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近赤外分析法で食品の色と組成成分を同時に測定

ホワイトペーパー

色測定の定義、測定方法、また装置で得られた測定結果と一般的なカラーメーターとの比較に関する情報をまとめています。

食品の色、色合いに対する関心が高まっています。しかし、色の測定は視覚検査や専用の装置(色彩計など)が必要となり、また時間がかかってしまいます。しかし分光測定装置で組成成分(たんぱく質や水分など)と同時に色の測定ができるとすればどうでしょうか。

このような考えに基づき、厳格な食品分析で実証された装置の活用により、迅速で一貫性に優れた色および成分項目の測定を行うことができるようになりました。

このコンセプトについて、最近発売されたフードスキャン2をご紹介する本書の中で詳しく記述されております。ここでは、色測定の定義、測定方法、また装置で得られた測定結果と一般的なカラーメーターとの比較に関する情報をまとめています。この測定機能を食品製造管理の中で活用するために、加工食品における色測定の背景、また色項目の定義、測定方法についてご紹介いたします。

目次
1. 現代の食品製造における色について
2. 色:定義と測定原理
3. フードスキャン2による色測定
4. 色彩計とフードスキャン2での色測定の比較
5. まとめ:色を同時測定することの利点

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このカタログについて

ドキュメント名 近赤外分析法で食品の色と組成成分を同時に測定
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
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登録カテゴリ
取り扱い企業 フォス・ジャパン株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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ホワイトペーパー:FOSS 近赤外分析法で 食品の色と組成成分を 同時に測定 作成者: Barbara Tobijaszewska, Richard Mills, Jakob Jøns June 2018 fossanalytics.com
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はじめに 食品の色、色合いに対する関心が高まっています。しかし、色の測定は視覚検査や専用の装 置(色彩計など)が必要となり、また時間がかかってしまいます。しかし分光測定装置で組成 成分(たんぱく質や水分など)と同時に色の測定ができるとすればどうでしょうか。 このような考えに基づき、厳格な食品分析で実証された装置の活用により、迅速で一貫性 に優れた色および成分項目の測定を行うことができるようになりました。 このコンセプトについて、最近発売されたフードスキャン2をご紹介する本書の中で詳しく 記述されております。ここでは、色測定の定義、測定方法、また装置で得られた測定結果と 一般的なカラーメーターとの比較に関する情報をまとめています。この測定機能を食品製 造管理の中で活用するために、加工食品における色測定の背景、また色項目の定義、測定 方法についてご紹介いたします。 目次 1. 現代の食品製造における色について 3 2. 色:定義と測定原理 5 3. フードスキャン2による色測定 8 4. 色彩計とフードスキャン2での色測定の比較 10 5. まとめ:色を同時測定することの利点 13 2
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1. 現代の食品製造における色について 中国の古いことわざに「人は最初に目で食べる」とあります。最新の研究報告では、消費者 が選択する要素のひとつとして色あいが重要視されています。食品製造における色の調整 をコントロールすることはそれほど難しいことではありません。 「消費者が選ぶ色の重要性」に関して調査したところ、次のような結果が明らかになりまし た。低脂肪チーズの色合いが、消費者が感じる見た目、消費者の嗜好、風味に影響する(2012) これにより低脂肪チェダーチーズにおける色合いに対する関心を高める結果をもたらしま した。またチーズの見た目が濁っている、あまりにも白っぽい場合には、消費者は否定的な 反応を示すことがわかりました。 もう一つの結論は私たちの人生経験に基づく経験、思い込みです。我々人間は本能的にこ う考えます「。この黄色いデザートは甘いバニラ味であり、この食肉は赤身が強いので新鮮 なはず」と。つまり業界の基準とガイドラインは食品製造者が消費者の期待にこたえるため に存在しています。たとえば、アメリカの食肉科学協会「食肉の色測定に関するガイドライン」 (製造業者が注意すべき色測定のさまざまな情報を網羅した100ページをこえる専門書)が あります。またノルウェーの「‘Bransjestandard for Fisk’」では、食品製造業者に対するサケを 対象とした明確な目標変動幅について規定しています。 食品の色の重要性が増し、求められる色の一貫性を維持することは食品製造者の重要な 課題となっています。これまでは食品スーパーの陳列棚にならぶ食品の色を一定のものに するため、食品製造工場では硝酸塩と塩のような防腐剤を使用しつづけてきましたが、法 的な規制により対策が必要となってきています。同様にE番号(EU内で食品添加物に付与 される分類番号)で示される防腐剤の使用に対しては法規制だけでなく、消費者からの反 発もあります。調査によると、消費者は食品および飲料がもつ天然の色を求める傾向がみえ てきました。Nielsen**の原材料に関するトレンドレポートにおいて(2016年)、消費者の61% は人口着色料を避けたいという結果が示されています。ヨーロッパでは2015年に人口着色 料を使用した食品が5.2%減少し、天然着色料を使用した食品の数が5.6%増加しました。 しかし、製造業者がこのような方法へシフトすることは簡単な話ではありません。たとえば硝 酸塩防腐剤の使用を減らす、またはやめた場合、食品パッケージを開封したのち色はどのよ うな変化を示すでしょうか。 製品チェックとルーチンでの品質チェックの両方を行う方法は現段階において2通りありま す。色は人の目により主観的に評価できます(セクション2)。またはカラーチャートあるいは 色差計を使用して評価を行うことができます。それぞれの方法がもつ精度は証明されてい ますが、大きなコストが必要となります。それはスタッフの特別なトレーニングに加え特別 な証明環境が確保された専用の部屋、そして専用の検査装置を必要とします。成分分析を はじめとする他の分析作業も考慮すれば、品質管理業務における負担が増えることも考え なければなりません。 *lR.WadhwaniD.J.McMahon: www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022030212002019 **Nielsen ingredient trends, 2016: HP: www.fossanalytics.com/ja-JP# 3
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このような背景を考えれば、色測定と成分分析を同時に行う分光光学装置の開発が求めら れます。つまり、1台の装置に成分分析(近赤外透過測定)に必要な機構と色(可視光:反射 光)を測定する機構を組み合わせる必要があります。 まず最初に色測定の議論を進めるため、共通した参照測定法が必要となります。 フォスのフードスキャンは食品の成分と色を同時に測定できます。 4
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2. 色:定義と測定原理 インターネットの情報やハンドブックに記載されている色の定義は、色相、彩度、明度は反射 光により視覚的に決定されるものとなっています。 目視評価の方法として、米国の食品業界ではパントーン色見本帳が一般的に使用されてい ます。国立チーズ研究所ではハードチーズを目視で色分けするため、色見本帳と同じような 色参照基準を使用しています。ほかには、セクション1で述べたサケの色チャートレンジを指 定したノルウェーの基準などがあります。 ただし、サンプルとならべたカラーチャートと比べて判断する方法は簡単なように思われます が、目視評価には重大な欠点があります。この方法は主観的なものであり、時間あるいは検 査担当者、あるいは同一人物でも結果の一貫性が失われる恐れがあります。さらに管理され た照明のある特別な部屋を必要となり、また時間もかかってしまいます。 これにかわる色測定技術は、人による主観的な検査を超えた、色のスペクトルを定量化して 客観的に色の情報を得る方法です。たとえば、ある試験室で測定した結果を違う場所もしく は違う時間に測定した国際的に認証された手法とも結果を比較することが可能となります。 そして、測定担当者の違いによる色認識、判断の影響を排除することもできるようになります。 このようなツールは、色差計(色彩計)、分光測色計と呼ばれます。 色差計は、色情報を抽出するために、フィルターを使用して人間の目と同様に色を判断しま す。また分光測色計は、正確な測定結果を得るために光を分光してスペクトルをもちいて測 定を行います(後述の客観的測定方法の基本原理を参照してください)。 さらにこのホワイトペーパーで記述するとおり、近赤外分析に使用されるスペクトロメーター は、成分測定に加えて色測定を実現する新たなテクノロジープラットフォームとなりえます。 客観的測定方法の基本原理 ここまで述べた測定方法では、波長を強度関数として色を測定します。色差計は、人間の目 のようなセンサーを使用して3個のフォトセルを受光素子として使用し、人間の目と同様な 色の判定を行います。分光側色計または分光計は、各波長に対するすべてのスペクトルを 収集して、数学的に(アルゴリズム的に)人間の目の知覚に対応する値に変換を行います。 いかなる条件でも視覚的な感覚を関数によって記述することが必要です。 いわゆるスペクトルを用いた3刺激値を数値化して光の強度を測定する方法です。ここでは 赤・緑・青をXYZ座標に示され、色定義を容易に行えます。 このシステムは、客観的に色測定を行うための共通標準法として長年にわたり使われ続 けており、国際照明委員会(CIE:International Commission on Illumination)で1931年に CIE XYZ色空間として定義づけされています。XYZ色空間についてはインターネット上で 各種情報をご確認いただけます。 5
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1970年代にCIEがXYZ色空間に改良を加えてL * a * b *表色系として考案されました。これ を用いることでCIE L * a * b *を得ることができます(図1) 図1 CIELAB色空間。L *は明度をあらわします。L *=0は黒、L *=白の拡散色を示します。a *の正の値は赤寄り となり、負の値は緑寄りとなります。またb *の正の値は黄色寄り、負の値は青よりを示しています。 分光法によるアプローチ 測定を行うために、試料に光を照射して各波長ごとに収集された光の量を測定します。吸 収と反射によって、サンプルから得られるスペクトル特性は、色の印象に相関して明らかな 特長を示します(図2、図3) 6
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図2 異なる色をもつ紙サンプルのチャートを測定:左 吸収スペクトル、右 反射率 図3 異なる製品の測定:左 パネルの吸収スペクトル 右 反射率 ※線の色は製品の色に相当します。 7
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3. フードスキャン2による色測定 赤外光および可視光波長の測定が可能な分光分析装置では、食品の成分測定と色を同時 に測定する迅速な方法を提供することが可能となります。 このため、品質管理者は、色評価試験のための専用の部屋の増設や、経験豊かなスタッフ に頼ることなく色の測定を行うことができるようになります。 色測定を行うために用意する予算は、この2点に対するものではなく1台の測定装置を準備 するために用意すべきです。 可視光反射率での色測定 色は反射光または透過光の両方で測定できます。ただし、食品の色の大部分は表面の特性 と反射光によって決定されるため、赤外光領域に隣接する可視光波長(400~700nm)での 反射光は、透明または液体サンプル以外において特に有効となります。 一方で、組成成分はできるだけ多くのサンプルをスキャンすることで、よりよい結果が得られ るようになります。これはサンプル内部が不均一な粉砕肉のようなサンプルを測定する際 には特に重要となります。 フードスキャン2での色測定 フードスキャン2は、サンプルの平面から45°の角度で反射した可視光スペクトルを用いて 色を測定します。 光源はモノクロメーターを用いて走査され、サンプルに対して上部から広帯域光源が照射さ れます。反射スペクトルを取得するための反射光の検出はスキャニングと同時に行われます。 反射スペクトルは拡散基準サンプル(DSR)のスペクトルに正規化されます。 反射スペクトルは、X、YおよびZパラメーター(図4)であらかじめ定められたスペクトルプロフ ァイルによって標準化されたスペクトルを数学的にフィルタリングすることによりXYZ色パラ メーターに変換され、CIELAB(図5)に変換されます。 食品製造環境で色を測定する仕組みは慎重に検討されており、ここで述べた重要な設計 原則に従って構築されています: 8
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図 4. CIELABのスペクトル刺激値の機能 スペクトルデー 標準光源の収 CIE測色標準観 タの測定 集 測者等色関数を CIELab値を計 適用する 算 図5 CIELAB標準に従って、サンプルから反射された光の収集から、FoodScan 2スクリーン上に提示されたL * a * b値までのステップ。 ・ 堅牢性-食品サンプルと直接接触しても性能に影響を与えず、なおかつ簡単に清掃できま す。 ・ サンプルの表面が空気中にさらされていても測定できます(蓋やカバーをかけずに測定が できます)。これにより空気との接触時に食肉がどのように変色するかを迅速に評価でき、 サンプルと空気の相互関係に関する研究が可能となります。 ・ 周囲の光によって測定結果が影響をうけることがありません。これは特別に設計されたサ ンプル測定部によって実現されています。 ・ 合格、または不合格の表示を伴ったL * a * b *を見やすく表示 ・ 複数代のフードスキャン2のあいだでキャリブレーションを移設できるため、測定結果の一 貫性と測定機器の管理コストの低減が可能になります。 9
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4. 色彩計とフードスキャン2での色測定の比較 フードスキャン2を用いた色測定の設計目標は、分光光度系の原理を使用して一般的なカ ラーメーターでの測定と同等の測定結果を提供することです。 この目的のため、肉や肉製品、チーズ、発酵製品、バター、スプレッドなどフードスキャン2で 使用可能なアプリケーションと一般的なカラーメーターとの比較が行われました。評価はサ ンプルをフードスキャン2およびカラーメーターを使用して反復して行いました。 なお、この試験では人工サンプルの測定も行っています。 またキャリブレーションの移設性を示した結果と再現性についても調査を行いました。以下 に人工サンプルおよび実際のサンプルの測定結果を示します。 色測定専用装置との比較 色測定装置とフードスキャン2との結果には相関性があります(図2) 表面測定時の明度(L *)の例 10
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測定値は、サンプルの準備によって異なる結果となることがあります(図7)。たとえばペトリ 皿を用いてカラーメーターで測定した結果と、フードスキャン2でサンプル表面を直接測定 した結果を比較した場合、結果の相関性にはいくつかの要因が影響します: ・カラーメーターでは380nmで、フードスキャン2は400nmの波長を用いて測定するた め、CIELABアルゴリズムにわずかな違いがあります。 ・サンプル前処理、準備方法の違い ・カラーメーターと比較する際には、共に同じ基準をもとに比較することが重要です。CIELAB は2つの基準を定義しています。1つは2°側色標準観察者(1931年)で、もう1つは10°測色 標準観察者です(比較したモデルは10°でした) ・サンプルの不均一性。 フードスキャン2はサンプル表面を20回以上測定して複数のポイン トをスキャンするため、フードスキャン2との相関性を確立させるために色相計の平均値 を使用する必要があります。 図7 ペトリ皿での測定と表面直接測定との比較 図8 フードスキャン2で測定した食品(チーズ、 ヨーグルト、バター、肉)の明度の再現性 測定の再現性(互換性) 図8は2台のフードスキャン2で測定した値の比較データです。2種類の装置でヨーグルト、チー ズ、バター、肉製品を測定してそれぞれの値を比較してみました。表示結果は明度(L *)です。 11
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結果の再現性 再現性が高いことは分析において非常に重要です。再現性は、サンプルの均質性や前処 理の方法に依存します。前述の各サンプルを対象にフードスキャン2で4回反復して測定試 験を行いました。 サンプルの表面積をできるだけ多くするためにミディアムカップおよびラージサイズカップ を使用しています。また参考データを収集するために、ミディアムカップを用いて市販の一 般的な分光側色計でも測定を実施してみました。 製品タイプ FS2用ミディアムカップ FS2用ラージカップ 食肉 L* 0.20 0.19 a* 0.10 0.05 b* 0.05 0.02 チーズ L* 0.38 0.13 a* 0.04 0.03 b* 0.20 0.10 ヨーグルト L* 0.04 0.08 a* 0.01 0.01 b* 0.01 0.01 バター L* 0.04 0.01 a* 0.02 0.01 b* 0.21 0.14 表1、同一製品(例:チーズ)の測定再現性に加えて、ラージカップ及びスモールカップで測定の再現性を確認。 こ の検査は不均質なサンプルのばらつきのある表面特性を検証するために行われました。 表1はサンプル種別及 びサンプルカップに関する再現性と4反復テストの平均を示しています。小さいほど変化もより小さくなります。 例 えばチーズの明度(L)には表面のスキャニング面積と再現性に明確な相関性があります。 サンプルが不均質であるほど、サンプル表面を広くスキャニングすることで信頼性のある結 果を得られることがみてわかります。 12
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5. まとめ: 色を同時測定することの利点 フードスキャン2では、食品の色と多項目の成分を同時に測定できます。人の目による色検 査、あるいは色測定装置に対し1台で2つの検査を同時に測定できる効率化を実現できます。 食品製造でお使い頂けるよう設計された堅牢な食品分析装置の機能としてCIE色空間に基 づく迅速な色測定を行えます。したがってフードスキャン2は基準色に対する定期検査や食品 研究開発にお使い頂ける優れたプラットフォームとしてご活用頂ける装置です。また食品中 の硝酸塩防腐剤削減への取り組みにもお使いいただけます。 フードスキャン2では反復測定、繰り返し測定が可能です。これまでの調査の結果からカラ ーメーターとフードスキャン2が同等の結果を示すことが証明されました。フードスキャン2 で測定が可能となることは、食品製造現場における色測定業務での新しいソリューション となります。さらにフードスキャン2では、再現性に優れた測定結果を得ることができます。 サンプルの不均一性や前処理が一般的なカラーメーターとは異なりますが、フードスキャン 2ではカラーメーターと異なりサンプルの表面を20回スキャニングできるため、非常に安定 した結果を得られる測定装置だといえます。 フォス・ジャパン株式会社 〒135-0016  東京都江東区東陽2-4-14 三井ウッディビル1階 TEL: 03-5665-3821 FAX: 03-5665-3826 セールス・サービス拠点: 札幌・大阪・九州 E-mail: info@foss.co.jp