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『モノづくりDX』を実現するための考えを、具体的な事例を挙げて解説
労働人口の減少など、変革期を迎えている製造業で課題解決となりえる
『モノづくりDX』を実現するための考え方を解説します。
【このようなお悩みはありませんか?】
■3次元CADを持っているのに業務改善に繋がっていない
■3次元CADをうまく活用している製造業の声が聴きたい
■会社全体として生産性向上に取り組みたい
【掲載概要】
■製造業を取り巻く環境について
■『モノづくりDX』の全体像と推進スキーム
事例1:業務の一部を効率化
事例2:部門間の生産性を向上させる
事例3:働き方の変革を促す
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このカタログについて
ドキュメント名 | 実践!! CADデータ活用によるDX実現の取り組み <機械設計3DCAD活用本> |
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ドキュメント種別 | 製品カタログ |
ファイルサイズ | 1.7Mb |
取り扱い企業 | iCAD株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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『実践!! CAD データ活用による DX 実現の取り組み』
はじめに
本稿では「実践‼CAD データ活用による DX 実現の取り組み」と題して、モノづくりのデジタル化をどの
ように進めていけばよいかを考察する。DX はご存じの通り「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」の略称
であり、その定義は「データとデジタル技術を活用し、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、
組織、プロセス、企業文化・風土を改革し、競争優位性を確保すること」である(DX 推進ガイドライン/経
済産業省)。本稿の後半では、「モノづくり DX」実現に向けた取り組み方と、その実現例を紹介する。
製造業を取り巻く環境について
ご承知の通り、労働人口の減少は深刻な問題である。国の統計によると、2015 年から 2040 年の
25 年間で、実に 2,128 万人の労働人口が減ると言われており、これは、現在の労働人口の 20%が
減少することを意味する。この人手不足の問題は一括採用が可能な大手企業より、中小企業の方がよ
り深刻となっていくと考えられる。
図 1 日本の労働人口
(出展:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成 29 年推計))
さらには、低い労働生産性が問題となっている。国の統計では、就労時間の長さはアメリカと比べて大
差ないが、時間当たりの労働生産性で比較すると、アメリカの約 6 割(図 2)の水準となる。労働人口の
減少は、確実に進んでいくため、現状の労働生産性では、近い将来、事業の拡大どころか今の仕事量を
維持することすら困難だと言わざるを得ない。つまり、今後はこれまでの仕事のやり方だけでは立ち行かな
い変革期を迎えることになると考えられる。
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図 2 日本の労働生産性は米国の約 6 割の水準
(出展:総務省 令和 2 年版 情報通信白書)
その変革期を乗り越えるためのカギが「モノづくり DX」と言われている。「モノづくり DX」は、製造業を取
り巻く様々な変化や、今般の感染症拡大のような脅威に対し、データとデジタル技術を活用することによ
って、変革を起こし、生産性向上、付加価値創出、競争優位性を確立する取り組みだ。「モノづくりDX」
を推進することこそ、変革期を乗り越えて、事業の継続、拡大に繋がっていく。
国の統計では、「モノづくり DX」に対して、取り組みを始めている、もしくは実施を検討している製造業の
企業は 4 割を超えている。一方、企業規模で見た場合、大企業が 6 割を超えるのに対して中小企業で
は 3 割程度に留まっており、6 割以上では、実施していない・今後も予定なしと回答している。実施して
いない理由としては、「明確な目的や目標が決まっていない」「やり方が分からない」と言った声があげられ
ている。現状の根底にあるものは「モノづくり DX」に対して、経営者をはじめ、企業全体での理解が深まっ
ていないことが大きな要因だと考える。
図 3 「モノづくり DX」に取り組む中小企業は約 3 割、今後も予定なしが 6 割以上
(出展:総務省(2021) 「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究」)
※従業員数 300 名以下を中小企業で分類。
「モノづくり DX」の全体像と推進スキーム
では、「モノづくり DX」はどのように進めていけばよいのか。次項の図 4 は「モノづくり DX」の推進状態を
三段階に整理したものだ。業務の一部を効率化する推進状態が第一段階。次に、部門間や業務プロ
セス全体の生産性向上に繋がる推進状態が第二段階。ここまでが主に自社内における取り組みとなる。
次に、製品やサービスの競争力強化や付加価値の提供、従業員の働き方変革に繋がっていく推進状
態を第三段階とする。ここまで来ると、自社だけではなく、製品を利用するユーザまで取り組みが広がる。
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この全体像を理解し、自社がどの段階まで実現できているかを検証することが出発点となる。自社が
「モノづくり DX」には取り組んでいないと考えていても、この枠組みで見た場合、すでに第一段階から第二
段階の間で、日々様々な取り組みをしているというケースも実は多い。「モノづくり DX」の本質は、必ずし
も新しいことを考えて取り組むことだけではなく、今実現できていることに対して、次の目的や目標を設定し
ていくことから始めればよいと考える。
図 4 「モノづくり DX」の三段階の構造
【第一段階】業務の一部を効率化する例
従来は、出図後に紙図面をコピー、配布するなど煩雑な作業が発生していた。さらには紙図面の膨大
な格納スペースも必要だった。そこで、紙図面を PDF ファイルに置き換えることで、配布作業をなくすだけ
でなく、見たい図面が検索できるようになったことで効率化が図れるようになった。
一方で、承認者が手書きのサインを入れる設計ルールのために、紙図面が一時的に発生し、さらには
スキャナを使って PDF ファイルを作成する、負荷の高い作業が残った。1図面当たり 2 分を要するとして、
50 図面では 100 分の作業が発生する。閲覧の自由度は上がったが、出図枚数が多い場合や設計変
更時に都度作業が発生することを考慮すると労働生産性については改善の余地がある。
そこで、設計ルールから見直すことで、設計者は、システム上で承認依頼をするだけで、CADファイル
の格納から電子押印、PDF ファイルの作成までを一気通貫で手作業を介さずに実施できるようになり、
労働生産性を大幅に改善することができた。この例からも「人手が介在する作業」など、デジタル化が不
十分な箇所に着目して改善していくことが、「モノづくり DX」の推進に繋がっていく。
図 5 デジタル化が不十分な箇所に着目し、出図作業の自動化を実現した事例
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【第二段階】部門間の生産性を向上させる例
次に第二段階として、部門間の生産性を向上させる事例を紹介する。従来、メカ・エレキ・制御の設
計はそれぞれ各部門で作成した情報を異なるデータ形式で持っており、情報伝達を行うためには人が情
報を解釈し、自部門で使えるように情報を転記する必要があった。このため、確認漏れや転記ミスが発生
するだけでなく、関係部門との打合せや問い合わせに多くの時間が取られるなど、労働生産性が悪い中
で仕事を進めてきた。
そこで、それぞれの設計で扱う情報を一元的に蓄積、活用できるように、3 次元 CAD を共通のプラッ
トフォームとすることで、情報のやり取りにおける無駄や転記ミスなどの問題が解決できるようになった。例え
ば、メカ設計者によって、使用する部品や構成に変更が発生した場合には、エレキ設計者は、人を介さ
ずに部品不一致の発生情報を CAD データだけで確認することができる。さらには、制御設計者は、メカ
設計者が設定した動きの情報やエレキ設計者が作成した回路図を利用して、実機が組み上がる前に組
図モデル上で制御プログラムのシミュレーションを行なうことが可能となる。
図 6 CADデータに蓄えた情報を部門間で一元的に活用した事例
図7で紹介する事例は、ある電子部品メーカの制御プログラムの実機検証において、従来通り実機
調整した場合と、実機が組み上がる前に制御プログラムを検証した上で実機調整した際の、作業項目
数と作業工数を比較したものだ。
単純比較は難しい面もあるが、作業項目数で 31%、作業工数で 44%の削減を達成していることが
分かる。また、実機が組み上がる前に検出できた不具合は、検出率で 71%。情報を一元的に蓄積、活
用することは、各設計部門が並行して検討できるようになるだけでなく、製造工程で発覚する問題のフロ
ントローディングを実現する。従来では成しえなかった労働生産性の向上が、このようなプロセスを通して
実現できるようになる。
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図 7 制御プログラムの事前検証における効果
【第三段階】働き方の変革を促す例
最後に第三段階として、働き方の変革を促す事例を紹介する。従来、原因特定が難しいトラブルは、
担当者が出張するしかなかった。また、結果的に「空振り出張」となり、多くの時間がムダになったという話
もよく聞く。原因が特定された場合でも、そこから交換部品の手配となれば、機械の停止期間がさらに伸
び、利用ユーザの収益悪化に影響を及ぼすリスクもあった。
そこで、第二段階で紹介した制御プログラムのシミュレーションをさらに発展させ、納品先の機械からリモ
ートで情報のやり取りができる、新たな製品と付加価値を提供した。これにより、出張回数の削減や交換
部品の納期短縮を達成するなど、従業員の働き方に変革を促すことができた。「モノづくり DX」を推進す
ることは、情報を繋ぐことであり、それを活用することで、様々な部門やプロセス、顧客との働き方に変革を
促すことに繋がっていく。
図 8 実機と仮想環境を繋ぎ、新たなサービスの提供を実現
【3 つのポイント】「モノづくり DX」進め方
これまでの考察から、「モノづくり DX」を進める上でのポイントは、3 つになる。
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⚫ 1 つ目は、作業単位や部門間で発生する情報のやり取りに対して、デジタル化が不十分な箇所が
ないか着目すること。このことで、次の目的や目標が設定しやすくなる。
⚫ 2 つ目は、労働生産性を向上させるために、情報は可能な限り、一元的に蓄積、活用できるように
すること。データを分散させたり、手作業が入ると労働生産性は悪くなる。
⚫ 3 つ目は、やりたいことが増えてくると、扱う情報量は確実に増えていくこと。目標達成のための道具
選びは、成功の賛否を左右する要素となる。
3 次元CAD移行の課題とサポート
これまで見てきたように、「モノづくり DX」を推進していく上で、3 次元 CAD は欠かせないツールだ。しか
し、3 次元 CAD を導入すれば、成功するというわけではない。どんな 3 次元 CAD であっても、CAD の
変更や 3 次元設計への移行に対して、不慣れや抵抗感が伴うためだ。何も対策を打たずに、導入に踏
み切ると、習熟度が上がらないばかりか利用者も増えず、移行を断念するケースもでてくる。これを解決す
るには、短時間かつ簡単で「これならできる」と感じられる取り組みが必要となる。
3 次元 CAD 移行の課題については、開発元の SE が導入初期のスムーズな立ち上がりを支援するこ
とで、不慣れや抵抗感を減らすことに繋がると考えている。開発元が持つノウハウを元に、短期間で 3 次
元設計へ移行するためのサポートが受けられるだろう。3 次元 CAD という「道具」を、企業の業務になじ
ませていくことこそが「モノづくり DX」の推進に繋がっていくと考えている。
図 9 モノづくり情報を一元的に蓄積・活用するプラットフォームの構築イメージ
本稿では、「モノづくり DX」実現に向けた取り組み方について考察したが、3 次元データ活用によって効
果を出せる場面はまだまだある。他にも機械設計に役立つ情報を掲載しているため、是非参考にしてほ
しい。皆様の情報収集にご活用頂ければ幸いである。
■iCAD 技術ポータルサイト
URL:https://cyplusvine.oatnd.com/top
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