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工業用プロセスでは、各プロセスにおける測定許容範囲があり、その基準に基づいて適切な計量機器を選定しなければなりません。
このガイドでは、許容誤差範囲、ひょう量、機器選定における考え方を解説しています。
<解説ポイント>
◆目的に合致:「質量測定結果が十分精確か?」
◆数学上の計算(計算手法)により、プロセストレランス(許容管理幅)を評価、決定する
◆プロセスの性質上の評価で、質量測定におけるプロセストレランス(許容管理幅)を決定する
◆安全係数の考え方
このカタログについて
ドキュメント名 | 【技術資料】産業用はかり選定ガイド(プロセス・トレランス) |
---|---|
ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
ファイルサイズ | 1.2Mb |
取り扱い企業 | メトラー・トレド株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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プロセストレランス(許容管理幅)と
安全係数による質量測定の品質改善
このホワイトペーパーでは、製造品質の真の改善には、質量測定
プロセスにおけるプロセス固有のトレランス(許容管理幅)と
安全係数の確立が重要であることを説明する。
目次
1 はじめに
2 目的に合致:「質量測定結果が十分精確か?」
3 適 正な答えを提供する、質量測定におけるプロセストレランス
(許容管理幅)
3.1 どのトレランスが許容基準として適正か?
3.2 数 学上の計算(計算手法)により、プロセストレランス
(許容管理幅)を評価、決定する
3.3 プ ロセスの性質上の評価で、質量測定におけるプロセスト
レランス(許容管理幅)を決定する
4 どの安全係数が質量測定プロセス条件で設定されるべきか?
4.1 安全係数の考え方
5 新しい計量器の導入時に推奨される考慮点と評価点
6 まとめ
7 参考文献
White Paper
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1 はじめに
製造プロセスで質量が測定される場合、測定におけるプロセストレランス(許容管理幅)を確立し、管理す
ることで、製品品質の大幅な改善が実現される。但し、確立されたプロセストレランスは必ず安全係数で
保護されなければならない。
質量測定は、行政により規制される限られた測定手順の一つである。主な目的として、消費者が購入する
物資の量を計量し、ごまかされないようにするためである(計量法における取引証明行為)。この様な規
制は、1900年代半ばに制定され、はかりの指示計(ターミナル)で読み取られる絶対値が重要視された。
また、計量器の性能基準(仕様)は、ターミナルで読み取られる絶対値で決められた。
天びん、はかりを高品質で製造するメーカーの最新の質量測定器は、初期に規定された最も厳密な取引
証明の基準を遥かに上回る優れた性能を有する。このため、質量測定のガイドラインとしての取引証明の
基準を採用することは、効率向上、コスト節減を実現できるプロセス・リスクの考慮を求めないため、質量
測定に対する評価基準を過剰に緩くする傾向がある。製造者にとって最も重要な関心とは:最終製品又は
製造品が、消費者の持つ高い品質水準に合致するか又は合致していることが証明できるか?
もう一つの質問として:性能基準と予算の両方を満たす計量器の選定ができるか?一つの方法として、
機器仕様をウェブで検索する。ただし、このアプローチには、品質にマイナスの影響を与える二つの落とし
穴が存在する。
まず、最小表示値(最小読取値)で機器を選定してしまう可能性。例えば、機器の要求仕様の中に、最小表
示値1kgと記載する。この場合、選定者は計量器の総合精度も1kgで問題ないはずと誤った仮定のもと、最
小表示値1kgと記載する。次に、過剰な最大ひょう量を有する計量器を購入する。例えば、800kgの容器を
測定する必要があるにも関わらず、最大ひょう量2000kgの産業用はかりを購入する。なぜなら最大ひょう
量1000kgと2000kgのはかりの価格が同等である反面、余分な最大ひょう値が質量測定の総合精度を悪
化させることに気づいていないためである。もちろん、「精度要求を満たさないはかりを誰が購入するだろ
うか?」と疑問となるが。答えとしては、シンプルで、求められる機器の有する総合精度(精確さ)に関する
知識が不足しているためである。
この様な過ちを起こさないための最適なアプローチは、(計量器に)分銅を置いた際の読取値やメーカー仕
様等を単独の選定基準としないことである。そうではなく、質量測定プロセスのトレランス(許容管理幅)を
考慮して、適正な機器の選定及び操作を行うべきである。
2 White Paper
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GWP Process Tolerance
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2 目的に合致:「質量測定結果が十分精確か?」
「測定結果は、製造工程、製造者、消費者にとって十分精確ですか?」言い換えると、全ての工程において、
最も高精度な産業用はかりや天びんが選定されるべきなのか?あるいは、プロセスを基準としたときに
「十分良好」と言える精確さのしきい値は、あるか?
前述のように、計量法における取引証明が必要ない限り、産業用はかり又は天びんを選定の基準にNTEP
又はOIMLの様な取引証明のルールを採用すべきではない。さらに、選定者は製品のカタログ仕様値に
依存すべきではない。理由としては、これらの取引証明のルール又はカタログ仕様値は、測定器選定者の
製造プロセスの精確さを保証するという目的で設定又は作成されていないためである。前述のように、こ
れらの規制は、消費者を不正から守るために作成されたものである。全密な質量測定のニーズに関連付け
ることが困難なため、製品のカタログ仕様値だけでは、不十分である。多くの言費決定者は、仕様が適切
であること、また製品やプロセスに適していることをセールス担当者や、サプライヤー(供給者)が保証す
れば、その言葉を信じる。
この時点で、最も正確な産業用はかりや天びんが全ての製造プロセスに必要であると考えるかもしれない。
しかし、測定の総合精度が高すぎず、低すぎない、適正な精確さの要求を満たす測定器が、選定されるべき
である。この様な場合、精確さの要求とトレランス(許容基準)とは意味、目的が共通しているため、質量
測定におけるプロセストレランス(許容管理幅)の評価は有効である。この結果、必要な精確さと予算を維
持することが可能である。さらには、質量測定のプロセストレランス(許容管理幅)を採用することで、測定
要求をプロセスと関係しないカタログ仕様値や取引証明の基準に関連付ける必要がなくなる。最良の推奨
手順は、据付環境で専門技術員により校正された際の計量器の「測定の不確かさ」1とトレランス(許容管
理幅)を比較することである。これは、計量器の測定の不確かさが、選定者が設定した許容管理幅よりも低
ければ、選定されたはかり、天びんが測定に適していることが判るためである。
White Paper 3
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3 質 量測定における適正なプロセストレランス(許容管理幅)
質量測定のプロセストレランス(許容管理幅)は、プロセスとプロセスに含まれる微細なそれぞれの工程の
バラつきに大きく依存する。プロセスに大きな影響を与えない工程には、広いトレランス(管理幅)を設定
できる反面、重要な工程のトレランスを狭めることで品質改善やコスト減少が見込める。
質量測定の精確さは、製品の品質に劇的な影響を与えることができる。次のような質問:「一貫性はありま
すか?」「美味しいですか?」「安全ですか?」「やり直しが必要ですか?または正しく実行されていますか?」
「規格外(OOS)の結果に繋がりますか?」に対する答えが必須となる。
例えば、質量測定プロセスをスープ調理に置き換えて考えた場合:塩の分量が多過ぎ、少な過ぎは、スープの
味に顕著に影響する。ここで、「少な過ぎ」、「多過ぎ」とは、どの程度なのか?この様な疑問に答えるには、
製品が使用される目的が、地域、業種、専門分野によって異なるため、使用目的が基準となる。図1では、
製造工程とスープ調理における製品、スープのバラつきと質量測定のプロセストレランス(許容管理幅)の
関係が示される。
あなたの製品 スープ
OOS OOS 淡泊 食べら
(規格外) 期待される (規格外) な味 食べ れないOK 結果 OK られる 上質な味
食べ
られる
ばらつき 塩の分量
図1.測定する原料、又は試料の量のバラつき、右の図例:スープ調理時の塩の量
3.1 どのトレランス(許容管理幅)が許容基準として適正か?
トレランス(許容管理幅)は、様々な異なる要素から引き出される:
• 数学上の計算又は統計
• プロセスの重要性を定性評価するアプローチ
• SOP(標準操作手順書)により決められた製品品質基準
• ISO 9001:2015、GMP、リーン生産方式、シックス・シグマに準拠するための社内基準
• 依頼元の仕様又は、業務委託元からの指示
• USP<41>等の品質規格(業界の規制要求)
• 経験上で裏付けられたプロセス手順:例えば、「応力試験」等で破損又はOOS(規格外)結果が確認さ
れた荷重点、又は許容荷重範囲
本ホワイトペーパーは、質量測定におけるプロセストレランス(許容管理幅)の評価及び決定方法を目的とし、
2種類の手法:「数学上の計算」および「プロセスの重要性を定性評価するアプローチ」を紹介する。
4 White Paper
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3.2. 数 学上の計算(計算手法)により、プロセストレランス(許容管理幅)を
評価、決定する
数理的な概念を採用したプロセストレランス(許容管理幅)は、許容できるバラつき(又は許容できる
誤差)を質量測定をしたいターゲット値で除算した値をパーセント表記する。
許容できるバラつ
き(許容できる誤差) =質 量測定のプロセストレランス
質量測定 (許容管理幅)単位%
したいターゲット値
以下の2つの例で、数学上の計算手法が採用され、プロセストレランス(許容管理幅)が評価、決定される。
例1. 1 00kgの物質を測定したい(100kgが質量測定のターゲット値)。許容できるバラつきは、質量測定
のターゲット値に対して1kgとなる場合。これらの数値を上記の方程式に当てはめると、プロセストレ
ランス(許容管理幅)は、1%と計算される。
1kg
= 1%
100kg
例2. 2 つの原料を調合するプロセスにおいて:最初の原料は480kgで、バラつきは2kg許容できる。次の
原料は、200gで、バラつきは0.1g許容できる。
2kg
= 0.4%
480kg
0.1g
= 0.05%
200g
同じ法則を適用した計算結果より、「最初の原料」のトレランス(許容管理幅)が0.4%であるのに対し、
「次の原料」のトレランスは0.05%となる。このため、トレランス(許容管理幅)が小さい質量プロセスであ
る「次の原料」のプロセスの方が、より重要であると考えられる。
トレランス(許容管理幅)の解説は、次の図で示される。
受け入れられ 受け入れられ
ない(許容で ない(許容で 適正な
きない)測定 きない)測定OK 測定結果 OK
0.95 0.99 1.00 1.01 1.05
質量値(kg)
図2.測定された質量値1kgに対して0.01kgのバラつきまで(適正な結果として)許容される場合、測定に対するトレランス(許容
管理幅)は、1%となる。0.05gをぎりぎり許容できる範囲とした場合、この範囲までの測定に対するトレランス(許容管理幅)
は、5%となる。ぎりぎり許容できる範囲の外側までバラつき又は誤差が広がる場合、この場合5%以上の誤差は、受け入れられない
(許容できない)測定となる。
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3.3 プロセスの性質上の評価で、質量測定におけるプロセストレランス(許容
管理幅)を決定する
トレランス(許容管理幅)が指定されていないと、プロセスにおける品質はリスクに脅かされている。この
ため、もし前述(3.2)の計算による手法を適用できない場合は、期待される品質水準に基づいたプロセス
自体の性質の評価が考慮されるべきである。この手法では継続的な品質改善の起点とされるべきプロセ
ストレランス(許容管理幅)が提供されるため、過去にトレランスを設定していないケースには、十分効果
的な手法と言える。
図3には、プロセスの性質上、測定結果が品質に与うる影響の度合いを区分し、影響の度合い(リスク)に
対して一般的に推奨されるプロセストレランス(許容管理幅)が提示される。
リスク 許容管理幅(プロセ
評価のランク:質量測定が品質・コスト・安全性・効率・無駄に及ぼす影響度合い (影響の度合い) ストレランス)%
影響力又はコストが非常に高く、極めて重要な物質の取扱 深刻 ≤0.1
高価で、非常に重要な物質又はプロセス(例:医薬品の品質規格) 非常に重要 0.1
キーとなる物質の取扱 又は、キーとなるプロセス 重要 0.2
平均以上の品質が求められる重要なプロセス 高 0.5
平均的な品質が求められる平均的なプロセス 中 1
高価ではない基本材料の取扱 低 2
安価な材料・製品であり影響が軽微 無視できる 5~10
図3.プロセスの性質上の評価で、質量測定におけるプロセストレランス(許容管理幅)を決定する
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4 ど の安全係数が質量測定プロセス条件で設定されるべきか?
安全係数は、全ての測定結果が確立されたプロセストレランス(許容管理幅)以内に収めるための保険と
して設定され、これにより規格外(OoS)の結果が発生しなくなる。
日常の質量測定は、次のように様々な要因から影響を受ける:
• 低周波の振動
• 空気の対流
• 温度変化
• 測定対象物の特性と測定方法
• オペレーターのスキルレベル
• はかりの内外に発生する粉じん
• メンテナンス頻度
• 日常点検と定期校正までの時間(周期)
• 測定器の乱用、誤用
上記でリストアップされたバラつきの影響は、計量器が据付られる環境でどの程度なのかを適正に評価す
る必要がある。その反面、これらのバラつきの適正な評価は、困難で、コストがかさみ、現実性が無い。
このため、計量器ユーザーの求めるプロセストレランス(許容管理幅)をより現実的に計画、実践する手法
として、安全係数の設定が挙げられる。この手法によって、バラつきの度合いが適正に評価されていない
環境においても、高く信頼できる測定結果の維持が可能となる。
ただし、顕著に大きく問題視されているバラつき要因については、設定された安全係数を超過する可能性
があるため、事前に排除すべきである。例えば、ドラフト内の強風による測定結果のバラつきは、設定され
た安全係数より大きくなる可能性が高いため、ドラフト内に風防を設置し、強い対流を阻止すべきである。
安全係数の設定条件は、図4にまとめられている。
安全係数設定のルール:
• 安全係数1又は1.5という数値は設定すべきではない。安全係数1は安全性が担保できていない状態を
意味する。また、安全係数1.5を設定されたユーザーからは、よく測定結果の一貫性が損なわれるという
報告がある。
• 安全係数2は、外的要因からの影響が低く、理想な質量測定環境(計量台有、空気対流/温度変化無など)
での測定時に適用される。
• 安全係数3は、外的要因が最小限に抑えられた人の通りが少ない静かな環境で測定される際に検討さ
れる。
• 複数の外的要因が存在する場合、または移動式のポータブルはかりを使用される場合は、安全係数4
以上の設定が推奨される。
原則として、一般的なラボ環境における安全係数は「2」、一般的な製造環境における安全係数は「3」
以上で、初期的な安全係数の設定は行われる。
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安全な質量測定に対する配慮 安全係数
機器・オペレーター・環境によるバラつきを考慮する必要がないほど完璧な据付環境状態のみ適用。
1
規格外の結果(OOS)となる可能性が高い。
機器が理想的な環境に設置されている。統計的バラつきが十分考慮されていないため推奨できない。
1.5
規格外(OoS)の結果が得られる可能性がある。
「ラボ」環境で外的要因が軽微な場合。1~2名のオペレーターが使用する場合。 2
「製造」環境。温度変化、低周波振動、複数のオペレーターが使用する、といった要素の中で1つ或いは2つ
3
で小さな影響がある場合。
小さくはあるが多くの環境要因が影響する場合。複数のオペレーターが使用する、機器使用頻度が高い、
4~10
破片やゴミがたまる・異なる形状の風袋を使用するなど。ポータブルはかり
注意:ケタ違いのより大きい変動要因(温度、振動、対流(風))は、据付前に事前に対策を取らなければならない。これらの場合においては、安全係数を高く設定しても期待さ
れる結果を得られない。
図4.安全係数設定のガイドライン
十分考慮して設定した安全係数の採用は、理想的な測定条件から外れた場合においても、一貫した結果を
維持できる。
4.1. 安全係数の考え方
質量測定プロセスのトレランス(許容管理幅)と安全係数を設定することにより、プロセスに求められる
質量測定の目的に合致した適正な計量器の選定が可能となる。許容管理幅、安全係数の設定により、定
義されたトレランス(許容管理幅)を満たすために最低限必要となる機器の精密さ、真度(感度)、最小表
示値が、ここで初めて考慮できる。
適正な天びん、はかりが選定された場合、測定結果の標準分布は図5の緑線の様に示される。安全係数
は、一般的なラボ又は製造環境で確認される、完璧とは言えない測定環境においても、測定結果を設定
されたプロセストレランス(許容管理幅)以内に収めさせるマージンとなる。本手法に従うことで、計量器
を品質問題の発生因子から除外できるため、質量測定以外の他の分野での改善に集中できる。最悪なシ
ナリオとして、安全係数を設定していない状態で(又は安全係数を1又は1.5と設定した場合)は、測定結果
の標準分布が図6で示される分布より大きく広がるため、規格外(OoS)の測定結果が劇的に上昇する。
このシナリオにおける課題は、「規格外(OoS)の結果は何回まで許容されることができるか?」となる。
また、計量器ユーザーのビジネス、又は計量器ユーザー製品を購入される顧客に対して、規格外(OoS)の
測定結果が及ぼすリスクと影響とは何か?
下限 プロセストレランス 上限
(許容管理幅)
係数 数
安全 安全
係
観察した測定
図5.安全係数は、全ての測定結果が確立されたプロセストレランス(許容管理幅)の上限及び下限に収めるための保険として設定
されているため、計量器の選定において安全係数の考慮が必須である。
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規格外(OoS)
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下限 プロセストレランス 上限
(許容管理幅)
測定結果
図6.計量器選定時に安全係数が考慮されていない場合、測定環境、測定条件の変化時に規格外(OoS)品が製造される可能性が
高い。
5 新しい計量器の導入時に推奨される考慮点と評価点
継続的でコンスタントな品質改善が望まれる場合、製品、プロセスまたは組織として最適な質量測定にお
けるプロセストレランス(許容管理幅)、測定トレランス、安全係数を確立させることが不可欠となる。一
度プロセストレランス(許容管理幅)が明確となると、測定トレランスよりも小さい「測定の不確かさ」の
相対値を有するはかり、天びんを選定することができる。
「測定の不確かさ」の相対値<(質量測定におけるプロセストレランス/安全係数)
既存の計量器の「測定の不確かさ」は、専門技術員により、EURAMET cg-18の様な国際的な基準に従っ
て行われた校正によりのみ適正に評価されることができる。新しい計量器は、機器の製造工場で同様な
基準で評価され、精密さ(精度)等の主要となる性能が明確化されたもののみ選定されることができる。
また、機器の校正は、据付環境で導入時又は移設時にのみ行う行為ではなく、定期的に実施され行為であ
ることを気に留めておくことが重要である。このため、校正が行われない限り、計量器の「測定の不確かさ」
が明確化されないため、ラボ又は製造環境で使用されるはかり、天びんの選定において、分銅を設置した
際の読取値のみの評価や、仕様書に依存されることは、推奨されない。
一度計量器の選定が適正に行われると、計量器ユーザーは、品質結果及び品質改善兆候が見え始める。
必要に応じて、ユーザーのプロセストレランスを更に洗練することにより、製品が品質目標に達し、製品を
使用する顧客の期待に応えることができる。
選択肢としては、以下の基準が考慮されるべきである:
• 品質目標
• 顧客のニーズ
• 質量測定のプロセストレランス(許容管理幅)
• 安全係数
• 適正な機器
この時点で、質量測定、測定プロセスにおいて考慮されるべき全ての要素を確認する行為として必須なの
が、設計時の適格性評価または設計時の妥当性評価である。この様な重要な評価は、Good Weighing
PracticeTM(GWP®)Recommendation推奨レポートが有効であり、対応も容易である。GWP®
Recommendationとは、質量測定における計量器ユーザーのプロセストレランスと安全係数を、6,000以上
のはかりと天びんの製造工場で測定された代表値というカタログ仕様値と照らし合わせて、ユーザーの要求
仕様に合致した適正な計量器を選定、推奨するコンサルティングサービスである。使用中の計量器の性能
の適格性については、GWP Verification検証サービスにより、測定の目的、プロセスの目的に合致している
かが確認できる。
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6 まとめ
このホワイトペーパーで紹介した原則は、高い品質を得るために必要な共通の原則である。本紙で挙げた
考慮されるべき重要な課題は、計量器導入前に、計量器のサプライヤーと十分打ち合わせを行う必要があ
る。さらには、既存で使用中の天びんとはかりにおいても、ユーザーの設定する品質基準、測定目的に合
致した適正な測定が行われているかどうかが再確認されなければならない。一度トレランス(許容管理幅)
と安全係数が確立されると、メンテナンス、日常点検、校正、検証作業等のプログラムをリスクベースに従
い適正な頻度で実施することにより、測定結果の精確さが常時担保される。
メリット:
• 質量測定の精確さが製品品質に直結する場合の、品質の改善及び向上
• 社内、社外基準又は監査等万全なコンプライアンス対応
• 既存で使用する計量器が測定基準を常に満たすことができるという安心感
• リワーク、規格外(OoS)の結果の低減による、コストの節減
• 高品質の証明によるお客様満足度の向上
• 顧客の安全
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7 参考文献
[1] Measurement Uncertainty: Non-negative parameter characterizing the dispersion of the quantity values
being attributed to a measurand, based on the information used ([VIM 200:2012] 2.26). BIPM –
International Vocabulary of Metrology – Basic and general concepts and associated terms. 3rd Edition
VIM JCGM, 2012. http://www.bipm.org/en/publications/guides/vim.html
Relative uncertainty considers the relationship of absolute uncertainty and the quantity value of the object
being weighed.
[2] Additional Reference: Quality Assurance of Weighing Processes White Paper – METTLER TOLEDO;
Greifensee, Switzerland; 2010
[3] Euramet cg-18 Guidelines on the Calibration of Non-Automatic Weighing Instruments
EURAMET/cg-18/v.02 January 2009
[4] www.mt.com/gwp
GWP®は、メトラー・トレドのEU、米国、中国、その他11か国における登録商標です。
White Paper 11
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www.mt.com
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