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日本国内環境測定士による作業環境リスクアセスメントレポート付き
Formlabs米国本社が第三者機関2社より受けた粉末による空気質、作業環境、健康被害や粉塵爆発リスクに関する評価レポートに、日本国内でFormlabs株式会社が実施した環境測定士による作業環境リスクアセスメントレポートを併せてお届けいたします。
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このカタログについて
ドキュメント名 | Formlabs SLS製品の安全性:空気中の粉塵ハザード分析 |
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ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
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レポート
Formlabs SLS製品の安全性:
空気中の粉塵ハザード分析
本レポートでは、FormlabsのSLS施設で行われた2つの評価分析の結果を概説します。1つはOSHA規制
準拠に必要な空気質評価、もう1つはNFPA規制準拠に必要な可燃物およびダストハザード分析です。.
研究の結果、Fuseシリーズ製品をFormlabs施設で通常使用する場合には、呼吸器への悪影響や火災・
爆発ハザードのリスクは見られませんでした。
2023年5月
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目次
エグゼクティブサマリ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3
U .S . Complianceの空気質評価 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4
評価分析手順. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4
評価結果. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5
粉塵ハザード分析後の考察. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5
Stonehouseの可燃性粉塵ハザード分析 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6
分析スコープ. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6
粉塵ハザード分析の方法. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6
粉塵ハザード分析結果:装置 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7
粉塵ハザード分析結果:建物 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8
粉塵ハザード分析後の考察. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8
Formlabsのハウスキーピングプログラム . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8
設置場所と装置 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8
可燃物 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8
パウダー. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8
化学物質とその廃棄. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9
結論 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10
免責事項 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11
FORMLABS SLS製品の安全性:空気中の粉塵ハザード分析 2
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エグゼクティブサマリ
エグゼクティブサマリ
Formlabsの粉末焼結積層造形(SLS)方式3Dプリンタは、安全かつ簡単に3Dプリントが行えるよう設計・
製造されています。安全性に関する情報については、Formlabsの製品マニュアルおよびパウダーの安
全データシートを主たる情報源としてご確認ください。作業環境の準備やクイックスタートガイドなど、
その他資料についてはFormlabsのサポートページでご確認いただけます。
SLS用パウダー取扱時の労働安全衛生に関する情報を提供するため、FormlabsはU .S ..Compliance
に空気質評価を、そしてStonehouse.Process.Safetyに可燃性粉塵ハザード分析を依頼しました。両
分析は共に、米国マサチューセッツ州ソマービルにあるFormlabsのSLS研究開発(R&D)施設にて行
われています。同施設には、60台のSLS方式3DプリンタFuseシリーズと15台の後処理機Fuse.Siftが
常設されています。.
FormlabsのSLS研究開発施設で行われた分析で判明した事項は以下の通りです。
•. SLS.3Dプリンタを大量に設置している場合でも、空気中に浮遊する粉塵濃度はOSHA(米国労働安
全衛生庁)の要件を7〜100倍程度下回る。
•. 3Dプリンタ設置施設内に施された安全対策により、粉塵の発火可能性は非常に低いと見なされる。
•. 作業者の安全性という観点からも、全体的なリスクは無視できる程度に低いと見なされる。
今回行った2種の評価分析の結果からは、適切な安全対策を施したFormlabs施設においては、Fuse
シリーズの運用に特殊な個人用保護具(PPE)や防護マスク、ゴーグルなどを準備する必要はないとい
う結論に至っています。パウダーを取り扱う際には、定期的なハウスキーピングプログラム(安全対策
のルーティーン)を順守すること、そして保護ゴーグルとニトリル手袋を使用することのみが必須要件
として挙げられます。
本レポートでは、各分析結果とその結論を概説すると共に、SLS方式3Dプリンタの運用ルール策定に
役立つガイダンスもご提供します。.
FORMLABS SLS製品の安全性:空気中の粉塵ハザード分析 3
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U.S. Complianceの空気質評価、評価分析手順
U .S . Complianceの空気質評価
U .S ..Complianceは、環境・安全衛生(EHS)コンプライアンス分野にける代表的な機関で、米国労働安.
全衛生局(OSHA)が定めるコンプライアンスとEHS関連のコンサルティングサービスを提供しています。.
OSHAが定める要件の詳細については、こちらのページをご確認ください。
評価分析手順
作業者の粉塵ばく露量評価を行う目的で、FormlabsはU .S ..Complianceに研究開発施設における空気
質評価を依頼しました。今回の評価対象となったパラメータは、8時間の時間加重平均濃度(TWA)で、
作業者が8時間の勤務時間中にばく露する平均的な粉塵量を測定しました。午前9時〜午後5時にか
けて、継続的に2種の空気サンプルを取得しています。
1. 室内サンプリング
複数の作業場で、三脚に設置したモニターを用いて測定を実施。測定が行われたのは、エンジニアリン
グ用ラボ、多数のプリンタが設置されているプリントファーム、サンドブラスト設置室など、計8部屋です。
測定対象となった作業場は、Fuseプリンタが20台とFuse.Siftが4台設置されている約190平方メートル.
の部屋から、プリンタが10台とFuse.Siftが4台設置されている35平方メートル程度の小さな部屋まで.
様々です。
ソマービルにあるFormlabsのSLS材料研究開発室の面積は約37平方メートル(180立方メートル)で、.
Fuseシリーズプリンタが10台とFuse.Siftが4台設置されています。
Formlabsの全てのSLSプリンタ設置場所には換気空調(HVAC)システムが備わっており、1時間に3回以
上の完全換気が行われます。いくつかの作業場では、換気空調システムは変更せず、窓に換気用ファン
を追加設置することで換気機能を向上しています。
2. 作業者サンプリング
複数の作業者が勤務時間中、定常的にモニターを装備し、サービスビューロー(受託製造業者)同様
に何台ものFuseプリンタを使用して業務に当たりました。
•. ラボで行われる一般業務内容
•. Fuseシリーズのプリンタで行う通常のオペレーション
•. Fuse.Siftで行う通常のオペレーション
•. 造形品のブラスト処理
FORMLABS SLS製品の安全性:空気中の粉塵ハザード分析 4
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評価結果、粉塵ハザード分析後の考察
•. ホッパーへのパウダー充填
•. パウダーの入れ替え
•. 廃棄物の取りまとめ
•. Fuseシリーズ製品内部や周辺の清掃に使用した集塵機のクリーニング
試験はポンプの流量を2 .0L毎分および2 .5L毎分に設定したエアサンプリング用カセットで行われ、以下の
濃度を確認しました。
1 ..室内空気中における全パウダーの粒子総量
2 ..パウダー全種における呼吸域粉塵
3 ..全パウダーに含まれるカーボンブラック(Fuseシリーズ用SLSパウダーには0 .1%〜1%の質量比にてカー
ボンブラックを呼吸域に含むものがある).
前提として、8時間で発生する時間加重平均濃度(TWA)はOSHAまたは相当する規制当局が定める許容ば
く露限界値(PEL)以下である必要があります。上記PEL.TWAとは、作業者の健康に悪影響を及ぼさないと
される許容ばく露レベルです。ばく露管理値(OEL)TWAとは、作業員のばく露レベルを制限するために定
められている推奨濃度です。
評価結果
Formlabs.SLS研究開発施設で測定された粉塵の時間加重平均濃度、およびOSHAの時間加重平均濃度におけ
る許容ばく露限界値。
粒子状物
質の合計
カーボンブ
ラック
レスピラブル
粒子
0 2 4 6 8 10 12 14
TWA( mg/m3)
..OSHAの許容ばく露限界値 ..OSHAのばく露管理値 ..Formlabs作業者サンプル値 .
..... ..Formlabs室内サンプル値
粉塵ハザード分析後の考察
単一室内で10台以上のプリンタを稼働させる場合であってもFuseシリーズ製品通常運用時の平均空気中
粉塵濃度は、全粒子物質と呼吸域粒子物質に関してはOSHA許容ばく露限界値の2%未満、カーボンブラ
ックについてはOSHA許容ばく露限界値の15%未満となった。Fuseシリーズ製品の通常運用では、呼吸器
系に悪影響を及ぼす危険性はなく、米OSHAの粉塵ばく露規制に十分に準拠したものと考えられる。.
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Stonehouseの可燃性粉塵ハザード分析、分析スコープ 、粉塵ハザード分析の方法
Stonehouseの可燃性粉塵ハザード分析
Stonehouse.Process.Safety(Stonehouse)は、爆発、火災、危険物質流出事故に対する予防措置にお.
ける大手機関で、厳密な品質保証を受けた試験データとプロセス安全管理のソリューションを提供し.
ています。.
分析スコープ
Stonehouseは、2022年12月にFormlabsのSLS研究開発施設で可燃性粉塵ハザード分析を実施して
います。本分析は、FormlabsのSLS方式3Dプリント製品で粉末材料(パウダー)を使用する際の火災お
よび爆発事故のハザードリスクを特定する目的で実施されており、可燃性粒子固体の取扱に関する全
米防火協会(NFPA)のコンセンサスコードと規格のガイダンスに準拠して行われました。
SLSパウダーは、ちり、ほこり、おがくず等と同じく可燃性であり、特定の条件下で発火する恐れがありま
す。パウダーに発火するためには、酸素、燃料(可燃物)、発火源の3つの要素が必要となります。可燃性
粉末による粉塵爆発の発生には、さらに2つの条件が必要となります。これら全ての要素が限定された
空間に閉じ込められていること、そして空気中の粉塵濃度が最小爆発濃度(MEC)以上であることです。
火の三角形と爆発の五角形。
この理解に基づき、StonehouseはFormlabsのSLS製品から酸化性雰囲気、安定した発火源、安定し
たサスペンション機構を確認し、粉塵爆発のハザード評価を行いました。同機関は、SLS用パウダー、.
Fuseシリーズプリンタ、Fuse.Sift、粉末の取扱および保管場所、施設内の安全対策ルーティーンなど、.
3Dプリント作業全般に関わる使用設備と建物の双方を評価しています。.
粉塵ハザード分析の方法
Stonehouseの専門家は、FormlabsのNylon.12、Nylon.12.GF、Nylon.11、Nylon.11.CF、TPU.90Aの各
パウダーに加え、開発中の新パウダー材料を含む6種の粉末材料サンプルのラボテストを実施し、粉塵
爆発に関連するデータの評価を行いました。.
試験項目:
1 ..粒子の爆発性有無判定のスクリーニングテスト
2 ..最小発火エネルギーと最小発火温度の測定
3 ..爆発を引き起こす浮遊粉塵の最小濃度(MEC)測定
Stonehouseは、可燃性粉塵が存在または使用されている空間の調査、およびFuseシリーズプリンタや
後処理機など当該空間において可燃性粉塵が使用される装置の調査を実施しています。
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粉塵ハザード分析結果:装置
粉塵ハザード分析結果:装置
パウダーの粉塵爆発の可能性
Stonehouseはパウダーの発火に関する特性の評価を行いました。以下の表は、その結果と考察をまと.
めたものです。
試験項目 結果 解説
爆発性有無の判定 あり 粉塵爆発の可能性がある。
発火最小エネルギー(MIE)(mJ) 高.300.<.MIE.<.1000 火花からパウダーに発火するリスクは低い。
最小発火温度(粉塵雲)(°C) 高..400.<.MIT粉塵雲.<.440 パウダーの粉塵雲が自然発火を起こすリスクは低い。.
爆発下限界濃度(MEC)(g/m3) 高.MEC.=.40 粉塵雲が爆発を起こすリスクは低い。
•. 火花や静電気放電からパウダーに発火するリスクは低い。.試験対象の全パウダーの最小発火エネル
ギー(MIE)300〜1000mJは高エネルギーであり、アース線の接地が行われていない機器が強力な火
花を放った場合においても、そのエネルギーは上記水準には到達しないものと考えられる。.
•. パウダーの粉塵雲が自然発火を起こすリスクは低い。高温環境や加熱されたもの、摩擦による火花
と接触した際にも同様である。最小発火温度(粉塵雲)は、試験対象の全パウダーのサンプルにおいて
400°C以上と非常に高い値となっている。また、ホットプレート上での粉塵層(MIT層)の最小発火温度
は350°C以上となっており、これは試験対象パウダーが火災発生時にのみ発火することを示している。
•. 粉塵雲が発火するのは、極端に高濃度な粉塵雲が発生した場合に限られる。これは、爆発下限界濃度
(MEC)の値が殆どの有機物よりも高いことによる。.
結論として、FormlabsのSLS用パウダーが発火や粉塵爆発を引き起こすリスクは低いと判断される。..
濃度が極端に高い粉塵雲が直接的に火炎に晒された場合にのみ、粉塵爆発が起こる可能性がある。.
Stonehouseは、FormlabsのFuseシリーズ製品における作業では多量のパウダーによる粉塵層や粉
塵雲の発生は見込まれない、としている。.
FuseシリーズプリンタとFuse Siftの粉塵ハザード分析
•. Fuseシリーズプリンタは、パウダーを高出力レーザーで1層ずつ焼結してプリントを行う。一方Fuse.Sift
は、造形品の周囲に残る粉末の除去と再利用を行う密閉式の後処理機である。.
•. 装置庫内の熱源温度は、パウダーの最小発火温度(MIT)、粉塵雲、粉塵層のいずれの温度も大幅に下
回っているため、装置内部でパウダーが発火する可能性は認められない。
•. 装置内部の電気部品はパウダーと十分に隔離されており、発火源となる可能性は認められない。.
•. 粉末除去作業によってFuse.Sift内部で発生する粉塵雲は、同装置の内部容積全体と比較して少ない.
と見なされる。.
Fuse.Sift内部の粉末除去作業に電気式の機器を使用する場合は、防爆仕様で本質的な安全対策が施
されたClass.II,.Division.1に準拠したものである必要があります。例えば、リチウム電池が搭載された充
電式の電動ブラシなどは発火源となる恐れがあります。.
FuseシリーズプリンタおよびFuse Sift内の安全対策により、発火の可能性は非常に低いと考えられ
ます。例えば、Fuseシリーズプリンタには温度管理センサが搭載されており、高温を検知すると運転を
緊急停止する仕様です。発火時の作業者の安全に対する影響も非常に低いと考えられ、作業者の安全
性という観点からの全体的なリスクは無視できる程に低いものと考えられます。
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粉塵ハザード分析結果:建物、粉塵ハザード分析後の考察、Formlabsのハウスキーピングプログラム、設置場所と装置、可燃物、パウダー
粉塵ハザード分析結果:建物 8
Stonehouseは、突発的な火災や粉塵爆発のハザードを防ぐため、NFPAのLayer.Depth.Criterion.
(層深度基準)法やMass.Method(質量法)Aを基にハウスキーピング計画を策定し、清掃作業を行う
パウダーの蓄積度合を設定することを推奨しています。粉塵雲の発生や粉塵の飛散を防ぐため、清掃
方法としてはFuse.Siftに付属しているような防爆仕様の集塵機による清掃が適切です。.
Stonehouseは、FormlabsのSLS研究開発施設内では多量の粉塵が蓄積された様子は認められず、.
同施設内では高濃度の粉塵雲は発生し難いとしています。これは、Fuseシリーズにおけるプリント作業の
性質や、以下に示す簡単なハウスキーピングプログラムの成果と言えるもので、FormlabsのSLSプリンタ
使用場所は、Non-Hazardous.Area(非危険区域)に分類されます。
粉塵ハザード分析後の考察
SLS用パウダーは可燃性である。しかし、Stonehouseが実施した粉塵ハザード分析ではFormlabsのパ
ウダーの性質、装置の安全対策設計、粉塵の蓄積を防ぐ定期的なハウスキーピングにより、粉塵爆発や.
粉塵による火災の危険性はごく僅かなものであると結論付けられた。
Formlabsのハウスキーピングプログラム
Formlabsの研究開発チームは、施設内での粉塵ハザードへの対策として週次のハウスキーピング作業
を実施しています。主な作業は、すべての床や装置表面を集塵機で吸引し、粉塵の蓄積を防ぐというも
のです。Formlabsの施設は「非危険区域」と判断されたため、NFPAガイドライン(EUではATEX.Ex.II.3.D)
に準拠した可燃性粉塵用の静電気消散集塵機を使用しています。Formlabs製品を使用する際の作業
環境の準備など、各製品の資料はFormlabsサポートページをご確認ください。以下では、Formlabsが
社内標準としている推奨作業をご紹介します。.
設置場所と装置:
•. 非常用設備は目に留まりやすい場所に設置し、常に使用可能な状態にする
•. 作業で使用する各ツール類や梯子、個人用保護具(PPE)は常に使用可能な状態にし、整理整頓して保.
管する
•. NFPAの規定に準拠し、全ての建物内に消化器を設置する
•. 分電盤の扉は常に閉じておき、遮蔽物や発火源となり得るものを周囲に置かない
•. NFPAの推奨事項が定める通り、設備機器は必ずアース線を接地した状態で使用する.
可燃物:
•. 可燃物は全て、所定の保管場所に保管する
•. Fuseシリーズ製品は溶接やはんだ付け、その他火花の発生を伴う作業場所には設置しない。これらの.
高温発生の可能性がある箇所にはパウダー等の可燃物の設置を行わず、また空気中に浮遊するパウ.
ダー等の可燃物が到達しないよう予防措置を講じる。可燃物設置場所の近傍には消火器を配備する。.
NFPAの規定に準拠した高温作業ルールを策定・運用する.
パウダー:
•. 床や装置だけでなく、空調配管や吊り天井なども含めて室内の粉塵が蓄積され得る箇所すべてを集塵.
機で清掃する粉塵層が紙1枚分(0 .8mm)以上の厚さになったり機器がパウダーの色に見えてしまうよ.
うな状態を防ぐ使用中にパウダーをこぼしてしまった場合は、すぐに集塵機で周囲も含めて清掃する.
•. パウダーの容器は常に密閉しておく
FORMLABS SLS製品の安全性:空気中の粉塵ハザード分析 8
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化学物質とその廃棄
•. ビルドチャンバーの使用後は、必ず清掃を行ってから所定の棚に戻す。ビルドチャンバーの清掃が行わ
れていないとパウダーが作業場所に舞い散り、他のビルドチャンバーから舞った別のパウダーで粉末材
料の混合が起こり、トラブルが発生する可能性がある
•. 余剰分の使用済みパウダーはリフレッシュ率を0%に設定することでFuse.Siftから取り出し、保管しておく.
パウダーの保管は別の密閉可能な容器にて行い、今後使用する際にはFuse.Siftのリフレッシュ率設定
を元の値に戻してから使用する
•. パウダーの取扱、保管、廃棄の方法についてはFomlabsが提供するマニュアルに従って行う.
•. パウダーの取扱時にホースを使用する場合はNFPA推奨事項に従い、導電性または静電気散逸性(SD).
のものを使用する
化学物質とその廃棄:
•. 化学物質が入った容器は、未使用時は密閉状態で適切に保管する。また、化学物質の正式名称と関連
するハザードが記載されたラベルを必ず表示する
•. ゴミ箱やリサイクル容器に化学物質が残らないよう完全に清掃する
•. ハウスキーピング作業中は、安全作業手順と適切な廃棄フローに従う。廃棄物は自治体の許認可を受
けた正規の産業廃棄物処理業者に依頼する
FORMLABS SLS製品の安全性:空気中の粉塵ハザード分析 9
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結論
結論
U .S ..ComplianceとStonehouse.Safety.Processは、FormlabsのSLS研究開発施設で空気質評価と粉.
塵ハザード分析を実施し、両機関による評価は米OSHAおよびNFPAの規定に従って行われた。その結果、.
Fuseシリーズ製品の通常運用においては各パウダーの安全データシートや製品マニュアル、適切なハ.
ウスキーピングプログラムに従う限りにおいて、呼吸器系への健康被害や火災、爆発などのハザードは.
示されなかった。
本書冒頭に記載の通り、Formlabs施設の環境におけるSLS用パウダー取扱時には、保護ゴーグルとニ.
トリル手袋の着用が唯一の要件となっています。Formlabsは製品を使用される皆さまに、弊社製品を.
使用される国や自治体の規制を理解・遵守し、製品の使用手順やハウスキーピングルールの順守、.
また作業スペースや作業方法を評価し、潜在的な労働安全衛生上のハザードを確認することを推奨.
いたします。.
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Formlabs 販売代理店及びお客様 各位
令和 3 年 8 月 吉日
Fuse 1 に関する法規制調査及びアセスメント結果報告
拝啓 残暑の候、貴社いよいよご清祥のこととお喜び申し上げます。令和 3 年 6 月 1 日より国内販売を開
始しました Fuse 1 につきまして、令和 3 年 8 月 4 日に環境コンサルタント指導の下、法規制調査並びに
化学物質リスクアセスメントを弊社東京オフィス(住所:品川区北品川 3-6-9)実施しました。結果後処
理に Sift をご使用いただき弊社のオペレーションマニュアル・安全データシート等に準拠いただく形で、
リスクレベル I(4 段階で最も低いリスクレベル)という結果となりました。粉塵爆発対策についての法
規制はございませんが、弊社 Fuse 1, Sift, Vacuum は全て防爆仕様となっております。使用者が保管・
使用時に安全データシート等に記載されている対策を取った上で安全にご使用いただけると存じます。
敬具
調査対象・内容
対象機器:Fuse 1、Sift、バキューム(左記全て防爆仕様)
材料:Formlabs Inc 製ナイロン 12 及びナイロン 11 パウダー(両材料ともアセスメント実施物
質であるカーボンブラックを 1%未満含む)
調査対象法規:労働安全衛生法(粉塵規則)及び消防法
リスクアセスメント方法:厚生労働省発行ツール:Create Simple
結果
Formlabs Inc 製ナイロン 12 及びナイロン 11 パウダーを使用する作業は労働安全衛生法(粉塵
規則)の粉塵作業に該当しない
ただし、上記パウダーには 1%未満のカーボンブラックが含まれるため使用者にて 労働安全衛生
法に基づいた化学物質リスクアセスメントを実施する必要がある
実施方法:https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ankgc07.htm
実施結果:Sift の利用により、リスクレベル I (最も低いリスクレベル)
添付ファイル: Create Simple Worksheet Formlabs 202108.xlsm
Formlabs Inc 製ナイロン 12 及びナイロン 11 パウダーは消防法における危険物に該当しない
ただし、3000KG を超える量を保管する場合は特定可燃物に該当するため、地域の消防署に相
談・報告・準拠する必要がある
ユーザ様における推奨作業
弊社東京オフィスで行ったカーボンブラックパウダー化学物質リスクアセスメント
添付資料
1) リスクアセスメント結果 (Create Simple)
2) Nylon 11/12 材料特性データ
3) Nylon 11/12 安全データシート
今後も国内の SLS 方式 3D プリンタ普及に励んで参りますので、変わらぬご愛顧を賜りますよう
よろしくお願い申し上げます。まずは書中にてお知らせいたします。
敬具
東京都品川区北品川 3-6-9 北品川 369 ビル
Formlabs 株式会社
ゼネラルマネージャー
長谷部 吉紀
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リスクアセスメント実施レポート
- 説明 - No: 1
● リスクアセスメントシートで実施した結果が表示されます。 実施日: 2021/8/10
● このシートでリスク低減措置の内容を検討し、労働者に周知を行いましょう。 実施者:
結果呼出 入力内容クリア
Formlabsのナイロン11、12を使用した場合のリスクアセスメント(カーボンブラックに関するCREATE-SIMPLEの内部データを利用。ただし、ばく露限界値は産衛学会許容
タイトル
濃度(吸入性粉じん)を入力した。)
実施場所
製品名等 ナイロン11、ナイロン12
作業内容等 Fuse Siftを使用するプリント(成形品)の取り出し作業
CAS番号 1333-86-4
物質名 カーボンブラック
項目 現状 対策後 リスク低減対策の検討
管理目標濃度(吸入) 0.001 ~ 0.01 0.001 ~ 0.01
有 ばく露限界値(吸入) 1 1 ※以下のQ1~Q16の選択肢を変更し、
害 【再度リスクを判定】をクリックすることによって、
ばく露限界値(経皮)
性 リスク低減対策後の結果が表示されます。
目や皮膚に有害な影響
Q1.揮発性・飛散性 高飛散性(微細な軽い粉体) 高飛散性(微細な軽い粉体) 高飛散性(微細な軽い粉体)
Q2.取扱量 中量 (1kg以上~1000kg未満) 中量 (1kg以上~1000kg未満) 中量 (1kg以上~1000kg未満)
Q3.含有率 1%未満 1%未満 1%未満
Q4.スプレー作業の有無 いいえ いいえ いいえ
Q5.塗布面積1m2超
Q6.換気レベル 換気レベルB(全体換気) 換気レベルE(囲い式局所排気装置) 換気レベルB(全体換気)
Q7.作業時間 30分超~1時間以下 30分超~1時間以下 30分超~1時間以下
Q8.作業頻度 5 日/週 5 日/週 週1回以上 5 日/週
Q9.呼吸用保護具[任意]
フィットテストの方法
Q10.接触面積
経
Q11.化学防護手袋
皮
Q12.保護具の教育
爆 Q13.取扱温度 ℃
発 Q14.着火源の有無
・
火 Q15.有機物、金属の取扱い
災 Q16.空気、水との接触
推定ばく露濃度 0.3 ~ 3 0.001 ~ 0.01
推定経皮吸収量[mg]
合計
(吸入+経皮) Ⅲ Ⅰ
吸入 Ⅲ Ⅰ
経皮吸収
眼や皮膚への影響
リ 爆発火災
ス 作業環境は十分に良好です。
ク
リスクを下げる対策を実施しましょう。
リスクレベル(有害性)の説明
リスクレベル(危険性)の説
明
※リスク判定に用いたリスク低減対策よりも法令事項の方が厳しい措置である場合は法令が優先されます
■ (自由記述)検討したリスク低減措置の内容、実施時期等 保存
■ (自由記述)備考
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免責事項
本レポートに記載の所見や結論は、米国マサチューセッツ州ソマービルのFormlabs.Inc の研究開発施
設における評価であることにご留意ください。本レポートに記載の評価分析結果や推奨事項は各現場
固有の評価や分析を行わずにそのまま他の場所や施設に流用できるものではありません。Formlabsは、
本レポート記載の情報を他の場所、施設、状況にて誤った形で流用あるいは誤解釈して発生した全て
の事象について、一切の責任を負わないものとします。
Formlabsへのご相談
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Formlabs株式会社 スマートフォンでご覧の方は右のQRコード、
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