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どの程度の水質を試験に用いるか試験毎に検証が必要!HPLC試験に用いる試験用水を検討しました。水質の違いをデータでご確認いただけます。 ぜひ、ご一読ください。
当資料は、日本薬局方「医薬品等の試験に用いる水」に適した試験用水の
精製方法についての技術資料です。
第十五改正日本薬局方で医薬品の試験に用いる水として規定されていた
精製水グレードの水とHPLCで一般的に使用されている超純水を用い、
試験に適した水質の検討を実施。
水質の違いをデータでご確認いただけます。
ぜひ、ご一読ください。
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このカタログについて
ドキュメント名 | 【技術資料】医薬品等の試験に用いる水に適した試験用水の精製方法 |
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ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
ファイルサイズ | 161.3Kb |
取り扱い企業 | メルク株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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Application Note
日本薬局方「 医薬品等の試験に用いる水」 に適した
試験用水の精製方法
メルク株式会社 ライフサイエンス ラボウォーター事業部 石井直恵
緒言
日本薬局方は明治 19 年に初版が出され、現在では 5 年に一度 された「精製水」を用いることが基本とされていた。一方、第
の改正とその間に 2 回の追補が出されいる。平成 23 年 3 月 24 日 十六改正日本薬局方では「医薬品等の試験に用いる水は,試験
に告示された第十六改正日本薬局方では、精製水など製薬用水 を妨害する物質を含まないなど,試験を行うのに適した水とする.」
各条の抜本的改正に加え、通則 20「医薬品の試験に用いる水」 と改められた。これは、試験によって求められる水質が異なるため、
に関する改正も行われた。 一律の「精製水」規格でなくなったのだが、一方でどの程度の水
図 1 に第十五改正日本薬局方と第十六改正日本薬局方以降の 質を試験に用いるか試験毎に検証が必要となった。
ポイントをまとめた。第十五改正日本薬局方までは、通則 20 には そこで、医薬品の試験に用いる水に適した試験用水の精製方法
「医薬品の試験に用いる水は,別に規定するもののほか,「精製 について検討した。本報では、医薬品の試験に最もよく用いられる
水」とする」と規定され、医薬品の試験には製薬用水各条に規定 HPLC 試験に用いる試験用水について検討した。
第十五改正日本薬局方(JP15) 第十六改正日本薬局方(JP16)および
第十七改正日本薬局方(JP17)
日本薬局方の「水」が必要 日本薬局方の「水」が必要
製造(製薬)に使う 分析に使う 製造(製薬)に使う 分析に使う
製薬用水 医薬品の試験に 製薬用水 医薬品等の試験に
(精製水、滅菌精製水、注射用水など) 用いる水 (精製水、滅菌精製水、注射用水など) 用いる水
一般試験法による水質試験 一般試験法による水質試験
例:精製水 精製水 例:精製水 試験に適した水
・酸又はアルカリ ・導電率
・塩化物 ・TOC
・硫酸塩
・硝酸性窒素
・亜硝酸性窒素
・アンモニウム
・重金属
・蒸発残留物
・過マンガン酸カリルム
還元性物質
図 1 第十五改正日本薬局方と第十六改正以降の日本薬局方の比較
The life science business of Merck
operates as MilliporeSigma in the
U.S. and Canada.
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方法
第十五改正日本薬局方で医薬品の試験に用いる水として規定さ UHPLC 構成
れていた精製水グレードの水と HPLC で一般的に使用されている Agilent 1290 Infinity LC システム
超純水を用い、試験に適した水質の検討を行った。 1290 バイナリポンプ
精製水グレードの水と超純水の精製には、Milli-Q Integral* 機器 1290 高性能オートサンプラ
分析タイプを使用した。Milli-Q Integral は純水製造装置と超純水 1290 カラム コンパートメント
製造装置が一体型となっている超純水システムである。純水の精製 1290 Infinity ダイオードアレイ検出器
は RO 膜と EDI 連続イオン交換(RO+EDI 方式)により行われ、 この MaxLight 標準セル(光路長 10 mm)
純水(RO+EDI 水)は日本薬局方精製水グレードの水質である。超純
水を精製する工程は、 イオン交換樹脂、 活性炭、 185/254 nm UV ラ 分析条件
ンプ、 0.22 µm メンブレンフィルターによって行われ、 水質は比抵抗 溶媒 :A 各水、B アセトニトリル
18.2 M Ω ・cm、 TOC 5 ppb 以下となっている。日本薬局方精製水の カラム : Agilent ZORBAX RRHD、SB-C18、
水質規格とRO+EDI水、 Milli-Q Integral超純水の水質を表1に示す。 50 × 2.1(mm)、 粒子径 1.8 µm
分析装置には UHPLC を用いた。 濃縮 :溶媒 A 水、1 mL / 分、60 分
各水はグラディエント溶出前に 1 時間カラムに通水し、濃縮させ グラジエント:0 分 — 5% B、5 分 — 95% B
て分析に供した。 流速 :1 mL / 分
表 1 日本薬局方精製水規格と RO+EDI 水、Milli-Q Integral 水の水質比較 UV 検出 :210 nm
日本薬局方 * 現行相当機種:Milli-Q IQ 7003/05/10/15
精製水規格 RO+EDI 水 Milli-Q Integral 水
導電率( µS/cm @ 25℃) ≦ 2.1 0.1 - 1 0.055
TOC( ppb) ≦ 500 50 - 100 < 5
結果
精製水グレードの RO+EDI 水と超純水の測定結果を図 2 に示す。 一方、超純水では 1 時間の濃縮後であるにもかかわらず、ごくわ
精製水グレードの RO+EDI 水ではゴーストピークが確認され、(U) ずかなピークのみしか観察されず、非常に高純度であり(U)HPLC
HPLC に使用するために十分な水質ではないことが確認された。 に適した水質であった。
mAU mAU
A
140 140 B
120 120
100 100
80 80
60 60
40 40
20 20
0 0
0 1 2 3 4 5 6 min 0 1 2 3 4 5 6 min
図 2 A:RO+EDI 水( 精製水グレード) と B:超純水のクロマトグラム
結言
第十五改正日本薬局方で医薬品の試験用水として規定されてい 製した水を用いればよい.また,ほかの施設などで試験用に製造
た精製水グレードでは、HPLC や UHPLC などの試験においては された水を入手して用いてもよい.」との記載があり、試験実施者
水質が不十分である可能性が示唆された。 が試験に適した水を選定する必要がある。
第十六改正日本薬局方および第十七改正日本薬局方では、参 本結果より、第十五改正までで規定されていた精製水グレード
考情報に「この医薬品等の試験に用いる水としては,試験方法中 では HPLC、 UHPLC などに適していない可能性も示唆され、一般
において別に規定される場合を除いて,「精製水」,「精製水(容器 的に HPLC や UHPLC で使用されている超純水の使用が適すると
入り)」又はイオン交換,超ろ過など適切な方法により試験用に いえる。
謝辞
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