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エンクロージャー及び_プロセスの冷却
リタールは、システムサプライヤーとしてお客様の個別要求事項に合わせた、効果的かつ高エネルギー効率の環境性に優れた温度管理ソリューションを世界中のお客様へお届けしています。
このカタログについて
ドキュメント名 | 【技術ライブラリ_第2巻】エンクロージャー及び_プロセスの冷却 |
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ドキュメント種別 | ハンドブック |
ファイルサイズ | 14.6Mb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | リタール株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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エンクロージャー及び
プロセスの冷却
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退職前、ハインリッヒ・スティッパ技師は、リタール(本社:ドイツ・ヘルボル
ン市)においてエンクロージャーの温度管理及びプロセス冷却事業の国際
部門長を務めていました。彼は、同分野で多くのプロダクト・イノベーション
を手がけ、ProOzon CFCフリーのクーリングユニット及びマクロプロセッ
サ技術、水冷式熱交換器、ナノ技術及びエネルギー効率の良いエンクロー
ジャー用クーリングユニットなどの発売を牽引しました。ハイン
リッヒ・スティッパ氏は、エンクロージャー及び生産機械の熱放散に関する
斬新な方法を考案し、これまで多数の専門論文や書物の出版、さらに業界
団体や顧客向けの発表を行っています。
スティッパ氏の業績は、Rittal GmbH & Co.KGの国際事業開発気候化部門の担当取締役である
ラルフ・シュナイダー氏からも全面的に支持を受けました。
リタール技術ライブラリ vol. 2
発行者:Rittal GmbH & Co. KG
ドイツ・ヘルボルン市、2013年9月
無断転載禁止
当社の明示的な同意無しに、複製・頒布することを
禁じます。
発行者及び著者は、本文及び表・写真等の作成に
最大限の注意を払っておりますが、内容の正確性、
完全性、最新性に関して責任を負うものではありま
せん。発行者及び著者は、いかなる場合においても、
本冊子掲載情報の利用により生じた直接的又は
間接的な損害に対して一切の責任を負いません。
著作権: © 2013 Rittal GmbH & Co. KG
制作者:
Rittal GmbH & Co. KG
Martin Kandziora, Dagmar Liebegut
2 エンクロージャー及びプロセスの冷却
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序文
地球規模の環境問題やエネルギーコストの上昇を考えると、エネルギー効率は、将来的
な産業生産プロセスにとって重要な問題です。
ドイツの工作機械メーカーはその先進技術によって、エネルギー効率の点で優位に
立っています。
国際市場における競合他社とドイツ製品を差別化するメリットや特長として、精度、
生産性、品質、安全性だけでなく、低エネルギー消費をあげることができます。欧州連合
(EU)は、既にEUP指令においてエネルギー使用製品リストに工作機械を記載しています。
生産プロセスでエネルギーの使用がますます増加するにつれて、エンクロージャー内の
熱損失も急速に増加してきました。
リタールは、エネルギー効率を優先課題とする、高効率の温度管理ソリューションで
この課題に取り組み、温度管理構成品及び冷却システムを開発。従来システムと比較
して40%以上のエネルギー効率の向上を実現しました。
現在、リタールが、エンクロージャー、機械、サーバーラック及びデータセンター用の
温度管理システム分野で国際市場トップであり、技術的リーダーの地位を占めている
のも故なきことではありません。
本書では、エンクロージャー及び機械類用の、未来志向で高エネルギー効率を特長と
する冷却システムの可能性についてご説明します。
ハインリッヒ・スティッパ
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完成品とは、
単なる部品の集まりではありません。
それを超えた価値を生み出します。
この言葉は「、Rittal - The System.」にも同じことがいえます。このことを
念頭に、私たちは革新的なエンクロージャー、配電、温度管理、ITインフラと
いった全ての製品やサービスを1つのシステムプラットフォームにまとめ
ました。充実したソフトウェアツールと世界中にネットワークをもつリタール
だからこそ、生産工場、試験装置、ファシリティ・マネジメントからデータ
センターまで、あらゆる工業用途において類のない付加価値を提供することが
できます。「Faste(r より早く)、bette(r よりよいものを)、everywhere
(世界のどこにでも)。」これがリタールの掲げる原則です。この原則に沿って、
革新的な製品と効率的なサービスから最適な効果が生み出されます。
Faste(r より早く) -「 Rittal - The System.」の多様なモジュラー・ソ
リューションが、システム互換性を保ちながら、お客様の計画立案、組み
立て、変換、試運転の短期化をお約束します。
Bette(r よりよいものを) - 市場の動向を素早く読み取り、製品化します。
このリタールの革新的な強みによって、お客様の競合優位を支えます。
Everywhere(世界のどこにでも) - リタールには世界中に150ヵ所の拠点が
あり、60社以上の現地法人(子会社)、250を越える代理店及び1,000人
以上のサービスエンジニアによってお客様をサポート。創業以来50年以上に
わたって、お客様にご助言やご支援、製品ソリューションをお届けしてまいり
ました。
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nextlevel
for industry
当社のThermソフトウェアや革新的なThermアプリを使えば、個別エンクロー
ジャーアセンブリの温度管理要求事項をとても簡単に計算できます。一方、
リタールの温度管理システムは、どのような用途にも合う最適ソリューションを
提供いたします。
Rittal - The System.
■ Rittal - Therm
■ Rittal - 型式試験済み温度管理システム
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どんなサイズでも温度管理
■ 空気冷却
■ クーリングユニット
■ 液体冷却
■ エンクロージャー用ヒーター
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■ 出力 ― クーリングユニット トップサームはTÜV試験済み
■ 優れた環境性 ― 20年以上の実績があるCFCフリー冷媒
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特長
リタールは、システムサプライヤーとしてお客様の個別要求事項に合わせた、
効果的かつ高エネルギー効率の環境性に優れた温度管理ソリューションを
世界中のお客様へお届けしています。
Faster - Thermアプリでシンプルなプロジェクトプランニング
Better - 効率的で省エネ性に優れた温度管理技術は、TÜV試験済み。
Everywhere - 全世界を網羅するサービスネットワーク
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注文情報 特長
カタログ 技術システムカタログ 技術情報 技術ライブラリ
■ 製品情報 ■ 特長 ■ 図面 ■ 参考資料
■ 注文情報 ■ 根拠 ■ 性能図
■ メリット
■ システム情報
印刷物 ■ – – ■
CD ■ – – –
www.rittal.com ■ ■ ■ –
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情報構造
技術 参考
カタログ 技術システムカタログ 技術情報 技術ライブラリ
■ 製品情報 ■ 特長 ■ 図面 ■ 参考資料
■ 注文情報 ■ 根拠 ■ 性能図
■ メリット
■ システム情報
印刷物 ■ – – ■
CD ■ – – –
www.rittal.com ■ ■ ■ –
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目次
基本原理
なぜエンクロージャーが必要か ·································································································· 18
なぜエンクロージャーの熱対策が必要か ····················································································· 20
熱放散の種類 ···························································································································· 21
熱放散の物理計算原理 ··············································································································· 23
なぜエンクロージャーにはヒーターが必要か ·············································································· 28
積極的熱放散
強制空気循環による熱放散 ········································································································ 32
ファン/フィルター装置による熱放散 ························································································ 33
空冷式熱交換器による熱放散 ····································································································· 37
サーモエレクトリッククーラーによる熱放散 ·············································································· 40
水冷式熱交換器による熱放散 ····································································································· 42
水を使用した直接冷却 ··············································································································· 50
エンクロージャー用クーリングユニットによる効果的な温度管理 ················································· 53
一覧表 ······································································································································ 61
Thermソフトウェアによる温度管理ソリューションの設計と計算 ················································ 62
プロジェクト立案と運用のヒント
プロジェクト立案と運用のための役立つ重要ヒント ···································································· 66
保守 ········································································································································· 71
機械及びプロセスの冷却とは何か
機械及びプロセスの冷却の必要性······························································································· 76
ITクーリング
IT温度管理用の再冷却システム ·································································································· 81
索引 ········································································································································· 90
用語集 ······································································································································ 91
参考文献 ·································································································································· 92
注:
ITクーリング(温度管理システム)発行日 2014年3月
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基本原理
なぜエンクロージャーが必要か ······················································· 18
なぜエンクロージャーの熱対策が必要か ·········································· 20
熱放散の種類 ················································································· 21
■ エンクロージャー表面冷却 ···································································································· 21
■ 空気循環冷却 ······················································································································· 22
熱放散の物理計算原理 ··································································· 23
なぜエンクロージャーにはヒーターが必要か ···································· 28
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基本原理
■ なぜエンクロージャーが必要か
エンクロージャーの主機能は、周囲空気に含まれる腐食性媒体(湿度、水、油性周囲空気、
腐食性蒸気、粉塵など)から内部の電子構成品及び装置を保護することです。
保護が十分でなければ、電子構成品は作動 保護等級は IPコードあるいはNEMAタイ
不良を起こし、最悪の場合には生産システ プ定格で定義されています。
ム全体の停止に至ります。生産システムが IPとは Ingress Protectionの略で、侵入
停止した場合、巨額なコストが発生します。 保護を意味します。保護等級は、2つの英
つまり、ハウジングやエンクロージャーの仕 文字と 2桁の数字から構成され、英文字は
事は、精密で高価な電子部品や超小型電子 常に同じです。
部品を長期間にわたり保護することです。 エンクロージャー構造あるいは制御システ
エンクロージャーの設置場所に依存する周 ム設計の関連規格は、IEC 60 529(VDE
囲条件に関連していくつかの保護等級があ 0470-1)です。
ります。
IP分類、異物及び偶発的接触に対する保護の程度
1桁目の数字 意味
IEC 60 529 異物に対する保護 偶発的接触に対する保護
0 保護無し 保護無し
1 直径 50 mm以上の固形異物に 手の甲による接触に対する保
対する保護 護
2 直径 12.5 mm以上の固形異物
に対する保護 指による接触に対する保護
3 直径 2.5 mm以上の固形異物に
対する保護 工具による接触に対する保護
4 直径 1 mm以上の固形異物に対 ワイヤによる接触に対する保
する保護 護
5 有害量の粉塵に対する保護 接触に対する完全な保護
6 防塵 接触に対する完全な保護
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基本原理
IP分類、水に対する保護の程度
2桁目の数字 意味
IEC 60 529 水に対する保護
0 保護無し
1 鉛直に落下する水滴に対する保護
2 鉛直から 15度の範囲で落下する水滴に対する保護
3 60度の範囲で噴霧される水滴に対する保護
4 あらゆる方向からの水の飛沫に対する保護
5 あらゆる方向からの水の噴流に対する保護
6 あらゆる方向からの強い直接噴流からの保護
7 一時的な水への浸漬に対する保護
8 連続的な水への浸漬に対する保護
NEMA分類
タイプ定格
1 屋内使用エンクロージャーの落下粉塵に対する保護
4 屋内・屋外使用の風に吹き付けられる粉塵及び雨、水しぶき、噴射水に対
する保護、並びにエンクロージャー上の外部氷結に対する保護
4X 屋内・屋外使用の風に吹き付けられる粉塵及び雨、水しぶき、噴射水と腐
食に対する保護、並びにエンクロージャー上の外部氷結に対する保護
12 屋内使用エンクロージャーの落下粉塵、循環粉塵と非腐食性液体の滴下に対
する保護
NEMAとはNational Electrical Manu- 浸透しないことを意味しますが、同時に、
facturing Association(米国電機製造業 電子構成品による熱損失が外部に放散で
者協会)の意味です。 きないことも意味します。
エンクロージャーには高度な保護レベルが
必要です。従って、エンクロージャーには
相対的に不浸透性が求められます。つまり、
周囲環境から影響がエンクロージャー内に
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基本原理
■ なぜエンクロージャーの熱対策が必要か
有害な外部影響としては、油性や多湿周囲空気及び粉塵などのほか、エンクロージャー内
の高性能電子及び超小型電子構成品にとって、熱が最大の敵だといえます。
各個別構成品に対して、最近の電子構成品の 既に述べたように、熱はエンクロージャー
熱損失は大幅に低減されました。しかし、同 内の電子構成品の動作不良を起こす主要な
時に、エンクロージャー内の実装密度が飛躍 原因の一つです。最大許容動作温度から
的に高まり、結果としてエンクロージャー内 10Kの温度上昇があると、エンクロー
の熱損失は 50~ 60%増加しました。 ジャー内の電子構成品の寿命が半減し、故
マイクロエレクトロニクスや新しい電子構 障率は 2倍になります(アレニウスの式を
成品の登場によって、産業用エンクロー 参照)。
ジャー構造に対する要求事項が変化し、エン
クロージャーや電子部品ハウジングからの
熱放散に対する要求事項も変わりました。
最近のエンクロージャー用温度管理システ
ムでは、こうした新動向に配慮して、ベス
トの技術的ソリューションを提供するとと
もに、最適なエネルギー効率を保証するこ
とが必要です。
アレニウスの式
120 % 9.00
8.00
100 % 1
7.00
80 % 6.00
寿 5.00 故
命60 %
4.00 障率
40 % 3.00
2.00
20 %
1.00
0 % 0.00
-10 K -5 K 0 K 5 K 10 K 15 K 20 K 25 K 30 K
温度変化(Kelvin)
1 公称負荷
20 エンクロージャー及びプロセスの冷却