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CKD技報 Vol.7(2021年)~全48ページ~【改善活動に役立つヒントをご紹介】

製品カタログ

CKD技報は、永年当社が蓄積してきた自動化を革新するための課題、問題解決への技術・研究開発の成果を技術情報としてご紹介。

【掲載内容】
■生産性向上システム
■クリーンガスサポート
■画像処理ビジュアルツール
■PTP包装機向けポケット成形技術
■2波長ディジタルホログラフィによる高精度形状計測技術の確立
■積層型電池のための高速カット技術
■真空圧制御システムの開発
■ガス流量センシング技術
■ステンレスの表面改善
■からくり改善と協働ロボットの融合
※詳しくはダウンロードよりPDFをご覧下さい。

このカタログについて

ドキュメント名 CKD技報 Vol.7(2021年)~全48ページ~【改善活動に役立つヒントをご紹介】
ドキュメント種別 製品カタログ
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登録カテゴリ
取り扱い企業 CKD株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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C K D 技 報               V o l ・ 7 CKD技報 Vol.7 CKD Technical Journal 2 0 2 1 年 1 月
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00_企業理念_目次_ごあいさつ

1 CKD 技報 2020 Vol.7
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目次 目次 ごあいさつ 1 巻内特集 テーマ「サービスビジネス」 生産性向上システム「RINOPS」 2 クリーンガスサポート 6 画像処理ビジュアルプログラミングツールFacilea 9 PTP包装機向けポケット成形技術 15 2波長ディジタルホログラフィによる高精度形状計測技術の確立 19 積層型電池のための高速カット技術 24 真空圧力制御システムの開発 27 ガス流量センシング技術 32 ステンレスの表面改質 37 からくり改善と協業ロボットの融合 40 CKD 技報 2020 Vol.7 2
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Table of Contents Greetings 1 Special Report on“ Service Business” Productivity Improvement System“ RINOPS” 2 Clean Gas Support 6 Facilea -Visual Programming Tool for Image Processing- 9 Methodology for Pocket-Forming Used in PTP Blister Packaging Machines 15 Establishment of High-Precision Shape Measurement Technology by Two-Wavelength Digital Holography 19 High-Speed Cutting Technology for Stacked Battery 24 Development of Vacuum Pressure Control System 27 Gas Flow Sensing Technology 32 Surface Modification of Stainless Steel 37 Fusing Cooperative Robot and KARAKURI Unit 40 3 CKD 技報 2020 Vol.7
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ごあいさつ 世界の大きな変化に応える技術へ Providing technology that meets the world’s major changes 林田 勝憲  Katsunori Hayashida CKD株式会社 取締役執行役員 CKD Corporation Director and Executive Officer  新型コロナウイルスの蔓延により世界的に経済活 Economic activity has stagnated significantly across 動が大きく停滞しています。景気への悪影響はリー the globe due to the spread of the novel coronavirus. The detrimental effects of the pandemic on business マンショックを遥かに上回り、元のレベルに戻るに conditions are far greater than those of the global は数年規模の時間が掛かるとも言われています。 financial crisis, and some are predicting that it will take several years to return to their previous level.  また、米中関係の悪化に伴い、グローバルにおける Further, with the deterioration of US-China relations, サプライチェーンやロジスティクスも変化を余儀な we have had to make changes to our global supply chain and logistics, and with the movement of people くされ、従来の人・モノの移動が制限される中、在宅 and goods restricted, we are also seeing major 勤務やリモートワークなど働き方も大きく変わって changes in the way we do our jobs, including work- きています。今まで例外と考えられていたことが短 from-home and remote work. Things that had, until now, been thought of as exceptions, have become the 期間のうちに当たり前になってきたと感じています。 norm in a very short time.  このような中、製造メーカにおいても、デジタル Under such circumstances, manufacturers have been plunged into an era in which convent iona l 化への対応やDX(デジタルトランスフォーメーショ manufacturing alone is not enough for them to ン)の推進など従来のモノづくりだけでは生きてい survive. They must respond to digitalization and push ahead with digital transformation (DX) themselves. It けない時代に突入しています。そして、SDGsなど持 is also imperative that they adopt a proactive 続可能な社会・地球環境の実現に向けた積極的な取 approach to the realization of a sustainable society り組みも必須となってきました。 and global environment, by fulfilling the SDGs and other goals.  今回お届けするCKD技報Vol.7は「サービスビジネ The feature article in this CKD Technical Journal Vol. ス」を特集テーマとしています。自動機械装置や流体 7 is“ Service Business”. In addition to our traditional “hardware,” or tangible product offerings, such as 制御機器、アクチュエータといった従来のハードに automatic machinery and equipment, fluid control 加えて、ソフトや新しい規制に対応するご提案、アフ devices, and actuators, we also present our new businesses, in which we will assist you with products ターサービス等、今までにない商品群にて皆様のお we have never offered before, including software, 役に立てる新しいビジネスも紹介しております。 proposals for responding to new regulations, and after- sales services.  大きく変わる世界においても、お客様のニーズに We believe that it is the responsibility of the CKD しっかりとお応えしていくことが私たちCKDグルー Group to meet our customers’ needs firmly, even in プの責務であると考えております。引き続き皆様か this greatly changing world. We thank you for your continued support and welcome your guidance and らのご指導ご鞭撻をよろしくお願い申しあげます。 suggestions. CKD 技報 2020 Vol.7 1
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01_生産性向上システム「RINOPS」

巻内特集 テーマ「サービスビジネス」 生産性向上システム「RINOPS」 Productivity Improvement System“ RINOPS” 森 俊三 Shunzo Mori  近年、日本の課題である少子高齢化は、労働人口減少という形で産業界に影響を及ぼしており、当社のユーザ企業 においても、人手不足を訴える声が大きくなってきている。そのようなお客様の課題を解消するために、生産性向上 を図るツールが必要と考え、生産性向上システム「RINOPS」を開発した。本システムは、当社の包装機とスマート デバイスをクローズドネットワークで接続し、機械の稼働状況やトラブル状況をいち早く察知することができる。 生産状況を一元管理かつ遠隔確認が可能なため、作業性も上がり生産性向上が期待できる。また作業者や管理者も 同様の内容を共有できるため、コミュニケーションツールの一環としても活用できる。本稿では、その内容について 紹介する。 Recently the issue of declining birthrate and aging society in Japan has been affecting the industrial world with a phenomenon of decline of labor force population. Appeals regarding labor shortage from our customers are also growing gradually. In order for our customers to solve such issue, we have developed productivity increase system”RINOPS”as a tool to realize their productivity increase. This system connects our packaging machines with smart devices in the closed network, enabling to observe machine operation status and trouble status quickly. Since production status can be centrally managed and be checked from a remote place, workability and productivity are expected to be increased. In addition since operators and managers can share same information, this system can also be used as a communication tool. In this article I like to introduce the content of this system. 1 はじめに 3 開発コンセプト  現在、日本は少子高齢化による人手不足が問題に  医薬品製造工程は、人体に投与される薬を製造して なっており、厚生労働省の調査によると、製造業にお いるため、法令で定められた厳しい基準に従った環境 いては4割の企業が人手不足になっている。また、人員 で製造しなければならない。そのため、清浄度が高い を確保できないことで、事業に深刻な影響をきたして クリーンルームが必要である。また、製造ライン全体 いる企業は1割弱あるとされている。このことは産業 を一つの部屋でなく、決まった工程ごとに個別の部屋 界においても、当社においても大きく影響を受けるこ とし、適切な清浄度を保てるように管理している。こ とが考えられる。 の環境を維持するため、部屋の往来はクリーンウェア に着替え、エアシャワを浴びなければならない。この 2 開発背景 ような手順など、作業者の負担や時間ロスになること が多くある。生産性を上げるためには、作業者・管理者  当社は、薬品包装機(以下、包装機とする)を製造し の負担軽減や作業効率向上が必要であると考え、具体 ている。包装機は、医薬品製造工程の錠剤をプラスチッ 的に生産性向上のため以下の課題に取り組んだ。 クとアルミで挟み込み、手で押し出せるようなシート   1. 稼働状況確認の負荷軽減 状に包装する工程を担っている。この包装機を使用す   2. 生産対応の負荷軽減 る当社のユーザにおいても、人手不足に当てはまる   3. トラブル発生時の負荷軽減 ケースが多くなっている。工場によっては、人が集ま らない、または継続的な雇用ができないとの声がある。 4 システム構成 今後このような事例が多くなっていくことが想像でき る。そのため、人手不足の解消をフォローできるよう  機器の構成は、データを集めるサーバと、データを な生産性向上システム「RINOPS」を開発した。 閲覧する各種デバイス(スマートウォッチ、タブレッ ト、管理用PC)とした。ネットワークの構成は、複数の 包装機とサーバ間を有線LANケーブルで接続し、サー バと各種デバイス間を無線LANで接続した。この構成 2 CKD 技報 2021 Vol.7
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【巻内特集】 生産性向上システム「RINOPS」 より、複数の包装機からサーバへデータを集約し、ア クセスポイントを介して、各種デバイスに情報を伝達 し、工場内で完結するシステムとした。工場建屋全体 を網羅するため、製造現場にいなくても、通信が届く 範囲であれば、生産状況を把握することが可能である。 また製薬業界では、データの機密性を重要視しており、 情報の外部流出を防ぐことを最優先事項とするユーザ 企業が多い。そのため、クローズドネットワークを構 築し、物理的にインターネットに接続させないことで 情報漏洩を防いでいる。(Fig. 1) Fig. 3  Androidのタブレット ③管理用PC  ノートPCで、全ラインの生産数や材料状況、ト ラブル状況をブラウザで閲覧できる。(Fig. 4) Fig. 1  システム構成図 4-1  機器 ①スマートウォッチ  Androidのスマートウォッチに、自社製のアプ リケーションを搭載した。アプリケーションを起 動することで、専用のユーザインターフェースが 開く。このアプリケーションで、機械のトラブル状 況や材料状況を確認することができる。(Fig. 2) Fig. 4  管理用PC ④包装機  包装機はPLCで制御しており、生産数や材料状 Fig. 2  Androidのスマートウォッチ 況、トラブル状況のデータをサーバと通信してい る。(Fig. 5) ②タブレット  Androidタブレットで、全ラインの生産数や材 料状況、トラブル状況をブラウザで閲覧できる。 (Fig. 3) Fig. 5  包装機 CKD 技報 2021 Vol.7 3
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5 機能 5-2  通知機能  材料の残量が少なくなった場合やトラブルが発生し 5-1  表示機能 た場合はスマートウォッチに通知する。通知の際はス  タブレットや管理用PCで各機械の情報を一元管理 マートウォッチが振動し、身に着けた作業者がトラブ し、表示することが可能である。優位性としては以下 ルの発生を把握することができる。通知時は、以下の のものがある。 フローのようにスマートウォッチに通知が行われ、初 ①生産状況 回発生時のみ振動する。(Fig. 9)  サーバに送られた包装機の生産数などのデータを、 一括で表示できるため、視認性が向上する。(Fig. 6) Fig. 9  通知フロー Fig. 6  生産状況画面 ②材料状況 6 本システムの導入効果  サーバに送られた包装機の材料状況を一括で確 認できるため、状況を把握しやすくなる。(Fig. 7)  本システムにより、一元管理や遠隔での確認が可能 になり、作業者や管理者の負担を軽減できる。 6-1  稼働状況確認の負荷軽減 ①作業者の移動に伴う手間や時間の軽減 <現状>  医薬品製造工程は、同一ラインでも高い清浄度 を維持するため部屋が分けられているのは前に述 べた通りであり、移動に手間と時間がかかってし まう。 <本システム> Fig. 7  材料状況画面  作業者は前後工程を移動する必要がなく、その場 で状況確認が可能になるため、着替えやエアシャワ ③トラブル状況 に伴う移動の手間と時間を軽減できる。(Fig. 10)  サーバに送られた包装機のトラブル状況がまと めて確認ができる。また発生しているトラブル名 称まで分かるため、機械の操作パネルと同じ情報 を得ることができる。(Fig. 8) Fig. 10  作業者の生産状況確認 Fig. 8  トラブル状況画面 4 CKD 技報 2021 Vol.7
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【巻内特集】 生産性向上システム「RINOPS」 ②管理者の移動に伴う負荷軽減 6-3  トラブル発生時の負荷軽減 <現状> <現状>  管理者が生産状況を確認したいとき、製造現場の  経験の浅い作業者の場合、慣れていないトラブル 機械の操作パネルの前へ移動して確認するが、複数 は復旧に時間が掛かってしまう。 台あると移動も手間で時間も掛かかってしまう。 <本システム> <本システム>  トラブル情報が共有できるため内容を確認し  一元管理で各機械の状況をまとめて把握できる て、他の作業者がフォローに行くことができる。こ ようになるため、管理者の生産状況確認に伴う手 れにより、復旧時間の短縮および作業者の負担軽 間や時間を削減できる。(Fig. 11) 減が期待できる。(Fig. 13) Fig. 11  管理者の生産状況確認方法 Fig. 13  トラブル発生時の対応 6-2  生産対応の負荷軽減 7 終わりに <現状>  トラブル発生時は、ブザーとタワーライトで作業  今後は、他社製機械への対応を行い、より多くの機 者に知らせるため、機械の側にいないとトラブルの 械に接続できるようにする。また昨今の社会情勢を鑑 発生を知ることができず、対応できない。そのため、 み、セキュアなリモート機能も取り入れて、より効果 離れた場所での作業に従事することが難しい。 が見込めるシステムにしていく。作業者の負荷軽減や <本システム> 省人化を通し、最終的には工場の自動化を見据えて邁  トラ ブ ル が 発 生し たら 作 業 者 が 身 に 着 け た 進していく。これからも機能拡充を行い、生産性向上 ウォッチが振動するため、機械の側にいなくても を躍進させ、更なる人手不足解消に貢献していく。 トラブルを把握できる。また、その場で発生してい る詳細を確認することができるため、すぐに対応 しなければならないトラブルか判断できるように なる。(Fig. 12) 執筆者プロフィール 森 俊三 Shunzo Mori 自動機械事業本部 Automatic Machinery Business Division Fig. 12  生産時の対応 CKD 技報 2021 Vol.7 5
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02_クリーンガスサポート

巻内特集 テーマ「サービスビジネス」 クリーンガスサポート Clean Gas Support 渡辺 貴大 Takahiro Watanabe  近年、食品安全に関する法改正、規格改定が行われており、食品関連製造会社にとってその対策が大きな課題となっている。  特に、今まで管理対象となっていなかった食品に直接、もしくは間接的に接触するガス類についても、科学的根拠 (数値)に基づいて管理が必要になる。しかし、多くの食品工場では圧縮空気(ガス)の測定方法や測定器具が分から ず、測定の経験があるスタッフもいないため、頭を悩ませている企業も多い。  そこで空気圧機器・流体制御機器・自動機械装置の総合メーカである当社では、JISに準拠した方法での圧縮空気 の測定サービス「クリーンガスサポート」の提供を開始し、その測定結果に基づいて当社のHACCPコーディネータ が空気圧回路のアドバイスを行っている。  本稿ではクリーンガスサポートの内容について紹介する。 Food-related manufacturing companies have been facing a major challenge in dealing with recent revisions to food safety laws and standards. In particular, gases that come into direct or indirect contact with foodstuffs, which have not been subject to control until now, need to be controlled based on scientific evidence (numerical values). This has become a headache for many companies since many food factories do not know how to measure compressed air (gas), do not know how to choose proper measurement equipment, and do not have staff with experience in measurement. To address this issue, CKD, as a comprehensive manufacturer of pneumatic components, fluid control components, and automatic machinery, has started a service called "Clean Gas Support". In this service, the compressed air is measured in accordance with JIS standards, and our HACCP coordinator provides advice on pneumatic circuits based on the measurement results. This paper introduces the services available in "Clean Gas Support". 1 はじめに る旨が追加されたが、測定方法や規格値については具 体的に示されていない。食品関連の規格ではないが、  近年、ISO22000『食品安全マネジメントシステムに関 これらを明確に規定しているのがJIS B 8392-1『圧 する国際規格』の改定やHACCP『原材料受入から製品出 縮空気-第1部:汚染物質及び清浄等級』であり、この 荷までの各工程の中で、食中毒などの健康被害を引き起こ 規格を目安としているメーカが多い。圧縮空気中の汚 す可能性のある危害要因を科学的根拠に基づき管理する 染物質測定方法が規定されており、汚染物質の濃度で 手法』の制度化など、食品安全に関する規格は国際基準に 清浄等級を分類している。 沿った改定が加えられており、厳しさを増している。  Table 1に示すように等級が規定されているのは個  食品工場の中では酸化防止用の窒素ガス充填、搬送 体粒子、水、オイルのみでガスおよび菌の汚染物質は や異物除去のためのエアブローなどで圧縮空気(ガス) 等級が規定されていない。菌数の規格値については各 を使用している。しかし、今までの規格では圧縮空気 メーカが必要な値を決める必要がある。 (ガス)に対する規定がないため、その清浄度について は管理していない食品製造メーカが多かった。 Table 1 JIS B 8392-1:2012による圧縮空気清浄等級  ところが、ISO22000:2018の改定内容には食品に 固体粒子 湿度及び水分 オイル 等級 粒子径d(µm)に対応した1m 3 直接、もしくは間接的に接触するガス類についても、 当たりの最大粒子数 質量濃度Cp 圧力露点 水分濃度Cw オイル総濃度 mg/m3 ℃ g/m3 mg/m3 埃・水・油・菌を管理する旨の記載が追加されたため、 0.1<d≦0.5 0.5<d≦1.0 1.0<d≦5.0 0 等級1より厳しい条件で、使用者又は納入業者が指定する。 使用する圧縮空気(ガス)の清浄度測定が求められるよ 1 ≦20,000 ≦400 ≦10 - ≦-70 - ≦0.01 うになった。その要求に応えるために当社でも圧縮空 2 ≦400,000 ≦6,000 ≦100 - ≦-40 - ≦0.1 気(ガス)の清浄度測定業務「クリーンガスサポート」を 3 - ≦90,000 ≦1,000 - ≦-20 - ≦1 2020年より開始した。 4 - - ≦10,000 - ≦+3 - ≦5 5 - - ≦100,000 - ≦+7 - - 6 - - - 0<Cp≦5 ≦+10 - - 2 JIS による圧縮空気の清浄等級 7 - - - 5<Cp≦10 - Cw≦0.5 - 8 - - - - - 0.5<Cw≦5 -  ISO/TS22002『 食品安全ための前提条件プログラ 9 - - - - - 5<Cw≦10 - ム』において食品に関する圧縮空気の管理が必要にな X - - - Cp>10 - Cw>10 >5 6 CKD 技報 2021 Vol.7
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【巻内特集】 クリーンガスサポート 3 クリーンガスサポートとは 5 食品業界での圧縮空気管理  圧縮空気使用状況のイメージをFig. 1に示す。 5-1  現状での主な測定内容  圧縮空気を使用する際には、それを使用する機器や製品  食品業界で圧縮空気の清浄等級をしっかり管理して (食品・医薬品など)に合わせた清浄等級の空気が求められる。 いるところはあまり多くない。食品製造工程で最も注意  当社ではJISに準拠した方法だけでなく、独自の方法 していることは菌の有無になるが、最終製品で菌がいな でも測定を行い、圧縮空気の清浄等級確認を行ってい いことを確認しており、途中工程である圧縮空気中の菌 る。また、その結果を基にエア質改善のための機器の提 は気にしていない(認識していない)のが現状である。 案も併せて行っている。これは数多くの空気圧機器を展  JIS B 8392-7『圧縮空気-第7部:微生物汚染物質 開している当社の強みである。 含有量の試験方法』による測定方法としてエアーサンプ  これらの業務を当社ではクリーンガスサポートと呼 ラーを使用した方法があるが、検体を培地にブローした 称している。 後に菌の培養を2〜3日間行う必要があるため、結果が 分かるまでに時間が掛かるという難点もある。  そのため、すでに圧縮空気の清浄度管理を実施して いる業者の一部では、代用測定として菌の代わりに微粒 子(パーティクル)を測定している。Fig. 2に示すように 菌のサイズは0.3μm以上の大きさであり、0.3μm以 上の粒子が測定できるパーティクルカウンタで菌も測 定できるからである。ただし、この測定方法は菌かパー ティクルかの判断ができないため注意が必要である。  当社独自の測定方法である蛍光染色式の測定であれ ば短時間で菌のみを測定できる。初めに菌を含むパー ティクルをフィルタに捕集し、蛍光染色液で染色する。 Fig. 1  圧縮空気使用状況のイメージ この染色液は菌の細胞と反応するものであり、パーティ クルは染色しないため菌のみを測定することができる。 4 クリーンガスサポートでの測定内容 次に検出装置にてフィルタ上の光点の数を検出し、これ が菌の数となる。(検出装置で撮影した写真をFig. 3に  当社が実施している圧縮空気清浄度の測定内容を 示す。)培養法と違って培養時間が不要なため、短時間 Table 2に示す。 での測定が可能である。  当社では個体粒子、露点、油分、菌の4項目の測定を実施 している。JISに規定された測定方法だけでなく、独自の測 細菌の種類 大きさ(μm) 定方法も実施しており、迅速な測定にも対応可能である。 結核菌 0.3~ 0.6×0.5~ 0.4  この測定方法であれば、1ヶ所当たりの作業時間が短 1μm ジフテリア菌 0.3~ 0.8×1.0~ 8.0 いため、測定箇所が多い場合などは効率良く測定でき 赤痢菌 0.4~ 0.6×1.0~ 3.0 るメリットがある。 大腸菌 0.5×1.0~ 3.0 チフス菌 0.6~ 0.7×2.0~ 3.0 大腸菌 ブドウ球菌 百日咳菌 0.2×0.3~ 1.0Table 2 圧縮空気清浄度の測定内容 ブドウ球菌 0.8×1.0 測定対象 標準的な測定方法 独自の測定方法 コレラ菌 0.3~ 0.6×1.0~ 5.0 等流速管にてエアをサンプリン ディフューザーを使用してエア ※1 測定方法 グし、レーザーパーティクルカ を等速サンプリングし、レーザー Fig. 2 細菌の大きさ 個体 ウンタで個体粒子数を測定する パーティクルカウンタで個体粒 粒子 子数を測定する 結果が分かる までの時間 1〜2時間 30分 測定対象に合わせた露点計に 測定方法 て測定する(ミラー式、または 静電容量式) 露点 結果が分かる 30分〜2時間 までの時間 (ただし、低露点の場合は1〜2日必要) 測定方法 ろ紙にて油分を補足し、 光散乱式のセンサにてオイルFT/IR分析で油分量を算出する ミスト量を測定する 油分 結果が分かる 2〜3日 までの時間 30分(持帰っての分析が必要) エアーサンプラーにて培地に 測定方法 フィルターに捕集した菌を蛍エアーを吹きかけ、その後に 光染色し、その数を測定する 菌 培地の菌を培養する 結果が分かる 3〜7日 までの時間 1〜2時間(培養に数日必要) Fig. 3 蛍光染色での検出写真 CKD 技報 2021 Vol.7 7
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5-2  今後増加する測定内容  菌測定の代用として、多くの箇所の測定結果が速くわ かることから圧縮粒子測定が圧倒的に多いが、今後は 別の対象を測定することが多くなると考える。   食 品 安 全 の た め の 前 提 条 件 プ ロ グ ラ ム I S O / TS22002-1『食品製造』、ISO/TS22002-4『食品容器 包装の製造』において直接、偶発的に製品に接触するガ ス類は、埃・油・水が取り除かれている供給源でなけれ ばならないと記載された。これにより、菌以外にも埃(個 体粒子)・油分・露点の管理が必要になるため、それらの 測定需要が増えると予想でき、当社も一層協力できると 考える。 6 おわりに  食品業界では圧縮空気の清浄度測定需要は今後も高 まってくると考える。当社は食品工場向けの機器開発だ けでなく、複数のHACCPコーディネータが在籍し、食 品関係のお客様にも安心してご相談いただける体制を 整えている。今後も機器開発で培ったノウハウを測定 サービスにも活かしていき、FAトータルサプライヤー として産業の発展に貢献したいと考えている。 ※1 神奈川県衛生研究所:細菌の構造と大きさ 執筆者プロフィール 渡辺 貴大 Takahiro Watanabe コンポーネント本部 FAシステムBU 第2技術部 Engineering Department No. 2 FA System Business Unit Components Business Division 8 CKD 技報 2021 Vol.7
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03_画像処理ビジュアルプログラミングツールFacilea

巻内特集 テーマ「サービスビジネス」 画像処理ビジュアルプログラミングツールFacilea Facilea -Visual Programming Tool for Image Processing- 上岡 洋介 Yosuke Kamioka  当社は、はんだ印刷検査機VPシリーズや錠剤包装・異物検査装置フラッシュパトリシリーズと様々な画像処 理技術を使った製品を販売している。  しかし当社が扱う製品は、自動化ラインに特化したもので特定の製造現場でしか活用できないことがほとんど である。  そこで、当社の画像処理技術を応用し、知識や経験がなくても様々な用途で誰でも簡単に画像処理ブログラム を構築することができる画像処理ビジュアルプログラミングツールFacileaを開発した。  ここではFacileaの機能及び活用シーンについて紹介する。 We sell products using various image processing technologies such as the solder printing inspection machine VP series and the tablet packaging and foreign matter inspection device Flash Patri series. However, most of the products we handle are specialized for automation lines and can only be used at specific manufacturing sites. Therefore, by applying our image processing technology, we have developed Facilea, an image processing visual programming tool that allows anyone to easily construct an image processing program for various purposes without any knowledge or experience. Here, we will introduce the functions and usage scenes of Facilea. 1 はじめに  近年、手作業ラインの機械化や自動搬送、ロボット 活用など工場の自動化とIoT、AIなどのIT活用が、同時 かつ急速に進んでおり、まさに変革の時代を迎えてい る。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により テレワークが一気に普及し、当初の予測を大きく超え たスピードで工場の自動化が進むことが予想される。  当社では、医薬品包装工程の中で包装シートの異物 やリーク、錠剤の違いや欠けなどを高速で検査するフ ラッシュパトリ、基板実装工程でクリームはんだの量 や位置ずれなどを検査するVPシリーズなど画像処理 製品を、20年以上前から販売してきた(Fig. 1、Fig. 2)。 一方、自社工場内の検査工程は一部自動化されている ものの、様々な理由により人が検査している部分も少 なくない。そうした状況から検査工程の自動化を促進 するために、当社が保有する画像処理技術を応用し、 誰でも簡単に使いこなすことができる画像処理ビジュ アルプログラミングツールFacileaを開発したので紹 介する。 Fig. 1  はんだ印刷検査機の検査画面 CKD 技報 2021 Vol.7 9
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Fig. 2  フラッシュパトリ検査内容 Fig. 4  課題の分類 2 画像処理ビジュアルプログラミングツールFacilea 2-2  コンセプト「初めてでも20分!即検査」  今までの画像処理は、一定程度以上の経験と知識が 2-1  開発経緯 なければ難しい分野とされてきた。当社の工場でも、  自動化のニーズが高まる中、当社でも生産ラインの自 検査工程を構築するとき、機械・電気担当者に加えて、 動化を考える上で、工程設計部門、工程改善部門、製造 検査設備経験のある担当者が設計を担当するケースが 部門の現状把握を行った。画像処理要件を抽出したもの ある。さらに難易度が高い検査になると、専門のベン がFig. 3である。課題を抽出するにあたり、費用対効果 ダーに相談することもある。これは納期・費用の面で や実現性を一切考慮せず、ブレーンストーミング法を使 大きく影響する。 いながら抽出したところ、150か所以上の現場でカメラ  そこでFacileaは、画像処理スキルがない方でも「簡 を用いた画像処理システムの要件が出てきた。 単に」、「とりあえず試してみる」ことができると同時 に、画像処理のスキルも向上し、工場の自動化が進む  要件カテゴリ サイクルを実現できるアプリケーションを目指した。  ・製品検査、部品検査、組立確認など  ・実績収集(1D/2Dコード) 2-3  特徴  ・安全確認  ・動線確認  Fig. 4のように課題を分類すると、最も多いと思われ ていた工程検査の用途は全体の約半分に留まり、安全 確認や生産管理における用途が50%を占める結果と なった。さらに自動化が進むことで、検査以外の用途が 増えてくると考えている。そこで様々なシーンで簡単に 活用できるアプリケーションの開発をスタートした。 Fig. 5  特徴   ・誰でもすぐに   ・組み合わせ自由自在   ・複数台接続   ・自動化連携  画像処理を行う場合、汎用機器を使う方法や汎用ラ Fig. 3  画像処理要件 イブラリを使用して独自実装する方法などがある。汎 用機器はユーザーの使い勝手を重視し、照明の自動調 光機能や活用シーンにあった機能を選択するだけで検 10 CKD 技報 2021 Vol.7
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【巻内特集】 画像処理ビジュアルプログラミングツールFacilea 査を行えるものが多く、簡単ではあるが細かな調整が できず痒いところに手が届かない場合がある。一方、 独自実装する方法は、実装の自由度はあるものの、画 像処理知識に加えてプログラミング言語の知識が必要 となり、実装難易度が高い。そこで画像処理のプログ ラミング手法にビジュアルプログラミングを採用し、 マウス操作だけで簡単に画像処理プログラムを作成で きるようにした。  ビジュアルプログラミングとは、プログラムコード を記述することなく、オブジェクトを操作することで Fig. 6  ブロックとして用意された機能 プログラミングが行える手法である。近年このビジュ アルプログラミングを採用した製品が多く、プログラ ミング初心者を対象としたプログラミング教室や小学 校の授業でも使われている。   ・照明制御   ・画像入力   ・前処理(クレンジング・画像変形など)   ・計測処理   ・出力処理  Facileaは、これらを機能ブロックとして用意して Fig. 7  自動整列した画面 おり(Fig. 6)、自由に配置することができる。また、画 像入力の前に前処理が来ることがないよう、順番に不 2-4  ターゲット 備がある場合は自動整列される(Fig. 7)。部品面積検査 程度の簡単な検査であれば、画像入力から結果出力ま でわずか6ステップでできる。画像処理経験がない方 は、とりあえず機能ブロックを置いていくことにより、 画像がどのように処理されて変化していくかをリアル タイムに確認しながらプログラミングすることができ るため、画像処理そのものの学習教材として活用でき ると考えている。  接続できるデバイスは多種多様で、産業用カメラに 加えてUVC規格に対応したWEBカメラにも使用で き、簡易的な用途であれば非常に安価なシステムを構 築できる。また照明は各社の産業用照明に対応してお Fig. 8  ターゲット り、I/Oトリガで制御することが可能で、外部機器との 連携方法として、PCやPLCに加えてI/O・TCP・HTTP   ・目 視で確認していて省力化したいが、費用が (HTML、JSON)などの上位システムと連携できる仕 掛けられない 様になっている。今後のバージョンアップでさらに連   ・画 像で検査・チェックできるか、まずはやって 携の拡充を図っていく。 みたい   ・人材教育  前記の通り、Facileaは誰でも簡単に、画像知識を必 要とせず使えることが最大の特徴である。加えて産業 用カメラとWEBカメラを複数接続できることもシス テムを構築する上では大きなメリットになる。通常、 画像処理機器は複数のカメラを接続できる仕様であっ ても最大8カメラ程度が多い。一方Facileaは、接続可 能カメラ台数に制限を設けていない。例えば、工場の フロア全体で50ライン分のインラインQRコードリー CKD 技報 2021 Vol.7 11
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ダーの導入を検討している場合、Facilea 1アカウン 能は、事象発生時の前後を録画できる。トリガは外部 トとWEBカメラ50台で構築することができる。これ トリガだけでなく、計測ブロックでNGと判定された場 は、単に価格が安くなるだけではなく、1つのアプリ 合のみ録画するなど様々なトリガを選択することも可 ケーションで管理することで、QRコードを読込んだ時 能である。また、カメラは計測で使用中のカメラとは 刻を統一できるため、一元管理が可能となり、データ 別のカメラを選択することにより、検査とは異なるア の信頼性が担保される。 ングルで録画できる。録画した動画は、Facileaで読み  部品の取り付け忘れや取り付け方向、色違い確認など、 込み全フレームを再検査し、改善策の検討をする 費用対効果が合わずに諦めていた目視検査の自動化にも PDCAを回せるようになる。 適している。例えば、単価が安い製品を製造する生産ライ ンの場合、自動化設備を導入するとコストが合わなくなる ため、人が組立・検査を行っていることが多い。人による 検査は、単純な検査であっても間違ってしまう可能性があ るため、検査機を導入したいといったニーズに対し、 Facileaは安価に構築できる。そして、組立作業完了のス イッチを押したら検査が開始される、といった生産の流れ の中に簡単な設定をするだけで組み込むことができる。 Fig. 10  用意されている機能 2-5  機能・計測 3 使用例  ここで、当社の社内活用事例を紹介する。 3-1  スナップリング有無検査  部品の脱落を防止するために使用するスナップリ ングの有無確認は、製品種類が多く製品単価の問題も あり、検査機を導入できずに人が目視検査をしてい る。これを自動化することにより、人の凡ミスを防ぐ ことが可能である。 Fig. 9  機能・計測  Facileaは、Fig. 10のような機能ブロックを用意し ており、画像処理初心者から経験者まで幅広い方々が 簡単に使うことができる。前処理ブロックと計測ブ ロックは、1つのフロー(プログラム)内に複数配置す ることができるため、長さ計測、色計測、型番判定など が同時に行える。例えば、生産フロアの天井にWEBカ メラを複数配置して、設備の稼働中・異常発生を知ら せる表示灯の部分に検出領域を複数配置することによ り、簡単に設備の状態監視が可能となる。また、連続実 行しながらファイル保存やデータ転送することで、稼 働実績とすることもできる。今までは、生産技術や製 造部門が画像処理を使って検査を行う用途が多かった が、今後は生産管理や購買でも使われていくことを期 待している。 Fig. 11  スナップリング有無検査  その他、   ・新機能:ドライブレコーダ機能搭載 3-2  チップコンデンサ欠落検査  検査工程において、良否判定することは重要だが、  小ロット生産の基板では、特に検査機を導入するこ 経緯を知ることにより、不良品の発生率を下げる改善 とは難しい。しかし、チップコンデンサのような非常 を行うことも非常に重要である。ドライブレコーダ機 に小さな部品は、目視検査では見落とす可能性があ 12 CKD 技報 2021 Vol.7
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【巻内特集】 画像処理ビジュアルプログラミングツールFacilea る。Fig. 12では、まず基板の外観からチップコンデン 3-4  その他 サの検出領域を位置・角度補正して、有無検査をして  周長・面積・長さの計測ブロックを使うことにより、 いる。複数の計測ブロックを配置できるため、計8個 Fig. 14のような錠剤の欠け・異物検査が可能となり、 のチップコンデンサを同時に検査している。 文字認識ブロックを使うと、印字検査や紙で運用され ている帳票などのデジタル化も可能である。 Fig. 12  チップコンデンサ検査 3-3  製品組立間違え確認  部材の共通化を図るため、部材外観を統一させるこ Fig. 14  検査事例 とは多々ある。Fig. 13の流量センサも同様に、外観は 全スペック統一されているが、ガスの流量により内径 4 おわりに が異なるため、組立間違いが発生していた。そこで、 QRコードを読み取り組立中の製品を認識させ、次に  本稿では、当社の画像処理ビジュアルプログラミン 部材の内径を計測することにより、適した部材を使用 グツールFacileaの概要と活用シーンを述べた。 されているか確認するようにした。さらにNG判定に  近年DX・CPS・IoTとサプライチェーン・エンジニア なった時は音を鳴らすことにより、作業者に気づかせ リングチェーン全体が変革を迎える中、画像処理は全 凡ミスをなくすことができた。 ての工程で重要となる技術にも関わらず、専門知識と 経験を要求されるため活用が思うように進んでいな い。しかしながら、知識や経験を必要とせずとも、AI検 査のように予め仕分けられた画像をインプットするだ けで検査ができるものやワンタッチ設定で画像処理が できる製品は今後増えてくると考えている。当社も Facileaを通して、製造現場に関わる方やそれ以外の 方々にも画像処理スキルの向上とともに、画像処理の 面白さを知ってもらい、様々な分野で活用が進むよう に貢献していきたいと考えている。 引用文献:日本工業出版,「検査技術」第25巻 第11号 (通巻289号),2020年11月号 Fig. 13  流量センサ CKD 技報 2021 Vol.7 13
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執筆者プロフィール 上岡 洋介 Yosuke Kamioka 新規事業開発室 New Business Development Office 14 CKD 技報 2021 Vol.7
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04_PTP包装機向けポケット成形技術

PTP包装機向けポケット成形技術 PTP包装機向けポケット成形技術 Methodology for Pocket-Forming Used in PTP Blister Packaging Machines 鴻谷 英志 Hideshi Kohtani  PTP包装機向けの成形方式の種類には主に圧空成形方式、真空成形方式、およびプラグ成形方式の3種類がある。 どの成形方式においても予備成形を組み合わせることによって成形ポケット肉厚分布をコントロールすることが可 能である。圧空成形方式および真空成形方式には成形圧力に正圧・負圧の違いはあるが、成形後のポケットに大きな 違いは生じない。どちらも成形ポケット肉厚分布としてポケット底面が薄い。一方、プラグ成形方式の場合は成形ポ ケット肉厚分布として底面が厚いという特徴がある。  当社では圧空成形方式とプラグ成形方式の2種類を採用しており、お客様のニーズに合わせて提案している。本稿 では当社で採用している錠剤やカプセル剤の形状に合わせたポケット形状を成形するための技術について紹介する。 There are three major forming methods on pharmaceutical blister packaging machines, which are pressure air forming method, vacuum forming method and plug forming method. All forming methods can control film thickness distribution of blister pocket by combining with preforming. Between pressure air forming method and vacuum forming method there is difference in kind of pressure to be applied for forming whether positive air pressure or negative pressure, but no big difference can be seen in formed pocket made by either method, which means bottom surface of formed pocket is made thinner in the film thickness distribution, on the other hand, in case of plug forming method bottom surface of formed pocket is made thicker in the film thickness distribution. Our company applies two forming methods of pressure air forming method and plug forming method, and propose either method suitable for our customers’ requirements. In this article, we like to introduce pocket forming technology on pharmaceutical blister packaging machines to form pocket shape matching with shape of tablet and capsule. 1 はじめに 2 PTP 包装について  当社はこれまでブリスタ包装技術を用いて食品包装機  PTP包装とは錠剤やカプセル剤などを対象にする 械や医療・医薬品業界向けの包装機械を開発してきた。 包装形態のひとつである。PTPとはPress Through その中でもPTP包装機は国内トップシェアを持ち、海外 Packの略称で、内容物を指で押し出して取り出すこ への事業展開も積極的に進めている主力製品群である。 とに由来している。  当社のPTP包装機の開発を振り返ると、その時代の  PTP包装の基本構成は容器フィルム、蓋フィルム、 ニーズに合わせて柔軟に変化を続けてきた歴史があ および内容物の3要素で構成されている。 り、現在も変わらず大切にしている技術ノウハウや、  容器フィルムとはポケット成形の対象となるプラス 取捨選択により現在は採用しなくなった技術もある。 チックシートのことである。また、成形ポケットには内 本稿では当社が長年培ってきたブリスタ成形技術の中 容物を保護する目的があり、その一方で容易に押し出 からPTP包装機におけるポケット成形技術について すことができる適度な強度が必要である。 紹介する。(Fig. 1)  蓋フィルムとはヒートシールにより成形後の容器 フィルムと貼り合わせて、内容物を密封するための薄 いフィルムのことである。蓋フィルムは主にアルミニ ウム箔からなるフィルムが採用されているが、包装仕 様により例外もある。(Fig. 2) Fig. 1  当社のPTP 包装機の歴史 CKD 技報 2021 Vol.7 15
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5 ドラム式と平板式について  成形工程やヒートシール工程において部品形状が円 筒形状をしている場合はドラム式、平板形状をしてい る場合は平板式と呼ばれている。本稿では成形工程に ついてのみ取り扱うものとする。  ドラム式の成形工程は主に連続搬送と組み合わせて 採用される。成形の繋ぎ目が無く、フィルム搬送を待 つ時間が無いため無駄なく成形時間を確保することが Fig. 2  PTP 包装とは できる。ただし、成形後の容器フィルムを平面に近づ けるため成形ドラムの直径を大きくする必要があり、 3 容器フィルムの種類について 一般的にドラム式の成形型は重く大きなものになる。  平板式の成形工程は主に間欠搬送と組み合わせて採  ブリスタ包装の成形技術において容器フィルムの性 用される。成形型は開閉動作を行う必要があり、これ 質は最も重要な要素のひとつである。PTP包装向けの によって成形の繋ぎ目が生じる。フィルム搬送時間が 容器フィルムには一般的に熱可塑性プラスチックが用 必要となるため成形工程に費やせる時間は短くなる いられており、加熱工程で適切に熱軟化させた状態の が、成形型はドラム式に比べてコンパクトに設計でき 容器フィルムを成形工程へ搬送してポケットを成形する。 る。(Fig. 3)  容器フィルムは主にPVC(ポリ塩化ビニル)および CPP(無延伸ポリプロピレン)からなる単層フィルムま たはラミネートフィルムが用いられる。ラミネート フィルムの場合は異種プラスチックを構成材として用 いることにより、防湿性などの機能を向上させること ができる。  また、ラミネートフィルムの構成材として用いられ るプラスチックの種類として代表的なものにはPVDC (ポリ塩化ビニリデン)、PE(ポリエチレン)、PCTFE (ポリクロロトリフルオロエチレン)、COC(環状オレ フィンコポリマ)およびNY(ナイロン)などがある。 Fig. 3  ドラム式と平板式  プラスチック以外にもアルミニウム箔をラミネート フィルムの構成材に用いる場合がある。これを用いた 6 加熱方式について PTP包装は容器フィルムと蓋フィルムの両方にアル ミニウム箔を用いることから両面アルミブリスタ包装  加熱工程とは成形前に容器フィルムを熱軟化させる と呼ばれており、PTP包装の中では最高水準の遮光性 工程のことである。当社の現行PTP包装機の場合は と防湿性を有する包装仕様として知られている。 フィルム搬送には間欠搬送、加熱・成形には平板式を  金属であるアルミニウムはプラスチックのような温 採用している。生産能力の高速化によって成形サイク 度領域では熱軟化しないため、両面アルミブリスタ包 ル時間が短くなれば加熱時間も同様に短くなるため、 装では加熱をせず、強力な成形力を有するプラグ成形 加熱工程では複数回の動作を重ねることで加熱時間を 方式を採用している。この方式を冷間プラグ成形方式 補っている。 と呼んでいる。  ポケットを成形するためには十分な加熱が必要にな る一方で、加熱・冷却を経て容器フィルムは収縮する 4 フィルム搬送方式について 性質がある。また、大きなフィルム収縮は機械適性上 の多くの問題を生じさせる要因となる。  フィルム搬送方式には連続搬送と間欠搬送がある。 連続搬送とは運転中に止まることなく搬送する方式 6-1  フラット加熱方式 で、間欠搬送とは工程の度に一時停止を繰り返す方式  フラット加熱方式は容器フィルム全体を加熱範囲と である。加熱・成形工程を含む各工程が安定して稼働 するため、ポケットの配置に合わせた専用設計を必要 するためには連続搬送に同期しながら稼働する、また としない。ただし、フラット加熱方式は加熱範囲が広 は間欠搬送の一時停止時に稼働する必要がある。また、 いためフィルム収縮が大きな容器フィルムには適さな これらの搬送は各工程に適した方式を採用している。 い。(Fig. 4) 16 CKD 技報 2021 Vol.7