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seiden特別号2024
一般社団法人日本電気制御機器工業会(NECA)では、FA市場におけることづくりを定義し、その事例を本書では解説しています。
更には、安全人材育成、NECA委員会活動も紹介しております。
◆ 「seiden特別号 2024」の発行にあたり
(一社)日本電気制御機器工業会 会長 山本 清博
◆Part1 FA市場におけることづくり
第1章 ことづくりとは
第2章 ことづくりの事例
①販売・交換時の「コトづくり」
②使用・サービスの「コトづくり」
③生産・創造時の「コトづくり」
◆Part2 セーフティアセッサ資格制度による安全人材育成
安全人材育成の必要性・セーフティアセッサ資格制度とは
セーフティアセッサ座談会
◆Part3 NECAの委員会紹介
第1章 企画委員会
第2章 総務委員会
第3章 広報委員会
第4章 業務委員会
第5章 商社委員会
第6章 技術委員会
第7章 環境委員会
制御機器をご利用のお客様へ 模倣品対策研究会
第8章 制御安全委員会
第9章 防爆委員会
第10章 ものづくり・ことづくり委員会
※本コンテンツの商用目的、営利目的での利用、また無断転載を禁じます。
(本コンテンツは、一般社団法人 日本電気制御機器工業会及び第三者が有する著作権により保護されております。)
※本コンテンツを利用に関して生じたいかなるトラブル、直接・間接の損害に対し、日本電気制御機器工業会及び発行者はいかなる責任も負いません。
このカタログについて
ドキュメント名 | FA市場におけることづくり |
---|---|
ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
ファイルサイズ | 19.5Mb |
取り扱い企業 | 一般社団法人日本電気制御機器工業会 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
この企業の関連カタログ
このカタログの内容
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seiden 2024特別号
FA市場における
ことづくり
セーフティアセッサ資格制度による
安全人材育成
NECAの委員会紹介
Page2
seiden 2024 特別号
contents
1 「seiden特別号 2024」の発行にあたり
(一社)日本電気制御機器工業会 会長 山本 清博
Part1 FA市場におけることづくり
2 第1章 ことづくりとは
4 第2章 ことづくりの事例
①販売・交換時の「コトづくり」
②使用・サービスの「コトづくり」
③生産・創造時の「コトづくり」
Part2 セーフティアセッサ資格制度による安全人材育成
11 安全人材育成の必要性・セーフティアセッサ資格制度とは
12 セーフティアセッサ座談会
Part3 NECAの委員会紹介
18 NECA委員会構成
19 第1章 企画委員会
20 第2章 総務委員会
21 第3章 広報委員会
22 第4章 業務委員会
23 第5章 商社委員会
24 第6章 技術委員会
26 第7章 環境委員会
28 制御機器をご利用のお客様へ
模倣品対策研究会
29 第8章 制御安全委員会
30 第9章 防爆委員会
32 第10章 ものづくり・ことづくり委員会
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『seiden特別号 2024』の発行にあたり
一般社団法人 日本電気制御機器工業会
会長 山本 清博
平素は当工業会の活動にご支援・ご協力いただき、誠にありがとうございます。
現在、私たちを取り巻く世の中は、地政学リスクの高まり、不透明な経済情勢、SDGs、カー
ボンニュートラルへの対応、AIの活用など、さまざまな環境変化が起きています。また、デ
ジタル化の進展により、ものづくりの革新や顧客の価値を視点とした付加価値の創造を目指
すビジネスモデルの変革が求められています。当工業会もこのような劇的な変化に対応する
ため、変化への対応が急務であるという危機感をもって活動を行っております。
活動内容の一端をご紹介する冊子をIIFESの開催に合わせて「seiden特別号」と称して発
行しています。今回で4回目となる特別号は、3部構成でお届けします。
第1部は「FA市場におけることづくり」です。
当工業会では、2018年に新たな委員会として「ものづくり・ことづくり委員会」を発足
させました。委員会の活動としては、2017年に提唱された「5ZEROマニュファクチャリ
ング」の推進を通じて、製造現場におけるデジタル化の推進に主眼を置いてきました。昨年
度からは、急激な環境変化によってFA市場でも重要性が増している、委員会の名前にも掲
げた「ことづくり」について議論を深めています。本号では、「ことづくり」の定義や具体
的な事例をご紹介しています。
第2部では、「セーフティアセッサによる座談会」を掲載しています。
当工業会は2004年に「セーフティアセッサ資格制度(SA資格制度)」を創設し、スキー
ムオーナとして安全人材の育成を推進してきました。本号では、SA資格を取得し、各企業
で活躍されている4名の方にお集まりいただき、各社の「安全」に関する取り組み内容や資
格制度の効果についてお話いただきました。
第3部は、当工業会の各委員会の活動のご紹介です。
第1部のものづくり・ことづくり、第2部の安全に関する取組み以外でも、標準化や環境
対応を初めとして、様々な活動を行っています。当工業会の活動の一端をお伝えすることが
出来れば幸いです。
今後とも当工業会活動へのご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
2024年1月
seiden 2024 特別号 1
Page4
Part
1 FA市場におけることづくり
NECAでは第4次産業革命検討WGを発足後、2017年1月に「5ZEROマニュファクチャリング」を提唱しまし
た。その後、2018年に「ものづくり・ことづくり委員会」を発足し、要件定義、導入のポイント、導入ツール、ユ
ースケース、チェックリストなど製造現場でのデジタル化の推進に取り組んできました。
一方、この委員会の名称にもあることづくりも重要なFA市場の変化と認識しています。これまで日本の製造業は
QCDのレベルの高さを武器にグローバルに事業拡大してきました。しかし、昨今のコロナによるパンデミックや地
政学的な脅威への対応、またSDGsが目指すサステナブルな社会の実現に向けたカーボンニュートラルの推進など
QCDだけではない新たな価値を求められるようになってきました。
このような中、デジタル化の加速により顧客の価値を起点とした付加価値の高いビジネスが重要視されてきており、
サービスや教育などをベースとしたことづくりのビジネスが拡大しています。
FA市場におけることづくりとは何かについて「ものづくり・ことづくり委員会」で調査、検討しましたので、
一般的な定義からFA市場のことづくりとは何かについて解説するとともに、NECAの会員企業での“ことづくり事例”
を紹介します。
第1章.ことづくりとは
1-1.ことづくりの定義 商品を使用することによる価値のN次創作もこの分類に
ことづくりの定義については、いろいろな考え方があ あてはまります。
ると思います。一般的にはサービスなどの無形な価値、
モノなどがもたらす価値そのもの、課金の仕方を使用期 ③生産・創造時の「コトづくり」
間や使用量に応じて行うもの、ソフトウエアがもたらす 優れた商品を作り出すための仕組み(活動、プロセス
価値などと言われています。 を含む)としてのコトをつくること。具体的には、以下
ここで一例として平成25年に総務省が発行した のような取り組みがこの分類にあてはまります。
『「コトづくり」の動向とICT連携に関する実態調査研究』 ・社内の仕組み・組織づくり
に記載された分類について紹介します。 (設計=生産=販売の統合など)
・取引先との垂直な仕組みづくり
~「コトづくり」の分類~ (サプライ・チェーン・マネジメントなど)
①販売・交換時の「コトづくり」 ・中小企業同士の横の連携による仕組みづくり
企業が利用者に商品を販売する際の価値としての ・世界中の専門家とのネットワーキングのための仕組み
「コト」をつくること。この分類における価値としての づくり
「コト」とは、「モノ」の機能的価値以外の意味的価値の ・利用者も巻き込んだオープンなエコシステムの仕組み
ことであり、具体的には、以下のようなものを含みます。 づくり
・製品デザイン(感覚的なもの) (出典)総務省『「コトづくり」の動向とICT連携に関する実態調査』
(平成25年)
・感覚的なインタフェース *ことづくりは原文の通り、「コトづくり」と表記しています。
・ストーリー、記号、ブランド
・ソリューション(提供物の組合せによる課題解決) ではFA市場におけることづくりとはどのようなもの
か委員会で議論した内容を紹介します。
②使用・サービス時の「コトづくり」
利用者が商品を使用することから発生する価値として ①販売・交換時の「コトづくり」とは
のコトをつくること。具体的には、利用者による継続的 商品を購入した時に商品自体が持つ機能以外に購買意
な使用を重視したサービス・ドミナント・ロジックによ 欲につながる要素を言います。データの事前ダウンロー
る商品作り、製造業のサービス化の取り組み、ユーザー ドサービスなどがこの分類に該当します。顧客が機器選
の使用情報に基づく付加価値づくりなどがこの分類に含 定を行う場合にWEBサイトやカタログなどから選ぶ場
まれます。 合や、装置全体の設計を行って機器の仕様を決めていく
さらに、主体をソーシャルな領域まで広げていけば、 場合があります。
2 seiden 2024 特別号
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Part1 FA市場におけることづくり
デジタルカタログなど選びやすいしくみがあれば、作 ナログ的なやり方を商習慣含めてデジタルに変えていく
業効率が上がり顧客にとってメリットが出ます。 必要があります。
ことづくりの定義については時代と共に主流が[販売・
②使用・サービス時の「コトづくり」とは 交換時のコトづくり]→[使用・サービス時のコトづく
モノを使っている期間中に発生する顧客満足を高める り]→[生産・創造時のコトづくり]と変化しています。
要素と言えます。一般的にことづくりと言うとこの分類 それと共に、ことづくりによる協調領域や顧客の価値は
の内容を想像する方が多いのではないでしょうか。商品 大きくなっていると言えます(図1)。
の使用価値を高めるという点で、アフターサービス、遠 今後、さらにことづくりへの取組が企業にとって重要
隔診断、などもこの分類に含まれます。また、顧客との になってきます。
関係を維持するという観点で、サブスクリプション契約
や、従量課金制度を取り入れることもことづくりとなり 1-2.ものづくりの変化
ます。顧客に機器を使用する価値を与え続ける必要があ ことづくりという言葉を聞くと、ビジネスの主体がも
り、顧客の要求を常に満たしている必要があります。顧 のづくりからことづくりに変化するというニュアンスを
客との関係を継続的に保つためには何をすれば良いかと 抱くことがあります。その背景にはモノはコモディティ
いう発想で考えるといろいろなアイデアが生まれて来ま 化が進み、モノを作ることに価値は無くなるのではない
す。 かという考え方があり、価値の源泉はコトに移動して、
モノには対価が支払われないのではないか、と考えてし
③生産・創造時の「コトづくり」とは まいます。しかし、モノが無い状態で、コトは生まれな
最も新しいことづくりの概念で、ICT技術の向上に伴 いし、ことづくりを進めることによってモノの価値はさ
うネットワーク活用での連携や、ユーザーの真のニーズ らに向上すると考えられます。
を把握して改善するためのコンサルティング業務などが 生産・創造時の「コトづくり」について、モノの位置
この分類に該当します。また、顧客課題の解決をヒント づけが分かりにくいと思いますが、コンサルティングを
として、自社商品の開発企画立案などを行える場合もあ 行って課題に対する対応策を決めた場合にその対応策に
ります。機器売りとは直結しないこともありますが、機 はモノが必要になる場合が多いと思います。モノをどう
器製造メーカーとしてのノウハウを生かした新しいビジ やって使うかという発想ではなく、コトを実現するため
ネスへの発展が期待できます。 に必要なモノは何なのかという観点で考えるとモノの存
この分野のことづくりの最終形とも言えるエコシステ 在価値が明確になります。また、この観点から新たな商
ムへの関わり方ものと・しこてと委、員自会らしではくこみのを3作つるのほ分か類にはも図、1すのように品イのメ開ー発ジにされつ、な顧が客るのこ経と営も課あ題りまやす企。業製間造の業協にとってこ
でにあるエコ調シ領ス域テがム大(きネいッほトど顧ワー客クのな価ど値)もに大参き加く、すサーるビスとしとてづのく対り価はも大高きいなビビジジネネスにスつチなャがンるス可に能つ性なががあるることを理
という選択もと考ありえてまいすま。すす。でまにた、欧す米でをに中N心ECとAしのて会ク員ラ企ウ業でも解各し分、類積ご極と的にに「コこトとづづくりく」とりしへて挑の戦ビジすネるスこととしがて重実要です。
ド化による協施調して領い域るで企の業顧も客あとりFまAす機。器のデータ連動が
現在は“使用・サービス時の「コトづくり」”までは多くの企業ですでに実施しており、「コトづくり」という意味
急速に進んではお主りに“、生日産本・の創F造A時コンの「ポコートづネくンりト」”にの部つ分いてを示すこと次が章多のくなこっとてづきくてりいのます事が例、をレ参ベ考ルとのし違てい、はあ自り社が取り組
も、市場の動まきすとが、共すにべ変て化がす「コるト必づ要くりが」随と認所識にし発て生よしいてとき思いますむ。べきことづくりを考えて頂き、一歩進んだものづくり
ています。これを加速的に進めるためには、今までのア へのヒントになる事を願います。
③
顧
客 生産・創造時の
の ② 「コトづくり」
価
値
・ 使用・サービス時 コンサルサービス
サ ① の「コトづくり」
ー
ビ 販売・交換時の メンテナンスサービス
ス 「コトづくり」 アプリソフトサービス
対
価 製品保証(有償or無償)
顧客の経営課題・企業間の協調領域
図1 コトづくりの3つの領域のイメージ (図1コトづくりの3つの領域のイメージ)
seiden 2024 特別号 3
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第2章 ことづくりの事例
① 販売・交換時の「コトづくり」
ここでのことづくりは商品の機能以外に購買意欲につながる価値を付加した価値提供です。一つ目の事例は自社の
商品を顧客がより採用し易くするために、難しい安全規格対応を周辺機器とのセットで提供することで採用する顧客
のエンジニアリング工数を削減し価値を高めた事例です。二つ目は個別仕様に対応したWebサイトの構築によりオ
ーダー方法を改善し価値を高めた事例となります。
①-1.燃焼安全ソリューション ■装置メーカーの課題
バーナを使用した工業炉,ボイラといった装置を取り ①安全規格への対応
扱う燃焼装置メーカーは、安全規格への対応やそれに伴 燃焼装置の安全規格はJISで定義されていますが、燃
うエンジニアリング工数の増加といった課題を抱えてい 焼装置の高性能化による安全基準の見直しや欧米規格と
ました。この課題に対し、燃焼安全システムをパッケー の整合を図るため、改正が行われてきました。しかし、
ジ化して販売することで、採用する顧客が効率的に安全 大型の燃焼装置を改正JISに対応するのは容易ではな
設計を行うことが可能となった安全ソリューション事例 く、燃焼装置メーカーの大きな課題となっていました。
を紹介します。
②燃焼安全システムの構築
■燃焼安全 ・設計技術
燃焼装置とは熱風・高温雰囲気を作り出す設備で、可 要求されている安全機能を正しく理解し、それに応
燃性の燃料と点火源を持つことから、爆発のリスクを含 じて各機器を組み合わせて設計する必要があるた
む装置です。よって爆発事故を防ぎ安全に運転するため め、設計者の負担が増える、または属人化して設計
の制御装置が必要となります。広義の燃焼安全装置とは、 技能伝承が困難となっていました。
バーナなどの燃焼装置を安全に使用するために用いられ ・工数の増大
る装置で、その目的は「爆発事故の発生を防ぐこと」と 多くのリレーやタイマなどの外部回路を組み合わせ
なります。 てシステム構築を行う必要があるため、配線は膨大
爆発を防ぐためには、爆発の3要 となり複雑化。配線作業や安全検証/認証に要する
燃料 空気
素(図2)のうち何れかを制御する 工数が膨れ上がっていました。
ことが有効です。 点火源
■ソリューション(ことづくり)の効果
■機器構成 図2 爆発の三要素 バーナコントローラー、火炎検出器、自動遮断弁とい
燃焼装置の機器構成は図3の通りとなっています。 った製品(図4)を用いて安全規格を満たす燃焼安全シ
その中で、燃焼安全関わる代表的な機器は下記の3つ ステムをパッケージ化し、燃焼装置に必要な安全(コト)
になります。 として提供しました。
①バーナコントローラー:バーナを制御 燃焼安全システムがパッケージ化されることで、プロ
②火炎検出器:バーナ火炎の有無を検知 グラムレスであらかじめ作りこまれた安全機能を選択す
③自動遮断弁:燃料の供給及び停止 るだけで機能実現でき、要求される安全機能の設計や検
証といったエンジニアリング工数・設計上のリスクが大
幅に低減され、燃焼安全装置独自での対応が不要となり
ました。更に、省配線/省スペースを実現可能であり、
配線作業・検証・認証といった工数も削減されるなど、
顧客価値の向上に繋がりました。
図4 燃焼安全ソリューション機器
図3 燃焼装置の基本構成 (事例提供:アズビル)
4 seiden 2024 特別号
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図3
Part1 FA市場におけることづくり
図3 個別仕様を入力中のリアルタイム表示
①-2.個別仕様対応のことづくり
㈱パトライトの事業の一角である、ホイスト用押ボタ
ン開閉器を購入する顧客層は、生産設備や機械の用途に
より、標準品の即納を求める層と、エンドユーザーの要
望から個別仕様で受注対応を求める層に分かれていま
す。購入ユーザーは、仕様決め~発注~納入後の管理や
メンテナンスなどの各プロセスで、細かい打合せや過去
の仕様の調査などの「わずらわしいやりとり」と「手間」
が発生していました。これらを解消することで個別仕様
Con f i den t i a l © PATLITE Corporation. All Rights Reserved. 4
のオーダー品でも「手に入れやすいコンポーネント製品」 図7 個別仕様を入力中のリアルタイム表示
として提供できるようにした事例となります。
途中、スイッチユニットの組合せは、禁則情報が反映
■販売時の個別仕様の受注対応の課題と解決 されるため選択ミスが発生することはありません。
購入ユーザーは個別の受注対応品を発注しようとする 最後に仕様情報登録をすると固有の管理番号が付与さ
と、カ図タロ1グで仕様を検討して“紙媒体”のフォーマッ れます。その時点で製作仕様書が完成しており利用可能
図1 個別仕様を発注するトにま手で書のきし流てれ、FとAX課し題なければなりませんでした。 となります
(図5) この様に「やりとりのわずらわしさの解消」と「簡単
〔購入ユーザーの作業〕 〔ユーザーから見た課題〕
①②③④⑤・仕様の確認がわずらわしい に作成できること」を実現するために、直感的な操作と、
前製見発製・前回から少し仕様変更したい
回作積注作・依頼や管理が属人化する
仕仕依 仕・再注文時の履歴調査の手間 発生した疑問もすぐに解決できるように工夫されていま
様様頼 様
の書F 書・再注文時の仕様確認
特記A の・・・・・etc. す。
定入X 管
理
(★=解消又は自動化)
(PPT図形で作成:元データ) ■交換時の個別仕様の受注対応の課題と解決
この製品を採用している機械や設備のメンテナンス時
には過去の仕様で再発注することが有ります。「再発注
図5 個別(仕拡様大をし発て注図形す化る)までの流れと課題 するときの過去仕様の調査や確認、少しの仕様変更の手
間がかからないようにして欲しい」との言う声に対して
ユーザーへのヒアリングをする中で「個別仕様なので は、顧客の任意情報を記録、管理できるようにして対応
Con f i den t i a l ©やPATLむITE をCorp得oratioなn. Aいll Rigがhts R、eser仕ved.様確認がわずらわしい」「手書きの2 しました。この情報から、検索、複製、の機能を利用し
依頼なので手戻りがおきる」という声がありました。記 て過去仕様の再利用が可能です。購入から数年経過した
入後にFAXを使わず簡単に依頼ができる手段を提供す 後のリピートオーダーであっても、手に入れやすいコン
るために、デジタル化図を推2進し専用Webサイトを立ち ポーネント製品であり続けられることが実現しています。
上げ、DXの第一歩を踏み出しました。(図6) 今後、マイページにユーザー登録した顧客は、仕様変
図2 「楽楽COBⓇ」のトップページ 更の案内をはじめとして、新製品や関連するソリューシ
ョンの情報を、すぐに受け取ることができるようになり
ます。
この事例では、顧客の利便性に着目してことづくりを
実施した事例を紹介しました。当たり前のようにしてい
た業務を顧客というもう一方の当事者側の視点で捉え、
デジタル技術で課題を解決しています。この様に顧客側
の視点でとらえたことづくりで、他にも解決できること
があると考えています。
Co n f i den t i a l 図6 ©「PAT楽LITE楽 CorpCoraOtionB. AlⓇl R」ightsの Resトervedッ. プページ 3
最後に、受注後の工程であるものづくりの現場で起こ
「個別仕様でも、いかに簡単に楽に手に入れられるか」 ったことも少しだけ紹介します。生産部門では、この
をコンセプトとしたこのWebサイトは、マイページ登 Webサイトの実現のために、個人のノウハウや部品情
録をするとすぐに使用が可能となります。 報をデータ化しました。その結果、個別仕様が登録され
画面上のガイドに従い、順番に必要なパーツを選んで た時点で、生産に必要なデータやドキュメントは自動で
いくと、リアルタイムで現物に近い完成イメージに反映 完成するようになりました。
され、視覚的に確認しながら作業は進行していきます。 これにより相当な工数が削減できたことを、最後に付
(図7) け加えておきます。 (事例提供:パトライト)
seiden 2024 特別号 5
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② 使用・サービスの「コトづくり」
ここでのことづくりは顧客がモノを使っている期間中の顧客満足を高めることに注目した価値提供です。
まず、一つ目の事例を紹介します。これまで属人的な設計が主流でしたが昨今では時間短縮や生産、メンテナンス
の効率化のために電気CADでの設計が増えています。その中で部品選定する場合、いろいろなメーカーのカタログ
を確認して、そのデータをCADに取り込んでいては時間短縮になりません。
そこでクラウド上のポータルサイトにライブラリーとして部品のデータを入れておくことにより、容易にCADに
部品データを組み込むことができ、設計の時間短縮に貢献します。モノそのものの価値からモノのデータの提供によ
り価値を生みだすことづくり事例となります。
二つ目はこれまで制御盤に取り付けられる機器はねじ端子が主流であり、組み立て工数が多いことに加え、品質確
認のためのねじの締め付けトルク確認、また生産現場では定期的に増し締め確認が必要であり、組み立て時だけでは
なくメンテナンス時にも大きな工数がかかっていました。しかし、このスプリング端子はワンタッチで接続できると
ともに、緩みが生じないため増し締めなどのメンテナンス工数が不要となり大きな工数削減の価値を生み出します。
装置・盤の組み立て、メンテナンス時に価値を生み出すことづくり事例となります。
②-1.電気CADデータポータルでのことづくり 現在、電気設計業務はシステムが複雑化しており、ま
設備や製品を新規設計する際にそれに必要となるFA た業務内容も多岐に渡り、機械設計の仕様から電気回路
機器の情報(エンジニアリングバリューチェーン=設計・ 図の設計とその機器選定を行う際には、上流工程からの
製造で連携必要なデータ)を顧客に提供する事により、 仕様変更が多く、変更作業に多くの時間を費やします。
これまでの設計及び生産に対しての時間短縮、そして属 また、電気設計者の就業人口は機械設計に比べて少なく、
人化しない生産、メンテナンス等での効率化を図る事が メンテ対応などで長時間労働などからの設計業務を含め
FA市場における更なる成長につながるのではないでし ての業務改善が急務です。
ょうか。 例えば、FA機器選定は、必要な情報をカタログや
またFA機器の設計情報をサポートする事がDXとして Webサイトで確認し、必要な情報をまとめる作業が必
工程全体での納期短縮、必要機器在庫の適正化とメンテ 要となっているが、設計変更などが入るとこれに多くの
ナンス時間の短縮につながって来ています。これは今ま 時間を割く必要があります。
での紙カタログからデジタルカタログ(商品と設計、製
造に必要なデータを含むことづくり)に移行してきてい FA機器選定(今まで) -カタログからエクセルでの管理
る事を意味します。
➀各社 ②部品を ③エク ④メーカ ⑤CADで
またそのデータを提供する事により、設計、製造にか カ 調べる セルで ーサイト 部品デー ⑥回路図
タログ 情報記入 で再確認 タ作成 作図
かわる関係会社や海外とのやり取りの齟齬、選定間違い
➀ ③ ④
もなくなり、品質、性能の高い日本製品の販売に寄与で Before
最新版のカタログが必要
きるのではないでしょうか。 エクセルでの管理が大変
部品を1つずつ検索するの
電気設計者の効率化をサポートする事がFA市場にお に時間がかかる
CADでの作図が大変
けることづくりの一つの重要な項目です。
図9 現状でのdiFvisionA | nam機e | dat器e 選定の方法 1
海外を中心としてFA機器メーカーのWebサイトで
は、すでにCADベンダーに対応したポータルを掲載し、 これに対して、クラウドを通して、必要な情報を入手
選定のやりやすさでサポートしています。また日本でも できる方法を図10で示します。電気設計者が電気設計
ポータルの重要性が徐々に理解され以下のように掲載が 専用CADのクラウドポータルサイトに相互乗り入れさ
多sくeiなdeっn20て23き/5て月い号_ま事す例の。図 れたFA機器のデータサイトを使う事により、設計及び
製造に必要な情報が加味されたデータを簡単にCADの
作業中に入手できます。
また、操作が簡単であるため、設計変更でも時間は短
縮できます。そのデータはそのまま、CADでの設計デ
ータ(3Dでの配置など)に使えるため、データ連携で
制御盤製造およびメンテナンスの効率化で使えるように
なってきます。
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図8 サービスサイトを紹介する機器メーカーサイト
6 seiden 2024 特別号
Page9
seiden2023/5月号_事例の図
制御機器が搭載される装置・盤のライフサイクル
企画・選定
設計 製作 テスト 運用 メンテ 廃棄
★ ★ ★ ★
Part1 FA市場におけることづくり
スプリング端子の配線手順(プッシュイン方式)
EPLAN Data Portalとセレクターを使って、 ┃電線挿入前 ┃配線確認 ┃取り外し
富士電機機器制御でのものつくりことつくり事例 回路図設計の効率化
ログイン セレクタ 部品を カートに イン
ー選択 検索 入れる ポート
After
図12 プッシュイン方式の配線手順
検索機能が向上
仕様に沿って簡単に検索
フローがシンプルでわかりやすい
とにかく使いやすい! 本事例は、モノを使用する際の課題について、その解
決策を機器に組込むという発想もまた、ことづくりと考
Copyright 2022 NECA All rights reserved. 1
図10 データコdivisラion | naボme | daレte ーションの実例 2
えるものです。
(事例提供:EPLAN) このようなことづくりは、制御機器が使用されるライ
フサイクルの複数のフェーズにおいてお客様にメリット
②-2.スプリング端子形・制御機器のことづくり を提供できることも特徴です。はじめに示したことづく
制御機器が搭載される装置や盤のライフサイクルの視 りの分類で整理すると、装置メーカー・盤メーカーの視
点で整理してみると、装置・盤への機器の取付け・配線、 点では③生産・創造時の「コトづくり」にあたり、機器
装置・盤の現地試験およびメンテナンスにも多くの工数 メーカー・エンドユーザーの視点では②使用・サービス
が掛かっています。その一例として、ねじ端子の締め付 時の「コトづくり」にあたると言えます。下記に各視点
け作業と増し締め作業があり、概ね下記のフェーズで必 におけるメリットの具体例を示します。
要な作業です。
(1)装置・盤製作時の配線・締め付け作業 ■装置メーカー、盤メーカー
(2)現地納入試験時の増し締め作業 ・ねじ締め作業レスによる効率化や生産性の向上
(3)運用・メンテナンス時の増し締め作業 ・配線作業の品質の平準化(作業者のスキルレス)
いずれの作業も工数が掛かるのは勿論ですが、(1) ・現地納入試験の効率化による時間短縮
では装置メーカーや盤メーカーの「商品の品質」に関わ ・機器正面方向からの配線や端子カバーレスによる盤の
る課題があり(2)と(3)では輸送時や運用時の振動 小型化
等によるねじの緩みに起因する接触信頼性の課題があり ■エンドユーザー
ます。(3)においては、やはりねじの緩みが原因によ ・機器納入試験およびメンテナンス時間の短縮
るエンドユーザーにおける火災のリスクがあることが知 ・ねじの緩みによる不具合や火災リスクの解消
られています。 ・異物混入リスクの低減(ねじ脱落リスクの排除)
sまeたid、eねnじ2の0締23付/け5作月業号には_作事業例者にのス図キルが必要な
点、増し締め作業の際には少なからず感電リスクが否め ②使こ用れ・らサーのビメスリ時のッ「トコトをづ、くりエ」ン事ド例ユーザーの運用目線でま
ない点も課題と言えます。 とめると図13のようになります。
制御機器が搭載される装置・盤のライフサイクル
企画・選定
設計 製作 テスト 運用 メンテ 廃棄 ねじ緩みに
生産ラインの 増し締め作業 よる不具合・
ダウンタイム が一切不要 トラブルが
★ ★ ★ ★ を短縮! に! 解消!
図11 ねじ端子の締め付け・増し締め作業(★部) メンテナンス
遺物混入 盤が小さく 時の感電など
リスクを なり省スペー
スプリング端子機器は、板バネで電線を保持する構造 の思わぬ危険
低減! ス化! も回避!
でねじスをプ使リ用ングし端な子いのた配線め手、順ね(じプのッ緩シュみイにン方起式因)する、発Copy熱righ・t 2023 NECA All Reserved 3
┃電線挿入前 ┃配線確認 ┃取り外し 図13 スプリング端子機器によるメリット
発火、ねじの脱落のリスクがなく、前述した課題を解決
するものです。 国内におけるスプリング端子機器は、従来からの制御機
配線保持力や接触信頼性についても、メーカーの信頼 器に加えてブレーカのような受配機器にもラインアップが
性試験にて証明されています。図12に、電線を挿入す 拡大されたこともあり、その需要は年々高まっています。
るだけで配線が完了するプッシュイン方式の配線手順を
示します。作業者のスキルが不要であり、充電部が露出
しない端子構造により感電リスクもありません。
Copyright 2022 NECA All rights reserved. 1
図14 スプリング端子機器のラインアップ例
(事例提供:富士電機機器制御)
seiden 2024 特別号 7
Page10
③ 生産・創造時の「コトづくり」
ここでのことづくりは、モノの販売が最初の入り口ではなく顧客の求めている価値、ニーズをベースとした価値提
供です。モノは必要なものを後から考え、まずは改善内容の提案や現場教育など形にならない価値を提供することで
モノ以上の対価が得られるビジネスです。
一つ目の事例は生産現場のデータを活用して顧客とともに生産現場の改善までをサポートするビジネスです。診断、
導入、継続進化の順で顧客のこれまで培ってきたノウハウに自社独自のノウハウ・技術・製品の活用、さらにパート
ナー会社を連携させ一体となった取り組みを実施します。また教育により人材育成に貢献することもでき、トータル
で顧客に大きな価値(ことづくり)を提供する事例です。
二つ目の事例は自社の生産マネージメントのノウハウを生かし、顧客の経営層にヒアリングする中で課題の抽出と
対策案を提案するビジネスです。この事例はあくまでコンサルのみのビジネスモデルであり、実際の現場改善までは
実施しませんが顧客から大きな信頼を得ることができ、次の実行段階でのビジネスへの展開が期待できます。
③-1.現場データを活用した共創サービス ④エネルギー管理
■サービス提供の背景 電力の使い方に注目し、設備から工場全体で無駄のな
IoTやAI・ロボティクス技術の進展でモノづくりの進 いエネルギーマネジメントを支援します。
化が期待されています。しかし、その一方で現場課題の ■サービス導入ステップ
多様化への対応や労働力確保、さらにはリスクマネジメ お客様と共に設定したゴールに向けて、進化シナリオ
ントなど、工場経営では難しい舵取りが必要になってい を作成し、段階的アプローチで現場革新を支援します。
ます。技術の進展に伴い制御機器から収集が可能になっ 【STEP0】診断
た現場データを活用し、誰もがデータで語れる製造現場 技術者が、お客様の課題や稼働状況(生産予実、負荷
のDXを実現するサービスの事例です。 時間など)を伺います。効果試算に必要なデータを計測
オムロンのi-BELTサービスは、お客様の工場のあり し、改善余地を定量的に算出し、進化シナリオを提案し
たい姿に向けて、お客様が保有されているモノづくりの ます。
知見と、自社の現場で実践してきた改善ノウハウや技術 【STEP1】見える化
をかけ合わせ、“共創でお客様の課題解決”に取り組む 現場活性化につながる“見える化”の導入を、設置・
現場データ活用サービスです。お客様の現場知見をうか 立ち上げ・教育まで支援します。
がいながら、“現場革新のパートナー”として、多様化・ 【STEP2】分析
複雑化する製造業の課題解決に向けた提案事例です。 改善効果の見積もり、改善の対象となる絞り込みのた
(図15) めの分析を支援します。
【STEP3】制御
現場の“最適制御”に向け、自動化導入を支援します。
自社工場などで生み出してきた様々な改善手法、シス
テムを用い、お客様のゴール達成に向けて継続的に現場
革新を支援し続けます。(図16)
図15 オムロンのi-BELTサービス
i-BELTサービスでは、お客様の課題に合わせて、以
下の4つの価値カテゴリでサービスを提供します。
①製造管理
改善余地やゴールへ向けたシナリオに基づき、スルー 図16 改善・導入のステップ
プット向上やリードタイム短縮の取り組みを支援しま ■導入事例
す。 自社工場では、各種センサーを用いた電力使用量の見
②品質管理 える化と分析を通じて、品質や生産性を維持向上しまし
品質ばらつきの因果を特定し、監視・制御することで、 た。2010年から2021年の10年間で、売上拡大に伴
歩留まり向上など品質向上の取り組みを支援します。 い生産量を35%拡大する一方で、生産ラインの消費電
③設備効率管理 力の15%削減を実現しました。このように、お客様の
主に振動解析を用い、設備稼働率・保全効率の向上な 課題に合わせて、価値カテゴリの異なるサービスを組み
ど設備投資効率向上の取り組みを支援します。 合わせての提供も可能です。
(事例提供:オムロン)
8 seiden 2024 特別号
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Part1 FA市場におけることづくり
③-2.トップヒアリング工場1日診断
パナソニックエレクトリックワークス創研が『強いモ
ノづくり』を支援する中で、経営力強化(経営革新・
BCP・認証取得・人事支援など)、製造力強化(省エネ・
IT化・5S活動など)、コスト力強化、開発力強化に基づ
いた1つの事例として【工場1日診断】の支援プロセス
を説明します。
■工場1日診断:
「モノづくり」の現場経験の豊富なコンサルタントが
工場をじっくりと視察、工場の目に見えなかった課題や
問題点をあぶりだし、的確な打ち手を見つけ出します。
〈工場1日診断のプロセス〉
〈トップヒアリング〉 ■コンサル支援:提案による改善の効果例
コンサルタントが「こんな課題はありませんか」と課 工場1日診断に基づき「モノづくり」、「人づくり」を
題や問題点あぶりだした結果、下記のような意見が出ま ご支援致します。
した。
・客観的な視点が持てず問題点が見えてこない 〈コンサル支援〉
・社内では解決策が出てこない
・忙しくて経営を考える余裕がない
・経営者として就任したばかり
・勝ち組になるために何をすべきかを指摘して欲しい
・今のままでよいのかどうか、工場を第三者の眼で見て
欲しい
・業績向上のためのヒントが欲しい
〈工場1日診断〉「数々の効果」が見込める:
・工場の改善課題が明確になる
・働けるための改善点がわかる
・問題解決の方向性が分かる 〈改善例:省エネ・環境コンサルティング〉
・多面的な切り口で指摘する 日本政府が国際社会に公約している「温暖化ガス
2030年46%削減(2013年度比)」「2050年カーボ
〈総合評価・提案書による見える化〉 ンニュートラル・脱炭素社会の実現」に対応するため、
診断後、総合評価を見える化し提案書を提出: 生産現場の省エネ診断の実施及び省エネ技術の紹介を通
じて、実践的な省エネ推進方法をコンサルティングする。
〈コンサル支援メニュー〉
[省エネ診断(製造力強化)]
省エネ診断の進め方のレクチャーと現場での診断
および省エネ推進方策を提案:
・省エネ活動の進め方
seiden 2024 特別号 9
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・設備別の診断チェック項目
・現場の省エネ診断
・診断報告書の作成
[省エネ技術(製造力強化)]
省エネ機器・システムの紹介や活用事例の説明を通じて、
実践的な推進方法のレクチャーを行う:
・分野別省エネ推進方法
・省エネ機器・システムの紹介
・活用事例のねらいと成果
・関連技術の紹介
現場調査のヒアリングにより課題を絞り込み、データ
と経験に基づき、省エネ施策を立案、全員活動につなが
る企業風土の醸成を支援します。
それにより下記のような効果が期待できます。
・エネルギー使用状況の見える化、課題の共有
・そのエネルギーが本当に必要かの見極め
・エネルギーをより効率的に運用するものづくり実現
支援完了後も引き続き、コンサルタントがしっかりフ
ォローを実施して新たな課題を抽出、提案し、解決へと
導きます。
(事例提供:パナソニック)
10 seiden 2024 特別号
Page13
Part セーフティアセッサ資格制度による
2 安全人材育成
NECAは、安全に関する要員力量認証制度「セーフティアセッサ資格制度」を2004年に創設し、ものづくり現
場の安全を実現する人材の育成を支援している。本稿では、セーフティアセッサ資格制度(以下、SA資格制度)の
概要を説明するとともに、資格者の活躍やSA資格制度を活用して安全人材育成を行っている企業の取り組みについ
てご紹介する。
安全人材育成の必要性
安全なものづくり現場の実現には、使用する機械を安全にする必要がある。そのための安全策の実施には、機械
の設計者と使用者との間でのリスクコミュニケーションが重要である。機械の製造者は、設計・製造段階でリスク
アセスメントを実施し、残留リスクがある場合はこれを危険情報として使用者に情報を提供する。機械の使用者は
この情報をもとにリスクアセスメントを実施し、保護方策等必要な処置を講ずる。このようなリスクコミュニケー
ションを成立させるためには、製造者・使用者ともに、体系的なリスクアセスメントやリスク低減の知見をもつ安
全人材の育成が不可欠である。
セーフティアセッサ資格制度とは
NECAでは、機械の製造者/使用者の双方に重要な、安全規格・法令等に基づく体系的な知識とリスクアセスメン
トの技能について、その重要性に関する認識を浸透させるとともに、基準を明確化すべきという考えをもっていた。
そこで2004年に、国際規格に基づく安全技術を理解し、現場に機械安全の考え方を根付かせる人材の育成を目的に、
SA資格制度を創設した。2023年現在、下図に示される6つの資格区分で運用しており、機械の安全な使用に関す
る基礎的な知識をもつ作業者から、機械安全のエキスパートまで、安全に関する知識・技能をもつ人材の育成に広
く活用できる制度としている。
SA資格制度の資格者は、安全への取り組みに関する重要性の高まりを受け、年々増加している。2014年には、
厚労省通達「設計技術者、生産技術管理者に対する機械安全に係る教育に関し留意すべき事項について」(平成26
年基安発0415第1号)において、本制度の資格者が設計技術者・生産技術管理者に対する機械安全に係る教育科
目において十分な知識を有する者であることが示されたことなどからも、資格者層はさらに広がっている。
実際の資格者の活躍の様子や本制度の活用実態についてご紹介すべく、NECAでは初の試みとなる資格者との座
談会を開催した。次ページからはその様子をお届けする。
安全性の分野別保 安全性の総合的な
護方策の詳細を設 セーフティシニアアセッサ 妥当性判断をする セーフティリードアセッサ
リスク 計する
アセスメント
+
リスク低減 推進者としてリスクアセスメントを実施し、
保護方策を立案する セーフティアセッサ
リスク 担当者としてリスクアセスメントを実施する
アセスメント セーフティサブアセッサ
安全な機械 セーフティベーシックアセッサ セーフティベーシックアセッサ
機械運用安全分野 防爆電気機器安全分野
の使用 機械を安全に使い、その安全性を 防爆電気機器を安全に使い、その
維持する 安全性を維持する
図1 セーフティアセッサ 体系図
seiden 2024 特別号 11
Page14
セーフティアセッサ座談会
―セーフティアセッサ資格者による安全改革の事例―
2023年8月にセーフティアセッサ資格者座談会を開催し、資格者としてのご活躍状況やSA資格制度に対する今後
の期待などをお伺いしました。
参加者
荘山 英敏 様 コニカミノルタ株式会社 品質保証統括部 安全技術部
青野 竜二 様 芝浦機械株式会社 生産センター 生産企画部
池田 素子 様 東レエンジニアリング株式会社 製品安全・品質保証統括室
岩谷 征 様 日本精工株式会社 生産本部 EHS推進室
(聞き手)武田 紗織 一般社団法人日本電気制御機器工業会 制御安全委員会
をトップダウンで展開する業務をしております。
座談会出席者の職場での役割
コニカミノルタ株式会社 荘山様
NECA制御安全委員会 武田 コニカミノルタ株式会社品質保証統括部安全技術の荘
本日はセーフティアセッサ座談会にお集まりいただき 山と申します。私は機器メーカーの品質保証部門に所属
ありがとうございます。 しており、専門は製品安全です。具体的な業務としては、
まずは自己紹介として、取得されているセーフティア 当社はワールドワイドに製品販売しておりますので、各
セッサ資格の資格区分と、皆様の普段のお仕事について 国の安全規格の適合から認証の取得、それに加えて、残
教えてください。 念ながら規格の適合だけでは、事故は完全にはなくなら
日本精工株式会社 岩谷様 ないというところがありますので、不幸にして起きてし
日本精工株式会社の岩谷と申します。本社の安全・防 まった事故の解析をもとに自社の安全基準に適用して、
火・環境を統括する部門に所属しております。SAを取 新製品の安全性を向上していくサイクルをまわす組織に
得したのは2010年あたりです。2021年には、第1 います。資格は昨年から取得し始めました。現在は
回目のSEA1を取得しました。 SSAとロボットセーフティアセッサ2の2つを取得して
安全統括として、全社的な安全資格取得のアナウンス います。
1 SEA(セーフティシニアアセッサ)は、2020年に新たな資格区分として創設され、2021年12月に第1回試験が実施された。
2 ロボットセーフティアセッサ:一般社団法人セーフティグローバル推進機構(IGSAP)がスキームオーナとして創設した資格認証制度。
NECAのSA資格制度を活用した制度となっており、認証受験要件としてSA資格制度の資格者(SSA/SA/SEA/SLAのいずれか)
であることもしくはSSAと同時受験することが求められる。
12 seiden 2024 特別号
Page15
Part2 セーフティアセッサ資格制度による安全人材育成
会社・組織としてのSA資格制度の導入・活用の現状
についてお聞かせいただけますでしょうか?
(青野様)弊社はまず人事部の教育システムの1つと
して、SBA取得を推進しており、社内講師を主に私が
担当しています。SBAは、社内での1日の講習で資格
を取得できるということもあって、SA資格制度のエン
トリーとしては非常に有効と考えており、全社員取得で
きるように推進している状況です。もう1つとして、弊
社は機械メーカーですので、設計部門は機械安全の知識
を持っていなければいけないことから、機械設計者は
SAを取るという方向で指導するようにしております。
コニカミノルタ株式会社 荘山様
SSAに続いてSAにも挑戦中
芝浦機械株式会社 青野様
芝浦機械株式会社生産センター生産企画部の青野と申
します。私はSAを2008年に取得しました。
弊社は産業用機械のメーカーで、主に工作機械や射出
成形機、ダイカストマシンといった製品を作っている会
社です。私の所属する生産センター生産企画部では、日
本および海外の工場の統括、工場内の生産に関わる企画
および計画の立案を行っています。特に私は全社のスマ
ートファクトリー化の推進を担当業務として行っています。 芝浦機械株式会社 青野様
東レエンジニアリング株式会社 池田様 SBAの社内講師として活躍
東レエンジニアリング株式会社製品安全・品質保証統
括室の池田と申します。2019年にSAを取得しており (武田)全社で安全教育のエントリーレベルとして学
ます。 習いただくものと、機械メーカーとして設計者が学ぶべ
当社は大きくは工場全体のプラントエンジニアリング きものとで、受験いただく資格区分や活用方法を変えて
と、工場内の製造設備を扱うものづくりの2つの事業を 推進いただいているのですね。同じく機械や設備を作ら
行っております。私の所属している部署では、全社の横 れている池田様の会社ではいかがでしょうか?
断組織として当社製品の安全性、品質に関して、各本部 (池田様)推進体制としましては、当社では製品安全
事業部が統一した考え方に基づいて、製品サービスに関 をトップダウンで推進しておりまして、私ども品証部署
する安全と品質の向上に取り組むように企画立案管理を が協力して活用や教育展開をしております。人事と連携
行っているという立場になります。 し、費用負担に関してもサポートをしています。資格取
私自身は製品の品質、安全性に関する報告制度の運営、 得を通じて得た知見は、先ほど少し申し上げた製品安全
サプライヤーの方々と協力いただいての品質、安全性の 性審査等でのリスクアセスメント、審査などで活用を進
向上の活動、製品安全性の審査という仕組みがございま めているといった次第です。当社では、主にSSAの取
して、そちらの全社事務局とそれに関係する教育推進な 得推進しております。
どを行っております。 (武田)岩谷様は、全社での安全をトップダウンで推
進するお立場と伺いました。実際の推進はどのような形
で進められていますか?
SA資格制度の組織的導入
(岩谷様)弊社では、SSA取得をグループ全体で進め
(武田)皆様それぞれに資格を取得し、業務でご活用 ております。弊社は部品製造メーカーですので、あらゆ
いただいていると伺いました。 る部品があります。それらの製造設備のリスクアセスメ
seiden 2024 特別号 13
Page16
ントにSSAが携わることで、設備の安全化が進んで、 ものと感じおり、若手メンバーからも受けたいと手が挙
実際に労働災害が3か年で約半数に削減という成果も出 がっています。皆様のように制度としての活用には至っ
ております。今回、向殿安全賞3を受賞させていただけ ていませんが、我々の組織の中でお客様に製品を届ける
たのも、その成果が評価されてということです。 ところに対しての取り組みとして活用を進めています。
トップダウンで全社的にSSAの取得を推進している (武田)実際に製品設計をしていただく方の知見の向
ほか、設備設計部門はSAの取得を前提にし、社内設備 上だけではなく、モチベーションの維持のきっかけの1
の安全化を進めております。 つとしてご活用いただけているとわかりました。
(武田)実際に労働災害が減るという成果にしっかり 岩谷様の会社では、全社で長くSA資格制度をご活用
繋げていらっしゃるというのは、このSA資格制度を創 いただく中で労働災害の低減効果があったとのことです
設した我々NECAとしても大変嬉しく思います。荘山様 が、その他にもなにか効果や変化などはありましたでし
は昨年SSAを取得されたとのことでしたが、今後の資 ょうか?
格制度の活用はどのようにお考えですか? (岩谷様)弊社ではグループ全社で資格の取得を推進
(荘山様)皆さんの取り組みを素晴らしいなと思いな しており、実際にもうすぐ1,000名に届くかというレ
がら聞いていました。私どもはここ4~5年ぐらいから、 ベルでSSA取得者が増えています。取得者が増えます
SA資格を組織として取り始めました。元々我々はプリ と、工場自らの自主的な取り組みとして、リスクアセス
ンターメーカーでも一般消費者向けのプリンターを中心 メントのレベルアップや、積極的な設備の安全化が進め
に扱っていましたので、子どもの利用まで考慮する安全 られるようになっていきます。それが大きな変化だと思
設計をずっとやってきました。それが大型の設備となる いますし、SSAが増えることで、そういった機械の安
と、ユーザーの使い方として考慮する範囲が変わってく 全化という文化、土壌が全社に育っていると感じます。
るため、課題認識を持っています。そのため今まさに、
我々はSA資格制度を活用し始めたところです。SLAは
まだいませんが、SAまでは3名ほどが取得しておりま
す。私も負けないように取得に向けて取り組んでいると
ころです。また、もっと若手にも広げていきたいので、
組織的にも取り組んでいるところです。
SA資格制度の導入効果
(武田)荘山様の会社ではSA資格制度を4~5年前か
ら推進いただいていると伺いましたが、推進いただく中
で具体的な変化や効果などはありましたでしょうか?
(荘山様)製品としては、先ほど岩谷様も仰っていた
事故の低減効果がありました。お客様に販売をした製品 日本精工株式会社 岩谷様
で起きる問題を減らしてくことに対して、我々も確実に 第1回SEAに合格したレジェンド
効果を実感しています。
安全技術者としても、資格制度があることで、モチベ (武田)企業の中でしっかりと安全に向かう文化が形
ーションが上がるかなと思っています。私が取り組んで 作られているのは素晴らしい成果ですね。青野様の会社
いた消費者用生活製品は、どちらかというと規格の要求 ではいかがでしょうか?
事項が細かく決まっていて、安全設計は要求事項に基づ (青野様)労働災害の低減に対して資格が有効である
くチェックが中心でした。それに対して産業機械は、基 と感じているのは皆さんと同様ですが、弊社の場合は輸
本安全規格を使いこなしながら自分で安全性を証明して 出向けの機械を作っており、その設計などにも役立てて
いくことが必要です。SA資格制度は、その安全性を証 います。海外の法令や規格に適合した製品づくり、例え
明するための自分のスキルを客観的に示すことができる ばCEマークの自己宣言などに取り組む際、自分たちで
3 向殿安全賞:SA資格制度をはじめとする関連資格制度の資格者で構成されるSA協議会が創設した表彰制度で、産業分野における安
全の維持向上と進歩・普及に貢献された個人、団体に対して贈呈される。第4回(2018年度)は東芝機械株式会社(現:芝浦機械
株式会社)が功績賞、第8回(2022年度)は、日本精工株式会社および東レエンジニアリング株式会社がそれぞれ奨励賞を受賞した。
14 seiden 2024 特別号
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Part2 セーフティアセッサ資格制度による安全人材育成
安全性・適合性を検証するだけではなく認証機関ともリ 激励などのお声をいただけますでしょうか?
スクコミュニケーションを取ることがあります。その際 (荘山様)先ほど、皆さんからリスクコミュニケーシ
に資格取得によって得た知識を活用することで、素早く ョンの大事さの話が出ておりますが、私も一昨年から、
規格に適合し安全的に優れた製品を世の中に送り出すこ 産業業界に携わってきた中ですごく大事だなと思ってい
とができています。より安全な、良い機械を設計できる ます。私たちが長く取り組んできた業界では、子どもも
ことに非常に活用できていると感じております。 扱う製品なので、安全設計は特に厳しく、何かあったら
(武田)認証機関とのやり取りの際の活用という観点 まず止めるという思想をもっていました。一方、産業機
では、池田様の会社でも同じような形でのご活用や効果 械を見ると、プロユースで生産性も考える必要があり、
はありますでしょうか? 人に対しての安全を確保しながらも残留リスクが残る領
(池田様)私どももお客様の製造現場でお使いいただ 域がどうしてもあると感じます。この領域は我々メーカ
くようなプラント、製造設備を作っておりますので、そ ーの視点だけだと不十分なところが色々とあると思いま
ういった認証もございます。お客様の労働安全に寄与し すので、それを使い手のユーザー側にもご理解いただく
たいという想いのもと、SSAの知見を活用させてもら ことが大事で、まさにこれがリスクコミュニケーション
っております。 であると感じています。こういったリスクコミュニケー
SA資格制度の導入前に比べて、客観的且つ体系的に ションの共通言語のようなものを、SA資格制度を通じ
安全性を説明できる力が明らかに育ってきたという技術 てリスクアセスメントの考え方などを広められている
者の感想をよく聞いております。先ほどリスクコミュニ NECAさんに築き上げていただけると、我々メーカー視
ケーションというお話がございましたけれども、我々も 点からしても非常にありがたいなと思います。
お客様がどのような安全を希望されていて、現場はどの (青野様)弊社の場合、機械メーカーとして工作機械
ような状態かを具体的に聞いて、それを話し込む際に必 工業会、産業機械工業会といった業界団体に所属してい
要な基本的な知識がついたことで、より円滑にリスクコ ます。また機械学会との関わりもあります。そういった
ミュニケーションが進むようになったというのも非常に 外部団体との関わりの中では、まだSA資格制度は
実感しているところです。 NECA独自の制度というイメージが強いと感じていま
す。そういった他の工業会や学会との連携を深めて、も
っと公に認知されるようになっていただければ、我々と
しても非常にありがたいと思っております。
また、弊社も2018年度に向殿安全賞を受賞させてい
ただきました。それまで社内でのSA資格制度の認知が
拡がっておりませんでしたが、向殿安全賞の記念講演と
して取締役が講演することになったことから認知が拡が
り、最終的には社長からもSA資格制度の推進で立派な
賞をいただいて良かったねと声をかけてもらいました。
トップに対して非常にいいアピールになったので、とて
もありがたかったと思っております。
(池田様)皆さんのお話をお伺いして私も共感すると
ころが多く感じております。やはりSA、SSAの試験は
製品の安全性の信頼に非常に繋がる部分だと思います。
東レエンジニアリング株式会社 池田様 資格者がいるということが、安全に真摯に取り組む会社
(座談会当日はオンラインでのご参加)
リスクコミュニケーションが円滑に というブランド価値として認識されたり、安全知識の一
つの見える化の指標として世間一般にも認知されたりな
ど、より認知度が高まればと思っております。そうする
NECA・SA資格制度への期待と要望
ことで、資格者に対する評価という部分でも、自分たち
(武田)会社や組織として積極的にSA資格制度を活用 が取得しようというモチベーションにも繋がります。社
いただくことで様々な効果につなげていただいており、 内での評価も上がると自分たちの力にもなりますので、
NECAとして非常にありがたく感じております。今後の 相互に広がっていけばいいなと思っております。
SA資格制度やNECAに対して、皆様から期待やご要望、 (岩谷様)SA資格制度の活用によって労働災害を減ら
seiden 2024 特別号 15
Page18
すというのは、本部としての機械設備の安全化を中心に
した取り組みの中で進めてきました。さらにここ数年で
は、ISO45001認証を弊社の国内の全拠点で取得済み
ですが、その取り組みが非常にスムーズに進んでいます。
それは、各拠点にSSA、すなわちリスクアセスメント
のエキスパートがいたためです。これはISO45001へ
の取り組みを実施するにあたって、非常に大きな強みで
した。ですので、やはりSA資格制度は正しいリスクア
セスメントを身につける手段として、最短のルートなの
かなということを実感しています。
(武田)ありがとうございます。機械そのものだけで
はなく、労働安全衛生マネジメントシステムへの取り組
みでの活用にも広げていただいているという点も含め
て、我々NECAも今後皆様とともにさらに認知を広げて
いく活動をこれからも実施できればと思っております。
(荘山様)製品安全は何も問題がなければ普段注目を
されませんが、一方で大きな問題が起きるとすごく注目
をされると日々感じます。本当に不可欠な活動ですけれ
ども、縁の下の力持ち的なポジションかなと思っていま
す。その中で、私は先ほど言いましたとおり、消費者用
製品の業界から、産業機械の業界にきたのですが、安全
技術は業界を横断して幅広く使えると本当に感じます。
今まさにSA取得に向けてリスクアセスメントを学ばせ
ていただいているところですが、この知見は例えば家電
業界の安全設計でも使えると思います。また機械安全規
制御安全委員会(武田) 格は三層構造の規格体系なので、資格取得に向けて学ん
SA資格者の活躍が嬉しいです でいく中で、他の業界の機械設備でも活用できる基本技
術として習得でき、さらに業界間の議論もできるなど、
幅広い分野で活用ができると感じています。このように、
SA資格者の拡大に向けて
安全技術は必須な上、応用範囲が広いと思いますので、
(武田)最後に、今後資格取得にチャレンジする受験 これを対外的に証明ができる資格をもっておくと、色々
者の皆様に向けてメッセージをお願いします。 な場で役に立つのではないかと、思っています。私は今
(岩谷様)弊社ではSSAが1,000人近くいると先ほ まさにSAを受け始めているところですが、ぜひ皆さん
どお話したのですが、今は彼らのリーダー的な存在を育 も受けられるといいのではないかと強く思っています。
成している段階です。リーダーとなる人材にはぜひSA (青野様)SA資格を取ることによって良かったことに
を取得してもらいたいという想いがあります。といいま ついてお話させていただくと、私の場合、社内でSBA
すのは、SAを取得しますと、リスクアセスメントだけ の講師という形で自社に貢献できていることが大きいと
ではなくて安全対策に関する知見も身につきますので、 思っています。
安全の視野が非常に広がります。せっかくですから、 社外に関しては、SA協議会4やSA部会に参加させて
SAを目指し、機械安全の全体像をぜひ身につけてもら いただいて、個人的な繋がりができたこともよかった点
いたいと思います。 です。機械安全の用語は少し特殊で、同じ言葉で喋る人
4 SA協議会:セーフティアセッサ、ロボットセーフティアセッサ、セーフティオフィサの社会的認知度、地位の向上、技術力の向上、
資格者間の情報交換の円滑化等を目的として設立された団体であるセーフティアソシエイツ協議会の略称。SA協議会の中でも、SA
資格制度の資格者で構成される部会を、SA部会と呼ぶ。
16 seiden 2024 特別号
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Part2 セーフティアセッサ資格制度による安全人材育成
があまりいなかったのですが、SA部会の活動を通じて までをSSAからSAで勉強させてもらいましたが、すご
それができる人がいたのだと思えて、わかり合えたりす く頭に入りやすくて、勉強しやすいので非常に役に立ち
るんですね。そういったところで非常に楽しい時間を過 ました。全体的に、やはり体系的なものを頭にどんどん
ごさせていただいています。 入れるには、本当に優れた資格かなと私自身は感じてお
あともう1つは国際規格全般ですが、資格取得に向け ります。ぜひ皆さんも文系理系問わず、製品安全の入口
て勉強することによって、初見の規格であっても短時間 として、この資格を活用されることをおすすめしたいと
で理解できるようになりました。ISO規格をはじめ、規格 私は感じています。
の文書構造が同じなので、スラスラと読めるようになった (武田)ありがとうございます。皆さんのご自身の体
なというのは、個人的にメリットとして感じています。 験や社内での活用の仕方を踏まえて、SA資格制度を活
(池田様)製品安全の基本的な知識を体系的に1から 用することの利点を皆さんにご紹介いただきました。
学ぶには、本当に最適な素晴らしい資格制度だなと私自 我々NECAとしても、SA資格制度を活用していただ
身が実感しております。個人的なバックグラウンドを申 くことによって、世の中を安全にしていく製品が当然で
し上げると、私は元々文系出身で、転職して当社に入っ ある世界を作っていくことに、ぜひ貢献していきたいと
たので、それまで全く製造業のことも製品安全のことも 思います。
知らない状態でした。製品の知識を得たいというきっか
けで、資格を勉強させていただきました。入門から応用
NECA制御安全委員会としては初めての試みだった座談会は、和やかな雰囲気で行われました。
試行錯誤しながらの開催でしたが、SA資格制度をご活用いただいている方々の実際の声を聞くことができた、
貴重な機会となりました。皆様のご要望について応えられるよう、NECAとしても議論を深めていきたいと思い
ます。
SA資格制度に関する詳細は、NECAのホームページよりご確認ください。
https://www.neca.or.jp/info/safety/anzen/sa_sba/
SA資格制度の試験・認証は、認証機関の日本認証(株)で行っています。詳細は以下よりご確認ください。
seiden 2024 特別号 17
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The Organization & Committee of NECA
Part
幅広3い分NE野CでAの専委門員会性紹を介追求する委員会活動
NECAの活動の中心は委員会活動です。さまざまな委員会とその傘下の専門委員会、研究会など、
それぞれの分野で主体性を持って活動しています。
これまでご紹介した「ことづくり」や「セーフティアセッサ資格制度」に関わる委員会活動だけでなく、NECAで
はさまざまな委員会があり、幅広い分野で専門性を追求する委員会活動を展開しています。
ここでは、その中でもNECAの基礎となり、主となる委員会(黄文字)について、紹介をしていきます。
企画委員会
NECAの組織 総務委員会 広報・事業専門委員会
情報化専門委員会
広報委員会 リレー業務専門委員会
スイッチ業務専門委員会
センサ業務専門委員会
業務委員会 PLC・FAシステム業務専門委員会
商社委員会 商社業務専門委員会
会 長
技術委員会 リレー技術専門委員会
タイマ・カウンタ技術専門委員会
スイッチ技術専門委員会
EMC研究会 センサ技術専門委員会
PLC・FAシステム技術専門委員会
理事会 接続機器技術専門委員会
品質研究会 プログラマブル表示器技術専門委員会
監 事 模倣品対策研究会
制御システムセキュリティ
総 会 事務局 研究会
環境委員会
制制御安全委員会会 SA事業推進部会
防爆委員会
ももののづづくくり・こととづづくりくり
委員会
IEC国内委員会 IEC/SC23J 国内委員会
IEC/TC94 国内委員会
JIS原案作成委員会
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18 seiden 2024 特別号