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グローバルな薬局方要件に準拠する製薬用水システムの設計を支援するための、重要かつ有用な情報が掲載されています。
バルク原水の要件、バイオフィルムの制御、3ステップで構成される水処理システムを含む、重要な情報を提供しています。
・原水と汚染物質の一般情報
・バルク水製造における要件
・バイオフィルム
・設計とエンジニアリング医薬品水処理システム
・製薬用水製造システムのための水質分析装置の推奨事項製薬用水システム
このカタログについて
ドキュメント名 | 【技術資料】設計による薬局方準拠 製薬用水システムの構築 ベストプラクティス |
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ドキュメント種別 | その他 |
ファイルサイズ | 1.1Mb |
取り扱い企業 | メトラー・トレド株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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THORNTON
Leading Pure Water Analytics
設計による薬局方準拠
製薬用水システムの構築
Best Practice
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目次
ページ
1. 初期設計時に考慮すべき項目 3
本ガイドには、グローバルな薬局方要件に準拠する
2. 原 水と汚染物質の一般情報 3 製薬用水システムの設計を支援するための、重要
2.1 水中の汚染物質 4 かつ有用な情報が掲載されています。バルク原水の
2.2 薬局方が定める原水の要件 5 要件、バイオフィルムの制御、3ステップで構成され
る水処理システムを含む、重要な情報を提供してい
3. バルク水製造における要件 5 ます。
3.1 基本的な水処理システムモニタリングの要件 5
3.2 純水(PW) – USP37 – NF32 6
3.3 注射用水(WFI) – USP37 – NF32 6
4. バイオフィルム 7
5. 設計とエンジニアリング医薬品 7
水処理システム
5.1 前処理 7
5.2 精製 8
5.3 貯蔵と配水 9
6. 製薬用水製造システムのための水質分析
装置の推奨事項製薬用水システム 10
2 METTLER TOLEDO Compliance by Design
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1 初期設計時に考慮すべき項目
製 薬用水を製造するためには、特定の種類の不純物を除去するために設計された水処理装置を組
み合わせて原水を処理する必要があります。装置の組み合わせと順番はシステムにより異なり、製
薬用水システムを設計する際には、次のような幾つかの点を考慮する必要があります。
• 原水 • 必要な量と水質
- 品質 - ピーク、平均、シャットダウン量
- 季節変動 - 水の種類、基準要件
- 微生物コントロール方法 - 温度
• グリーンエンジニアリング • 水の使用
• 最終製品へのリスク要因 - 基準成分
• コスト - クリーニング/リンス/洗浄
- 資本 - 加湿
- 利用可能なリソース • 冗長性
- 稼動コスト • 将来の容量
す べての要件を満たす単式の設計は存在しません。また適切な水質を確保することが保証されて
いる単式のシステムもありません。製薬用水システムは、原水と製造される水の知識、エンジニア
リングのノウハウ、優れたモニタリング/制御プログラム、適切な殺菌/メンテナンスなどに基づいて
正しい水処理システムとして設計され、安全な水を一貫して、そして確実に提供することが求めら
れます。
図 1: 製薬用水の水源
飲料飲水料水
精製水 注射用水 ピュアスチーム 血液透析のための水
CIP 抗菌剤含有滅菌
滅菌精製水 最終 滅菌注射用水 設置用滅菌水 潅注用滅菌水
注射用水
リンス (Bacteriostatic Water for Injection)
2. 原 水と汚染物質の一般情報
自 治体に飲料水を供給するための水処理システムでは、原水が地下水か地表水か、また季節変動
や干ばつ・モンスーンなどの影響を受ける地域かによって大きくその性能が変化します。本ガイド
は、地下水と地表水、またこれらの水に含まれる汚染物質を考慮に入れています。
Compliance by Design METTLER TOLEDO 3
Pharmaceutical Water Systems
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表 1: 飲料水生産のための水源:
地下水 地表水
高ミネラル含有量 低ミネラル含有量
低い有機レベル 高い有機レベル
高い硬度レベル 高いTDSレベル
低い温度変動 大きな温度変動
季節変動
2.1 水中の汚染物質
原水の種類の多さと、水が持つ独特な化学的性質のため、自然界には純水というものが存在しま
せん。水はその極性と水素結合に起因するユニークな化学的性質を持っており、さまざまな化合物
を溶解、吸収、吸着、懸濁できることを意味しています。これらには危険な不純物や、医薬品、製品
と反応を起こしてしまう汚染物質も含まれます。政府保健当局によってリストされている、飲料水中
に許容されない汚染物質は90種類以上あります。
• 総溶解固形分(TDS) • 総固形分 • 微粒子
• 総イオン化固体と気体 • 微生物 • 有機物
現 在利用可能な水処理技術はこれらの汚染物質を、さまざまなレベルと濃度で効果的に除去しま
す。以下の表(表2)は、さまざまな水処理技術とそれぞれが除去可能な特定の汚染物質の詳細、汚
染物質の除去率について優、良、不可で評価しています。
表 2: 水中の汚染物質の主要クラス。
E = 優 (完全または、ほとんど 溶存 溶存 溶存 粒子状 細菌/ パイロジェ
完全な除去能力)
G = 良 (大部分を除去する
イオン化 イオン化 有機物 物質 藻類 ン/エンドト
能力) 固体 ガス キシン/
P = 不 可(少ない、または除去 ウイルス
しない)
浄水処理
蒸留 E G/E (1) E E E E
電気再生式イオン交換 (EDI) E E P P P P
逆浸透膜 G (2) P G E E E
炭素吸着 P P (3) E/G (4) P P P
ミクロンろ過 P P P E P P
サブミクロンろ過 P P P E E P
限外ろ過 P P G (5) E E E
U.V. 酸化 P P E/G (6) P G (7) P
(1) 水の比抵抗は、CO2の吸収に依存します。
(2) 濃度は原水の元の濃度に依存します。
(3) 活性炭は塩素を吸着して除去します。
(4) 他の浄水処理と組み合わせて使用する場合には、特別等級の炭素は、有機汚染物質の除去に優れた性能を発揮します。他
の浄水処理と組み合わせて使用する場合には、特別等級の炭素は、有機汚染物質の除去に優れた性能を発揮します。
(5) 限 外ろ過は分子ふるいであり、一定の分子量をカットオフする膜により原水中の特定の有機汚染物質を減少させる有用性
が示されまました。
(6) 波 長185 nmのUVランプによる酸化を後処理として使用すると、微量の有機汚染物質を除去する効果的があることが示さ
れました。
(7) 波長254 nmのUV殺菌は、細菌を物理的に除去はできませんが、強度、接触時間、流量によっては殺菌・は静菌作用を持ち
ます。
4 METTLER TOLEDO Compliance by Design
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2.2 薬局方が定める原水の要件
医薬品製造に使用する水を処理する場合、原水は「監督機関によって人が消費しても安全と認めら
れる」グレードであることが要求されます。
薬局方が要求する原水:
• U SP「: これは米国環境保護庁の第一種飲料水規制、ヨーロッパ連合や日本の飲料水規制、また
は世界保健機関の飲料水品質のガイドラインに準拠する水から調製されます」
• EP:「規制当局が定めた人間が消費することを目的とした水(飲料水)の規制に準拠する水」
• JP:「水から調製する」
• ChP:「中華人民共和国の国家規格に準拠する水から調製されたもの」
「中華人民共和国の国家規格に準拠する水から調製されたもの」
• IP:「飲料水のためのすべての法的要件に準拠した水から調製」
「飲料水のためのすべての法的要件に準拠した水から調製」
3. バルク水のための製造要件
上 述したような水の種類に加えて、バルク水(PW、HPW、WFI)は他のすべての水の主要な出発点
です。施設は必要なバルク水のタイプを決定し、常に準拠するようなシステムを設計する必要があ
ります。継続的にコンプライアンスを確保するため、製薬用水、貯蔵、配水システムの性能はモニタ
リングが必要です。
製 造されるバルク水の種類によって、システムに組み込む水処理装置を決定します。PWでは、シス
テムは任意の技術を組み合わせることができますが、特定の水の品質要件を満たすことが必要で
す。例えば、WFIは処理の最終段階で、蒸留を使用します。唯一の例外は、日本のみで使用される
WFIで、PWが供給される場合には、逆浸透と限外ろ過の組み合わせが最終処理となります。HPW
はヨーロッパのみで定義されている水の種類で、非常に限定された医薬品用途に使用されるもの
です。
3.1 基 本的な水処理システムモニタリングの要件
• 定期的な水源のモニタリング
- 化学と微生物
- 該当する場合にはエンドトキシン(パイロジェン)レベル
• システムパフォーマンス、貯蔵、配水システムのモニタリング
• 結果の記録、取られた任意のアクション
• 日常的に行われる、バリデートされた殺菌手順
貯 蔵と配水システムは水処理システム全体の中で最重要パートとして考慮し、それぞれの水処理装
置と完全に一体となるような設計が必要です。適切な方法で水処理を実施した後は、その水を直接
使用することも、ユースポイントに配水するための貯蔵タンクに移すこともできます。貯蔵と配水シ
ステムは、水処理後の再汚染を防止するように構成し、使用目的に適した水質が維持されるように
オンラインとオフラインモニタリングを組み合わせることが必要です。最終バリデーションと水処理
システムの継続的な制御は、プロセスすべてを含める必要がありますが、水処理、貯蔵、配水セク
ションには特に注意を払う必要があります。
Compliance by Design METTLER TOLEDO 5
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3.2 純 水(PW) – USP37 – NF32
PWは適切なプロセスを経て得られる水です。これは米国環境保護庁の第一種飲料水規制、ヨー
ロッパ連合や日本の飲料水規制、または世界保健機関の飲料水品質のガイドラインに準拠する水
から調製されます。これは米国環境保護庁の第一種飲料水規制、ヨーロッパ連合や日本の飲料水
規制、または世界保健機関の飲料水品質のガイドラインに準拠する水から調製されます。添加物質
は含まれません。
3.3 注射用水(WFI) – USP37 – NF32
WFIは、化学物質と微生物の除去に優れた蒸留法で製造されることを特徴としています。これは米
国環境保護庁の第一種飲料水規制、ヨーロッパ連合や日本の飲料水規制、または世界保健機関の
飲料水品質のガイドラインに準拠する水から調製されます。これは米国環境保護庁の第一種飲料
水規制、ヨーロッパ連合や日本の飲料水規制、または世界保健機関の飲料水品質のガイドラインに
準拠する水から調製されます。添加物質は含まれません。
表 3: バルク精製水と薬局方による注射水の要件。
属性 USP EP JP ChP IP
PWとWFIの原水 US、EU、 人の消費 日本の 飲用水または 飲用水または
日本、WHO 水質基準 精製水 精製水
飲料水
精製水
生産方法 適切なプロ 適切なプロ 蒸留、イオン交 蒸留、イオン交 蒸留、イオン交
セス セス 換、UF、または 換、または適 換、または適
組合せ 切なプロセス 切なプロセス
総好気性(微生物数) 100 100 100 100 100
(cfu/mL)
導電率 1.3 5.1 オンライン時 5.1 1.3
(μS/cm、25°C) (3ステージ) (1ステージ) 1.3またはオフ (1ステージ) (3ステージ)
ライン時 2.1
TOC (mg/L) 0.5 0.5 0.5 (コント 0.5 0.5
(オプション) ロールで0.3)
硝酸 (ppm) 0.2 0.2 必要
酸度/アルカリ度 必要
アンモニウム (ppm) 0.2 必要
酸化性物質 必要
注射用水
生産方法 蒸留または 蒸留 蒸留または 蒸留 蒸留
適切なプロ RO (UF あり)、
セス 精製水より
総好気性(微生物数) 10 10 10 10 10
(cfu/100 mL)
導電率 1.3 1.3 オンライン時 1.3 1.3
(μS/cm、25°C) (3ステージ) (3ステージ) 1.3またはオフ (3ステージ) (3ステージ)
ライン時2.1
TOC (mg/L) 0.5 0.5 0.5 (コント 0.5 0.5
ロールで0.3)
バクテリアによる 0.25 0.25 0.25 0.25 0.25
エンドトキシン
(EU/mL)
硝酸 (ppm) 0.2 0.2 必要
6 METTLER TOLEDO Compliance by Design
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重金属 必要
酸度/アルカリ度 必要
アンモニウム (ppm) 0.2
* グレーの欄 – テスト不要
4. バ イオフィルム
自 由遊泳性の水生バクテリアは表面にコロニーを形成する際、バイオフィルムの原因となる多糖類
を接着剤として使用します。バイオフィルムは、細胞残屑、有機物質、微量の栄養細胞から構成され
ます。複雑な構成要素のため、活動が進むと、マイクロコロニーと細菌を離脱させます。これは散発
的な高いレベルの細菌を増殖させます。水系汚染物質の主な要因は藻類、原生動物、バクテリア
です。
P W、HPW、WFIに使用する水処理装置、貯蔵、配水システムは、通常使用中に微生物の増殖を制御
する機能を備え、定期的なメンテナンス時にはシステムを殺菌または滅菌プロセスを実施する必
要があります。殺菌・滅菌方法はシステム設計時に考慮する必要があり、コミッショニング時及び試
運転時にその機能を確認する必要があります。
5. 製 薬用水システムの設計とエンジニアリング
製 薬用水システムが常に基準に適合し、目的の品質の水を製造するためは、さまざまなパラメータ
と装置の適切なモニタリングと制御が必要です。システムを設計する際は、3つのセクション(前処
理、水の精製、貯蔵と配水)に分けることで設計工程を簡素化し、要求に合致するようなシステム
設計を可能にします。
5.1 前処理
処 理が行われる中で、原水は重要な要素となります。薬局方では、原水は人が飲用しても安全であ
ることを最低でも求めていますが、水に含まれるイオンや有機物がどのような割合で混入している
か、使用する原水が地下水か地表水かについては明確な言及はありません。しかしながら、前処理
システムの構成を確定する前に確認し、設計時には考慮しなければなりません。複数の処理技術と
パラメータを組み込んだ一般的な前処理システムには、図2で示すように性能と汚染物質除去率を
モニタリングするためのシステムに組み込む必要があります。
図 2: 前処理システ1ム.の 前概略処図理 水処理は、次の3つのステップ
マルチメディア 軟化装置 GAC に分けられます。
供給水 (複合ろ材)フィルター
C pH 1. 前処理
カートリッジ
フィルター 2. 精製
(1-5µ) UV 3. 貯蔵と配水
ブレーク
タンク
C
C
2. 精製 測定ポイント C 導電率 pH pH 3. 貯蔵と配水
ROユニット 限外ろ過装置 電気再生式 PW(純水) または
イオン交換(ECDoI)mplianceH bPyW De(s高ign度 M精ET製TLER水 TO)LEDO 7
C pH RMS
測定ポイCント C 導電率 TOC TOC pH pUHV TOC
C O3 C pH C
貯蔵 ユース
タンク
測定ポイント C 導電率 TOC TOC pWHFI用pH蒸留O装RP置ORP P Pressure ポイント
C TOC
測定ポイント C 導電率 TOC TOC pH pH RMS バイオバーデン
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こ のシステムにはろ過(マルチメディアとカートリッジフィルター)、軟化剤(硬度を減らす)、粒状活性炭
(GAC、有機物除去)が含まれ、その後でより小さなミクロンクラスのろ過が追加され、UV処理(微生物
汚染の不活性化)、その後に酸、アルカリ、亜硫酸水素ナトリウムを添加して、pHを調整し、塩素を除去
します。
多 くの前処理工程では、ろ過など汚染物質の物理的な除去が使用されます。そのため保守と交換スケ
ジュールを決定するために、圧力と流量をモニタリングします。さらに前処理モジュールでは、pHとORP
はpH調整の制御パラメータであり、塩素またはその他酸化剤の除去を決定します。
5.2 精製
水 の精製工程は製造する水の用途別の種類と製造量、将来の拡張の必要性があるかどうかなどの条件
によってさま前ざま処に理変化します。一般的に、WFI製造を目的とする場合、水の精製には逆浸透と、蒸留後の脱イオ1ン.ま たは電気再生式脱イオン工程が含まれます。細菌の不活性化のためにUV照射工程を水含め処理は、次の3つのステップ
る場合もありマ、ル精チ製メのデ最ィア終工程の軟み化と装な置りますGがAC一部のシステムでは限外ろ過も使用します。水処に理後分けられます。
供給の水最終ろ(過複で合はろ材、微)フ生ィ物ルがタ発ー生する可能性があるため、規制当局によって行わないように強く推奨され
C てpHいます。 1. 前処理
カートリッジ
全体の浄水処理は、システムに組み込まれる必要のあるパラメータでフ示ィさルれタてーいます(図3)。水の2精.製 精製
工程は、製薬用水システムの一部であり、製造する水の品ブ質レと水の種類
(1を-5µーク 決
) 定しまUすV。これは、医3薬.品 貯蔵と配水
製造設備の一部にあたり、規制当局と査察官による監査を受タけンまクす(水処理システムは、製薬施設で最
も監査を受けるポイントの1つです)。 C
C
図 3: 全体の浄水システムの概略図
2. 精製 3. 貯蔵と配水
ROユニット 限外ろ過装置 電気再生式 PW(純水) または
イオン交換(EDI) HPW(高度精製水)
C pH RMS
C
UV TOC
C O3 C pH C
貯蔵 ユース
タンク ポイント
WFI用蒸留装置
測定ポイント C 導電率 pH pH
C TOC
測定測ポ定イポントイントC 導C電率導電率 TOC TOTOCC TOpHC pHpH pH RMS バイオバーデン
水 の精製工程で使用される測定パラメータは、システムの性能制御で使用されるだけでなく、製造され
る水の品測質確定認ポをイ行ンうトために測C定導値電を率報告するTO必C T要OCがありpHまpすH。プORロPセORスPの制P御Pとreシssスureテムモニタリン
グは以下を含みます。流量、圧力、温度、バイオバーデン、pH、ORPなどのパラメータは薬局方で要求さ
れてはいませんが、水処理システムの制御を適切に行うために非常に重要です。さらにシステムに設置
された導電率とTOC測定があり、これは制御とモニタリングのためだけでなく、調節制御ポイントとして
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も働きます。WFIおよびPWの場合には、モニタリングと報告が必要な導電率、TOCおよび微生物汚
染の規格値があります。オフライン試験がまだ許可されていますが、オフラインテストは誤った試
験結果の原因となりかねないため、薬局方ではオンラインテストの使用を推奨しています。
「 オンライン導電率テストは、リアルタイムのプロセス制御やさまざまな判断を行うためのリアル
タイムの測定結果を提供します。オフラインの導電率測定用に水のサンプルを収集する際は、注
意が必要です。サンプルはサンプリングの方法や、サンプリング用の容器、周囲の二酸化炭素濃
度および有機性蒸気といった環境要因に影響を受けることがあります」
USP <645>
薬局方では生産に使用する水の品質が証明できるポイントで導電率、TOCおよび微生物汚染の試
験を実施して値を記録することが求められています。もっとも効果的に測定するポイントは、最終
のユースポイントです。
5.3 貯蔵と配水
貯蔵と配水のプロセスでは、水のオンデマンド要求量、ピーク需要、殺菌、配水配管を考慮する必
要があります。以下の図では、システム設計の一部として含むべき、貯蔵および配水システムのレイ
アウトと測定パラメータを示します。
貯蔵と配水プロセスに含む必要のある測定パラメータは、流量、圧力、温度です。これに加えて、水
質がPWまたはWFIの要件に合致するかを決定するため、導電率、TOCおよび微生物汚染も測定し
ます。殺菌剤としてオゾンを使用している場合には、複数箇所でオゾン測定を行いオゾンの破壊を
確認することで、「添加物質なし(no added substance)」の要件に合致していることを保証します。
配管、タンク、タンクライナー、パーツや部品類(継手、ポンプ、弁)はすべて製薬用水と直接接触す
るため、水の汚染を引き起こすリスクがあります。そのため、これら水処理システム用の部品は注意
深く選択し、衛生的な設計であることを確かめ、いずれも水に対して溶出性がなく、水質を劣化さ
せず、コンプライアンスの危険を冒さないことが必要です。
図3. 4貯: 貯蔵蔵とと配水システムの概略図 配水
処理水供給
O RMS C TOC3
マルチパラメータ
ユース
貯蔵タンク M800O ポイント3
オゾン発生器
UV 熱交換器
O3 C TOC O3 RMS
測定ポイント C 導電率 TOC TOC O3 溶存オゾン RMS バイオバーデン
1. 貯蔵タンク内のO3濃度を確認します。
2. 製造中、オゾン破壊処理の後でO3濃度が「ゼロ」であることを確認します。
3. ループ殺菌の間、戻りラインにおけるO3濃度を測定します。 この間、製造は行われません。
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適切な材料は次のようなものがあります。
• ステンレス鋼グレード316 L(低炭素)
• ポリプロピレン(PP)
• ポリフッ化ビニリデン(PVDF)
• ポリビニリデンジフルオリド(PFA)
• イ オン交換体や軟水器など非衛生的設計の水処理装置用の非可塑化ポリ塩化ビニル(uPVC)
6. 製 薬用水システム用の水質分析装置の推奨
水 システムのすべてのセクションで、モニタリングと制御の対象となる、3種類(化学的、物理的、生
物学的)の測定パラメータがあります。
水 システムの各セクションの制御を行うに当たっては、水処理システムのすべてのエリアに適切な
制御を装備する必要があります。水質分析を行うことで、(それだけでは水質は向上しませんが、)
優れた制御とモニタリングを提供することができます。以下の表4では、異なる水処理技術のた
めのいくつかのモニタリングガイドラインを提供する水システム用の測定パラメータを示してい
ます。
表 4: 異なるユニットプロセスのための推奨パラメータ概要
パラメータ
単位プロセス Cond/ 温度 バイオ TOC pH/ORP O3 圧力 レベル 流量
Res バーデン
メンブレンフィル
ター、デプス、 • • • •
サンドフィルター
軟化装置 • • • •
カーボン (GAC)
フィルター • • • •
pH調整 (酸/アルカリ
注入) *PIDコント •
ロール *
逆浸透膜 • • • • • •
イオン交換 (混床) • • • •
電気再生式イオン
交換装置
• • • •
蒸留 • • •
オゾン(添加 / 破壊 /
殺菌各プロセス) • •
貯蔵タンク • • • • •
配水ルー プ • • • • • •
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メトラー・トレド・ソーントンソリューション
当社がご提供するさまざまなタイプの分析装置、センサ、変換器を用いて、お客様の製薬用水システムが
常に薬局方の要件に適合するようにシステムを監視することができます。
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• 微生物汚染のリアルタイム検出 • 完璧なプロセス制御と正確なデータ • ポータブル、高速応答テクノロジーで
• 1コロニー形成単位(CFU)の検出限界 トレンディング 素早い検出を実現
• サンプル調製、染色あるいは試薬は不要 • プラグ&メジャー機能 • 継続的測定で最上級のシステムプロファ
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アラームを設定 • SSTおよび校正の記録継続を簡素化 を実現
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製薬用水について質問はございますか?
業界エキスパートJim Cannonにお尋ねください。
製薬用水の規制やアプリケーション、校正についてのよくある質問と
その回答については、ウェブサイトを参照ください。
4www.mt.com/jim-knows-best
www.mt.com/ism-pharma
詳しくはウェブサイトへ
メトラー・トレド株式会社
プロセス機器事業部
TEL: 03-5815-5515
製品の仕様・価格は予告なく変更することがあります
ので、あらかじめご了承ください
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58 087 004 Rev E 11/15