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世界初「DNA折り紙」技術を製品化!SIM、STED、PALMなどの解像度を確認できます。
このカタログについて
ドキュメント名 | 『超解像イメージング顕微鏡の解像度評価ツールのしくみと開発の背景』 |
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ドキュメント種別 | 製品カタログ |
ファイルサイズ | 986.6Kb |
取り扱い企業 | 株式会社ナノシード (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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超解像イメージングのための革新的なツール
Innovative Tools for Fluorescence Microscopy
ナノルーラー:回折限界を超えた解像度の評価
近年、回折限界を打破した超解像技術がいくつも発明されたことで、蛍光顕微鏡法における空間的分解能は目覚まし
い進歩を遂げました。しかしながら、マーク間の距離が正確に定められ、信頼のおけるツールがなかったことで、これ
らの新規技術が正しいものなのかを検査するのは困難です。新たに開発されたナノ構造は色素分子をナノメートルレ
ベルの正確さで配置することができ、またほぼ平行に製造することができます。
これらの構造は超解像顕微鏡だけでなく、これまでの蛍光顕微鏡の空間分解能の検査にも使用できます。
ナノルーラーが
誕生した背景
21世紀最初の10年間は、光学顕微鏡の目
覚ましい向上が見られた時期でした。光学
的な回折限界は1873年にエルンスト・アッ
ベにより想定されましたが、最高6ナノメー
トルの空間分解能を有する超解像技術が複
数発明されたことでこの限界が打破されま
した。向上した空間分解能を達成するため
に超解像顕微鏡のユーザーが追う負担、つ
まりデータ評価だけでなく、セットアップ手
順の複雑さや試料の準備といった作業の複
雑さは日増しに高まっています。
それゆえ、顕微鏡のハード的なスペックだけ
ではこれら新技術の達成可能な空間分解能
を計算することは、もはや不可能となってい
ます。
空間分解能は、原則的にあらゆる顕微鏡の
最も重要な仕様ですので、ユーザー、メー
カー、開発者にとって達成可能な空間分解
能を実験的に求めるのことは極めて重要と
なります。従来は、微小管やアクチンフィラ
メントといった細胞構造をイメージングする
ことで空間分解能の検証および測定が行わ
れていました。しかしこれらの試料では、い
くつかの不利な点が示されています。
蛍光マーク間の定まった距離で多数の同一
の試料を提供していない、標識濃度や色素
間の距離均一性が低いといった点です。
これらの不利な点により、現代の蛍光顕微
【図1】異なるイメージング技術のためのナノルーラー:(a)回折限界共焦点イメージング。2つの蛍光マーク間の距離は:
350nm。色素: Alexa488(b)構造化照明顕微鏡法。距離:160nm 色素:Alexa568(c)STED顕微鏡法。距離:71nm。 鏡の空間解像度を検査するための信頼でき
色素:ATTO647N(d)dSTORM用の位置情報に基づいた試料。距離:94nm。色素: Alexa647( e)DNA-PAINT技術を る目標試料としてこれらの試料を用いるこ
用いた位置情報に基づいた試料。1列に3個のデュアルカラースポット。隣り合うスポット間の距離:80nm。色素:
Atto655およびAtto550。このデュアルカラー試料は色収差の検査にも使用可能である。 とは、ほぼ不可能です。
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DNAナノテクノロジーに
基づいたナノルーラー
上述の全ての要求を満たす検査試料は、いわゆ
るDNA折り紙技術により作成されます。端的に
述べますと、DNA折り紙構造はナノスケールの
分子作業台として考えることができ、色素分子、
蛍光タンパクあるいは一本鎖DNAに結合でき
る、本質的にあらゆる物質を配置することがで
きます。DNA折り紙構造は高度に平行して製造
することができ、自己集合を行います。そのため、
ユビキタスに利用可能な試料として使用するこ
とができます。DNA折り紙に基づいた、ナノ
ルーラーと呼ばれる典型的な検査試料の概略
図は、図1でご覧いただけます。 通常、いくつか
の有機色素分子から成る蛍光マークが各DNA
折り紙構造上に2個から3個ずつ配置されます。
これら蛍光マーク間の距離は、6~360nmの 【図2】ナノルーラーを用いた測定の半自動化データ解析:(a)ソフトウェア(GATTAnalysis, GATTAquant GmbH)がイメージ化されたナノルーラーを正しく認識する。(b)ソフトウェアが分解された蛍光マーク間の距離を測定する。
範囲で自由に調整することができます。蛍光 ここでは隣り合うスポット間の距離の理論値は80nmである。vc)測定された距離のヒストグラム。測定された値で
ある(79.3±1.8)nmは理論値である80nmに良く対応している。
マークごとの色素分子の数は10~20の範囲
にあり、一般に使用されている色素であれば基 輝度標準
本的にナノルーラーに取り付けることができま
す。ナノルーラー検査試料はすぐに使える状態 色素分子の位置および蛍光マークの位置に加え、DNA折り紙構造上および回折限界1スポット内で
で製造することができ、DNA折り紙構造をμ の色素分子の数は非常に正確です。さらにDNA折り紙構造上の色素分子間の距離を制御可能であり、
m2あたり約1個の濃度でカバースリップ上に 蛍光強度を損ねる可能性のある消光のような、望ましくない光物理学的影響を防ぐことができます。
固定します。つまり通常用いられる視野におい 蛍光強度がDNA折り紙構造上の色素分子の数と線形に対応することが示されています[10]。
て数百個のナノルーラーが観測されます。これ この特性により、蛍光試料中の蛍光色素分子の絶対量を測定するため、色素標識したDNA折り紙構
により蛍光マーク間の距離を測定することがで 造を輝度標準として使用することができるようになっています。
き、顕微鏡の空間分解能を検査し、測定の統計
的エラーを計算できるようになります。同一構
造が大量にあるため、超解像イメージ内のナノ 結論
ルーラーを自動的に検出する効率的なアルゴリ 超解像イメージングの新手法により、空間分解能が10倍ほど向上してい
ズムを使用でき、蛍光マーク間の距離を測定で ます。しかし、試料の準備、顕微鏡の操作、データ解析には大変な労力がか
きるようになります(図2)。すぐに使える状態の
ナノルーラー試料は冷蔵庫内で数か月間保存 かり、正確な空間分解能を計算することはもはや不可能となっています。
することができ、日常的に空間分解能を測定で DNA折り紙に基づいたナノルーラーは、蛍光マーク間の距離が一定であり、
きるようになります[3]。図1にあるように、 標準的なカバースリップ上で大量に固定できるという、理想的な検査試
DNA折り紙構造に基づいたナノルーラーは従 料です。ナノルーラーにより、従来の共焦点顕微鏡だけでなく、現代の超
来の共焦点イメージングだけでなく、STED 解像顕微鏡の空間的分解能を測定することができます。
[4]、SIM[5]や、あるいはdSTORM、PALM、 さらにDNA折り紙技術により、回折限界点1スポット内での色素分子の
GSDIMまたはDNA-PAINT[6,7,8,9]などの 数が高度に均一である輝度標準を作成することができます。
位置情報に基づく技術といった、本質的に通常 これらの輝度標準は、とりわけ生体試料内で蛍光分子の絶対量を測定
用いられるすべての超解像技術に最適化され するために使用することができます。
ています。研究室においてナノルーラーは、イ
メージングを最適化したり、超解像の原理を講
義したり、顕微鏡が問題なく稼働しているかを References
判定したり、あるいはどの設定が研究室の要求 [ 1]Raab M. et al. : Chemphyschem 15, 2431‒2435 (2014)
に最も適しているかを決定したりするのに使用 [ 2]Rothemund P.W.K. : Nature 440, 297‒302 (2006)
[ 3]Schmied J.J.et al. : Nat Protoc 9, 1367‒1391 (2014)
されます。超解像顕微鏡あるいは蛍光顕微鏡の [ 4]Klar T.A.et al. : Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 97,8206‒8210 (2000)
メーカーは、新規技術や新製品の開発だけでな [ 5]Gustafsson M.G.L. : Journal of microscopy 198,82‒87 (2000)
[ 6]Heilemann M.et al. : Angewandte Chemie In- ternational Edition 47,6172‒6176 (2008)
く、自社製品が技術的な仕様や要求される空間 [ 7]Jungmann R.et al. : Nano letters 10,4756‒4761 (2010)
分解能を満たしていることを実証するためにナ [ 8]Betzig E.et al. : Science 313, 1642‒1645(2006)
[ 9]Fölling J.et al. : Nature methods 5,943‒945(2008)
ノルーラーを用いています。 [10]Schmied J.J.et al. : Nat. Methods 9,1133‒1134 (2012)
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