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経営・顧客・設計・製造が連動したDX基盤のグランドデザインを描く
激しく変化し、不確実性の高まる事業環境に適応するため、企業はDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みを迫られている。製造業も例外ではなく、新型コロナウイルスの感染拡大がその流れを一段と加速させている。しかし一方で、DXを牽引するメンバーへの過大な期待と負荷が高まり、最終責任を負うマネジメント層の判断も難しさを増しているのが現実だ。
この課題を乗り切るために求められるのが、経営・顧客・設計・製造が連動したDX基盤のグランドデザインだ。
このカタログについて
ドキュメント名 | 経営革新の核となるデータ活用の考え方 |
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ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
ファイルサイズ | 2.3Mb |
取り扱い企業 | 株式会社マクニカ (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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経営革新の核となるデータ活用の考え方
~経営・顧客・設計・製造が連動した DX 基盤のグランドデザインを描く
株式会社マクニカ インダストリアルソリューション事業部
※この記事は、IT Leaders(インプレス)にて 2021 年 5 月に掲載されたものです。
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CONTENTS
DX を妨げる大きな壁 4
全社的なデータマネジメントとシステム間データ連携の勘所 6
DX プロジェクトにブレークスルーを起こす 3 つの取り組み 8
1. 健康診断 8
2. シミュレーション 9
3. Fit to Standard 10
- 2 ー ©Macnica, Inc. All rights Reserved.
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激しく変化し、不確実性の高まる事業環境に適応するため、企業は DX(デジタルトランスフォーメーション)
への取り組みを迫られている。製造業も例外ではなく、新型コロナウイルスの感染拡大がその流れを一段と加速
させている。しかし一方で、DX を牽引するメンバーへの過大な期待と負荷が高まり、最終責任を負うマネジメ
ント層の判断も難しさを増しているのが現実だ。
この課題を乗り切るために求められるのが、経営・顧客・設計・製造が連動した DX 基盤のグランドデザインだ。
- 3 ー ©Macnica, Inc. All rights Reserved.
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経営革新の核となるデータ活用の考え方~経営・顧客・設計・製造が連動したDX基盤のグランドデザインを描く
DX を妨げる大きな壁
製造業で DX が叫ばれてすでに久しく、コロナ禍により事業を取り巻く環境が激変し
たことが、その取り組みをさらに加速させていると言われる。当然、経営陣も DX の
必要性はすでに強く認識しており、中期経営計画に取り入れるほか、複数部門から選
抜された DX の専門組織 /プロジェクトチームを立ち上げるといった動きを見せてい
る。
しかしその一方で、「DX のリーダーとなるべきプロジェクトチームのメンバーたちは
疲弊しきっています」とその実態を語るのは、マクニカ インダストリアルソリュー
ション事業部 事業部長の阿部幸太氏(原文ママ)だ。DX プロジェクトチームに対す
る期待値は高まる一方で負担も激増しているが、経営陣がデジタル施策の妥当性や進
捗良悪を判断するのは困難だ。阿部氏は「端的に言えば、コミュニケーションの難易
度が高すぎるのです」と指摘する。どういうことだろうか。
株式会社マクニカ イノベーション戦略事業本部 インダストリアルソリューション事業部 事業部長
阿部幸太氏(原文ママ)
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経営革新の核となるデータ活用の考え方~経営・顧客・設計・製造が連動したDX基盤のグランドデザインを描く
さまざまなデジタル施策を推進しようとすれば必ず業務プロセス
の変更を伴い、生産技術、生産管理、生産現場の作業者、設計、 経営層 ・ As is To Be の全体像策定
購買、情報システムなどの関連部署との連携が欠かせないが、こ ・ 経営層との期待値の擦り合わせ
れをハンドリングできる人がいないのだ。 ・ バジェットの確保
・ 必要リソース / 体制の提言
「できるとすればそれは社内でも超エース級の人になりますが、 ・ スケジュールの策定
その人物を DX プロジェクトチームに抜擢してしまうと、他の重 DX 推進部門 / チーム
要なビジネスが回らなくため、結局アサインすることができませ
ん」と阿部氏は語る。 ・ DX の意義と効果のまとめ
・ 関係部門部署の相互依存関係整理
加えて、日本の製造の現場ではすでに徹底したコスト削減が図ら ・ 関係部門ごとの効果 / 要求事項整理
れていることも DX 推進を困難にしている。例えば IoT を活用し ・ 関係各所への進め方の説明
た不良品の要因分析に取り組んだとしても、生産現場ではそもそ 情 技 ・ プロジェクトの継続的な周知 / 協力要請
もほとんど不良品を出しておらず、その細分化・局所化されたテー 購 設 生 生 報 能
買 計 産 産 シ ・ 委員育成 / 教育計画
マの範囲内だけでは十分な ROI(投資対効果)はまず得られない。 工部 部 技 管 ス ・ 業務設計 / 業務フロー再設定
門 門 術 理 テ
ム ・ システム間連携 / インターフェース設計
「仮に PoC(概念実証)が上手くいったとしても、すべての部署 ・ 連携キー項目洗い出し / 連携ルール策定
を横断したデータマネジメントの基盤が整備されていないと必要
・ ガバナンス
なデータを入手できず、業務プロセスに組み込むことができませ 関連部署
ん。ならば実用化は無理だねと、結局 PoC だけで終わってしま ・ その他多数
うのです」(阿部氏)。
DX を推進するには、全体の理解 / 組織システム間依存関係の整理 / 高度な連携が求
POINT
められる
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etc.
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経営革新の核となるデータ活用の考え方~経営・顧客・設計・製造が連動したDX基盤のグランドデザインを描く
全社的なデータマネジメントとシステム間データ連携の勘所
その意味でも重要なのは、個別テーマの PoC を繰り返すことで
はなく、経営・顧客・設計・製造が連動した DX 基盤、すなわち 経営ダッシュボード / QCDDM 可視化
全社的なデータマネジメントおよびシステム間データ連携のグラ
ンドデザインを描くことにある。
設計領域 / PLM デジタルツイン
まず設計・製造のデータ連携で必要なのが、リアルタイムのデー SCM / PSI 層 分析 / 予測 / 最適化
タ収集のボトルネックとなっている MES(製造実行システム) 設計情報
領域におけるブラックボックスの解消である。
CAD ERP 層 シミュレーション
「たとえシステムが異なっていても、設計データと工程データが 垂
一体化され、ルール化されて管理されていれば、PLM(製品ライ E BOM 直 設計情報
フサイクル管理)と MES 間のシステムは疎結合で、インタフェー 統 生産計画層
ス設計で連携が可能となります。それぞれの進化は他方に影響を 各種資料 合 CAD
与えることがなく、今後は疎結合がマストになると考えられます」
(阿部氏)。 製造実行システム層 E BOM
M BOM
エッジ層 各種資料
BOP 現場データ収集 / 整形 / 可視化
仕入先 倉庫 製造ライン 倉庫 お客様
POINT 経営・顧客・設計・製造が連動した DX 基盤のグランドデザイン
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経営革新の核となるデータ活用の考え方~経営・顧客・設計・製造が連動したDX基盤のグランドデザインを描く
次に物流・製造のデータ連携では、完成品、モジュール、部材レ そして最終的に目指すのが、エッジデバイスから経営層までデー
ベルでのグローバルでのデータ透明性が必要となる。3PL(サー タ連携させる垂直統合の実現だ。PSI(基幹システム)から MES
ドパーティロジスティクス)など効率を重視するがゆえに個品管 連携までのスコープに関してはすでに構想を描けている企業も多
理が難しくなっているケースがあり、経営効率を重視した際に拠 く、IT のプロフェッショナルがいれば実現可能である。ところ
点間の在庫生産キャパシティをいかにして最適化するのかが課題 が MES レイヤー以下の現場データ(HMI / PLC / SCADA、センサー、
になっているからだ。 設備機器)とのデータ連携まで考慮はされておらず、この壁を払
拭する必要がある。
そうした中でのトレンドとなっているのが、MES と工内物流(工
程で作るものに合わせて材料が供給する体制)のデータ連携およ 「MES レイヤー以下の OT(制御システム)まで連携できないと
びその内製化だ。生産管理システムとあわせ、時間単位、分単位 現実世界で何が起きているかがわからず、ブラックボックスに
といった物流のタイミングに追従できるようにする必要がある。 なってしまいます。この結果として付帯作業が減らない、意思決
定が遅れるといった課題が、品質問題の早期対応などの施策で顕
「スケジューリングと連動した部材管理がリアルタイム連携の肝 著にあらわれています。経営陣は報告を待つしかない、現場は報
となります。具体的には WMS(倉庫管理システム)、AGV(無人 告をするための業務に追われるといった悪循環に陥り、事実が正
搬送車)、スケジューラー間のリアルデータ連携インタフェース 確に伝わりません」(阿部氏)。
が必要となりますが、実はシステム側のハードルはそれほど高く
なく、マッピングなどロジックで対応可能です」(阿部氏)。
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経営革新の核となるデータ活用の考え方~経営・顧客・設計・製造が連動したDX基盤のグランドデザインを描く
DX プロジェクトにブレークスルーを起こす 3 つの取り組み
上記のような課題を踏まえつつ、DX プロジェクトのはじめの一歩として効果を発揮する取り組みとしてマクニカが提唱するのが、下記の 3 点である。
1. 健康診断 2. シミュレーション 3. Fit to Standard
1. 健康診断 機能要素別の成熟度診断 プロセス診断 成果物
まず、健康診断とは現状分析のことだ、レイヤー間 / 部門間の
コミュニケーションのために必ず出発点を合意する必要があり、 自社スコア 業務構造図 業務データベース
DX チームの多くが必要性を感じているものの、さまざまな障壁 業界平均値
があり着手できていないケースが多い。
設計
業務マトリクス 業務負荷・スキル分析
この健康診断におけるブレークスルーのポイントは、部門間 / レ
イヤー間で共通する客観的かつ定量的な現状分析を行い、業務プ
ロセスの可視化をクイックにローコストで実現することにある。 製造 連携度 属人業務分析 コスト分析
例えば「機能要素別の成熟度診断」や「プロセス診断」などは、
自社内のみで行わず、外部に依頼するのがいい。外部に出すこと 全体分析報告 プロセスフロー(BPMN)
で、他社との比較や数多くのテンプレートの利用などが可能にな ・印刷して押印後(誰?)、PDFとして再度取り込む・上司の承認が必要
何のプロセスをキックする?
申請先
申請後の処理を行
レポートを作成する 国内 申請する OK う
申請業務
審査結果
受け取った認可証を保存する
り、自社の立ち位置の把握が容易となる。 認可証は20年の保存義務があるが、実際は半永続購買 標準化(COE) 的に保存するNG 社内の価格表に基づいて、振替払いを行う海外微妙に違うファイル・足らないファ 海外極に申請を委イルが吸収できるように、「その 任する
他」というバッファーを設ける
ただし、「その他」が頻繁に起こる
ようであれば、マスタを編集する
レポートに認可番
号を記載する
申請完了
外部に依頼することで、他社との比較やテンプレートの利用を可能にし、クイック&
POINT
ローコストが実現でき
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申請
PM 安環室 担当者
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経営革新の核となるデータ活用の考え方~経営・顧客・設計・製造が連動したDX基盤のグランドデザインを描く
2. シミュレーション マクニカのデジタル工場導入支援サービスとは?
阿部氏は「体験の共有に勝るコミュニケーションはない」と断言
する。そのため、体験の共有を目的として、工場などの製造現場 必要となるデータをご用意いただくことで、最短 2週間で、コンピューターなどのデジタル空間上に
をシミュレーションして可視化し、「過去こうしていたら今はど 実際の工程・工場のモデルを 7~ 8割程度の精度で構築するサービスです!
うなっていたか」「今こうすると未来はどうなるか」などの検証・
予測を行い、共有することが有効だ。 可視化項目 対象 ※ 1 納品物 価格 ※ 2 モデル作成期間 ※ 3
シミュレーションでは、細部を作り込み過ぎず、全体の傾向を掴 ・各設備の稼働率
むことを重視し、コミュニケーションが円滑に進む状況を早期に ・流動数曲線 ・加工組み立て工場 ・モデル
作りだすことがポイントとなる。 ・中間在庫 ~ 120 万円 2 週間~・工程のみ ・レポート
・設備のログ
「この部分を、いかに短期間で準備 / 調査の負担少なく、低コス ・ワークのログ
トで実現できるかが最も重要です」と阿部氏は強調した。マクニ
カでは、必要となるデータさえ用意すれば、最短 2 週間でデジ ※ 1 無償カウンセリングにて対応範囲を確定いたします。
タル空間上に実際の工程・工場のモデルを 7 ~ 8 割程度の精度 ※ 2 特殊な工程は別途費用がかかる場合があります。ライセンス費用は含まれません。
で構築する「デジタル工場導入支援サービス」を提供していると ※ 3 データ確認に時間がかかるケースがあります。特殊なケースは時間を要する可能性があります。モデル作成着手までに時
いう。 間がかかる可能性があります。
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経営革新の核となるデータ活用の考え方~経営・顧客・設計・製造が連動したDX基盤のグランドデザインを描く
3. Fit to Standard 運用回避 Fit & Gap アプローチ
競争力の
Fit to Standard のアプローチでは、「パッケージ標準を理解する」 Gap アドオン
源泉 開発
ことがスタートポイントとなる。 自社要件 ■ 自社 To Be 要件からスタート
Fit ■ Gap は運用やアドオンでカバー
自社要件からスタートし、パッケージ標準との差分をアドオン開 標準機能 ||
発で実現する Fit & Gap アプローチでは、アドオン開発がコスト PKG 標準 アドオン開発がパッケージの Ver-Up の
になり、将来的なパッケージのバージョンアップに追従できない 無駄 足かせになり将来的なリスクになる
というリスクになってしまう。 不要機能
そこで、業務をパッケージ標準で行うことを基本とし、対応で
きない自社要件は外部のアプリケーションや開発環境で実現し、
API 連携させることを検討するのが Fit to Standard アプローチ Fit to Standard アプローチ
だ。「パッケージで標準化された業務を通じた体験を得ることで
Gap 外部アプリ
こそ、本当に必要な自社要件を定義することができます」と阿部 利用
氏は言う。 ■ パッケージで標準化された業務を通
じての体験で本当に必要な自社要件
を定義
PKG 標準 Fit する
Fit
PKG 標準 ■ パッケージ標準機能からスタート自社要件 ■ 業務は PKG 標準で実施
■ Gap の自社要件は対応可否を検討し、
外部アプリ利用
Fit to Standard アプローチにより開発コスト、導入期間、システム保守性を向上さ
POINT
せることが可能
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経営革新の核となるデータ活用の考え方~経営・顧客・設計・製造が連動したDX基盤のグランドデザインを描く
すでに製造業では DX の必要性を認識しており、DX の必要性そのものを声高
に唱える時代はもはや終わったと認識すべきだ。
「ベンダーの立場として、皆様のやりたいことを、テクノロジーありきではな
く便利に実現していくための支援にこだわり抜きます。しっかりと DX 実現の
ループが回りだすまでマクニカは伴走させていただきます」と阿部氏は語り、
日本の製造業のブレークスルーを後押ししていく強い意志を示した。
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2021 年 6 月
株式会社マクニカ
〒 222-8561 横浜市港北区新横浜 1-6-3 マクニカ第 1 ビル
Tel : 045-470-9118
Mail: consulting-iot@macnica.co.jp
Web:https://www.macnica.co.jp/business/ai_iot/
©Macnica, Inc. All rights Reserved.
※この記事は、IT Leaders(インプレス)にて 2021 年 5 月に掲載されたものです。