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超音波モータを用いたスピーカーの研究・開発
このカタログについて
ドキュメント名 | 超音波モータの仕様事例-01 |
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ドキュメント種別 | 事例紹介 |
ファイルサイズ | 6.1Mb |
取り扱い企業 | 株式会社新生工業 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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超音波モータ
使用事例
01.
USM-SP
超音波モータ
スピーカー
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導入先:
東京工科大学 コンピュータサイエンス学部
音声&画像処理研究室(大石研究室)
研究室を担当する大石准教授は、東京工業大学大学院の電子物理工学専攻博士課程を修了した工学
博士。専門分野は信号処理、電子回路。
そして、この研究室での主な研究内容は低周波騒音の低減だ。
低周波騒音は、風力発電所を人家に近接して建設した場合、近隣住民に目眩・動悸・耳鳴りなどの
健康被害が起こる原因の一つとされている。
東日本大震災による原子力発電所の事故により、再生可能エネルギーが見直され、各地で風力発電
所の建設が進められているなか顕在化した、重要な懸念事項ともされている。また同様に、ヒート
ポンプ式給湯機の室外機から発生する低周波騒音も、近隣住民の睡眠に悪影響を及ぼすことが指摘
されている。
まず、騒音を低減する方法としては適応制御が知られている。これは騒音と逆位相の音を生成して、
干渉によって騒音を低減するものである。音を逆位相となるよう生成するために、通常は磁力によっ
て間接的に駆動するスピーカーが使用される。
しかし、磁力駆動によるスピーカーは機械インピーダンスが低く、最低共振周波数域(つまり低周
波騒音にかかる低い音)においては位相遅れが生じ、思うように騒音が低減されないという技術的
な課題が存在する。
よって研究室では、音源に忠実で、大音量の超低音を再生するためのスピーカー開発を目的として
いる。
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超音波モータを用いたスピーカーユニットの開発
現在主流となっているボイスコイルを用いたスピーカーユニットを、超音波モータを用いた機構に
置き換えることで、前述した「より音源に忠実、かつ大音量の超低音」を実現する。
超音波モータが選ばれた理由として
1、スピーカーコーンの駆動距離の増大(音量の増大)
2、スピーカーコーンの精密動作(低歪・音源忠実性の向上)
3、駆動時の静粛性
が挙げられる。
1 スピーカーコーンの駆動距離の増大
ボイスコイルを用いた場合、用いるコイルの長さがそのままコーン往復動の距離制限となる。超音
波モータを用いた場合、回転運動を直線運動に変換するためコーンが耐えられる範囲であれば往復
動の距離制限はないと言える。
そのため出力幅はボイスコイルより広く取ることが可能であり、音量の増大が見込める。
2 スピーカーコーンの精密動作
ボイスコイルは磁力での動作とその構造により、制動のコントロールが難しく精密な動作が容易で
はないことから、出力音声に歪みが生じる。超音波モータにおいては、応答性の良さ、高いトルク、
これらによるコントロール性の良さによって、より歪みの少ない音源に忠実な出力が見込める。
3 駆動時の静粛性
超音波モータはシンプルな構造のため駆動時に発生する音は極めて小さく、駆動に必要な周波数も
人間の可聴範囲を超えているため出力される音声を阻害しない。
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DMDS ( Double Motor De Spin )
二つの超音波モータを用いてスピーカーコーンを動作させる機構。
一方のモータを固定、もう一方を浮かせた状態で出力軸を共有。
浮かせた状態のモータのステータ(固定子)側にスピーカーコー
ンへの出力機構を取り付ける。
二つのモータを同じ速度で回転させながら、浮動状態のモータへ
音響信号を回転速度の変調分として入力する。これにより、固定
されたモータと浮動状態のモータの回転速度の差が生まれ、浮動
状態のモータ間に慣性力が働くことでステータ側が動作。スピー
カーコーンを動かし、音声として出力される。 実際に組み込まれた様子:DMDS
QMDS ( Quad Motor De Spin )
前述のDMDSを二台組み合わせることで、スピーカーコーンへ
の出力動作を高めた機構
実際に組み込まれた様子:QMDS
協力体制
スピーカーコーンへの出力機構の動きを阻害することなく出力軸を共有させるため、指定のあった
特別な寸法のシャフトを採用し組み込んでいる。
また今後の展望として、出力される音量をさらに増大させるために、より回転対トルクの特性が良
いモータを提案している。