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大好評のCBMシリーズ第2弾!前提条件から設置方法まで、自社ではどのようなセンシングが可能かをかんたんに確認できるお役立ち資料です。
「CBM システム構築における代表的なつまずきポイントと、その解決法」をまとめた『はじめの一歩がわかる!予知保全・異常検知プロジェクトの基礎とポイント』の続編として、CBM構築に必要なデータの収集方法、センシングにまつわる技術面にフォーカスして解説いたします。300件以上の案件に携わってきた専門家チームによる、「現場」を知っているからこそ作れた価値ある1冊になります。
このカタログについて
ドキュメント名 | つぎの一歩は実践! CBMセンシングのポイント一挙解説 |
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ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
ファイルサイズ | 7Mb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | 株式会社マクニカ (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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つぎの一歩は実践!
CBM センシングの
ポイント 一 挙解 説
株式会社マクニカ
デジタルインダストリー事業部
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弊社は 5 年以上に渡り、数多くの機械メーカー開発部門様やインフラ事業者様などを対象に、センシング AI など
のデジタル技術を活用した CBM(コンディション・ベースド・メンテナンス)システム開発を支援してきました。
本誌は、無料冊子として配信している「CBM システム構築における代表的なつまずきポイントと、その解決法」
をまとめた『はじめの一歩がわかる!予知保全・異常検知プロジェクトの基礎とポイント』の続編として、CBM
構築に必要なデータの収集方法、センシングにまつわる技術面にフォーカスして解説いたします。
本誌をご覧いただくことで、目的に応じたセンサーの選び方、動的機器の状態監視に有効な振動センシングとその
活用方法、CBM システム構築のポイントについて学べる内容となっております。
『はじめの一歩がわかる!予知保全・異常検知プロジェクトの基礎とポイント』
ダウンロードのお申し込み(無料)はこちらから
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medium=qr&utm_campaign=sig_cbm_sensing_wp
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CONTENTS
1. CBM の代表的なシステム構成と技術要素 4
2. センシング主効果パラメータ、二次効果パラメータとは 6
3. センサーの種類と CBM における代表的なセンサーとは 8
4. 振動センサーを選定するポイント 9
5. 振動センサーの設置方法のポイント 12
6. CBM システムにおけるエッジコンピューティングの重要性 16
7. 代表的な前処理手法(エッジコンピューティング) 17
CBM プロジェクトが加速する「SENSPIDER」×「Sigma」 18
まとめ 22
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1 次の一歩は「実践」 CBMに必須なセンシングを学ぶ!機器選択~設置方法を一挙解説!
CBM の代表的な まず、代表的なシステムについておさらいします。マクニカの考える CBM システムは、3 つの要素で構成されます。
システム構成と技術要素 ① センサーデータ収集 ② AI などを活用した状態検知 ③ システム実装 / 可視化
それぞれの要素を適切に組み合わせ、お客様の既存業務フローと連携させることで、はじめて CBM システムが効
力を発揮します。
本誌では、①のセンサーデータ収集について解説しますが、CBM システム構築には 3 つの要素のどれが欠けても
成立しないということも覚えておきたいポイントです。
CBM システムの一般的な構成例
エッジ(設備) クラウド / サーバー サービス拠点(オフィス等)
データ収集 可視化・異常検知 ダッシュボード
各種センサー
工場設備 振動 ビッグデータ
インフラ設備 電流 エッジコンピューティング IoT
(センサーデータ収集・前処理) プラットフォーム
温度
交通インフラ 判定モデル
(AI など)
設備内部データ
ビル 最適なタイミングでメンテナンス
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次の一歩は「実践」 CBMに必須なセンシングを学ぶ!機器選択~設置方法を一挙解説!
すべては正しいセンシングから
CBM システムを構築する上で最初に検討するべき重要事項である「センサーデータ
収集」。
いくら AI などの判定モデルが優れていても、肝心な入力データの質が悪ければ検知
性能は期待できません。「Garbage in Garbage out」という慣用句のとおり、出力の
質は入力の質次第であり、入力データに「正常」と「異常」それぞれの有意な差分
が出ているか、物理的な妥当性があるかなどを見極めながら最適なセンシングの構
成を検討する必要があります。
“前処理” の重要性
センサーデータ収集
ここで 1 つ注意したいのが、センサーデータ収集=センシングと思い込んでしまう
ことです。センサーデータ収集とは、センシングだけでなく「前処理」もセットに センシング 前処理 分析 / AI
して考えることが重要です。
前処理には、膨大なデータを処理可能な量に削減し、かつ異常が示す部分を明確に
データから抽出するという 2 つの目的があります。
✓ 正常と異常で有意な差分が 転送可能なデータ量へ削減
前処理の詳細については、本誌後半の「7. 代表的な前処理手法」にて解説いたします。 出ているか? 正常 / 異常データの特徴を抽出
✓ 物理的な妥当性があるか?
✓ 特徴のある違いがはっきりしているか?
✓ 関係ない変化や変動が含まれていないか?
✓ 特徴のある違いを削除・潰していないか?
POINT データ収集 = センシング × 前処理
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センシング まず、センサーデータ収集に重要な、機械の状態を定義する「主効果パラメータ」「二次効果パラメータ」につい
て解説します。
主効果パラメータ、 センシングにより取得した生データには、劣化の兆候以外にも関係ない変化や変動が含まれています。そうした生
二次効果パラメータとは データをいかに前処理するか、どのようなデータの特徴に焦点を合わせるかの手法を決めることも、センサーデー
タ収集の重要なポイントになります。
●主効果パラメータ ●二次効果パラメータ
主効果パラメータとは製品の性能指標のことを指します。例えば、回転動力を必要 二次効果パラメータでは振動・音・温度等をモニタリングします。
とする設備には電動機が使用されますが、この回転速度が主効果パラメータにあた
ります。 例えば、潤滑油の劣化による機械の経年劣化を考えた時に、実際の故障に至るまで
表面上のパラメータには兆候が表れず、駆動部分の摩擦係数上昇による焼き付きな
しかし、一言で電動機といっても「直流電動機」・「交流電動機」といった動力源の どの発生等によって、突然、駆動不能に至るケースがあります。
違いや、ON / OFF での一定回転速度動作をする「誘導電動機」、サーボドライバによっ
て位置・回転速度の制御が可能な「サーボモータ」、パルス信号によって精密な回転 もし、電動機を主効果パラメータである「回転数」でモニタリングする場合、潤滑
角度・回転速度の制御が可能な「ステッピングモータ」など、目的によって様々な 油の経年劣化まではとらえることができません。このような主効果パラメータでは
種類が存在します。 発見しにくいケースを、振動・音・温度等でモニタリングするのが二次効果パラメー
タです。
単純に回転動力を供給する機械とはいえ、電動機ごとに性能も仕様も微妙に異なり
ます。CBM を検討するにあたって、主効果パラメータの状態をモニタリングする手
法でシステムを実現する事も可能ですが、性能も仕様も異なる個別のパラメータを
管理するのは効率的ではありません。また、主効果パラメータでのモニタリングは、
パラメータに変化があった時点で機械が本来の仕事量を駆動できない状態になって
いる可能性が高いため、故障を未然に防ぐという観点においては適さないと言えま
す。
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主効果パラメータ 電動機のパラメータ推移の例
線形的変化 指数的変化 動作不能
圧力・電流・トルクなど機器本来の性能を示す トルク
↓ 電流
変化が出たときにはすでに致命的状態の場合が多い
二次効果パラメータ
振動・騒音 温度
振動・騒音・温度・臭気など副次的に発生する現象
↓
劣化の兆候を知るには有効性が高い場合が多い
振動(二次効果) 電流(主効果) トルク(主効果)
CBM システム構築に優れているのは二次効果パラメータ 二次効果パラメータはどのようにモニタリングするのか
二次効果パラメータであれば、潤滑油の劣化のケースでも、駆動部分の摩擦係数上 二次効果パラメータをモニタリングするためには、機械に標準的に実装されている
昇による副次的な現象を振動エネルギーや温度の上昇として分析することができま センサーでは賄えず、後付けでセンシングの仕組みを構築しなければならないケー
す。また、主効果パラメータでは機械ごとに異なる性能・仕様について勘案する必 スが多いです。ですが、二次効果パラメータ取得によって得られる恩恵は非常に多
要があるのに対して、二次効果パラメータは様々な機械に共通的なモニタリング指 いので、重要部に使用される機械の状態監視機能として、これまで後付けしていた
標を定義できるため、管理の面でもメリットがあります。 センサーなども標準実装が進んでいくとマクニカは考えます。
WEB CBM システムがシンプルかつ簡単に構築できる「SENSPIDER」
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3 次の一歩は「実践」 CBMに必須なセンシングを学ぶ!機器選択~設置方法を一挙解説!
センサーの種類と CBM 構築に使用する代表的なセンサーについて解説します。
機械・設備の CBM には、「振動センサー」、「温度センサー」、「電流センサー」を使用するのが一般的です。
CBM における 実際の工場やプラントの機器・設備には、主効果パラメータ(圧力、流量、電流など)を測定するセンサーが内蔵
代表的なセンサーとは されている、 もしくはインラインに設置されていることが多いです。一方、二次効果パラメータ(振動、音、温度など)
を測定するセンサーは後付けで対応できることが多く、中でも「振動加速度センサー」が CBM の分野では一般的
に多く使用されています。
カテゴリー 五感による分類 センサーの例
視覚的 光、分光、照度、赤外線、紫外線、液面、イメージ、顔認識、視線検出、指紋認識、血流
聴覚的 音(アコースティック / 超音波)、音声認識、心拍
物理センサー
触覚的 温度、湿度、圧力、流量、粘度、タイヤ空気圧、人感、体温、脈波、脳波
その他 電荷、電圧、電流、電力、抵抗、静電容量、磁気、距離、速度、加速度、角速度、角度、位置、放射線
味覚的 味覚
嗅覚的 臭気
化学センサー
イオン濃度、ガス濃度(水素 / 酸素 / 二酸化炭素 / 一酸化炭素 / 硫化水素 / 窒素酸化物 / その他特定ガス)、
生物学的センサー
農薬、土壌、エアクオリティ、血中酸素濃度、血糖値
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4 次の一歩は「実践」 CBMに必須なセンシングを学ぶ!機器選択~設置方法を一挙解説!
振動センサーを
選定するポイント
CBM でよく使用される「振動センサー」。
この振動センサーを選定するポイントを解説します。
まず、異常検知の用途で振動センサーが有効になるのは、右図に示すような工作機 工作機械のおもなセンシング内容
械やポンプ、モーター、搬送機の機械的な可動部位がある機械全般です。振動センサー ● 主軸の異常検知
を選定する場合には、対象の機械の異常がどのような現象かを整理した上で選定す ● ボールねじの異常検知
ることが重要です。 ● 工具の摩耗、欠け検知
機械は単純な機械要素(ネジ、軸、ベアリング、歯車など)の部品の組み合わせで
構成されています。その中でも可動部位に用いられる部品(ベアリング、歯車など)は、
動力伝達のために潤滑剤が塗布されていますが、金属同士の接触を伴うことが多い モーター・ポンプ・圧縮機の
ので、機械的な異常(摩耗や折損など)が発生しやすくなっています。 おもなセンシング内容
● 軸受けの異常検知
異常現象としては、振動や音として現れる事が多いのですが、一言で振動と言って ● カップリングのミスアライメント
も「振動の方向」、「大きさ」、「周波数(速さ)」の観点があり、特に振動の大きさ及 ● 圧力・流量の異常検知
び周波数に関しては「加速度」、「速度」、「変位」という観点で見る必要があります。
現象を把握したうえで、ベアリングやギアなどの金属同士の接触を伴う機械要素の 搬送機のおもなセンシング内容
異常であれば、「加速度領域(10kHz くらい)」までを取れるセンサー、アンバラン ● 軸受の異常検知
ス異常などの機械自体の振動であれば「速度領域(1kHz くらい)」までのセンサー、 ● ベルトの伸び、劣化の検知
配などの流体系の振動や地盤振動であれば「静的加速度(DC 成分、0Hz 成分から ● 機械構造の亀裂・破断の検知
10Hz くらい)」までを取得できるセンサーを選ぶ必要があります。
POINT センサー選定は、対象の機械の異常現象を整理することが重要
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次の一歩は「実践」 CBMに必須なセンシングを学ぶ!機器選択~設置方法を一挙解説!
目的に合わせた選定が重要!振動センサーのスペックと測定可能な現象の関係
大
部位がゆっくり動いているのが
目で見てわかる
故 匠 保全担当者 故障の兆候や原因を
障 目で見てもわからないが触ると より先行して捉えるためには
レ 部位が振動しているのがわかる 1 ~ 10kHz 程度の帯域が重要
ベ
ル
手で触っても感じないが何か異音がする
小 振動数(Hz)
10Hz 1,000Hz 10,000Hz
流体・地盤振動 機械自体の振動 機械要素の異常
計
測 サージング、 アンバランス、ミスアライメント ベアリング傷、異音、
目 ウォーターハンマー、 カップリング不良、基礎不良 ギア異常、キャビテーション、
的 地盤振動、パイプ脈動 すべり軸受け不良、インペラー振動 工具異常
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次の一歩は「実践」 CBMに必須なセンシングを学ぶ!機器選択~設置方法を一挙解説!
振動センサー以外で CBM に有効なセンサーやケースとは?
ここまでは有効な振動センサーについて解説してきました。 内蔵センサーの例(PLC や NC データ) 外付けセンサーの例
では、振動センサー以外で CBM に有効なセンサーや、センサー以外で有効な手法には、
どのようなものがあるのか少しご紹介します。 ● モーターの負荷とトルク ● 振動センサー(おすすめ)
● 運転モニター(稼働状態 / 位置情報 / 回転計) ● 歪センサー
● サーボデータ ● AE センサー
(フィードバック制御 / 指令値 / 実際の値) ● 音センサー
① 機械の性能異常のケース ● 電圧、電流、消費電力 ● 超音波センサー
● 温度(ボディ / オイル / 冷却水)、流量 ● 温度センサー
可動部位などの機械的な異常ではなく、「圧力」、「流量」、「電流」、「電圧」、「回転数」、 ● 圧力(油圧)、レベル計(油 / 水の高さ) など
「負荷」、「トルク」などの機械性能の異常のケースです。 ● ロードセルデータ(荷重)
● コンタミネーションレベル(オイルの汚染)
おもに主効果パラメータの異常が原因なので、内蔵センサーや運転モニター情報や
サーボデータの個々の監視を行うだけでも CBM に十分に有効であるケースです。例
として、いつもより回転速度が遅い、いつもよりトルクが高い、指令値に対して実
際の値が低いなどを指標として異常を検知します。
② 検知したい機器の異常が振動由来ではないケース
振動以外で機器の状態を示すようなパラメータとして、「温度」、「コンタミネーショ
ンレベル」、「ひずみ」、「音」、「超音波」、「AE(Acoustic Emission)」などがあります。
● 温度:機械自体の温度や材料の温度などで異常を検知
● コンタミネーションレベル:潤滑油などのオイルの汚染度で検知
● ひずみ:機械自体のひずみや加工材料のひずみで検知
● AE:機械自体の金属内部の亀裂の発生などで検知
機器の異常は振動のみで起こる現象ではありませんので、ケースに合わせたセンサー
を選ぶことが重要になります。 POINT 可動部位の異常は外付けセンサーが必要なケースが多い
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5 次の一歩は「実践」 CBMに必須なセンシングを学ぶ!機器選択~設置方法を一挙解説!
振動センサーの 固定方法
設置方法のポイント 振動センサー選定が完了したら、実際に振動センサーを機械に取り付ける必要があります。振動センサーの取り付
けにはいくつか方法がありますので、設置場所ごとに効果的な方法を解説します。
①「ねじ止めによる固定」 ②「接着剤による固定」 ③「マグネットによる固定」
振動センサーの取り付けには上記のような 3 つの方法があります。固定の仕方によって得られる周波数特性が異な
るため、測定する振動周波数に合わせて適切な固定方法を選択する必要があります。
ねじ 瞬間接着剤 マグネット
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次の一歩は「実践」 CBMに必須なセンシングを学ぶ!機器選択~設置方法を一挙解説!
①「ねじ止めによる固定」 ②「接着剤による固定」 ③「マグネットによる固定」
振動センサーの各種取り付け方法の中で最も高い周波 被測定物に振動センサーの取り付け穴が開けられない 「ねじ止めによる固定」や「接着剤による固定」が実
数まで良好な特性が得られる固定方法です。一般的に 場合には、「接着剤による固定」が適しています。適 施できない場合は「マグネットによる固定」を選択し
10kHz 以上までフラットな周波数特性を確保すること 切な取り付けがされていれば、数 kHz 程度までフラッ ます。取り付け対象物が鉄などの磁石が付く金属(強
ができます。 トな周波数特性を確保することができます。 磁性体)であれば設置でき、振動センサーの取り付け
被測定物に振動センサーを固定する取り付け穴を開け や取り外しが比較的簡単ですが、フラットな周波数特
ることが可能で、かつ取り付け方法に制約がない場合 取り付け方法は、できるだけ滑らかな面を確保して接 性は一般的に 1kHz ~ 5kHz 程度しか期待できません。
は「ねじ止めによる固定」が最も信頼性の高い取り付 着剤を薄く塗り、振動で振動センサーが外れないよう
け方法です。 にしっかりと取り付けます。 磁力が弱い場合、振動により振動センサー取り付け位
接着剤は瞬間接着剤の使用が一般的です。 置がずれる可能性があるので、継続して測定運用する
振動センサーの取り付け方法は、取り付け面に振動セ 場合には定期的に取り付け状態を確認する必要があり
ンサー全体が接触するように、できるだけ表面粗さの ます。
小さい滑らかな面に取り付けます。さらに固定ねじ部
分に、ねじ部品用嫌気性接着剤を使用することにより、
振動によるねじのゆるみを防止することができます。
以上、3 つの取り付け方を解説しましたが、取り付け方によって取得できる周波数特 振幅 [dB] 取り付け方法別接触共振
10
性が異なりますので、固定方法によっては取得データが制限される可能性があると
いうことを覚えておきたいです。また、単に振動センサーを設置固定できるかどう 5
かだけでなく、CBM 構築に必要なデータに合わせた方法を考慮する必要があること 0
にも注意したいです。 100 1000 10000 100000
-5 [Hz]
-10
-15
POINT 固定方法により、取得できる周波数特性が異なる -20
マグネット 接着剤 ねじ止め
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取り付け位置
振動センサー取り付けの理想的な位置
① 測定したい対象(軸受や軸、歯車)の近く
② 振動が伝わりにくいカバーなどではなく、機械自体に直接的に設置できる部分
③ なるべく平坦な部分
特に、回転機器の軸受け近傍が最も有望
具体的には以下の注意点を考慮します。
ねじ止め
or
センサーと対象物の間は全て接触させしっかり密着させる 付属マグネット
● 対象物の軸に対し垂直、または水平となる平坦面に固定 設
備 振動加速度
● 振動センサーと対象物の間に、砂や鉄粉などの異物を挟み込まない ・
機 ピックアップ
● ねじ穴やねじ切りの深さ不足で、振動センサーが設置面から浮かないようにする 器
● 面が荒い場合は、振動センサーと設置面の間にグリースなどを塗布し、接触面を
増やす
測定中に取り付け状態が変わらないこと
● 基本はスタッドボルトを使用したねじ止めを行う
● 難しい場合はマグネットキットで磁性体に固定 ー 設置個所の選定方針
● 接着剤は経年劣化するため、長期使用の観点では避ける ✓ 動的部位と構造的に連結している箇所
● 設置面が柔らかい、もしくは凸凹の場合、時間経過で振動センサーが離脱する可能 POINT ✓ 異常が発生しやすい部位の近傍
性がある ✓ アクセス性、設置のしやすさ
✓ 正常稼働時の振動が大きすぎない箇所
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次の一歩は「実践」 CBMに必須なセンシングを学ぶ!機器選択~設置方法を一挙解説!
振動センサー固定にはケーブルの固定も重要
振動センサーを固定する際には、センサーケーブルについても固定することが重要です。
センサーケーブルを固定する理由は、ケーブルが振動して振動センサーに伝わりノイズとなることの予防、あるい
はケーブルが引っ張られたりすることによる振動の影響を予防するためです。そのため、センサーケーブルは振動
センサーを取り付けた近傍の検出面、または、その他の固定面に固定することを推奨します。
一般的なケーブルの固定方法としては、以下の 2 つの手法があります。
① ケーブル自体の振動がノイズの発生原因となるため、振動センサー設置面に固定する
② ケーブルのコネクタの付け根部分にストレスを与えないよう、曲げ半径を大きくする
ケーブルにストレスをかけないように
十分な R を取って引き回す
センサー設置近傍で
ケーブルが振れないように
クランプする
ライトアングル出しセンサーの場合 ストレート出しセンサーの場合
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CBM システムにおける クラウドコンピューティング
エッジコンピューティング 転送帯域の問題 処理能力の問題
の重要性 生データ 生データ
生データ
センサー PLC など ゲートウェイなど クラウド
警報 警報
CBM システムでは、センシングされたデータに前処 センシング デジタル化 分析・蓄積・発報
理をして特徴量を抽出し、その特徴量は AI によって
より単純な判定値へと形を変えていきます。 標本化率の問題 レイテンシの問題
取得する生の振動データは 1 秒あたり 10,000 サンプ
ル以上(1 センサーあたり)が生成されます。一般 フォグコンピューティング
的なネットワーク環境で PC などの解析機器にこの生
データを送り出すことは、ネットワークにも機器にも 転送帯域の問題
過大な負荷をかけるため、構成としてもコストの観点
からも適切ではありません。 生データ
生データ 抽象化データ
センサー PLC など
そこで、重要になるのが「前処理」です。 警報 IPC など クラウド
センシング デジタル化 分析・発報 蓄積
振動センサーと解析機器の間にエッジコンピューティ
ングを挟むことで、生データから抽象化されたデータ 標本化率の問題 レイテンシの問題
に変換し、従来のネットワーク、PC 環境でも問題な
く分析ができるようにします。
エッジコンピューティング
生データ 抽象化データ 抽象化データ
センサー エッジコンピュータ ゲートウェイなど クラウド
センシング デジタル化・分析・発報 蓄積
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7 次の一歩は「実践」 CBMに必須なセンシングを学ぶ!機器選択~設置方法を一挙解説!
代表的な前処理手法 エッジコンピューティングは、下図に示すように、センサーにより取得した生データをネットワークや PC へ送る
際の負荷や通信量の軽減などを行うために必要な技術です。
(エッジコンピューティング) ここでは、各種センサーデータに関して、エッジコンピューティング(前処理、1 次処理)に用いられる代表的な
手法を紹介します。
高サンプリングデータ エッジコンピューティング 前処理後のデータ 統計量、特徴量の例
10kHz サンプリングで 1 秒間の場合 前処理、1 次処理 特徴量のみを後段へ送る= 平均 範囲
データ数= 10,000 点 ネットワークの負荷や通信量の軽減 分散、標準偏差 最頻値
尖度、歪度 振動加速度 RMS、振動速度 RMS、振動変位 P-P
・・・ ✓ ✓ ✓ ✓ ✓ ・・・ 中央値、四分位点 FFT(振幅と周波数の組み合わせなど)
最大値・最小値 機械学習や AI による推論結果 ほか
最も一般的な手法は各種統計量です。生のセンサーデータの特徴量として平均や標 左記以外でも、近年ではエッジコンピューティングに用いられる機器の性能向上に
準偏差、分散などを算出します。この時、データの特徴を要約している必要があり、「温 伴い、機械学習や AI を用いて推論結果データを送る方法も広まりつつあります。た
度・流量データ」であれば平均圧力やひずみを、「電流・電圧など」であれば平均及 だし、エッジ端末も最新の PC などと比較するとリソース(CPU、GPU、メモリ、記
び標準偏差を用いることが多いです。 憶容量)に制限はあるので、なるべく軽いアルゴリズムを用いるなど、専門家との
連携や工夫は必要となります。
他には、センサーごとに定義されているパラメータが挙げられます。振動加速度セ
ンサーなら加速度(m/s2)で取得したデータを積分し、振動速度(m/s)や振動変
位(m)に変換を行います。
FFT(周波数解析)を行うようなデータ(振動や音など)については、エッジ側で
FFT を行い、その結果のピークの振幅と周波数の組み合わせだけをデータとして送
ることもあります。
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CBMプロジェクトが加速する
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次の一歩は「実践」 CBMに必須なセンシングを学ぶ!機器選択~設置方法を一挙解説!
センシング・エッジコンピューティング端末「SENSPIDER」
SENSPIDER は高サンプリング対応(最大 48kHz)のため、広帯域振動センサーなど 応じて専用の IO スロットを用意する必要があり、特に広帯域振動センサーを接続し
をはじめとする高精度なアナログセンサーデータを最大 8ch まで収集可能。さらに、 たい場合は IO スロットに加え、外付けアンプや、センサー駆動用電源が別に必要と
ユーザーカスタムアルゴリズムを実装(プロセッシング機能)することもできるので、 なります。さらに、判定モデルや前処理などのアルゴリズムを実装する場合は別に
判定・推論まで実施可能となっています。 コンピューターが必要となり、あっというまに数十万後半の大がかりなシステムと
なってしまいます。
SENSPIDER を開発した背景として、広帯域振動センサーを活用した場合のシステム SENSPIDER はこれらすべて必要な機能を 1BOX に集約しており、制御盤にもすっき
構成が一般的に複雑・高額で、実証実験止まりの構成になりがちという点がありま り収納可能なサイズのため CBM 機能の運用を想定した最適なハードウェアとなって
した。本来、データロガーや PLC を活用するための構成の場合、センサーの種類に います。
※「SENSPIDER」は株式会社マクニカの登録商標です
SENSPIDER 本体
【型 名】SSP1000
【概 要】高速振動センサーインターフェイスカード(SSPC1310)1 標準搭載
拡張用カードスロット:3
最大チャンネル数:8
ハードウェア スペック
CPU ARM Cortex-A9 800MHz Dual Core
メモリ 3GB
ストレージ 13GB
高速振動センサーインターフェイスカード 汎用センサーインターフェイスカード 温度センサーインターフェイスカード
【型 名】SSPC1310 【型 名】SSPC1320 【型 名】SSPC1330
【概 要】 【概 要】 【概 要】
本体のカードスロットに実装して使用 本体のカードスロットに実装して使用 本体のカードスロットに実装して使用
接続対象センサー:アンプ内蔵型 接続対象センサー:電流 / 電圧出力 接続対象センサー:J / K 熱電対、RTD サーミスタ
チャンネル数:2 チャンネル数:2 チャンネル数:2
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時系列データ解析ソフトウェア「 Sigma」
CBM システム構築における前処理を、PC 上で設計するためのソフトウェアが「 Python などの専門知識がなくとも、GUI ベースでユーザーの目的に合わせた柔軟な
Sigma 」です。「Sigma」は、PC 上で解析・可視化するだけではなく、設計した モデル生成が可能になり、データ収集後のシステム構築をスピーディーに進めるこ
任意の特徴量やしきい値などの前処理モデルをボタン一つで Python コードに変換 とができます。
し SENSPIDER へそのまま実装。すぐに実機動作環境を構築することができます。
(Python コードデプロイ機能 “Sigma De Py”) クラウドで判定を行うシステムのエッジ前処理用途としてはもちろん、実現したい
システムのご要求次第では、Deep learning や機械学習といった AI を活用しなくて
メニューから複数の特徴量を組み合わせることができるため、ユーザー独自の特徴量 も、これらの特徴量定義やしきい値だけでも十分運用可能なケースもございますの
を定義し、使用環境に合わせて精度を向上させることが可能です。つまり、現場に で、その際はエッジで異常判定を行うシステムとして、そのままご活用いただけます。
Python コードデプロイ機能 “Sigma De Py” Sigma プリセット特徴量
大項目 小項目
■ RMS ■ 積分 RMS
データ収集・分析用 PC プリセット特徴量設計 ■ 平均値 ■ EFP
❷ ■ クレストファクタ
Sigma で分析(特徴量、しきい値 …)、 ■ 平均を 0 に規格化 ■ 歪度
前処理をプログラミングレスで設計 ■ 標準偏差を 1 に規格化 ■ 最大値
■ バンドパスフィルタ ■ 最小値
❸ ワンクリックで ユーザー定義特徴量設計 ■ バンドストップフィルタ ■ ピーク値
設計したモデルを実装 ■ 積分 ■ 定数倍
センサーデータを転送 ❶ ■ 平均値 ■ 足す、引く
■ 尖度 ■ 絶対値
エッジでデータ処理・ ■ 4 段階、3 段階、2 段階、上限、下限、両側のしきい値を選択
推論実行が可能に! しきい値設定 ■ ISO 基準のしきい値を選択
■ EFP(高速軸受診断)のしきい値を選択
■ SENSPIDER のセンサー入力チャンネルの設定(特徴量、単位、変換
モニタリング設定
係数)
SENSPIDER
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