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メソッドの比較・窒素回収について・ケルダール法のまとめなどを掲載
デュマ法の早い測定時間と使いやすさは、忙しいラボにおけるタンパク質測定法として考慮する要素を明らかに満たしている一方、
ケルダール法は基準検査および特定のサンプルタイプに対して確立された方法として使われ続けています。
主な違い
• ケルダール法は、湿式化学が基本の技法で、測定に 90 分程度かかる。 デュマ法は、燃焼法で、測定に3~5分程度しかかからない。
• 窒素の回収には多少の違いがあり、デュマ法を使用すると、一部のサンプルタイプではタンパク質の値がわずかに高くなる
• ケルダール法はサンプルサイズが大きいため、複雑なタイプのサンプルやタンパク質濃縮が高いまたは低いサンプルに適している
• デュマ法の装置は、立ち上げに時間がかかるため、連続運転に適しているが、ケルダール法は多目的で特殊な検査に適している
• ケルダール法は、EU における食品および飼料管理の公定法分析であり、依然として広く基準法とされている
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このカタログについて
ドキュメント名 | 粗タンパク質に対するケルダールとデュマの比較 |
---|---|
ドキュメント種別 | その他 |
ファイルサイズ | 901.5Kb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | フォス・ジャパン株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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粗タンパク質に対する
ケルダールとデュマの
比較
2019年9月 JP
fossanalytics.com
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粗タンパク質に対するケルダールとデュマの比較
デュマ法の早い測定時間と使いやすさは、忙しいラボにおけるタンパク質測定法として考慮
する要素を明らかに満たしている一方、ケルダール法は基準検査および特定のサンプルタ
イプに対して確立された方法として使われ続けています。
主な違い:
• ケルダール法は、湿式化学が基本の技法で、測定に 90 分程度かかる。 デュマ法は、燃
焼法で、測定に3~5分程度しかかからない。
• 窒素の回収には多少の違いがあり、デュマ法を使用すると、一部のサンプルタイプではタ
ンパク質の値がわずかに高くなる
• ケルダール法はサンプルサイズが大きいため、複雑なタイプのサンプルやタンパク質濃
縮が高いまたは低いサンプルに適している
• デュマ法の装置は、立ち上げに時間がかかるため、連続運転に適しているが、ケルダール
法は多目的で特殊な検査に適している
• ケルダール法は、EU における食品および飼料管理の公定法分析であり、依然として広く
基準法とされている
それぞれを少し詳しく見てから、どちらを選ぶかについて検討してみましょう。
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メソッドの比較
デュマ法は、燃焼法であり、有機マトリックス中の全窒素含有量を測ります。 サンプルは純
酸素環境で高温燃焼されます。燃焼で発生した窒素酸化物を効率的に還元することで、定
量的に N2 に変換します。 水、硫黄、二酸化炭素などの他の揮発性燃焼生成物は、隔離され
たり分離されたりします。 熱伝導度ディテクターは窒素ガスを測定します。 結果は、変換因
子を使用して窒素をタンパク質に変換することにより、窒素の割合 (%) またはタンパク質の
割合 (%) として与えられます。
化学物質は使用されず、測定時間は約 4 分です。 高度に自動化されたバッチ処理により、
オペレータはサンプルを投入するだけで、数時間は他の作業を行うことができます。
ケルダール法は、有機物に含まれる窒素と無機化合物アンモニアおよびアンモニウム (NH3/
NH4+) に含まれる窒素を定量的に測定する方法です。 それは一連の還元および酸化のス
テップ (分解、蒸留、滴定) で行われます。 この中で、初期の分解手順は最も重要で複雑で
す。 デュマ法の測定結果は、変換因子によって窒素の割合 (%) またはタンパク質の割合
(%) が得られます。 化学薬品が使用され、硫酸を沸騰させるため安全性および煙の発生の
懸念が生じます。
ただし、高度に自動化された手順により、安全で管理しやすくなっています。また、効率的な
バッチ処理により、オペレータの関与が少なくなっています。
窒素回収について
デュマ法はケルダール法よりタンパク質の ケルダール法のまとめ
値が高いことは事実です。 これは、デュマ法
は亜硝酸塩や硝酸塩などの無機分画を含 • 2009年、欧州委員会は、食品およ
む全窒素を測定し、ケルダール法は有機窒 び飼料管理の公式方法としてケル
素とアンモニアのみを測定するためです。 ダール法を承認した
• 有機窒素とアンモニアに基づいて
AAFCO (アメリカ飼料検査官協会) が実 窒素を測定する
施した研究など、いくつかの比較研究でそ
の違いが明らかになりました。 下の表は、 • 湿式化学の技法は、1883年にカー
いくつかの飼料サンプルの結果を示してい ルスバーグ研究所でヨハン・ケルダ
ます。 公定法 AOAC2001.11 のための値 ールによって発明された。現代のケ
が選択されています。 ご覧になって分かる ルダール法は、バッチ処理用に進化
ように、報告された結果の標準偏差(括弧 しているため、一度に 20 サンプル
内)は同等ですが、デュマ法では、値はより を扱うことが可能
高くなっています。 • サンプルサイズに制限がないため、
土壌や乳製品などの複雑なサンプ
ルタイプに適している
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AAFCO検査試験サンプルで得られた粗タンパク質値の比較
サンプル タイプ ケルダール デュマ
AAFCO 200921 鶏肉 17,29 (0,15) 17,64 (0,33)
AAFCO 200922 豚 (スターター) 23,94 (0,33) 24,51 (0,39)
AAFCO 200923 固形飼料 12,30 (0,52) 12,51 (0,65)
詳しくは、以下のホワイトペーパーをご覧ください:
公定法分析のためのデュマ法とケルダール法について
両方の方法に共通の変換係数 (6.25) が定義されています。 これは、粗タンパク質が16%の
窒素を含んでいるためです: 100/16 = 6.25。 注目すべき例外がいくつかあります。
• % 小麦粉に含まれるタンパク質 N x 5.70
• % 乳製品に含まれるタンパク質 N x 6.38
W.H.O.* および F.A.O** による公式の変換係数は 以下のとおりです。
小麦 (全粒) 5.83
小麦粉、パスタ 5.70
ふすま 6.31
米 (全種) 5.95
大麦、オーツ麦、ライムギ 5.83
豆類、ブラジルナッツ 5.46
大豆 5.71
ココナッツ、栗 5.30
アーモンド 5.18
ゴマ、サフラワー、サンフラワー 5.30
* World Health organization / 世界保健機関
** Food and Agriculture organization of United States / 米国食糧農業機関
サンプルタイプとタンパク質濃度
前述の窒素回収の話は、当然のことながら、一部のサンプルタイプにおいて考慮すべき点
です。
ケルダール法は、有機窒素とアンモニアのみを測定するため、タンパク質濃度が非常に高
いまたは非常に低い食品および飼料サンプルにおいて正確です。
他にも、代表的なサンプルを作成する機能について考慮が必要です。 デュマ法は、最大1グ
ラムの小さなサンプルサイズを使用し、ケルダール法は、最大10グラムのサンプルサイズを
使用することができます。 サンプル前処理では、デュマ法の小さなサンプルサイズに合わせ
て様々なことをしなければなりません。例えば、肉のような不均一なサンプルタイプは、水冷
式ミルを使用して 200mg まで効果的に準備することができます。これで温度によるサンプル
への影響を回避できます。
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ただし、土壌などの複雑なサンプルの場合は、大きく、代表的なサンプルを扱う能力という
点から、ケルダール法が適しています。
自動化されたケルダール法による土壌分析に関するこのビデオレポートをご覧ください:
土壌およびオリーブ葉の検査用に自動化されたケルダール法
現実的な考慮事項:スループット、俊敏性、接続性
デュマ法は、サンプルの測定が3~4分で完了するというメリットがあります。 デュマ装置の自
動化機能によって、ケルダール法と比べて大幅な時間短縮が実現されました。例えば、効率
の良いバッチ処理を自動化することにより、オペレータはサンプルを投入するだけで、ラボ内
の他のタスクを行うことが可能です。
詳しくは、こちらのビデオ インタビューをご覧ください。
ラボの時間短縮および資源節約のための自動化されたデュマ法
しかし、サンプルタイプで述べたように、ケルダール法は、窒素を測定する方法として利用
できる最も多様性のある技術とされています。 様々なサンプルで窒素含有量を測定するの
に利用できる唯一の方法です。
デュマ法の装置は、立ち上げに時間がかか デュマ法のまとめ
るため、連続運転に適しています。 一方、ケ
ルダール法は、いつでもその場で試験できま • タンパク質検査で王座を狙ってい
す。 例えば、小麦粉のタンパク質含有量な る。 飼料で人気が高く、基準として
ど、一般的なサンプルを検査する場合は1 の採用が増えている
日に約100回検査します。このような場合
は、明らかにデュマ法が適しています。 他 • 無機質部分を含む全窒素を測定す
にも、慣れないサンプルを少量で検査する る
場合、ケルダール法の予測可能性によって、 • 1883年にジャン・バプティスト・デュ
確立されている公定法分析を実用的な選 マによって発明された燃焼法は、発
択にします。 熱反応によって有機物を瞬時にそ
の元素に変換するもので、化学物
質は含まれない
• 一度に最大 117 サンプルのバッチ
を扱える高度に自動化された分析
で迅速かつ便利
• 使用される燃焼方法によってサンプ
ルサイズが制限される
さらに考えられるもう 1 つのメリットは、インターネット接続によって様々な機会が増えるとい
うことです。 現在、デュマ法によるソリューションは、この点で有利な立場にありますが、ケル
ダール法が「接続される」のも遠い未来ではないはずです。 接続されることにより、ソリューシ
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ョンを遠隔で監視することが可能となり、どこからでも測定結果を抽出したり、共有したりする
ことが可能になります。 機器の測定結果、設定、性能を監視し、様々なサイトで機器からのデ
ータを比較できるようになることは、価値が高く、時間の節約となり、品質管理も向上します。
ビデオアニメーションをご参考ください
ラベリングと取引における公認方法
ケルダール法は、今でも粗タンパク質/タンパク質分画で最も採用されている公定法分析で
す。例えば、欧州委員会は、ケルダール法を公的規制のコミュニティ方法として認定しました
(EC No 152/2009)。
それでも、デュマ法にはたくさんの基準と分析規制があるため、多くのラボで直接デュマ法
の基準分析や NIR や FITR など、間接的なメソッド キャリブレーションに適応できるように
なりました。 例えば、フォスのデュマテック 8000 システムは、AOAC、AACC、ASBC、OIV な
どの食品および飼料中のタンパク質含有量の製品宣言において、正式に承認された方法
を遵守しています。
顧客の選択
公定法対応における懸念事項とは別に、デュマ法とケルダール法のどちらを採用するかは、
顧客の好みと測定結果の許容範囲で決まります。
顧客が、製造現場や社内ラボで使用しているのと同じ方法をラボでも使用するよう求める場
合もあれば、 低コストで素早く測定結果が得られる方法を選ぶ場合もあります。例えば、検
査の目的が日常的な品質管理である場合、多くの顧客は最速の方法に移行する可能性があ
ります。 一方、製造現場の結果を検証することが目的の場合は、多くの顧客は現在の方法
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を維持して、時間と場所の比較を行うことができるようにします。 また、検査の目的が、値の
ラベル付けなど、サード パーティの証明書を取得することである場合は、公定法分析に対し
てメソッドが検証されている限りどちらも使用できます。
その他に考慮すべき要素は、測定結果の範囲です。 顧客は高タンパク質レベルを受け入れ、
全窒素の測定に納得しているか?あるいは、低タンパク質レベルを希望しているか? これも
検査の目的と顧客のサンプルタイプによって異なります。
結論
忙しいラボは、単純なサンプルタイプで効率的かつ高スループットを実現する方法としてデュ
マ法を使用することで大きな利益を得ることができます。一方、サンプルが複雑な特殊な検
査にはケルダール法が適しています。 ケルダール法自動化のトレンドを反映し、デュマ法ソ
リューションも、ガスの消費を抑制する小さいサンプルサイズを使用して素早く測定結果が
得られる現代のソリューションにより、ますますコスト効率が高まっています。
小さなサンプルサイズを使ったデュマ法検査
ケルダール法は、今でも粗タンパク質/タンパク質分画における公定法分析であり、特に複雑
なサンプルタイプを処理する独特の機能があることから重要な分析オプションとされていま
す。 最終的には顧客の意向が優先されます。従って、ほとんどのラボには両方が必要です。
フォス・ジャパン株式会社
東京都江東区東陽2-4-14
三井ウッディビル1F
電話: 03 5665 3821
Fax: 03 5665 3826
E-mail: info@foss.co.jp
HP: www.fossanalytics.com/ja-JP#