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製造作業の向上を実現

事例紹介

カーボンファイバー対応3Dプリンタ

製造業において、日々の問題を解決することは容易ではありません。より多くの生産を、時には非現実的な時間内に行わなければならないこともあります。また、品質を向上させ、万が一設備の故障が発生した場合には、生産再開のためにあらゆる手を打たなければなりません。さらには、KPI(重要業績評価指標)の 1 つに、コストを削減しながら生産性を向上させることが含まれている企業も多くあることでしょう。製造業のエンジニアや生産管理者の方なら、心当たりがあるのではないでしょうか。これは、達成困難で
矛盾した目標であり、リソースが常に不足している中で、このような事態を改善することは本当に可能なのでしょうか?従来のやり方を見直すことで、わたしたちはそれが可能であることをお伝えしたいのです。新たな方法での運用を採用することで、作業の効率、安全性、費用効果を高めることができる可能性があり、多くの企業がその取り組みによって成果を上げています。本書では、従来の金属製治工具を補完するために3Dプリンタによる治工具製作を組み込むことについて、そのメリットと合わせてご説明します。

このカタログについて

ドキュメント名 製造作業の向上を実現
ドキュメント種別 事例紹介
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取り扱い企業 株式会社ストラタシス・ジャパン (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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ストラタシスF3300
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株式会社ストラタシス・ジャパン

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カーボンファイバー対応 3Dプリンタで、 製造作業の向上を実現 課題 製造業において、日々の問題を解決することは容易ではありません。より多くの生産を、時には非現実的 な時間内に行わなければならないこともあります。また、品質を向上させ、万が一設備の故障が発生した 場合には、生産再開のためにあらゆる手を打たなければなりません。さらには、KPI(重要業績評価指標) の 1つに、コストを削減しながら生産性を向上させることが含まれている企業も多くあることでしょう。 製造業のエンジニアや生産管理者の方なら、心当たりがあるのではないでしょうか。これは、達成困難で 矛盾した目標であり、リソースが常に不足している中で、このような事態を改善することは本当に可能なの でしょうか? 従来のやり方を見直すことで、わたしたちはそれが可能であることをお伝えしたいのです。新たな方法での 運用を採用することで、作業の効率、安全性、費用効果を高めることができる可能性があり、多くの企業が その取り組みによって成果を上げています。本書では、従来の金属製治工具を補完するために3Dプリンタ による治工具製作を組み込むことについて、そのメリットと合わせてご説明します。 ソリューションガイド
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2 カーボンファイバー対応 3Dプリン タで、製造作業の向上を実現 製造作業においては、製品の製造をサポートするためにさまざまな治具、固定具、およびそれに類する 治工具が使用されています。こうした治工具は生産工程に欠かすことのできないものです。一般的には 多くの製造業が、マシニング加工した金属部品をボルト締めしたものか、溶接した従来の工具に頼っている のが現状です。3Dプリンタで造形した治工具には、従来の治工具と比較して、様々な点でメリットがあ ります。3Dプリンタで作られた工具には、従来の工具にはない利点があります。 この説明に入る前に、製造用治工具に関する現在の考え方を詳しく見てみましょう。製造現場で使用される 治工具は、おそらく特定の生産量と品質レベルを達成するのに十分な最低限のものに抑えられているの ではないでしょうか。その理由は、治工具を製作するには費用がかかる上に、熟練した機械工のスキルが 必要とされるからです。また、標準的な製造性考慮設計の制約によって治工具の形状が制限されます。 一般にサブトラクティブマシニング加工では、多くの材料が無駄になっています。 さらに、CNCマシニング加工、溶接、組み付けといった従来の方法で製作される治工具は、完成までに 長い時間がかかります。治工具の製作を外注した場合は、ベンダーのバックログ、製造時間から出荷まで を考慮した時間が納期となります。納期については、治工具を内製する場合にも同様の制約があること でしょう。さらに、治工具を内製する場合は多くのリソースを必要とし、本来なら収益を生み出す生産に 使用できたリソースを消費することになります。仮に本来の生産に影響のない社内の機械工場を使用する にしても、3Dプリンタを使えば簡単に造形できるような治工具のために、なぜ貴重な人材である熟練した 機械工が作業時間を割く必要があるのでしょうか? 金属製の治工具は重く、大型であれば取り扱いも容易では ありません。作業者には無理な負担がかかり、負傷する 可能性もあります。治工具の移動にオーバーヘッド クレーンと昇降機が必要となると、作業の進行に遅れが 生じます。多くの場合、こうした治工具は作業だけを目的 としたものであり、使う人のことは考慮されていません。 つまり、治工具が作業者にとって使いやすいように設計 されているのではなく、作業者が治工具に順応しようと しているのです。そのため、疲労や反復動作による負傷の 一因にもなっています。 治工具に関するこうした考え方は、ほとんどの製造作業で 当たり前のこととされており、今もなお続いています。 しかしそれは、本来であれば改善するはずのオペレー ションが逆に制限されることになるとも言えます。治工 具は製造を楽にしてくれるものなので、このような話は つじつまが合わないと思われるかもしれません。しかし、 治工具が非常に高価で、採算を取るのが難しく、製作に 長い時間がかかるもので、尚且つ扱いにくいものである なら、そうした治工具をたくさん増やすことが本当の意味 での改善策なのでしょうか? ほとんどの製造業者は 何とかやりくりし、現状を維持することがビジネスを行う うえでのコストだと考えています。マシニング加工に ついては、生産能力を高めるためにさらなる工作機械の 追加をすることもあります。しかし、工作機械の追加は 高価なソリューションであり、見つけるのが困難なリソース である、熟練したオペレーターを必要とします。 ソリューションガイド
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3 現状維持の落とし穴 現状に留まることで、製造現場での日常の課題は改善されるのでしょうか? 現状維持は安全策に見えるかも しれませんが、それはおそらく従来の方法に慣れているというだけかもしれません。状況が改善されている わけではないのかもしれないのです。米大手企業、キャタピラー社とゼネラルモーターズ社(GM)の 事例を見てみましょう。この 2社の課題とご自身との経験に共通点があるかどうか、確認してみてください。 避けられない製造の中断 建設機械、採掘装置、ディーゼル エンジン、天然ガスエンジンなど の産業用製品で世界をリードする キャタピラー社は、製造に関する さまざまな課題に直面しています。 その一例として、3500シリーズ エンジンのドリル加工があります。 あるマシニング加工で使用していた ドリルコレットが破損し、生産が ストップしてしまいました。代替の コレットを調達するのに 4週間は かかります。社内でマシニング加工 すれば速く調達できますが、それでも 3交替制で 3日かかります。 部品交換やマシニング加工にかかる 費用は 700~ 1000ドル程度です が、従来の手法で問題を解決するた めに失われる生産時間は数十万ドル にも相当します。 ゼネラルモーターズ社でも、「シボレー・エクイノックス」というクロスオーバー SUVの製造の際に同じ ようなことが起こりました。GMは、板金パネルの接合用にさらに優れた治工具を探していました。こうした 治工具は、毎年、車種に合わせて変える必要があります。伝統的に板金パネルはアルミニウムをマシニング 加工して作りますが、リードタイムは 10週以上かかるのが一般的です。重量もあり、持ち上げるには リフトによる補助が必要です。また、試作段階で使用した治工具の構成は、設計変更に伴い変更しなければ ならないこともあります。製造スケジュールに間に合わせなければならないため、10週間というリードタイム では、新しい治工具は製造チームの悩みの種となっています。 このような状況にどう対処しますか? 従来の方法で新しい治工具を製作する時間と費用をマイナス面として 受け入れ、ビジネスを行うためのコストとして諦めますか? 自動車や重機の製造でなくても、この 2つの例で示すポイントはおそらくどこの製造メーカーでも抱えて いる課題の一つと言えるでしょう。つまり、治工具の破損、欠陥、効果の限界、老朽化によって生じる 一時的な製造の中断など、規模の大小および高度化のレベルを問わず直面する課題である一方で、 従来の解決方法では、十分に競争力を発揮するのは難しいということです。 ソリューションガイド
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4 ソリューション キャタピラー社とゼネラルモーターズ社はともに、 優れたソリューションを見つけました。両社は、従来 の方法での治工具の製作に伴う典型的な障害、 つまり時間と費用を受け入れることはしません でした。その代わりとして選んだのが、3Dプリンタ による治工具の製作です。 規模の大小を問わず、あらゆる製造メーカーが この同じソリューションを利用できるということが 言えます。 マシニング加工の代わりに、FDM®方式の 3D プリンタを使用して、耐久性に優れた熱可塑性 プラスチックを材料とする治工具を造形します。 それが、工場での現場作業を改善する鍵となり ます。3Dプリンタで造形した治工具を使用する ことで、生産性と品質を高め、コストを削減し、労働 災害の減少などにも役立ちます。こうした治工具は、 製造工程、品質管理と点検、安全衛生管理、梱包、 ロジスティックスなど、実質的に製造プロセスの 3Dプリンタで造形したこのカーボンファイバー治工具は、大型トラックの組み立て ほぼすべての分野にメリットをもたらします。 ラインで使用され、車軸Uボルト座板に対する正確なボルト位置決めを実現 コスト削減 アディティブ・マニュファクチャリング(AM)の 治工具は一般的に低コストで製造することができ ます。プリンタのコストの次に必要なものは、 治工具の造形に必要な量の材料だけです。これに 対して、サブストラクティブ・マシニング加工では、 相当な量の材料が無駄になってしまいます。CNC フライス盤とは異なり、3Dプリンタには専任の オペレーターも高度なスキルを持つ技術担当者 も必要ありません。3Dプリンタのオペレーション が開始した後は、部品が完成するまで人間が介入 する必要はありません。そのため、チームは別の 作業に集中できます。 リードタイムの短縮 リードタイムの短縮も非常に重要なメリットの ひとつです。3Dプリンタを使用すると、従来の 方法よりもはるかに短い時間で治工具を製作でき ます。3Dプリンタで制作することにより、外注や 社内の機械工場で発生する典型的な遅延を回避 できます。3Dプリンタに治工具の製作を採用した 企業は、従来の治工具製造プロセスと比較して この金属成形金型のように 3Dプリンタで造形した治工具は、マシニング加工の 80~ 90%の制作時間短縮を実現しています。 治工具よりも短時間で製作でき、さらに低コスト これは、治工具の破損によって生産が一時停止した 場合や、新たな生産ライン用に新しい治工具を 用意する必要がある場合に特に大きな意味を持ち ます。夜間に 3Dプリンタで治工具を製作できる ようになったことで、生産停止時間を極めて最小限 に抑えることができます。 ソリューションガイド
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5 重量があり、大きくて扱いにくい自動車用ガラス取り付け固定具(左)と、3Dプリンタで造形した軽量でエルゴノミクス性に優れる低コストの代替装置(右) 設計調整の迅速化 3Dプリンティングでは、治工具の設計をはるかに効率よく調整できます。治工具を造形し、使用してみて 変更が必要なら、CADの設計を修正し、簡単に造形し直すことができます。そうすることで、治工具の最適な 設計を実現できるのです。マシニング加工する治工具の場合、このような調整は時間と費用の問題により ほとんど実現不可能です。 容易な最適化 設計の自由度によって典型的な製造上の制約を回避できるため、さらなる利点があります。たとえば、3D プリンタで治工具を製作する場合は材料密度を変えられます。臨界応力点では密度を高め、応力のかからない 場所では低くします。また、この可変性は 3Dプリンタでの造形中に自動的に処理されます。その結果、よ り軽量でより使いやすい治工具となります。金属製の治工具で同じ目的を達成することは、不可能ではない としても困難です。また、この機能によってより人間工学に基づいた治工具を造形できるため、実際の作業 がさらに容易で効率的なものになります。 低コスト、製作時間の短縮、優れたデザインといった利点を組み合わせることで、製造工程でさらに多くの 治工具を製作・導入し、既存の治工具が破損した場合でもすばやく対応することが可能になります。製作の 迅速化により、新しい生産ラインを立ち上げるのに必要な時間も短縮されます。これまでは時間または費用の 理由により、作業の効率と精度を高める治工具についての妥当性が明確ではありませんでしたが、3Dプリンタ による新しい方法は、作業を容易にし、効率を高めます。また、組み立てラインにフィットチェック用のツール を導入すれば、品質不良にいち早く気付き、対処することができます。その結果、生産工程全体でコスト 削減と効率向上という複合的な効果が得られます。 ソリューションガイド
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6 カーボンファイバーの利点を活用 熱可塑性プラスチック製の治工具は、金属製の治工具の代わりとなる十分な強度があるのでしょうか。 もちろん、その答えは具体的な用途の違いに左右されますが、現実は驚くべきものかもしれません。 多くの場合、熱可塑性プラスチックの強度は作業を行う上で何の支障もありません。何か欠けるものが あっても、十分な剛性が確保されます。カーボンファイバーで補強された複合材料によって剛性が修正 されており、母材の機械的特性が大幅に変更されました。これにより、金属をはるかに上回る軽量化を 維持しながら、材料の剛性がさらにアップしています。 一部の製造業者にとって、熱可塑性プラスチックから治工具を製作するのは発想の大転換と言えます。 しかしながら、3Dプリンタで熱可塑性プラスチックを使用する効果を考えれば(材料のマシニング加工 または成形との比較で)、プラスチック製の治工具に切り替えるという決断は格段に容易になります。 したがって、3Dプリンタで造形するプラスチック製治工具の利点を享受しつつ、さらなる強度と剛性が 必要であれば、カーボンファイバーで補強された複合材料がその答えとなります。これによって、製造 メーカーは適切な状況下で、設計上の制約がなく、迅速に製作して導入でき、製作にかかる人件費も ずっと少なく抑えられるソリューションに、金属製治工具を置き換えることができます。 ストラタシスが現在提供するカーボン充填熱可塑性プラスチックの複合材料には、「ABS-CF10」、 「FDM® Nylon-CF10」、「FDM® Nylon 12CF」の 3種類があります。以下の情報では、それぞれに ついて詳しく見ていきます。 このロボティックアームのエンドエフェクターはABS- CF10カーボンファイバーを材料とし、軽量ながら、重量 のある金属製エンドエフェクターの代わりとなる剛性を確保 ソリューションガイド
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7 ABS-CF10製の配管溶接の組み付け固定具 ABS-CF10 ABS-CF10は、10%のチョップドカーボンファイバーとABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹脂の ブレンドです。その結果、標準的なABSと比較して、3Dプリンティング材料の剛性が 50%、強度が 15% 向上しました。ABS-CF10は、軽量というABSの利点を得ながらもベースポリマーよりも高い剛性を必要と する治工具製作用途に最適な選択肢となります。この材料により、金属製の治工具から、ポリマーを使用して 3Dプリンタで造形する治工具へと無理なく移行できます。構造上の理由により、製造補助具を金属から マシニング加工する必要はありません。その代わりに、標準的なプラスチックを上回る強度と剛性をもたらす ポリマーを使用することで、3Dプリンタで造形した治工具の耐久性が作業を行うのに十分なものとなります。 現在、ABS-CF10はStratasys F123 ™シリーズプリンタで使用できます。このシリーズのプリンタは、 製造業者、デザイン会社、その他、さまざまな業界内の数え切れないほどの企業に着実にサービスを提供 しています。使いやすく安定しており、信頼性の高いパフォーマンスだとの評価を得ています。 カーボンファイバー材料には研磨性があり、プリントヘッドの摩耗が増加する原因となり得ます。F123シリーズ プリンタは標準的なプリントヘッドでABS-CF10を造形できますが、摩耗が増加し、ヘッド寿命が短くなるので お勧めしません。この材料には、専用のプリントヘッドを使用するのがベストな選択です。F123プリンタの 利点の一つは、ヘッドの交換が迅速かつ簡単なことであり、それによって標準の熱可塑性プラスチックと ABS-CF10を使用した造形が容易になります。 ソリューションガイド
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8 使用例 - 最適な材料で最適な治工具を造形 Center for Advanced Design(CAD)社は設計サービスを専門とする会社であり、消費財から治工具までの 幅広い製品開発を専門としています。この会社の目標は、革新的なアイデア、ソフトウェア、開発ツールを 使用して、お客様の思い描くビジョンを形にすることです。その主要な手段の 1つが 3Dプリンティングです。 これによってCAD社は、初期設計をすばやく物理的な形に変換し、検証や改良を迅速に行うことができます。 CAD社が開発した特定の治工具ソリューションでは、電気自動車メーカー向けに使用されるロボティック アームのエンドエフェクターを開発しました。このエンドエフェクターは、車両のパネルおよびガラス部品を 取り付けるのに使用されます。エンドエフェクターを業務に合わせて最適化することは、極めて重要なこと です。大きすぎたり、重すぎたりすると、製造工程の進行に遅れが生じたり、ロボットのモーターに負荷が かかりすぎたりします。また、部品を持ち上げて車両の上に移動するときにゆがみが生じないよう、十分な 剛性を確保する必要もあります。 CAD社のソリューションは、ABS-CF10を使用して 3Dプリンタで造形した組織的形状のエンドエフェクター でした。カーボンファイバー ABS材料は十分な剛性を確保しながらも軽量であるため、ロボティックアーム に対して重すぎないエンドエフェクターに仕上がりました。また、3Dプリンティングで提供される設計および 造形の能力によって、治工具の形状を最適化し、他の製造方法と比べて、より迅速に製造する設計・製造 能力を備えていました。 フロントガラスとボディパネルを車両に 取り付けるために、CAD社はABS-CF10 を使用して、この組織的形状のマルチアーム エンドエフェクターを製作 ソリューションガイド
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9 FDM® Nylon-CF10 その名前からも分かるように、FDM Nylon-CF10はナイロンベースのポリマーであり、重量比で 10%の チョップドカーボンファイバーを配合しています。カーボンファイバーを加えることで、この材料の強度と 剛性が向上します。カーボンファイバーが添加されているにもかかわらず、この材料で造形した部品は 滑らかな仕上げになります。 FDM Nylon-CF10は、F123CRカーボンファイバー対応シリーズプリンタ(F190 ™CR、F370®CR プリンタで構成)で使用できます。これらのシステムは、複合材料の研磨性に対応するため、フィラメント 送出のハードウェア全体に完全な硬化処理を施しています。 FDM Nylon-CF10は、ABS-CF10と比較して、62%の強度と80%近い剛性を持ち、一段と高い能力を 発揮します。機械的特性の向上に加えて、FDM Nylon-CF10はナイロンブレンドをベースにしているため、 製造現場の環境によく見られる化学物質に対する耐性も備えています。これは、油や切削液がかかる可能性 のある加工保持固定具用に、3Dプリンティングの材料を検討する場合に有利です。 この材料の主な利点は、ソフトジョー、ブレーキフォーム治工具、およびそれに類する用途のような比 較的高い機能を必要とする治工具用途に、F123CRプリンタを使用できるようなることです。さらに、 F123CRプリンタはお求めやすい価格に加え、99%の稼働率を誇る実績があります。 使用例 – ソフトジョーと複雑な加工保持固定具の迅速な製作 複雑な形状に対応するソフトジョーおよび加工保持固定具の製作は、多くの機械工場にとって共通の重荷と なっています。これらの工具の加工には、ビジネスの収益に貢献する生産に必要な社内リソースと同じもの が使用されることがよくあります。しかし、これらのツールの製作を 3Dプリンタに肩代わりさせることで、 付加価値の高い生産のための機械加工リソースを解放することができます。また、CNCプログラミングや 機械のセットアップが不要なため、機械加工品よりも短期間で製造・導入できる場合が多くあります。 10ページに示す多軸のマシニング固定具はその一例です。従来の工具で球体を加工する場合、複数の 部品と装置が必要になり、時間と費用のかかる作業となります。その代わりに、FDM Nylon-CF10材料 を使用して 3Dプリンタで造形できるように、この固定具を設計しました。3Dプリンティングは一般的な製 造上の制約から解放されるため、このような複雑な固定具の製作が可能になります。さらに、カーボン充 填複合材料の強度と剛性によって、マシニング加工の負荷に耐えることができるのです。 ソリューションガイド
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10 以下に示すソフトジョーにも同じ原則が当てはまります。ワークの形状が複雑になるにつれて、部品をマシニング 加工するための固定具の製作に、さらに多くの時間と労力が必要になります。フル操業の機械工場の場合、 カスタムの加工保持固定具を製作すると、今でさえ厳しい生産スケジュールにさらに重圧がのしかかることに なります。FDM Nylon-CF10のような複合材料を使用した 3Dプリンティングで従来のマシニング加工を補 強することによって、こうした需要に対応する代替手段がもたらされます。 ソリューションガイド
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11 FDM® Nylon 12CF FDM Nylon 12CFは、ナイロン 12と重量比 35%のチョップドカーボンファイバーをブレンドしたもので す。この組み合わせにより、FDM材料の中で最も高いレベルの剛性対重量比を持つ熱可塑性プラスチッ クとなり、金属に代わるものとして非常に適しています。一般的な用途としては、軽量ながら強度と剛性の 高い固定具などの製造用治工具が挙げられます。 FDM Nylon 12CFに対応するストラタシスの 3Dプリンタには、Fortus 450mc ™とF900 ™があります。 この 2つのプリンタの主な違いは、対応する材料と造形サイズ(F900のほうが大型)です。 使用例 - 製造用治工具を軽量化 ゼネラルモーターズ社では、新型車の製造をサポートするオーバーヘッドコンベヤ昇降システムが新たに 必要になったとき、従来の方法を採用し、金属を使用することも可能でした。しかし、GM社は 3Dプリン ティング技術に目を向けました。なぜなら、金属のソリューションはあまりにも重く、アディティブ・マニュ ファクチャリングのような、製造後の運用やコストの効率化をもたらすものではなかったからです。 代わりにGM社が選んだのは、FDM Nylon 12CFを使用してオーバーヘッドコンベヤの部品を 3Dプリン タで造形することでした。GM社は、軽量化と十分な強度といった従来の方法ではかなわなかったことを 両立させました。また、3Dプリンタで造形した部品は、マシニング加工した部品よりも短時間で実装する ことができました。最終的に、GM社の 3Dプリンタによるカーボンファイバーのソリューションは、重量を 32%削減し、75%のリードタイム短縮を実現することができたのです。 3Dプリンタで造形した部品キャリア(グレー部分)を 含むオーバーヘッドコンベヤシステムのレンダリング ソリューションガイド
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12 適切なカーボンファイバー材料の選択 3つの複合材料すべてが、カーボンファイバーを充填していないバージョンを上回る機械的特性を示して います。適切な選択を行うための最善のアプローチは、各材料の相対的パフォーマンスと使用目的を評価 することです。表 1では、3つの材料の重要な機械的特性 2つを比較しています。破断時の曲げ強度は 材料の剛性の基準であり、カーボン充填複合材料の必須要素です。 曲げ強度-PSI 引張強度-PSI FDM Nylon 12CF FDM Nylon-CF10 ABS-CF10 最も近い競合材料 (公開されているデータシートの値) 表 1 – 3つのFDM複合材料の機械的特性 ABS-CF10は、基本的な汎用エンジニアリングプラスチックよりも機械的性能を向上させた汎用性の高い 材料です。軽量な治具、ドリルガイド、その他の製造補助材料として、標準的なABSよりも高い剛性を必要 とする用途に適しています。 FDM Nylon-CF10は、ABS-CF10に比べて強度と剛性が大幅に向上しています。優れた耐化学薬品性を 備えており、切削油剤のような化合物が存在するマシニング加工環境に対応します。金属の代わりに使用して、 加工保持固定具やソフトジョーのようなマシニング加工の補助具を製作できます。 FDM Nylon 12CFは、さらに要求の多い治工具用途で、さらなる剛性と強度が求められる状況に適して います。表 1に示すように、FDM Nylon 12CFの機械的特性は 3つの材料の中で最も優れた機能特性を 有しています。FDM Nylon-CF10と同様に、耐化学薬品性も優れています。ただし仕上げについては、FDM Nylon-CF10よりわずかに粗くなります。FDM Nylon-CF10のほうが滑らかな表面です。 これらの材料を使用できる 3Dプリンタを表 2に示します。 ABS-CF10 FDM Nylon-CF10 FDM Nylon 12CF F170 ™ ˜ F190 ™CR ˜ ˜ F270 ™ ˜ F370 ™ ˜ F370®CR ˜ ˜ Fortus 450mc ™ ˜ F900 ™ ˜ 表 2 – プリンタごとに利用可能な材料 ソリューションガイド
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13 製造現場のさらなる効率化へ向けた次なるステップ 3Dプリンタのカーボンファイバー材料は、多くの製造現場での治工具用途で必要とされる強度と剛性を 提供します。それは、製造現場で日常的に発生しているスケジュールとコストの課題を克服するための 有効な手段です。代替の治工具やマシニング固定具などの製造補助具の製作に利用することで、生産 スケジュールの達成、運営予算への対応、あるいは休業災害の回避などにつながる可能性があります。 百聞は一見にしかず、ぜひ、ご自分の目でお確かめください。各材料のサンプルを入手し、その感触や 剛性感を確認いただくことができます。材料サンプルのご注文、または、カーボンファイバーを使用して 3Dプリンタで造形する治工具についてご質問がある場合は、弊社のエキスパートにお問い合わせくだ さい。 株式会社 ストラタシス・ジャパン 東京本社 / ショールーム 大阪支店 / ショールーム お問い合わせ 〒 104-0033 〒 https://www.stratasys.co.jp/contact-us/locations 540-6319 東京都中央区新川 1-16-3 大阪府大阪市中央区城見 1-3-7 住友不動産茅場町ビル 3F 松下 IMPビル 19F TEL. 03-5542-0042 TEL. 06-6943-7090 FAX. 03-5566-6360 FAX. 06-6943-7091 www.stratasys.co.jp ISO 9001:2015認証取得済 © 2022 Stratasys. All rights reserved. Stratasys、Stratasysロゴ、FDM、F370、F370CRは、Stratasys, Inc.の登録商標です。F170、F270、 F190CR、Fortus 450mc、F900、FDM Nylon 12CF、FDM Nylon-CF10、F123シリーズは、Stratasys, Inc.の商標です。他の商標は、すべて 各所有者の財産です。ストラタシスは、このような非ストラタシス製製品の選択、性能、使用に関して一切の責任を負いません。製品仕様は予告なく 変更される場合があります。SG_FDM_Carbon Fiber Tooling_A4_0322a_0522_JP ソリューションガイド