1/2ページ
ダウンロード(538.1Kb)
このホワイトペーパーでは、食品製造業における人手不足を解決するために、ロボットをどのように導入し、活用していけばいいかをまとめています。
掲載内容
1.食品製造業における人手不足の状況と原因
2.なぜ食品製造業では生産性が上がらないのか?
3.食品工場でのロボット導入の可能性と対応
◆詳細はカタログをダウンロードしご覧いただくか、お気軽にお問い合わせ下さい。
このカタログについて
ドキュメント名 | ロボットは食品工場の人手不足を解消できるのか?- ①ロボット導入のハードルと対策 - |
---|---|
ドキュメント種別 | 製品カタログ |
ファイルサイズ | 538.1Kb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | エプソン販売株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
この企業の関連カタログ
このカタログの内容
Page1
White Paper
ロボットは食品工場の人手不足を解消できるのか︖
- ①ロボット導入のハードルと対策 -
多くの製造業者にとって、工場の人手不足は大きな課題となっています。特に食品工場では人手不足が深刻であり、その一因として、ロボットなどの
設備を活用した自動化が進んでおらず、労働生産性が低いことが挙げられます。このホワイトペーパーでは、食品製造業における人手不足を解決する
ために、ロボットをどのように導入し、活用していけばいいかをまとめています。
このホワイトペーパーの要点
製造業の中でも、食品製造業は特に人手不足が深刻であり、その要因の一つは労働生産性が低いことである。
食品製造業の労働生産性が低いのは、食品業界特有の事情で、自動化が進んでいないことである。
自動化を進め、労働生産性を高めるには、省人化効果が高く、導入ハードルの低い工程から取り組むべき。
す。工員が作業に熟練したり、設備の自動化を進めたりすることによって、
1.食品製造業における人手不足の状況と原因
同じ工員数でより多くの売上や粗利益を生み出すことができるようになる
■食品製造業では、他の製造業と比べても人手不足が深刻 と、労働生産性は高まります。
冒頭でお話ししたように、製造業では常に、工場を安定的に稼働さ 食品製造業は、この労働生産性が他の産業より低いことが課題にな
せるための人員の確保が課題になります。一方で、国内は少子高齢化 っています。総務省の「経済センサス(平成 26 年)」によると、食品製
の影響もあって慢性的な人手不足の状況であり、特に、食品製造業で 造業の労働生産性は 6.1 百万円/人で、製造業平均の 11.4 百万
はその問題は深刻です。 円/人を大きく下回っています。これはすなわち、食品製造業では、同じ
食品製造業は製造業全体の約15%の従業員(約113万人)を抱 売上を上げるにも他の産業よりも多くの人が必要であり、かつ賃金も上
え、国内でも最大級の雇用を生み出している産業と言えます。一方で、 げづらい(そのためさらに工員が集まりにくくなっている)ことを意味します。
食品製造業は他の製造業と比較して欠員率(常用労働者に対する したがって、食品工場の人手不足問題を抜本的に解決するためには、
未充足の求人人員数)が慢性的に高く、2020 年には他の製造業者 労働生産性を高めることが重要と言えます。
の 2倍もの数値になっています(図表1)。
2.なぜ食品製造業では生産性が上がらないのか︖
図表 1 食品製造業の欠員率
4% ■工場の自動化が進まないことが、低生産性の一因
3% 労働生産性を高めるには、作業者のスキルを向上させて作業効率を
2.0% 高めたり、工程の自動化を進めたりすることが必要です。これらは両方
2%
1.8% 追求すべきですが、このホワイトペーパーではロボットやその他の装置を使
1%
1.0% った「工程の自動化」に焦点を当てたいと思います。
0% 食品製造業では、他の製造業と比べても製造工程の自動化が進ん
2017 2018 2019 2020
全産業平均 製造業平均 食品製造業 でいないと言われます。その主な原因は、次の 3 つです。
① 多品種生産や衛生管理への対応が必要なこと
出所︓厚生労働省「雇用動向調査」を基に作成
② 導入費用の負担が大きいこと
■労働生産性が低いことが人手不足の原因 ③ ロボット導入の目利きができる人材が不足していること
それでは、なぜ製造業の中でも特に食品製造業で人手不足が深刻 以下で簡単に確認していきましょう。
になるのでしょうか。その要因の一つと言われているのが、食品製造業の ■食品工場特有の多品目への対応と衛生管理
労働生産性の低さです。 食品工場で作られる製品は多品目に渡るうえ、短期間でレシピ
昨今、働き方改革などで耳にすることが増えた「労働生産性」という言 や品目が変わることも多々あります。このような食品工場特有の事
葉ですが、これは「労働者当たりの付加価値額の大きさ」を指す言葉で 情は、ロボットの導入を妨げる大きな要因になっています。
また、食品の製造には厳しい衛生管理が求められます。ロボットに
1
Page2
White Paper
は塗料剥がれや機械破片の混入のリスクがあり、原材料を直接触 図表 2 工程ごとの必要人員
る工程ではこれらの対応も課題になります。
■導入費用の負担が大きい
ロボットや生産装置は、設備装置そのものよりも、商品やラインに
合わせたカスタマイズ(インテグレーション)にコストがかかります。食
品工場では先述の多品目への対応等の理由から個別のカスタマイ
ズ・開発にコストがかってしまうことが多く、このことも導入のハードルに
なります。特に、製造業の中でも中小零細企業が多い食品製造業
では、費用面のハードルは高いと言えます。
■導入の”目利き”ができる人材がいない
ロボットを導入するには、①自動化できそうな工程を見極めて、 図表 3 導入のハードルが低い工程
②導入する装置を決めて、③実装(インテグレート)する、というプ
ロセスが必要です。このような目利きには、経験や知識が必要であり、
自動化に慣れていない食品製造業にとってはなかなかハードルが高
くなっています。また、ロボット導入後の工場管理についても、知見を
有した人材の確保・育成が必要です。これらの人材を確保するハー
ドルが高いことも、ロボット導入を妨げる要因となっています。
3.食品工場でのロボット導入の可能性と対応
■どうすればロボットによる自動化を進められるのか︖
これらの課題を抱えながらも、人手不足解消のためにロボットを導入 ■SIer やロボットメーカーに過去の事例を尋ねる
し、自動化を進めるにはどうすればよいのでしょうか。具体的な検討ステッ とはいえ、自動化できそうな工程を一から自分で見つけていくのはなか
プは続編のホワイトペーパーで説明することとして、今回は対策のポイン なかハードルが高いのではないでしょうか。そのような場合には、ロボット
トを 3 つ紹介しようと思います。 SIerと呼ばれる事業者やロボットメーカーに、過去に似たような業種での
■「人員削減効果が大きくて」「汎用的な作業が多い」工程を狙う 導入事例がないか相談してしまうのが手っ取り早い方法です。事業者に
ロボット導入の効果を高めつつ、導入費用や技術面のハードルを下げ よっては、ホームページなどで、業種別に導入事例を公開していることも
るには、人員削減効果が大きい(すなわち人手がかかっている)工程 あります。自社と同じような工程を自動化している事例があれば、その事
で、汎用的な繰り返し作業が大きい工程から取り組むことがポイントです。 業者に話を聞いてみるとよいでしょう。過去に実績のある自動化であれ
食品工場における製造工程を分解すると、特に人手が集中している ば、インテグレートのコストも低く抑えやすい傾向があります。
のは、「原料処理」、「食品製造・加工」、「包装・充填」の 3 つの工程と ■補助金を上手に活用する
言われます。(図表2) 費用面のハードルをクリアする方法としては、国や自治体の補助金を
ではこの中で特に汎用的な工程はどこかというと、「包装・充填」になり 活用することが挙げられます。
ます。例えば、個包装の食品を箱に詰めたり、容器のふたを閉めたりする 補助金は経産省などの省庁や自治体、商工会議所などのホームペ
ような作業は、多くの工場で同じように行われている汎用的な繰り返し ージなどで取り上げられているほか、ロボットメーカーも活用できる補助金
作業です。ロボット導入を検討する際には、このような工程から順に自動 を紹介していることが多いので、積極的に調べて活用してみましょう。
化に取り組んでいくのが、最もハードルが低い方法と言えます。(図表 3)
工場の自動化・ロボット導入に関するお困りごとがあればご相談ください。
2