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制御機器の基礎知識 (4) 表示灯

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スイッチ・表示灯編

操作用スイッチや表示灯の仕組みや選び方を説明した制御機器の基礎知識【スイッチ・表示灯編】。
下記章がありますが、本章では、表示灯の仕組みや選び方を解説。
他の章や操作用スイッチのカタログは操作用スイッチ特集 https://jp.cluez.biz/feature/page/101/ にてご確認ください。

1.安全規格と用語の説明
2.押しボタンスイッチ
4.表示灯
5.カムスイッチ
6.多方向スイッチ
7.トグルスイッチ
8.設定/信号入力用スイッチ
9.マイクロスイッチ
10.リミットスイッチ
11.ドアインタロックスイッチ(安全スイッチ)
12.3ポジションイネーブルスイッチ
13.資料編
※第3章は統合による欠番
※第1,2,4,5,6,7,8,9,11,12,13章はNECA Webサイトにてご確認を
お願いいたします。http://www.neca.or.jp/standard/howto/switch/
※規格に関しては、必ず現行規格のご確認をお願いいたします。

※本コンテンツの商用目的、営利目的での利用、また無断転載を禁じます。
(本コンテンツは、一般社団法人 日本電気制御機器工業会及び第三者が有する著作権により保護されております。)
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このカタログについて

ドキュメント名 制御機器の基礎知識 (4) 表示灯
ドキュメント種別 ハンドブック
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このカタログの内容

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スイッチ・表示灯編 表示灯
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制御機器の基礎知識 【スイッチ・表示灯】 4.表示灯 目次 4.1 定義 .................................................................................................................................................................... 2 4.1.1 表示灯とは ...................................................................................................................................................... 2 4.2 種類 .................................................................................................................................................................... 2 4.2.1 光源 ................................................................................................................................................................. 2 4.2.2 取付穴形状と大きさ ........................................................................................................................................ 2 4.2.3 電気回路構成 ................................................................................................................................................... 3 4.2.4 照光部の保護構造 ........................................................................................................................................... 3 4.3 原理と構造(光源) ................................................................................................................................................ 4 4.3.1 LED(発光ダイオード)ランプ ........................................................................................................................... 4 4.3.2 白熱電球 .......................................................................................................................................................... 4 4.3.3 放電管(ネオンランプ) ..................................................................................................................................... 5 4.4 定格と特性 ......................................................................................................................................................... 5 4.4.1 定格と特性の概要 ........................................................................................................................................... 5 4.4.2 定格 ................................................................................................................................................................. 5 4.4.3 機械的特性 ...................................................................................................................................................... 6 4.4.4 電気的特性 ...................................................................................................................................................... 6 4.4.5 照光部の特性 ................................................................................................................................................... 7 4.5 正しい選び方 ...................................................................................................................................................... 8 4.5.1 周囲環境に対する考慮 .................................................................................................................................... 8 4.5.2 使用回路に対する考慮 .................................................................................................................................... 9 4.5.3 取付面に対する考慮 ........................................................................................................................................ 9 4.5.4 視認性に対する考慮 ........................................................................................................................................ 9 4.5.5 重要度に対する考慮 ........................................................................................................................................ 9 4.5.6 保守 ................................................................................................................................................................. 9 4.6 上手な使い方 ...................................................................................................................................................... 9 4.6.1 LED 式表示灯 .................................................................................................................................................. 9 4.6.2 LED 表示灯の使い方(注意事項) .................................................................................................................... 10 4.6.3 白熱電球式表示灯 ......................................................................................................................................... 10 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 1
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4.1 定義、4.1.1 表示灯とは、4.2 種類、4.2.1 光源、4.2.2 取付穴形状と大きさ

4 表示灯 4.1 定義 1999年 3月に JIS C 8201-5-1(低圧開閉装置及び制御装置-第 5 部:制御回路機器及び開閉素子-第 1節:電 気機械式制御回路機器)が IEC 60947-5-1(Low-voltage switchgear and controlgear - Part 5-1: Control circuit devices and switching elements - Electromechanical control circuit devices)の技術的内容を変更すること なく制定され、従来制御用スイッチの JIS 規格であった制御用スイッチ通則(JIS C 4520-1991)は廃止された。ま た工業用表示灯(JIS C 8151-1991)についても、2000年 6月に廃止されたため、新たに日本電気制御機器工業会と して規格化され、2002 年 7 月に NECA C 8151(工業用表示灯)として制定された。JIS C 8201-5-1 では附属書 J (表示灯及び表示タワーに関する特別要求事項)として規定があるが、内容が乏しく、NECA C 8151 に規定され る内容との両規格に基づいて説明する。 4.1.1 表示灯とは 表示灯とは、JIS C 8201-5-1 附属書 J を引用すると「点灯又は点滅によって情報を伝達する光源を用いた信号」 と定義されており、また NECA C 8151 においては「表示灯とは、照光部、光源(電球又は発光ダイオード)及びこ れらを保持する支持体などで構成され、光源の点灯・滅灯(以下点滅という)によって回路の状態を表示すること を目的としたもので、主として制御盤、配電盤に取付けて使用するものをいう。」と定義されている。適用範囲 としては『交流 600V 以下又は直流 250V 以下の電路に使用する工業用表示灯』と規定されている。光源の発光ダ イオード(LED)は省エネ・長寿命という特長以外に、近年では明るさも飛躍的に改善され、またバリエーションも 豊富になったため、かなり広範囲に普及している。LED は現在では工業用から照明分野にまで広く普及されている。 4.2 種類 種類はその分類方法により異なるが、ここでは大きく「光源」、「取付穴形状と大きさ」、「電気回路構成」、 「保護構造」として分類する。 4.2.1 光源 表示灯あるいは表示器の主に光源として使用されているものとして、 ① LED(発光ダイオード)ランプ ② 白熱電球 ③ 放電管(ネオンランプ、蛍光灯など) などがあるが、産業用機器と組み合わせて用いる光源としては、LED が圧倒的に多く、白熱電球や表示灯に用いる 放電管は既にメーカによる生産中止が相次いでおり国内市場から姿を消しつつある。 4.2.2 取付穴形状と大きさ 市販されている表示灯は取付穴あるいは照光部の大きさにより形式名を設定している場合が多い。 (1) 取付穴の形状および寸法 取付穴形状には丸形と角形があり、また角形には正方形と長方形がある。白熱球が主流に使われていた時 代では丸形取付が全盛であったが、LED が主流になっている現在は角形取付が比較的多くなっている。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 2
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4.2.3 電気回路構成、4.2.4 照光部の保護構造

丸形表示灯の取付穴では、φ6.1mmからφ30.5mm で幅は広い。特に近年、機器、装置の小形化傾向に伴い φ6.1mmからφ16.2mm の小形が多く使用されている。表 4.1に NECA C 8151 による取付穴寸法を、表 4.2に JIS C 8201-5-1 取付穴寸法を示す。 角形の取付穴では□10mmから□50mm程度まであるが、規格では規定されておらず、各メーカにより異なる場合 が多いので、注意が必要である。 表 4.1 取付穴寸法(NECA C 8151 による) 単位mm 取付穴の直径 +0.2 +0.2 +0.2 +0.2 +0.2 +0.4 +0.5 +0.5 6.1 8.1 10.1 12.1 16.2 22.3 25.5 30.5 0 0 0 0 0 0 0 0 表 4.2 取付穴寸法(JIS C 8201-5-1 による) 単位mm 取付穴の キー溝(もつ場合) サイズ 直径 d 高さ h 幅 b +0.5 +0.5 +0.2 D30 30.5 33.0 4.8 0 0 0 +0.4 +0.4 +0.2 D22 22.3 24.1 3.2 0 0 0 +0.2 +0.2 +0.2 D16 16.2 17.9 1.7 0 0 0 +0.2 +0.2 +0.2 D12 12.1 13.8 1.72 0 0 0 (2) 照光部の形状・大きさ 表 4.3 照光部の大きさ 照光部も丸形と角形があり、角形には正方形と長方形がある。 形状 照光部寸法 特に規格では規定はされていないが、使用目的により表 4.3 の 丸形 φ8~φ100 ような大きさのものが一般的に使用されている。 正方形 10×10~60×60 角形 また、近年ではパネル表面からの突出を極力抑えたデザイン 長方形 10×20~60×120 性の高い製品も多くなっている。 4.2.3 電気回路構成 NECA C 8151 では電気回路の構成により、 ① 変圧器付表示灯 ② 抵抗器付表示灯 ③ 全電圧式表示灯 が区分されている。上記以外に電圧変換方式(DC/DCコンバータなど)を用いた表示灯もある。 4.2.4 照光部の保護構造 表示灯は取付方法がパネル取付であることから、パネル前面からに限定しているが、異物・水などの浸入や腐 食による誤動作や不点灯という故障を防止するため NECA C 8151 では照光部の保護構造を規定している。一般的 な使用には IP40の構造を持った製品がほとんど使われているが、屋外で使用される場合など IP65程度の構造や、 耐油性を必要とする製品の用途がある。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 3
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4.3 原理と構造(光源)、4.3.1 LED(発光ダイオード)ランプ、4.3.2 白熱電球

4.3 原理と構造(光源) ここでは光源による分類をもとに、その原理と構造を述べる。 4.3.1 LED(発光ダイオード)ランプ LEDは 1985年に JIS C 7035(発光ダイオード(表示用))として規格化されたが、2002年に廃止規格となっている。 (この規格は、素子単体(構造としては、LEDベアチップをリードフレーム上でボンディングし、エポキシ樹脂で被 い+-の両極のリードを設けたもので、近年では、チップタイプのものも多く、用途により選択される)の規格で あって、小形の表示灯に単体で使う場合を除き、ここで述べる産業用の表示灯としては十分でなかった。)LED ラ ンプの構造として、LED 素子を数個から数十個並べて回路を構成して表示灯として用いる。LEDランプが開発され た当初は、ベアチップを専用のベースにボンディングしてエポキシ樹脂で保護した LEDヘッドを電球用口金(E10、 E12 など)に取付け、外形を小形電球に似せて作った LED 電球(白熱電球に対応してそう表現する)などが、従来の 白熱球からの LED化需要として多く生産された。(図 4.1 参照)。 また、照光性能の向上のために専用の本体に対しての み取付可能として作られているものもあり、パネル前面 から定格電圧等の変更を可能とする前面保守対応製品 がある。(図 4.2 参照)。以降、LED 素子の技術革新が進 み、4元素(Al.In.Ga.P)形 LED や窒化ガリウム(GaN)が開 発されたことにより、輝度(明るさ)は従来の数倍以上に までなってきている。明るさが確保できると表示灯の消 費電力を下げることが可能となるため、表示灯の主流は LED となった。また、表示(発光)色においても純緑色、 青色が実用化されてから久しく、価格は他色と遜色ない 図 4.1 LED 電球など レベルにまで下がってきている。光の 3 原色が揃ったこ とによって、様々な分野で普及・拡大が進んでいる。 図 4.2 専用 LED ランプ 4.3.2 白熱電球 表示灯用光源として使用される白熱電球については、様々な大きさ、性能のものがあり JIS C 7516(表示用 電球)に規定されている(図 4.3~4.5 参照)。構造としてはガラス球の中にタングステンフィラメントを配置 し、内部を真空にすることでフィラメントの酸化を防ぎ寿命を保つようにしてある。この時、小形になるほど 真空度の確保が難しい。また定格電圧が高いものほどフィラメントが長くなるので振動に弱く断線しやすい (フィラメントは口金部で外部ソケットと結合される)。口金については JIS C 7710(電球類ガラス管球の形式 の表し方)に規定されており、また、フィラメントについては一般用ではあるが、JIS C 7711(白熱タングス テン電球フィラメント継線形式の表し方)があるので、参考にされたい。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 4
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4.3.3 放電管(ネオンランプ)、4.4 定格と特性、4.4.1 定格と特性の概要、4.4.2 定格

図 4.3 表示用電球 1 図 4.4 表示用電球 2 図 4.5 表示用電球 3 4.3.3 放電管(ネオンランプ) ここでは、放電管の中でも表示用としてよく用いら 図 4.6 ネオンランプの形状・寸法 れるネオンランプについて説明する。ネオンランプは JIS C 7606(ネオンランプ)に規格となっている。また 白熱電球に対して小形なものが多く(図 4.6 参照)、例 えば、形式 NE-10/E では、定格電圧 100V、電球径φ 10(T10)、長さ 28mm で、口金は E10/14 となっている。 また、定格寿命は 10,000時間と規定されている。表示 色については、橙色と緑色しかなく白熱電球に比べて 使用方法が制限されてくる。 4.4 定格と特性 4.4.1 定格と特性の概要 表示灯の規格としては,従来 JIS C 8151 があったため、これらの規格に基づき製造されてきた。先述の通り、 JIS C 8151 は廃止され、JIS C 8201-5-1に移行したものの、現状でも製造されている表示灯は NECA C 8151に準 拠しているものが多い。よってこの項では, JIS C 8201-5-1に基づき、定格、特性の内容を述べ、そのもつ意味 と技術的背景を説明するが一部規定がないものについては NECA C 8151に基づき説明する。 4.4.2 定格 (1) 定格使用電圧 表示灯としての定格使用電圧は NECA C 8151 に規定されている。なお、抵抗器付き及び全電圧式で、400V 及び 440Vのものは適用しない。 (2) 定格絶縁電圧 定格絶縁電圧は表示灯の耐電圧試験の電圧及び沿面距離の基準となる電圧の値である。いかなる場合でも、定 格使用電圧の最大値は定格絶縁電圧の最大値を超えてはならない。 (3) 定格インパルス耐電圧 定格インパルス耐電圧は制御用スイッチが指定の試験条件下で故障無しに耐えることができる規定の波形と極 性をもつインパルス電圧のピーク値で、空間距離の基準となる。(JIS C8201-1(低圧開閉装置及び制御装置-第 1部:通則)の表 12参照) (4) 定格通電電流 定格使用電圧により設定される電流値である。ランプの定格を超えない範囲で、寿命や発熱などを考慮し、設 定されている。 (5) 定格周波数 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 5
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4.4.3 機械的特性、4.4.4 電気的特性

電源の周波数で、日本国内は 50Hz 又は 60Hz である。この周波数に対して設計され、かつ、装置の他の特性値 は、この周波数に対応する。 (6) 変圧器定格二次電圧 NECA C 8151 によると次のように規定されている。 照光部に変圧器を用いる場合の、定格二次電圧は原則として次の値である。 5.5、15、20(V) 4.4.3 機械的特性 (1) 振動 NECA C 8151に規定された条件に沿って、定格使用 電圧で点灯しながら JIS C 60068-2-6(環境試験方法-電気・電子-第 2-6部:正弦波振動試験方法(試験記号: Fc))に規定する掃引振動数耐久試験を行う。振動数範囲と複振幅は製品の厳しいと想定される組合わせとする のが一般的である。点灯状態や各部の固定状態に異常が無いかを調査する。 (2) 衝撃 NECA C 8151に規定された衝撃を JIS C 60068-2-27(環境試験方法-電気・電子-第 2-27部:衝撃試験方法(試 験記号:Ea))に基づき上、下、左、右、前、後の 6 方向に各 3 回加える。振動試験と同様に、点灯状態や各部の 固定状態に異常が無いかを調査する。 (3) 端子強度 NECA C 8151 では、外部配線部の構造により、端子形状が異なるため、形状ごとに試験条件を設定している。下 記試験を実施後、接続部分の緩み、電線の離脱、有害な変形、破損などがないことを調べる。 ① ねじ締端子 ・締付強度試験 端子ねじをトルクドライバなどで締め付け、規定された締付トルクを 10~15 秒間加える。 ・引張強度試験 使用電線を接続し、端子ねじを規定された締付トルクで締め付け、電線の挿入方向に平行な方向及び機械的 に最も弱い方向の 2方向に引張力 50Nを加え、1分間保持する。 ② ラグ端子 ・引張強度試験 規定された使用電線を接続し、端子の長軸に平行な方向及び機械的に最も弱い方向の 2 方向に引張力を加え、 1分間保持する。 ・曲げ試験 電線接続後、端子の長軸に対し、左右に 45°曲げ、同じ操作を2回行う。 ③ リード線付端子 リード線の引出し穴に真っ直ぐの方向に、引張力 50N を 1 分間加える。 ④ メールタブ端子 メールタブの長軸に平行な方向に規定された引張力及び押圧力を各 1回加え、1 分間保持する。 4.4.4 電気的特性 (1) 耐電圧 表示灯を設置した金属板に取付け、規定された各部分に試験電圧を 1分間印加する。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 6
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4.4.5 照光部の特性

4.4.5 照光部の特性 (1) 照光部の色 照光部の色は表 4.4 に示す通りである。白熱電球の場合は表示色に合わせたカラーフィルタを用いることで各 色を表示させていたが、LED ランプの場合は表示色にあわせたランプを用いる(特殊なカラーフィルタを替えるこ とで各色を表示させる LEDランプもある)。 表 4.5に NECA 4102(工業用 LED球)による発光色とその波長範囲を 示した。(近年では色度図での表現が多い。)これらの波長の違いは、LED素子を構成している材料の違いによるも のである。白熱電球の白色相当としては、アンバー(薄橙色)の LEDが用いられることで代替を果たしてきた。近 年では白熱電球色により近づけた発光波長の LED も製造されている一方、最近では照明分野での発展が目覚しい 純白色の LEDも広く普及しており、白熱電球色とはすみ分けた表示色となっている。 表 4.4 照光部の色の種類(NECA C 8151 による) 色名 消灯時の表面色 赤 黄赤(橙) 黄 緑 青 白 無色 白 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 各色 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 注)発光ダイオードの場合は適用しない (2) 照光部の明るさ 光源の明るさを表すのに光度の単位でカンデラ(cd)を用いるが、表示灯のようにある面が光る場合には、輝度 として表す。ここでの輝度とは、光源をある方向から見た場合のその方向への光度を光源の見かけの面積で割っ た値で(cd/m2)で表せられる。 近年 LED の光度は大幅に向上し、旧来の白熱球と比べて照光部は高輝度かつ低消費電力を実現している。 (3) 発光源寿命 (a) LED 旧来、白熱ランプの寿命は NECA により 5,000 時間以上に規定されてきたが、長寿命特性をもつ LED は、白熱 ランプにとって替わり、表示灯や表示灯を有する照光押ボタンスイッチの主流になっている。普及当初に欠点で あった LEDの光度不足も、LEDの高輝度化と LEDチップを多数内蔵することで、各メーカとも製品化がされてき た。 寿命は周囲温度や通電電流に影響を受け、またチップ材料による差はあるが、5~10×104時間程度である。 図 4.6は、赤色 LEDの点灯時間と光度の相関データである。 LEDの光度減衰寿命は、一般的に halflife(光度が初期値の 50%まで低下する)時間で示され、図 4.7のように、 チップ接合部温度との相関特性が推定されている。 図 4.6 点灯時間と相対光度 図 4.7 接合部温度―光度 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 7
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4.5 正しい選び方、4.5.1 周囲環境に対する考慮

(b) 白熱ランプ 白熱ランプの寿命は NECAにより 5,000時間以上に規定されている。 フィラメントを使用した白熱ランプは印加電圧との間に図 4.8 のような関係があり、印加電圧の 12 乗に逆比 例する。 表 4.5 発光色を表す記号と波長範囲(NECA 4102 による) 単位nm 発光色 青 緑 黄 黄赤(だいだい色) 赤 白 記号 B G Y A又はO R W 波長範囲(参考) 380~490 490~570 570~590 590~620 620~780 - 寿命は交流(50Hz又は 60Hz)の定格電圧を印加し、連続 点灯した場合の断線までの時間でいわれるが、小電流、長 寿命ランプ(50mA 以下、5,000 時間以上のランプ)を直流 点灯した場合はノッチング(Notching)と呼ばれる現象に より、寿命が短縮し 50%もしくはそれ以下になることがあ る。したがって、図 4.8 のような特性に必ずなるとは言え ない。 白熱ランプの寿命は、その設計上においても一定の制約 を受ける。要素として定格電圧、定格電流、明るさ、寿命 で四つの要素のうち三つが設定されれば残り一つは自動的 に決まる。例えば寿命を延ばしたい場合、定格電圧、定格 電流、明るさの三つの要素の全部もしくは最低一つは変更 しなければならない。 図 4.8 電圧-特性 4.5 正しい選び方 表示灯はヒューマンインタフェース(HMI)としては重要な役割を担っている。すでに述べたように、機器の動 作・状態・警報などを目的に応じた形・大きさ・色がある。いずれも、その使用用途によって選択基準を変えて いく必要がある。 条件としては、 ① 周囲環境:屋内・屋外(制御盤、その他)、温度、湿度、標高 ② 使用回路:回路電圧(交流、直流) ③ 取付面 :明るさ、仕上がり、取付パネルカット(取付方法)、取付パネル厚さ ④ 視認性 :オペレータとの距離、視認角度 ⑤ 重要度 ⑥ 保守 が主にあげられる。 4.5.1 周囲環境に対する考慮 一般的な環境条件でない場合の保護構造は 4.2.5 項にあるような、目的にあった構造のものを選択する必要が ある。また、周囲環境として設計上の標準温度は屋内用-5~+40℃、屋外用-25~+40℃、相対湿度は 45~85%、 標高 2,000m以下である。ただし、装置設計時に適用する規格によっては異なるので設計時に配慮が必要である。 また、表示灯は熱を発生する機器であるため、温度上昇に対する配慮が必要であり、メーカの提示する取付条件(ピ ッチ、点数、集合数)を確認して用いることが重要である。(表示灯本体はプラスチックで作られたものが多く、 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 8
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4.5.2 使用回路に対する考慮、4.5.3 取付面に対する考慮、4.5.4 視認性に対する考慮、4.5.5 重要度に対する考慮、4.5.6 保守、4.6 上手な使い方、4.6.1 LED式表示灯

過度の熱による変形や焼けが生じる場合がある。また、LEDランプでは LED 素子自身の性能に大きな影響を与える ので特に気をつける必要がある。) 4.5.2 使用回路に対する考慮 表示灯を使用するにあたって、その表示灯を点灯させるための電圧種別(交流・直流)を確認しまた回路電圧に あった機種を選択する必要がある。また、表示灯の定格電圧以上の回路電圧で使用する場合には、トランスや抵 抗器を用いて表示灯の定格電圧以上にならないよう考慮が必要である。 4.5.3 取付面に対する考慮 表示灯の表示の見易さは、盤色・仕上りのほかに表示灯の大きさ、形なども関係あるが、照光表示の点からは、 盤面の照度が視認性に影響してくる(NECA C 8151では地色 5Y7/1の盤に取付け、識別状態を調べる)。 近年では 液晶表示器などを併用することもあり、盤面照度をやや下げて識別することもある。逆に、屋外使用では盤面照 度を上げて識別できることが要求されることもある。 4.5.4 視認性に対する考慮 表示灯を見る距離とその角度を考えて、大きさ、レンズ形状を選択する。特に文字表示を行う時には、十分に 文字が読める大きさの照光面が必要で、かつ判読しやすいコントラストが必要である。(例えば、消灯時の色が赤 色の場合、文字色を白色にするなど) 4.5.5 重要度に対する考慮 情報伝達の手段として表示灯を用いるとき、警報表示であればその重要度は大である。表示機能が働かないこ とがあってはならず、未然に対応できるようにランプテスト回路を設けたり、2個を並列に使用して、一方が故障 しても他の一方で点灯できるという方法がとられる。特に旧来の白熱電球ではフィラメントの断線は必ずおこる ため上記の対策は必然であったが、LEDランプでは定格内で正しく使用されていれば、寿命をあまり問題とせず使 用でき信頼性は高いと考えられる。しかし、ワイヤーボンディング断線などによる初期不良や、電源サージ等に よる過入力によって LED素子が損傷し、不点灯に至る事例もあることに注意すべきである。 4.5.6 保守 保守の上からは、旧来の白熱電球では特に寿命を念頭に入れ、多数使用するときには頻繁に交換が必要となる ことを念頭に置かなければならなかったが、LEDランプの場合は、寿命が長いことから、色の交換を行うことがで きる程度の保守性(予備品)があれば、ほとんど保守のための交換がないため交換に関する保守費用は大幅に低減 できると言える。 4.6 上手な使い方 4.6.1 LED式表示灯 LED 表示灯としての特徴としては、光源が単色発光であるから白熱球のようにカラーフィルタを用いなくても目 的の色が得られることがある。しかしこれは逆に、LED 表示灯の色変更は LEDランプを変更しなければならないの で、発注時に色指定をする必要がある。つぎに、LEDは白熱電球に比べて長寿命であることが挙げられる。正しい 定格で使用していれば白熱電球のように断線はなく、点灯時間を経ると徐々に輝度が低下していく特性を有する。 不点灯には至らないことからも表示機能としての信頼性が高いといえ、実使用における寿命は 100,000 時間程度 は期待できる。また、旧来の白熱電球では点灯時と定常時でフィラメントの抵抗値が異なり、初電流として定常 時の 5~6 倍が流れるが、LED ランプではそのような差はなく想定した電流しか流れないため、表示灯を点灯させ る機器の接点容量やドライバの容量が小さくすむ利点がある。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 9
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4.6.2 LED表示灯の使い方(注意事項)、4.6.3 白熱電球式表示灯

4.6.2 LED表示灯の使い方(注意事項) 4.3.1項で述べたように、LED 表示灯としては LEDランプの取付方・構造により、大きく分けてニつに分かれる。 ① 口金を有する電球形状のもの ② 専用のランプハウジングで構成されたもの 新規に表示灯一式を購入する際は、その仕様が用途に適用しているかを確認すればよい。 確認すべき点としては 4.6 項で述べたが、もう少し付け加えるので参考にされたい。実際に使用する条件がメ ーカのカタログなどの仕様で満足しない可能性がある場合は、使用時に検討が必要である。例えば、使用温度が 高くなる場合(屋外など)は装置内の温度を下げるため強制的に通風させるなどして温度低減をはかり、多湿にな る恐れがある場合は、除湿の手立てを検討しておくべきである。これらのことは、表示灯に限らず多くの制御機 器に関しても言えることである。 LED ランプの特性上の問題点として、最も気をつける点としては、LED は半 導体であるので熱には弱いことを念頭に入れておくことである。使用環境条件が表示灯の仕様を満足していても、 取付状態(密集度、同時点灯数など)によっては表示灯の付近が局部的に 温度が上がる可能性もあるのでメーカが提示する密集度や同時点灯数 (集合表示形の場合)を確認して用いることが大切である。もう一つの注 意として LED ランプは白熱電球と異なり比較的小さな電流で点灯し始め るために、表示灯の配線に対して他の配線(交流電圧ライン)が近接して いると配線相互間の浮遊容量により表示灯が点灯することがある(一般 的に「誘導点灯」、「誤点灯」などと言われる現象である)。この現象は、 配線長に関係しているため対策としては不用意に配線を長くしないこと がある。あらかじめ対策された表示灯もあるので選定時に検討すべきで ある。また、フィールドで発生した場合などはランプ端子間にバイパス コンデンサ、バイパス抵抗を接続することで対策が可能である。(図 4.9) 図 4.9 誤点灯防止回路構成例 つぎに、旧設備における白熱電球式表示灯を電球のみの交換で LED ランプ(口金形状)に変更したい場合は、使 用する LEDランプの定格以内で使用できるように回路構成の検討が必要な場合がある(機種によっては互換性のあ るものもある)。 全電圧式では問題ないが、抵抗式の白熱電球表示灯を使用している場合は、LED ランプに変更 したときにランプ及び本体制限抵抗の各々に加わる電圧が定格以内になることを確かめる必要がある。最後に、 LEDは初期的な不良を除けば断線することはなく信頼性が高いと前述しているが、その信頼性を保てるかどうかは、 表示灯の仕様が実際の使用状況を満足しているかどうかによるため、部品選定・回路設計においては、より信頼 性の高い装置となるように十分に配慮するべきである。 4.6.3 白熱電球式表示灯 白熱電球式表示灯の取扱いの上で問合せの多い問題として、「寿命」がある。従来から、白熱電球の寿命につ いては印加電圧の 12乗に逆比例するということで、印加電圧を下げて使用することをすすめている(例えば、回 路電圧が 12Vに対して 18Vの白熱電球を選択するなど)。もちろん基本的には望ましい方法ではあるが期待した 寿命が得られないとして苦情が発生するケースが多い。特に、小形な表示灯用の電球では真空度の確保が一般的 に困難であり、特に軍需用というような特殊電球でない限り期待した寿命は得られにくいのが実情である。真空 度と寿命の関係については、R.C.Kooと、John Woodhouse1)によって報告されており、その論文において直流電流 によるノッチング現象も寿命を短くする原因として報告されている。また表示色においては、赤、緑などは好ま しい色が出にくい。特に緑は輝度が高ければある程度の色がでるが、寿命を考慮するため電球定格より低い電圧 で使用するために明るさが犠牲となり結果として、思ったほどの色が出ないことがある。これらのことから、表 示灯の上手な使い方としては以下に述べる LED表示灯に切替えて行くことであるともいえる。 (1)R.C.Koo,John Woodhouse Observations on electromigration and improved life of micominiature lamps, JOURNAL OF IES,OCTOBER 1974,19p~24p) 無断複写・転載を禁じる。 Copyright 2013 NECA All rights reserved. http://www.neca.or.jp/ 10
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スイッチ・表示灯編 リミットスイッチ