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48V化の動向、同社のFactorized Power技術、および配電損失の削減とコスト削減に寄与する最新のPoP(Power-on-Package)技術について紹介しています
記事内容
・サーバから事業者、電動工具まで広範な領域で48V化が進行
・定電圧化と電圧変換の2段に分割。48Vでも高効率・高電力密度を実現
・厚さ2.7mmの電圧変換モジュールをCPU/GPUの直近に貼り付ける
・NVIDIAの新製品や国内最速のスパコンにも採用
・Technical NOTE
その他48V直接給電できる、小型・高効率の汎用レギュレータもご紹介しています。
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このカタログについて
ドキュメント名 | CPUまでの1インチを解消。AI時代の高効率48V電源ソリューション |
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ドキュメント種別 | 製品カタログ |
ファイルサイズ | 1.4Mb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | Vicor株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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Vicor KK
集合写真(左より)
Factorized Power
Vicor Corporation アーキテクチャ
Corporate Vice President, ZVS
SAC(ZVS+ZCS)
電圧変換 絶縁
Product Marketing & Business Development Isolation
Robert Gendron 氏 Regulation Transformation入力電圧 出力電圧
Director, Product Marketing 出力電圧調整
Chester Firek 氏 PRM™ VTM™
Director, Applications Engineering
Paul Yeaman 氏 出力電圧の
定電圧化ステージ 電圧変換ステージ
(非絶縁型 (理想DCトランス)
CPU/GPU
48 - 54Vin
2.0 - 2.3A レギュレータ)
一定電圧 43V 0.9Vout
2.5A 120A
PoP(Power-on-Package)
VTMをサブストレートへ
移動することにより
システムの損失を
約10%減少させる
図1:Factorized PowerとPoPの関係
CPUまでの1インチを解消。AI時代の ⸺ 電源の中で失われる損失を含めると、どうな 定電圧化と電圧変換の2段に分割 VTMでは定電圧化は行いません。電圧をトランスりますか? 48Vでも高効率・高電力密度を実現 によって一定の倍率で落とし、その分、電流量を
Gendron:電源部品と配線上の損失の合計で比 増倍します。
高効率48V電源ソリューション 較すると、12Vバス方式の場合の損失は3.26kWで、これは入力電力の26.6%に相当します。一方、 ⸺ なぜ、長らく12Vバス方式が使われてきたの ⸺ この技術の導入により、12Vバス方式と比べ
48Vバス方式の損失は1.18kWで、入力電力の でしょう? て遜色のない効率を維持できるようになった、と
11.6%に当たります。つまり、損失を2.08kW減 Gendron:コンバータの変換効率に問題がありま いうことですか?
CPUやGPU、FPGAの高性能化に伴い、大電流を効率良く供給できる電源回路が求められている。このため、以前からPOL(point of load)電源やマ らせることになります。 した。かつての部品では、48Vから1V以下の低 Gendron:そうです。現在では、12V向けのマル
ルチフェーズ方式のレギュレータなどが使われているが、加えて近年では中間バスの48V化が進んでいる。例えば、AI処理を実行するサーバやスパコン、 い電圧へ変換する際の電力損失が(12Vから1V チフェーズレギュレータより高い効率を実現してい
5G向けテレコム機器、マイルドハイブリッド車などが48V電源の普及を後押しする。ここでは、10年以上にわたり48V化を推進してきたVicor社に、48V ⸺ 48Vバス方式を採用しているのは、どのよう 以下へ変換する場合と比べて)大きかったのです。 ます。さらに電力密度も向上し、小型のデバイス
化の動向、同社のFactorized Power技術、および配電損失の削減とコスト削減に寄与する最新のPoP(Power-on-Package)技術について、話を聞いた。 な企業ですか? しかし、当社が10年前にFactorized Powerとい で大電流の供給が可能となりました。ただし、問
Gendron:当社は10年ほど前から48Vに対応 う新しいアーキテクチャを採用した製品を市場に 題はまだ残っています。後段のVTMからCPU/
した電源モジュールを提供していますが、この製 投入したころから、変換効率の問題は徐々に解消 GPUまでの�最後の1インチ�の電力損失の問題で
品の最初の顧客はIBM社のスパコンの開発部門 されていきました。 す。この問題を解決するため、昨年(2017年)9
でした。数年前には、Google社のデータセンター 月に「PoP(Power-on-Package)」という技術を
サーバから自動車、電動工具まで Gendron:マルチフェーズ方式のスイッチング 目は中間バス・コンバータとPOLコンバータの間 においてサーバの電源系の電力効率が問題とな ⸺ Factorized Powerとはどのような技術ですか? 発表しました。
広範な領域で48V化が進行 レギュレータは、クラウドサーバやスーパーコン をつなぐ12Vバスで生じる電力損失の問題、3番 り、当社の48V対応品が採用されました。 Gendron:CPU/GPU向けの典型的なPOLコン
ピュータ(スパコン)などの電源回路でよく使われ 目は周辺の信号に悪影響を与える電源ノイズへの バータでは、複数の電圧レギュレータを並列に並
ています。こうしたシステムの開発現場は、今、 対策の問題、4番目はエネルギーの蓄積に必要と ⸺ コンピュータ以外の分野の動きは? べます(マルチフェーズ方式)。当社のFactorized 厚さ2.7mmの電圧変換モジュールを
⸺ Vicor社は、どのような企業ですか? 一つの課題に直面しています。CPUやGPUに対 なるコンデンサのコストや実装スペースの問題で Gendron:テレコム関係では、PoE(Power over Powerアーキテクチャは、これとは大きく異なりま CPU/GPUの直近に貼り付ける
Gendron:当社は創業から38年目の米国企業で、 して100A以上、場合によっては400Aを超える す。2~4番目の問題は、中間バス電圧を12Vか Ethernet)に代表されるように、以前から48V電 す。従来、一つのレギュレータで実現していた給電
電源モジュールや電源システムを開発しています。 大電流の供給が求められているのに対して、従来 ら48Vへ引き上げることで緩和されます。 源が一般的に使われています。最近では欧州のマ 機能を、定電圧化ステージ「PRM」と電圧変換ス
当初はブリック型(直方体の筐体に収めた電源モ 型の電源アーキテクチャでは対応が難しくなってき イルドハイブリッド車や、電動工具など一部の工 テージ「VTM」の2段階に分けて実現します(図1)。 ⸺ PoPとは、どのような技術ですか?
ジュール)の製品を提供していたのですが、15年 ています。 ⸺ 48Vバス方式を採用すると、どのくらい電力 作機械や、電動バイク等で48V電源の採用実績 Gendron:ざっくり言うと、マザーボード上に実
ほど前から高集積のモールドパッケージ品も出荷 損失を減らせるのでしょう? があります。 ⸺ 2段階に分けると、なぜ効率が改善するので 装していた電圧変換ステージのデバイスをCPU/
しています。当社の製品は、高い電力密度、変 ⸺ Vicor社は以前から、分散電源システムの Gendron:例えばデータセンターにおいて、外 しょう? GPUサブストレート(基板)上に移します。電圧変
換効率、拡張性に強みがあると自負しています。 中間バスについて、伝統的な12Vバスに替えて、 部電源からサーバラック、そして15枚のCPUカー ⸺ 国内企業は? Gendron:PRMでは、入力電圧に対して、一 換ステージからCPU/GPUまでの距離が格段に短
48Vバスの採用を提案しています。 ドへ合計9kWを給電するサーバを例に試算する Gendron:大手では、ATE(LSIテスタ)の開発企 定の電圧を出力します。注目していただきたいの くなり、その間の配電損失が減少します。さらに、
⸺ 高性能なCPUやGPU、FPGAの電源は分 Gendron:12Vバス方式の電源には、いくつか と、12Vバスの配電損失が1440Wであるのに対 業が当社の48V対応品を利用しています。また、 は、入力側の電圧が48Vであるのに対し、出力 マザーボードも小型化できます。「CPU/GPUの
散化が進み、大電流の供給に対応しやすいマルチ の問題があります。1番目はPOL(point of load) して、48Vバスではわずか91Wで済みます。中 スパコンやデータセンターの分野でも、2社の企 側が43Vと、ほとんど電圧差がない点です。ほぼ パッケージ基板上にパワーモジュールを実装する」
フェーズ方式(複数の電源回路を並列接続し、位相 コンバータとCPU/GPUの間の距離、いわゆる�最 間バス電圧が上がればその分、供給電流を減ら 業に採用いただいています。今後も、この流れは 同じ電圧で、定電圧化しています。電圧差が少な という意味で、この技術を�Power-on-Package�
をずらして動作させる方式)が主流となっています。 後の1インチ�に起因する電力損失の問題、2番 せるので、I2Rで決まる配電損失は減少します。 続いていくと見ています。 ければ少ないほど高効率を維持できます。一方、 と呼んでいます。
24 Volume.16 2018.3 Volume.16 2018.3APS MAGAZINE APS MAGAZINE 25
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Vicor KK
す。インダクタとDrMOSモジュール(制御IC+
MCD プロセッサに MCM MOSFET)がボードの左右に8個ずつ、合計16個 Technical NOTE
(Multiple Current Driver) 相当する疑似負荷 (Multiple Current Module)
並んでいて、これらがマルチフェーズ方式のレギュ
レータとして機能します。これは非常に一般的な 48V 直接給電、小型・高効率、汎用レギュレータ 「スイッチング電源の原理とレギュレータの効率」
回路ですが、GPU本体より電源回路のほうが、 http://go.aps-web.jp/16-vicor
QRコードアプリで最新情報をご覧いただけます。
面積が大きくなってしまっています。これは異常な Cool-Power ZVS降圧レギュレータ PI352x シリーズ
ことです。次世代のGPUカードでは、さらに供給
電力が増えます。当社の最新のPoP製品であれば、
一つのMCDと二つのMCMで、Tesla V100に搭 データセンター、通信、車載機器向け 容易な設計と拡張性 小型・高電力密度、高効率、
載されているインダクタとDrMOS、20セット分の 広い入力電圧範囲
働きをします。 PI352xシリーズは、48V入力のCool-Power PI352xシリーズは、PCB内740mm2未満の占
ZVS降圧レギュレータの最新製品です。 有面積に、出力インダクタと最小限の受動素子 PI352xシリーズ製品仕様
マザーボード上に配置 CPU/GPUサブストレート(基板)上に配置 ⸺ ほかに採用例はありますか? を加えただけの設計等で、コスト効率の高い設 ・入力電圧範囲:30~60V
Gendron:Top500、Green500にランキン 昨今、照明、通信、車載機器、データセンター 計を実現可能とします。 ・パッケージ寸法:10x14x2.6mm
図2:PoPのデモボード
グされたスーパーコンピュータに採用されまし アプリケーション等において大電力の要求が高
た。このスパコンには、当社が昨年から出荷し まっており、その要求に最適な48Vからの直接 また、PI352xシリーズは、最大3つのレギュレー 5V出力:PI3525-00-LGIZ
ている最大320A出力のPoP製品が搭載され 給電、かつ大電流のPOL(Point-of-Load)のニー タを容易に並列化できる設計がされており、更 ・出力電流:20A
⸺ デバイスの構成を教えてください。 う前提ですが、CPU/GPUサブストレート上に当 ています。 ズが増加しています。PI352xシリーズはこのニー に大きな負荷電流のアプリケーションへと拡張す ・電力密度:274.7W/cm3
Gendron:PoPは、MCD(Multiple Current 社のモジュールを実装する技術について理解し ズに対応した製品です。 ることも可能です。 ・効 率:95.5%ピーク
Driver)とMCM(Multiple Current Module) ていただく必要があります。当社から、MCMの ⸺ 今後、PoP技術はどのようなアプリケーション
の2種類のデバイスから構成されます(図2)。 実装に必要な各種情報を提供いたします。 で使われると考えていますか? より大きな電流供給へ さらに、PI352xシリーズは、I2Cシリアル通信 3.3V出力:PI3523-00-LGIZ
MCDが前段、MCMが後段です。一つのMCD Gendron:2020年に処理能力が1エクサ(1018) 機能を用いることで、自身の動作ステータスを ・出力電流:22A
と、二つまたは四つのMCMを組み合わせて利 FLOPSに達すると言われているHPC(高性能 Vicorは、この電力要求に対応するため、従来 監視することも可能です。 ・電力密度:199.2W/cm3
用します。 NVIDIAの新製品や コンピューティング)の領域です。AIや機械学習、 の48V直接POL向け降圧レギュレータPI354x ・効 率:93.5%ピーク
国内最速のスパコンにも採用 ビッグデータなどのトレンドがHPCの高性能化を シリーズ(10A)に加え、さらに大きな電流(20A) PI352xシリーズは、シンプルかつ、ピーク値で
⸺ 供給できる電流量は? 後押しします。プロセッサに必要な電流は劇的 を供給することができるPI352xシリーズをリリー 97.5%の高効率と高電力密度を実現し、クラス 12V出力:PI3526-00-LGIZ
Gendron:最大500Aです。数百μsの瞬間的な に増加しており、クラウドサーバやスパコンのシ スしました。 最高のパフォーマンスで、より短期間での設計を ・出力電流:18A
ピーク電流については、1000Aを超えるピーク値 ⸺ PoP製品の採用を表明している企業はありま ステム設計は今、大きな転機を迎えています。 可能にします。 ・電力密度:593.4W/cm3
にも対応できます。2017年9月に、最大320Aの すか? 特に、このシリーズの一つであるPI3525-00- ・効 率:97.5%ピーク
電流を供給できる最初のPoP製品を発表させてい Gendron:NVIDIA社です。2018年3月26~ ⸺ HPC以外に注目しているアプリケーションは LGIZは、5V出力レギュレータで、最大20Aを供
ただきました。次に出てくるのがこの500A対応品 29日に米国カリフォルニア州サンノゼで開催さ ありますか? 給し、10x14mm LGA SiPパッケージの形状です。 ※各種評価ボードも準備しております。
で、2018年3月に発表しました。 れた、同社主催の「2018 GPU Technology Gendron:例えば5Gのワイヤレスでは、帯域幅 Vicor KKまでお問い合わせください。
Conference(GTC)」にて、新製品が発表され が現状の100倍になり、それとともに必要な電力
⸺ MCDやMCMのパッケージ構造は? ました。この製品に最大500A出力のPoP製品 も増加します。特に、多数のIoTデバイスがつな
Gendron:中央にプリント基板(PCB)があり、 が採用されています。 がるクラウド型のデータセンターで、より多くの計
部品を実装してその上下を樹脂モールドで覆っ 算能力や電力を必要とします。車載のAIにも注
ています。特徴的なのは、製造方法です。まず ⸺ 最近のGPUカードにはインダクタやレギュ 目しています。自動運転を実現するため、自動車
160mm×40mm程度の1枚の基板に複数、40 レータが多数搭載されています。 にもGPUを積んだボードが搭載されるでしょう。
個分のモジュールの部品を一括実装します。次に Gendron:例えばNVIDIA社の最新のデータ データセンターに次ぐ大きなAIの市場になると予
それを切り分け、個別のモジュールを取り出しま センター向けGPUカード「Tesla V100」を見る 測されているので、当社もこの分野に力を入れて
す。ちょうど集積回路を形成した半導体ウェハを と、従来型の電源回路が基板上の大きなスペー います。
切り分ける方法と同じです。 スを占めています。これをPoP製品で置き換えま
⸺ PoPを使った電源回路の設計は難しくありま
せんか?
PI352x ZVS降圧レギュレータ(左)と評価ボード(右)
Gendron:従来のマルチフェーズレギュレータ Vicorの技術力は、高い変換効率と高い電力密度を発揮しつつ大電流を給電
を使った設計とほとんど違いはありませんが、 することにある。AIなどの用途でますます増加するCPUやGPUへの電力を支
PCBとCPU/GPUサブストレートが違います。 え続けられる数少ないパワーソリューションベンダーだ。Vicorが描く48V対 ■お問い合わせ先 Vicor KK
Vicor KK マーケティング部
電源設計者の方がPCB設計について詳しいとい 応の未来はすぐそこにあり、これからのエレクトロニクスの常識となるだろう。 03-5487-3016 / sales_VicorKK@vicorpower.com http://www.vicorpower.com/ja-jp/
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