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製造業のデータ利活用 異常異常検知システムの応用で困難な課題も解消
AIを活用した異常予兆検知システム構築サービス「SAILESS」の活用事例と導入効果をご紹介します。
異常の早期検知はもちろん、保全業務の効率化や運転状態の評価・可視化など、異常検知システムを用いたさまざまな活用方法についても掲載しています。
これからデータ利活用をはじめる方にお役立ていただけると思います。
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このカタログについて
ドキュメント名 | 異常予兆検知構築サービス「SAILESS」 活用事例集 |
---|---|
ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
ファイルサイズ | 4.6Mb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | 株式会社宇部情報システム (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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異常予兆検知システム構築サービス
SAILESS
活用事例集
製造業のデータ利活用
異常検知システムの応用で
困難な課題も解消
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1.はじめに
近年、製造業においては、IoT技術の発展やビッグデータの活用など、デジ
タル化が急速に進んでいます。この流れの中で、人工知能(AI)技術も製造
現場に導入され、生産性の向上や品質の安定化に貢献しています。特に、
異常予兆検知は、AI技術が最も効果を発揮できる分野の一つとして注目を
集めています。
従来、製造現場における異常検知は、熟練工の経験や勘に頼るところが大
きく、人手不足や属人化といった課題を抱えていました。しかし、AI技術
を活用することで、膨大なセンサーデータをリアルタイムに解析し、微細
な異常を早期に検出することが可能になります。これにより、設備の故障や
製品不良を未然に防ぎ、生産ラインの安定稼働を実現することができます。
本資料では、AIを活用した異常予兆検知システム構築サービス「SAILESS
(サイレス)」の活用事例と導入効果をご紹介します。異常の早期検知は
もちろん、保全業務の効率化や運手状態の評価・可視化など、異常検知シ
ステムを用いた様々な活用方法についても掲載しています。
これからデータ利活用をはじめる方にお役立ていただけましたら幸甚です。
contents
1.はじめに(目次) ……………………… 02
2.製造業におけるAIの役割 …………… 03
3.SAILESSの概要 ……………………… 10
4.SAILESS活用事例 …………………… 11
5.おわりに ……………………………… 14
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2. 製造業におけるAIの役割
1 AI技術の進化とその影響
2. 製造業におけるAIの役割
1 AI技術の進化とその影響
近年、AI技術は目覚ましい発展を遂げ、さまざまな産業に革新をもたらしていま
す。特に製造業においては、AIの導入が「生産性の向上」「品質の安定化」「コ
スト削減」に大きく貢献しています。
製造業におけるAI活用のトレンド
製造業におけるAIの活用は、大きく以下の3つの領域に分けられます。
① 生産工程の最適化
予知保全 : 機械の故障を事前に予測し、ダウンタイムを最小限に抑える
品質管理 : 製品の不良品率を低減し、品質の安定化を図る
ロボット制御 : AIを活用したロボットにより、柔軟な生産に対応する
② サプライチェーンの最適化
需要予測 : 顧客の需要を正確に予測し、在庫管理を効率化する
物流最適化 : 輸送ルートの最適化や在庫配置の最適化を実現する
③ 製品開発の加速
新素材開発 : AIを用いたシミュレーションにより、新素材の開発を加速する
製品設計の最適化 : AIによる設計支援により、製品の性能を向上させる
AIの活用に欠かせないのがデータです。製造業のデータ利活用と言えば、真っ先
に思いつくものが、異常検知・故障予知ではないでしょうか。
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2. 製造業におけるAIの役割
1 AI技術の進化とその影響
2. 製造業におけるAIの役割
機械学習と異常検知の仕組み
■ 機械学習とは?
AIを支える技術の1つに、機械学習があります。機械学習とは、コンピュータが経
験(データ)から学習し、新たなデータに対する予測や分類を行う技術です。大
量のデータからパターンを見つけ出し、そのパターンに基づいて未来を予測した
り、未知のデータを分類したりすることができます。近年、機械学習を利用した
異常検知システムが注目されています。
AI(人工知能)
機械学習
ディープラーニング
AI・機械学習・ディープラーニング相関図
■ 異常検知とは?
異常検知とは、大量のデータの中から、他のデータと比べて明らかに異なるパ
ターンを持つデータ(異常値)を検出する技術です。機械学習、特に深層学習の
進展により、異常検知の精度が飛躍的に向上しており、画像や音声などの複雑な
データに対しても、高精度な異常検出が可能になりました。以下のように、製造
業における製品不良の検出、金融業界における不正取引の検出など、さまざまな
分野で活用されています。
分野(業種など) 活 用 事 例
製造業 製品不良の早期発見、生産ラインの異常検知
金融業 不正取引の検出、顧客行動の異常検知
ネットワークセキュリティ サイバー攻撃の検出
ヘルスケア 医療画像の異常検知、患者の状態異常の検知
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2. 製造業におけるAIの役割
1 AI技術の進化とその影響
2. 製造業におけるAIの役割
■ 異常検知の仕組み
① 正常データの学習
まず、正常とみなされる大量のデータを機械学習モデルに学習させます。
この学習によって、正常データの特徴を捉えたモデルが作成されます。
② 異常検出
正 常
異 常
新しいデータが入力されると、学習済みのモデルでそのデータが正常か異常かを
判定します。
モデルから大きく外れたデータは、異常と判断されます。
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2. 製造業におけるAIの役割
2 AI活用の課題
2. 製造業におけるAIの役割
2 AI活用の課題
AI技術は、製造業のさまざまな場面で活用され、生産性向上や品質改善に大きく
貢献しています。今後もAI技術はますます進化し、製造業のあり方を大きく変え
ていくことが期待されます。しかし、一方で、AI導入にはさまざまな課題が存在
します。
① データの質と量
AIは大量のデータに基づいて学習するため、高品質なデータの確保が不可欠で
す。製造現場では、多様なセンサーデータや画像データが生成されますが、これ
らのデータを統合し、AIが学習できる形式に加工することは容易ではありませ
ん。また、データの偏りやノイズは、AIの精度に大きく影響するため、データの
前処理が重要になります。
② セキュリティ
AIシステムは、サイバー攻撃の標的となりやすいというリスクがあります。製造
現場では、生産ラインの停止や製品の品質低下につながる可能性があるため、高
いセキュリティ対策が求められます。
③ 人材育成
AIを効果的に活用するためには、データサイエンティストやAIエンジニアなど、
専門知識を持つ人材の育成が不可欠です。しかし、これらの専門人材は不足して
おり、育成には時間とコストがかかります。
④ 導入コスト
AIシステムの導入には、初期投資だけでなく、運用コストもかかります。中小企
業にとっては、高額な導入コストが障壁となる場合があります。
課題を克服し、AI導入を成功させるための重要ポイントとは…
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2. 製造業におけるAIの役割
2 AI活用の課題
2. 製造業におけるAIの役割
課題を克服し、AI導入を成功させるための重要ポイント
① スモールスタート
全社一斉にAIを導入するのではなく、まずは特定の業務から始め、成功事例を積
み重ねる
② 専門家との連携
AIの専門家やコンサルタントと連携し、自社の状況に合わせた導入計画を策定す
る
③ 人材育成への投資
社内外の研修プログラムを活用し、AIに関する知識とスキルを習得する
④ セキュリティ対策の強化
適切なセキュリティ技術を導入し、定期的なセキュリティ監査を実施する
AIの導入の課題は多いですが、適切な対策を講じることで、AIのメリットを最大
限に引き出すことができます。
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2. 製造業におけるAIの役割
3 異常予兆検知の重要性
2. 製造業におけるAIの役割
3 異常予兆検知の重要性
異常検知を活用した予知保全では、故障の前兆を早期に察知し、事前にメンテナ
ンスを行うことができます。これにより、ダウンタイムが削減でき以下のような
メリットが期待できます。
生産性の向上
生産量の増加
稼働時間が増え、より多くの製品を製造できるようになります
納期厳守
計画的な生産が可能になり、顧客への納期遅延を減らすことができます
生産効率の改善
設備の稼働率向上により、生産プロセス全体の効率が改善されます
コスト削減
人件費の削減
計画外の停止による人件費の無駄遣いを防ぐことができます
設備投資の回収期間短縮
設備の稼働率向上により、設備投資の回収期間を短縮できます
不良品発生の減少
安定した生産環境により、不良品の発生率を下げることができます
品質向上
製品品質の安定化
安定した生産環境は、製品品質の安定化につながります
顧客満足度の向上
納期厳守と高品質な製品提供は、顧客満足度の向上に貢献します
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2. 製造業におけるAIの役割
3 異常予兆検知の重要性
2. 製造業におけるAIの役割
経営層にとっての異常検知の価値
異常検知は、企業全体の効率化と収益性の向上に貢献する技術です。経営層に
とって、異常検知は以下のような価値を提供します。
意思決定の支援
異常検知によって得られるデータに基づき、より的確な意思決定を行うことがで
きます。例えば、生産ラインのボトルネックを特定し、生産効率を改善したり、
顧客の離脱兆候を早期に察知し対策を講じたりすることができます。
リスク管理の強化
異常検知は、潜在的なリスクを早期に発見し、対策を講じるための強力なツール
となります。これにより、企業の安定的な成長を支えることができます。
競争優位性の獲得
異常検知を効果的に活用することで、競合他社との差別化を図り、市場における
競争優位性を獲得することができます。
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3. SAILESSの概要
3. SAILESSの概要
SMART AI ALERT SYSTEM SERVICE
災レス
従来のアラートシステムでは検知できない異常・
故障を早期に検知して、現場の災(事故・損失)を
削減(レス)
■ SAILESSの特長
事前分析からシステム構築まで含まれる「サービス」
以下の内容が含まれており、お客様は運用するだけ!
・ 目的・課題・現状のヒアリング ・ PoC(事前検証):データ分析・評価
・ チューニング ・ 導入支援
・ 最適なアルゴリズムを利用したシステム構築をご提案
異常データは不要 要望にジャストフィット
異常データは不要、
BTO(Build to Order=受注生産)モデル採用
正常データのみでOK お客様それぞれの、現場それぞれの多様な要望に対応
お客様による再学習が可能
従来はエンジニアによる再学習が必要でその度に費用が発生していたが、「SAILESS」は
お客様自ら簡単操作で再学習させることが可能
■ 導入の流れ
2ヶ月〜 約3ヶ月
ヒアリング PoC(事前分析) カスタマイズ 導 入
・課題概要
お客様 分析
・本番運用の為の詳細設計
・対象機器
データの
・前処理の検討
・PoCの結果を受けて、
・データ概要 ご提供 ・異常度算出、評価
必要に応じてカスタマイズ
正常期間、評価期間の
・アルゴリズム選定
・PoC内容ご提案
時系列データのご提供 ・異常度の推測を時系列
・PoCご報告
・NDA締結 トレンドで可視化してご報告 ・本番導入ご提案
「SAILESS」の機能についてさらに詳しく知りたい方はサービス紹介資料をご覧ください
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4. SAILESSの活用事例
4. SAILESSの活用事例
■ プラント全体の異常を網羅的に検知し、品質低下を未然防止
課 題
プロセスにおいて操作因子の変動や機器トラブルなど何らかの異常が発生し、品
質(製品濃度)の低下を引き起こすケースが頻発していた。
従来の監視システムでは異常の発見が遅れ、品質異常の発生を未然に防ぐことが
できていなかった。
対応内容
プラント全体のデータを網羅的に分析できる異常検知モデルを作成。異常発生の
兆候となる微小な変化や、センサー間の異常を早期に検知することが可能になっ
た。さらに、プラント全体から機器、そして個々のセンサーへと詳細に分析を深
めることで、異常の原因(場所)を迅速に特定できるようになった。
SAILESS-HM(定常-多変量)を採用
機器周辺の複数の変数でグルーピング
過去の正常時のデータを使って、
分布・特徴を学習
現在値が正常データの分布からどれだ
け離れているか距離を算出し異常度と
する
導入効果
製品濃度の低下につながる異常を4時間前に検知し、異常発生の原因(コンデン
サー冷却水温度)特定に成功。早期対応を行うことで、品質低下の未然防止が可
能になった。
異常度
大きな変動により、
定常プラントだけでなく、
製品濃度に影響が出る
精留塔圧力 バッチプラントのような
4時間前に検知 非定常プラントでも検知可能
製品濃度
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4. SAILESSの活用事例
4. SAILESSの活用事例
■ 熱交換器の定期洗浄(TBM)を状態基準保全(CBM)へ
課 題
熱交換器は24時間連続稼働しているが、定期的な洗浄のために運転を停止する必
要があり、生産性の低下やユーティリティコスト上昇といった課題を抱えてい
た。洗浄のタイミングは適切か、過剰保全になっていないかという点が懸念され
ていた。
対応内容
熱交換器の汚れ具合を定量的に評価するために、熱交換器周辺装置の運転データ
から「異常度」を算出しモニタリング。事前に設定した閾値に達すると、担当者
にアラートを送信する仕組みを構築した。
周辺の運転データから「異常度」を算出
熱交換器の性能低下を可視化
導入効果
熱交換器の適切な洗浄タイミングが把握できるようになり、年間の洗浄回数を4回
から2~3回に削減できた。これにより、生産性向上、ユーティリティコストの削
減を実現し結果として収益改善へとつながった。
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4. SAILESSの活用事例
4. SAILESSの活用事例
■ 計測器(センサー)自体の故障予兆検知
課 題
pH計などのセンサーはメーカー推奨の定期メンテナンス(TBM)を行っていた
が、突発的な故障に対しては事後保全に頼っていた。また、制御装置の標準ア
ラート(DCSアラート)では検知が遅く、対応が遅れることがあった。対応の遅
れは重大な事故につながりかねないので、対策が求められていた。
対応内容
過去の正常な運転状態のデータを基に、センサーの故障を予測するモデルを構
築。このモデルを用いて、センサーの測定値を予測し、実際の測定値との乖離を
異常度として算出。異常度が設定した閾値を超えた場合、システム画面にアラー
トを表示し、担当者に通知する仕組みを構築した。
導入効果
制御装置のアラートよりも早期(3日前)に、センサー故障の予兆を検知できるよ
うになり、事前の保全対応が可能になった。これにより、トラブルや事故の未然
防止を実現できた。
閾値
実測値 従来のDCSアラートよりも
予測値 早く故障を検知
閾値 左図の実例では3日前に検知!
異常度(誤差)
余裕のある計画的な保全活動
トラブル・事故を未然に防止
Time → New
従来の
アラート
DCSアラート
タイミング タイミング
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5.おわりに
具体的な課題をお持ちのお客様は、一度ご相談ください
宇部情報システムは1999年から化学プラントの運転データ蓄積・活用に携
わり、現場の問題解決を支援して参りました。また2015年にはデータ分析
に機械学習を採用し、製造業におけるデータ利活用に関する豊富な経験
と、機械学習を用いた高度な分析技術を保持しております。本資料でご紹介
した活用事例についても、製造業の業務知識、データ分析の技術両方を得
ているからこそ実現したものもあります。
今や製造業において、データ利活用は必須の時代へと移り変わろうとしてい
ます。
「データ活用したいが、やりたいことができるか分からない」
「データはたまっている、こんなことがしたいができるか分からない」
このような課題をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
最適解をご提案させていただきます。
お問い合わせ
営業企画部
〒755-8622 山口県宇部市相生町8番1号 宇部興産ビル14階
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https://www.uis-inf.co.jp/dins/sailess/
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