食 品 ・ 医薬品 ・ 化粧品 の
設計/製造に携わる50名に聞きました!
今話題の
サステナビリティ
実際のところ
は じ め に
この1、2年の間で「サステナビリティ」や「SDGs」といった
言葉が報道や企業のなどからよく聞こえてくるようになりま
した。食品や医薬品、化粧品を取り扱う企業おいても、その
取り組みへ宣言が見られるようになってきています。もちろん、
今後の社会をよりよくしていくためには必須な取り組みでは
あります。その一方で、製造や開発に携わる現場ではどう思
われているのでしょうか?
今回の調査では、そのリアルな現状や意識を探りました。
目 次
実態調査:アンケート結果
・回答者のプロフィール……………………………………………03
・サステナビリティについて、意識や取り組み…………………04
・現場での取り組みについて………………………………………06
実態調査:技術者インタビュー
・「リサイクルにかかる『コスト』と『ビジネス』のバランスが悩み
どころ」Aさん/研究開発 約5年 化学系メーカー…………09
・「これまでの環境ISOとサステナビリティでの環境配慮との
違いは?」 Bさん/研究開発 約25年 医薬品メーカー……10
・「医薬品の分析ではなかなか対応が難しいと思う……」
Cさん/研究開発 約20年 医薬品メーカー…………………11
概 要
調査時期:2022年1月6日~1月21日
対象者:食品・医薬品・化粧品関連の製造に携わる生産技術者、
生産管理者、製造担当者、設計技術者
回答数:227
有効回答数:59
02
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アペルザ様_wp⑰_03[アンケート]
回答者のプロフィール 食品・医薬品・化粧品関連の製造に携わる、生産技術者、生産管理者、
製造担当者、設計技術者を主な対象として、製造現場でのサステナビリティ
(SDGsやESG)関連の取り組みや課題などについてお尋ねしました。
今回は、59名の方に回答をいただきました。
Q 所属する企業の業態を
教えてください。 医療機器・器具
その他 14% 41%
食品
12% 化粧品
医薬品 17%
17%
※「その他」は、対象分野に関連する製品に携わる企業です。
Q 所属する企業の
従業員数を教えてください。
1~9人 2
10~19人 2
20~49人 6
50~99人 9
100~299人 14
300~499人 5
500~999人 5
1,000~2,999人 6
3,000~4,999人 1
5,000~9,999人 4
10,000~19,999人 4
20,000人以上 1
0 2 4 6 8 10 12 14 16
Q あなたの職種を Q あなたの職場では何を
教えてください その他 製造していますか?
機械設計 2% 7% 研究開発 今回の回答の一部をご紹介します。
IT(ソフト、 24%
情シス) 3% 医療・薬品系
保守/ ● 医薬品・化粧品原料 ● 体外診断用医薬品
メンテナンス ● 人工骨、酸素濃縮器 ● 医療用分析装置
3 ● 抗ウイルス関連 ● 細菌検査用生培地、ガラスシリンジ
%
食 品 系
電機/
●
制御設計 7% 野菜の品種の種子 ● 米菓 ● 冷凍食品、惣菜
● 高齢者向け真空パック食材
製造
生産管理 8% 17% 化 粧 品 系
生産技術 ●
品質管理/ スキンケア商品 ● 基礎化粧品
品質保証 14% 15% ……など、他にもさまざまな製品が挙がっていました。
03
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アペルザ様_wp⑰_04[アンケート]
サステナビリティについて、意識や取り組み
Q あなたの職場の業務の中で、「サステナビリティ」「サステナブル」という考え方や
言葉が少しでも出てきていますか?
自社の中で、多少なり出てきているという回答が、6割に上りました。
他社でしか聞こえないという回答は2割ほどでした。
他社からも、 少し出てきている
自社からも聞こえてこない 42%
6%
かなり出てきている
他社から聞こえてくるが、 30%
自社からは聞こえてこない
22%
Q 「サステナビリティ」「サステナブル」「ESG」「SDGs」という言葉は
よく理解していますか?
「分かっているつもりだが、人に的確に説明できる自信がない」という回答が7割でした。
多くの人の頭の中で、その知識が比較的ふんわりとしたものであると考えられます。
理解にあまり
自信がない 分かっているつもりだが、
14% 人に的確に説明できる自信がない
70%
自信があり、
人に的確に説明できる
16%
Q 設計製造やご自身の業務において、
「サステナビリティ」の必要性について、どうお考えですか?
取り組みの意義ができているという回答が9割近くを占めました。
ただし、その中で「多少の疑問があり」と回答した方が約半数いました。
取り組む意義が理解できず、 意義は理解できるが、
取り組む必要性も感じられない 多少の疑問はありつつ取り組む
6% 48%
取り組む意義が理解できないが、
会社が求めているので取り組む
6% 新しい時代に向けて
必要な取り組みという信念がある
40%
04
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アペルザ様_wp⑰_05[アンケート]
Q あなた自身の「製造とサステナビリティ」の定義や意味は?
製造業とサステナビリティについて、具体的にはどういうことであるとお考えなのか、「独自
解釈でも構わない」として、フリーコメントで尋ねてみました。ここでは、その一部を紹介します。
● 製造するものは、排出されるまでを考えないといけない ● 業種の持続可能性を考えること。人事教育、環境整備
●リサイクル、ごみの最小化、生産の効率化、人にやさしい業務 ● 環境への配慮、基本的人権への配慮、多様な性別への配慮など
● 製造過程の省エネ、販売後の廃棄物を極力なくし、地球環境維持すること ● 企業が存続するための、持続的に製造が出来、利益を生み出すこと
● 環境や人に考慮した製造方法に変更し、持続可能な社会(会社)を目指す ● 環境負荷を抑えた製造プロセスの運用
● 製造は文字通り作ること、サステナビリティの継続や維持、持続、続ける(られる)こと
● 持続可能な社会のために、CO2排出のニュートラル化と3Rを促進する
● ESGへの取り組みとしてヒト・モノ・カネのリソースを循環できることを目指す
● 製造工程上(仕入から加工、出荷までを含め)、将来的に不可となる問題が少なく、生産し続けられること。環境面において、排ガス・産業
廃棄物などの問題もなく、生産を続けられること
● 環境に悪影響のある材料使用料の削減、世界各国のエンドユーザーが製品をどう廃棄するか?を考慮した製品の設計
● 製造現場で環境汚染の最小化、廃棄物の最小化を常に心がけ継続した製品製造を行う顧客に製品を供給し続けられる
● 製造に使うモノ(燃料、資材、人材、時間)が持続可能なものかを理解して使用し、少しでも持続可能なものに選定改良していくこと
●つくる人も設備もシステムも持続可能な状態を目指していく
●人間の活動が地球温暖化という原因になっていることが明らかとなった今、製造品がどれだけ地球に負荷をかけているのかを見える化
させることがサステナビリティの第一歩と考えている
● 環境に悪影響のある材料使用料の削減、世界各国のエンドユーザーが製品をどう廃棄するか?を考慮した製品の設計
●ディザスタリカバリも含めた継続的な製品供給と、その回収から原料化することによる循環型の製造モデル
● いかに資源のロスを減らして後の世代に負債を残さないようにするか?
● 出荷した製品を必要が無くなったら回収し、それを整備する等して、使い回すこと ● なるべくリサイクルできる部品等を使用する
● 無駄をなくし、製造コストの低減、設計時間の短縮 ●効率よく情報収集しながら開発を進めてゆくための手法の確立
●食材ロスを減らしたり、使用するエネルギーを再生可能なものにする ●食品製造業であるゆえに、フードロスはコストの観点からも対策が必要
● 種子は全部売ってしまうと次がなくなってしまうので、生産に回す分を計画的に確保しておく
Q 「製造とサステナビリティ」について素朴な疑問を教えてください。批判でもなんでも結構です。
ここでは、「特にない」「分からない」という意見や、完全重複している内容以外は極力全て掲載
してみました。しばしば聞こえてくる抽象度が高い話に戸惑いがあったり、実際にどう取り組むべきか、
事業や自身の業務の利点など、具体的な情報発信がまだまだ不足していることがうかがえます。
担当個人的には、少々言いづらいカタカナであることが、よく知らない人に心理的ハードルを
作るようにも感じます。
● SDGsとよく言われているが、単純明快な資料がなく、いまだによく分からない
● 問題を広く考えるべき、ということと理解しているが、広すぎて理解が追い付かない面がある。中小企業でも理解ができ、具体的な施策立案・
実行までできるよう、自分たちも勉強しないといけないが、情報提供等で国からのサポートが欲しい
● 国や地域に因る価値観の相違 ● 欧州のEVトレンドには疑問があるが、製造活動におけるサステナビリティは必ず取り組むべき問題であると認識している
● どこまでやるべきか、やれるのか ● どこの分野の製造まで広がりをみせているのか分からない(危険な薬品などを使用していない分野でも必要なのか?)
●サステナビリティに傾き過ぎだと思う、現状との段階的対応が重要 ● ここ最近、よく聞くようになったが、中小企業では企業体力的に対応不可では?
● 業務の効率化と環境への配慮のバランスが困難 ● 理想的ではあるが現実が難しい ● いいことをいっているが、本当に実現可能なのか?
● 実際にどこまで可能なのか ● 具体的な進め方が分からない ●仕方が分からない
● 高い理想はあるけれど実際には外部へのアピールにとどまり実質的でないケースがある。
● CO2削減は理解できるが、理念が先行しすぎて実現可能性が低い印象を感じる ● 廃棄物ゼロで、製品の製造はできない
● 廃棄物の分離徹底には時間がかかるのを解決したい
● 製造する以上0にはできない。無理のないサステナビリティの設定が必要であり、労働者への負担ばかりが増えるのでは根付いていかない
●元々、生産活動自身はサステナビリティに反するものなので、どこまで歩み寄れるかが疑問
● いわゆる地球温暖化に向けた将来世代に向けた地球維持活動だが、政治活動は特権で矛盾を感じるが、果たしてSDGsは効果をどこまで
上げられるかが疑問だ
● 費用対効果の評価がむずかしい。どのくらいの時間軸で評価するかの基準が分からない。要するに、元が取れるのは数百年後でも評価され、
付加価値がつくかどうか
●サステナブルを実現するには資金と設備が必要。結局、強いものが勝ち残るための方便ではという気持ちがある
●今までの安価に製造して利益を上げるという考えでは成り立たないとは思いますが、価格を転嫁することが非常に難しい世の中になって
きているとは思います
● 社会の要請によるサステナビリティを推し進めることによって、コストが上がったり、利益が圧迫されることになり、結果、製造現場でその
概念があまり浸透しておらず、経営との温度差が生じる
● 二律背反の部分が少なくない ●目先の目標の裏で他のところが犠牲になっていないか? ●カタカナではなく、日本語にしてほしい
●どの企業でもコロナ禍の中、取り組みが滞っているのではないか ●ナイロン袋をマイバッグにしているが家庭から出すゴミはナイロン袋
●プラスチックのマテリアルリサイクルよりサーマルリサイクルのほうが環境負荷が少ないのでは(プラごみが減った分、ごみ焼却に燃料の
添加が必要な場合があると聞いたことがある)?
●化石燃料も廃棄物や有害ガスも二酸化炭素も回収してリサイクルすればサスティナブルといえるのではないでしょうか
● 環境マネジメントシステムとどう違うのでしょう ● 持続可能なために実はCO2を大量に出している。電気自動車などが最たるもの
● 取り組まないと始まらないと思うが、個人にかえってくるものはあまりないように感じてしまう ● 本当に効果があるのかが不明
● 努力が報われるか ●人類のエゴの象徴 ●世間が、単に、何でもかんでも環境や社会に良いことをするような風潮にならないようにしたい
●大量生産と大量消費 ● 統一的な手法 ● 特許、文献以上のAI的な適格な情報収集が効率的にやりたい
05
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アペルザ様_wp⑰_06[アンケート]
Q 「製造とサステナビリティ」について、「何か、勘違いしているのでは?」「これは間違っているのでは」
ということを見聞きした経験があれば、どんなことか教えてください。
社会の理解度がまだこれからで、製造業においてはまだ具体性を欠いた情報も少なくないこと
もあり、勘違いもかなり横行してるのでは? とお訊ねしました。直前の問いの回答として捉え
られるような内容もあります。「分からない」「意識していない」といった回答以外を載せました。
● 欧州のEVトレンド
● SDGsを遂行しようとすると科学的な理解が必要であると思いますが、実際はイメージが先行して実質的に意味がないことが多い。企業
イメージの向上に利用されるケースもある。しかしながらイメージ作りをきっかけに少しでもSGDS概念を実現させることには賛成しています
● 相手の立場によって会社利益と社会への貢献や影響を説明し分ける必要がある環境に考慮するだけでいいのかと考えてしまう。利益が
あってこその環境配慮ではないのか?
● CO2排出を完全に悪と考え、新規事業等は重い炭素税のハンデを負わされる傾向を持っている
●大きい視点で捉えていく問題だと思うので、短絡的にとりあえずこれをやっておけばいいというものではないと思う
● 特にありませんが、サステナビリティを単純な生産継続だと思っている現場の人が多い。社会のサステナビリティだということが本音で今一つ伝わらない
● 工場においては、一概に自動化を進めないといけない、ということではないと思っているが、自分の周囲ではこのようなハード面を取り
上げられることの方が多いように感じている
● 研究開発のプロセスで過去の経験、知見を効率的に見つけよりスピードアップしたい。
●人類の繁栄は、他種にとっては迷惑なだけ 現実的に貧富の差が顕在化
● バイオマスプラスチックは原料輸送や製造時のエネルギーを考慮した場合カーボンニュートラルにならないのでは?
●自然エネルギー ●リサイクルができる排出形態
● 製造は人間がかかわるとビジネスに直結。エネルギー問題は大きく、化石燃料の使用や地震災害から大原発を多数の小原発に切り替える
方向もある。これって地球維持活動!? 何か勘違いしているように見える
●プラスチックを敵対する考え
現場での取り組みについて 以降では、回答者の現場で具体的な取り組みが
あるかについて尋ねました。
Q サステナビリティに関して、製造の現場で実際に具体的な取り組みがありますか?
製造の現場での取り組みがないという回答が6割近くとなりました。この1年か半年くらいの間で、専門の部署が立ち上がったり、
会社としてのミッション提示が増えてきたりといった動きがよく聞こえてはくるものの、現場での具体的な取り組みについて、多く
の動きが見られるのはもう少し先かもしれません。
会社としては 会社としては
ミッション提示がないが、 ミッション提示がなく、
製造の現場から取り組みがある 製造の現場でもない
18% 32%
会社としては
ミッション提示があり、 会社としては
製造の現場でも取り組みがある ミッション提示があるが、
24% 製造の現場ではない
26%
「製造の現場から取り組みがある」「製造の現場でも取り組みがある」と回答した方に聞きました
Q 製造でサステナビリティに 分からない 1
取り組む理由は?
会社の売上向上 3
「製品を通じての社会貢献」が 長期的目線で見た場合の 6
最も多く、次いで「カーボン コストダウン
ニュートラルや温室効果ガス 製品性能の向上 6
削減対応」となりました。
顧客要求への対応 6
自社や製品における
ブランドイメージの向上 9
カーボンニュートラルや
温室効果ガス削減対応 13
製品を通じての社会貢献 16
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18
06
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アペルザ様_wp⑰_07[アンケート]
「製造の現場から取り組みがある」「製造の現場でも取り組みがある」と回答した方に聞きました
Q あなたの現場で行う、SDGsへの取り組みについて、該当する番号を教えてください。
※SDGs=「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称
「つくる責任 つかう責任」が最も多く、(当たり前ですが……)製造業らしい結果となっています。
次いで「すべての人に健康と福祉を」が多く挙がっています。ここのところで製造業の過労働やパワハラの報道が騒がれた
ことも背景としてあるかもしれません。
よく分からない 1
11.住み続けられるまちづくりを 2
10.人や国の不平等をなくそう 2
1.貧困をなくそう 2
6.安全な水とトイレを世界中に 3
2.飢餓をゼロ 3
5.ジェンダー平等を実現しよう 4
16.平和と公正をすべての人に 6
15.陸の豊かさも守ろう 6
13.気候変動に具体的な対策を 6
8.働きがいも経済成長も 7
7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに 7
17.パートナーシップで目標を達成しよう 7
14.海の豊かさを守ろう 7
9.産業と技術革新の基盤をつくろう 8
3.すべての人に健康と福祉を 8
12.つくる責任 つかう責任 11
0 2 4 6 8 10 12
上記について、例えばどういうことに取り組んでいるか、教えてください。
フリーコメントの回答の一部を紹介します。
● CO2削減、節水、廃棄物削減、太陽光パネル設置 ● ゴミ・使用エネルギーの削減 ● フードロス低減 ● リサイクル
● 再利用できる材料を開発している ● 自然に優しい素材による製品開発 ● 生分解性素材の研究開発
● 植物由来の原料を使用する ● ヘルスケア分野の製品供給と製造の効率化や原料の選定による環境負荷の低減
● 以前の知見を効率的に探し、次開発目標の設定に役立てる ● マニュアル化 ● ものづくり ● 開発製造のしくみ
● 電力節約へのシステム見直し ● 食品衛生検査室を新たに作る ● 業務における、男女差を生じさせないようにしている
● 対等性、人と人
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アペルザ様_wp⑰_08[アンケート]
「製造の現場から取り組みがある」「製造の現場でも取り組みがある」と回答した方に聞きました
Q 製造とサステナビリティへの取り組みについて、課題や壁となっていることはありますか?
人による意識の温度差が最多でした。サステナビリティに関する理解度向上がこの後に続いています。
取り組みをし出している企業でも、社内での啓蒙が課題となっているようです。
経営層が現場に十分に投資してくれない 1
設問の前提が不敵と考える 1
具体的な取り組みが分からない 2
具体的な取り組みを現場任せにされる 3
経営層と現場との意識の温度差 3
人や時間が不足しているため、
十分に取り組めない 6
サステナビリティに関する理解度向上や教育 9
人による意識の温度差 12
0 2 4 6 8 10 12 14
上記理由について、詳しく教えてください。
● 国の提示が抽象的であるため、具体的な考えはない ● 「2050 CN」に対応する長期的方針が会社にない ● 価値観の相違
● 人それぞれの意思がある ● 人によって感覚が異なるため、それを埋めることが難しい ● なかなか概念が分かりづらい
● 周りとの温度差を感じる ● 理解にも個人差がある ● 全従業員の取り組みへの意識向上が、今後の課題である
● サステナビリティに関する理解度の向上や教育が不足している ● 関係者が多く時間がかかる取組が多い
● 利益とコストの考え方 ● 会社利益の拡充と環境負荷低減が反比例する部分もあり、業務スピードが遅くなる
● 具体的に進めたいが人不足で進め方に問題
● 具体的に問題が発生していることを把握はしていないが、個々人での業務量が多すぎるという話はよく聞くので、配慮する
時間がないのでは?と思う
● 日々の仕事に追われ、取り掛かれないという人もいる ● 個別的なアプローチで効果がよく分からない
Q ESGに関連したところで、製造ではどういう取り組みをしていますか?
※ESG=「Environmen(t 環境)」「Socia(l 社会)」「Governance(ガバナンス)」
最多が環境問題対応、次いで長時間労働の抑制となりました。
よく分からない 2
積極的情報開示や不正隠蔽の防止 3
人権差別解消への取り組み 3
ウェルビーイングやウェルネス
(健康経営などに準じた活動) 6
社員の自主性の喚起 6
ハラスメント(嫌がらせ)の防止 9
長時間労働の抑制 10
環境問題対応 12
0 2 4 6 8 10 12 14
上記について、例えばどういうことに取り組んでいるか、教えてください。
ハラスメントに関することや労働時間管理についての回答が目立ちました。
● ハラスメント窓口の開設(第三者機関) ● ハラスメント防止の管理職教育や、人材育成による業務の均等化による残業削減
● 人種差別的な考え、発言を根本から見直す ● 相談窓口の設置やフレックスタイム制の導入拡大など ● 研修、労働時間管理
● 労働時間の管理、見える化 ● 時間外労働削減への取り組み ● 統合報告書で取り組みを紹介している
● 毎月、匿名のアンケートを実施 ● マニュアル化 ● 二酸化炭素排出削減 ● リサイクルを顧慮 ● 電力節約へのシステム見直し
● 製造における配慮 ● 具体的には取り組んではいないが、社員の日頃の振る舞いから、にじみ出るような風潮になっている
● 仕事の中で意識的に取り組む姿勢を問い、役立てていく ● 広い意味での健康性
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Page9
アペルザ様_wp⑰_09[インタビュー]
interview 01 回答者プロフィール
Aさん/研究開発:約5年 仕事の内容
化学系メーカー(社員数10,000~19,999人) 医療器具の研究開発
サステナビリティへの取り組み:「会社としてはミッション提示があるが、製造の現場ではない」
今回のお話 リサイクルにかかる 「コスト」と「ビジネス」 のバランスが悩みどころ
Q 自社やご自身の現場でのサステナビリティ 組むべきことであり、顧客から「捨てるのが
の取り組みについて教えてください。 もったいない」という声も聞くことがよくあって、
経営者が相当力を入れている。化学系はサス 取り組みを始めた。
テナビリティについての取り組みは、比較的 リサイクルは社会的には有意義であり、技術
「分かりやすい」分野だと思う。当社では、「マ 的にも十分可能であり、コストさえかければ
イクロプラスチック」の問題へ対処するために 実現できることである。今日のように、社会で
プラスチックを減らす、CO2削減に取り組む 環境配慮やSDGsへの呼びかけや意識が強まり、
ためにリサイクルをするといったことを行って その対応への顧客要望が高まったことは、そこ
いる。自分が担当する製品においても、リサイ に取り組む大義名分を与えてくれている状況
クルの取り組みを開始しようとしているとこ ともとれる。そうした中、当社を含むさまざま
ろだ。さまざまな製品の扱いがあるが、部署 な企業が、コストのことを気にしつつ取り組み
ごとで取り組みの進度や意識に差が出ている を始めてみたら、「意外と、やっていけそうだ」
状態だ。 と分かりはじめてめてきているのではないだ
ろうか。やはり、取り組んでみないと実際の
ところは分からないということなのだと思う。
Q 職場の皆さんの
意識の差もありますか?
やはり、個人ごとの意識の重さは千差万別。 Q 開発側としては、その付加価値のために
少しコストを上乗せしていくことができる
ということになりますか。
Q 取り組みの差が
そういうことになる。ただ、その「少し」の
出ている理由は?
部分が問題で、そこでかけるコストが現実的で
リサイクルに取り組むためにはコストがかか あるかどうかということは、やはり悩みどころだ。
るため、部署ごとにどこまで優先度が高いかが
異なってくる。市場の大きさや売上比率や額に
関連し、リサイクルに投資することによる市場 Q ここのところでやはり、
や売上へのインパクトが大きければ投資のモチ 顧客の要望が急速に強まっていますか?
ベーションは高くなるし、逆であればそれなり 顧客もリサイクルなど環境配慮について、
になる。例えば消耗品など単価が安い製品では、 過去には今ほどに意識していなかったと思う。
顧客からリサイクル対応の要望が出たとしても、 製品を追加工する際の廃棄物処理やそれにか
対応しづらい。そうしたことと合わせ、各部署 かるコストを気にかける声がよく聞こえてくる
の管理者自身の思想が、取り組みへの温度差を ようになった。
作り出している面もある。
自分が担当する製品についていえば、グロー
バルで見ても市場があまり大きくないため、
リサイクルへの取り組みの優先順位をあまり
高くできないが、やはり社会のためには取り
029
Page10
アペルザ様_wp⑰_10[インタビュー]
interview 02 回答者プロフィール
Bさん/研究開発:約25年 仕事の内容
医薬品メーカー(社員数10,000~19,999人) 医薬品の研究開発
サステナビリティへの取り組み:「会社としてはミッション提示があり、製造の現場でもある」
今回のお話 これまでの環境 ISO とサステナビリティでの環境配慮との違いは?
Q 自社でのサステナビリティの 製品のリサイクルについて、
取り組みについて教えてください。 Q 取り組みはありますか?
自社自体はサステナビリティへの取り組みは 取り組みはない。リサイクルにかかるコスト
積極的であり、脱炭素への取り組みや環境にや も問題だが、医療機関で使用される医薬品の廃棄
さしい素材開発などを行っている。また、ここ 物は「医療廃棄物」であるため、一般の産業廃棄
のところで大きな組織改編があった関係で、自 物と比較して衛生面などの管理が厳格であり、
分の所属部署におけるサステナビリティの方針 処理の仕方も大きく異なる。そのため現実的には
や意識が大きく変わり、高まった方向だ。当社 難しいと考える。ただし、材料の工夫で廃棄時に
内、グループ会社、部署ごとでその意識や取り なるべく環境の負荷を小さくするなどの工夫は
組みの進度の差がある。 できると考えている。
Q 自身の職場での Q ほか、環境配慮の取り組みとしては、
取り組みについて どのような活動がありますか。
SDGsでいうと、医薬品はライフサイエンス 事務作業については、使用する紙の量を減らす、
関係に該当するので、そこに注力する形だ。環境 節電するといったことは、長年、職場において
にやさしい原料を使うなどしている。環境にやさ 取り組んできたこともあり根付いている。設備
しいということは、身体にも優しいということに 導入時にも省電力かどうか、空調であればフロン
なり、顧客や消費者のためにもなることだ。また を使用していないかどうかなど、考慮するのが
製品使用時の廃棄物や排水にも配慮していくこと 当たり前になっている。
も始まっている。生産時の廃棄物や排水への配慮
はISO14001関連の取り組みとして、以前から 自社の ESG への
行ってきた。グリーン購入もずっとやってきた。 Q 取り組みについて
医薬品の製造は効率重視な面が強いが、効率を 「よりよい職場環境を作ろう」と会社全体で
高めると環境負荷がかかってしまう。そのバラ 取り組んでいる。ハラスメントの防止について
ンスを見ながら取り組んでいる。 は管理職を中心に教育が行われている。部下に
はそれを噛み砕いた形で展開されている。自分
自身のマネージャ業務においては、普段から部
Q これまでの環境ISOと、
下とよくコミュニケーションを取り、打ち解け
今のSDGsの環境配慮への取り組みの
て話しやすい関係になるように心がけ、業務へ
違いについてはどうお考えですか?
の不満などのガス抜きを適度にして溜め込まな
環境配慮という大目的は変わらない。ISOの いようにしている。
場合は期ごとの目標をクリアしていく取り組み
長時間労働の抑制については、リソースが限
である一方、SDGsやサステナビリティとなると られた中で業務を行わなければならない中で、
「持続性」「将来」を強く意識して、長期間での 担当と業務をがちがちに固定せず、仕事の混み
目標になると考える。 具合に応じてフレキシブルに人を動かすように
することで、業務負荷が集中しないようにする
など工夫がなされている。
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アペルザ様_wp⑰_11[インタビュー]
interview 03 回答者プロフィール
Cさん/研究開発:約20年 仕事の内容
医薬品メーカー(社員数300~499人) 医薬品の分析
サステナビリティへの取り組み:「会社としてはミッション提示があるが、製造の現場ではない」
今回のお話 医薬品の分析ではなかなか対応が難しいと思う……
Q 自社でのサステナビリティの 事務処理などで
取り組みについて教えてください。 Q 紙はまだ結構あるのですか?
親会社においてサステナビリティへの取り かつてよりは業務や書類のデジタル化がだい
組みいろいろとが進められている。しかし、 ぶ進んできているが、顧客の業務が依然として
「サステナブルなのか?」よく分からない取り 紙の原本主義であり、なかなか紙は減らない。
組みもあり、なんとなくふんわりとして感じら
れる。自社については現在、今後の事業経営
自体をどうしていくかに課題があり、サステナ Q 企業においてサステナビリティの取り組み
ビリティのことまではまだ考えられていない が広まるには、何が大事だと考えますか?
状態だ。ただし親会社の方での取り組みがある 労働者に負荷をかけることなく、無理なく
ことと、今後の事業継続やブランド力向上など 進められる目標を設定すること。
を考えれば、何らかの取り組みは必須であると
思う。
Q お客さまから、サステナビリティ対応への
要求は増えてきていますか。
当社の医薬品や分析については取り組みの
検討はない。ただ、医薬品の包装紙などでの
対応は今後、顧客要望が強まるなどしてくれば、
対応していく可能性はあると思う。医薬品の
分析においては品質重視であって、リサイクル
をすることによってそれが損なわれるようで
あってはならない。また環境配慮や省電力に
配慮して空調コントロールがうまくできないと、
それが分析結果に左右してくるため難しく思う。
業務遂行においては、無駄な業務をなくし効率
を良くするように心がけたり、使用する紙の
削減などには取り組んだりはしている。
1012
食品・医薬品・化粧品の
設計/製造に携わる50名に聞きました!
今話題のサステナビリティ、実際のところ
発行日:2022年2月9日
発行:株式会社アペルザ
問合せ先:aperzacatalog-mail@mail.aperza.jp
リクエスト募集中!
ぜひお声をお聞かせください
https://forms.gle/e2M17aghUfWaFeyD8