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半導体不足が加速した理由、ビジネスや業務への影響、今後の見通し、業界が取り組むべきことなど、“半導体不足問題”について実態調査を実施しました!
新型コロナウイルス問題や生産拠点での自然災害といった事態が重なったことで陥ってしまった、現在の半導体不足の問題。
世の中のありとあらゆるものが電化している中で、そして世界中の製造業で打撃を受けている状況で、今も大きな改善の兆しが見えず、問題解消時期の見通しも立たないといわれています。
本調査では、そのような状況で、ものづくりを支える製造業の現場がどのような課題や悩みに直面し、そして、どのように乗り越えようとしているのかを探りました。
<目次>
■実態調査:アンケート結果
●回答者のプロフィール
●半導体不足の状況、および影響について
●今後の見通し
■実態調査:技術者インタビュー
●「前工程から車体が来なければ仕事ができない。従来設備の保守では部品調達ができずに困っている」(自動車メーカー)
●「3カ月から半年程度の生産計画遅れが発生している一方、今年に入ってからの受注増で現場が多忙に」(産業機械メーカー)
●「製品に使用する部品が入ってこないため、生産ができない。状況は悪化している」(家電・事務機器メーカー)
<概要>
■調査時期:2021年10月26日〜11月2日
■対象者: 生産技術にかかわる技術者の方
■回答数:260
■有効回答数:158
このカタログについて
ドキュメント名 | 半導体不足問題、製造現場の人たちはどう考えている?――技術者200名に聞きました! |
---|---|
ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
ファイルサイズ | 1.2Mb |
取り扱い企業 | 株式会社アペルザ (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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アペルザ様_wp⑩_01[表1]
半導体不足問題、
製造現場の人たちは
どう考えている?
技術者200名に聞きました!
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アペルザ様_wp⑩_02[はじめに]
は じ め に
新型コロナウイルス問題や生産拠点での自然災害といった事態
が重なったことで陥ってしまった、現在の半導体不足の問題。
世の中のありとあらゆるものが電化している中で、世界中の製造
業で打撃を受けている状況で、今も大きな改善の兆しが見えず、
問題解消時期の見通しも立たないといわれています。
本調査では、そのような状況で、ものづくりを支える製造業の
現場が、どのような課題や悩みに直面し、そして、どのように乗り
越えようとしているのかを探りました。
目 次
実態調査:アンケート結果
・回答者のプロフィール……………………………………………03
・半導体不足の状況、および影響について………………………04
・今後の見通し………………………………………………………05
実態調査:技術者インタビュー
・「前工程から車体が来なければ仕事ができない。従来設備の保守
では部品調達ができずに困っている」(自動車メーカー)
………………………………………………………………………06
・「3カ月から半年程度の生産計画遅れが発生している一方、今年
に入ってからの受注増で現場が多忙に」(産業機械メーカー)
………………………………………………………………………07
・「製品に使用する部品が入ってこないため、生産ができない。
状況は悪化している」(電子部品メーカー)
………………………………………………………………………08
概 要
調査時期:2021年10月26日~11月2日
対象者:生産技術にかかわる技術者の方
回答数:260
有効回答数:158
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アペルザ様_wp⑩_03[アンケート]
回答者のプロフィール 製造業で生産技術や設計開発に携わる方を中心に、
158名の方に回答をいただきました。
Q 所属している 情報通信機器
企業の業態 その他
2% 25%
医療機器・器具
4% 産業機械
22%
家電、事務機器
8% 自動車・航空・
船舶など輸送機器
部品加工・生産 18%
11%
電子部品・デバイス・電子回路 その他
16 ●
% 金属熱処理 ● ITサービスなど
Q 所属している企業の 1~9人
従業員数 20,000人以上 10~19人
13% 3%
2%
10,000~19,999人 20~49人
3% 7%
50~99人
5,000~9,999人
9 7%
% 100~299人
3,000~4,999人 18%
3% 300~499人
9%
1,000~2,999人
11% 500~999人
15%
Q あなたの職種を Q 何を製造していますか?
教えてください 生産技術 差し支えない範囲で
33% 教えてください
その他 16%
製造 主 な 製 造 物 ● 油圧機器 ●洗濯機
● 4輪・2輪のエンジン部品
6% ● 産業製造機器 ●化合物半導体、テープ基板
●電気系インフラ設備 ●工作機械 ●ドラム缶 ●集じん機
品質管理 ● 自動車内装 ● インクカートリッジ ●コンベヤ ●建材 ●繊維
/品質保証 ……など、さまざまな回答がありました。
7% 生産
管理
研究開発 設計開発 3%
8% 27%
03
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アペルザ様_wp⑩_04[アンケート]
Q あなたの職場で、半導体が不足していると
感じられますか?
はい
いいえ 85%
15%
「いいえ」と回答した人の理由として挙げられていた大半が、
「半導体を使う製品を作っていないから」ということでした。
Q 半導体で不足していると思うものを Q 半導体不足が加速した理由は
教えてください 何だと思いますか?
1位:センサー類 2位:CPU 、マイコン 「コロナによる生産減」がトップ。ほか、貿易問題や拠点での
自然災害の影響などを挙げる声が目立ちました。
SoC 5
GPU 6 その他 1
フィルター類 13 コロナ禍からの需要の急増 1
5Gやクラウドなど技術の発展と、コロナの
光半導体 影響によるリモート授業などの需要増 1
(発光デバイスやLEDなど) 17
ダイオード 21 工場の火災・被災 2
コンデンサー 28 よく知らない、分からない 12
メモリ 32 第五世代通信の開始 12
トランジスタ 36 自動車の電動化 28
デジタルトランス
パワー半導体 44 フォーメーションの加速 28
マイコン 47 拠点地域での自然災害など 42
CPU 47 中国の貿易問題 46
センサー類 58 コロナ禍による生産減 109
0 20 40 60 0 25 50 75 100 125
Q 半導体不足は、自社のビジネスにどのように Q 半導体不足は、担当する業務にどのように
影響していますか? 影響していますか?
「開発や生産の計画が乱れている」と多くの方が回答。 「納期の遅延」「必要な部材が入ってこない」といった
問題が多く挙がっています。
従業員の配置や勤怠 6
納期短縮工程の見直し 1
海外拠点の稼働 7 仕事増により 生産キャパを
超えていて納期遅延多発 1
職場の士気の低下 8
仕事が暇になった 3
全社目標の未達、見直し 27 残業の増加 10
製品リリース日程の
遅延、見直し 50 目標の見直し 38
売上高の減少 49 業務効率の低下 40
生産数台数の減少 57 製品や部品が製作不可、
生産ストップ 51
予定や計画の乱れ 104 部品調達コストの高騰 60
0 25 50 75 100 125 必要な部品、部材が
購入できない 97
納期の遅延 105
0 25 50 75 100 125
04
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アペルザ様_wp⑩_05[アンケート]
Q 半導体不足により起こっている問題を解消するために、
職場で望むことはありますか? 特にない 2
人員を減らす 2
案の定、「納期の猶予」や「製品
企画や設計の見直し」が上位に。 人員の増強 9
設備への投資、増強 18
「どうしようもない」という声が
社内目標の緩和
とても目立ちました。 21
確かに、この事態は業界や企業が 業務効率化や自動化 29
何か悪いことをしたというわけで どうしようもない 40
はないので……。 製品企画や設計の見直し 58
納期の猶予 74
0 20 40 60 80
Q 半導体不足はいつ解消すると考えますか?
2022年中には解消すると多くの人が回答。
P.6以降に掲載しているインタビューでも「この先のことがよく見えない。希望的な意味で回答した」との声がありました。
ここでの「する」は、「してほしい」なのかもしれません。
よく分からない 18% 2021年末までに
目処が立たない 4%
9% 2022年前半
5年後以降 35%
3% 2022年後半
2年後以降 16%
15%
Q 半導体不足について、世の中や業界がどのように変わればいいと思いますか?
国内での半導体生産の復興を望む声が多く挙がりました。
その他 1%
日本国内の半導体
米中間の貿易問題の解消 3% (日の丸半導体)復興
よく分からない 39%
8%
今までとは違う国での 業界構造や供給体制を改善する
生産を行う
9% 29%
拠点の国内誘致を増やす
11%
●
ユーザーの声 政府が主導してこの問題に取り組んでほしい
(抜粋)
● 現在、半導体は決まった企業や国で生産されているため、生産できる
●国でも日本国内の半導体復興を推進していることと、国内経済の低迷 拠点を増やすことができれば解決できると思う
から成長へと変革を願います ●人・コストと海外に目を向けてきたが、中国・東南アジア共にメリット
● 不足している半導体は最先端ではないので、日本国内で生産可能、 は薄くなってきていると実感している
先々、段階的に最先端にシフトしていくことが理想 ●長期的に見ると、GDPを上げた方が良い
● 半導体に限らず、多くの海外拠点由来の原材料について需給バランスが崩 ●コロナ禍の部分(ロックダウンによる工場閉鎖)は仕方ないと思います
れている。国内生産に切り替えていくことである程度の緩和は図れるのでは が、生産拠点や供給体制には、まだまだ改善の余地があると思います
05
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アペルザ様_wp⑩_06[インタビュー]
interview 01 回答者プロフィール
Aさん/生産技術:約35年 仕事の内容
自動車メーカー(社員数20,000人以上) 生産ライン設備(後半)を担当
半導体不足関連の 前工程から車体が来なければ仕事ができない。
お困りごと 従来設備の保守では部品調達ができずに困っている。
Q 半導体不足で、現場は 現在の状況は
どのような状況に見舞われていますか? Q いかがですか?
今年の春くらいからの半導体供給不足問題に、 自分が担当する工場については、今、ようやく
今夏の東南アジアの拠点国の新型コロナによる 少しずつ動きだしたといったところ。先月着手
ロックダウンの影響が追い打ちをかけた。 できなかった分に取り組んでいる状態だ。
特に今夏は、丸1カ月ほどラインの半分くらい 11月からは本格的に生産すると、(自社の)
を稼働停止した。工場内の従業員は、一時帰休 上から指示は来てはいるが、実際はその時の
の指示、有休の強制付与などが行われた。 状況に応じての稼働になるだろう。
部品を取り付ける工程ではないため、再稼働
に備えて余分な在庫を確保しておくといった 今後の
対策が取れない。工場は現場仕事ということも Q 見通しは?
あり、テレワークはあまり進んでいない。自分 よく分からない。2022年いっぱいで、この
自身は週1ほどテレワークをしている。 問題が解消できないと、業界や自社はかなり
クルマやバイク同様に工場も長い間動かして 厳しい状況になるのではと考える。
いないと、調子が悪くなる。ライン停止する
前は正常に動いていたのに、長期間停止の後に 半導体不足で見えた、
再稼働するとうまく動かないといったことも起 Q 業界の問題は?
こる。 半導体不足は、個人や一企業でどうにかでき
今も、設備の保守部品がなかなか入ってこな ることではないので、現場としては、今できる
いため、保守対応がままならない。ロボット本体 ことをきちんとやって、半導体が通常に供給
は届くが、制御部品が届かないといった状況だ。 できるようになった時に、しっかり生産でき
るように構えるしかない。
移動が制限されたコロナ禍でクルマは売れな
いのかと思いきや、特に北米を中心とした受注 製造業全体としては、海外だけではなく、
が増えているため、製品が作れない状況という 国内で部品調達できる体制もしっかり整えた方
のはなかなか厳しいことだ。 がよいのではと考える。
Q 生産ラインが止まっている間は、
どうしていましたか?
新車の工場や生産ラインの工事や手配、ロ
ボットのティーチング、既存設備の保守に取り
組んだ。以前は、そういう業務を、土日を使っ
て行うことが多かった。
06
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アペルザ様_wp⑩_07[インタビュー]
interview 02 回答者プロフィール
Bさん/生産技術:約10年 仕事の内容
産業機械メーカー(社員数500~999人以上) 機構部品関係の生産計画、設備導入などを担当
半導体不足関連の 3カ月から半年程度の生産計画遅れが発生している一方、
お困りごと 今年に入ってからの受注増で現場が多忙に
Q 半導体不足で、現場はどのような状況に 工場では生産が止まっていて、従業員の手すき
見舞われていますか? になっているため、そこからこちらの工場へ
自分が担当する製品では半導体部品はあまり 応援をお願いしている状況だ。
関係がないこともあって、工場の稼働停止とい これを機に自動化にも取り組みたいが、今は
う事態にまでは追い込まれてはいない。ただし、 人員が不足していることもあり、そこへ到底
3カ月から半年程度の生産計画の遅延が現在も 手が回らない。新しいことをやるには、なか
発生している。また、既存設備の保守部品が なか厳しい状況だ。
手配できないといった事態も起こっている。
対処としては、供給部品の生産国の置き換えを
可能な範囲、かつ一時的に対応していくことを Q 今後の
見通しは?
行っている。東南アジアの自然災害の影響が大 見通しは、立たない。ただし、半導体部品の
きく、それ以外の地域で生産する部品を選定して 不足具合がようやく“頭打ち”している感じが
いる。抵抗など比較的機能がシンプルな部品は する。夏くらいに想定していた状況よりはまし
置き換えがしやすいが、トランジスタやコンデン ではないかと思う。段階的に回復はしてくるの
サは性能が製品仕様に響いてくるため、部品を ではないだろうか。2022年中の、できればな
置き換えることによる影響に慎重に配慮しなけれ るべく早いタイミングで回復してほしい。
ばならない。製品仕様への影響については、顧客
と話し合いながら検討している。置き換えができ
半導体不足で見えた、
ないということになれば、部品が調達できるまで Q 業界の問題は?
待っていただくしかないということになる。
今回のことを通じて、海外生産に依存する
納期の見通しが立たないため、納期回答がと ことのリスクが高いことを実感した。国内での
にかく難しい。顧客に対しては、いかなる事態 半導体生産が復興してほしい。
でも納期遵守が基本であるものの、納期を後ろ
一方、国内では設備の老朽化、団塊世代の
倒しにしてもらうようにお願いすることも出て
引退などを背景とし、現状のものづくりの力に
きている。事情が事情であるため、大手最終品
課題があるかもしれない。自社も含め、技術継
メーカーにある程度許容していただけている
承や自動化について、もっと積極的に取り組む
ところもあり、助かっている。
べきであると考える。
Q その結果、業務は暇になっていますか?
多忙になっていますか?
昨年は暇だったが、今年になってから受注数
が増えてきており多忙であり、残業も増加して
いる。自社内の半導体に直接かかわりがある
07
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アペルザ様_wp⑩_08[インタビュー]
interview 03 回答者プロフィール
Cさん/生産技術:約20年 仕事の内容
家電・事務機器メーカー(社員数20,000人以上) 生産管理や調達を担当
半導体不足関連の 製品に使用する部品が入ってこないため、生産ができない。
お困りごと 状況は悪化している
Q 半導体不足で、現場は 大量なロットではなく、少量の購入になるため、
どのような状況に見舞われていますか? 1個当たり20円くらいの単価だったものが、
生産している製品に使う、ダイオードやトラン 200円くらいになってしまうこともある。その
ジスタ、メモリ、SoCといった部品が調達で 場合は、商社に、とにかく市場在庫をかき集め
きず、今も困っている。状況はどんどん悪化 てもらうしかない状態。商社との交渉の時間に
していると感じる。台湾、中国の生産の影響 も多く割かれている。コロナ禍なのでオンライン
が特に大きく響いている。 での打ち合わせが多いが、新製品の営業をして
もらう場合はそれだと厳しい部分もある。
調達が困難となっている汎用的な半導体部品
を主に構成される製品のラインは動かせず、 製品価格は容易に変えられないため、部品
特殊な部品を使う製品のラインは動いていると 価格が高騰すれば、原価に載せることになる。
いった状況だ。また日本国内ですべて部品調達 つまり作れば作るほど赤字になってしまうケース
が完結する製品も生産できている。 もあり得る。場合によっては、「出血を止める」
という意味で、生産を止めなければいけない
以前は、部品を発注したら3カ月もあれば 事態も想定できる。実際に、生産量を制限して
納入できたが、それができなくなった。現在、 いることもある。
半導体メーカーから1、2年先までの生産計画
を出した上で発注してくれと言われる。我々も
正直、そこまで先の状況は読めないため、その 今後の業界や自社はどう変わっていくと
状況での見込み発注はかなり辛い。それを背景 Q 考えていますか?
として、我々の業務の進め方も、ここのところ 業界内の生産計画の仕方は、この問題の解消
で大きな変化があった。 後もしばらく尾を引きそう。半導体部品の価格
は、従来のように「最先端のものが高い」ので
どのような変化が はなく、「一番売れるものが高い」ということに
Q ありましたか? なるのでは。また部品メーカー側も、ある程度
まとまった発注がなければ、受注してくれなく
かつては製造業全体で、「なるべく在庫を抱え なるのではないかと見ている。なので、短期間
るな」「在庫は悪だ」と言われており、自社も での新製品投入や、小ロット生産などが減って
そうであった。しかし現在の自社についてはそ くるのでは。部品の標準化を進めることによる
れとは逆で、「なるべく在庫を確保して、いか 点数削減も進むのではないかと考える。製品
にして安定した生産をするか」ということが 設計や生産、納入の仕方も大きく変わりそうだ。
課題になった。それに対応するため、業務の進
め方、データの入力ルールを変えて、業務や生
産の管理システムのプログラムも書き換えた。 半導体不足で見えた、
もしも1、2年後の状況を読み違えて、在庫を過 Q 業界の問題は?
剰に抱えてしまったら深刻な問題が起こるだろう。 日本の半導体業界が復興してくれるのが一番
また、購買ルートも変わった。以前は商社を だと思うが、なかなか難しく、時間がかかる
仲介して部品購入をしていたが、今はオンライン のではないかと思う。国内の大学では半導体の
通販を利用する機会もある。しかし、それだと 研究がかなり減っている。
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Page9
アペルザ様_wp⑩_09[奥付]
半導体不足問題、
製造現場の人たちはどう考えている?
技術者200名に聞きました!
発行日:2021年11月24日
発行:株式会社アペルザ
問合せ先:aperzacatalog-mail@mail.aperza.jp
リクエスト募集中!
ぜひお声をお聞かせください
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