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真空技術の基礎的な知識と、真空システムを構成する機器についてご紹介
製品のハンドリングでも多く使用される、真空吸着技術について、その基礎的な知識やシステムを構成するために使用される機器についてご紹介します。
このカタログについて
| ドキュメント名 | 真空技術の基礎知識 |
|---|---|
| ドキュメント種別 | 製品カタログ |
| ファイルサイズ | 1.3Mb |
| 取り扱い企業 | シュマルツ株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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真空技術
真空技術の基礎知識
多様な真空圧範囲 真空圧発生に必要なエネルギー
「真空」という用語は大昔に物理学者によって定義されました。 真空発生に必要なエネルギーは、目標の真空度が高ければ
ドイツ工業規格(DIN)では、一般的な定義が示されていますが 高いほど多くなりますが、エネルギーの増加量は真空度に比例
真空技術のアプリケーションエンジニアは真空をいくつかの していません。例えば、真空圧を -60 kPaから-90 kPaに上げると、
範囲に分けて区別しています。 真空による保持力は1.5倍になりますが、この真空圧を達成す
「真空」とは、標準の大気圧よりも低い空気圧を示す用語です。 るために必要な真空到達時間とエネルギーは3倍になります。
周囲圧力(大気圧)は、海抜ゼロメートルで 101.3 kPaで、高度が このことから、真空搬送ではエネルギー消費量や運転費用を抑
高くなるにつれて低くなります。 えるため、必要な場所で最小限の真空圧のみを発生させます。
真空の程度は、真空技術のアプリケーションによって異なりま
す。真空搬送の場合、比較的弱い真空圧(低真空)で十分です。
低真空は、1 kPaから 101.3 kPa (海抜ゼロメートルの周囲圧力) 真空技術で使用する記号
までの圧力の範囲を示しています。 真空技術では、回路図や機能図を描き、真空システムを表現し
ます。このような回路図や機能図には、特定機器やモジュール
を示す記号が記載されています。下表には、真空機器を表すた
めに、もっとも頻繁に使用されている重要な記号が、一覧表と
してまめられています。
バルブ 専用真空パッド
2方向 フラット真空パッド
ボールバルブ (シングルリップ)
3方向 フラット真空パッド
ボールバルブ (ダブルリップ)
3方向 フラット真空パッド
手動スライドバルブ (シールコード製)
相対値として表示される真空圧
3方向2位置
真空技術では、真空圧は、周囲圧力(大気圧)を基準とした相対 ソレノイドバルブ ベローズ真空パッド
値として表示します。基準となる周囲圧力(大気圧)は、圧力 3方向2位置
0 kPaと定められているため、真空圧の値は、必ず負(マイナス エアパイロット式 スプリングプランジャー
の)値になります。 ソレノイドバルブ
フィルター フレックスリンク、
ボールジョイント
負圧/真空圧 正圧
-100 -50 0 +50 +100 kPa
圧力計(ゲージ) シールコード
周囲圧力
タンク アダプタニップル
真空 / 圧力単位の換算表
bar N/cm2 kPa atm, mm, Torr, in Hg
kp/cm2 H2O mm Hg 真空/圧力スイッチ エジェクタ
(シングルノズル)
bar 1 10 100 1.02 10200 750 29.5
N/cm2 0.1 1 10 0.102 1020 75 2.95
kPa 0.01 0.1 1 0.0102 102 7.5 0.295
atm, kp/cm2 0.981 9.81 98.1 1 10000 736 29 落下防止弁 エジェクタ
(チェックバルブ) (多段ノズル)
mm H2O 0.0000981 0.000981 0.00981 0.0001 1 0.0736 0.0029
Torr; mm Hg 0.00133 0.0133 0.133 0.00136 13.6 1 0.0394
in Hg 0.0339 0.339 3.39 0.0345 345 25.4 1
圧力調整弁 サイレンサ
真空単位
逆止弁 真空ポンプ
真空 / 圧力単位の換算表
絶対圧 相対 bar N/cm2 kPa atm, mm Torr, in Hg
真空度 kp/cm2 H2O H タッチバルブ 真空ブロワ
2O
[mbar] [%]
900 10 –0.101 –1.01 –10.1 –0.103 –1030 –76 –3 真空レギュレーター
800 20 –0.203 –2.03 –20.3 –0.207 –2070 –152 –6
700 30 –0.304 –3.04 –30.4 –0.310 –3100 –228 –9 スロットルバルブ
600 40 –0.405 –4.05 –40.5 –0.413 –4130 –304 –12 ホース
500 50 –0.507 –5.07 –50.7 –0.517 –5170 –380 –15
400 60 –0.608 –6.08 –60.8 –0.620 –6200 –456 –18
300 70 –0.709 –7.09 –70.9 –0.723 –7230 –532 –21
200 80 –0.811 –8.11 –81.0 –0.827 –8260 –608 –24
container
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サービス 技術情報 スペシャル エンド フィルター システム 真空パッド用 / 案内 グリッパー エフェクタ / コネクタ モニタリング バルブ 真空発生器 取付部品 真空パッド 特長的な製品
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真空技術
真空システムの構成機器
真空パッド 真空ポンプ
真空パッドは工場の生産工程において、ワークを吸着し移動さ 真空ポンプには羽根(A)のついたインペラがハウジングの中
せるために使用します。この場合、真空パッドはワークの表面 心からずれた位置に取り付けられています。インペラが回転す
に接着されたり、固定されるわけではありません。真空パッド ると、羽根(A)は遠心力によってハウジングの壁面に押しつけ
は周囲圧力(大気圧)が真空パッドとワーク間の圧力よりも高 られ、羽根(A)とハウジング壁の間が密閉状態になります。イン
い状態になると、周囲圧力によってワークに押しつけられ固定 ペラが回転するにつれ、2枚の羽根で形成される空間(B)の容
されます。 積が変化します。空間(B)が大きくなると空間内のエアが膨張
して圧力が下がり、結果としてこの箇所に部分的な負圧(真空)
この圧力差は真空パッドを真空発生器に接続することで実現 が発生します。エアが入口(C)から引き込まれて圧縮され、出口
します。真空発生器は、真空パッドとワークの間にある空気を (D)を通って排出されます。
排出します。真空パッドがワーク表面に接している場合、横から
大気がパッド内に入らず、パッド内に真空が発生します。 真空ポンプは圧縮比が高いため、非常に高い真空圧を発生さ
せる事が可能です。またタイプによって、吸込み能力が大きな
真空パッドの保持力は、周囲圧力と 真空ポンプもあります。
真空パッド内の圧力の差に正比例
して大きくなります。 真空ポンプの利点
・ 高い真空圧と大きな吸込量
・ 中央集中真空システムの真空発生器として使用可能
真空エジェクタ
真空エジェクタはベンチュリの原理に基づいて真空を発生しま
す。真空エジェクタは、ノズルの数でシングル式のエジェクタと
多段式のエジェクタ(マルチステージエジェクタ)に区別されて
います。
圧縮エアは下記図の接続ポート(A)からシングル式エジェクタ
に入り、ベンチュリノズル(B)を流れます。圧縮エアはこの過程
で加速され、圧縮されます。加速された圧縮エアは、ノズル(B)
を通過すると膨張し、負圧(真空)が発生します。これにより、真 真空ブロワ
空接続ポート(D)からエアが引き込まれます。引き込まれたエ
アと圧縮エアは、サイレンサ(C)を通って放出されます。 回転する羽根(A)がエアをハウジング内に運び、加速・圧縮し
ます。圧縮することにより、吸込み側(B)で負圧(真空)が発生し
ます。圧縮されたエアは、排出口(C)を通ってブロワから放出さ
れます。
真空ブロワは、非常に大きな吸込量を実現します。しかし一方
で、発生する真空圧は比較的低い圧力です。
真空ブロワの利点
・ 極めて大きな吸込量
・ エア漏れのあるアプリケーションに対応
・ 短時間で大きな排気量を実現
エジェクタにはベーシックタイプの他、コンパクトエジェクタと
呼ばれる製品があります。コンパクトエジェクタはベーシックタ
イプと同様の原理で作動しますが、より高機能なエジェクタで
す。シュマルツのコンパクトエジェクタには、ワークを持ち上げ
る“吸着バルブ”とワークを離す“真空破壊バルブ”が搭載され
ています。また、真空圧をモニタリングする真空スイッチやフィ
ルターを搭載したコンパクトエジェクタもあります。吸着バルブ
を真空スイッチと組み合わせることで、真空スイッチが測定す
る真空圧が、下限値(設定可能)を下回った場合にのみ圧縮エ
アを供給する自動エアセービング機能を実現することができ
ます。
コンパクトエジェクタの利点
・ 軽量で、省スペース
・ 多数の追加機能を搭載
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サービス 技術情報 スペシャル エンド フィルター システム 真空パッド用 / 案内 グリッパー エフェクタ / コネクタ モニタリング バルブ 真空発生器 取付部品 真空パッド 特長的な製品