SIer がロボットティーチングの種類と人材育成方法を紹介
株式会社 FA プロダクツ 植地 祐奈
工場自動化の要
ロボットが分かる人材を育成する方法
SIer がロボットティーチングの種類と人材育成方法を紹介
働き方改革も始まり、残業や労働時間の短縮などが多くのメーカーで課題となっています。
そこで、多数のメーカーが産業用ロボットを導入し、人の労力を減らしていく取り組みをし
ているのではないでしょうか。しかし、実際に産業用のロボットを導入した会社の問題点と
して「うまく産業用ロボットを操作できない」という問題です。せっかく産業用ロボットを
導入したが、ロボットを操作する専門の会社に依頼して問題を解決したり、ロボットで作業
をしていた部分を人での作業に戻したりなど、ロボットを上手く使えない問題が発生して
います。そこで今回は、産業用ロボットを操作するうえで必要な「ティーチング」について
ご紹介します。基礎から人材育成の方法までを記事にしましたので参考にご覧ください。
目次
1.ロボットティーチングとは
(1)ロボットティーチング
①現場での時間短縮ができる
②問題点を先に洗いだせる
③ロボットを壊す可能性が下がる
(2)オンラインティーチング
2.ロボットのティーチングには「特別教育」の資格が必要
(1)資格の取得場所と金額
(2)80w 未満の協働ロボットであれば資格は不要
3.人材不足のティーチングマン
4.自社でティーチングマンを教育するには
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1. ロボットティーチングとは
ロボットのティーチングとは「ロボットに動きの指示を教え込むこと」をいいます。ロボ
ットは購入しただけでは思い通りに動いてくれません。ラインに合わせて、「どういう条
件のときに、どういう順番で、どういう姿勢で動かす」かを指示する必要があります。ロ
ボットのティーチングの種類ですが、大きくわけると下記の 2 つです。
手法 詳細
① オフラインティーチング ロボットがいない場所でロボットの動作となるプロ
グラミングを組み込む
② オンラインティーチング 実際にロボットの前でペンダントと呼ばれる道具を
使用してプログラムを組み込む
上記の説明でもオンラインティーチングとオフラインティーチングの違いをご理解いただ
けたかも知れませんが、より詳しく説明していきます。
(1) オフラインティーチング
スマホやタブレット、パソコンからロボットの操作内容のプログラムを入力し、「ロボッ
トが実際に目の前にない状態で」ロボットの動作を組み立てて入力していく方法です。ほ
とんどの工場の現場ではこちらが活用されています。
メリットとしては、下記の 3 つです。
1. 現場での時間短縮ができる
2. 問題点を先に洗い出せる
3. ロボットを壊す可能性が下がる
次は、それぞれの詳細について説明します。
① 現場での時間短縮ができる
スマホやタブレット、パソコンの画面を通じてある程度の動きをティーチングしておき、
ロボットの動きのベースとなる部分をティーチングします。ロボットに大まかな動きをオ
フラインティーチングで組み込み、動作を確認して、ロボットの動きに問題がなければ、
実際のロボットに動きを転送して動かします。デバイスの画面では、3D の画像を元にプ
ログラムを組みロボットを動かして確認作業を行っていきます。その後、現場でのテスト
では、ロボットを動作する際の細かい修正点だけで済むので、スムーズにテストが終わり
ます。そうすると、現場での「ロボットを導入するまでの時間」が短縮されるので、大き
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なメリットとなるのです。いわば、実験やサンプルテストのような部分をオフラインで効
率的に行うのです。
② 問題点を先に洗いだせる
事前にティーチングをしておけば、実際に現場で動かす前にシミュレーション動作を確認
できます。ロボットがミスなく動作するかどうか、想定の作業時間通りいくかどうかを確
かめることができます。そこである程度のロボットの動きを把握できるので、問題点を早
期に洗い出せます。
③ ロボットを壊す可能性が下がる
オフラインでシミュレーションを行ってから、実際の現場に導入するので「操作ミスでう
っかりロボットを違う部分にあてる」などで、ロボットを壊す可能性が低くなります。や
はり、オンラインで全てをティーチングして進めていくと、思いもよらぬ操作ミスをして
ロボットを壊してしまう可能性もあります。安全面も含めて、オフラインでしっかりとテ
ィーチングを行うことがポイントです。
(2) オンラインティーチング
オンラインティーチングとは、実際にロボットの前で、ティーチングペンダント(リモコ
ンのようなもの)を使用してロボットに動きを組み込んでいくことをいいます。メリット
としては、ロボットのティーチングの経験が浅い方に向けての教育として「わかりやす
い」点です。ロボットティーチングの教育の場として利用するのは、オススメです。”百聞
は一見にしかず”でロボットの動作方法を目で見て、早く覚えることができます。実際にロ
ボットの動作をひとつずつ確認しながらティーチングしていくので、作業時間はかかりま
すが、正確に緻密にティーチングが行えます。デメリットは、ティーチングにかなりの時
間がかかる点や事故のリスクがあることです。そのため、ロボットを導入するに際の多く
では、オフラインティーチングでロボットの動作を先にシミュレーション・ティーチング
していく方が主流です。
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2. ロボットのティーチングには「特別教育」の資格が必要
80w 以上のロボットのティーチングには資格が必要となります。これは国として法律で
定められています
労働安全衛生法第 59 条第 3 項
事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるとき
は、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の
教育を行なわなければならない。
引用:労働安全衛生法 第六章 労働者の就業に当たっての措置(第五十九条-第六十三条)
「産業用ロボットの教示等の業務に係る特別教育」が正しい資格の名称です。この資格が
ないと 80W 以上のロボットは操作できないので、必ず取得してからロボットの操作を行
ってください。また、操作だけではなく、ロボットに関わるメンテナンスを行う上でも必
要な資格ですので、ロボットに携わる方の全ての方の資格取得が必要です。
(1) 資格の取得場所と金額
「産業用ロボットの教示等の業務に係る特別教育」は、各都道府県の労働基準協会連合会
や特定のロボット製作会社、システムインテグレーター会社で受講できます。講習の内容
としては、ロボットを操作する時の基礎から安全について説明があり、簡単なテストを受
けて修了証が発行されます。弊社では教示等、検査等どちらにも対応しておりますので、
お気軽にお問い合わせください。また、自社に産業用ロボット導入を検討される場合はエ
ンジニア同席のもと装置に関するお打ち合わせが可能ですので、ぜひご活用ください。
(2) 80W 未満の協働ロボットであれば資格は不要
従来では、使用されているモーターの定格出力が 80W を超える場合には、柵または囲い
を設けて人とロボットの作業空間を隔離する必要がありました。しかし、2013 年 12 月
24 日の厚生労働省通達(基発 1224 第 2 号)により労働安全衛生規則の一部を改正する
省令が施行されました。「ロボットメーカー、ユーザーが国際標準化機構(ISO)の定め
る産業用ロボットの規格に準じた措置を講じる」場合に、柵または囲いを設けなくても良
いという規制緩和が行われたのです。これにより、80W 以上の産業用ロボットでも人と
同じ作業空間での稼働が可能になりました。省スペースかつフレキシブルな生産を叶える
協働ロボットや産業用ロボットのシステムの構築が期待されています。なお、資格が不要
であっても、適切なリスクアセスメントの実施とシステム構築が必要とされるため、産業
用ロボットおよび周辺機器の正しい知識を得る機会を特別教育によって提供しています。
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3. 人材不足のティーチングマン
ロボット導入の需要増加に伴い、ロボットをティーチングする「ティーチングマン」が不
足しています。また需要だけではなく、「理解するまでが難しい」というイメージが一般
的にあります。「ロボットを動かすなんて無理だ」というイメージもティーチングマンが
不足している要因です。そのため、ロボットを導入しても、ロボットでも問題が起きるた
びに「ロボット操作を専門業者に依頼する」メーカーが多くあります。ロボットのティー
チングはプログラムの仕組みの理解と、ある程度の経験さえあれば誰でもできます。その
ため、この機会に資格を取得するのも 1 つです。
4. 自社でティーチングマンを教育するには
自社でティーチングができる人材を育成するには、まずはロボットを操作するために人材
を確保します。その後、資格を習得し、経験のあるロボット SIer に教えてもらいながら
ロボットのティーチングの業務に移ります。その後、自社でのロボット操作のマニュアル
を作成していきます。マニュアルを作成すれば、ロボット操作できる人材であれば誰でも
同じように操作できるようになります。それにより、人材の教育にもつながります。注意
する点としては、ロボットのティーチングに興味がある人材を選ぶことです。ロボットの
ティーチングに適している人材の選び方は、以下の項目を参考にしてください。
• プログラミングの経験者
• 電動製品の修理が得意
• 手先が器用
この項目に該当する人材をロボットティーチングマンとして育成すれば、知識が豊富な人
材となり、2 台目や 3 台目のロボットを導入する際にさらに効率的に導入できるように
なるでしょう。
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