラベルなどの材料の上にコードを印刷するためにはインクジェットプリンタが最もよく用いられていま
す。インクジェットプリンタは紙やプラスチックなどの媒体上にインクを飛沫にして吹き付けることによりバーコード
を作成します。熱転写はラベルの印刷によく用いられるテクノロジです。このプロセスは、プリントヘッドを加熱しラ
ベルに直接インクを塗布します。インクジェットや感熱印刷は一次元バーコードの印刷によく使われます。
図9:ラベルにインクジェットで印刷されたコードが貼付された薬品のビン
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ダイレクトパーツマーキング(DPM)
医療機器、自動車部品などのコンポーネントレベルでのトレーサビリティと責任保障が重視される耐久消費財で
は、印刷に代わり持続性の高い手段としてDPMが活用されています。DPMソリューションでは、通常単なるパーツ
索引番号以上のデータに対応する必要があるため、処理能力の低い一次元バーコードの代わりに二次元コードが
使われることがよくあります。
レーザ
レーザマーキングシステムは、通常ファイバレーザを使用してデー
タマトリックスコードなどの二次元コードシンボルを部品の上に刻
印します。
図10:金属製シリン
ダにレーザでマークさ
れたコード
ドットピーン
一般に最も経済的な選択肢とみなされているドットピーンマーキン
グシステムでは、振動するスタイラスを使用して金属に圧力をか
け、くぼみを作成します。
図11:自動車部品に
ドットピーンでマーク
されたコード
化学エッチング
電気化学エッチングでは、ナトリウム系の溶液に低電圧のパルス状
電流を流します。
帯電した溶液は金属を溶かし特別な原紙を通じて抽出されます。
図12:金属に化学エッ
チングされたコード
これらの方法はそれぞれマーキングの対象となる材料に応じて長所と短所があります。金属部品の場合、レーザ
マーキングシステムが高いスループットと永続性のあるマークをもたらしますが導入にはかなりの費用がかかりま
す。ドットピーンマーキングヘッドは、費用はそれほどかかりませんが摩耗しやすくマークにその影響が及ぶ可能性
があります。これらの影響を防ぐため、画像処理式のコード読み取りシステムを利用してプリンタやDPMの品質を
モニタし、プリントヘッドの詰まりやマーキングヘッドの摩耗を検知することもできます。
工業用バーコード読み取り入門 11
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バーコードリーダの種類
レーザスキャナ
バーコードの黎明期にはコードはレーザでしか読み取れませんでした。レーザスキャナはレーザ光線を光源とし、周
期的に振動するミラーまたは回転するプリズムを使用してバーコードをレーザ光線で前後にスキャンします。その
後フォトダイオードがバーコードの反射した光を測定します。フォトダイオードが作成したアナログ信号はデジタル
信号に変換されます。
5
0
0 6
4 3
0
8 4
6 4
1
1
バーコード アナログ信号 デジタル信号
図13:レーザスキャナ
古いテクノロジとはいえ、レーザスキャナには現在においても運用上のメリットがあります。まず、レーザスキャナは
画像プロセッサを必要としません。また、高速で1秒間に最高1,300回スキャンすることが可能です。さらにレーザ
を使用することで、つまり光源と対象物の距離がどんなに離れていても基本的に発散しない平行光線を使用して
いるため、特別な光学系を使用すれば比較的離れたところからでも一次元バーコードを読み取ることが可能です。
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ただし、レーザスキャナに制約がないという意味ではありません。決定的な制約の1つに、一次元コードよりも普及
しつつある二次元コードをレーザスキャナでは読み取れないというものがあります。また、レーザスキャナは印刷品
質が悪い、コントラストが低い、ゆがんでいる、損傷しているなどの問題のある一次元バーコードの読み取りも得意
ではありません。現実的には完璧な環境でコード読み取りをできることはほとんどないので、読み取りエラーや読
み取り不可の回数は通常非常に多くなります。反射しやすい部品と光源を組み合わせると、ホットスポットが発生し
レーザスキャナは混乱します。
黒く損傷 ノイズ
低コントラスト クワイエットゾーンの損傷
図14:レーザスキャナでは読み取りの難しいコード
また、レーザスキャナを利用する際にはコードの位置も重要です。これは一部の例外を除き一次元コードは左から
右にスキャンする必要があるためで、対象物のバーコードが必ず同じ方向を向くようにするための固定装置や機械
的システムの追加が必要になることがあります。さらに、レーザスキャナは周期的に振動するミラーを搭載していま
すが、可動部品は壊れることがあるため修理や交換に追加のコストが発生したり時間がかかったりすることもあり
ます。最後に、近くにいる作業員の目の安全を確保するため、レーザスキャナは必ずシールドする必要があります。
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画像処理式リーダ
画像処理式リーダは、基本的にコードの画像を取り込むデジタルカメラで構成されます。その後特別な画像処理ソ
フトウェアを実行しているマイクロプロセッサがコードを検出、デコードし、結果として得られたデータをネットワー
ク経由で配布します。
画像解像度
画像センサ、つまりカメラを選択するときの最大の差別化要因の1つは解像度です。画像解像度は、1つの画像を
構成するピクセルの数を表しています。
アプリケーションに適した画像処理式リーダの解像度を判断するときに、最もよく使われる条件の1つに1モジュー
ルあたりのピクセル数(PPM)があります。PPMは、カメラの1方向の解像度(たとえば、標準的な解像度のリーダ
では480ピクセル)を、視野のY方向の長さ(50mm)で割って導いた数値と、コードのサイズ(ミリ)をモジュール
数で割って(12mm/22モジュール)導いた数値を掛け算して求めます(5.2PPM)。複雑そうですが、画像処理式
の工業用コードリーダで実行されている構成用アプリケーションや画像処理ソフトウェアで簡単にPPMを計算で
きます。通常、1.5~2PPM程度が業界標準ですが、コグネックスの最新HotbarsIIアルゴリズムではわずか
0.8PPMまで対応することができます。
センサ
レンズ
ワーキング
ディスタンス
2次元コードのサイズ:
12mm×12mm
視野 (FOV) 22モジュール×22モジュール
図15:画像処理式リーダでデータマトリックスコードのPPMを示すピクセルグリッド
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レンズ
コードの画像を鮮明に取り込むには、画像処理式バーコードリーダの光学系がポイントです。高品質の画像処理式
リーダには、指定されたワーキングディスタンスでコードの画像を取り込むために必要な解像度に応じ、Sマウント
レンズとCマウントレンズの2つのオプションがあります。さらに、コグネックスの画像処理式リーダはリキッドレンズ
テクノロジも提供しています。これによりリーダは、固定式リーダとコンベヤ上の製品とワーキングディスタンスの
変化などにも対応できます。リキッドレンズは、電荷を利用して水と油2種類の液体の接触面の形状を変化させま
す。これにより光が屈折し、イメージに焦点を合わせます。従来のズームレンズとは異なり、リキッドレンズに可動部
分はなくモータも必要としないため、機械式の光学系やオシレータ式レンズよりもはるかに堅牢です。
ON OFF
静電圧 静電圧
水
光軸 油 光軸 水 油
ウインドウ ウインドウ ウインドウ ウインドウ
金属 金属 金属 金属
絶縁体 絶縁体
図16:リキッドレンズテクノロジ
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照明
明瞭なコード画像の取り込みには照明も重要な役割を果たします。ラベルに印刷されたコードからドットピーン刻
印まで、あらゆるコードを正確に読み取れるようにするために画像処理式工業用リーダには通常、照明オプションが
ついています。コグネックスの画像処理式ハンドヘルド型リーダには明視野、暗視野、および拡散ドーム照明の3種
類の基本照明が用意されています。明視野はコードを構成するマークを黒く映します。暗視野はマーキングされた
コードの周りの領域を黒くするローアングル照明を使用し、ドットピーンやくぼみのあるコードの読み取りに最適で
す。拡散ドーム照明はホットスポットを減らし、コントラストの高い画像を生成するため反射しやすい部品や湾曲した
部品での使用に最適です。コグネックスの固定式リーダには、内臓照明オプションのほか外部照明オプションなどさ
まざまな照明オプションが用意されています。照明技術や位置の違いによる影響についてはコグネックスの照明ア
ドバイザ(www.cognex.com/lightingadvisor)へお問い合わせください。
明視野照明 暗視野照明 拡散ドーム照明
高コントラストのラベル、 ドットピーン、 強い反射、
DPMパーツ レーザマーキングDPM 曲面上のDPM
図17:照明テクノロジ
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TRIG TUNE TRIG TUNE TRIG TUNE
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バーコードの読み取り率を75%から100%に向上させたリキッドレンズテクノロジ
課題
シュリンク包装されたさまざまなサイズのファイバーグラスのロールをスキッドに積んだまま、ロールに貼付された
バーコードの読み取り率100%を達成する
解決策
Owens.Corning®は、変化する焦点距離に対応できる
ように、リーダの焦点が自動調整可能なリキッドレンズテ
クノロジを搭載したDataMan®バーコードリーダを導入
しました。
設定およびコントラストと輝度を最適にチューニングす
ることで、透明なシュリンク包装資材の反射を原因とす
るぎらつきを克服しました。
読み取り率は、ほぼ100%を達成し、ロールの一番上に
ラベルが来るように自動シーケンスでオペレータによる
手作業を挟む必要もなくなりました。この作業から解放
されたオペレータは生産プロセスでほかの作業をできる
ようになります。
DataManバーコードリーダがバッテリメーカーでの読み取り率とインタフェースの課題を解決
用途
レーザマーカーでプラスチックに焼き付けられた二次元デー
タマトリックスコードの読み取り率を向上させるとともに、製
造ラインの制御に使用されるプログラマブルロジックコント
ローラ(PLC)とコードリーダの間によりシームレスなインタ
フェースを作成します。
解決策
工業用プロトコルとコードの様々な劣化に対応できる二次元
コード読み取りソフトウェアを搭載したDataManバーコード
リーダを導入。
高い読み取り率により、生産工程でバーコードデータを手動
で入力する必要が事実上なくなりました。これにより、データ
入力エラーの懸念や手間が大幅に減少しました。
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通信
最後に、クラス最高の画像処理式リーダはEthernet、USB、RS-232、ディスクリート入出力、Ethernet/IP、
PROFINET、Modbus.TCP/IPなど、広範囲にわたる工業用通信プロトコルを提供しています。これにより、リー
ダと工場ネットワークとの統合が簡略化されます。リーダと工場ネットワークの統合は製品の追跡情報の読み込み
や送信だけではなく、ごく稀に発生する読み取り不可や読み取りエラーの際にもアーカイブされた画像を格納する
ためにも重要です。クラス最高の画像処理式リーダを利用すればエラーとなった画像を分析、保存することが可能
となり、コードプリンタが十分なコントラストで印刷していないこと、ドットピーンのヘッドの交換が必要なことを運
用スタッフに知らせることもできます。リアルタイムで性能を評価し統計的プロセス制御(SPC)を提供できるとい
う点でも、画像処理式リーダはこれまで使われていたレーザスキャナより優れています。
図18:通信プロトコル
さらに強力になり柔軟性も高まった画像処理式リーダは、レーザスキャナよりもかなりコスト高になったと想定する
方もいらっしゃるでしょう。過去にはそのような例もありましたが、最新の画像処理式リーダのコストは機能の劣る
工業用レーザスキャナとほぼ同じです。最新のマイクロプロセッサとCMOSデジタル撮像センサーを採用したこと
により、画像処理式システムでも最速のレーザスキャナにほぼ匹敵する速度で動作することを実現しました。またこ
のような進歩は、可動部品が使われていないためレーザスキャナ式よりも寿命が長い、損傷したコードや方向が一
定でないコードを読み取れる、監査や追跡のために画像を保存する、コードのマーキング装置を監視するといった、
画像処理式リーダが以前から持っていた長所と合わせ、画像処理式リーダのメリットをより高めています。
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リーダの選び方
最適なバーコードリーダの選択は、コード読み取りアプリケーションを丁寧に調べることから始めます。どのような
種類のコードを読み取るのか?.ラインの速度は?.どの程度の耐久性が必要か?.リーダはどこに設置するか?.その
際の物理的な制約は?.通信はどうするか?.などあげられますが、検討が必要なことはそれだけではありません。
シンボル
現在、在庫管理やトラック&トレースアプリケーションで必要なデータサイズはおそらく数キロバイト程度ですから、
一次元バーコードが最も論理的な選択肢でしょう。しかし、必要なデータのサイズは運用の規模と複雑さが増すに
従って大きくなるものです。二次元コードや欠陥のあるバーコードを読み取る機能がもたらす利点を享受できるよ
うな、将来的に発生しうる要件を考慮に入れることには大きな価値があるといえるでしょう。現状では流通チャネル
を自社で所有していたとしても、事業の成長や顧客エリアの拡大により外部の物流会社を使用せざるを得なくなる
と、コードのマーキング品質をコントロールできなくなるなどのケースも発生します。より優れたテクノロジに投資
することにより、将来における機器のアップグレードを最小限に抑えることができるでしょう。
図19:バーコードシンボル
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読み取り率
機械や人間が製品を取り扱うたびに、機械による読み取りが可能なコードが破損する可能性があります。製品の
データ要件や形状、サイズが一次元バーコードソリューションに適していても、サプライチェーンではざらざらした
コンベヤホイール、鋭利な金属備品、汚い手袋などが、機械が読み取るコードにシミや傷をつけたり品質を低下さ
せたりする可能性を含んでいます。二次元コードに組み込まれたエラー訂正機能がなければ、不良コードにより読
み取り率が低下し、リワークが増え人件費の上昇につながります。
この問題は紙やプラスチックのパッケージにとどまりません。金属に刻まれたコードもゆがみや損傷の可能性があ
ります。サプライチェーンの精度維持が重要な場合は、リーダがプリンタから出てきたばかりの完璧なコードだけで
なく、ノイズの多いコード.-.たとえば段ボールに印刷されたコードや傷・歪みのあるコード、低コントラストのコー
ド.-.も読み取れることを確認する必要があります。また、プリンタやインプリンタ、レーザが仕様を満たさなくなっ
た際には、無数の製品が世に出回る前に画像処理式システムが警告してくれるとわかっているので安心です。
低い解像度 周辺の特徴の欠落 反射 歪み
マークの不良 モジュールが小さい キズ 極端な台形歪み
図20:最も難しいコードでも確実に読み取る画像処理式のバーコードリーダ
工業用バーコード読み取り入門 20