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原材料の受入検査等の品質管理に最適
あらゆる製品の製造現場において、品質管理は最重要課題のひとつと言えます。その目的は、製造工程でのトラブルを未然に防ぎ、最終製品に対して常に一定レベルの品質を保証することにあります。
製造過程の最上流にあたる原材料の受け入れにおいては、入荷品が正しいものであるか、求められる品質を満たしているか、不純物が混入していないか等を、正しく判別する必要があります。一方で、生産規模が大きくなるに従い検査対象物は増えるため、検査時間の短縮と作業の簡略化・効率化が常に求められています。
こうしたニーズに対して、赤外分光法は、スピード、操作性、信頼性、どれを取っても最良の分析手法のひとつと言えます。ここでは、ブルカー・オプティクスのコンパクトFT-IR “ALPHA”と、付属の “OPUS/Mentor” ソフトウェアに含まれる“QuickCompare” 機能を用いた、原材料の判別分析について紹介します。
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このカタログについて
ドキュメント名 | 【アプリケーションノート】原材料の品質管理をスマートに ALPHAとOPUS/QuickCompareの活用 |
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ドキュメント種別 | 製品カタログ |
ファイルサイズ | 813.6Kb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | ブルカージャパン株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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Bruker Optics
Application Note
原材料の品質管理をスマートに
ALPHAとOPUS/QuickCompareの活用
はじめに 品質管理においても、この特性を活用することで、迅速
あらゆる製品の製造現場において、品質管理は最重要 かつ正確な分析が可能となります。例えば、原材料の“正常品”
課題のひとつと言えます。その目的は、製造工程でのトラ の赤外スペクトルと、検査対象品の赤外スペクトルを比較す
ブルを未然に防ぎ、最終製品に対して常に一定レベルの ることで、両者が同一であるか否かを判別することが可能で
品質を保証することにあります。製造過程の最上流にあた あり、ここで紹介する判別分析もこの考えに基づきます。
る原材料の受け入れにおいては、入荷品が正しいものであ ALPHAによる品質管理
るか、求められる品質を満たしているか、不純物が混入
ALPHAは、設置面積わずかA4用紙 1枚分のコンパク
していないか等を、正しく判別する必要があります。一方
トなボディに、ブルカーならではの高い分光性能と多彩な
で、生産規模が大きくなるに従い検査対象物は増えるため、
機能を搭載した FT-IRです (図 1)。コンパクトかつ堅牢な
検査時間の短縮と作業の簡略化・効率化が常に求められ
ALPHAは、使用する場所を選びませんので、原料の受入
ています。
検査をはじめとする品質管理用途に最適な 1台です。また、
こうしたニーズに対して、赤外分光法は、スピード、操
バッテリーオプションや高湿度環境用オプションなどを組み
作性、信頼性、どれを取っても最良の分析手法のひとつと
合わせることで、さらに活躍の場が広がります。
言えます。ここでは、ブルカー・オプティクスのコンパクト
ALPHAには、様々な形状の試料に対応できるよう、
FT-IR “ALPHA”と、付属の “OPUS/Mentor” ソフトウェア
数多くのサンプリングモジュールが用意されています。そ
に含まれる“QuickCompare” 機能を用いた、原材料の
の中でも、堅牢かつ化学的安定性に優れるダイヤモンドを
判別分析について紹介します。
赤外スペクトルと品質管理
フーリエ変換型赤外分光計 (FT-IR)の登場以来、赤外分
光分析法は様々な分野において広く活用されるようになって
います。FT-IRによって得られる赤外スペクトルを解析する
ことで、C=O、C-H、N-Hなど、物質を構成する分子中の
官能基に関する情報を得ることができます。多くの物質は、
人間の指紋のように、それぞれ固有な赤外スペクトルを与え
るため、これらをもとに物資の同定や識別が可能となります。
さらに、得られるスペクトルの強度は、物質を構成する成分
の濃度に比例するため、その情報をもとに定量分析を行うこ
図1. ALPHA-P ダイヤモンドATR付き FT-IR 分光計
ともできます。
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ATRプリズムとして採用する Platinum-ATRモジュール (QualityControlWizard)” を組み合わせることで、一連
は、操作性と汎用性に優れるサンプリングモジュールです。 の作業をよりスムースに進めることが可能となります。分
気体を除くあらゆるタイプの試料に適用が可能であり、特 析作業の各ステップで必要となる操作をQCウィザードが
別な前処理を加えることなく、試料をそのままATRプリ グラフィカルに表示しますので、オペレータはこの流れに
ズムに密着させるだけで、ただちに測定を開始することが 沿ってマウスを操作するだけで、材料の検査を簡単・確実
できるため、迅速かつ簡便な作業性が求められる受入検 に行うことができます。判別に必要な時間も 1検体あたり
査の現場には、最適なサンプリング手法と言えます。 1分程度と、非常に効率的です。
さらに、ALPHAに付属するソフトウェアパッケージ、 検査対象品に関する判別分析の結果が不合格
OPUSに標準で含まれるQuickCompare機能を用いる “NOTOK” であった場合には、図 2に示すように、検査品
ことで、判別分析を効率良く進めることが可能となります。 がどのような物質であるか、ライブラリサーチを活用して
解析することも可能です。
QuickCompare 機能を用いた判別分析
QuickCompareは、標準品 ( =正常品 )と検査対象品
のふたつの赤外スペクトル間の相関係数をもとに、合否判
定を行います。ふたつの関数 y1(k)とy2(k)の相関係数
r は、両者の標準偏差 σy1とσy2の積と共分散の比として
求められます:
r の値は -1から +1の範囲をとり、ふたつのスペクト
ルの相似性の程度を示し、+1の場合はふたつのスペクト
ルは完全に同一とみなされます。最終的に r の値はパー
セント表示に置き換えられ、-1 ≤ r<0の範囲では 0%、
0<r ≤ +1では 0 ~ 100%の間で線形変換されます。この
数値が、あらかじめ管理者が設定した“しきい値 ”よりも
大きな場合には、検査品と標準品は同等、すなわち検査
品は、合格品 (OK)と判定されます。
なお、QuickCompareには、次の 3つの比較方法が用
意されており、検査の目的に応じて選択することが可能です。
nスペクトル 1本 ( =標準品 1点 )との比較 :
⇒ より厳密な管理に有用
n複数のスペクトルの平均との比較 :
⇒ バッチ間の変動を考慮する場合に有用 (図 3)
n複数のスペクトル ( =複数の標準品 )との比較 :
⇒ 数多くの材料を同時に管理する場合に有用 (図 4)
実際の使用に際しては、比較対象となる標準品のスペ
クトルを測定して登録するだけで、その他の煩雑な作業は
不要です。
また、QuickCompareによる判別分析の結果は、スペ
クトルデータに含まれる履歴の一部として保存されるため、
スペクトルと共に後からいつでも確認することができます。
さらにQuickCompareによる判別分析は、品質管理
用途に開発されたOPUSのアドオン機能 “QCウィザード 図2. OPUSのQCウィザードによる判別分析フローの一例
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図3. QuickCompare による判別結果の画面。ここでは、検査対象物 マルトース一水和物 について、 複数の標準品の
平均データと比較して合否を判定。
図4. 複数のスペクトル( = 複数の標準品)との比較による判別の例。このケースでは、検査対象品は “セルロース”と
判定され、しきい値以下の候補はグレーアウト表示されます。
まとめ ドの組み合わせでは、分析に関する特別な知識を必要と
以上のように、赤外分光法のもつ高い同定能力を活か せず、シンプルな操作で精度の高い判別が可能です。また、
した判別分析は、原材料の受入検査等の品質管理に最適 試料の前処理や検査試薬を必要としないため、効率的かつ
な手法のひとつです。とくに、ダイヤモンドATRを装備す 経済的な品質管理と生産性の向上が期待できます。
る超小型 FT-IR ALPHAとQuickCompare、QCウィザー
ブルカー・オプティクス 株式会社
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Application Note AN-JP 5