1/11ページ
ダウンロード(1Mb)
世界トップシェアを持つシート、ドア等の自動車部品メーカーであるbrose(ブローゼ)によるFuse 1採用事例。
自動車に乗ったことがある方なら、Broseの製品が使われた車に乗っていると言っても過言ではないでしょう。24か国に2万5千人の従業員を有するファミリー企業で業界最大手の一角であるBroseは、自動車部品のティア1メーカーとして自動車メーカー80社、サプライヤー40社以上、電動自転車メーカー50社との取引を行っています。世界中で生産される新車の座席やドア、各種電気モータやアクチュエータ等のメカトロニクスシステムに、少なくとも1つはBrose製品が搭載されています。
Broseはドイツで最も革新的な企業の1つとして、自社製品と製造ワークフローにアディティブマニュファクチャリング(AM)を採用するという素晴らしい試みを実行しています。現在様々なAM技術を試作や金型、治具等に活用していますが、次のステップとして製品の連続生産へのAM導入を目指しています。この目標を達成するためのAMツールの1つとして採用されたのがFuse 1で、Formlabs初の小型の産業用粉末焼結積層造形 (SLS) 方式3Dプリンタです。
このカタログについて
ドキュメント名 | Fuse 1採用事例:Brose Fahrzeugteile GmbH & Co. KG |
---|---|
ドキュメント種別 | 事例紹介 |
ファイルサイズ | 1Mb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | Formlabs株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
この企業の関連カタログ
このカタログの内容
Page1
ユーザストーリー
SLS方式3Dプリントで自動車部品
を生産 - 世界的自動車部品メー
カーBroseの事例
ティア1自動車部品メーカーとして業界をリードするファミリー企業、Broseは製品生産にFuse 1と
SLS方式3Dプリントを採用しています。
2021年1月 | Formlabs.com
Page2
Contents
はじめに . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3
製造業の生産現場でFuse 1を運用する . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4
最終製品生産へのSLS導入:スペアパーツと絶版車部品 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8
連続生産用設備としてのSLSの未来 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10
FORMLABS:SLS方式3Dプリントで自動車部品を生産 - 世界的自動車部品メーカーBroseの事例 2
Page3
はじめに
はじめに
自動車に乗ったことがある方なら、Broseの製品が使われた車に乗っていると言っても過言ではないで
しょう。24か国に2万5千人の従業員を有するファミリー企業で業界最大手の一角であるBroseは、自動
車部品のティア1メーカーとして自動車メーカー80社、サプライヤー40社以上、電動自転車メーカー
50社との取引を行っています。
世界中で生産される新車の座席やドア、各種電気モータやアクチュエータ等のメカトロニクスシステム
に、少なくとも1つはBrose製品が搭載されています。
Broseはドイツで最も革新的な企業の1つとして、自社製品と製造ワークフローにアディティブマニュフ
ァクチャリング(AM)を採用するという素晴らしい試みを実行しています。現在様々なAM技術を試作や
金型、治具等に活用していますが、次のステップとして製品の連続生産へのAM導入を目指しています。
この目標を達成するためのAMツールの1つとして採用されたのがFuse 1で、Formlabs初の小型の産
業用粉末焼結積層造形 (SLS) 方式3Dプリンタです。
本書では、Broseの樹脂AM連続生産技術者、Christian Kleylein氏によるFuse 1運用の経験と、
3Dプリンタによる連続生産の導入方法についてご紹介いたします。
FORMLABS:SLS方式3Dプリントで自動車部品を生産 - 世界的自動車部品メーカーBroseの事例 3
Page4
製造業の生産現場でFuse 1を運用する
製造業の生産現場でFuse 1を運用する
アディティブマニュファクチャリングは、Broseの新たな強みの1つとなっています。ドイツにあるBroseの
AMセンターは、試作、プロセス開発、そして材料の開発・検証をワンストップで担っており、世界中に部
品を提供しています。
同社は10年前に初めて熱溶解積層(FDM)方式3Dプリンタを1台導入するところからスタートして以来、
急速にその導入を進め、光造形(SLA)方式から、ジェッティング方式、粉末焼結積層造形 (SLS) 方式、
果ては金属3Dプリンタの大型マシンセンターまで、ほぼすべてのAM方式を導入しています。
Broseのプリントセンターには、デスクトップ型の小さなものから従来型の巨大な産業用プリンタまで、
様々なSLS方式の3Dプリンタが導入されています。豊富なSLS方式の活用経験を有する同社は、
ヨーロッパでいち早くFuse 1を導入した企業でもあります。
BroseのAMセンターにはFuse 1を含めてほぼ全ての3Dプリント方式が導入されている。
大型機の準備と稼働開始には1週間程度を要することもありますが、Kleylein氏はFuse 1のセットアッ
プを簡単に行うことができました。
「Fuse 1のセットアップは非常に簡単です。エアコンと密閉できる部屋さえあれば、基本的には終わり
です。広いスペースもいらないため、非常に便利です。較正作業も不要で、必要なことと言えば機体を
水平に設置することくらいです。電源をコンセントに挿し込んで、画面に従ってセットアップを行うだけで、
届いたその日から造形が行えます。」
FORMLABS:SLS方式3Dプリントで自動車部品を生産 - 世界的自動車部品メーカーBroseの事例 4
Page5
「使い方もシンプルです。恐らく初めての造形も上手く行くでしょう。
後は微調整をしながらFuse 1に慣れ親しんでいくことです。」
—Christian Kleylein氏
「我々は徹底的にFuseのテストを行いました。Broseは最薄部品の製作や、非常に薄く長いデザインの
造形を数多く行っています。そうしたテストの結果から、仮に造形物に反りが発生した場合でも、いつも
同様の反りが発生していることがわかりました。従って、そのプロセスを最適化すれば、非常に正確な
形状・寸法で造形を行うことができます」とKleylein氏は説明します。
同社のチームは、12時間程度の短時間で完了する夜間の造形から、1,000を超える小さな部品をフル
にビルドチャンバーにパッキングした4日がかりのものに至るまで、多くの造形を行いFuse 1の限界を
試しています。
粉末焼結積層造形(SLS)方式では造形物の周囲で溶融されなかったパウダーが造形物を支えるためサポート
材は不要で、造形物を密にパッキングして造形すればビルドチャンバー内のスペースを最大限に活用できる。
「表面仕上げは非常に美しく滑らかで、積層痕も殆ど見えません。そのため部品を造形後すぐに使用で
き、ブラスタを使えば更に徹底的にパウダーを取り除くこともできます。また、Fuse 1では非常に細かな
ディテールも造形できます。例えばギアを造形した場合、非常にきれいな円形で見事に出来上がります」
とKleylein氏は言います。
FORMLABS:SLS方式3Dプリントで自動車部品を生産 - 世界的自動車部品メーカーBroseの事例 5
Page6
ブローゼ製品の組立ライン終着点での試験装置。
FormlabsはFuse 1により、従来の産業用SLS方式プリンタと低価格の小型プリンタとの間にあるギャ
ップを埋め、高品質、省スペース化や全工程を網羅するシンプルなワークフローを、従来の産業用SLS
システムの数分の一の価格で提供することを目指しています。
Kleylein氏は「デスクトップ型プリンタよりも、むしろ産業用プリンタと比較すべき製品でしょう。ファイ
バーレーザーが使われるため、Formlabsは独自の光学スキャナーシステムを開発し、レーザー光を正
しく偏向制御しています 。」と説明します。
「Fuse 1は紛れもなく機械です。おもちゃ感覚はなく、れっきとした製
造設備です。中を見るとまさに産業用機器で、しっかりと機能します。
テストをおこなったチームもFuse 1の機能に非常に満足しており、
製造現場でもとても簡単に運用できるプリンタですね。」
—Christian Kleylein氏
自動車部品には大型のプリンタが適していると思われるかもしれませんが、Kleylein氏はFuse 1のビ
ルド容積が殆どのデザインを十分にカバーできることを既に確認しています。
「我々が造形する部品の80%は拳大のサイズで、それ以上大きなものはありません。そのため我々は、
Fuse 1でそれらすべての部品を造形することができるのです。あとはその中間程度のサイズの部品が多く、
残りは非常に大きな部品です。」とKleylein氏は説明します。
「造形スピードという点でも満足していますが、最適化を行えばスピードも上がるでしょう。しかし使い
始めたばかりの頃は、適度なスピードとビルドスペースを保ち、確実な造形を行うことが大切です。」
FORMLABS:SLS方式3Dプリントで自動車部品を生産 - 世界的自動車部品メーカーBroseの事例 6
Page7
Fuse 1は、造形後の後処理とパウダーの再利用を行うFuse Siftと共に届けられます。パウダーからの造
形物取り出し、パウダーの保管と再利用、そして未使用の新しいパウダーとのミキシングまで、1台です
べてをカバーします。
「従来のSLS方式プリンタでは、造形物の後処理機器を別途で準備する必要がありました。パウダーの
ミキシングも含め、ユーザーが自身で製作しなければいけなかったのです。その点、Fuse Siftは非常に
便利な統合型のシステムです。粉塵を除去するためのファンも完備され、安全対策の設備も最小限に
抑えることができます。回収したパウダーはふるいにかけられ、再利用可能なきれいなパウダーだけが
リサイクルされるようになっています。パウダーはここでミキシングされ、未使用パウダーと使用済みパ
ウダーのリフレッシュ率を自分で決めることができます。決まった特性を必要とする場合は、100%未使
用パウダーもしくは100%使用済みパウダーを使用することも可能です。ミキサーにかけるとパウダー
も十分に混ぜ合わせてくれます。」とKleylein氏は言います。
Kleylein氏はFuse 1でのSLS方式のパーツ製作はほぼ全てが自動で行われ、新しい造形の準備、プリ
ンタのメンテナンス、そして造形物の後処理に時間と手間を少しかけるだけで良いことを知りました。
「小さな作業スペースに設置して、1日の時間のうち4分の1だけを実際の造形作業に費やす人がいれ
ばいいのです。無料のソフトウェアで造形の設定ができ、大型プリンタに相当する造形が行え、準備も
非常に手早く行えるのが特徴です」とKleylein氏は言います。
「簡単で、非常に良く考え抜かれたシステムです。一度造形が完了して
から次の造形を行うまでに30分もかかりません。」
—Christian Kleylein氏
「これはプリントファームに導入するにも適したプリンタです。生産計画が立てやすく、継続的に稼働で
きます。毎日24時間体制で製作できることは大きな強みです。我々は3Dプリンタをアイドル状態で放置し
ないことにしています。唯一の例外は、造形作業自体が無い時で、あとは週末に停止する時だけです。」
と、Kleylein氏は述べています。
FORMLABS:SLS方式3Dプリントで自動車部品を生産 - 世界的自動車部品メーカーBroseの事例 7
Page8
最終製品生産へのSLS導入:スペアパーツと絶版車部品
最終製品生産へのSLS導入:スペアパーツと絶版車部品
Broseはまず、機能確認用試作を目的として、効率的で現在の生産材料に似た特性を持つNylon 12
が使用できるFuse 1の導入を決めました。しかしKleyleinのチームは既に、スペアパーツと絶版車用
の部品を第一候補とする初の最終製品用パーツへの導入に向け、造形物の検証とユースケースの構
築を進めています。
あるモデルの自動車が販売終了となった後も、自動車部品メーカーにはスペアパーツを提供する義務
があります。すなわち、スペアパーツの必要数を見積もり、全パーツを射出成形で生産し、その製品の保
管を行わなければなりません。
「これは、リソース、スペース、コストを大きく無駄に費やしてしまうことになります。しかし3Dプリントを
活用すれば、この先15年分もの射出成形用金型やパーツを保管する必要が無くなるのです。スペアパー
ツと絶版車用の部品は常に不足しているため需要は高く、実際我々は多くの樹脂製の射出成形品を
保管しています。もし我々がそれらのデータを上手く積み上げ、高密度にパッキングしてFuse 1で造形
すれば、コスト効率はもっと向上するでしょう。」とKleylein氏は言います。
従来の射出成形ではなく3Dプリントで製作されたドアハンドル部モジュールのスペアパーツ。
「自動車産業においては、部品を可能な限り高品質かつ低価格で提供
することが重要です。今では年間生産数が1万点未満の部品は何でも、
SLS方式3Dプリントで製造できます。」
—Christian Kleylein氏
FORMLABS:SLS方式3Dプリントで自動車部品を生産 - 世界的自動車部品メーカーBroseの事例 8
Page9
SLS方式は多くの面で、生産に適したテクノロジーです。
• 射出成形品に近い特性を備えた高品質の部品が製作できる。
• 生産現場環境で運用できる。
• SLSは極めて無駄が少なく、清潔なAM技術で、製品生産においてますますその重要性を増しています。
「専用材料のナイロンパウダーで最終製品水準の品質で造形ができ、サポート材を使う必要もありませ
ん。後処理も周囲を粉まみれにすることなく清潔に行えます。Fuse Siftでの作業だけで殆どのパウダー
が除去でき、後はブラスタにかけるだけです。」とKleylein氏は述べています。
「Broseのお客様にはこの方法を支持してくれる方もいます。彼らはほぼ廃棄物を出さない3Dプリント
に挑む我々を高く評価してくれています。パウダーは再利用できるため、使用済みの材料を処分する必
要がなく、パウダーの再利用に化学物質を使う必要もありません。Broseは2022年末までに、SLS方式で
の造形から生じる廃棄物をゼロにすることを目指しています。」とKleyleinは言います。
FORMLABS:SLS方式3Dプリントで自動車部品を生産 - 世界的自動車部品メーカーBroseの事例 9
Page10
連続生産用設備としてのSLSの未来
連続生産用設備としてのSLSの未来
もちろん最終的な目標は、次世代の自動車に使われる部品の製造にSLSによる連続生産を導入するこ
とで、Christian氏は近い将来、その目標が実現可能であると見ています。
「試作品とスペアパーツでの導入は既に十分可能です。今現在の
技術的な成長を考慮すると、連続生産も4~5年中には実現する
と考えています。」
—Christian Kleylein氏
その目標を達成するには、主に2つの変化が必要です。1つは製品開発において設計自体をアディティブ
マニュファクチャリング用の設計にすること。もう1つは材料と3Dプリンタの購入価格が下がることです。
「最大の難関は、設計者に3Dプリントで実際に何ができるかを学んでもらい、その部品を3Dプリントで
製作するという判断をしてもらうことです。射出成形用に設計された部品そのままでは、費用対効果が
向上することはありません。3Dプリントで製作するなら3Dプリントに合わせた設計が必要なのです。」
とKleylein氏は言います。
「結局のところ、生産量や従来の製造方法で作った場合の効率も含めて、よくよく考えてみる必要があ
るのです。適切な価値提案がなされたら、我々は採用できる中で最も効率的な製造方法で部品を生産
します。3Dプリントという手段を目的化するのではなく、それがベストな生産方法であれば採用できる
能力を持っていたいのです。」とKleylein氏は述べました。
FORMLABS:SLS方式3Dプリントで自動車部品を生産 - 世界的自動車部品メーカーBroseの事例 10
Page11
Fuse 1は、SLS方式3Dプリント導入へのハードルを引き下げました。3Dプリントの用途を製品生産にシ
フトしていく上で重要な役割を果たすこととなるでしょう。Broseは既に3Dプリントの活用法を急速に拡
大し続けており、同社にとって2拠点目となる樹脂AMセンターを現在アメリカに建設中で、そちらにも
Fuse 1が導入される予定です。
「この先にも大きな課題はいくつもありますが、価格、機能共に非常に
優れたFuse 1の存在を心強く思っています。」
—Christian Kleylein氏
Fuse 1の詳細を見る
Formlabs株式会社
jp-sales@formlabs.com
03-6718-4004
formlabs.com/jp