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分析方法・コーデックスの定義による方法など掲載
Fossは、食物繊維の定量のためのソリューションである、AOAC法 985.29と991.43に準拠したFibertecEを30年以上にわたり提供してきました。市場の発展によって、食物繊維 - とりわけ、レジスタントスターチ(難消化性澱粉)と低分子炭水化物 - の定量分析法に対する新しい需要が生まれました。統合的な方法である AOAC 2009.01は、コーデックスの最新の食物繊維の定義に対応しています。
もともと、食物繊維は小腸で消化できない天然の食用の炭水化物にすぎませんでした。数多くの研究から、この炭水化物が腸の働きの向上に役立ち、便秘を予防し、消化の速度を遅くし、結腸での発酵を強化し、善玉菌の増殖を促すことが明らかになりました(プレバイオティクス効果)
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このカタログについて
ドキュメント名 | 食物繊維 コーデックス(Codex)の定義と分析方法 |
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ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
ファイルサイズ | 1.4Mb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | フォス・ジャパン株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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食物繊維
コーデックス(Codex)の定義と分析方法
著者:Dr. Jürgen Möller
P/N 1026514, Issue 1, May 2011
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食物繊維
-コーデックス(Codex)の定義と分析方法
はじめに
Fossは、食物繊維の定量のためのソリューションである、AOAC法 985.29と991.43に準拠したFibertec
Eを30年以上にわたり提供してきました。市場の発展によって、食物繊維 - とりわけ、レジスタントス
ターチ(難消化性澱粉)と低分子炭水化物 - の定量分析法に対する新しい需要が生まれました。統合的
な方法である AOAC 2009.01は、コーデックスの最新の食物繊維の定義に対応しています。もともと、
食物繊維は小腸で消化できない天然の食用の炭水化物にすぎませんでした。数多くの研究から、この炭
水化物が腸の働きの向上に役立ち、便秘を予防し、消化の速度を遅くし、結腸での発酵を強化し、善玉
菌の増殖を促すことが明らかになりました(プレバイオティクス効果)
母乳中の繊維は、アレルギーや糖尿病から乳児を守ります。食物繊維は、心臓疾患、糖尿病、一部のタ
イプの癌の予防、そして、短期的および長期的な記憶機能の向上に役立つこともわかっています。世界
保健機関(WHO)は、1日最低25グラムの食物繊維の摂取を推奨しています。平均摂取量は、米国では
わずか12〜18グラム、ヨーロッパでは15〜20グラムですが、アフリカでは40〜60グラムです。こうした
食物繊維摂取の不均衡の結果の一つが肥満です。
肥満、心臓疾患、脳卒中、2型糖尿病、癌は予防可能な主要な死因で、これらは毎年、社会や政府に数兆
ドルもの負担を強いています。栄養改善と健康向上の鍵は食物繊維の摂取です。10億人もの人々が飢餓
または栄養不良といった状況にある一方で、他の10億人は肥満であるといわれています。状況は2005年
の時点ですでに悪く、さらに2015年までに悪化すると予想されています。肥満や太り過ぎの人の数が急
速に増えています。
コーデックスの定義
コーデックス委員会(Codex Alimentarius Commission)は、1963年に設立された国際的なネットワー
クです。同委員会は、FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)の協力で設立され、WTO(世
界貿易機関)からも承認されています。
コーデックス委員会は、すべての国に有効な、食品・飼料・農業分野における規格と指針についての意
見をまとめています。その活動の中心は、輸出入の検査と承認、行動規範、紛争時の仲裁などですが、
分析方法も含まれています。
食物繊維とは、人の小腸に内在する酵素によって加水分解されない、10以上の単量体単位(2)からなる
炭水化物ポリマー(1)で、以下のカテゴリーに属するものを指す。
- 摂取される食品に天然に存在する食用の炭水化物ポリマー
- 食品原料から物理的、酵素的または化学的手段によって得られ、一般に受け入れられる科学的根拠
によって実証された、健康への生理学的な効果を有することが管轄当局に対して提示されている炭水化
物ポリマー
- 一般に受け入れられる科学的根拠によって実証された、健康への生理学的な効果を有することが管
轄当局に対して提示されている合成炭水化物ポリマー
注:
(1) AOAC 991.43によって定量化されている場合はリグニンおよびその他の化合物も含む。
(2) DP3からDP9の重合度を持つ炭水化物を含めるかどうかの判断は国内の当局に委ねるべきである。
長年の討議の末、コーデックス委員会は2009年、最終的に食物繊維の定義について合意しました。タイ
やブラジルなどの多くの国がDP10を維持することにした一方で、欧州連合は、DP 3からDP9を含める
ことを決定しました。当然ながら、これは、一定程度の分析面の課題と国際貿易における課題をもたら
します。
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分析方法
総食物繊維(TDF)の標準の定量法であるAOAC 985.29は、「食物繊維(DF)」の古い定義、つまり
「小腸で、および一部は結腸で吸収されない食品の炭水化物で、主として非澱粉性多糖類(セルロース、
ヘミセルロース、ペクチン)およびレジスタントスターチとリグニンからなる」に基づいています。
アルファアミラーゼを加えたリン酸緩衝液(pH 8.2)内でサンプルを30分間、最大95℃で培養します。
次に、pHを7.5に調整し、プロテアーゼ100µLを加えます。60℃で30分間培養した後、pHを4.5に調整し
ます。
60℃30分間の最後の培養の前にアミログルコシダーゼ200µLを加えます。すると、食物繊維を除いた炭
水化物(available carbohydrate)が可溶化され、エタノール沈殿、濾過、乾燥の後、総食物繊維量が得
られます。常に2つのサンプルを処理することで、タンパク質と灰分を差し引いてTDF量を計算すること
ができます。
数年後、この方法は、可溶性食物繊維と不溶性食物繊維の標準の定量法 AOAC 991.43によって改善され
ました。
20年以上にわたり、これらの方法が食物繊維の定量のために最もよく使用されている分析手順でした。
問題は、それらが高分子の食物繊維(HMWDF)画分とレジスタントスターチの一部しか測定できない
ことです。消化されないオリゴ糖、すなわち、フラクトオリゴ糖、難消化性マルトデキストリン、ガラ
クトオリゴ糖および可溶性の非澱粉性多糖類などの低分子の食物繊維(LMWDF)もまた、ある程度の
プレバイオティクス効果があることがわかってきました。小腸に完全に吸収されないことで、結腸内の
善玉菌の増殖と活動を刺激し、それが宿主の健康に良い効果をもたらしています。食品産業での
LMWDFの使用が増えていて、その定量のために、さらなる分析方法が開発されてきました。
AOAC 985.29 食品内の食物繊維総量
AOAC 991.43 食品内の可溶性食物繊維と不溶性食物繊維の総量
AOAC 2001.03 添加された難消化性マルトデキストリン(RMD)を含有する食物繊維
AOAC 2002.02 澱粉および植物性原料内の難消化性澱粉
AOAC 2001.02 トランスガラクトオリゴ糖(TGOS)の定量
AOAC 997.08 食品内のフルクタン
AOAC 999.03 食品内の総フルクタン量の測定AOAC2000.11 食品内のポリデキストロース
コーデックスの定義による方法
a-アミラーゼとアミログルコシダーゼを加えた
pH 6.0のマレイン酸塩緩衝液で、37℃で16時間培養する
pHを最高8.0までに調整し、100℃で20分間培養する
プロテアーゼを添加し、60℃で30分間培養する
HClを添加し(pHを4.5までに調整)
酵素反応を止める
エタノール沈殿、濾過、洗浄、乾燥
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AOAC 2009.01/ AACC 32-45.01の方法では、密閉したビン内で2つの同一の分析試料を、膵アミラーゼ
とアミログルコシダーゼ(AMG)を加え、37℃で16時間かけて懸濁状態を維持するために振とう恒温
ウォーターバス内で培養します。この段階で消化性の澱粉が可溶化され、2つの酵素の複合作用によって
ブドウ糖とマルトース(麦芽糖)に加水分解されます。
pHの調整と一時的な加熱によって反応を終了させます。サンプル内のタンパク質はプロアテーゼによっ
て分解されます。高分子の食物繊維(HMWDF)の測定のためにエタノールを加え、不溶性食物繊維と
沈殿性の可溶性食物繊維を採取し、エタノールとアセトンで洗浄し、乾燥させた後に重量を測定します。
2つの残留物の1つでタンパク質を分析し、もう1つの残留物では灰分を分析します。濾過装置内の非沈
殿性の食物繊維を濃縮して回収し、次にイオン交換樹脂を通して脱塩し、濃縮し、LCによって定量しま
す。
AOAC 991.43 AOAC 2009.01
ベータグルカン 98.0 96.0
カゼイン 0 0
ペクチン 86.5 87.0
小麦澱粉 0.1 0.1
カラマツ・アラビノガラクタン 83.5 84.0
高アミロース含有量のトウモロコシ澱
29.3 46.5
粉
グリーンバナナ 7.5 37.6
結論
肥満と肥満が世界的な問題であることから、食品内の食物繊維の表示と分析に関心が集まっています。
規則や顧客・依頼者の要求によっては、次のようないくつかの方法が平行して使用されます:総食物繊
維の定量にはAOAC 985.29、不溶性食物繊維と可溶性食物繊維についてはAOAC 991.43、コーデックス
の新しい定義に準拠した新しい方法 AOAC 2009.01とAACC 32-45.01、ならびに特定の成分のための方
法。
AOAC 2009.01は、レジスタントスターチを含む総食物繊維量(TDF)の測定を容易にします。これは、
とりわけレジスタントスターチの含有量が高いサンプルでは異なった結果になることがあります(上の
表を参照のこと)
Fibertec Eは、AOAC法の985.29、991.43および2009.01の検証に使用されており、そのため、コーデッ
クスの新しい定義に準拠させた食物繊維の定量にも使用できると考えられます。Fibertec Eは、個々のサ
ンプルからの濾過物の回収を可能にし、液体クロマトグラフィーによって低分子量画分の定量を行いま
す。
食物繊維のすべて定量のための時間とリソースの必要性を考慮して、より速く、より自動化された方法
に関心が向けられています。
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参考資料
(1) Barry V. McCleary「総食物繊維(レジスタントスターチを含む)、難消化性オリゴ糖および食物繊
維を除いた炭水化物の測定のための統合的手順」Anal BioanalChem (2007) 389:291–308
(2) Joanne R. Lupton, Victoria A. Betteridge, Loek T.J. Pijls「コーデックスによる食物繊維の最終定
義:実施上の問題」 Quality Assurance and Safety of Crops & Foods, Special Issue: Special issue:
Dietary Fibre. Volume 1, Issue 4, pages 206–212 2009年12月発行
(3) Kommer Brunt「食品の食物繊維含有量と栄養価の測定における落とし穴」Quality Assurance and
Safety of Crops & Foods, Special Issue: Special issue: Dietary Fibre. Volume 1, Issue 4, pages 225–
230 2009年12月発行
FOSS フォス・ジャパン株式会社
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