半導体不足問題、
製造現場の人たちは
どう考えている?2022年8月版
技術者120名に聞きました!
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アペルザ様_wp33_02[はじめに]
は じ め に
2021年4月ごろから顕在化した半導体不足の問題ですが、か
れこれ1年以上経ついまも、まったく改善の兆しが見えません。
今回、製造業で働くアペルザユーザーに対して調査を行ったと
ころ、状況を悲観する意見が散見され、改善どころか、明らか
に悪化していることがはっきりとうかがえる結果が出ました。
国内の半導体の供給量を増やそうにも、その設備を作るため
にも半導体を用いた部品が必要です。まさしく企業単体レベル
では、「手の打ちようがない」としか言いようがない状況なの
かもしれません。
今回の調査では、苦しい状況でもがく生産現場の姿が浮き
彫りになりました。
目 次
実態調査:アンケート結果
・回答者のプロフィール……………………………………………03
・半導体不足の実態…………………………………………………03
・不足している半導体………………………………………………03
・半導体不足が加速した理由………………………………………04
・自社ビジネスへの影響……………………………………………04
・納期遅延に対する工夫……………………………………………07
・半導体不足解消の見通し…………………………………………08
実態調査:技術者インタビュー
・「とにかく部品が調達できなくて困っているし、状況が解消
される兆しもない。」 Aさん 回路設計:約10年
製造業(電子部品・デバイス・電子回路)中小企業…………10
・「半導体設備を作っているが、制御部品が入手できないため
作れない。」 Bさん 生産技術:約15年
製造業(産業機械)中小企業……………………………………11
・「CPUやコンデンサの在庫が尽きるとは夢にも思わなかった。」
Cさん 電気設計(制御系):約15年 製造業(産業機械)中小企業
………………………………………………………………………12
概 要
調査時期:2022年7月5日~7月13日
対象者:製造業で生産技術や設計などにかかわる技術者の方
回答数:175
有効回答数:122
02
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アペルザ様_wp33_03[アンケート]
回答者のプロフィール 製造業で生産技術や設計などにかかわる技術者の方を中心とした122名を対象とし、
最近の半導体不足について、業務への影響や意見などについてお尋ねしました。
Q 所属する企業の業態を教えてください。 その他 21%
農業機械 1% 産業機械 30%
情報通信機器 2%
電子部品・デバイス・電子回路
家電、事務機器 5% 19%
医療機器・器具 5%
自動車・航空・船舶など輸送機器
部品加工・生産 6% 11%
半導体は不足していますか?
Q あなたの職場で、半導体が
不足していると感じられますか? はい
「はい」との回答が9割でした。 90%
ほとんどの方が半導体が不足して
いると考えています。
いいえ
10%
半導体が不足していると感じている方におたずねしました
Q 半導体で不足していると 「センサー類」が最多。次いで「CPU」「マイコン」となりました。
思うものを教えてください IoT化を検討する企業にとってはなかなか厳しい状況です。
抵抗 2
FPGA 2
フィルター類 6
GPU 7
SoC 10
光半導体(発光デバイスやLEDなど) 18
ダイオード 22
コンデンサー 28
メモリ 32
パワー半導体 32
トランジスタ 33
マイコン 43
CPU 49
センサー類 51
0 10 20 30 40 50 60
その他 ● AD、DA、Op-Amp等のアナログデバイス ●アクチュエータ関係のコントローラ等(モータやケーブル等も間接的に影響)
● インバータ、モータ、アンプ ● インバーターなどの制御機器やリレーやPLC ● ゲートドライバ ●コネクタ類
●チップ抵抗 ● 多種 ● 抵抗器 ● 電気関係すべて(規格ものの樹脂から不足) ● 電装品全般
● 半導体を使用した電気機器全般 ●保守を含めた加工設備の制御装置部品 ● 半導体を使用する電子機器の納期がかかっている
03
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アペルザ様_wp33_04[アンケート]
半導体が不足していると感じている方におたずねしました
Q 半導体不足が加速した理由は
何だと思いますか?
「コロナ禍による生産」という回答が最多でした。
よく知らない、分からない 5
デジタルトランスフォーメーションの加速 21
第五世代通信の開始 22
自動車の電動化 28
拠点地域での自然災害など 48
中国の貿易問題 64
コロナ禍による生産減 92
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
その他 ● コロナ禍明けの市場再開に対しての供給力不足と大口需要家向けの優先的な供給による偏り
●ウクライナの問題 ● 在庫の抱え込み
● 需給バランスの偏り、設備投資のタイミングの悪さ、中国での生産性の停滞
Q 半導体不足は、
自社のビジネスにどのように影響していますか?
「予定や計画の乱れ」が最多となりました。
海外拠点の稼働 4
職場の士気の低下 14
全社目標の未達、見直し 22
従業員の配置や勤怠 23
売上高の減少 39
製品リリース日程の遅延、見直し 40
生産数台数の減少 53
予定や計画の乱れ 90
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
その他 ● 測定機器の高騰 ●保守部品がまったく入手できず稼働設備保守計画が立てられない
● 部品在庫の積み増し ● 新規試作の提案に難
04
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アペルザ様_wp33_05[アンケート]
半導体が不足していると感じている方におたずねしました
Q 自社のビジネスへの影響について
詳しく教えてください
●半導体部品が不足し、電子基板が実装できず、製品を製造できない ● 部品納期遅延につき、製作期間、顧客納入時間の遅延が発生しています
●センサ、PLC等が入手できず、計画通りに生産設備が導入できない ●大量の受注を抱えている中で、部品納期遅延により製品完成が遅れること
●エンドユーザーの計画見直しで稼働日の変更や従業員の配置換えが頻繁に発生
●商社に対し見積を行っても納期回答が年単位、もしくは納期回答が出せない状態
●生産設備の納入が遅れているため、それに伴う増産、人員の配置が遅れている
●農業機械に使用されるCPUが供給不足のため、組立ラインの停止が発生している
●メンテナンス時の交換部品が間に合わない。緊急修理交換作業に対応できない
● 以前は受注後部品手配を行っていたが、受注前に一部部品の在庫を持つようになった
● 必要な半導体が入手できず、営業部門からの希望要求数に対して、生産ができていない
●急な納期変更を迫られることが急激に増えているため、現場と間接でいざこざが起きがち。部材が入手できず、市場流通でも取り
合いが発生しており、計画どおりの部材調達が難しい
●生産装置の予備品を確保しようとしても納期に時間がかかり過ぎて計画を変えざるを得ない
●設備を導入しようとしても部品が不足してるとのことで納期が長くなって、業務が進まない
●部品の入荷が著しく遅いため、代替えの部品を探したり、配線も仮にできるように手間がかかる
●生産調整を行い、稼働日を減らしたり、土曜稼働日を増やしたり、時期をみた対応が多くなっている
●部品調達のリードタイムが長くなり、生産計画の見直しが頻繁に発生。最悪生産停止となったこともあった
● 調達困難部品により生産ができない製品が発生し始めている。調達価格の高騰により、利益を圧迫し始めている
●モノが入らないのは仕方なく、手の打ちようがない。購買力の強いメーカーの買い占め問題も被害を助長している
●新規設備導入や、製造設備保全において、半導体関連の部品がないことにより、遅延などの影響が起こっている
●工場内空調設備故障時の交換機器の納入が遅れ、納期待ちの間、作業環境悪化による生産効率低下が発生しました
●部品欠品で、ライン休止しました。また設備工事においても、部品納期が大幅に延びてしまい、連休工事の計画を延期させました
● 購入を検討している機器類の納期が読めない。半導体不足により生産に大きな支障が出ているという。こんな製品にまでという
くらいに広範囲である
● 物不足により、製品生産ができない状況。設計した内容の変更等、余計な業務が増えている。また製品開発においても、物を入手でき
ず、試作ができない
●部材の納期が確定しないので、それを組み込んだ製品の納期回答が出せない。新たな開発をしようとしても、構成する部品がその
カテゴリごとないため、企画を出せない
● 設備納期は通常通り短納期を要求されるが、今まで手に入っていた機器類が入手困難。置き換えが可能なものは再設計、変更を行い
対応。余計な労力や不要な工数、費用が大幅に発生している
● 半導体を使った製品が入ってこないため見積もりは来るが納期が長すぎて注文が入ってこない状態。また受けた注文も納期遅れの
ために場合によってはこちらで生産保証をしなければならなくなっている
Q 半導体不足は、
あなたの仕事でどのような問題がでていますか?
「納期の遅延」が最多。次いで、「必要な部品、部材が調達できない」「部品調達コストの高騰」となりました。
仕事が暇になった 6
残業の増加 15
目標の見直し 34
業務効率の低下 45
製品や部品が製作不可、生産ストップ 52
部品調達コストの高騰 61
必要な部品、部材が購入できない 82
納期の遅延 89
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
その他 ● 代替品の調査・検討 ● 稼働設備の維持の不安 ● 再選定、再設計業務の増加
● 設計変更に伴う工数増加
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アペルザ様_wp33_06[アンケート]
半導体が不足していると感じている方におたずねしました
Q 半導体不足は、あなたに心理的
ストレスを与えていますか はい
なんとも
「はい」が過半数以上と 56%
最多となりました。 いえない
33%
いいえ
11%
Q 半導体不足により起こっている問題を解消するために、職場で望むことはありますか?
前の設問でも計画や納期関係の悩みが最多であったことから、この問いへの最多回答も「納期の猶予」となりました。
どうしようもない 30
人員を減らす 4
人員の増強 8
設備への投資、増強 10
社内目標の緩和 19
業務効率化や自動化 27
製品企画や設計の見直し 49
納期の猶予 67
0 10 20 30 40 50 60 70 80
その他 ● 仕入先の支援 ● 在庫のある部品を使用するように設計変更 ● 早くもとに戻ってほしい
上記回答について詳しく教えてください。
●部材入荷遅れに伴い納期間際の作業が増加。自動化による不可軽減が必要 ● 部品数を減らす、部品の共通化(代替が確保できるように複数社で生産検討)
● 変更処理をせざるを得ないが、そのために無駄なリソースを割く必要がある ● 社内の努力では対応できないため、社内目標を変更することでしか対応できない
●できることはするが、無理なことは無理なので、それに応じた対応(変更)をする ● 負荷が確実に増大しているため、経営層はそれに対する打ち手を考える必要がある
● 素子の仕様によっては代替物の準備が難しく、完成品の提供に遅れが生じている ● 急な納期変更に対応できる人員と、客先との設計変更の交渉が必要になることもある
●自社影響は対策可能も、客先自動車メーカーがすぐに計画変更を開示せず対応不可能
● 環境改善へ設計見直しで入手可能な部材への切替等を行い対応する以外に方法がない
●自社製品顧客に対して社内設備の問題による納期遅れや数量不足は理由にならないから
●全体日程遅延により、複数設備の同時立ち上げが起こっており、設計に負荷が集中している
●正規ルート以外(市場)からの調達も厳しくなっており、供給能力が回復しないとなんともいえない
●デジタルエンジニアリングツール活用によるフロントローディング実施により納期対応を加速している
● 以前使用していた部品が入手できないことから、入手可能な部品に合わせて設計変更をしなければならない
● 業務に偏りが出てきているので、納期に余裕を持たせ、平滑化を図るために人員増強が必要と考える
●費用がかさむのもやむなしの風潮がある。時間がたてばいずれ解決するものと考えているようである
●今日聞いた納期が明日には変わってしまいます。工事の計画がまともに立てられないこと、偉い人に理解して欲しい
● 設備導入が遅れるので導入した場合の対応策と、遅れた場合の別方法の対応策を2倍の仕事量をこなす必要が出てきた
●通常なら不要な工数や、手間が増えていることは理解されていると思うが、それでも何とかしないといけない状況。板挟みな状態
● ユーザーへの納期回答が出せず、日々部品の問合せや調査業務が発生しているので、これらを効率改善するためにソフト等を作成している。
●暫定で別の物に変更した場合でも、追加で加工が不要になるように、固定穴の位置が同じか、難しい場合は、両方の穴をあけるようになった
● 半導体が思うように入ってこない状態で組立ラインが定時割れすることがある、その時間を効率的に使用するため、ポカヨケや安全を推進するようにしている
● 希望メーカーの電気機器の入手ができず、入手可能なメーカーへの変更で回避。各種メーカーでの整合性が必要、例えばPLCであれば三菱、オムロンなど
● 設計見直しをしても火に油を注ぐだけ(また、欠品する恐れがある)であり、無駄な投資はできない。今できる範囲でできることを愚直に実施するのみ
● 小ロット・短納期を強みに事業を進めてきましたが、製造部門に関わる半導体を使用している設備・機器が故障した場合に、納期の猶予が少ないことで対応
できない事例が多発しています
● 客先納期に間に合わない、部品が入荷すると途端に忙しくなる。実装した基板の在庫が無くなると暇になる、を繰り返している。納期に猶予があれば基板
入荷後の繁忙が低減されると考える
● PLCやインバータ、サーボモータ等は現時点で1年以上先の納期を伝えられているので、注文もそれ以上の納期がかかるのは当然だが、客はそんなに
待ってくれない。営業には申し訳ないが「なんとかします」ではなく、きちんと納期を説明して無理のないスケジュールで機会をつくりたい
06
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アペルザ様_wp33_07[アンケート]
半導体が不足していると感じている方におたずねしました
Q 納期遅延に対して、どのような工夫をしていますか?
最多は「代替品を検討する」。次いで、「開発や生産計画を状況に合わせて修正する」となりました。
やはり、どんな事情があれども「製品を作るのをやめることはできない」ということになるようです。
また「あきらめている」という回答も、それなりの数でありました。
どうしようもない。諦めている 24
発売や開発そのものを中止する 5
開発や生産計画を状況に合わせて修正する 60
代替品を検討する 78
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
その他 ● 市場在庫調査を繰り返し行っている ● 調達さん次第 ●先行発注
●先行で必要そうなものを購入している ●市場流通部品の調達
上記回答について詳しく教えてください。
●置き場所がないため、動かない状態で出荷し、事後対応 ●入手できる部品を探し、設計変更をしたりしている
●納期に問題のない他メーカへの置き換えも行っている ●前述同様にメイン対応とサブ対応でやっていく
●代替品を検討し、スペック的にOKであれば採用している ●同メーカー・同型ではないものでも代替品として使用する
●各商社様経由や、海外子会社経由にて代替品を調達している ●納期が遅れることが分かった時点で調整する。どうしようもない
●他の生産用の部品を代替するなどを含めて、生産計画を変更している ● 弊社では調達課(購買)が管理しているので詳しいことは分かりません
●代替品も手に入らなくなりつつあり、今年度の生産はかなり厳しい状況 ● 在庫状況が日々変化するため、なるべく調査を短いスパンで実施している
●さまざまな代替品を検討し、早期評価することで納期遅延を最小限にしている
●計画の修正で対応しきれない場合は、特採扱いで代替品の使用も一部実施 ●代替品を検討してるが、同等品も同じ状態(納期遅延)なので打つ手がない
●ドタバタしてもどうにもならない状況のため、日程・計画の調整を日々実施 ● 待つ。無くても生産に支障がないものは、無い状態で使用するなど対応している
●可能な限り代替品を調査。もしくは後でその部分だけ導入するようなことを検討している
●代替品を検討したりしているが、FPGAはまるごと入手困難なので、諦めるしかない状況
●同等製品の物を模索していますが、他の方も同じことを考えているので同様の製品が不足しています
●固定穴位置を含めた、同等スペック品の選定をしている(後に正規の設計品に戻すことができる)
● 置き換えも思い当たるところは大体同じ状況。場合によってはコンセプトから変更することもある
●主に代替品の準備を検討している。代替の効かない素子については諦めて生産時期を遅延させている
●ないものはないので仕方ないが、地域レベルでパーツの確保などをさまざまな関連業者様と進めようとしている
●同等機能を有する部材をグローバルで探し、品質評価のうえ、代替えを行い、性能、品質の担保含め対応している
●コストは上がるが、他メーカーの物を使用したりしている。また海外支社があるのでそちらで手に入れるようにしている
●代替品検討、生産計画見直しなどにチャレンジしているものの、適用までのラグがあるのでどうしようもない部分がある
● 状況に応じてベストな選択をするしかないが、代替対応することにより性能や品質が落ちるようなら計画を見直すしかないと思う
●その都度、生産計画を見直し、ライン休止か、継続かギリギリの判断を繰り返しています。下請けメーカーさんに、多大なご迷惑をおかけしています
●営業に納期猶予の依頼をしているが、お客様に打診することで失注するのではないかという不安から、製造部門の要望が受け入れられていないのが現状です
Q 半導体不足を起因とする納期遅延の発生について、顧客など周囲の理解は得られていますか?
過半数の方は「はい」と回答していました。しかしながら「いいえ」という回答も3割近くであり、
厳しい状況であるからと言って、必ずしも顧客の理解が得られるとは限らない状況であるようです。
その他 6%
顧客などによって差はある
何とかしてほしいとの要求はある はい 63%
分からない 4%
いいえ 27%
07
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アペルザ様_wp33_08[アンケート]
半導体が不足していると感じていない方におたずねしました
Q 半導体不足が感じられない理由は何ですか?
今回は、そもそも「不足が感じられない」という回答が非常に少なく、
理由としては、下記が挙がっていました。
● 半導体が足りているから ● 納期調整可能なものについては納期調整、実験実施調整 ●十分確保済み ●予備部品をもっている
● 半導体を使う製品を作っていない。メーカーにより納期がかからない ● 事務機器の外側を作っているから
回答者全員の方におたずねしました
Q 半導体不足はいつ解消すると考えますか?
「よく分からない」「2023年前半」という回答が、2割ずつで最多。
「2023年後半」が15%。「目途が立たない」は13%。
8カ月前の2021年11月の調査では、「2022年中には解消する」と過半数の方が回答、「よく分からない」という
回答は18%、「めどが立たない」が9%でした。今回、回答が明らかに悲観的になっています。
その他 1% 2022年後半 4%
2023年前半 20%
よく分からない 20%
目処が立たない 13% 2023年後半 15%
5年後以降 7% 2024年前半 8%
2年後以降 12%
その他 ● 約2年程この状態が続き、改善傾向が見られないので、この先年単位で続くと思う
Q 半導体不足について、世の中や業界がどのように変わればいいと思いますか?
「日本国内半導体復興」という回答が、41%と最多でした。
その他 2% 日本国内の半導体
(日の丸半導体)復興
今までとは違う国
での生産を行う 41%
7%
拠点の国内誘致を増やす 7%
業界構造や供給体制を
よく分からない 16% 改善する
27%
その他 ● 設計の工夫、対応 ● 米中間の貿易問題の解消
● 半導体市場では、メーカー・ユーザーよりディストリビューターの力が強くなっていると感じます。
日系の強いディストリビューターができるとありがたいです
08
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アペルザ様_wp33_09[アンケート]
回答者全員の方におたずねしました
Q 前頁回答について
詳細を教えてください。
●秋月電子商会で扱っている部品で設計するようにしている ●部資材調達プロセスの改善、調達リスク対策計画の改善など
● 抜本的な改革、見直しのタイミングなのではないかと考える ●海外調達の依存度が高すぎる&円安で海外からの調達はコスト高
● 中国、韓国は信用ならないため、日本も生産を復活させるべき ●一部が止まっても他で生産していける仕組みにしていければと思う
● 供給体制の改善により納期遅れが解消できるのであればありがたい ● 他の国で生産することにより、災害などでのPCBの問題が緩和される
● 国内であれば、外国の影響は少なくなり日本国内の経済もよくなるから
●何か一つ欠けるだけで生産できない、競争は必要だが標準化も進めるべき
●世界情勢の不安定さとコロナのロックダウン国からの供給をあてにしない
● 半導体については複数拠点で同一部品を生産するなどのリスク軽減が必要
●最先端の誘致は地震のリスクがあるので難しい。国内半導体復興が望ましい
●自然災害の対策は難しい、離れた位置に拠点を増やすしかないと考えます
●日本もそうだが、海外に生産拠点があることのデメリットが露呈したと思う
● 半導体業界は設備投資が巨額で一企業では難しいため、国の支援が必要
●海外拠点を増やしても、その国により囲まれる恐れがあるので、国内拠点を再度検討
●需要と供給のバランスが崩れているので、再度供給体制の見直しが必要だと思われる
● 国外の情勢はコントロールできるものではないので、自国で調達できれば良いと思う
●ただ生産拠点を換えても、そもそも原材料不足は解消しないので改善の見通しは望めない
●貿易問題なのか世界情勢なのか、日本にはなく違う国ではあるのか状況がわからないです
●円安で技術力挽回のために国産での生産して日本の技術力をアピールして仕事を増やしてほしい
●先端品を含め、重要品は戦略的に国内回帰し生産すべき。政府の早期決断が必須。現在の方針は中途半端すぎる
●日本の人件費が対海外比で下がってきているようなので、安価・高品質・安定供給が可能になれば良いとの考えから
●さまざまな問題が絡み合った結果が現状、と認識している。抜本的に何かを変えなくてはいけないと思うが、それが何であるのか
把握できていない
● 中国、および中国に工場を持つ会社からの購入があるが、社会主義国ゆえの考えがあるので、海外調達比率を下げ、今日の円安も
踏まえ国内回帰を考えるべき
●部品の非計画的な先行手配等でさらなる枯渇を生んでいる事象があるので、供給体制を見直すことにより、ある程度改善されるの
ではと期待している
●災害国であり、少子化で縮小していく日本に誘致してもしょうがない。設計ができる半導体技術者もほとんど海外に流出した。経
済的にも日本が負けている時点でどうしようもない
● 難しいかもしれないが、やはり自国での供給体制があれば国際情勢に左右されにくくなる。また国内の雇用創出にも繋がり、良い
のではないかと。できれば国からの後押しがあればなお良い
●コスト面から国内メーカー単独の半導体製造は難しいと思いますので、TSMCの熊本工場のような海外のトップ企業を誘致し、国内
関連企業と提携する形を地方を含めた全国で展開してもらいたい
●アペルザさんからの情報だが来年増産工場を建てる計画があり、その稼働はさらに後と考えると5年後くらい位には落ち着いて欲
しいと思う。国内で半導体を作るのはコストがかかりすぎるのかもしれないが国主導で最低限の確保はできるようにしてほしい
●世界的な需給バランスが崩れた結果と思われるので、全体を賄うのは困難で、むしろ国内でどれだけ確保できるかで勝負するしか
ないだろう。国内に生産拠点を増やし、国内向けの供給を優先する体制にして、国内需要にこたえるような形態にするしかないの
ではと考える
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アペルザ様_wp33_10[インタビュー]
interview 01 回答者プロフィール
Aさん/回路設計:約10年 仕事の内容
製造業(電子部品・デバイス・電子回路)[中小企業] 電気製品の回路設計
今回のお話 とにかく部品が調達できなくて困っているし、状況が解消される兆しもない。
Q 半導体不足の なって苦しんでいる。顧客からも、製造からも、
状況について。 厳しいことを言われてしまう。
実装などを依頼するパートナー企業においても、
2021年の4月ごろからしばらくは、納期が遅 部品調達で苦労している。
れながらもなんとか部品が入ってきていたが、時
が経つにつれて、だんだん調達できなくなって
いった。2022年の初めぐらいまでに、少し改善 Q 調達がままならないなか、
の兆しが見えて何とかなっていたが、2月ぐらい どのような工夫をされていますか?
から再び厳しくなり始めた。2月ごろからのウク
チップワンストップやRSコンポーネンツ、マウ
ライナ危機や、中国のゼロコロナ政策でのロック
ザー・エレクトロニクスなど、ECサイトをよく利
ダウンが強く影響していると思われる。
用している。一つひとつECサイトなどを検索する
とかなり効率が悪いため、ごく簡易的なものであ
半導体や部品など、 るが、社内で部品の調査や検索を効率化するソフ
Q 調達が厳しい部品は? トウェアを開発した。
これまでは部品商社から購入していたが、ロッ
半導体ではマイコン系の調達が厳しい状況。コネ ト売りで安い半面、使い切れない量を買わなけれ
クターは、産地や原材料の調達の都合なのか品薄だ。 ばいけないこともある。会社の方針としては、ス
ループットを重視し、極力在庫を持たない主義で
あるため、ECサイトを使うことは、結果的に理に
Q 半導体や部品メーカーからの回答は、 かなった結果にはなった。
どのような状態ですか?
半導体メーカーからは、納期の回答があれば、「10 この状況に関する
カ月以上先」「1年以上先」と言われることが多い。 Q 顧客の理解はいかがですか?
顧客も同様の状況であるので、「お互い様」とい
Q そのような状況で うことで、協力しあって乗り越えている。
どのような苦労をされていますか?
標準品も新規部品も、とにかく部品が調達でき Q 半導体調達の問題は
ない。調達価格が高騰しているため、当社の利益 いつ頃解消されるでしょうか。
を圧迫し始めている。
調達できない部品については、海外メーカーを 「2年後以降」と一応回答している。もしも5年
中心に代替品を探している。うまく代替品が見つ 以上長引いてしまったら、われわれメーカーは立
かっても、部品外形が大きくなると、他の部品に ち行かなくなってしまうかもしれない。
も影響が出るため、設計で調整が必要になる場合 今、国内外で電気自動車(EV)の市場が拡大
が多い。コネクタで高さがあるものは、かなり厳 しているさなかで、限りある半導体はそちらに
しい。 優先的にあてがわれてしまうのではないかと心配
社内で一番困っているのは調達部門だと思う。 している。
設計は完了していても、部品待ちで生産が進めら
れないという状況になっている。顧客には、代替
品検討や設計変更などでの価格アップを許容して Q 半導体不足について、世の中や業界が
もらうか、納品を待ってもらうようにお願いする どのように変わればいいと思いますか?
しかない。 国内拠点の半導体生産が増え、供給が安定する
心理的に一番しんどいのは営業担当ではないか こと。中国で生産したものは、中国国内で吸い取
と思う。顧客と、当社の製造との間で板挟みに られてしまいそう。
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アペルザ様_wp33_11[インタビュー]
interview 02 回答者プロフィール
Bさん/生産技術:約15年 仕事の内容
製造業(産業機械)[中小企業] 半導体設備の導入や設計
今回のお話 半導体設備を作っているが、制御部品が入手できないため作れない。
Q 半導体不足の状況が、 半導体不足は
職場でどのように影響していますか? Q いつ解消するでしょうか?
当社は、半導体設備を生産している。このよ 5年後以降。かなり厳しいのでは。報道で
うな状況なので、どこの企業も増産しようとし 「半導体が余っている」ということを聞いたこ
ているため、受注をたくさんいただいている。 とがあったが、あれは本当なのだろうか。一体、
しかし、PLCやモーターなど制御関係の機器や どこにあるのか教えてほしい。信じられない。
部品がなかなか入ってこないので、生産がなか
なか進まない。「部品待ち状態」になってしまう。
Q 半導体不足について、世の中や業界が
どのように変わればいいと思いますか?
Q 部品メーカーの納期回答は、 拠点の国内誘致を増やすこと。ただ……その
どのような感じですか? 設備の一部を当社が作っているわけで……。
「未定」が多い。納期回答が来るのは幸いな
ケースだが、それでも「1年以上先」という回
答が多い。そのような回答を受けつつ、突然部
品が入ってくることはある。感覚としては、
「未定」が半分、「何らかの納期回答」が半分で
あるが、このような状況なので、「調達の見通
しが立たない」ことには変わりがない。
Q 部品不足の中、
どのように対応していますか。
PLCやモーターは、開発方針としてメーカー
を固定し、そのことで性能を担保している面も
あり、代替品はなるべく採用したくない。ただ、
代替品を検討しようとしても、どこも同様な状
況で、調達できないことには変わりがなく、ど
うしようもない。
社内の遊休設備や放置されている設備などに
まで目を光らせて、「使えるPLCがないか」「使
えるモーターはないか」と探している。見つか
れば、ばらして、それを使っている。
顧客の設備を稼働させることを優先し、部品
がない状態でも使用できるようにすることも
ある。
11
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アペルザ様_wp33_12[インタビュー]
interview 03 回答者プロフィール
Cさん/電気設計(制御系):約15年 仕事の内容
製造業(産業機械)[中小企業] 電装品の開発
今回のお話 CPUやコンデンサの在庫が尽きるとは夢にも思わなかった。
半導体不足の か許容できないといった印象。顧客の前に、ま
Q 状況について。 ず営業から難色を示される。
去年から今まで、ずっと悪く、むしろ悪化し 営業は、以前であれば、顧客と製造のメッセ
ている。今年の初めくらいに少し改善された兆 ンジャー役を淡々と担っていたらよかったが、
しは感じたが、また悪くなった。 今は強気な価格交渉をしなければならず、かな
りのプレッシャーがかかっているのではと思う。
Q 半導体不足の状況が、
職場でどのように影響していますか? Q 部品不足のなか、
どのように対応していますか。
半導体価格が高騰し、原価を圧迫してきてい
る。全社的には、半導体不足の影響を受けない 部品そのもので機能を担保していたら、代替
事業もあり、まだ売り上げを圧迫するレベルま できない。もうそうなると、部品が入手できる
でには幸い至っていない。 まで生産をストップしておくか、回路設計から
そもそも必要な部品もなかなか入ってこない。 やり直すしかない。
製品開発では、基板向けの部材が入ってこない 他社の基板メーカーだと、同じ最終製品にと
ために、なかなか前に進められない。 りつく基板を、部品が入らない前提の基板と、
部品が調達できたとして、従来より高くつい 入った後の基板と2種類用意していると聞いた。
てしまう部分は原価で吸収して耐える。それが 入手可能な部品を使う前提で最初から設計を
厳しければ、製品価格に乗せざるを得ない。「赤 していくことと、市場の流通状況を常に注視し
字」は、企業としての価値を著しく落とすこと て、欲しい部品をすかさず入手するしかすべは
になるため、それだけは避けなければならない。 ない。
もう軒並み、部品調達がダメ。CPUやコンデ 今、「海賊版」のような、中国製の不正コ
ンサなど、これまでは在庫が尽きるとは夢にも ピー品が流通してしまっているため、それをつ
思わなかった部品まで調達が難しくなっている。 かまないようにしている。しかし、一度引っか
基板が作れず、どうしようもない。 かってしまった。
Q 部品メーカーからの納期回答は、 Q どうやって「不正コピー品」に
どのような感じですか? 気が付いたのですか?
「1年以上先」が多いが、それどころではない、 部品に組み込んでみたら動作しなかったので
とんでもないほど先の回答もある。「半年後」と 気が付いた。
回答があれば、「お、短いね?」思ってしまう
ようになり、感覚がかなり麻痺してきている。
Q 半導体不足について、世の中や業界が
どのように変わればいいと思いますか?
Q お客さまの対応は まるで品薄の人気ゲームを取り合うかのよう
いかがですか? な状態になってしまっているように感じられる
このような状況であるため納期は比較的待っ ため、購入側ももう少し紳士的になれたらいい
てくれるものの、やはりコストアップはなかな のではと思う。
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半導体不足問題、
製造現場の人たちはどう考えている?
技術者 120 名に聞きました!
【2022 年 8 月版】
発行日:2022年8月24日
発行:株式会社アペルザ
問合せ先:aperzacatalog-mail@mail.aperza.jp
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