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PCB Piezotronics 「これで圧電型ロードセルの仕組みが分かる」

ハンドブック

圧電型ロードセルとは?

圧電型ロードセルにはいろいろタイプがありますが、東陽テクニカで取り扱っております「圧電型ロードセル」の技術資料を公開いたします。

このカタログについて

ドキュメント名 PCB Piezotronics 「これで圧電型ロードセルの仕組みが分かる」
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このカタログの内容

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PCB Piezotronics センサ 総合カタログ 138

圧電型ロードセル 技術資料 圧電型ロードセルの概要 センサの構造 長いケーブルによるセンサ駆動圧電型水晶ロードセルの概要圧電型 どちらのモードのPCB社製圧電型ロードセルも類 水晶ロードセルは動的な力計測のアプリケーションに適したセンサ 似した構造をしています。その多くは薄い水晶の円 です。静的な力計測に用いられるストレインゲージタイプのロード 盤を上下のベースプレートの間に挟み込んだ構造を セルに置き換わるものではありません。 しています。弾性のあるベリリウム銅スタッドで両 ダイナミックに振動する力や衝撃力、高速な圧縮/引張り計測では 方のプレートを押さえつけ圧電素子にプリロードを センサに特別な性能が要求されます。高速応答、堅牢さ、高い剛性、 与えています ( プリロードによりセンサパーツが密 広い測定レンジ、そして疑似スタティック力計測等の性能をPCB 着し直線性を保証します。また、これにより引張り 社製圧電型水晶ロードセルは標準的に備えています。 測定を可能にしています )。この受感素子部は堅牢な ステンレススチールケースに密封されていて外部の 以下の説明では、皆様にセンサがどのように動作しているかを理解 悪影響(埃や湿気)からシールされています。 していただき、より良い動的な力の計測を行っていただくためにP CB社の圧電型水晶ロードセルのデザインや動作原理を紹介してい 図1に典型的な圧電型水晶ロードセルの断面図を示 ます。 します。このセンサはアンプ内蔵型 208シリーズ汎 用 圧縮/引張試験用です。 圧電型水晶ロードセルの種類 このカタログではPCB社で製造されている2つのモードの圧電型 力 水晶ロードセルについて紹介します (PCB社では圧電素子として高 インパクトキャップ 剛性、高安定性の水晶圧電素子を使用しています)。ICP® 型 (IEPE, または電圧出力型 )はセンサ内部に高インピーダンスの電荷信号を ハウジング 低インピーダンスの電圧信号に変換するアンプ回路を内蔵したタイ アンプ プのセンサです。(ICP® は PCBPiezotronics 社の登録商標です ) もう一つのタイプは電荷出力型ロードセルで、ダイレクトに高イン ピーダンスの電荷信号を出力します。 水晶圧電素子 プリロードスタッド マウントネジ孔 図1 208シリーズ 圧縮 /引張 /衝撃力試験用センサ センサに力が加わると圧電素子は加わった力に比例 した電荷を出力します。この出力した電荷は圧電素 子にはさまれた電極に集まります。そして、これは 外部のチャージアンプに直接送られるかセンサ内部 のアンプで低インピーダンスの電圧に変換されます。 これらのモードの動作原理を以下の章で紹介します。 機械計測部 12-3 TEL 03(3279)0771( 代表 ) 03(3245)1058( 直通 ) FAX 03(3246)0645 E-mail:web-car@toyo.co.jp URL:www.toyo.co.jp/sens
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PCB Piezotronics センサ 総合カタログ 139

圧電型ロードセル 技術資料 一般的な電荷出力型ロードセル 水晶素子 電荷出力型圧電ロードセルに力を加えると圧電素子が電荷を 発生します。正確な解析やデータ記録を行うためにはこの高 インピーダンスの電荷信号を特別なローノイズケーブルを用 いて研究室仕様のチャージアンプやソースフォロアアンプな どのインピーダンス変換アンプに接続しなければなりませ ん。オシロスコープ等のモニター機器に直接センサを接続す ることにより高周波衝撃のような現象を表示することができ ますが定量的な力計測には不向きです。 電荷出力型 ケーブル チャージアンプ センサ チャージアンプや電圧アンプの第一の機能は、高インピーダ q = 電荷信号 ンスの信号を解析や記録を目的とした扱いやすい低インピー C1 = センサの容量 ダンスの電圧信号に変換することです。研究室仕様のチャー C2 = ケーブルの容量 ジアンプには信号のノーマライズ、レンジ切り替え、フィル C3 = アンプの入力容量 タリングなど多彩な付加機能が備わっています。PCB社製 C1 = アンプのフィードバックキャパシタ チャージアンプには疑似静的力測定、静的校正、動的な信号 に対する入力調整付加機能が備わっています。小型インライ 図2 チャージモードシステム ンアンプは一般に入力レンジと周波数レンジは固定されてい ます。 図 2にセンサとローノイズケーブル、チャージアンプを含 水晶電荷出力型ロードセルは204° C (400° F) までの温度範 む典型的なチャージモードシステムを示します。 囲で使用可能です。 測定信号を長い距離送らなければならない場合、PCB社で チャージモードのシステムを使用する場合、水晶からの出力 はノイズを最小限に抑えるため圧電型ロードセルの近くでイ は純粋な電荷です。圧電型ロードセル内部の部品や外部のコ ンラインチャ-ジコンバータを接続することをおすすめして ネクタは、水晶で発生した電荷をリークさせないために非常 います。これはノイズを最小にします。インラインチャ-ジ に高い (通常 >1012Ω) 絶縁抵抗を維持しなければなりませ コンバータは ICP® 型ロードセル用の低価格な定電流電源で ん。従ってコネクタやケーブル、アンプなどに関しても信号 動作しシステムコストを最小限に抑えます。図 3に典型的 の精度を損なわないように非常に高い絶縁抵抗が要求されま なチャージモードシステムの構成を示します。 す。 湿気、汚れ、油やグリースなどの周囲からの汚染は 絶縁抵抗を低下させ、結果として信号のドリフトや 信頼性のない測定結果をもたらす原因となります。 ローノイズ 電荷出力型ロードセルは特別なロ-ノイズケーブル ケーブル 出力ケーブル を用いて機器に接続しなければなりません。一般的 な 2線および同軸ケーブルは曲げにより導体間に 電荷出力型センサ 電荷を発生します。これは摩擦電気ノイズと呼ばれ チャージアンプ 測定器・記録器 センサ素子の水晶からの出力 電荷と区別することができま せん。ローノイズケーブルは 絶縁シールドの間に特別なグ ローノイズ 標準のセンサケーブル ラファイトの潤滑剤が充填さ ケーブル または出力ケーブル 出力ケーブル ケ ー れていて摩擦電気効果の影響 電荷出力型センサ インライン ブ を最小にしています。 チャージコンバータ ICP® センサ用シグナル 測定器・記録器 コンディショナ ル ・ 図3 チャージモードシステム コ ネ ク タ 株式会社東陽テクニカ 機械計測部 TEL:03-3245-1058 E-mail: web-car@toyo.co.jp URL:www.toyo.co.jp/sens 12-4
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PCB Piezotronics センサ 総合カタログ 140

圧電型ロードセル 技術資料 ICP® 型低インピーダンス圧電型 ICP® 型圧電型ロードセルは簡単な操作性に加え , 電荷出力 ロードセル 型に比べて大きな利点を持っています。低インピーダンス出 ® ICP® 型圧電型ロードセルはMOSFET アンプを内蔵してい 力で、堅牢かつ密封構造のため ICP 型ロードセルは過酷な ます。このアンプによって高インピーダンスの信号を、解析 工場の環境での連続した長時間の力モニターにも適していま ® やデータ収録に適した低インピーダンスの信号に変換しま す。また, ICP 型ロードセルのチャンネルあたりのコストは、 す。ICP® 型センサは , 定電流電源で動作し、信号を劣化さ 高価なチャージアンプを必要とせず、標準の同軸ケーブルで せることなく長い通常の同軸またはリボンケーブルで動作さ 動作するため非常に低く抑えることができます。 せることができます。低インピーダンスの電圧信号は摩擦電 気によるケーブルノイズや、周囲からのノイズの混入を最小 極性 限にします。 ICP® 型ロードセルの出力極性は圧縮力に対して正、引張に ® 対して負の電圧を出力します。PCB社製の電荷出力型圧電 ICP 型センサを駆動する電源は一般に低価格で、電圧 ロードセルの出力極性はちょうど反対で圧縮に対して負、引 24-27VDC、電流 2-20 mAの定電流電源です。図 4に典 ® 張に対して正の電圧を出力します。これは電荷出力型センサ 型的な ICP センサシステムを示します。PCB 社では が一般に極性反転出力の外部チャージアンプと一緒に使われ AC100V 駆動式または電池駆動式、1チャンネルまたはマ るためです。このためチャージアンプシステムの出力極性の ルチチャンネル、ユニティゲインまたはゲイン可変などのシ 結果は ICP® 型センサシステムと同じ圧縮に対して正、引張 グナルコンディショナを販売しています (本カタログのシグ に対して負の電圧を出力します (出力極性を反転させたセン ナルコンディショナの章をご参照ください )。加えて、近年 ® サの供給も可能です )。 直接 ICP 型センサに電源を供給する電源回路を内蔵したデ ータ収録装置も多く登場しています。PCB社では、静的な なぜ圧電型ロードセルでは動的な力だけ測定でき 校正や疑似静的力等の現象が数秒間持続する応答の測定に用 るのか いるDCカップリング機能を備えたシグナルコンディショナ も用意しています。 圧電型ロードセルの水晶素子は力が加わったときまたは除か れるときだけ電荷を発生します。しかし絶縁が非常に高く保 図5に 2線式 ICP® 型システム構成を示します。 たれていても電荷は絶縁の低いパスを通してリークしゼロに なってしまいます。実際に圧電型ロードセルに静的な力を加 えても、はじめに発生した電荷はリークしてそのうちゼロに 同軸 定電流 ICPセンサ /2線ケーブル シグナルコンディショナ 戻ってしまいます。 カップリングキャパシティ アンプ 電荷がリークしてゼロに戻ってしまう速度はセンサ内部やケ 信号 ーブルなどの絶縁抵抗やアンプに使われている抵抗やキャパ 定電流 シタンスに依存します。 ダイオード 電荷出力型ロードセルのリーケージレートは、通常ローノイ ズケーブルや外部チャージアンプ、ソースフォロワーアンプ のキャパシタと抵抗の値によって決まります。アンプ内蔵型 グランド の ICP® 型ロードセルでは内蔵回路の抵抗やキャパシタによ 図4. ICP® センサシステム図 ってリーケージレートは決まっています。 圧電型ロードセルに動的な力を加えた場合、電荷が素早く発 生します。この時十分な放電時定数があればゼロにリークバ ックすることはありません。しかし、疑似静的力や、電荷の 標準のセンサケーブル リークが力の変化よりも早くなってしまうような遅い動的な または出力ケーブル 出力ケーブル * 力の測定ではこれが重要なポイントになります。圧電型ロー ドセルで測定のできる遅い力のポイントはどこにあるでしょ ICP® センサ う。その答えは次の放電時定数の章にあります。 ICP® センサ用シグナル 測定器・記録器 コンディショナ * に準拠するためにはローノイズケーブルが必要です 図5 典型的な ICP® 型センサシステム 12-5 株式会社東陽テクニカ 機械計測部  TEL:03-3245-1058 E-mail: web-car@toyo.co.jp URL:www.toyo.co.jp/sens
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PCB Piezotronics センサ 総合カタログ 141

圧電型ロードセル 技術資料 放電時定数 (DTC) ICP システムの低周波応答 電荷 ( または電圧 ) リークがR-C回路で発生するとき、電 ICP®型ロードセルを低い周波数で使用するにあたり ,次の 2 荷のリーケージは指数関数的に起こります。圧電型ロードセ 点を考慮する必要があります。それは ルのシステムでも絶縁抵抗の低い部分を介して電荷のリーケ   1 . ICP® 型ロードセルの放電時定数の仕様 ージは指数関数的に同様な振る舞いをします。システムの電 2 . シグナルコンディショナのACカップリング回路の 気容量(F)とシステムの抵抗値(Ω)の積を放電時定数 放電時定数 (DCカップリング入力を使用する場合は (DTC) と呼びます。 上記1だけを考慮します )。 放電時定数は、センサや計測システムが測定するステップ的 これらは正確な低周波の測定を確実にするために使用者自身 に変化した元の信号の 37%に放電するのに要する時間を定 が理解することが大変重要です。 義するものです。これは圧電型ロードセルや圧力、振動のモ ニタに使用されるどの圧電型のセンサにもいえることです。 ICP® 型ロードセルの放電時定数 (DTC) システムの放電時定数は計測する低周波限界に直接関係し、 力のモニタにおいては疑似静的力計測を行う場合非常に重要 放電時定数は ICP® 型センサ内部のアンプによって固定され になります。 ています。ICP® 型ロードセルの個々の放電時定数はこのカ タログのリストに表記しています。 チャージモードシステムの放電時定数 (DTC) 試験に ICP® 型センサを使用する場合、低い周波数の信号を チャージモードシステムでは、センサにアンプは内蔵されて 測定するには2つの時定数を考慮しなければなりません。一 いません。このため、放電時定数は外部のチャージアンプに つはセンサ固有の時定数、もう一つはシグナルコンディショ よって決まります。オペアンプのフィードバック抵抗とキャ ナのカップリング回路の時定数です。 パシタによって時定数は決まります。PCB社製の研究室仕 ICP® 型センサにステップ関数状の力を入力した場合、入力 様のチャージアンプにはショート、ミディアム、ロングの時 した力に比例した電荷量qが発生します。静電学の法則によ 定数の選択機能があります。圧電型ロードセルやチャージア り、出力電圧は DV = Dq/DC ここでC は測定素子、アンプ、 ンプに接続されているケーブルの絶縁抵抗はチャージアンプ レンジングキャパシタの容量の和です。 のフィードバック抵抗よりも大きく、そうでなければドリフ トを生じます。このため、この絶縁抵抗を保ち電荷のリーク ICP® 型センサ内部のMOSFET アンプで増幅されたこの電 を防ぐためには、圧電型ロードセルのコネクタ部やケーブル 圧によってセンサの感度が定義されています。最初のステッ を清潔にし乾燥を保たなければなりません。 プ信号入力後、電荷信号は以下の式に基づいて減衰します。 q = Qe-t/RC ここで :q = 瞬時電荷量 (C) Q = 最初に圧電素子から出力された電荷 (C) R = バイアス抵抗 (Ω) C = 全体の容量 (F) e = 自然対数の底 (2 .718) t = t0 から経過した時間 (sec) ケ ー ブ ル ・ コ ネ ク タ 株式会社東陽テクニカ 機械計測部 TEL:03-3245-1058 E-mail: web-car@toyo.co.jp URL:www.toyo.co.jp/sens 12-6
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PCB Piezotronics センサ 総合カタログ 142

圧電型ロードセル 技術資料 この方程式を以下の 図 6 で示します : ACカップリング出力の ICP® シグナルコンディショナの中 には1MΩかそれ以上のデータ収録機器の入力インピーダン 信号減衰 スを凌ぐシャント抵抗を備えたものもあります。 測定装置のACカップリングもまたひとつの放電時定数の一 種です。お使いのシグナルコンディショナやデータ収録機器 が目的の試験に適しているかどうか仕様を確認してくださ い。システムに 2つ以上の時定数要素が含まれ、一方が他 方に比べ著しく短い場合、系の時定数はほぼ短い方で決まり ます。振動信号や過渡信号の入力を考慮したシステムの時定 数の決定は以下の式により導かれます : 時定数(RC) 図6 標準的な放電時定数曲線 振動信号入力 : DTC = (R1C1) (R2C2) √ (R C )2 + (R C )21 1 2 2 R と C の積がセンサの 放電時定数 ( 秒 ) を表します。セン サの時定数は標準のセンサで数秒のものから2000秒以上の 過度信号入力 : DTC = (R1C1) (R2C2) ものまであります。特別な時定数のセンサをセンサ内蔵回路 (持続時間が小さいDTCの10%以下の場合) (R1C1) + (R2C2) の抵抗値を変えることによって提供することも可能です。 ほとんどの測定装置は1MΩ以上の高い入力インピーダンス を持っています。これらのシステムについては、前に述べた 種々の問題を避けるため、少なくともセンサの時定数より ようにセンサの放電時定数は決まった値になり、規定された 10倍長いカップリング時定数を持たせることをおすすめし 放電時定数で使用することができます。しかし、信号が一般 ます。システムの放電時定数はシステムの低周波応答を決定 に1MΩ以下という低い入力インピーダンスの測定装置に入 します。これは 1次ローパスフィルターに似ています。シ 力された場合そのシステムの時定数を測定する必要がありま ステムの理論的な低周波ロールオフを以下の図 7に示しま す。これについてさらに以下の章で説明します。 す。また、以下の関係式によって算出されます。 3 dB down: 0 .16/DTC = f シグナルコンディショナと時定数 c 10% down: 0 .34/DTC = f-10% ICP® 型ロードセルと一緒に使われる外部電源にもまた放電 5% down: 0 .5/DTC = f-5% 時定数があります。ある ICP® シグナルコンディショナはバ ッファアンプ、ゲインアンプ機能を内蔵し様々な内部部品に よって固定された時定数を持っています。それはセンサの時 定数と比較して長かったり短かったりします。ACカップリ ング出力のシグナルコンディショナの放電時定数は固定では 入力 出力 ありません。この場合、ICP® 型ロードセルのバイアス電圧 を分離するために使われるキャパシタと測定装置の入力イン ピーダンスとによって時定数が変化します。 使用しているシグナルコンディショナが低周波応答が固定さ れた放電時定数持つのもか、ACカップリング出力かどうか 仕様を確認してください。出力がACカップリング型の場合、 時定数は以下の式で算出します : DTC = RC 図7  1次ハイパスフィルターの低周波特性 ここで : R = 測定装置の入力抵抗 (Ω) C = シグナルコンディショナの出力カップリング キャパシタの容量 (F) 12-7 株式会社東陽テクニカ 機械計測部  TEL:03-3245-1058 E-mail: web-car@toyo.co.jp URL:www.toyo.co.jp/sens 出力
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PCB Piezotronics センサ 総合カタログ 143

圧電型ロードセル 技術資料 持続時間の長い現象と放電時定数 ち動作する上限周波数限界を仕様として掲げています。これ しばしば一定のレベルを数秒間持続しているような現象を測 はセンサ単体の無負荷状態での共振周波数のおおよそ 20% 定したい場合があります。これは、静的校正や疑似静的力の を上限周波数限界としています。 測定などと言った圧電型ロードセルの典型的なアプリケーシ ョンです。この性質の試験を行う前に重要なことは、急速な 取り付け 信号レベルの低下を防ぐために測定システム全体をDCカッ 水晶圧電型ロードセルで正確な動的測定結果を得るために プリングにすることです。PCB社製のAC/DCカップリン は、適切で正確な取り付けは欠くことができません。とはい グ付シグナルコンディショナはこのようなアプリケーション え以下に示す基本的な手順を踏めば、取り付けに要求される のために設計されています。 精度はある程度は緩和されます。 このような測定の場合、一般的に出力信号のレベルの低下と ほとんどの PCB社製圧電型ロードセルは軸方向に加わる力 放電時定数のはじめの10%経過時間は1対 1の関係を持っ を検出する水晶プレートで設計されており、センサにかかる ています。使用するセンサが 500秒の放電時定数を持って 曲げモーメントやエッジ荷重の影響が最小となるように、セ いる場合、はじめの50秒で入力信号の10%が減衰します。 ンサ及びその接触面を調整してあります。これにより、より 1% の精度を求める場合放電時定数の1%の時間でデータ収 よい動的な測定結果が得られます。 録を行う必要があります。8%の精度が許容されるならば測 センサと試験構造物の接触面を平行に保つことで曲げモーメ 定も放電時定数の8%の時間内で行われればよいのです。図 ントやエッジ荷重を最小にすることができます。取り付け面 8でこの現象を説明します。 の平坦さもまた測定の質に影響します。取り付け面に薄く潤 滑油を塗るとセンサと取り付け面の接触がより良くなりま す。 PCB社製圧電型ロードセルの取り付け面は、製造工程で磨 かれ平坦さと平行・滑らかさを確実なものにしています。リ ング型圧電ロードセルには、2つの面にトルクが加わるとき センサ表面に加わる摩擦力を最小にするためのワッシャーが 標準添付されています。 出力電圧 センサ受感面全体に力を加えることも良い測定結果を得るた センサー バイアス電圧 めの重要な要素です。しかし、センサと試験構造物が接触す る面が平坦であっても、センサの取り付け面と平行でなけれ ば精度良い測定は難しくなります。この場合、曲面の仲介物 図 8 ステップ関数応答 でエッジ荷重の影響を減少させることができます。(図 9 . 参 照 ) 加えた力が一定レベルを保っている場合、信号はおよそ DTCの 5倍の時間で自然にゼロに減衰していきます。加え 誤 試験 正 られた力を除くと、出力信号は (t0 +0 .01 TC) の時点ではバ 構造物 エッジ荷重 センター荷重 イアス電圧レベル以下に落ち込んでいることに注目してくだ さい。このマイナス方向の値は入力した信号が減衰した値 ( ロード セル 図 8で示す 1%ΔV) と同じ値です。さらにその後、マイナ ス方向に変化した信号はシステムが平衡に達するゼロのレベ ルに正の向きに減衰していきます。 ケ 圧電型ロードセルの固有振動数 ー 図 9 エッジ荷重 vs. センター荷重 ブ DTC=RCの等式で電気的に定められたセンサの低周波応答 ル と異なり、センサの高周波応答はセンサの機械的な構成によ ・ って決まります (電気的なローパスフィルターが内蔵されて コ ネ いる場合を除く )。個々の圧電型ロードセルには直線性を保 ク タ 株式会社東陽テクニカ 機械計測部 TEL:03-3245-1058 E-mail: web-car@toyo.co.jp URL:www.toyo.co.jp/sens 12-8
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PCB Piezotronics センサ 総合カタログ 144

圧電型ロードセル 技術資料 PCB 社製 208シリーズ圧電ロードセルには、その受感面全 三分力圧電ロードセルでは、特にせん断方向のX軸と Y軸 体に力が加わるようにするための凸面のインパクトキャップ の測定を適切に行うためにプリロードを与えなければなりま が標準添付されています。 せん。三分力圧電ロードセルの推奨プリロード値は Z軸の センサを取り付けるときに考慮すべきもう一つの点は、セン 測定レンジの 4から 5倍です。このプリロードにより受感 サの必要としない機械的な高周波衝撃荷重を最小に抑えるこ 素子は圧縮され、せん断方向の入力応答が適切に得られる様 とです。金属同士の直接的な衝突による高周波成分は構造物 になります。リング型圧電ロードセルの様に三分力圧電ロー とセンサに短時間の過大な加速度を発生させることがしばし ドセルから得られる感度は、与えられるプリロードや、使用 ばあります。この問題はセンサと構造物の間に柔らかい材料 される取り付け用ボルトやスタッドの弾性に依存します。セ で薄い緩衝層を入れることで減少させることができます (こ ンサと一緒に供給された弾性のあるベリリウム銅製のスタッ の高周波衝撃の緩衝が力計測に要求される仕様に対し適切か ドと異なるスタッドやボルトで取り付ける場合、実際に使用 どうかあらかじめ考慮しておかなければなりません )。200 する取り付け治具を使用して校正を行わなければなりませ シリーズのインパクト面と 208シリーズのインパクトキャ ん。異なる材質のスタッドやボルトを使用した場合の感度誤 ップは薄い緩衝材と一緒に供給されます。 差が50%にまでなることもあります。 リング型圧電ロードセルと三分力圧電ロードセル 典型的な圧電システムの出力 のプリロード ACカップリングシステムでの圧電型センサの出力の特長 PCB社製リング型圧電ロードセルと三分力圧電ロードセル は、繰り返し信号の場合本来の基準レベルをはさんで上下の は通常弾性体のベリリウム銅製のボルトやスタッドで試験構 面積が等しくなるレベルまで減衰することです。観測される 造物の間に挟んで使用されます。このスタッドは図10に示 現象の信号レベルは脈動して正負の信号がベースラインを挟 すように構造物同士をホールドしリング型ロードセルにプリ んで等しくなるように安定していきます。 ロードを与えます。この取り付け方法では、2つの構造物間 図 11 ではこの現象を示す交流信号の代表例を示していま の力の一部はマウントスタッドを介して伝わってしまいま す。(DCカップリングモードで動作するセンサからの出力は す。この割合はセンサに添付されているベリリウム銅製スタ これと同じパターンを示しますが、センサの時定数で決まる ッドでは 5%程度ですが、スチールスタッドでは 50%にも 長い時間フレームで観測されます。) なります。リング型センサは、センサの測定レンジ全体にわ たり正確な読みと直線性を保証するためにプリロードをかけ た状態で校正されています。このため、ベリリウム銅製のス タッド以外を使用する場合、それはきわめて重要になります。 図11 繰り返しパルス , 交流信号 弾性スタッド 例 : 0 から 3Vの出力信号は、パルス幅1秒、パルス間隔1 秒のACカップルされた力の信号です。周波数は一定ですが アンチ・フリクション・ ワッシャー 信号はすぐに基準ライン付近に信号の中心が来るまでマイナ ス方向に減衰します (このとき面積 A = 面積 B)。出力のピ リング型ロードセル ーク -ピーク値 は元の信号と同じです。 図10 リング型圧電ロードセルの取り付け PCB社ではNISTトレーサブルのリングロードセルとともに 被校正圧電ロードセルをベリリウム銅スタッドで取り付けて 校正しています。10lb以上で圧電型ロードセルの動作レンジ の20%のプリロードが測定データを記録する前にかけられま す。校正を行う前には信号の直流成分を放電して下さい。 12-9 株式会社東陽テクニカ 機械計測部  TEL:03-3245-1058 E-mail: web-car@toyo.co.jp URL:www.toyo.co.jp/sens
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PCB Piezotronics センサ 総合カタログ 145

圧電型ロードセル 技術資料 繰り返しパルス出力アプリケーション ロードセルの校正 多くのフォースモニタのアプリケーションでは、短時間内に PCB 社では、すべてのロードセル製品に関して、NIST ゼロ-ピークの値が連続して繰り返す現象のモニタが必要で (National Institute of Standards and Technology)トレ す。このような現象は、しばしば "パルストレイン "と呼ば ーサブルな校正、試験サービスを行っております。また校正 れます。前の節で述べたように、ACカップルした圧電式セ 手順は、ANSI(American National Standards Institute) ンサから発生した信号は、あたかも発生した正極性の力が減 および ISA(Instrument Society of America) に認められ、 少していくかのように平衡状態になるまで減衰して行きま かつ推奨されるガイドラインに準拠しています。PCB社で す。この状態では、スタンピングやピルプレスのようなアプ の圧電型ロードセルの校正は ISA-37-10 に準拠しており リケーションで生じる連続したゼロ-ピークの信号を正確に MIL-STD-45662Aを満たしています。これらの規格は完全 モニタするのは困難に思われます。ところが、特殊な ICP® な校正システムの確立と管理を規定し、測定と試験機器の精 シグナルコンディショナを用いることにより、0Vを基準に 度を管理することでセンサの仕様精度を管理するものです。 出力信号を正として出力することが可能になります。PCB 個々に校正されたロードセルにはすべて、図13のように校 社製シグナルコンディショナ 484B02 型はドリフトのない 正感度を明記したNIST トレーサブルの校正証明書が付属し ACカップルモードで動作し、ICP® 型ロードセルに定電流 ています。計測範囲が 22k ~ 450k N (5000 ~ 100klb) を供給し、かつゼロベースのクランプ回路を持ち各パルスの のロードセルの校正には油圧プレススタンドを用います。校 電気的に0Vにリセットする機能があります。 正するロードセルの測定範囲に応じて規準リングを選択し、 正出力 被校正ロードセルと同じ軸上に取り付けます。図14に油圧 プレススタンドの概要を示します。規準リングは校正値の証 明のために、6ヶ月毎に校正され証明書が発行されます。測 定レンジの小さなロードセルの校正にはスケールダウンした 油圧スタンドが使われます。小型高感度型ロードセルの校正 には質量既知の小型軽量の規準マスを用います。マスをセン サの上に置き、出力信号を 0Vに落ち着かせたところで マ スをすばやく取り払います。電荷出力型および時定数の長い ICP® ロードセルは、既知の静荷重を加え、その出力電圧か 正出力 ら静的な校正をおこないます。 すべての校正手順でロードセルの測定範囲の 20%間隔で出 力電圧をプロットしています。各測定点の値は、3回計測し た値の平均値を取っています。 このようにして求められた各値をプロットし、ゼロ点を通る 最適近似直線を引きます。 図12 正極性、0VベースのAC出力 仕様に規定された線形性外の測定値を持つロードセルは校正 図12のように、この特殊な回路により信号出力がマイナス 不合格品として取り除かれます。 側にドリフトするのを防ぎ、連続して正極性の信号が出力さ れます。 ケ ー ブ ル ・ コ ネ ク タ 株式会社東陽テクニカ 機械計測部 TEL:03-3245-1058 E-mail: web-car@toyo.co.jp URL:www.toyo.co.jp/sens 12-10
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PCB Piezotronics センサ 総合カタログ 146

圧電型ロードセル 技術資料 規準試験リング ジャック 油圧ポンプへ 接続 圧縮型 ロードセル 取り付け位置 データモニタ・ 収録機器へ 引張・圧縮型 ロードセル 取り付け位置 テストスタンド 図14. 22k ~ 450k N用校正器 図13. 一般的なロードセルの校正データ 12-11 株式会社東陽テクニカ 機械計測部  TEL:03-3245-1058 E-mail: web-car@toyo.co.jp URL:www.toyo.co.jp/sens