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制御盤内の電線接続方式 ~端子・締付具の課題と対応~

ハンドブック

近年,国内製造業各社の生産現場では,市場環境の変化に合わせて生産設備の高機能化が求められており,それに呼応する形で制御盤に搭載される制御機器などのFA機器も増加し,膨大な配線で作業が複雑化しています。制御盤組立工程の中で,配線における電線接続作業は作業量の大半を占めており,生産性の向上のため、電線接続作業を効率化することが求められています。
 一方で、電線接続方式には多くの種類があり、新しい種類の電線接続方式を具備した制御盤内機器も国内で販売されています。電線接続方式が多様化してきている背景から、制御盤の製造・保守・据付に関わる者が正しい電線接続の知識を得ることが必要です。
 この資料では,制御盤内の電線接続に使用される主な接続方式について整理し,制御盤のライフサイクルを踏まえた,電線接続における課題及び現状の対応策についてまとめています。

◆主な内容 
・ 電線接続の種類 
電線や締付具の種類、電線端末処理と締付具との組合せ、関連規格について 
・ 電線接続方式の選定
制御盤のライフサイクルと電線接続、電線接続方法の多様化による部品種類の増加、作業時間・作業工数、電線接続方式の混在、マークチューブの選択、内線と外線サイズへの適応、接続における信頼性の確保について

この資料は一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)と共同で作成しております。
2023年11月に一部修正しております。

※規格に関しては、必ず現行規格のご確認をお願いいたします。
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このカタログについて

ドキュメント名 制御盤内の電線接続方式 ~端子・締付具の課題と対応~
ドキュメント種別 ハンドブック
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このカタログの内容

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制御盤内の電線接続方式 ~端子・締付具の課題と対応~ 2023 年(令和 5 年) 3 月 31 日 発行 電線接続2030JWG
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制御盤内の電線接続方式 白紙
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制御盤内の電線接続方式 目次 ページ 1 はじめに ······················································································································· 3 2 電線接続の種類 ·············································································································· 5 2.1 電線接続方式の多様化 ·····································································································5 2.2 電線の種類 ····················································································································6 2.3 締付具の種類 ··············································································································· 15 2.4 関連規格一覧 ··············································································································· 25 2.5 電線端末処理と締付具との組合せ ···················································································· 25 3 電線接続方式の選定 ······································································································· 27 3.1 制御盤のライフサイクルと電線接続 ················································································· 27 3.2 電線接続方法の多様化による部品種類の増加 ····································································· 27 3.3 作業時間・作業工数 ······································································································ 28 3.4 電線接続方式の混在 ······································································································ 29 3.5 マークチューブの選択 ··································································································· 29 3.6 内線と外線サイズへの適応 ····························································································· 31 3.7 接続における信頼性の確保 ····························································································· 34 4 おわりに ······················································································································ 38 5 電線接続2030JWG委員構成表 ·························································································· 39 1
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制御盤内の電線接続方式 まえがき この資料は,著作権法で保護対象となっている著作物である。他社の著作物などから引用された図,画 像,文章など(以下,引用コンテンツ)について,その著作権は,それぞれの引用箇所に名称が標記され た法人など(以下,引用元法人など)に帰属する。また,引用コンテンツの内容や,それが引用されたこ とにより本文に加わった意味,内容などについて,引用元法人などは,その正確性,有用性,確実性その 他の保証をするものではなく万一何らかの損害が発生したとしても,引用元法人などは,一切責任を負わ ない。 この資料の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意 を喚起する。一般社団法人日本電機工業会及び一般社団法人日本電気制御機器工業会は,このような特許 権,出願公開後の特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 一般社団法人日本電機工業会又は一般社団法人日本電気制御機器工業会のいずれかから改正又は廃止の 提案があった場合には,関連技術専門委員会又はその上層委員会で検討し,双方の合意を持って改正又は 廃止を決定する。 2
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1 はじめに

制御盤内の電線接続方式 制御盤内の電線接続方式 ~端子・締付具の課題と対応~ 1 はじめに 近年,国内製造業各社の生産現場では,市場のグローバル化や最終製品の多様化など,多くの 環境変化に合わせて生産設備の高機能化が求められており,それに呼応する形で制御盤に搭載さ れる制御機器や電力管理機器などのFA機器も増加し,膨大な配線で作業が複雑化している。 実際に,制御盤製造工程において,電線の接続作業は多くの工数を占める。図1のように電線加 工・配線の工数が半分以上を占めるというデータもある。プログラマブルコントローラ(PLC)や補 助リレーを収納する制御盤は,接続に使用する電線が500本以上になることもあり,その場合は, 電線の機器への接続箇所は1 000箇所以上となる。 図1 制御盤製造における工数分析(ドイツにおける産学連携による調査) (出典: EPLAN 制御盤製造4.0*) 一方,国内労働力の観点で見れば,少子高齢化に伴い,製造業の根幹である技術者/技能者の 減少が進行し始めており,制御盤業界においても例外ではなく,各専門分野の担い手や技能者を 十分に確保できず,人手不足が慢性化している。このような状況において,作業量が大きい制御 盤内の電線接続の効率化は制御盤製造の課題の一つとなっている。 電線接続方式には多くの種類があり,新しい種類の電線接続用の締付具を具備した制御盤内機 器も国内で販売されている。そのため,制御盤製造における電線接続の課題を整理し,制御盤の 製造・保守・据付に関わる者が正しい電線接続の知識を得ることが必要な時期にあるとの見地か ら,関連業界団体や製造者などからなるジョイントワーキンググループ“電線接続2030JWG”を立 上げ,制御盤製造に携わる他の分野の工業会の意見も得ながら,この資料を作成した(図2参照)。 * EPLAN 制御盤製造4.0/工作機械及び設備設計の制御盤の設計・製造におけるデジタル化と自動化の可能性 に関する研究(Institute for Control Engineering of Machine Tools and Manufacturing Units, University of Stuttgart ,30.April 2017) 平均的な制御盤内の部品数と部品ごとの作業時間に関する資料を基に電線接続 2030にて算出,グラフ化した。ドイツにおける分析結果であるが,我が国においても同等と思われる。 3
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制御盤内の電線接続方式 生産設備の高機能化 FA機器の増加 海外製品の採用 国内における 配線数の増加 配線接続方式の多様化 効率の改善を見込める 人手不足の慢性化 新しい種類の電線接続方式 ・少子高齢化 正しい電線接続の知識が ・技術者/技能者の減少 求められている。 図2 この資料作成の背景及び目的 このジョイントワーキンググループに参加した関連業界団体は,次のとおりである。構成員の 詳細は,5章の“電線接続2030JWG委員構成表”を参照。 日本電機工業会(JEMA) JEMA端子技術専門委員会 JEMA制御装置技術専門委員会(制御装置を所轄) JEMA配電制御盤・制御盤技術専門委員会 日本配電制御システム工業会(JSIA) 日本電気制御機器工業会(NECA) NECA接続機器技術専門委員会(端子台を所轄) この資料で扱う電線接続方式は,制御盤内における電線と機器とを接続する方式を指しており, 主に電線,端子,締付具から構成される。 図3 この資料で扱う電線接続方式の例 2章では,制御盤内の電線接続に使用される主な接続方式についてまとめ,3章では,制御盤の ライフサイクルを踏まえた課題と現状の対応策についてまとめた。 4
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2 電線接続の種類、2.1 電線接続方式の多様化

制御盤内の電線接続方式 2 電線接続の種類 2.1 電線接続方式の多様化 電線接続は,当初,電線同士を直接はんだ付けして接続していた。その後はんだに頼らない新 しい方法として圧着端子が米国で開発された。 欧州では,ねじが脱落しない,金属部分に人が直接触れにくいなどの利点から圧着端子を用い ない押締式(クランプ式)が主流となった。 1950年代になると日本においても米国で主流となっていた圧着端子による接続が普及し,圧着 端子をねじで接続する方法(ねじ式,スタッド式)が主流となった。信頼性確保も当該方式に適 した方法が考案された(作業者による締付状態の目視確認,締付合マーク,増締めなど)。 年代 日本 欧州 ~1950年代 電線を機器にはんだなどで接続 電線を機器にはんだなどで接続 圧着端子を用いない押締方式 1950年代~ 圧着端子を使用する接続方式が主流 ねじ式 スタッド式 押締式 現在 接続方式が多様化 ねじ式 スタッド式 押締式 プッシュイン式 ケージ式 ラグ式 タブ式 ラッピング式 圧接接続式 図3 日本及び欧州における電線接続方式の変遷 上記のような経緯により,日本における制御盤内の電線接続は,電線を直接接続する方法では なく,電線端末に圧着端子を介して接続する方法が広く採用されている。なお,圧着端子の種類 は,電線を接続する機器仕様により決定される。従来,我が国では,ねじにより圧着端子と機器 とを接続するねじ式締付具を具備する機器が主流を占めていたが,近年,ねじを用いないねじな し式締付具を具備した機器も増加し多様化してきている。 ねじなし式締付具を具備した機器を使用することで作業性が向上することも報告されており†, 今後,懸念される人手不足対策としても注目されてきている。 多様化する制御盤内の電線接続方法を正しく理解するために,この章では制御盤内で使用され る電線と電線を接続する締付具について,定義,規格,特徴,用途などを説明する。 なお,制御盤内の用途及び製品有無は,電線接続2030JWGの参加メンバーが所属する社におい ての調査結果であることを前提としている。 † 一般社団法人 日本配電制御システム工業会 報告書“制御盤製作の省コスト化の調査研究 # 1 配線接続の合理化に関する調査報告書”平成26年10月 5
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2.2 電線の種類、2.2.1 端末未処理導体、2.2.1.1 単線、a) 定義、b) 画像/写真、c) 関連規格、d) 特徴、e) 用途、2.2.1.2 より線、a) 定義、b) 画像/写真、c) 関連規格

制御盤内の電線接続方式 2.2 電線の種類 電線には,端子で端末処理をしていない端末未処理導体(図4)と,端子で端末処理した端末処 理導体(図5)とがある。端末未処理導体は電線自体,端末処理導体は圧着端子について説明する。 種類 単線 より線 可とうより線 画像 箇条 2.2.1.1 2.2.1.2 2.2.1.3 図4 端末未処理導体(電線) 種類 丸形端子 Y形端子 平形接続端子 棒端子 ブレード端子 フェルール端子 画像 箇条 2.2.2.1 2.2.2.2 2.2.2.3 2.2.2.4 2.2.2.5 2.2.2.6 図5 端末処理導体(圧着端子) 端末未処理導体 2.2.1.1 単線 a) 定義 1本の素線で構成されている導体。JIS C 8201-1では,単線導体としている。 b) 画像/写真 c) 関連規格 JIS C 3664:2007のクラス1,IEC/TR 60344,JIS C 3307の付表1,JIS C 3317の付表1 なお,JIS C 8201-1においては,「単線導体は,JIS C 3664:2007のクラス1,又はIEC/TR 60344 若しくはAWG/kcmilの同等品として定義されたものである。」と国際規格整合化JISによるIEC製 品について記述されている。一方,国内で普及している代表的なJIS製品の単線の構造は,JIS C 3307の付表1及びJIS C 3317の付表1に定義されている。また,アメリカ向けでは,AWG/kcmilにお ける同等品が用いられる。 d) 特徴 同じ外径のより線に比べ,曲げ半径が大きい。曲げ性能はその形状を保持する用途に優れてい る。 e) 用途 曲げ半径が大きいため,我が国では,制御盤内配線での使用は少ない。 2.2.1.2 より線 a) 定義 多数の素線から成り,全体又は一部の導体をより合わせた導体。JIS C 8201-1では,より線導体 としている。 b) 画像/写真 c) 関連規格 JIS C 3664:2007のクラス2,IEC/TR 60344,JIS C 3307の付表2,JIS C 3317の付表2 なお,JIS C 8201-1においては「より線導体は,JIS C 3664:2007 のクラス2,又はIEC/TR 60344 若しくはAWG/kcmil の同等品として定義されたものである。」と国際規格整合化JISによるIEC製 品について記述されている。一方,国内で普及している代表的なJIS 製品のより線の構造は,JIS 6
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d) 特徴、e) 用途、2.2.1.3 可とうより線、a) 定義、b) 画像/写真、c) 関連規格、d) 特徴、e) 用途、2.2.2 端末処理導体、2.2.2.1 丸形端子、a) 定義、b) 画像/写真、c) 関連規格、d) 特徴

制御盤内の電線接続方式 C 3307の付表2及びJIS C 3317の付表2に定義されている。また,アメリカ向けでは,AWG/kcmilに おける同等品が用いられる。 d) 特徴 単線に比べて曲げやすく,柔軟性がある。 e) 用途 制御盤内の主回路,制御回路,接地回路に広く使用されている。 2.2.1.3 可とうより線 a) 定義 多数の細線をもつより線であって,柔軟性があり曲げやすい導体。JIS C 8201-1では,可とう導 体としている。 b) 画像/写真 c) 関連規格 JIS C 3664:2007 のクラス5又はクラス6,IEC/TR 60344,JIS C 3316の付表1 なお,JIS C 8201-1においては「可とう導体は,JIS C 3664:2007 のクラス5 若しくはクラス6, 又はIEC/TR 60344 若しくはAWG/kcmil の同等品として定義されたものである。」と国際規格整 合化JISによるIEC製品について記述されている。一方,国内で普及している代表的なJIS 製品の 可とうより線の構造は,JIS C 3316の付表1に定義されている。また,アメリカ向けでは, AWG/kcmilにおける同等品が用いられる。 JIS C 3316の付表1では,14 mm2以下の特性が規定されている。 d) 特徴 素線数がより線に比べて多く,より柔軟性がある。 e) 用途 柔軟性に優れているため,制御盤内の主回路,制御回路,接地回路に広く使用されている。 端末処理導体 電線を機器に接続するときに電線と締付具との接続及び導通を安定させるために電線に端子を 取り付け,端末処理を行う。制御盤内に使用される端子には次の種類がある。 2.2.2.1 丸形端子 a) 定義 端子の筒部に電線の芯線(電線導体)を差し込み,専用工具で圧着して電線を固定する。舌部 はねじで固定するために穴が開いており,締付具に固定する。近隣の導体との短絡を避けるため に筒部に絶縁体が取り付けられたものもある。 b) 画像/写真 筒部 絶縁体 舌部 裸端子 絶縁体付端子 c) 関連規格 JIS C 2805 d) 特徴 締付具と電線とを接続する場合に広く用いられている。 ねじが緩んでも完全に外れない限りは抜けることがない。 2つの端子を1つの締付具に接続することがある(舌部は同じサイズにするのが望ましい)。 流通している丸形端子の種類及び対応電線は,表1及び表2のとおりである。 7
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e) 用途、2.2.2.2 Y形端子、a) 定義、b) 画像/写真、c) 関連規格、d) 特徴

制御盤内の電線接続方式 表1 制御盤内における丸形端子及び電線サイズの組合せ (より線及び可とうより線で使用) 製品種別 電線太さ より線及び可とうより線で使用 (mm2) 裸端子 絶縁体付端子 8 ~ 325 ◯ × 0.2 ~ 5.5 ◯ ○ 0.05 ~ 0.12 △ × ○:一般的な製品,△:特殊な製品,×:製品がない 表2 制御盤内における丸形端子及び電線サイズの組合せ(単線で使用) 製品種別 電線太さ 単線で使用 (mm) 裸端子 絶縁体付端子 φ1.0 ~φ5.0 ○ × ○:一般的な製品,△:特殊な製品,×:製品がない e) 用途 制御盤内の主回路,制御回路,接地回路に広く使用されている。 2.2.2.2 Y形端子 a) 定義 端子の筒部に電線の芯線(電線導体)を差し込み,専用工具で圧着して電線を固定する。舌部 にねじで固定するためのY字の溝があり,締付具に固定をする。近隣の導体との短絡を避けるた めに筒部に絶縁体が取り付けられたものもある。 b) 画像/写真 筒部 絶縁体 舌部 裸端子 絶縁体付端子 c) 関連規格 - d) 特徴 締付具のねじを完全に外さなくても電線の取付け及び取外しが可能である。 2つの裸端子を1つの締付具に接続することがある(舌部は同じサイズにするのが望ましい)。 流通しているY形端子の種類及び対応電線は,表3及び表4のとおりである。 表3 制御盤内におけるY形端子及び電線サイズの組合せ (より線及び可とうより線で使用) 製品種別 電線太さ より線及び可とうより線で使用 (mm2) 裸端子 絶縁体付端子 8 ~ 14 ◯ × 0.2 ~ 5.5 ◯ ◯ 0.05 ~ 0.12 △ × ○:一般的な製品,△:特殊な製品,×:製品がない 8
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e) 用途、2.2.2.3 平形接続端子、a) 定義、b) 画像/写真、c) 関連規格、d) 特徴、e) 用途、2.2.2.4 棒端子、a) 定義

制御盤内の電線接続方式 表4 制御盤内におけるY形端子及び電線サイズの組合せ(単線で使用) 製品種別 電線太さ 単線で使用 (mm) 裸端子 絶縁体付端子 φ1.0 ~ φ3.2 ○ × ○:一般的な製品,△:特殊な製品,×:製品がない e) 用途 制御盤内の主回路,制御回路,接地回路に広く使用されている。 2.2.2.3 平形接続端子 a) 定義 電線の芯線を端子の筒部(芯線圧着部)に,電線の被覆を電線被覆圧着部に差し込み,専用工 具で筒部(芯線圧着部)及び筒部(電線被覆圧着部)を同時に圧着して固定する。筒形状(絶縁体 なし)では,電線被覆圧着部は存在せず,電線の被覆は圧着しない。 結合部は専用の平形端子に接続する。 b) 画像/写真 筒部(芯線圧着部, 芯線圧着部 電線被覆圧着部 筒部(芯線圧着部) 電線被覆圧着部) 結合部 結合部 クリンプハイト方式 筒形状(絶縁体なし) 筒形状(絶縁体付き) (JIS C 2809適合品) c) 関連規格 JIS C 2809 d) 特徴 工具を用いなくとも電線接続ができ,着脱が容易である。結合部の接続先は,JIS C 2809に規定 されたメールタブの寸法に合わせる必要がある。 流通している平形接続端子の種類及び対応電線は,表5のとおりである。 表5 制御盤内における平形接続端子及び電線サイズの組合せ 製品種別 電線太さ より線及び可とうより線で使用 (mm2) 裸端子 絶縁体付端子 8 ◯ × 0.75 ~ 5.5 ◯ ◯ 0.2 ~ 0.5 ◯ × ○:一般的な製品,×:製品がない e) 用途 制御盤内の3.5 mm2程度以下の比較的細い電線の主回路,制御回路の電線接続に用いられる。 2.2.2.4 棒端子 a) 定義 端子の筒部に芯線(電線導体)を差し込み,専用工具で圧着して電線を固定する。棒部は丸い 断面の棒状で,接続先で棒部が動かないように固定する。近隣の導体との短絡を避けるために筒 部に絶縁体が取り付けられたものもある。 9
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b) 画像/写真、c) 関連規格、d) 特徴、e) 用途、2.2.2.5 ブレード端子、a) 定義、b) 画像/写真、c) 関連規格、d) 特徴

制御盤内の電線接続方式 b) 画像/写真 筒部(圧着部) 絶縁体 棒部 裸端子 絶縁体付端子 c) 関連規格 -(JEM規格作成中) d) 特徴 先端が棒状であり,圧着部分は丸形端子と同じ圧着構造である。電線を差し込んで電線接続す る締付具に対して使用される。より線又は可とう線の芯線がばらけないようにするために用いら れる。 流通している棒端子の種類及び対応電線は,表6及び表7のとおりである。 表6 制御盤内における棒端子及び電線サイズの組合せ (より線及び可とうより線で使用) 製品種別 電線太さ より線及び可とうより線で使用 (mm2) 裸端子 絶縁体付端子 8 ~ 14 ◯ × 0.2 ~ 5.5 ◯ ◯ 0.05 ~ 0.12 △ × ○:一般的な製品,△:特殊な製品,×:製品がない 表7 制御盤内における棒端子及び電線サイズの組合せ(単線で使用) 製品種別 電線太さ 単線で使用 (mm) 裸端子 絶縁体付端子 φ3.2 △ × φ1.0~φ2.6 ◯ × ○:一般的な製品,△:特殊な製品,×:製品がない e) 用途 制御盤内の5.5 mm2程度以下の比較的細い電線の主回路,制御回路の電線接続に用いられる。 2.2.2.5 ブレード端子 a) 定義 端子の筒部に芯線(電線導体)を差し込み,専用工具で圧着して電線を固定する。棒部は板状 で,接続先で棒部が動かないように固定する。近隣の導体との短絡を避けるために筒部に絶縁体 が取り付けられたものもある。 b) 画像/写真 筒部 絶縁体 棒 部 裸端子 絶縁体付端子 c) 関連規格 - d) 特徴 ブレード端子の接続部が平板になり,面接続では棒状より機械的に安定した接続が期待できる。 10
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e) 用途、2.2.2.6 フェルール端子、a) 定義、b) 画像/写真、c) 関連規格、d) 特徴

制御盤内の電線接続方式 流通しているブレード端子の種類及び対応電線は,表8及び表9のとおりである。 表8 制御盤内におけるブレード端子及び電線サイズの組合せ (より線及び可とうより線で使用) 製品種別 電線太さ より線及び可とうより線で使用 (mm2) 裸端子 絶縁体付端子 8 ~ 14 ◯ × 0.3 ~ 5.5 ◯ ◯ 0.2 ◯ ◯ 0.05 ~ 0.12 △ × ○:一般的な製品,△:特殊な製品,×:製品がない 表9 制御盤内におけるブレード端子及び電線サイズの組合せ(単線で使用) 製品種別 電線太さ 単線で使用 (mm) 裸端子 絶縁体付端子 φ3.2 △ × φ1.0~φ2.6 ◯ × ○:一般的な製品,△:特殊な製品,×:製品がない e) 用途 主に制御盤内の信号線に使われる。 2.2.2.6 フェルール端子 a) 定義 端子の棒部(圧着部)に電線導体を差し込み,専用工具で圧着して電線を固定する。筒部は, 絶縁のためにあり,圧着しない。筒部(絶縁体)がない製品もある。 接続先では,棒部を締付具で動かないように固定する。 b) 画像/写真 棒棒部部((圧圧着着部) 部) 筒部(絶縁体) 圧着部のみの 絶縁体付き 電線を圧着した例 2線用フェルール端子 フェルール端子 フェルール端子 c) 関連規格 DIN 46228-1(圧着部のみ),DIN 46228-4(絶縁体付き),UL 486F d) 特徴 電線圧着部が締付具の固定部分となる。 フェルール端子は,導体の個々の素線を束ね機械的な影響から保護することが主な用途のため, 通常単線には使用しない。 元来フェルール端子はDIN規格に基づいた仕様のため,IEC電線サイズとなっている。また, UL規格にも規定されており,AWG電線サイズも考慮されている。国内規格では規定がないため, JIS電線サイズとは合致しない部分もあるが,機器メーカーがJIS電線,フェルール端子,圧着工具 及び機器との使用可能な組合せについて推奨しているため,機器メーカーの資料などの確認が必 要となる。 端子台や機器の接続部に2本のフェルール端子を接続したいが,接続できない場合には,2本の 電線を接続するために2線用フェルール端子(ツインフェルール)を用いることができる。棒部に 2本の電線を挿し込むことができ,一つの棒部にて圧着することが可能である。電線が同一線径の 11
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e) 用途、2.2.2.7 制御盤内における端末処理導体及び電線サイズの組合せ

制御盤内の電線接続方式 ものでないと圧着部分に隙間が発生し,使用時に電線が抜ける場合がある。また,機器に接続す るときに筒部(絶縁体)が隣接する接続部などに干渉する場合もあるので,注意が必要である。2線 用フェルール端子は,0.34~16 mm2の範囲で製品が存在する。 なお,フェルール端子には,圧着部のみのフェルール端子があり,用法によっては2線用として も使用可能である。 流通しているフェルール端子の種類及び対応電線は,表10のとおりである。 表10 制御盤内におけるフェルール端子及び電線サイズの組合せ 製品種別 電線太さ より線及び可とうより線で使用 (mm2) 裸端子 絶縁体付端子 185 ○ × 0.3 ~ 150 ◯ ◯ 0.2 ◯ ◯ 0.05 ~ 0.12 △ × ○:一般的な製品,△:特殊な製品,×:製品がない e) 用途 制御盤内の5.5 mm2程度以下の比較的細い電線の主回路,制御回路の電線接続に用いられる。 2.2.2.7 制御盤内における端末処理導体及び電線サイズの組合せ 圧着端子の種別によって対応可能な電線サイズには差がある。 制御盤内における端末処理導体及び電線サイズの組合せを表11及び表12に示す。 12
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制御盤内の電線接続方式 表11 制御盤内における端末処理導体及び電線サイズの組合せ (より線及び可とうより線で使用) 丸形端子 Y形端子 平形接続端子 棒端子 ブレード端子 フェルール端子 電線 より線及び より線及び より線及び より線及び より線及び より線及び 太さ 可とうより線 可とうより線 可とうより線 可とうより線 可とうより線 可とうより線 (mm2) 裸 絶 裸 絶 裸 絶 裸 絶 裸 絶 裸 絶 325 〇 ~ 〇 (185) 〇 〇 150 〇 〇 〇 ~ 〇 〇 〇 22 〇 〇 〇 14 〇 〇 ○ 〇 〇 〇 8 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 5.5 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 ~ 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 (0.75) 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 (0.5) 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 (0.3) 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 (0.2) 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 (0.12) △ △ △ △ △ ~ △ △ △ △ △ (0.05) △ △ △ △ △ 裸:裸端子,絶:絶縁体付端子,○:一般的な製品,△:特殊な製品 注記1 この表は,電線接続2030JWG内の調査にて存在が確認された製品において,対応する電 線サイズを調査した結果である。実際の製品が対応する電線サイズは,機器メーカーの 資料等にて確認いただきたい。 注記2 電線太さにおける,括弧なしはJIS C 3307に基づく電線太さであり,括弧ありはJIS C 3307 に基づいていない電線太さである。 注記3 IEC及びAWGの電線太さでの使用可否は,端子メーカーの資料等にて確認いただきたい。 13
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制御盤内の電線接続方式 表12 制御盤内における端末処理導体及び電線サイズの組合せ(単線で使用) 電線 丸形端子 Y形端子 平形接続端子 棒端子 ブレード端子 フェルール端子 太さ 単線 単線 単線 単線 単線 単線 (mm) 裸 絶 裸 絶 裸 絶 裸 絶 裸 絶 裸 絶 φ5.0 〇 ~ 〇 φ3.2 〇 〇 △ △ φ2.6 〇 〇 〇 〇 ~ 〇 〇 〇 〇 φ1.0 〇 〇 〇 〇 裸:裸端子,絶:絶縁体付端子,○:一般的な製品,△:特殊な製品 注記1 この表は,電線接続2030JWG内の調査にて存在が確認された製品において,対応する電線サ イズを調査した結果である。実際の製品が対応する電線サイズは,機器メーカーの資料等に て確認いただきたい。 注記2 電線太さは,JIS C 3307に基づく電線太さである。 14
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2.3 締付具の種類、2.3.1 ねじ式、2.3.1.1 ねじ式(セルフアップ方式)、a) 定義、b) 画像/写真、c) 関連規格

制御盤内の電線接続方式 2.3 締付具の種類 制御盤内で使用される機器に備わった締付具について説明する。締付具とはJIS C 8201-1におい て,機械的及び電気的に導体を接続するために必要な部分と定義されており,この箇条では,ね じなどで締め付けて接続しない方式も締付具として説明する。 種類 セルフアップ方式 ばねアップ方式 押締式 スタッド式 画像 箇条 2.3.1.1 2.3.1.2 2.3.1.3 2.3.1.4 図6 ねじ式の締付具 種類 ケージ式 プッシュイン式 画像 箇条 2.3.2.1 2.3.2.2 図7 ねじなし式の締付具 種類 ラグ式 タブ式 ラッピング式 圧接接続式 画像 箇条 2.3.3.1 2.3.3.2 2.3.3.3 2.3.3.4 図8 その他の締付具 ねじ式 各種のねじ又はナットによって,直接的又は間接的に,導体の接続及び取外しをするか又は複 数の導体を相互接続する。 2.3.1.1 ねじ式(セルフアップ方式) a) 定義 端子ねじ頭部の下面に直接的に又は座金などを介して締付けを行う一般的なねじ式締付具であ る。ばねアップ方式とは異なり,ねじを緩めるとねじは端子から分離する。 b) 画像/写真 c) 関連規格 JIS C 8201-1,JIS C 8201-7-1,NECA C 2811 15
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d) 特徴、e) 用途、2.3.1.2 ねじ式(ばねアップ方式)、a) 定義、b) 画像/写真、c) 関連規格、d) 特徴、e) 用途

制御盤内の電線接続方式 d) 特徴 我が国では一番普及している方式。 ねじを使用するため,ねじ締めの技能管理や,振動などによるねじ緩みに対する定期的な増締 めが必要である。 流通しているセルフアップ方式の種類及び対応電線は,表13のとおりである。 表13 制御盤内におけるセルフアップ方式及び電線サイズの組合せ 製品種別 電線太さ より線,可とうより線, (mm2) 及び端末処理導体で使用 0.3 ~ 325 ○ ○:一般的な製品,△:特殊な製品,×:製品がない e) 用途 端子台,スイッチ,電源,配線用遮断器(MCCB),漏電遮断器(ELCB),PLCなどの電気機器,接 地端子の電線接続部に使用される。 2.3.1.2 ねじ式(ばねアップ方式) a) 定義 座金組み込みねじ(ねじに座金が組み込まれた状態のねじ)のねじ頭部の下面に直接的に又は 座金などを介して締付けを行う一般的なねじ式締付具。ばね機構により,端子ねじを緩めた際に ねじが持ち上がる構造で,端子ねじは端子から分離しない。スプリングアップ式ともいう。 b) 画像/写真 c) 関連規格 JIS C 8201-1,JIS C 8201-7-1,NECA C 2811 d) 特徴 丸形端子を接続する場合も,ねじを端子から分離させなくても電線を接続できる。ねじが端子 から分離しないので作業中に脱落して紛失することはない。 ねじを使用するため,ねじ締めの技能管理や,振動などによるねじ緩みに対する定期的な増締 めが必要である。 流通しているばねアップ方式の種類及び対応電線は,表14のとおりである。 表14 制御盤内におけるばねアップ方式及び電線サイズの組合せ 製品種別 電線太さ より線,可とうより線, (mm2) 及び端末処理導体で使用 0.3 ~ 100 ○ ○:一般的な製品,△:特殊な製品,×:製品がない e) 用途 端子台,スイッチ,電源,配線用遮断器(MCCB),漏電遮断器(ELCB),PLCなどの電気機器,接 地端子の電線接続部に使用される。 16
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2.3.1.3 押締式、a) 定義、b) 画像/写真、c) 関連規格、d) 特徴、e) 用途、2.3.1.4 スタッド式、a) 定義、b) 画像/写真、c) 関連規格

制御盤内の電線接続方式 2.3.1.3 押締式 a) 定義 筒状(箱型)の導電金具に電線又は端子を挿入し,導電金具に取り付けたねじの先で直接的に 又は当て金を介して電線を締め付けて接続を行う。 b) 画像/写真 電線接続口 c) 関連規格 JIS C 8201-1,JIS C 8201-7-1,NECA C 2811 d) 特徴 ねじ端子と呼ばれる場合もあり,主に欧州で普及している。 ねじを使用するため,ねじ締めの技能管理や,振動などによるねじ緩みに対する定期的な増締 めが必要である。 流通している押締式の種類及び対応電線は,表15及び表16のとおりである。 表15 制御盤内における押締式及び電線サイズの組合せ (より線,可とうより線,及び端末処理導体で使用) 製品種別 電線太さ より線,可とうより線, (mm2) 及び端末処理導体で使用 0.05 ~ 120 ○ ○:一般的な製品,△:特殊な製品,×:製品がない 表16 制御盤内における押締式及び電線サイズの組合せ(単線で使用) 電線太さ 製品種別 (mm) 単線で使用 φ0.5 ~ φ4.6 ○ ○:一般的な製品,△:特殊な製品,×:製品がない e) 用途 我が国においても、産業用インバータの電線接続の端子台やプリント基板用の端子台で使用さ れている。また,欧州では端子台,配線用遮断器(MCCB),電磁開閉器,電気機器の電線接続部に も使用される。 2.3.1.4 スタッド式 a) 定義 導電金具又は絶縁物に植込みボルト(スタッド)を固定し,これにねじ込んだナットで,直接 的に又は座金などを介して,電線又は圧着端子を締め付けて接続を行う構造である。 b) 画像/写真 c) 関連規格 JIS C 8201-1,JIS C 8201-7-1,NECA C 2811 17
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d) 特徴、e) 用途、2.3.2 ねじなし式、2.3.2.1 ケージ式、a) 定義、b) 画像/写真、c) 関連規格、d) 特徴

制御盤内の電線接続方式 d) 特徴 電線だけでなく銅バーの中継,分岐ができる。ナットを使用するため,ねじ締めの技能管理や, 振動などによるナット緩みに対する定期的な増締めが必要である。 流通しているスタッド式の種類及び対応電線は,表17のとおりである。 表17 制御盤内におけるスタッド式及び電線サイズの組合せ 電線太さ 製品種別 (mm2) 端末処理導体で使用 2 ~ 325 ○ ○:一般的な製品,△:特殊な製品,×:製品がない e) 用途 比較的大きいサイズの電線及び銅バーの接続や中継用としての端子台に使用される。 ねじなし式 2.3.2.1 ケージ式 a) 定義 かご状構造のばねを工具で開放して導体を挿入し,工具を取外したときのばねの戻り圧で導体 を保持・通電する。 b) 画像/写真 かご状構造のばね 内部構造図 内部構造の写真 c) 関連規格 JIS C 8201-1,JIS C 8201-7-1,NECA C 2811 d) 特徴 電線接続時には,工具(先端が細く,剛性のあるマイナスドライバー形状のもの)を差し込み, 電線挿入口を開き電線を接続する。(接続解除時も同様)。ねじ式と比較して少ない配線工数で結 線が可能で,ねじ締めの技能管理や,振動などによる,ねじ緩みに対する,増締めも不要である。 丸形端子を使用しない締付具は,丸形端子を使用する締付具に比べ,狭ピッチ化,省スペース 化ができる。 流通しているケージ式の種類及び対応電線は,表18及び表19のとおりである。 表18 制御盤内におけるケージ式及び電線サイズの組合せ (より線,可とうより線,及び端末処理導体で使用) 製品種別 電線太さ (mm2 より線,可とうより線, ) 及び端末処理導体で使用 38 ○ 0.05 ~ 22 ○ ○:一般的な製品,△:特殊な製品,×:製品がない 表19 制御盤内におけるケージ式及び電線サイズの組合せ(単線で使用) 電線太さ 製品種別 (mm) 単線で使用 φ0.5 ~ φ4.6 ○ ○:一般的な製品,△:特殊な製品,×:製品がない 18