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「OD錠製造のための乾式粒子複合化技術」製剤機械技術 研究会誌 2011年 Vol.20 No3掲載

事例紹介

近年、乾式粒子複合化技術は医薬品分野においても用いられるようになってきているが、OD錠の製造に関しては、現在のところ報告されていない。そこで本文では参考のために、賦形剤を処理した事例と処方検討事例の中で OD 錠の製造に有効であると筆者が考えている事例を紹介する。
最初に OD 錠に用いられている賦形剤の一種であるマンニトールに対して、顆粒体を破壊すること無くステアリン酸マグネシウムの被覆処理が可能であることを示した。次にマンニトール粒子単品、およびステアリン酸マグネシウムを手混合、粒子複合化装置メカノフュージョンおよびノビルタを用いて混合した粉体の力学特性と打錠結果を示し、複合化処理の有効性を示した。
次に東邦大学の藤永らによって、主薬粒子を無機物粒子により複合化し、錠剤の硬度と崩壊性を同時に改善した研究例について紹介。最後に複合化処理した微粉が母粒子から離れて来ない理由として被覆層と母粒子間に化学結合が生じている可能性を紹介する。

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ドキュメント名 「OD錠製造のための乾式粒子複合化技術」製剤機械技術 研究会誌 2011年 Vol.20 No3掲載
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このカタログの内容

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特 集 口腔内崩壊錠─製錠・包装設備─ OD錠製造のための乾式粒子複合化技術 Dry Particle Composing Technology for Pre-treatment of Excipients for OD Tablets ホソカワミクロン 株式会社 HOSOKAWA MICRON CORPORATION 井上 義之 Yoshiyuki INOUE 要 旨  近年、乾式粒子複合化技術は医薬品分野においても用いられるようになってきているが、OD 錠の製造に関しては、現在のところ報告されていない。そこで本文では参考のために、賦形剤を 処理した事例と処方検討事例の中でOD錠の製造に有効であると筆者が考えている事例を紹介し た。  最初にOD錠に用いられている賦形剤の一種であるマンニトールに対して、顆粒体を破壊する こと無くステアリン酸マグネシウムの被覆処理が可能であることを示した。次にマンニトール粒 子単品、およびステアリン酸マグネシウムを手混合、粒子複合化装置メカノフュージョンおよび ノビルタを用いて混合した粉体の力学特性と打錠結果を示し、複合化処理の有効性を示した。  次に東邦大学の藤永らによって、主薬粒子を無機物粒子により複合化し、錠剤の硬度と崩壊性 を同時に改善した研究例について紹介した。最後に複合化処理した微粉が母粒子から離れて来な い理由として被覆層と母粒子間に化学結合が生じている可能性を紹介した。 1. はじめに が望ましいことが挙げられる。一般に、口腔内で砂 状感を感じないためには粒子径を小さくする必要が  乾式粒子複合化技術は、従来から主に無機物系の ある。ただし、大きさについては様々なことが言わ アプリケーションで用いられており、特に近年は本 れており、300μm以下とされているところもあれ 技術による金属材料やファインセラミックスあるい ば、20μm以下であるとも言われている。どちらに は二次電池の性能向上が、研究開発のレベルではな しても粒子が小さいほど、服用時に砂状感のような く実際に製品化されるようになっている。ここ数年、 不快感がなくなることは確実であり、主薬を始めと 筆者らは医薬品の分野においても本技術の可能性を した各種粒子の微細化が要求されている。しかし微 指摘してきており、特にR&Dの分野において広く 細化に伴い、付着・凝集性が増加してハンドリング、 用いられるようになってきている。 打錠、苦味マスキングなどが困難になっていく。乾  一方、OD錠の製造に関しては、様々な問題があ 式粒子複合化処理は数十μmあるいはサブミクロン ることが指摘されている。例えば錠剤硬度と崩壊性 サイズの粒子にも、さらにそれより小さな微粒子が の両立、苦味マスキングなどである。その理由の一 被覆可能であることが示されてきており、このよう つに、OD錠を構成する粒子のサイズが小さいほう なニーズに助力できるのではないかと考えている。 ● Keywords-OD tablet, dry particle composing, flo wability, tablet hardness, disintegration time ─19 ─ 製剤機械技術研究会誌(239)
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 OD錠の製造のために乾式粒子複合化技術を用い し固定化が可能であること、コンタミの大きな原因 た事例は現在のところ報告されていないが、本技術 である媒体が不要であること、非晶質化処理を除い によって製品の品質向上と製造コストの両立を図る ては処理時間が最大でも数十分程度と短いこと、媒 ことができる系も見出されており、上市されようと 体ミルと粒子複合化装置で調製された粒子には力学 しているものも存在する。そこで本文では読者の参 的・化学的に大きく異なる変化が生じる場合がある 考のために、筆者らがOD錠に広く用いられている こと 2),3)、などの利点や特徴がある。 賦形剤の処理を試みた事例、口腔内崩壊錠に限定し たものではないが東邦大学の藤永ら1)によって主薬 2 . 2  乾式粒子複合化装置 の複合化により錠剤の硬度と崩壊性を同時に改善し  乾式粒子複合化を実現するため、専用の装置が世 た研究例について紹介する。 界で数種類市販されている。これらの装置では母粒 子と小粒子の混合粉体(装置内で混合工程を兼ねる 2. 乾式粒子複合化技術 場合が多い)を装置に投入し、母粒子と小粒子ある いは小粒子間になんらかの外力、特にせん断力、圧 2 . 1  乾式粒子複合化技術とは 縮力ないし衝撃力を作用させることによって小粒子  本文では精密混合の究極の形として、乾式で微 を母粒子に付着させ、それらの粒子同士を衝突、撹 粒子をそれより大きなサイズの粒子上に分散、固定 拌することによって被覆状態にまでもっていく。こ 化する技術を乾式粒子複合化技術と称する。一般的 のような処理が出来る装置として、当社が開発・販 には核となる母粒子(粒子サイズは通常 100μm程 売している装置は 4種類あるが、特にメカノフュー 度~サブミクロン)上に、一次粒子径として母粒子 ジョン®とノビルタ®(Fig. 1)は、ラボ用だけでは の 1/10 以下、望ましくは 1/100 以下の微粒子を固 なく、市販されている製品の原料加工用としても実 定化ないし被覆する目的で使用されることが多い。 績があり、OD錠の開発・生産にも適用可能と考え、 これを究極の精密混合と呼ぶのは、この技術で作製 本文で取り上げることにする。なお、これらの装 された粒子を一粒子サンプリングすると、その一粒 置の最大機においては数百 kg を一度に処理するこ 子に母粒子と子粒子が両方とも含まれる状態になっ とも可能である。また、少量用途としては、メカノ ているためである。ボールミルのような媒体ミルに フュージョンでは 100ml、ノビルタでは 20 ~ 60ml よる処理によっても同様の処理が可能な場合がある 程度(負荷状態により変動)で処理が可能な装置が が、専用の装置を用いれば窒素分子も入り込めない 存在する。 ような緻密な被覆層を作ることができること、液中 の攪拌においても剥がれることのない層の作製ない (A)Mechanofusion, AMS-MINI (B) Nobilta, NOB-130 Fig. 1  Dry particle composing machine manufactured by HOSOKAWAMICRON (240)Vol. 20 No. (3 2011) ─20 ─
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3.  OD錠賦形剤の乾式表面改質処理 ら、顆粒表面にステアリン酸マグネシウムが複合化 の可能性について されていると推測した。 3 . 1  顆粒体への適用の可否の検討 3 . 2  賦形剤の複合化処理による打錠性の改善  マンニトールはその特性により、OD錠の賦形剤  本節では乾式粒子複合化処理により、マンニトー として用いられている糖アルコールの一種であり、 ル粒子に滑沢剤の一種であるステアリン酸マグネシ スプレードライなどによって造粒された顆粒が上市 ウムを添加することによって打錠特性の改善を試み されている。しかしマンニトールは打錠障害を起こ た事例について述べる。マンニトール粒子に対して すことがあり、これを克服するための結晶形の制御、 0.5%(w/w)または 1%(w/w)のステアリン酸マグ 造粒手法の開発、造粒機の開発4)などが行われてい ネシウムを添加した。ステアリン酸マグネシウム る。そこで、本文では乾式粒子複合化処理技術の可 とマンニトール粒子を 3分間、手混合したもの(単 能性を検討した。 純物理混合品)とノビルタ(NOB-130、粉体処理容  しかし、乾式粒子複合化装置では、粒子に強力 量 500ml)にて処理用の撹拌羽根先端速度を16 m/s な機械的エネルギーを与える必要があり、一般的に で 3分間、またはメカノフュージョン(AMS-MINI、 はこのような顆粒体は破壊されてしまうと考えられ 粉体処理容量 100ml)にて13 m/s で10分間、乾式複 ている場合が多い。しかし近年、当社での試験にお 合化処理したものを作製した。また比較のために、 いて数十μmの顆粒体を破壊することなく、微粒 マンニトール粒子のみをノビルタにて処理した粒子 子の被覆処理や固定化処理ができる場合が多いこ を作製した。得られた粒子のSEM像をFig. 3に示す。 とがわかってきた。そこで、乾式粒子複合化装置に  SEM像からは、マンニトールのみをノビルタに よって、マンニトール顆粒にステアリン酸マグネシ よってより処理しても外観上に変化は生じないこ ウム粒子を固定化処理することを試みた。ノビル とが明らかとなった。一方、ステアリン酸マグネシ タ(NOB-130、粉体処理容量 500ml)にマンニトー ウムを添加して処理した場合、メカノフュージョン ル顆粒 250 gと、ステアリン酸マグネシウムを1.25 g (AMS)またはノビルタ(NOB)のどちらの装置を (0.5wt%)投入し、処理用の撹拌羽根先端速度を 使用した場合でも数μmレベルの凸凹が生じてい 18m/s、負荷動力 2 kWにて 4分間処理した。原料 るが、ノビルタ処理品の方が多くの凹凸が生じてい のマンニトール顆粒と、処理された粒子のSEM像 る。 を Fig. 2に示す。  これらの粒子の打錠試験を行う前に、得られた粉  どちらの粒子も80μm程度の直径を持っており、 体の流動性、充填性を評価した。医薬品の分野にお 処理時に大きな機械的エネルギーが粒子に作用した いては流動性の指標としてHausner比が用いられる にもかかわらず、顆粒が破壊されないことが明らか ことが多い。しかし、この指標は、似たような性状 となった。原料は多孔質表面を持つが、処理品では の粉体同士の比較には簡便に使用できるものの、多 孔の数が減少している。また、10μm程度の幅を 様な性状の粉体を比較するには問題がある。例えば 持つ凸部が多数形成されていること、遊離したステ グラファイトの粉末のように、ゆるみかさ密度は小 アリン酸マグネシウム粒子が観察されないことか さいが固めかさ密度が大きい、すなわちHausner 比 Raw material Treated mannnitol with Mg-St 50 m 50 m Fig. 2  Effect of dry particle composing for agglomerated mannitol Difference between raw material and processed material in case of the core particle is agglomerated. ─21 ─ 製剤機械技術研究会誌(241)
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Raw material Processed by AMS with Mg-St 15 m 15 m Processed by NOB without Mg-St Processed by NOB with Mg-St 15 m 15 m Fig. 3  Morphology of ground mannitol and treated particles Effect of processing and with or without Mg-St. による評価では流動性が悪いとされる粉体であって し)≒メカノフュージョン処理>手混合≒原料、と も、実際にハンドリングすると容易に流動する粉 なった。 体も存在する。そのため流動性の指標として人間  次に定量化された力学特性について述べる。固 の感覚に近いとされている Carr の流動性指数が、 めかさ密度は原料および単純混合品に比べ、複合化 より流動性の程度を正確に表しているものと考え、 処理によっておよそ 20%程度増加した。一方、ゆ Hausner 比に加えてパウダテスタ®(モデル PT-S、 るめかさ密度は、メカノフュージョン処理では変化 ホソカワミクロン製)による Carr の流動性指数の しなかったが、ノビルタ処理ではステアリン酸マ 測定を試みた。この流動性指数は安息角、崩壊角、 グネシウムの有無に関わらず増加した。安息角は スパチュラ角、かさ密度、凝集度または均一度の測 ステアリン酸マグネシウム無添加の場合ですら処理 定結果より求められる。Table 1に原料および処理 により低下したが、最も大きく低下したサンプル 粉体の力学的特性値を示す。 は、ノビルタによってステアリン酸マグネシウムを  粒子の流動性を目視によって評価したところ、高 複合化したものであった。またHausner 比の小さ い順にノビルタ処理(ステアリン酸マグネシウム有 いほうからサンプルを並べると、ノビルタ処理(ス り)>ノビルタ処理(ステアリン酸マグネシウム無 テアリン酸マグネシウム有り)>手混合>ノビルタ Table 1  Dynamic characteristics of sample powders Sample Aerated bulk Tapped bulk Angle of Hausner Flowability density/g/cm3 density/g/cm3 Repose/deg. ratio/─ index/─ Raw material (D-Mannitol) 0.484 0.798 54.0 1.65 33.0 Hand mixed (with Mg-St) 0.481 0.752 53.3 1.56 ─ Processed mannitol alone by Nobilta 0.536 0.878 50.6 1.64 42.0 Processed mannitol by Nobilta with Mg-St 0.620 0.924 46.3 1.49 45.5 Processed mannitol by Mechanofusion with Mg-St 0.484 0.915 50.0 1.89 40.0 Effect of processing and with or without Mg-St (242)Vol. 20 No. (3 2011) ─22 ─
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処理(ステアリン酸マグネシウム無し)≒原料>メ 薬物に超微粉砕した糖を被覆することにより溶解速 カノフュージョン処理となり、最も流動性の良いも 度・錠剤硬度が共に向上し、その向上度は糖の種類 のは感覚と一致したが次に良いサンプルが手混合と によって異なること、したがって被覆剤を変更する いう、感覚とも従来の常識とも一致しない結果が得 ことによって錠剤硬度や溶解速度の制御の可能性が られた。そこで、Carr の流動性指数で比較すると、 あることを示している。 装置によって処理された粉体はいずれも流動性が向  しかし、糖は服用者にとっては甘すぎると感じる 上しており、その順番は目視による評価とほぼ一致 こともあること、また他の種類の材料を被覆した場 した。 合、どのようなことが起こるのかが不明であった。  次にステアリン酸マグネシウム添加粒子につい そこで藤永ら1)は薬物であるメフェナム酸粒子に無 て、手混合品およびノビルタにより複合化された粒 機物添加剤粒子であるベントナイト粒子や合成ケイ 子について、打錠試験および錠剤硬度の測定を行っ 酸アルミニウム粒子を乾式被覆処理することによっ た。なお、本データは東邦大学薬学部薬剤学研究室 て、打錠特性の改善・制御を試みた事例を報告して のご協力により得られたデータである。打錠機とし いる。メカノフュージョンAMS-MINI を用いて薬 ては RIVA社製のロータリー式打錠機 2A-041 を用 物に添加剤粒子をそれぞれ 2, 10, 20%(w/w)混合 いた。 して 5分間被覆処理している。この複合粒子ないし  Table 2に錠剤の質量、打錠圧、硬度を示す。た メフェナム酸原末あるいはメフェナム酸と添加剤の だし、手混合品では、ステアリン酸マグネシウム 単純混合品をラクトース・コーンスターチの標準処 の添加率 0.5%(w/w)では錠剤に成形することがで 方混合物に混合して打錠し、評価している。なお、 きなかった。そこで手混合品では、添加率を 1 % 打錠杵は直径 7 mm、圧縮力は 1 tである。この結果、 (w/w)とした混合粉体を用いて打錠した。錠剤の 単純混合品では硬度は僅かな増加にとどまるが、メ 質量はステアリン酸マグネシウムの添加量の違いに カノフュージョン処理、特に高速回転するほうが高 よって混合品のほうが大きくなったが、圧縮圧は複 い硬度が得られること、その硬度は40Nを超えるこ 合化粒子を用いたほうが高くなった。このため、錠 とが示されている。この錠剤の溶出試験では、合成 剤硬度も約 17%向上した。 ケイ酸アルミニウムによる被覆粒子では溶出速度は ほとんど変化しないが、ベントナイト被覆粒子では 3 . 3  錠剤硬度と崩壊性の両立 顕著に向上することが示されている。この大きな理  口腔内崩壊錠においては崩壊性が重要なファク 由の一つとして、錠剤が水分により崩壊することが ターになるため、崩壊剤の選択・処方が検討されて 示されている1)。したがって、筆者は錠剤硬度と崩 いる7)。特に薬物含量が高い系においては崩壊剤の 壊性を両立できる処方の可能性が示されたと考えて 量が問題になることがあり、現在もなお研究開発が いる。 進んでいる。  一方、一般的な製剤処方の研究の中で、乾式粒子 3 . 4   複合化粒子ではなぜ被覆粒子が剥落してこ 複合化処理により高い硬度を持ちつつ崩壊性に優れ ないのか? た薬物の複合化粒子に関する報告があり、同様の考  小粒子がどのようにして母粒子と結合している え方がOD錠にも展開できる可能性があると考えた かを検討した例を紹介する。無機物系において、斉 ため、ここに紹介する。 藤ら2)は旧型メカノフュージョンであるAM型を  賦形剤ではなく薬物を乾式複合化することによっ 用いてシリカと酸化鉄粒子を被覆処理し、SiとFe て、錠剤の溶解速度と硬度の制御が可能であること の 2p 軌道を ESCAで測定したところ、エネルギー は小野寺ら8)によって示されている。その内容は、 シフトを観測しており、Fe-O-Si 結合を示唆してい Table 2  Characteristics of tablets Mg-St/ %(w/w) Tablet Mass / mg Compression Pressure / Pa Hardness / kg Hand mixed 1.0 124 275 3.57 Composite particle processed by Nobilta 0.5 114 283 4.17 Effect of composing process on characteristics of tablet ─23 ─ 製剤機械技術研究会誌(243)
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る。Prefferら9)は乾式粒子複合化装置の一種である 参考文献 MAICを用いてデンプンやセルロース粒子にナノサ 1) 藤永 真由美 , 吉橋 泰生 , 米持 悦生 , 寺田 勝英 ,“ メ イズのシリカ粒子を被覆処理したところ、流動性が カノフュージョン処理による粒子の表面物性の変 化と成形性・溶出性の改善”, 粉体に関する討論会 向上するにつれて濡れ性が低下すること、濡れ性と 講演論文集 , 48, pp.129-133( 2010) 水酸基による赤外線の吸収量が相関しているため、 2) 斉藤 功 , 仙名 保 ,“ せん断・圧縮法によって調製し 粒子表面から脱水縮合のような反応が起きているこ たFe3O4/SiO2 二重層被覆型複合粒子における層間 とを提案している。 相互作用のXPS による解析”, 粉体工学会誌 , 31-1,  医薬品においては、先述の藤永らの報告において pp.18-24( 1994) 複合粒子の断面を露出させ、Spring-8 のビームラ 3) T. Yokoyama, K. Urayama and T. Yokoyama, “The Angmill Mechanofusion System and it’s イン BL43IR を利用して、粒子の深さ方向の官能基 Applications”, KONA, 5, pp. 53-68( 1987) の分析を行った例が報告されている。その結果、母 4) Y. Hara, T. Iwasaki, S. Watano and H.Ohishi, 粒子と小粒子の界面においてカルボニル基とアミノ “Development of a Novel High Speed Kneading 基が化学結合していることが示唆されている。また Granulation and Its Application to Oral Rapidly 複合粒子の母粒子表面から中心に向かって約 4μm Disintegrating Tablets”, Proceeding of The の領域にまでピークシフトが見られており、薬物粒 Fourth Asian Particle Technology Symposium 子の内部にまでそのような変化がおこっていること (APT2009)( 2009) 5 ) 佐藤 文雄 , 井上 速男 , 宮田 稔 , 佐々木 八千夫 , が示唆されている。 “Carr の流動特性評価に関する実験検討”, 粉体工 学研究会誌 , 9-2, pp.90-97( 1972) 4. おわりに 6 ) Carr, R.L.,“ Evaluating Flow Properties of Solids”, Chemical Engineering, 18, pp. 163-168( 1965)  本文では乾式粒子複合化技術とその製剤への応用 7) 三宅由子 , 日比野 剛 , 谷口 洋子 , 三重県工業研究所 例を紹介した。本技術を用いてOD錠の開発に適用 研究報告 , 34,“ 口腔内速崩壊錠の製剤設計 - 崩壊剤 のスクリーニング”( 2010) した事例の研究例は未だ報告されていないが、一部 8) 小野寺 崇 , 吉橋 泰生 , 米持 悦生 , 寺田 勝英 ,“ メカ 上市されようとしている製品も存在する。本文で述 ノフュージョン処理によるフェニトインのぬれ性 べたように、本技術の適用可能性は広いと考えてい の改善に伴う溶出挙動の変化”, 第 25 回製剤と粒子 るため、様々なところで使われるようになれば幸い 設計シンポジウム , pp. 109-110( 2008) である。 9) R. Preffer, R.N.Dave, D.Wei and M.Ramlakhan, “Synthesis of Engineered Particulates with Tailored Properties Using Dry Particle Coating”, Powder Technology, 117, pp. 40-67( 2001) (244)Vol. 20 No. (3 2011) ─24 ─