1/14ページ
ダウンロード(1.4Mb)
Texas Instruments社のシングルペアイーサネット対応製品を10Base-T1L SPE規格と併せてご紹介
Single Pair Ethernet(以下 SPE)はEthernet通信のケーブル省配線、省資源のために規格化されたものです。SPEに関して、車載向けに加えて、新たに産業機器向けがIEEEに追加されたのはご存じでしょうか?
本資料は、産業機器向けSPEについて知りたい方や、現状の産業用通信からのアップデート、高速化、長距離化を検討されている方に向けて、その新しい規格の10Base-T1L SPEをご紹介しています。
3つのメリットである
①2芯ケーブル伝送
②長距離伝送(1km)
③電力伝送(最大52W)
についてそれぞれどのように実現するのかもご紹介しています。さらに使用する上で実際に考慮すべきこと、Texas Instruments社(以下TI社)の対応製品などをご紹介しています。
このカタログについて
ドキュメント名 | 産業機器向けEthernetの変革!10Base-T1L シングルペアイーサネット |
---|---|
ドキュメント種別 | 製品カタログ |
ファイルサイズ | 1.4Mb |
取り扱い企業 | 株式会社マクニカ (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
この企業の関連カタログ
このカタログの内容
Page1
Texas Instruments社製
Single Pair Ethernet PHY
© Macnica, Inc.
Page2
1. ラインナップ
2. お勧めデバイス
~DP83TD510E~
目次 3. シングルペアイーサネットとは
4. 対象アプリケーション
5. 評価ボード
~DP83TD510E-EVM~
© Macnica, Inc. 2
Page3
1. ラインナップ
TI社製 Ethernet PHY IC
DP83869 RGMII / SGMII
DP83867 RGMII / SGMII
DP83822 RGMII / RMII / MII
DP83826 RMII / MII
DP83825 RMII
DP83848 RMII
DP83TG720S-Q1
RGMII / SGMII
DP83TC811R-Q1
RGMII / RMII / MII
DP83TC811S-Q1
SG,RG,RMII / MII
DP83TD510E ※
RGMII / RMII / MII :車載品
0~70℃ -40~85℃ -40~105℃ -40~125℃
© Macnica, Inc.
Single Pair ENET Standard ENET
10M 100M 1GbE 10/100M 1GbE
PHY PHY PHY PHY PHY
Page4
2. お勧めデバイス~DP83TD510E~
1本のツイストペアケーブルで10Mbps最大1.7km伝送で産業用通信を実現
◆概要 ◆保護性能
• 準拠仕様 • ESD
- IEEE 802.3cg 10Base-T1L - HBM : ±2 kV (MDIpin以外)
• ケーブル長 ±6 kV (MDIpin)
- 最大1700m @master/slave 固定モード - CDM : ±1 kV
• 電源仕様 • IEC 61000-4-4
- 3.3V単一駆動 - EFT ±4 kV at 5 KHz, 100 kHz
- I/O電圧: 1.8V,2.5V or 3.3V • IEC61000-4-5
• 消費電力 - surge ±2kV at 1,2/50us, 8/20us
- 45 mW @1V p2p • IEC 61000-4-2
- 99 mW @2.4V p2p - Contact discharge ±4 kV
• MACインターフェース - Air discharge ±8 kV
- MII • EMC
- RMII (Master / Slave Mode) - CISPR22 radiated emission class B
- RGMII
• 温度範囲 ◆製品ページ
-40 ~ +105℃
https://www.ti.com/product/ja-jp/DP83TD510E
© Macnica, Inc.
Page5
3. シングルペアイーサネットとは
シングルペアイーサネットの特長
◆ 2芯ケーブル1本でLANケーブルより軽量、安価、小コネクター
◆ 10Mbpsかつ1000mの通信
◆ PoDL(Power over Data Lines)により
最大52W電力伝送
© Macnica, Inc.
Page6
3. シングルペアイーサネットとは
スタンダードイーサネットとシングルペアイーサネットの違い
スタンダードイーサネット シングルペアイーサネット
Cable type 2 ツイストペア / 4 ワイヤー 1 ツイストペア / 2 ワイヤー
IEEE仕様 802.3i 802.3u 802.3ab 802.3cg 802.3bw 802.3bp
規格 10Base-T 100Base-TX 1000Base-T 10Base-T1L 100Base-T1 1000Base-T1
速度 10Mbps 100Mbps 1Gbps 10Mbps 100Mbps 1Gbps
伝送距離 100m 1000m 15m 15m
多重 半二重 全二重 全二重 全二重 全二重 全二重
出典:Texas Instruments https://www.tij.co.jp/jp/lit/wp/snla360/snla360.pdf
© Macnica, Inc.
Page7
3. シングルペアイーサネットとは
電力重畳 (PODL : Power Over Data Lines)
スタンダードイーサネットと同様にシングルペアイーサネットも電力重畳が可能です。
クラス10以降はIEEE802.3cgにて定義されており、最大52Wまでの電力負荷が供給可能です。
絶縁用コンデンサ
送信/受信データ
MCU MAC IF Single pair
接続先
/CPU Ether PHY
(MII, RMII) (10Base)
PSE or DCDC 接続側 受電回路
Class 10 11 12 13 14 15
VPSE(max)(V) 30 30 30 58 58 58
VPSE_OC(min)(V) 20 20 20 50 50 50
VPSE(min)(V) 20 20 20 50 50 50
IPE(max)(mA) 92 240 632 231 600 1579
Pclass(min)(W) 1.85 4.8 12.63 11.54 30 79
VPD(min)(V) 14 14 14 35 35 35
PPD(max)(W) 1.23 3.2 8.4 7.7 20 52
© Macnica, Inc.
Page8
3. シングルペアイーサネットとは
他の産業系通信との通信距離&通信速度の違い
Field bus 最大伝送長 最高速度
PROFIBUS DP 9.6Kb/s @ 1200m 12Mb/s @ 100m
CANopen 10Kb/s @ 5000m 1Mb/s @ 20m
Modbus RTU 100Kb/s @ 1200m 2Mb/s @ 50m
CC-Link 156Kbps @ 1.2km 10Mb/s @ 100m
HART 1.2kb/s @ 1524m -
PROFIBUS PA 31.25Kb/s @ 1900m -
INTERBUS 500Kb/s @ 400m -
シングルペアイーサネット 10Mb/s @ 1000m (2.4V)
IEEE802.3cg -
10BASE-T1L [10Mb/s @ 200m (1V)]
© Macnica, Inc.
Page9
4. 対象アプリケーション
火災警報器制御パネル(FACP)
・大型施設等だと各拠点間が3km~4kmになる (長距離伝送)
・信号線と電力線でケーブルが多い (コストup、配線スペース圧迫)
シングルペアイーサネット (10Base-T1L)であれば、
PoDL(電力重畳, ケーブル給電)を介してリピーターを使用することで、全ての拠点を1本の差動ケーブルでつなげる。
手動 二酸化炭素
熱感知器 煙感知器
火災信号 FACP-1 火災警報器 検出器
・
・
手動 二酸化炭素
熱感知器 煙感知器
火災警報器 検出器
SPE Repeater
+PoDL 拠点間が1000m以上のため、リピーターを挿入
手動 二酸化炭素
熱感知器 煙感知器
火災信号 FACP-N 火災警報器 検出器
・
・
手動 二酸化炭素
熱感知器 煙感知器
火災警報器 検出器
© Macnica, Inc.
Page10
4. 対象アプリケーション
エレベーター
・機械室からエレベーターまでが500m以上になることも (スタンダードイーサネットでは100mMAX、ファイバーケーブルは屈曲でNG)
・ビデオストリーミングでは10Mbpsの高いレートが必要 (CANは最大500kbps)
シングルペアイーサネット (10Base-T1L)であれば、
長距離伝送、屈曲、伝送レートをすべて満足。さらに、PoDLを介して電力供給も可能。
■従来のシステム構成■ ■10Base-T1LとCANの併用■ ■次世代:10Base-T1L, -T1Sの併用■
機械室 機械室 機械室
トラクション エレベータ トラクション エレベータ
エレベータ トラクション
コントローラ インバータ コントローラ インバータ コントローラ インバータ
M Standard Ether M M
-SPE変換機
CANを使った通信 10Base-T1Lを使った通信 10Base-T1Lを使った通信
上限500m, 最大500kbsp 上限1000m, 最大10Mbps 上限1000m, 最大10Mbps
CAN-SPE Ether SW T1L⇔T1Sに変換
CAN 変換機 CAN (変換機)
SPE-T1S
10ノード程度 10ノード程度 10ノード程度
操作 ドア
センサー 操作 ドア 操作 ドア
・・・ パネル コントローラ センサー センサー
・・・ パネル コントローラ ・・・ パネル コントローラ
エレベーター本体 エレベーター本体 エレベーター本体
© Macnica, Inc.
Page11
4. 対象アプリケーション
IPカメラ
・スタンダードイーサネットでは100mごとにリピーターが必要(コストup)
・電源供給+通信の構成ではケーブルが多い (コストup、配線スペース圧迫)
シングルペアイーサネット (10Base-T1L)であれば、
リピーター無しで通信距離を1km、1本の差動ケーブルで配線できる (PoDLを使えばIPカメラに電力供給も可能)
■10Base-Tでの構成■ 1000m
IPカメラ 100m 100m 100m Netwok
Ethernet Ethernet 100m
・・・・・ Video Recorder
Repeater Repeater
(PoE, PSE)
100m毎にリピータが必要
■10Base-T+10Base-T1Lの構成■
IPカメラ SPE- Standard Netwok
Standard Ether-SPE Video Recorder
Ether変換機 10Base-T1Lでの通信 変換機 (PoE, PSE)
10Base-T→10Base-T1L (1000m, 10Mbsp) 10Base-T1L→10Base-T
■次世代:10Base-T1Lのみの構成■
IPカメラ Netwok
Video Recorder
10Base-T1Lでの通信 SPE+PoDL
(1000m, 10Mbsp)
© Macnica, Inc.
Page12
5. 評価ボードについて
DP83TD510E-EVM:https://www.ti.com/tool/ja-jp/DP83TD510E-EVM
お手軽に10Base-T1Lを評価するために、10Base-T1L⇔10Base-TXのブリッジ機能を持つEVMが用意されています。
10Base-TXの通信用のDP83822、10Base-T1L用のDP83TD510の2つのPHYが搭載されています。
◆構成 ◆外観
出典:Texas Instruments – User’s Guide『DP83TD510E-EVM User’s Guide』 出典:Texas Instruments – Home page
https://www.tij.co.jp/jp/lit/pdf/snlu271 『DP83TD510E Low power 10Base-T1L single-pair Ethernet PHY evaluation module』
https://www.tij.co.jp/tool/jp/DP83TD510E-EVM
下記のように、2台使用することで10Base-TXと接続、ブリッジとして10Base-T1Lの動作検証も可能です。
10Base-TX DP83TD510E 10Base-T1L DP83TD510E 10Base-TX
EVM EVM
© Macnica, Inc.
Page13
ご注意事項、お問い合わせについて
ご注意事項
◼ 本資料に記載された製品・サービスにつきましては予告なしに
ご提供の中止または仕様の変更をする場合がございます。
◼ 本資料に記載された情報が最新のものであることをご確認いただけますよう
お願いいたします。
お問い合わせはこちら
◼ 株式会社マクニカ クラビス カンパニー TI製品お問い合わせ専用フォーム
https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/support/contact/
Confidential © Macnica, Inc. 2022/10/27 13
Page14
© Macnica, Inc.