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【導入事例:AutoForm】ドイツ・フォード様 / プレス成形工程の全プロセス・チェーンにAutoFormを導入し、 数千万ユーロのコスト節減に成功
事例紹介
より幅広い部品特性が実現し、低コストの部品を迅速に提供できるようになりました。
「ロバスト性が確かでない限り、プレス成形のスプリングバック見込み補正はできません」。こうコメントするのは、フォード・ヴェルケGmbH(本社:ケルン。以下、ドイツ・フォード)・ダイシステム・スタンピング・エンジニアリング・ヨーロッパのマネージャー、ベルント・クレマー氏です。クレマー氏が明確に指摘するとおり、ハイテン材のプレス成形では、いかなる場合も一度の見込み補正計算でスプリングバックに対応することはできません。同社は数多くのシミュレーションと分析的な評価によって、さまざまな生産条件に対応しています。このアプローチを日常業務に取り入れてから1年以上が経過した現在、より幅広い部品特性が実現し、低コストの部品を迅速に提供できるようになりました。
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このカタログについて
ドキュメント名 | 【導入事例:AutoForm】ドイツ・フォード様 / プレス成形工程の全プロセス・チェーンにAutoFormを導入し、 数千万ユーロのコスト節減に成功 |
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ドキュメント種別 | 事例紹介 |
ファイルサイズ | 1.3Mb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | オートフォームジャパン株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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Case Study
【海外導入事例】ドイツ・フォード
プレス成形工程の全プロセス・チェーンに 【企業概要】
フォード・ヴェルケGmbH(ドイツ・フォード)
AutoFormを導入し、 ドイツ・フォードは1925年にドイツで設立さ
れ、今日までに4000万台以上の自動車を生産
数千万ユーロのコスト節減に成功 しています。ケルン・ニール地区にある本社に
は、50以上の国々から集まった1万7000名
を超えるスタッフが勤務しています。フォード・
「ロバスト性が確かでない限り、プレス成形のスプリングバック見込み補正はできません」。こうコ フィエスタやフォード・フュージョンといった完
成車のほか、モーターやトランスミッション、鍛
メントするのは、フォード・ヴェルケGmbH(本社:ケルン。以下、ドイツ・フォード)・ダイシス 造器具や鋳物なども生産しています。フィエス
テム・スタンピング・エンジニアリング・ヨーロッパのマネージャー、ベルント・クレマー氏です。 タの工場は欧州で最高の生産効率を誇ります。
クレマー氏が明確に指摘するとおり、ハイテン材のプレス成形では、いかなる場合も一度の見込 ケルンにはダイシステム・スタンピング・エン
ジニアリング・ヨーロッパという名称で知られ
み補正計算でスプリングバックに対応することはできません。同社は数多くのシミュレーションと る部署も置かれ、プレス成形部品の冷間プレス
分析的な評価によって、さまざまな生産条件に対応しています。このアプローチを日常業務に取 成形、成形性や工程の検証、また新車種の生産
立ち上げなどを手掛けています。シミュレーショ
り入れてから1年以上が経過した現在、より幅広い部品特性が実現し、低コストの部品を迅速に ン・ソフトウェアの組織的な利用に関しては先
提供できるようになりました。 駆的な部署です。現在では、すべての生産部品
でシミュレーションを実行しています。
ドイツ・フォードの詳細については、www.
ドイツ・フォードは当初、独自開発のシス の変化が起きた中で、とりわけ大きかったの ford.deを参照してください。
テムでプレス成形のシミュレーションをし は組織改編です。4年前、ブランク開発の部
ていました。しかし社内でシステム開発を 署が工程/ FEMの部署と統合されました。
進めるには限界があり、技術革新も急速に また現在では、AutoForm-DieDesigner こうした状況にうまく対処するには、効率的
進んでいたことから、より効率的なシステ のシミュレーション結果を基に最終調整をす なソフトウェアの存在が不可欠です。
ムを検討する必要に迫られていました。複 る専門のスタッフもいます。その調整が済む
数のメソッドを比較した結果、1997年に と、別のスタッフが金型の変更をCADに直 設計案から最終部品まで
AutoFormのソフトウェアを採用。それ以 接反映します。近年、クレマー氏の部署では 新規プレス成形の成形性や生産可能性を
降、一貫して使用し続けています。 担当する業務の数が増え、一つひとつの作 確認するにあたり、ケルンのスタッフは迷わ
同社ではここ数年でソフトウェアの用途が 業量も増加傾向にあります。と言うのも、開 ずAutoFormのソフトウェアを使用します。
拡大し、クレマー氏が率いる部署では技術 発時間が短縮される一方で、品質への要求 ある部品に致命的なスプリングバックが発
者の約半数がAutoFormの製品を活用し が高まり、それに応じてチームが新しいプロ 生した場合、AutoForm-Sigmaによる信
ています。ソフトウェアの導入によって数々 グラムを次々と追加導入しているからです。 頼性の計算を基に部品の公称表面を見込み
補正します(裏面の図1)。このようにしてド
イツ・フォードは、ロバスト性の高い生産を
実現しています。プレスショップで確実に生
産できるおかげで、材料特性の差異などの
諸条件が変わっても信頼性に影響が出るこ
とはありません。ドイツ・フォードは、初期の
設計案から最終部品まで、成形工程のチェー
ン全体をシミュレーション・ツールによって
カバーしています。
より早く、より低コストに
ドイツ・フォードでは現在、開発時間が大
幅に短縮されています。これに寄与したの
が、シミュレーション・ツールを成形工程全
体でシームレスに利用したこと、そしてソフ
フォード・フィエスタのホワイトボディ。AutoFormソフトウェアを使って社内で部品のシミュレーションを実行
トウェア自体の計算スピードの速さとハード
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Case Study
ウェアの最適化です。開発時間を短くしても 過去4年間で約4%増加しました
品質に影響が出ることはありません。より多 (図2)。現在、ドイツ・フォード
くの計算ループを実行し、より迅速に部品の 全車種の材料利用率は欧州メー
変更に対応することができるのです。例え カーのトップレベルにあり、 毎
ば、超ハイテン材( UHSS)を使用する部品 年多額の材料費節減に成功して
でも、リリースまでの修正が平均3~ 4回で います。ブランク・スペシャリス
あるということからも、そのベネフィットは明 トは、材料利用のさらなる効率
らかです。またドイツ・フォードは、金型の 化を目指しています。例えば、ド
試作段階でも時間短縮を試み、コスト削減 ア・インナー・パネルのウィンド
につなげようとしています。 ウの未使用部分に、同じ金型を
図
クレマー氏によると、時間とコストの削 使ってさらに つのプレス成形 1
:1回の見込み補正計算ではロバストな生産を保証できま
2 せん。そのためドイツ・フォードでは、1年以上前から日常業務で
減が特に顕著だったのは、DP材(デュア ができるかどうかを検討してい AutoForm-Sigmaを利用して、ロバストなスプリングバック見込み補
ルフェイズ鋼板)を使用したサイド・メン ます(図3)。 正(右)を実行しています
バーや難成形のトランク・リッド、そしてド
ア・インナー・パネルを生産する工程でし レビューと今後の展望
た。クレマー氏は、一車両のすべての部品で 経験豊富な金型製作者は従
AutoFormのソフトウェアを利用する価値 来、実務経験から得られる直感
があると考えています。この評価は、ドイツ・ を頼りに、新しい工程設計に関
フォードの自動車ボディに用いるプレス成 する専門技術を習得してきま
形部品全体の90%を担当した経験に基づく した。しかしその豊富な経験を
ものです。 持ってしても、市場で需要が高
またドイツ・フォードでは、シミュレーショ まりつつあるハイテン材や超ハ
ン結果を絶えずチェックしています。重要な イテン材に対応することができ
生産パラメータのチェックリストや、FLDレ ませんでした。6年前にドイツ・ 図2:上と比較して下では材料利用率が2%高まったことを示してい
ポートまたは単純なトラフィック・ライトのリ フォードがプレス成形した鋼材 ます。AutoForm-Nestを利用することでドイツ・フォードは数千万
ユーロのコスト節減に成功しました
ストといったドキュメントを評価・査定する の強度は、最高でも600MPaで
ことで、シミュレーション結果と生産の比較 した。現在この値は、多くの部
ができるとともに、FEM計算の脆弱性を特 品で600~ 780MPaに上がっ
定することもできます。クレマー氏の部署に ています。彼らはすでに初期生
所属するプレス成形のスペシャリストは、工 産の経験を積み、それを新しい
程の順序や金型への投資、そして単価など FEM計算にある程度反映してい
の重要事項に関して意見を求められる機会 ます。
があります。AutoFormのシミュレーション ドイツ・フォードが何年もか
を利用すれば、例えばコストを削減するため けて使用してきたソフトウェア・
に5つの工程を4つに減らすことが可能で ソリューションの価値は、ますま
あるかといった判断ができるのです。 す高まっています。しかし、金型
図3:ドア・インナー・パネルのウィンドウの未使用部分に、同じ金
製造へのソフトウェア導入は必 型を使ってさらに2つのプレス成形ができないか検討中。その結
材料利用率向上による追加コストの削減 ずしもスムーズに進んだわけで 果、材料利用率にプラスの効果が表れました
材料利用率はドイツ・フォードが常に重視 はありません。クレマー氏によ
しているポイントです。原材料の価格高騰と ると、受け入れには2~ 3年の時間を要し 成形部品)とシミュレーション結果の間に明
ともに、その重要性がより高まっています。 たといいます。例えば、絞り部品のしわの傾 らかに相関関係があるとわかったその時、
クレマー氏の部署に所属するブランク・スペ 向がソフトウェア上でも同等に表現されて AutoFormソフトウェアはクレマー氏とそ
シャリストは、AutoForm-Nestを使ってブ いるなど、シミュレーション結果が絞り部品 のチームにとって必要不可欠なツールに
ランクやストリップ材を最適に活用していま の生産とほぼ一致したことが、何より説得力 なったと言えるでしょう。
す。その結果、全プログラムの材料利用率が のある議論でした。絞り(より厳密に言えば 画像提供:Ford Werke GmbH
AutoForm News No.7(2012年12月発行)からの抜粋