スイッチ・表示灯編
操作用スイッチや表示灯の仕組みや選び方を説明した制御機器の基礎知識【スイッチ・表示灯編】。
下記章がありますが、本章では、リミットスイッチの仕組みや選び方を解説。
他の章や操作用スイッチのカタログは操作用スイッチ特集 https://jp.cluez.biz/feature/page/101/ にてご確認ください。
1.安全規格と用語の説明
2.押しボタンスイッチ
4.表示灯
5.カムスイッチ
6.多方向スイッチ
7.トグルスイッチ
8.設定/信号入力用スイッチ
9.マイクロスイッチ
10.リミットスイッチ
11.ドアインタロックスイッチ(安全スイッチ)
12.3ポジションイネーブルスイッチ
13.資料編
※第3章は統合による欠番
※第1,2,4,5,6,7,8,9,11,12,13章はNECA Webサイトにてご確認を
お願いいたします。http://www.neca.or.jp/standard/howto/switch/
※規格に関しては、必ず現行規格のご確認をお願いいたします。
※本コンテンツの商用目的、営利目的での利用、また無断転載を禁じます。
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このカタログについて
ドキュメント名 | 制御機器の基礎知識 (2) 押しボタンスイッチ |
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ドキュメント種別 | ハンドブック |
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取り扱い企業 | 一般社団法人日本電気制御機器工業会 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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スイッチ・表示灯編
押しボタンスイッチ
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制御機器の基礎知識 【スイッチ・表示灯】
2.押しボタンスイッチ
目次
2.1 定義 .............................................................................................. 3
2.1.1 大形押しボタンスイッチ ......................................................................... 3
2.1.2 小形押しボタンスイッチ ......................................................................... 4
2.2種類 ............................................................................................... 4
2.2.1 ボタンの色と種類 .............................................................................. 4
2.2.2 取付穴と形状 .................................................................................. 6
2.2.3 非常停止 ...................................................................................... 8
2.3 原理と構造 ........................................................................................ 9
2.3.1 基本構造 ...................................................................................... 9
2.3.2 接点部(コンタクトエレメント) ................................................................ 10
2.3.3 操作部 ....................................................................................... 13
2.3.4 モーメンタリ動作とオルタネイト動作 ............................................................ 14
2.3.5 表示部 ....................................................................................... 16
2.3.6 光源 ......................................................................................... 17
2.3.7補助製品(アクセサリー) ...................................................................... 18
2.4 定格と特性 ....................................................................................... 20
2.4.1 定格 ......................................................................................... 20
2.4.2 機械的特性 ................................................................................... 21
2.4.3 電気的特性 .................................................................................. 23
2.4.4 その他の特性 ................................................................................. 27
2.5 正しい選び方 ..................................................................................... 28
2.5.1 負荷条件 ..................................................................................... 29
2.5.2 スイッチ回路 ................................................................................. 29
2.5.3 スイッチ動作について .......................................................................... 29
2.5.4 接点動作について ............................................................................. 30
2.5.5 ランプについて ............................................................................... 30
2.5.6 押しボタン部について .......................................................................... 31
2.5.7 取付けについて ............................................................................... 32
2.5.8 環境条件 ..................................................................................... 33
2.6 上手な使い方 ..................................................................................... 33
2.6.1 取付け上の注意点 ............................................................................. 33
2.6.2 配線時の注意点 ............................................................................... 34
2.6.3 使用条件 ..................................................................................... 34
2.6.4 保管、使用上の注意点 .......................................................................... 34
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2.6.5 搬送上の注意点 ............................................................................... 34
2.7 故障原因とその対策 ............................................................................... 34
2.8 検査と試験 ....................................................................................... 35
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2 押しボタンスイッチ
2.1 定義
この章で説明する押しボタンスイッチは、産業の著しい発展に伴い種類が豊富となり範囲を限定することは困難で
ある。ここでは産業用開閉制御装置(機器を含む)の制御装置の制御回路に設置され、装置の制御、信号伝達、イン
ターロックなどに用いられる接触子をもったスイッチについて述べる。産業用開閉制御装置では主として配電盤、操
作盤として機械の手元操作の制御箱から電力、鉄鋼、化学等の工業用の大形配電盤に用いられる。また、押しボタン
スイッチには人の手の押動作により操作される押しボタン、引き動作により操作される引きボタンによって接触子を
開閉するものがある。 近の技術の進歩は電子機器、通信機器への適用も可能なものへと技術拡大が成されてきてお
り、厳密な範囲が設定出来ない面があることを念頭に入れておく必要がある。また、押しボタンスイッチはEC指令・
PL法などにより輸出する機器は安全についての規格が重要視されてきている。また、それによって押しボタンスイッ
チにも特別な要求が増えてきている。
例えば非常停止押しボタンスイッチは、強制開離機構付(操作部と接点との間に、弾性構造材を介在することなく遮
断接点素子を動作させる) 表示色、形状が規定されている。製品では照光式押しボタンスイッチなどに用いる光源が
1980年代前半までは白熱電球が主流であったが、近年はLEDが主流である。ボタンスイッチに適用される国内規格を
下記に示す。
JIS C 8201-1 : 低圧開閉装置及び制御装置-第1部:通則
JIS C 8201-5-1: 低圧開閉装置及び制御装置-第5部:制御回路機器及び開閉素子-第1節:電気機械式制御回路機器
NECA C 4520 : 制御用スイッチ通則
NECA C 4521 : 制御用ボタンスイッチ
2.1.1 大形押しボタンスイッチ
大形押しボタンスイッチは、制御用スイッチのうち主に取付部のパネル穴径がφ22~φ30のものをいう。
取付部が丸形の大形押しボタンスイッチ
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2.1.2 小形押しボタンスイッチ
小形押しボタンスイッチは、制御用スイッチのうち主に取付部のパネル穴径がφ8~φ16 のものをいう。また、取
付部が角形のものも含む。
取付部が丸形の小形押しボタンスイッチ 取付部が角形の小形押しボタンスイッチ
2.2 種類
押しボタンスイッチは種類が多く分け方も様々な物があるが、ここでは種類、取付穴と形状などについて簡単に説
明する。
2.2.1 ボタンの色と種類
ボタンの色については、JIS B 6015(工作機械-電気装置通則)及びIEC 60204-1(機械の安全性-機械の電機機器
-第 1 部:一般要求事項)により表 2.1のように規定されている。大形押しボタンスイッチの操作方法の種類として
はつぎに示すように豊富であり、用途に応じて使い分けができる。その他のボタン形状も図2.1に示すので参考にす
るとよい。
表 2.1 ボタンの色(IEC 60204-1(JIS B 6015_1996)による)
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図 2.1 ボタンの形状
(1) 押しボタンスイッチ(push-button)
人体の部分、通常は手の指又は手のひらによって加えられる力で作動する操作部と蓄積エネルギー(スプリング)
復帰を備えている制御スイッチ。
(2) 引きボタンスイッチ(pull-button)
手動引張りによって作動し、蓄積エネルギー(スプリング)復帰を備えている制御スイッチ。
(3) 押し引きボタンスイッチ(push-pull-button)
手動プッシュによって作動し、手動プルによって元の位置に復帰し、又はその逆に作動する操作部を備えた制御
スイッチ。この他に、“プッシュ-プッシュ”又は“プッシュ-ターン”、その他のボタン組合せがある。
(4) ラッチ付き押しボタンスイッチ(latched push-button)
スプリング復帰を備えているが、別の操作でラッチが開放されるまでは作動された位置に保持されたままでいる
スプリング復帰付き押しボタンスイッチ。ラッチングは同じ押しボタン又はその近くの押しボタンの、電磁石の作
用などによる事後の起動(押し、回転など)によって開放される。
(5) ロック付き押しボタンスイッチ(locked push-button)
別の操作によって、1か所以上の位置において固定することのできる押しボタンスイッチ。ロッキングはボタン
の回転、かぎの回転、レバーの回転などによって行なうことができる。
(6) かぎ付き押しボタンスイッチ(key operated push-button)
かぎが挿入されている間だけ限定操作され得る押しボタンスイッチ。かぎ引抜きは、任意の位置で行うことがで
きる。
(7) 限時押しボタンスイッチ(delayed action push-button)
ボタン上の力が所定の時間保持されるまでは開閉作動を行わない押しボタンスイッチ。
(8) ロータリボタンスイッチ(例えば、セレクタスイッチ)[rotary button(e.g.:selector switch)
手動回転によって作動する操作部を備え、プッシュボタン用開閉素子からなるスイッチ。ロータリプッシュボタ
ンスイッチは、2以上の位置を備える。スプリング復帰を備えても備えなくてもよい。
(9) 照光押しボタンスイッチ(illuminated push-button)
押しボタン内に信号ランプを内蔵している押しボタンスイッチ。
小形押しボタンスイッチの表示・操作面の形状は、丸形、正方形、長方形の3種類があり表2.2のような大きさの
ものが主流を占めている。
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(10) セレクタ押しボタン
表2.2 表示・操作面の形状
(11) プッシュロックターンリセット
(12) 非照光タイプ
(13) 照光タイプ
(14) ブザー
(15) 表示タイプ
(16) ワンボードタイプ
(17) 数字表示タイプ
2.2.2 取付穴と形状
(1) 取付部が丸形の大形押しボタンスイッチ
配電盤、操作盤などの取付パネルに丸穴を開けて取付るもので、スイッチ単体では充電部が露出してしまうが図2.2
及び図2.3のように取付ることによりボタン部分のみ盤表面に現れて操作できるものをいう。
取付方法は3種類の方法がある。
(a) 表面取付でナットによる固定(図2.4 a)
(b) 裏面取付でナットによる固定(図2.4 b)
(c) 表面取付でねじによる固定 (図2.4 c)
図 2.2 表面取付例 図2.3 裏面取付例
図 2.4(a) 図 2.4(b) 図 2.4(c)
図 2.4 大形のボタンスイッチ取付方法
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さらに取付方法の説明をすると(a)は図2.2で説明した取付方法を示し、付属したガスケットは取付パネルの板厚
調整用でその枚数を加減して取付るためと後述する保護構造の役目も兼ねている。(b)は図2.3で説明した取付方法を
示し、接触部を取り外してボタン部分をパネル表面から取付穴に差し込みナットで締付けた後接触部を取付て使用す
るタイプである。(c)は(a)と似ていて取付パネル表面よりナットを締めるが、 終的な固定は裏面よりネジでボタン
スイッチと取付パネルとの間を突っ張らせて固定するもので主にボタン形状が角形の場合に用いられる方法である。
ここで文字板は大形のボタンスイッチの目的を表す記号例えば起動、停止などを表示するとともに、大形のボタンス
イッチの回り止め用も兼ねている。また、JIS C 8201-5-1に単一取付機器の取付として単一の穴に取付可能なスイッ
チと表示灯は丸穴のパネルに取付られ、丸穴には固定のためのキー溝をもつことが出来ると規定されている。取付穴
直径及びキー溝の寸法を表2.3に示す。取付穴はD30、D22、D16、D12の4種類が規定されている。
表 2.3 丸穴取付穴の寸法(JIS C 8201-5-1による)
(2) 取付部が丸形および角形の小形押しボタンスイッチ
取付穴形状には、丸形と角形がある。機器、装置の小形に伴い製品化されてきた丸形の小形押しボタンスイッチの
取付部の径の種類はφ8mm、φ10mm、φ12mm、φ16mmなどの種類があり、中でもφ16mmのものが操作性がよいという
点から主流を占めている。JIS C 8201-5-1ではφ12とφ16しか規定されていないため、表2.3に JIS C 8201-5-1に
よる各種取付穴寸法を表2.4に NECA C 4521による取付穴寸法を示す。なお角形については、各メーカにより定めて
いる取付穴寸法は若干異なるので注意を要する。
表 2.4 取付穴寸法
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(3) スナップイン方式
規定の寸法にパネル加工し、カット穴に挿入するだけで固定され,
なんら後の作業をすることのない方式である。構造は押しボタンスイ
ッチ本体と一体に取付た一対のリーフばねあるいは固定されたリーフ
ばねの弾性によりパネル前面から入れるだけで固定されるようにした
ものである。(図2.5)
(4) プリント基板方式
スイッチの端子がプリント基板用となっており、プリント基板に直接
はんだ付けしスイッチを固定するものである。ケースもフランジ部を
無くした形状となっており、プリント基板をパネル内部より取付る事
図 2.5 スナップイン方
によりパネル表面にはボタンのみが出る構造となる。単品使用よりも
集合して取付ることが多い。(図2.6)
現在ではSMT対応の照光式押しボタンスイッチも選べるようになった。
図 2.6 プリント基板方式
2.2.3 非常停止
非常停止は人への危険、機械又は進行中の製造物への損傷の発生を予防しあるいは既存のこれらの危険と損傷を軽
減することを目的とする。非常停止は構造に関する要求事項が規格によって規定されている。操作部は起動された位
置で制御接点が開いた状態でラッチされなければならない。このラッチングは別の動き、例えば引張り、回転又はか
ぎを用いて開放する。また、直接開路動作機能付(強制開離機能付)とは操作部と接点との間に弾性構造材(例えば、
ばね)を介在することなく遮断接点素子を動作させるスイッチで、製造業者の指定する力を加えることによって直接
回路動作までの動作距離(含む角度、以下、同じ。)を操作部が移動したときに遮断接点素子のすべての接点が開路す
るスイッチでなければならない。
操作部形状は押しボタンの場合にはきのこ形とし、赤色でなければならない。背景がアクチュエータの背後に存在
する限り又はそれが実用的である限り背景は黄色でなければならない。(図
2.7参照)これらのほかに、次ぎのような内容も規定されている。
・定格絶縁電圧:定格絶縁電圧の 小値は、250Vとする。
・定格通電電流:定格通電電流の 小値は、2.5Aとする。
・ 直接開路動作機能:直接開路動作機能付接
点素子は、外郭に の記号を見やすく、容易に消えない方法で表示しな
ければならない。
図 2.7 非常停止
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2.3 原理と構造
一般市場にある押しボタンスイッチは種類がきわめて多いので、ここではよく用いられる代表的な方式の例につい
て説明する。
2.3.1 基本構造
(1) 押しボタンスイッチ
押しボタンスイッチの構造は、基本的に操作部とスイッチ部とからなり、
各々をユニット式に分け、用途に応じて組合せて一つの押しボタンスイッチ
とするものと、一つのハウジングに組み込んで、一体構造としたものがある。
操作部は、人の手が触れる部分であり、その操作力をスイッチ部に伝達す
る機構でもある。
スイッチ部は無接点、有接点、いずれかの開閉機能をもつ部分である。照光
式の場合、LED などの光源をもつ照光部が操作部の中に配置される。操作部
の操作力をスイッチ部に伝達する手段は、以下の二つに大別される。一つは、
スイッチ部の可動ばねあるいは内蔵マイクロスイッチの押しボタンを直接操
作部で押し込むもの、もう一つはレバーと圧縮ばねからなる反転ユニット
を介して押し込まれるものである。
前者は小形で操作力の低荷重のものに、後者は比較的大形で操作力の重
図2.8 照光押しボタンスイッチ
いものに使われる。その他、操作部の着脱が可能で押しボタン、カラープ
レート、光源の交換ができることも押しボタンスイッチの構造上の大きな
特徴といえる。さらに、この他に、押しボタンスイッチの機能を増大又は
補うものとして、アクセサリー(補助製品)が用意されており、これらを有
効に活用することも、押しボタンスイッチを用いるときに重要なことである。
図2.8に照光押しボタンスイッチの構造を示す。
(2) セレクタスイッチ
主に丸形にあるセレクタスイッチの構造も押しボタンスイッチと同様操作
部とスイッチ部とからなるが、操作部の内部に円筒形のカムが組み込まれて
おり、つまみの回転操作に応じてカムが連動して回転し、さらに内部の操作
ロッドを動かしてスイッチ部に伝える構造である。カムで直接スイッチ部の
ロッドを動作させるタイプもある。図2.9にセレクタスイッチの構造を示す。
(3) ワンボード対応タイプ 図2.9 セレクタスイッチ
配線作業の省工数化などを図るために配線をプリント基板で一括して行う
ものである。この配線方式を「ワンボード化」と呼んでいる。これに対応す
るためには操作部とスイッチ部とが分離可能な「分離タイプ」が適している。
またあらかじめ4列×2段を1ユニットとしてそのままパネルへ取付でき
るものもある。図 2.10 に分離タイプの照光押しボタンスイッチの例を、図
2.11にワンボードの例を示す。このワンボード対応タイプをさらに発展させ
たものとして「スイッチブロック」と呼ばれるものがある。スイッチブロッ
クは,φ16mm取付の小形スイッチをモジュール化した製品である。
図 2.10 分離タイプの照光
押しボタンスイッチ
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スイッチブロックには,フラットケーブルによりワンタッチで配線できる「コネクタタイプ」と,脱着可能なヨーロ
ッパ端子台に配線する「端子台タイプ」の2種類がある。このスイッチブロックにより,ワンボード化同様、従来盤
内に存在した膨大なはんだづけ配線をすることなく行え,大幅な工数削減とメンテナンス性の向上が実現できる。
大形のボタンスイッチには図2.12に示すように接点部(コンタクトエレメント)、操作部、表示部、変圧器から構成
されるものがある。
図 2.11 ワンボード 図2.12 大形のボタンスイッチ構成部品
2.3.2 接点部(コンタクトエレメント)
接点部には大きく分けてスローアクション機構形とスナップアクション機構の2種類がある。前者は接点の動作が
外部からの操作(押す又は引く)速度に比例して動くもので、遮断性能上接点間隔を大きくとる必要があるため、接
点部全体も比較的大きくなっている。後者は一般に既存のマクロスイッチを使用して接点部としている場合が多く、
接点動作と外部からの操作速度に無関係に急速反転動作するもので、前者より接点間隔はかなり小さくできるが構造
は精度を要求される。なお、遮断性能は主にスローアクション機構形(接点間隔によって、生じたアークを長くのば
して、アークの冷却及びアーク電圧を高める)とスナップアクション機構形(遮断速度を速くすることによってアー
クエネルギーをおさえる)の2つで決まる。
(1) スローアクション機構形
代表的なa及びb接点内蔵の接点部を図2.13により説明すると、図は接点部の動作経過を示しており、まず(1)は
操作しない自由位置状態でb接点側の可動接触子と固定接点(b)が接触している。この時は接触スプリングにより所定
の接触圧力をもたせてあり、ワイプ量(後述する)も充分なb接点完全閉状態である。(2)は可動接触子支えを矢印方
向より復帰スプリングに対抗して押圧力を加え、ワイプがなくなる瞬間のb接点開離始め状態、(3)はさらに押すこと
によりa接点接触始め、(4)はさらに押すことにより接触スプリングによって接触圧力が接点に加わり、ワイプ量も(1)
と同様に充分なa接点完全閉状態である。この時b(又はa)接点の開離始めから完全閉迄の距離を接点開き又は接
点間隔という。又は逆に押圧力を解除すると(4),(3),(2),(1)の状態の順序で復帰する。又、a接点専用接点部(図
2.14参照)及び、b接点専用接点部(参照)も同様である。
図 2.13 a接点、b接点内蔵の接点部
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図 2.14 a接点専用接点部
図 2.15 b接点専用接点部
次に図2.16により荷重特性を説明する。図中の接触スプリングとは接触圧力の荷重特性を示し、初期圧力をもた
せてある。これと復帰スプリングとの組合せにより接点部の荷重特性が成り立ち、図2.13で明らかなように、接触
スプリングの力は、互いに対向して働いている荷重を差し引いた荷重が接点部荷重特性となる。さらに後述する操
作部の荷重と接点部荷重の合計が押しボタンスイッチの荷重特性となる。
前述したワイプとは可動接触子が接触始めから完全接触する迄の可動接触子支えの移動量をいう。さらに詳しく
説明すると可動接触子には機械的に接触スプリングが配置され、このスプリングは初期圧力をもたせてある。可動
接触子支えの動作により、可動接触子が固定接触と接触を始める。しかしこれ以上に可動接触子は動き得ないが、
更に可動接触子支えは動いて接触スプリングを更に圧縮し接触圧力を高める。この接触始めから完全接触する迄の
可動接触子支えの動きをワイプという。接点が消耗すると、図2.17に示すようにワイプ-接触圧力特性よりワイプ
量が減少し、かつ 終の接触圧力も△P少なくなる。したがって所定の性能(投入電流容量等)を維持するために
は、充分なワイプ量、接触圧力が必要となる。
また、接触スプリングを持たない大形のボタンスイッチでは、接点が消耗しても復帰スプリング等により、この消
耗に追従できて充分に接触圧力を得られるようにした構造のものもある。なお、接点部の種類としては主に次の 3
種類がある。
・a接点,b接点内蔵の接点部(図2.13参照)
・a接点専用接点部(図2.14参照)
・b接点専用接点部(図2.15参照)
ここでいう接点の呼称は自由状態において、常時閉じている接点をb接点又はNC接点(normary closed)といい、
常時開いている接点をa接点又はNO接点(normary open)という。
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図2.17 ワイプ-接触圧力特性
図 2.16加重特性
(2) スナップアクション機構形
一般にマイクロスイッチを接点部としている場合が多い
ため、ここでは詳細な説明を省くが接触部の荷重特性の例
を図2.18に示す。
動作は前述したように反転動作するものでスローアクシ
ョン機構形のような接点切換え時に生じる無通電領域は極
めて小さく、ほぼ動作しているか否かのいずれかの状態で
ある。なお、図中の応差(MD)とは接点の動作位置と、
戻り位置のズレをいう。
図 2.18 スナップ機構形接点部加重特性
(3) マイクロスイッチ
NECA C 4505:マイクロスイッチ に規定された機構のスイッチが組込まれたもので、代表的なものにはS形、Z形、
A形、V形、W形を組込んだものである。
これらは、スイッチの側面にある2個所の取付穴を用いて、フレームにリベットカシメ又はねじ止めを行なったもの
と、ハウジングの中に、補助部材と合わせてスナップイン式に組込んだものがある。
スイッチの端子形状は、一般的なものに、はんだ付け端子、ねじ止め端子、タブ端子、プリント基板用端子があり、
特殊なものとして、配線の作業性を改善したワイヤラップ方式のものもある。その他、小形の押しボタンスイッチに
は、マイクロスイッチと同様な反転機構で、スナップアクション方式で開閉するスイッチ部を専用に作り、スナップ
イン式に組込んだものが 近多い。この場合には、端子は、はんだ付け、タブ端子兼用が多く、その他の端子仕様の
対応に、後で述べるソケットが用意されている。
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(4) ソリッドステートスイッチ
接点部に全く機械的動作のないICチップを組込んだ無接点スイッチ
である。スイッチ部はプランジャに組付けられた磁石と、ハウジングに
固定されたホール素子とから構成され、磁石がホール素子に近づくと素
子からホール電圧が出る。これをトリガ回路に入れてデジタル出力を取
出し使用する。このスイッチは信頼性が極めて高く寿命は半永久的で、
メカニカル接点のようなバウンスや、接点の汚染がないので接触抵抗の
増大も考えられず、ソリッドステート回路へのインタフェースが簡単で
ある。(図2.19)。
2.3.3 操作部 図2.19 ソリッドステートスイッチ
ここでは丸穴取付タイプの例として図 2.20 に押しボタンス
イッチを示し、説明する。構成としては一般的に図に示すよう
なものであり、復帰スプリングはボタンの復帰用、ナットは
取付パネルへの取付用である。図中の接点部を動作させる押
板のストロークは、図2.13に示す接点部のストロークより小
さくなるように設定されている。これらは外部からの過大な
力が直接接点部に加わらないようにして、接点部の破損が生
じない配慮がしてある。なお、図中のパッキンは、ボタン側
より水、油等が接点部に浸入するのを防止するためで、保護
構造が防雨形、防油形等によく用いられている。又、調整用
ガスケットは保護構造用であるとともに、取付パネルの厚さ
により枚数を加減してしっかり取付るための調整用の役目も
兼ねている。
図 2.20 押しボタンスイッチ操作部
(1) 押しボタン
ボタンには、照光式と非照光式とがあるが、いずれも、操作部の 上部に位置し、人が見て触れる部分であり、さら
に、組付られた製品のイメージを左右するため、形状、色合いのデザインに特に注力されている。
(a) 照光式の押しボタン
操作されている、機器の動作状態を、ボタンに照光表示させる構造のボタンで、光が透過することと、文字の彫刻・
印刷ができることが特徴である。構造は、主に、1ピース、2ピース、3ピースの3つに大別される。
1 ピースは、キャップだけの単体構造で、光源のすぐ上に取付られる。小形で、安価に仕上がるが、彫刻・印刷を
キャップに行うため、作業がやりにくい欠点がある。
2 ピースは、キャップと文字を彫刻する彫刻板の 2 層からなり、キャップは無色透明又は半透明にされており、彫
刻兼用のカラープレートが用いられ、 近は2分割まで分割できるものが出ている。この構造は、小形のものによく
使われ、仕上がりがきれいで高級感が出せる。
3 ピースは、キャップ、彫刻板、カラープレートの 3 層からなり、キャップは無色透明、彫刻板は乳白色あるいは
無色透明である。この構造のものは、比較的大形のものに使われ、カラープレートを全面から4分割まで分割でき、
種々の色を組み合わせることができる。
この場合、遮光版によって光漏れを防止できる。2ピース、3ピースのいずれの場合にも、文字を印刷した文字フィル
ムを、キャップと彫刻板の間に装着することができ、ユーザは使用数量によって、彫刻、印刷、ホットスタンプなど
の選択が可能である。
以上の構成部材は、表示文字の変更、色変更のため、解体、組み立てができる構造になっている。
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(b) 非照光式の押しボタン
非照光専用に設計されたものは、照光を行なわないので構造が簡単にでき、スイッチ部を動作させるための、プラ
ンジャ機能を一体にした構造が多い。
照光式と兼ねる場合は、照光機能を取除いて非照光式としている。後者は、前記の 1 ピース、2 ピースのキャップ
を不透明に着色して構成している。さらに、この他に、非照光式でも表示機能を持たせたものがある。いわゆるメカ
ニカルインジケーターと言われるもので押しボタンの内部に組み込まれたシャッタが、押し動作により回転し、色表
示をメカニカルに行うようにしたものである。
(2) ボタンの材料
照光式の押しボタンの材料は、光の透過性、着色性が不可欠の条件であり、ポリカーボネイト樹脂あるいはアクリ
ル樹脂、ポリアリレート樹脂が使われるが、特に耐熱性、白已消火性からポリカーボネイト樹脂が多用される。
非照光式のプランジャ一体型の場合は、耐摩耗性、自己潤滑性、強度から、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネイ
ト樹脂がよく使われる。
(3) ボタンの固定方法
照光式は表示文字、カラープレートの色変更、照光光源交換のため取外しができるのが普通であるが、自動販売機
のように不特定多数の人に操作される場合は、特殊な専用工具を用いて取外すものや抜け止めの機構を設けこれを解
除してはじめて取外しできる構造のものがある。
一度外したボタンを再度セットする場合、プッシュオン式となっている機構がほとんどで、セットする際に、スイ
ッチに1回動作を与えて組込むことになる。角形のものは、照光光源交換時に接点が入らないよう工夫されているも
のがある。
非照光式のプランジャ一体形のものでは、取外しできるものとできないものがある。
2.3.4 モーメンタリ動作とオルタネイト動作
操作機構
押しボタンは、操作部のプランジャと連結、あるいは一体構造となって、スイッチ部の可動ばね又は反転ユニット
のレバーを押し下げて動作させる。
スイッチを動作させる方法に、モーメンタリ動作とオルタネイト動作があり、この動作機構は、操作部あるいはス
イッチ部に設けられる。押しボタンを押している間だけ動作状態を維持するものを、モーメンタリ動作形又は自動復
帰形といい、押す力を取除いても動作状態を保ち続け、さらにもう一度押すと元の自由状態に復帰するものを、オル
タネイト動作又はプッシュオン・プッシュオフ形という。
(1) モーメンタリ動作
後に述べるオルタネイト動作は、このモーメンタリ動作に、位置を保持する機構を付け加したもので、押しボタン
スイッチの基本的な操作機構は、このモーメンタリ動作にある。モーメンタリ動作の機構は、先の基本構造でも述べ
たとおり2つに大別される。
一つは、操作部で直接スイッチ部の可動ばねあるいは、内蔵マイクロスイッチの押しボタンを押し込み、その復帰
力によって自由位置にもどすもので、復帰力を増すために、圧縮バネを組込んだものもある。この機構は、構造が簡
単にでき、操作力が低荷重のものに多用されるが、スイッチ部のスナップアクションだけによるもので、クリック感
が小さく操作感覚に乏しい。
もう一つには、スナップアクション方式といわれるもので、操作部とスイッチ部の間に反転ユニットを組み込んで、
操作感を大きくしたものである。この反転ユニットは、向かい合う2個のレバーの間に圧縮ばねをレバーの端から端
に斜めに組み込んで、常時圧縮された状態にしておき、片方のレバーに力を加えて、一定の限度までの強さまで圧縮
させ、同時にレバーの位置を移動させると、圧縮されたばねがバランスを失って、もう片方のレバーが反転する。反
転する際に、レバーで内蔵マイクロスイッチの押しボタンを押し動作させる。
この構造は、一定の位置までばねが圧縮されるとスナップアクションを起こし、操作力が極端に軽くなるため、ク
リック感が大きく、操作感覚が良いがスペースを必要とするため比較的大形の操作力の重いものに多い。
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(2) オルタネイト動作
動作機構には各種の方式が用いられているが、代表的な
ものはハート状カム方式、回転カム方式、ラチエットカム
方式が実用性と信頼性があり多くの押しボタンスイッチの
操作機構に用いられる。
オルタネイト動作の場合、動作状態で押しボタンの位置
が押込んだ位置で保持されるものと常に自由位置に戻るも
のがあるので、調べてから使用することが大切である。
(a) ハート状カム方式
プラスチックプレートの片側表面上に、ハートに似た形
図2.21 ハートカム方式
状をした方向性のある段差を設けた溝を付けておき、ピン
を溝に90°の角度で接するようにし、そのピンの一端をプ
ランジャに支持して溝内をプランジャの動きに合わせて移
動させる。プランジャを一定の位置にまで動作させて休止
すると、ピンは溝の段差で止まり元に戻らなくなる。再度
プランジャを動作させるとピンは少し後に戻り、溝形状に
よって初めの段差まで戻り自由状態となる。押しボタンを
2 回押すとピンはハート状の溝を一周して、スイッチは
ON-OFFをする。
ハート状カムは構造が簡単なので、使用上に応用がきく、
平板状カムの他に半円状の面に溝を設けて動作させること
ができ、材料もプラスチックの他に板金材料で製作された
ものもある。
板金製のものは板にハート状の穴を明けて、穴の縁に沿っ
て一方を固定された、ばね性のある線材でできたピンを移
動させて動作位置を変える方式である。プラスチック製の
カムに比べて構造は複雑となる(図2.21) 図 2.22 回転カム方式
(b) 回転カム方式
両端に切り欠き部があり、中心をリブで回転自在に取付
られたカムと、このカムの周囲端面と接するフレームで構
成される。
いずれか一方が、プランジャの動きに合わせて移動し、
一方は固定されるプランジャの押し込みストロークに応じ、
カムとフレームの接する点が移動しカムが回転するカムの
切り欠き部にフレームの一部に入り込んだ時に、動作状態
を保持する位置関係に設定されている(図 2.22)。 再度
プランジャが押し込まれると、切り欠き部からフレームが
外れ、 下部で接して回転し、その後、操作力を取除くと
自由位置に戻る。この方式は、カム、フレーム共にプラス
チックで、しかも形状が簡単なため安価にできることと、
小さなスペースにおさまるので小形化できる利点があるが、
回転に十分なストロ一クを必要とする。
図 2.23 ラチェットカム方式
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(c) ラチェットカム方式
両端を支持されたプラスチック製のラチェットカム状の爪を作動片レバーで一定の距離を押すとカムは一定の角度
を回転し、それ以上は回転しなくなる。再度作動片レバーを押すと回転する。この動作を繰返してスイッチを動作さ
せる方式である。ラチェットカム方式を構成する部品の数は多く機構も複雑であるが、カムは回転動作するので振動
などによる誤動作が少なくカムの全長を長くすることによって一度に多くのスイッチを動作させることができる。ラ
チェットカム方式はハート状カム方式と同様に、スナップアクション動作はしない(図2.23)。
2.3.5 表示部
照光押しボタンスイッチ等のボタンの内側に電球等を組み込んだ部分を表示部といい、その構造については数多く
の種類があるのでここでは原理だけにとどめる。省エネルギー及び長寿命などからLED球(発光ダイオード)が多く
使用されるようになった。白熱電球(以下電球という)の使用方式としては次の3種類がある。又その回路を図2.24
に示し、現在使用されている電球の主なものを参考のために表 2.5 に示す。LED 球の口金は電球と同じものが使用さ
れているものが多い。又、発光色は緑、赤、黄、橙、青及び白など豊富になってきている。尚かつ、高輝度化が進ん
で明るさ、鮮やかさでも電球と同等以上になった。
規格はNECA 4102:工業用LED球 で整備されている。
(1) 全電圧式
交流-直流共用の220V以下で回路電圧を直接電球に加えるものである。
(2) 抵抗器付
交流-直流共用で電球の定格電圧より高い時に用いられ220V以下の回路電圧で使用し、電球と抵抗器を直列に接
続して回路電圧が電球と抵抗器に分圧するようにし、電球に加わる電圧を低減したものである。この時電球の寿命
が連続点灯で5,000時間以上になるように電球に加わる電圧を設定してある。なお、電球の寿命は図3.17に示した
ように印加電圧に大きく左右される。抵抗器はできるだけ発熱をおさえるために、必要な消費電力の2倍以上の余
裕をもった容量にしてある(負荷率50%以下)。
図2.24 表示部の回路
(3) 変圧器付
交流専用で回路電圧が 440V 以下で電球の定格電圧より高い時に変圧
器を介して電圧を下げ、電球に印加する方式のものである。
一般に変圧器は1次側と2次側が絶縁されたもので単巻ではない。な
お、電球の寿命は抵抗器付と同様に、連続点灯で5,000時間以上になる
ように、図2.25の特性により電球に加わる電圧を設定してある。この時
変圧器の発熱は抵抗器付のものよりかなり低くなっている。
図 2.25 白熱電球の寿命と光束
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表2.5 電球の種類(JIS C 7516 表示用電球より)
2.3.6 光源
照光押しボタンスイッチの光源には、LED、白熱電球、ネオンランプを使用したものがある。
光源の端子は、スイッチ部の端子とは関係なく、各々独立して設けられている。
(1) 白熱電球
JIS C 7522:航空機小形電球 が も多く使用されている。サイズ的にはT-1 3/4で口金形状はフランジタイプ、
グロータイプ、グルーブドタイプが も多く押しボタンスイッチに使われ、T-1 は口金形状はフランジタイプ、バイ
ピンベースタイプとなる、ねじ込み方式はあまり使用されない。
(2) LED
地球温暖化防止、省エネルギーなどから、低消費電力で長寿命化できる点で 近 も多く使用されてきている光源
である。明るさも日々改善されてきていており、白熱球に匹敵する高輝度のものが出てきている。以前は、実用範囲
でなかった青色も高輝度のものが製作された。緑色についても純緑色の高輝度が製作された。これにより今まで不可
能であったRGBによるフルカラーもできるようになった。またここにきて、白色のものが開発されたことにより白熱
ランプと同様フィルターだけの交換により発光色を変更することができるようになり、ますますLEDの使用率は上が
ってきている。参考として、各色の発光波長(表2.6)および発光色の色度図(図2.26)を示す。
照光面が広い押しボタンスイッチに用いるときは、数個組み込んで明るさを出している。また照光面を均一に照光さ
せるためにカラープレートの内側に拡散効果を出すための凹凸を設けたり、反射鏡に工夫がなされている。 近のも
のは、ほとんどのものが電流制限抵抗内蔵タイプで直接定格電圧(5、6、12、24V)を印加できるようになっている。
しかし、取付穴サイズφ8やφ10の中でも小形の場合は電流制限抵抗が内蔵されていないものが多く、外付け抵抗で
電圧を落とすことが必要である。φ16用の小形クラスでも白熱球同様にAC/DCで使用できるものが増えてきた。
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表 2.6 LEDの発光波長例 系統色名の一般的な色度区分
図 2.26 色度図
図 2.27 高輝度LED球
図2.26 色度図
(3)ネオンランプ
一部の押しボタンスイッチの光源として使用されている。寿命は長いが輝度が低く、定格電圧の低いものがないの
が欠点である。
2.3.7 補助製品(アクセサリー)
補助製品には、スイッチガード、シールカバー、バリヤ、ソケット、絶縁カバー、パネルプラグ、文字フィルム、
専用工具などがある。
(1) スイッチガード
誤動作を防ぐために、押しボタンスイッチではフレームにヒンジ機構を設けカバ
ーを取付てこの中に押しボタンスイッチ本体を入れた後パネル前面から取付けるよ
うにしたものがある。操作する場合はスイッチガードのカバーを押し上げてボタン
を押す。操作しない時はカバーによってボタンを押し込むことはできない。スイッ
チガードは無色透明なプラスチックでできているので表示文字の判読や色彩の判別 丸形用
には支障なく使うことができる。
(2) シールカバー
防滴、防じんのため,パネル前面に出る押しボタンを覆うようにしたものである。カ
バーとフレームから構成され、押しボタンスイッチをパネルに取付る前にフランジに
弾性によって圧着固定される。操作面であるカバーはフレシキブルで透明度の高いシ
リコン又はビニールで作られ、表示文字の判読、色彩の判別には支障なく使うことが
角形用
できる。さらに耐油性、耐候性に優れたものも準備されている。
シールカバー
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(3) ソケット
種々の端子仕様に対応してはんだ付け端子、プリント
基板用端子、ラッピング端子が圧入固定されたソケット
が用意されており押しボタンスイッチを取付た後,パネ
ル後面から取付られる構造になっている。
(4) 絶縁カバー
リード線が引張られた時に起こる、端子間の短絡を防
止するために、配線後、押しボタンスイッチの後面から
取付、端子間を仕切る構造になっている。 ソケット
(5) パネルプラグ
あらかじめ増設するためにカットしたパネル穴を補完
するために、パネル前面から、スナップイン式に取付ら
れる。樹脂製・ゴム製・金属製のものがある。
(6) 文字フィルム
2ピース、3ピースの押しボタンに組込まれるフィルムで、
あらかじめ ON、OFF、運転、起動などの標準的な文字が
シルク印刷されている。また表示色の変更を色フィルム
で行えるタイプもある。 絶縁カバー
(7) バリヤー
ものの落下による誤動作を防ぐために、操作部の両端
に、上面が押しボタンの自由位置より高くなるように取
付られる。取付は、押しボタンスイッチのフランジをは
め込んで一体にしてパネルに取付られるものと、押しボ
タンスイッチを取付たあと差し込んで、弾性のあるツメ
で固定されるものがある。押しボタンスイッチの両サイ
ドに取付るサイドバリヤーと、隣り合う押しボタンスイ
ッチ間に取付るセンターバリヤーがある。操作面が長方
形の押しボタンスイッチには、ロングバリヤーとショー
パネルプラグ
トバリヤーがあり、パネルデザインにより選定できる。
(8) 専用工具
(a) ランプ交換工具
ランプを交換する場合に、押しボタンを引抜いたり、
ランプを引抜く金属性でピンセット状の工具である。
(b) 締付け工具
ねじ締め取付形で取付ナットを回す金属性で筒状のも
の。ラジオペンチなどによる取付ナットの破壊防止の意
味からも必ず使用すべきである。 センターバリヤー サイドバリヤー
(c) その他
ボタン部を操作部から取外すための引き外し工具やス
イッチ部引き抜き工具など。
ランプ交換工具
締付け工具
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