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抗体のスクリーニングと特性解析を加速!ハイブリドーマベースの抗体発見などを掲載したホワイトペーパー
『iQue高度フローサイトメトリー』は、ハイスループットの大規模スクリーニング用に特化してデザインされており、抗体発見ワークフローに好適なプラットフォームです。
迅速なデータ取得と強力な解析ソフトウェアを統合することで、マルチプレックスアッセイや複雑なデータセットの容易な解釈を可能にします。
【掲載内容(一部)】
■要約
■ハイブリドーマベースの抗体発見
■ナノボディスクリーニングと特性解析のマルチプレックス
■特異性と種交差反応性のマルチプレックス
■IgG力価決定
※詳しくはPDF資料をご覧いただくか、お気軽にお問い合わせ下さい。
このカタログについて
ドキュメント名 | 【資料】生物学的洞察を深めるための高度フローサイトメトリーの使用 |
---|---|
ドキュメント種別 | その他 |
ファイルサイズ | 4.4Mb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | ザルトリウス・ジャパン株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
Page1
ホワイトペーパー
2021年7月19日
キーワードまたはキーフレーズ:
抗体スクリーニング、抗体発見、抗体医薬、
ナノボディスクリーニング、抗体特性解析、
フローサイトメトリー
抗体のスクリーニングと特性解析を加速し、
生物学的洞察を深めるための
高度フローサイトメトリーの使用
John O�Rourke1, Nicola Bevan2, Mark Carter1
1 Sartorius, Albuquerque, United States
2 Sartorius, Hertfordshire, United Kingdom
要約
フローサイトメトリーは、複数の細胞型について複数のパラメー
ターを同時に調べることが可能であり、抗体発見ワークフロー - 細胞とビーズを1回の実験で同時に分離できるため、セル
ベース解析と同時に分泌タンパク質の定量を行うことができにおいて中心的役割を担ってきました。フローサイトメトリーの -ます。マルチプレックス機能には従来のELISAアッセイにはない利点 マルチプレックス機能によりスクリーニングワークフローが
がありますが、ロースループットであるため実用的な結果が 不要になり、複数のアッセイとプラットフォームを1つのシステ
得られるまでの時間を重視するバイオ医薬品分野での使用は -ムで置き換えることができます。厳しいことが分かっています。
- 少量のサンプルで実験を実施できるため、貴重な材料を追加のダウンストリームアプリケーションのために取っておくこと
従来のフローサイトメトリーとは対照的に、iQue® 高度フロー ができます。
サイトメトリープラットフォームはハイスループットの大規模
- 自動システムと接続することで連続プレートローディングがスクリーニング用に特化してデザインされています。特許取得 可能です。
済み技術により迅速なデータ取得と強力な解析ソフトウェアを テンプレートを用いる自動iQue Forecyt® 解析ソフトウェア
統合することで、これまでにないスピードと明確さでデータが と動的データ可視化ツールにより、非常に複雑なデータ
得られるマルチプレックスアッセイが実現します(図1)。 セットからでも結果までの時間をさらに短縮できます。
Page2
このホワイトペーパーでは、3つのバイオ製薬会社によるハイ
スループットの抗体スクリーニングと抗体特性解析での
iQue® 高度フローサイトメトリープラットフォームの使用につ
いてご紹介します。
図1
サンプル使用量 結果までの時間
バインダース 特異性 細胞結合
クリーニング スクリーニング アッセイ
ELISA データの統合と解析
バインダースクリーニング、特異性スクリーニング、細胞結合アッセイ
従来のフロー
サイトメーター データ統合と解析複数のソフトウェアパッケージ
バインダースクリーニング、特異性スクリーニング、細胞結合アッセイ
高度フローサイトメトリー 統合データ解析と
iQue® プラットフォーム 可視化のワークフロー
注記: ELISA、従来のフローサイトメーター、およびザルトリウスiQue® 高度フローサイトメトリープラットフォームを用いた一般的な
バイオ医薬品ワークフローにおけるサンプル使用量と結果までの時間の比較。
ハイブリドーマベースの抗体発見
抗体が効果的ながん治療となるためには、腫瘍細胞の除去 幅広いエピトープ抗原カバレッジで測定する抗原多様性が
に貢献するものでなければなりません。これを達成するため 向上した遺伝子改変マウスモデルを用いるハイブリドーマ
に、多くの治療法で抗体媒介性の細胞死が利用されてい ベースのアプローチが利用されました。iQue® 高度フローサ
ます。抗体が細胞死を誘発するメカニズムにはいくつかあり、 イトメトリープラットフォームを用いて、マウスで発生する
例えば細胞表面抗原の直接標的化、受容体遮断、細胞傷害 免疫反応を評価しました。このプラットフォームでは、96ウェ
性薬物の標的送達、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体 ルプレート全体を約8分で解析することができ、結果はリアル
依存性細胞貪食(ADCP)などがあります。その作用機序 タイムで可視化されました。
にかかわらず、発見ワークフローにおいて早い段階で腫瘍
細胞の死滅を開始できる抗体を特定できるということは、 図2は、経時的に結合しない抗体を用いたリアルタイム解析
腫瘍学分野で成功を収める上で欠かせません。 の例です。代わりに血清滴定でEC50を測定しました。この
データを見る別の方法がヒートマップ形式です。iQue® ソフト
以下に記載する発見戦略は、細胞表面糖タンパク質に結合す ウェアではデータ取得完了後にヒートマップが作成されます。
るリード抗体候補を生み出すためにバイオ製薬会社が設計し ヒートマップに重ね合わされた生データ値は、さらなる解析
たものです。目的の抗体特性には、高い結合特異性、カニ のために直接CSVファイルにエクスポートできます。また別
クイザルタンパク質への交差反応性、およびアポトーシス の方法として、iQue Forecyt® ソフトウェアを使ってデータを
誘導能が含まれました。マウス交差反応性はおまけと見な プロットしてEC50 曲線などのタイター結果のグラフ表示を
されていましたが、相同性が低い(約60%)ため困難とな 作成できます。データ表示の最終形式にかかわらず、iQue®
る可能性がありました。 プラットフォームではさらに迅速な意思決定が可能になるた
め、細胞表面スクリーニングを行う抗体発見ワークフローを
前進させる役に立ちます。
2
Page3
図2: 結果の要約は棒グラフで示しており、3つの代表的なクローン、
iQue® プラットフォームによる抗体結合の解析とヒートマップ 同位体コントロール、およびアポトーシス誘発抗がん剤カン
力- プトテシンが含まれています。中でもクローン5は、抗がん剤
- 価試験のセットアップ- 1:100、3Xから開始する血清滴定 コントロールと比べて、死細胞とアポトーシス細胞の明らか
Alexa488抗マウスIgG Fcyでの染色 な増加で際立っています。このクローンには、「過小評価:
ウェルあたり5000以上のイベントを解析
ほぼすべての細胞が消滅した」という注釈が付けられていま
マウス す。このことは、プレートベースの要約結果でも視覚的に
1
強調されており、黄色のハイライトが付けられています。
マウス2
デ- ータ取得/解析のスピード マウス3
- 96ウェルプレート全体の測定を約8分 解析するイベント数が決まっている従来のフローサイト
- で完了 NMS メーターとは異なり、iQue®
リアルタイムの実用的データ プラットフォームは、プレート上
即時レポート生成 の各ウェルから特定量のサンプルを採取する設定時間(SIP
時間)に応じて動作します。ウェルあたり同数の細胞がプレー
この発見戦略の一環として、iQue® プラットフォームは一部 ティングされたという前提で、各ウェルでほぼ同じ数の
の医薬品候補の機能的特性解析にも使用されました。アポ イベントをキャプチャします。この研究では、設定数の細胞
トーシスアッセイの概要は図3で説明しています。 が各ウェルに割り当てられ、対応するIgGサンプルで処理さ
れました。翌日、サンプルは全体として一緒に取り扱われ、
各ウェルで同じ設定SIP時間を用いてサンプリングされまし
図3: た。クローン5と共にインキュベーションされた3つのサンプル
アポトーシスアッセイの概要とプレートベースの結果ビュー を除くすべてのサンプルに関して、ほぼ同数のイベントが
収集されました。クローン5が入っているこの3つのウェルで
ア-- ポトーシスアッセイのセットアップ 細胞を20nMの精製IgGで処理 は分析のイベント数が目に見えて低下していることから、
- 細胞を37o Cで20時間*インキュベー 細胞が20時間のインキュベーションの過程でアポトーシスや
ション
- 死細胞/生細胞マーカーと 細胞死へと進行した可能性が示唆されました。これらの知見
AnnexinV-FITCで細胞を染色
iQue®で細胞を撮像 の原因をさらに解明するには、複数回の濃縮やインキュベー
ション時間を含む追加解析が必要になります。
* 回収の4時間前にコントロールに
カンプトテシン(CPT)を添加。
コントロール アポトーシス解析に加えて、iQue® プラットフォームを用いて
クローン1
クローン2 目的の上位5つの各候補に関して細胞表面の見かけのKD を
クローン5 測定しました(図4)。既知の抗体濃度を用いて一連の滴定
カンプトテシン
4時間後 を実施した後、iQue Forecyt® ソフトウェアに入力し、そこ
でイベントが収集され、非線形回帰アルゴリズムが実施され
プレートビューでは、Y軸はAnnexin V FITC染色、X軸は てKD50応答測定値が決定されました。
生細胞/死細胞色素での染色を示します。集団全体の上方
へのシフトは細胞でアポトーシスが発生していることを示し、
右側へのシフトは死細胞を示しています。
図4:
細胞表面の見かけのKDのスクリーニング
18,000 30,000
16,000 25,000
14,000
12,000 20,000
10,000 15,000
8,000 4PL
6,000 最低:3807.27
最高:14876.97 10,000
4,000 EC50: 1.39
5,000
2,000 勾配:1.05
R2: 1.00
0 0
-1 0 1 2 3 -1 0 1 2 3
Log(濃度)nM Log(濃度)nM
クローン1 347.51 nM*
クローン2 311.01 nM*
クローン3 25.43 nM
クローン4 6.47 nM
クローン5 1.39 nM
*信頼できない推定値
3
幾何平均BL1-H、
集団3
幾何平均BL1-H、
集団3
Page4
わずか数秒で、ソフトウェアは推定KD 値を出力しました。 対して非常に低い親和性を発揮しているようであり、最高濃度
Sartorius Octet® システムで測定したこのクローンの推定 (1ミクロモル)では不飽和プロファイルが確認されました。
KD 値は、細胞表面の見かけのKD 解析で測定されたものと
ほぼ同じでした。これらの結果は図4の一番下に示していま 発見プロセスの初期段階で特異性や機能などの生物学的
す。予想どおりではあるものの残念なことに、すべてのクロー 特性を試験できる能力は、リード候補の発見を円滑に改善す
ンにおいてOctet® で測定したKD と細胞表面の見かけのKD る役に立ち、最終的にはより良い臨床候補が得られます。
によるKD 測定値で同等のものが認められたわけではありま 最も有望な抗体候補を特定するには、ハイスループット
せんでした。これは、組換えタンパク質への結合と細胞表面 スクリーニングと関連するダウンストリーム構成をできるだけ
で発現したタンパク質への結合との間には違いが確認されて 早い時期に取り入れることが不可欠です。この研究で示され
いたことを考えると、当然のことです。 るように、高度フローサイトメトリーはこのトリアージプロセ
スに対処する有益な方法です。このバイオ製薬会社は、
残りのクローンも、細胞表面の見かけのKDを用いて解析さ iQue® 高度フローサイトメーターを使用することで、標的に
れ、得られた滴定曲線は図4の右側に示しています。グラフ 対する1桁のナノモルレベルの親和性でアポトーシス誘導能を
の下には、iQue®から戻された実際のKD 測定値を示してい 発揮できるリード治療薬候補を特定することができました。
ます。分析された上位5クローンのうち2つは、標的近傍に
ナノボディスクリーニングと特性解析のマルチプレックス
この研究は、あるバイオテクノロジー企業が重鎖抗体の単一 洗浄の後に、標識した抗マウス抗体と共にインキュベーション
可変領域であるラクダナノボディのスクリーニングと特性解析 して洗浄されました。このワークフローの一番のネックは、
のためにiQue® プラットフォームを使用した例です。ナノボ 新鮮細胞を使用することでした。実験当日には、分析のため
ディには、治療薬として使用する上でいくつかの利点があり、 に大量の細胞が必要でした。2009年、この企業は、96ウェ
例えば難しい標的をブロックできること、複数の経路を介し ルプレートを20分で処理でき、1日合計8枚のプレートに対応
た送達、数時間から数週間への半減期のカスタマイズ、およ できるプレートアタッチメントを備えた蛍光活性化セルソー
び製造が容易であることなどです。 ティング(FACS)システムを購入しました。2014年には、
さまざまな色素を用いるマルチプレックスアッセイを開発して
ナノボディ発見ワークフローは、合成ライブラリーまたは免疫 おり、このアッセイでは新鮮細胞と凍結細胞を使用でき、
化ラクダから始まり、一次結合、機能スクリーニングアッセイ、 スループットが1日384データ点から2304に増加しました。
および特性解析と力価の最適化のためにハイスループットの
iQue® フローサイトメーターを取り入れています。 iQue® プラットフォームを採用したことで、データ解析用の
iQue Forecyt® ソフトウェアを併用した場合、ウェルあたり
近年、このバイオテクノロジー企業では、使用しているアプ 5つの細胞株でスループットはさらに96ウェルプレート1日
ローチを、スループットを大幅に高めることができる抗体発 10枚へと増加し、1日あたり合計4800のデータ点を得られる
見ワークフローへと進化させました(表1)。この企業で元々 ようになりました。最近では、収集された細胞株あたりの
使用されていた一般的な結合プロトコールでは、標的を発現 ライブイベント数をさらに400に増加して、384ウェルプレート
する細胞をナノボティと混合し、その混合物をインキュベー に切り替えることにしました。さらに、2種類の色素の代わり
ションして未結合のナノボディを洗い流すことが必要でした。 に1種類の色素の強度の違いを利用した新しいマルチプレック
続いて、マウス抗タグ抗体が添加され、インキュベーションと スアッセイを開発しました。
4
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表1:
ナノボディスクリーニングプロセスのハイスループットマルチプレックスアプローチまでの進化。
2006~ 2012 2013~ 2014 2015~ 2017
細胞株数/ウェル 1 3 5
セットアップ 死細胞染色 + 標的染色 マルチプレックスの死細胞染色+標的染色 マルチプレックスの死細胞染色+標的染色
細胞数/ウェル 200,000 100,000 50,000
ライブイベント数/収集細胞数 20,000 10,000 1,000
セルストック 新鮮 新鮮/凍結 新鮮/凍結
アッセイプレート 96ウェル 96ウェル 96ウェル
装置 FACSアレイ FACSアレイ + FACSコントロール iQue® スクリーナー
最大スループット 4 X 96ウェルプレート/日 4 ~ 8 X 96ウェルプレート/日 10 X 96ウェルプレート/日
(384データ点) X 3細胞株/ウェル(2304データ点) X 5細胞株/ウェル(4800データ点)
データ解析 各プロットを個別でエクスポート バッチ解析用ソフトウェア Forecyt®
プロセス改善
異なる強度を染色するのに使用された色素の比較では、 標的タンパク質のヒトバージョンとカニクイザルバージョンを
iQue® Cell Membrane Cell Encoding B/Green色 素 で 発現しています。ヒストグラムは、3種類すべての細胞株に
最高の結果が得られ、各ウェルで無染色コントロールを含め 対するプレートレベルのナノボディ結合を示しています。
た5種類の細胞株のマルチプレックスが実現しました。この iQue Forecyt® のヒートマップ機能を使用してデータの
色素は、他の色素と比べて漏出が少ないことが確認されま デコンボリューションが実施され、特定の細胞株に対する各
した。 ウェルにおける結合が示されています。このデータは、標的
タンパク質のヒトバージョンとカニクイザルバージョンへの
図5は、96ウェルフォーマットでのマルチプレックスアッセイ 結合を示していますが、親細胞株への結合はポジティブ
の例です。最初のドットプロットでは、異なる細胞株が分離 コントロールウェル以外では確認されませんでした。
されていることが分かります。1つは親細胞株で、残り2つは
図5:
iQue® プラットフォームで実施されたナノボディスクリーニング試験
MFI(FLA-4)
ダブレットの除去
細胞株1 細胞株2 細胞株3
細胞株
1
16,000
FL1-A 細胞株 14,000
2 12,000 ポジティブコントロール
ダブレットの除去
細胞株3 サンプル
10,000
細胞株2 ネガティブコントロール
細胞株1 8,000
6,000
4,000
細胞株 2,000
3 0
細胞株: 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1
プレート1 プレート2 プレート3 プレート4
FL4-A
注記: Que Forecyt® ソフトウェアのデザインタブを用いて、滴定曲線を設計し、一次特性解析の重要なパラメーターとモデルが選択されました。過去には、
Graphpad Prismを使ってカーブフィッティングとEC50 統計値が生成されていました。しかしながら、Graphpad Prismは多大な労力が必要であることが
分かり、データのエクスポートとペーストが必要でした。現在、iQue Forecyt® ソフトウェアを使用して自動カーブフィッティングを行っており、滴定実験か
ら得られたEC50 統計値により効率的なデータ解析が実現しています。
5
イベントの数 FSC-H
MFI(FLA-4)
Page6
図6:
iQue® プラットフォームで実施し、iQue Forecyt® ソフトウェアを用いて解析された48のナノボディの特性解析
系列希釈を パラメーターと
Forecyt® ソフトウェアに挿入する モデルを選択する
-- csvファイルでエクスポート
されたカーブフィット値
直接データと関連している
カーブフィッティング
注記: 統合iQue Forecyt® ソフトウェアと組み合わせたiQue® システムにより、このバイオ製薬会社はナノボディスクリーニング戦略のスループットを、
従来のフローサイトメトリーと比べて少なくとも4倍に増加することができました。初期スクリーニングにおける細胞株のマルチプレックスにより、種交差反応性
ならびに標的の結合エピトープの選択性に関する洞察が得られました。さらに、一次特性解析におけるカーブフィッティングデータ解析では、さらに時間を
節約することができました。
特異性と種交差反応性のマルチプレックス
ハイブリドーマは、抗体発見のアプローチとして十分に開発 達成することが難しくなります。一方、iQue® プラットフォーム
され成熟した方法ですが、さらにプロセスを効率化させるこ は、少量のサンプルを用いて高速で高品質データを取得でき、
とができます。これらの目的を達成するために革新的技術が 第三者のソフトウェア解析パッケージへの転送することなく、
使用されている重要なステップの1つが標的特定です。これま 直接iQue Forecyt® ソフトウェアで大量のデータセットを
では、ハイブリドーマ上清からバインダーをスクリーニングす 処理や管理することもできます。
るための最も広く使用されていた方法はELISAでした。しか
しながら、ELSAには直接法またはサンドイッチ法で使用さ 図7は、iQue® プラットフォームと96ウェルプレートの使用に
れる組換えタンパク質が、特に表面への結合後、標的の 限定されるオプションのプレートローダーを備えた従来の
エピトープを明らかにするのに適した構造になっているのだ フローサイトメーターとの比較を示しています。iQue® プラット
ろうかという大きな懸念があります。ELISAでは、ダイナミック フォームは、FACSと一致する高品質データを生成できただ
ウインドウが限られており、飽和に達成しやすくなっています。 けでなく、それを高速かつ少量のサンプルで達成することが
また、非特異的結合により偽陽性率が高まります。 できました。
細胞表面結合アッセイは生理学的により適切なものになりま iQue® プラットフォームは、384ウェルプレートを24分で
すが、一次スクリーニングツールとしての使用も制限するい サンプリングでき、従来のフローサイトメーターは96ウェル
くつかの課題があります。従来のフローサイトメーターは、 プレート1枚を1時間でサンプリングできました。このスピード
小規模研究にのみ適しており、自動化に適しておらず、データ により、細胞表面結合アッセイはハイブリドーマ戦略のため
取得と管理能力に限界があるため、必要なスループットを の一次スクリーニングツールとして使用することができます。
6
Page7
図7:
iQue® プラットフォームで実施し、iQue Forecyt® ソフトウェアを用いて解析された48のナノボディの特性解析
- 800,000 7 min/plate
- 細 胞、微生物、ビーズ、およびこれらの混合物の SIP時間4秒、細胞約800個
- HTスクリーニング 600,000 SIP時間1秒、細胞約200個
- レーザー構成:13色のVBR
- 固定PMT:ラン間や研究者間で一貫している
400,000
96ウェルプレートあたり5分、- 384ウェルプレートあたり25分 200,000
アッセイ小型化:1 µLの吸引、デッドボリュームなし- 自動化されたオンザフライのデータ解析 0
自動化が容易 -3 -2 -1 0 1 2
Log10 Conc (nM)
100
iQue®におけるSIP時間4秒
iQue®におけるSIP時間1秒
プレートあたり ウェルあたり 細胞あたり 10
1 細胞2000個、
60分/プレート、Canto
0
0.1 1 10
EC50 (nm)、FACSCantoで取得
iQue® では、ED FACSCantoと一貫した結果が得ら
れますが、サンプル使用量が減り、時間は短縮されます。
以下のケーススタディでは、ハイブリドーマスクリーニングに 細胞表面結合データとELISAデータとの比較により、細胞
使用された細胞表面結合アッセイと精製抗体親和性アセス 表面結合アッセイで特定されたヒットのほとんどはELISAで
メントを説明しています。バイオレット細胞をコードする色素 は差を観察できないほど飽和していたことから、細胞表面
で標識した親細胞と未標識の標識発現細胞という2つの細胞 結合アッセイはELISAよりダイナミックレンジが広かったこと
集団を用いたスクリーニングが使用されました。細胞型は、 が示されました(図9)。さらに、ELISAでは見逃された1つ
スクリーニングのために同一ウェル内で1対1で混合しました。 のヒットが細胞表面結合アッセイで特定されました。これは、
バイオレットチャネルの強度に基づいて、これらの2つの細胞 ELISAで使用される組換えタンパク質と比較した場合の標的
型を特定することができました。ドットプロット(図8)では、 アプローチにおける細胞表面の構造における違いを反映して
赤色の丸で囲まれた親細胞と青色の丸で囲まれた標的発現 いる可能性があります。全体として、この研究では、ハイスルー
細胞を示しています。高親和性バインダー、中親和性バイン プットフローサイトメトリーにおける標的細胞と親細胞のマルチ
ダー、低親和性バインダー、および非親和性バインダーを プレックスは、抗体スクリーニングの生理学的に適した強力な
簡単に見分けることができました。 技術であることが証明されました。このマルチプレックス
アプローチは、異種間活動のスクリーニングにも使用できます
図8: (図10)。
親細胞と標的発現細胞のドットプロット
図9:
107 107
高親和性バインダー 非親和性バインダー 細胞表面結合アッセイではELISAより
レーザーダイナミックレンジが拡張していました。
106 106
80
105 105
70
104 104 60
50
103 104 105 106 107 103 104 105 106 107 40
30
107 107
中親和性バインダー 弱親和性バインダー 20
106 106 10
0
105 105
0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5
- Abs(0D450)
104 104 -- 細胞表面結合アッセイでは5x希釈、ELISAでは40x希釈
組換え細胞表面抗原と生理的な細胞表面抗原との比較
103 104 105 106 107 103 104 105 106 107 FACSでは1つのウェルで親細胞とマルチプレックスが可能
VL1-H
7
RL1-H
EC50 (nm)、 Alexa 647 CsoMean
増加(倍) iQue®で取得
Page8
図10:
複数の細胞型のマルチプレックスにより、ハイブリドーマスクリーニングでさらにスループットが向上
ヒト
シングル
107 33.04% 0.70%
106
マウス標的 マウス
105
104 親
103
ヒト
標的 親
25.02% 41.24%
100 101 102 103 104 105 106 107
VL1-H
IgG力価決定
IgGキャプチャビーズには、細胞からの区別が可能な散乱 マウスIgG型コントロール上で、IgGの含まれないバッファー
パターンがあり、細胞とマルチプレックスしてハイブリドーマ コントロールと比較して100倍のシグナルウィンドウでマウス
IgG濃度を測定することができるため、ヒット選択を導くさら 血漿を検出することができました。キャプチャビーズは、大
なる洞察が得られます。 きなシグナルウィンドウで血漿からマウスIgGを検出すること
ができました。これにより、ハイブリドーマからIgGを定量化
散布図は、細胞集団がキャプチャビーズ集団から明確に区別 する能力に対する信頼が得られました。
されたことを示しています(図11)。キャプチャビーズは、
図11:
細胞とキャプチャビーズのマルチプレックス
細胞のみ ビーズのみ 細胞+ビーズ
107 107 107
106 106 106
105 105 105
104 104 104
105 107 105 107 105 107
FSC FSC FSC
8
SSC
BL3-H
SSC
SSC
Page9
図12は、細胞表面結合アッセイにおける2種類の細胞のマルチ ヒットはグラフ内の濃い灰色で特定されました。右のグラフで
プレックスの一例を示しています。左側のグラフでは、特定 は、各ハイブリドーマサンプルでIgGの相対的濃度が測定さ
の比率と増加(倍)基準を用いた細胞ベース解析からの れました。
ハイブリドーマスクリーニングからのヒットが特定されています。
図12:
IgG濃度はハイブリドーマ一次スクリーニングで検出可能
9.0 650,000
8.5 600,000
8.0 550,000
7.5 ウェルあたり約100個のビーズを計数
7.0 500,000
6.5 450,000
6.0 400,000
5.5
5.0 350,000
4.5 300,000
4.0 250,000
3.5
3.0 200,000
2.5 150,000
2.0
1.5 100,000
1.0 50,000
0.5 0
0.0
0 2 4 6 8 10 12 14 16 0 200,000 400,000 600,000 800,000 1,000,000
増加(倍) 細胞:Alexa 647 MFI
その他に、抗体発見ワークフローで使用されるさらに複雑な 図13に示すように、これには競合アッセイ、遮断アッセイ、
細胞表面結合アッセイは、iQue® ハイスループットフローサイ シグナル増幅アッセイなどがあります。
トメトリープラットフォームに簡単に適応させることができます。
図13:
iQue® プラットフォームを用いて、幅広い複雑な細胞表面結合アッセイを加速し効率化することができます
競合アッセイ 遮断アッセイ シグナル増幅アッセイ
10 µg/mLの既知の Alex Fluoro®
Alexa647抗マウスIgG
エピトープAb テスト抗体 647-ストレプトアビジン
マウス抗タグIgG
ビオチン化標的タンパク質
? テストSdAbタグ付き
?
標的
標的 結合パートナー
細胞
細胞
Alexa647-抗 細胞
マウスIgG
9
特定の比率
ビーズ: Alexa 647 MFI
Page10
結論
抗体治療薬を発見できるかどうかは、優れた特異的反応性と がプラスチック製ウェルの人工的な環境ではなく細胞表面に
最適な機能性を有する候補分子の迅速な同定と特性評価にか 提示されていることがあります。標的が本来の構造であること
かっています。歴史的に、抗体発見ワークフローはELISAの で、より生物学的に関連があり、in vivo活動をより正確に
使用が中心でしたが、ELISAでは単一抗原への抗体結合が分 示すアッセイ結果が得られます。
かり、アッセイプレートのウェルをコーティングするために標的
タンパク質を大量に必要となります。 要約すると、iQue® 高度フローサイトメトリープラットフォーム
では、迅速なマルチプレックス分析法の開発と実行のために
iQue® プラットフォームを使用すると、さまざまな細胞型と 比類のない幅広さと汎用性が得られます。新治療薬の開発
パラメーターを同一のウェルで評価することができるため、複数 競争において、このハイスループットプラットフォームは他では
のデータが生成され、発見を導き加速するのに必要なデータ 得ることのできない洞察をもたらし、複雑な生物学を解明する
と洞察が得られます。さらなる利点としては、標的タンパク質 ことで新たな洞察をもたらして意思決定を加速させます。
参考文献 Image Credits
1 na
2 Ex webinar: High Throughput Antibody Discovery targeting
Glycoproteins, by Tracey Mullen, Chief Operating Officer,
Abveris and AbX Biologics
3 Ex webinar: High Throughput Antibody Discovery targeting
Glycoproteins, by Tracey Mullen, Chief Operating Officer,
Abveris and AbX Biologics
4 Ex webinar: High Throughput Antibody Discovery targeting
Glycoproteins, by Tracey Mullen, Chief Operating Officer,
Abveris and AbX Biologics
5 Ex webinar: Accelerating Nanobody Discovery Workflows with
High-Throughput Flow Cytometry, by: Dr. Pieter Kennis,
Ablynx, a Sanofi Company
6 Ex webinar: Accelerating Nanobody Discovery Workflows with
High-Throughput Flow Cytometry, by: Dr. Pieter Kennis,
Ablynx, a Sanofi Company
7 Ex webinar: Multiplexing Species Specificity and Species Cross
Reactivity Assays in Biologics Discovery, by Yana Wang, Takeda
Pharmaceuticals and Robert Ford, Avacta Life Sciences
8 Ex webinar: Multiplexing Species Specificity and Species Cross
Reactivity Assays in Biologics Discovery, by Yana Wang, Takeda
Pharmaceuticals and Robert Ford, Avacta Life Sciences
9 Ex webinar: Multiplexing Species Specificity and Species Cross
Reactivity Assays in Biologics Discovery, by Yana Wang, Takeda
Pharmaceuticals and Robert Ford, Avacta Life Sciences
10 Ex webinar: Multiplexing Species Specificity and Species Cross
Reactivity Assays in Biologics Discovery, by Yana Wang, Takeda
Pharmaceuticals and Robert Ford, Avacta Life Sciences
11 Ex webinar: Multiplexing Species Specificity and Species Cross
Reactivity Assays in Biologics Discovery, by Yana Wang, Takeda
Pharmaceuticals and Robert Ford, Avacta Life Sciences
12 Ex webinar: Multiplexing Species Specificity and Species Cross
Reactivity Assays in Biologics Discovery, by Yana Wang, Takeda
Pharmaceuticals and Robert Ford, Avacta Life Sciences
13 Ex webinar: Multiplexing Species Specificity and Species Cross
Reactivity Assays in Biologics Discovery, by Yana Wang, Takeda
Pharmaceuticals and Robert Ford, Avacta Life Sciences
Table 1 Ex webinar: Accelerating Nanobody Discovery Workflows with
High-Throughput Flow Cytometry, by: Dr. Pieter Kennis,
Ablynx, a Sanofi Company
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Status: 07| 2021