アプリケーションと利点
「マシンビジョンの基礎知識」として、マシンビジョンテクノロジがどうのように工程の自動化や品質改善に関わっているかを、アプリケーション、コンポーネント、種類など、3つの冊子に分けて説明しいます。第1巻目は、マシンビジョンを使うメリットとそのアプリケーションについてご紹介します。
はじめてマシンビジョンに携わる方や、既にマシンビジョンを使われている方も、知識の再確認のためなどにぜひご活用ください。
このカタログについて
ドキュメント名 | マシンビジョンの基礎知識Vol.1 |
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ドキュメント種別 | 製品カタログ |
ファイルサイズ | 2.9Mb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | コグネックス株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログ(マシンビジョンの基礎知識Vol.1)の内容
Page 1:マシンビジョンの基礎知識アプリケーションと利点
Page 2:マシンビジョンの基礎知識 2マシンビジョンとは.............................................................................3マシンビジョンの利点.........................................................................5マシンビジョンアプリケーション..........................................................6 位置決め.......................................................................................7 識別..............................................................................................8 計測..............................................................................................9 検査............................................................................................10まとめ ...........................................................................................11目次
Page 3:マシンビジョンの基礎知識 3マシンビジョンとはAutomated Imaging Association (AIA) によると、マシンビジョンとは、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせた産業用および非産業用アプリケーションすべてを含むものであり、画像の取り込みと処理に基づいて機器を動作させるための手法を提供します。産業用コンピュータビジョンで使用されているアルゴリズムやアプローチの多くは、研究/教育用および政治/軍事用のコンピュータビジョンアプリケーションのものと同じですが、制約に違いがあります。産業用ビジョンシステムは、研究/教育用ビジョンシステムと比べ、より高いロバスト性、信頼性、安定性を要求されますが、通常、政治/軍事用に使用されているものよりも、コストはかなり低く抑えられています。つまり、産業用マシンビジョンは低コストで、許容可能な精度を持ち、ロバスト性、信頼性が高く、丈夫で温度安定性に優れていることを意味しています。マシンビジョンシステムは、特殊な光学系を搭載した産業用カメラ内部の保護されたデジタルセンサを利用して、画像を取り込みます。これにより、コンピュータのハードウェアとソフトウェアは、意思決定に必要なさまざまな特性を処理、分析し、測定できるようになります。醸造所で使用されている充填レベル検査システムを例に考えてみましょう (図 1)。ビール瓶が検査用センサを通過すると、ビジョンシステムが起動し、ストロボがたかれ、瓶の写真が撮影されます。撮影された写真は画像としてメモリに格納され、その後、ビジョンソフトウェアがこの画像を処理または分析し、瓶の充填レベルに従って合否を判定します。充填の不十分な瓶 (不合格) を検知すると、システムは進路切り替え器にその瓶をリジェクトするよう信号を送ります。オペレータのディスプレイには、リジェクトされた瓶と現行プロセスの統計が表示されます。またマシンビジョンシステムは、対象物の計測を行うこともできます。例えば、生産工程での点火プラグのずれの判定や部品を揃えるロボットの誘導に必要な位置情報の提供などです。図 2 は、マシンビジョンシステムを使って、オイルフィルタの合否を判定する方法(右) とブラ ケット中央にあるタブ幅の測定方法 (左) を示しています。
Page 4:マシンビジョンの基礎知識 4ビジョンシステムのディスプレイ ストロボセンサ良好なオイルフィルタ(すべての穴が開いている)リジェクトされたオイルフィルタ(一部の穴がふさがっている)37.255 mm図 1.瓶の充填レベル検査の例この例にある充填レベル検査システムの反応は合格または不合格の 2 種類だけです。これはバイナリシステムの特徴です。1.製品が良品であれば合格2.製品が不良品であれば不合格図 2.マシンビジョンシステムは、機械加工後のブラケット (左) やオイルフィルタ (右) の計測や検査を生産ラインでリアルタイムに処理できます。
Page 5:マシンビジョンの基礎知識 5マシンビジョンの利点複雑で規則性のないものを判断するには、人間の目を使うのが最適ですが、体系化されたものを数値として測定する場合は、その速さ、精度、再現性から、マシンビジョンの方が優れています。たとえば、生産ラインでは、マシンビジョンシステム 1 台 で 1 分間に数百、数千ものパーツを検査することができます。適切な解像度のカメラと光学系を使って構築されたマシンビジョンシステムは、小さすぎて人間の目では判断できないような対象物の微細な特徴も簡単に検査できます。マシンビジョンは、システムと検査対象のパーツが物理的に接触しないようにすることで、パーツの損傷を防ぎ、機械部品の摩耗や損傷に関連する保守の時間やコストを削減します。マシンビジョンは、生産工程への人間の関与を削減することで、安全性を高め、運用上のメリットを向上させています。さらに、人間によるクリーンルームの汚染を防ぎ、生身の労働者を危険な環境から保護するという効果もあります。Machine vision helps meet strategic goals戦略的目標の達成を支援するマシンビジョン戦略的目標 マシンビジョンアプリケーションさらに高い品質 検査、計測、位置決め、およびアセンブリの検証生産性の向上以前は手作業で行われていた繰り返し作業を、現在はマシンビジョンシステムが行っている生産の柔軟性計測および位置決め / ロボットガイダンス / 操作の事前検証マシンのダウンタイムおよびセットアップ時間の短縮 変更を事前にプログラミングより完成度の高い情報と厳格な管理人間の手による作業から、コンピュータによるデータのフィードバックへ資産設備費の削減マシンにビジョンを追加することにより、生産性を向上させ、老朽化を回避する生産コストの低減多数の人間を 1 つのビジョンシステムへ / 工程の早い段階で不具合を検出スクラップ率の低減 検査、計測、および位置決め在庫管理 光学式文字認識および識別床面積の削減 作業者と比較してビジョンシステムは有利
Page 6:マシンビジョンの基礎知識 6マシンビジョンアプリケーションごくシンプルなアセンブリの検証や、ロボットを使った複雑な三次元ビンピッキングなど、どのようなマシンビジョンアプリケーションでも、通常、最初のステップは、パターンマッチングテクノロジを使用して、カメラの視野から目的の対象物や特徴を検出することです。目的の対象物の検出が成功/失敗を左右することはよくあります。パターンマッチングソフトウェアツールが画像からパーツを正確に検出できなければ、パーツのガイド、識別、検査、カウント、測定はできません。パーツの検出といえば単純そうに感じられますが、実際の製造現場におけるパーツの外観の違いにより、このステップが非常に困難になることがあります (図3)。ビジョンシステムは登録されたパターンに基づいて部品を認識しますが、厳密に制御された工程であっても、部品の外観にはばらつきが生じます (図 4)。正確で信頼性が高く、再現性のある結果を得るために、ビジョンシステムの位置決めツールには、生産ラインを流れていく実際の対象物と登録パターンをすばやく正確に比較 (パターンマッチング) できる能力が必要です。位置決めは、マシンビジョンアプリケーションの 4大カテゴリにおける重要な最初のステップです。4大カテゴリは、位置決め (Guidance)、認識(Identification)、測定 (Gauging)、検査 (Inspection)で、頭文字をとって「GIGI」と呼ばれることもあります。図 3.照明または遮蔽を原因とする外観の変化により、位置決めが難しくなります。標準 その両方暗い 明るい不完全背景 焦点 汚れ図 4.パーツの見栄えまたは歪みの影響で、パーツの位置決めが難しくなります。標準左右伸び小さい上下伸び大きい線形ひずみ回転非線形
Page 7:マシンビジョンの基礎知識 7位置決め位置決めを行う理由はいくつか考えられます。まず、マシンビジョンシステムはパーツの位置と向きを検出し、指定された許容値と比較して、正しい角度であることを確認することで、アセンブリが適切に行われていることを検証します。次に、位置決め使用して、二次元または三次元空間でのパーツの位置と向きをロボットもしくはマシンのコントローラに報告し、ロボットがパーツを見つけられる、またはマシンがパーツを並べられるようにします。マシンビジョンのガイダンスは、パレットにパーツを並べる、パレットからパーツを降ろす、ベルトコンベヤからパーツを降ろして梱包する、ほかのコンポーネントとのアセンブリ用のパーツを見つけて並べる、作業棚にパーツを置く、容器からパーツを取り出すなどの作業を、人間の手で行うよりもはるかに速く、正確に完了できます。また、位置決めはそのほかのマシンビジョンツールとの連携にも使えます。製造中、カメラに対してパーツがどのような向きになるかは分からないため、これは非常に強力なマシンビジョン機能だと言えます。パーツの位置を発見し、ほかのマシンビジョンツールに連携させることで、マシンビジョンは自動ツールフィクスチャを実行できるようになります。これには、パーツの重要な特徴を検索して、キャリパ、ブロブ、エッジなどのビジョンソフトウェアツールを正確にパーツと連動させる作業が含まれます。これにより、メーカーは同じ生産ラインで複数の製品を組み立てられるようになり、検査中にパーツの位置を固定するための高価な設備は必要なくなります。位置決めでは、幾何学パターンマッチングが必要になることがあります。パターンマッチングツールは、コントラストや照明の大きなばらつきや、スケール、回転などの係数の変化を容認しながら、毎回、確実にパーツを検出できなければなりません。これは、パターンマッチングで取得された位置情報が、そのほかのマシンビジョンソフトウェアツールとの連携を実現するからです。図 5a.位置決めで使用される画像の例。トマトソースの袋 プリント基板 90度エルボ
Page 8:マシンビジョンの基礎知識 8図 5b.パターンマッチングが困難なこともあります。識別パーツの識別および認識に使用されるマシンビジョンシステムは、パーツ、ラベル、パッケージに印刷されたバーコード (一次元)、データマトリックスコード (二次元)、ダイレクトパーツマーク (DPM)、および文字を読み取ります。光学式文字認識 (OCR) システムは、予備知識なしに英数字を読み取り、光学文字検証 (OCV) システムは文字列を照合します。さらに、マシンビジョンシステムは、そのパーツにしかないパターンを見つけて、パーツを特定したり、色や形、サイズを基準に種類を識別したりすることもできます。DPMアプリケーションは、コードや文字列をパーツに直接、刻印します。この方法は、通常、エラー防止、効率的なエラー抑制戦略の実現、工程管理や品質管理用指標のモニタ、ボトルネックなど、工場で問題となる領域の定量化のために、あらゆる業界の製造現場で使用されています。ダイレクトパーツマーキングによるトレーサビリティにより、資産の追跡やパーツ検証の信頼性が向上します。また、完成品を構成するサブアセンブリに含まれるパーツの系統図を文書化することで、ユニットレベルのデータを提供し、テクニカルサポートや保証修理サービスの質をさらに向上させることができます。登録されているパーツピンぼけスケール変化/薄暗い照明背景ノイズ 180度回転遮蔽逆極性
Page 9:マシンビジョンの基礎知識 9従来のバーコードは、小売店のレジや在庫管理で広く受け入れられています。しかし、トレーサビリティ情報には、標準的なバーコードには収まらない、大量のデータが必要です。データ容量を増やすため、企業はデータマトリックスなどの二次元コードを開発しました。このコードには、事実上、どのような完成品についても、メーカー名、製品 ID、ロット番号、さらにシリアル番号などを記録できます。計測計測に使用されるマシンビジョンシステムは、対象物にある 2 つ以上の点、つまり幾何学的な位置の間の距離を計算し、これらの計測値が仕様を満たしているかどうかを判断します。満たしていない場合、ビジョンシステムは不合格の信号をマシンコントローラに送信し、その対象物をラインから取り除くリジェクトメカニズムを動作させます。実際には、固定式カメラが、視野を通過するパーツの画像を取り込むと、システムがソフトウェアを使って、画像内のさまざまな点と点の間の距離を計算します。多くのマシンビジョンシステムは、高精度に特徴を測定できるため、従来、接触式のゲージングで処理されていた数々のアプリケーションにも対応できます。図 6.単なるバーコードのスキャンから OCR まで様々な識別方法があります。
Page 10:マシンビジョンの基礎知識 10検査検査用マシンビジョンシステムは、製造品の欠陥、汚れ、機能の不具合などの異常を検出します。たとえば、錠剤の欠陥検査、ディスプレイのアイコンやピクセルの存在確認、タッチスクリーンのバックライトのコントラストレベルの測定を行えます。また、食品業界や医薬品業界で製品とパッケージが一致しているかどうか、瓶に安全シール、キャップ、リングがついているかどうかを確認するなど、マシンビジョンで製品の完全性を検査することも可能です。図 7.ゲージングアプリケーションは、高精度に特徴を測定できます。図 8.マシンビジョンシステムは欠陥や機能的な不具合を検知できます。
Page 11:マシンビジョンの基礎知識 11まとめマシンビジョンは、工程または品質を管理するために、デジタル画像から情報を自動的に抽出します。大半のメーカーは、人間の検査員ではなく、自動化されたマシンビジョンを使っています。これは、繰り返し行われる検査作業には機械の方が適しているからです。機械は高速で、仕事に感情をさしはさむことがなく、いつまでも作業を続けられます。また、1 分間に数百、数千個のパーツを検査し、常に一定で、信頼できる検査結果を 365 日提供することも可能です。現代の製造現場で、マシンビジョンは主に計測、検査、位置決め、認識に使用されています。マシンビジョンを使用して欠陥を減らし、歩留まりを上げ、規制への準拠を推進し、パーツを追跡することにより、メーカーはコストを削減し、利益性を増大させることができます。マシンビジョンを使って、組織の無駄を減らし、ダウンタイムを最小限に抑え、工程を改善する方法の詳細については、弊社までお問い合わせください。また、オンラインでも詳しい情報をお伝えしております。• Cognex マシンビジョン• Cognex ビジョンシステム• Cognex ビジョンセンサ• Cognex 三次元ビジョン• Cognex 工業用バーコードリーダ
Page 12:あらゆる業界に採用されているビジョン世界各地の工場に 100 万台を超えるシステムの導入実績をもつコグネックスのマシンビジョンシステムは、ほぼすべての製造業で採用され、工場の生産性や品質の向上に貢献しています。自動車に採用されているほぼ全てのシステムや部品の組み立ての製造工程では、性能を高めるためにマシンビジョンを有効に活用しています。自動車マシンビジョン対応のロボットは、携帯電話、タブレット、ウェアラブルデバイスのスケーラブルなアセンブリを可能にします。コグネックスビジョン技術は、さらに高精度なタッチスクリーンディスプレイの製造や三次元品質検査を可能にします。モバイル機器高速な画像取り込み、高度なカラーツール、および三次元検査システムによる生産性およびパッケージングの操作を向上させます。消費財食品アレルゲン管理、アセンブリ検証、品質管理およびトラック&トレース等、どんな用途でも、コグネックスは食品および飲料品業界のアプリケーションに応える幅広い画像処理装置をご提供しています。食品と飲料医療機器メーカーは、品質検査が不可欠の要因であることを理解しています。欠陥商品による責任、品質の不均一性、コストの急激な変化、規制など、すべての医療機器メーカーの収益に重大な影響を与えます。医療機器患者の安全とトレーサビリティ要件を、いかにコスト効率よく満たすかという課題を抱えています。マシンビジョンは、コンプライアンスの目標を達成するのに役立ちます。医薬品ウェハーは微細化し、薄型化が進み、さらに高価値になっていますが、コグネックスのビジョンは正確なアライメントとウェハー読み取りを実現します。半導体マシンビジョンは、電子製品の高速な組立てやトレーサビリティを最新の小型コンポーネントやフレキシブル基盤においても実現します。電子機器北・中・南米北・中・南米 1 508 650 3000ヨーロッパオーストリア 49 721 6639 393ベルギー 31 403 05 00 43フランス 33 1 4777 1551ドイツ 49 721 6639 393ハンガリー 36 1 501 0650アイルランド 0808 168 3001イタリア 39 02 6747 1200オランダ 31 403 05 00 43ポーランド 48 71 776 07 52スペイン 34 93 445 67 78スウェーデン 46 21 14 55 88スイス 49 721 6639 393トルコ 90 212 306 3120英国 0808 168 3001アジア中国 86 21 5050 9922インド 9120 4014 7840日本 81 3 5977 5400韓国 82 2 539 9047シンガポール 65 632 55 700台湾 886 3 578 0060フリーダイヤル0120-005409