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Industry4.0・IoTナビVol.3ダイジェスト版

ホワイトペーパー

インダストリー4.0、IoTに関する各種情報をまとめた小冊子の第3号抜粋版

ものづくりを応援する業界紙「オートメーション新聞」がお送りする、第4次産業革命、IoTに特化した小冊子「Industry4.0 IoTナビ」の第三弾のダイジェスト版(一部抜粋版)です。

今回は「見えてきた未来への道筋」と題し、ファナックの主導するField System、安川電機の考えるインダストリー4.0などの業界注目インタビューや、シーメンスやアクセンチュアなどのIT企業の最新動向をお伝えします。


※ダウンロードされたお客様の情報は弊社プライバシーポリシーに則り協賛企業へ共有させていただきます。あらかじめご了承下さい。

【協賛企業】B&R Industrial Automation株式会社/ロックウェル オートメーション ジャパン株式会社/日本電気株式会社/SAPジャパン株式会社/NKE株式会社/アンフェノールジャパン株式会社/ダッソー・システムズ株式会社/日本ナショナルインスツルメンツ株式会社

このカタログについて

ドキュメント名 Industry4.0・IoTナビVol.3ダイジェスト版
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
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このカタログの内容

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別冊 Industry4.0-IoTナビ Industry4.0, IoT, Industrial Internet, Smart Factory Vol.3 インダストリー4.0、IoT 第4次産業革命は 次のステージへ ー見えてきた未来への道筋ー インタビュー シーメンス、ダッソー・システムズ、 アクセンチュア、NEC、NTTコミュニケーションズ など 安川版インダストリー4.0実現へ 安川電機 小笠原浩社長 ファナック、工場特化型IoTプラットフォームの勝算 日独米、IoT国際基準に向けて大きく前進 国内工場のIoT活用事例 人をセンサ化するIoHの重要性
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INDEX インダストリー 4.0 -IoT ナビ Vol.3 I N DEX IoT国際基準に向けて大きく前進 第4次産業革命、新たなステージへ …………………………………………………… 1~ 2 「つながる工場」のインフラ整備 いまだ流動的な産業用ネットワーク ………………………………………………………… 3 人をセンサ化するIoHの重要性 人手作業の効率化と未来の自動化への布石 ………………………………………………… 4 IoT活用で効果を上げる国内工場の事例 NEC、富士通、パナソニック ………………………………………………………… 5 日本発工場特化型IoTプラットフォームの勝算は?ファナックField Systemの可能性 ……………………………………… 6 中小製造業のIoT化を進めるスマートものづくり応援ツール …………………………………………………………………… 7 安川版インダストリー4.0実現へ ………………………………………………………………………………………………… 8  株式会社安川電機 小笠原 浩 代表取締役社長 1社では実現できない製造業のデジタル化 データをビジネスに活かす ……………………………………………………… 9  アクセンチュア株式会社 製造・流通本部インダストリアルグループ アジアパシフィック統括  河野 真一郎 マネジング・ディレクター NECが考えるIoT時代のものづくり~実証から実装へ~ ………………………………………………………………………… 10  日本電気株式会社 第一製造ソリューション事業部   関 行秀 バリュークリエイション部長 IoTの実現に向けた標準Ethernet規格の拡張版「TSN」 ………………………………………………………………………… 11  日本ナショナルインスツルメンツ株式会社 岡田 一成 シニアテクニカルマーケティングマネージャ 産業用IoT成功のカギを握るセキュリティ戦略 ………………………………………………………………………………… 12  NTT コミュニケーションズ株式会社 技術開発部 IoT クラウド戦略ユニット 経営企画部 IoT 推進室   境野 哲 IoT・エバンジェリスト 製造業はデジタル化を経て設計製造連携…へ…………………………………………………………………………………… 13~ 14  ダッソー・システムズ株式会社 鍛治屋 清二 代表取締役社長 人がセンサとなってものづくりを進化させるIoX ……………………………………………………………………………… 15  新日鉄住金ソリューションズ株式会社 IoXソリューション事業推進部 井上 和佳 専門部長 シーメンスが取り組む製造業のデジタルプラットフォーム戦略 …………………………………………………………… 16  シーメンス株式会社 デジタルファクトリー/プロセス&ドライブ事業本部  ビジネスエクセレンスグループ 神澤太郎 グループマネージャ IoTによる工場全体の最適化を実現する統合アーキテクチャ「コネクテッドエンタープライズ」…………………………… 17  ロックウェル オートメーション ジャパン株式会社  畝 忠孝 マーケティング部長 つながる工場の実現をサポートする B&Rの統合オートメーション製品ポートフォリオ …………………………………… 18  B&R Industrial Automation株式会社 小野 雅史 代表取締役社長 IoTを活用したものづくり改革 第一歩をどう踏み出す…か………………………………………………………………… 19~ 20  株式会社日本能率協会コンサルティング IT経営推進室 松本 賢治 シニアコンサルタント インダストリー4.0 -IoTナビ Vol . 3  発行所:株式会社アペルザ オートメーション新聞社   発行日:2016年10月24日   価 格:1000円+税 〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町23番地 日土地山下町ビル13F 電 話:045-228 -8873 FAX:045-345 -4790       メール:info@automation-news.jp オートメーション新聞WEB版 http://www.automation-news.jp/
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インダストリー 4.0̶IoT ナビ Vol.3 潮 流 「つながる工場」のインフラ整備     いまだ流動的な産業用ネットワーク PROFIBUSとCC-Linkの接近、トヨタのEtherCAT採用 デジタル時代の工場の重要なインフラとなる産業用ネットワーク。複数の規格が林立し、相互接続性に乏しく、本 来オープンであるはずのネットワークが、逆に「つながる工場」の実現を阻害していた。それが第4次産業革命の 進展により各陣営が歩み寄り、少しずつオープンな形に近づいている。その一方で、世界の製造業に強い影響力 を持つトヨタ自動車が EtherCAT 採用を検討するなど新しい動きもあり、流動的な状況だ ドイツ発 PROFINETと日本発 CC- Link が 相互接続に合意  昨年 12 月、ドイツ発の通信規格で、ヨーロッパを中 心に、中国やインド、ASEAN 地域で高いシェアを持つ PROFIBUS 協会と、日本発で日本とアジアを中心に展開す るCC- Link 協会が、相互接続性の強化について協力する ことで合意した。  これまで工場内設備をつなぐ産業用ネットワークは、多様 な通信規格が存在し、異なるネットワーク上にある装置は互 いにデータ通信できないという問題があった。その解決には ネットワークを統一にするか、異なるネットワーク間をつ なぐためのコンバーターなどの専用装置を使う必要があり、 IoT 化やスマートファクトリーを進めるユーザー企業からは 相互接続性に対する要望が高まっていた。 て EtherCAT を最大限に活用する。EtherCAT はオープン  この合意により、PROFINET と CC - Link IE 間でイン な技術であることに加え、高速で同期性能が高く、省配線の ターフェースが規格化され、双方向通信が可能になる。技術 特長を持っている。これらは当社の生産システムを、IoT の 的な詳細は年内に発表される見込みとなっている。 コンセプトに基づいて、さらに進化させていくためのニーズ に合致するとの結論に至った」としている。 センサレベルでは IO-Link が拡大  なかでも EtherCAT Pの省配線を高く評価。「新技術で  またセンサやアクチュエータなど現場の末端に位置する ある EtherCAT P に大きく注目している。通信と電力を デバイスに関して、非常に低コストが求められることから、 単一のケーブルに統合するコンセプトはトヨタの『リーン生 IoT やデジタル通信機能を搭載せず、従来型のアナログ信号 産方式:TPS』の考え方にピタリと合致する。ケーブルは 1 でのやりとりを行っているケースが非常に多い。このため末 本でも少ない方が良い。ETGの仕様として公開されるため 端装置のデジタル化も課題となっている。 の準備が進められているが、これを当社とコミュニティが速  これらセンサレベルのネットワーク規格について、日本市 やかに使えるように積極的に協力していきたい」(大倉氏)。 場でも IO-Link の存在感が増している。制御機器大手のオム  ETGのマーティン・ロスタンエグゼクティブディレクター ロンが 10万点の FA機器に IO-Link 搭載による IoT 化を決 は「世界最大の自動車メーカーのトヨタは、極めて高い品質 定したほか、IO-Link 対応機器メーカーも技術セミナーを開 と生産性を実現する生産戦略で知られ、製造業のリーダーと 催するなど、積極的な取り組みが目立つ。 して他の多くの企業や業界がその成功を模範としている。今 回の決定は、自動車業界に限らず他の業界でも、グローバル トヨタ「EtherCAT」全面採用。高速・省配線を 高く評価 に EtherCAT 採用の加速を促すことになるだろう」と歓迎している。  トヨタ自動車は、産業用イーサネットの標準として  地元のサプライヤーなど関係各社には、EtherCAT の採 「EtherCAT(イーサキャット)」を全面的に採用することを 用をすでに連絡済み。大倉氏は「工場での IoT の利活用を推 決定した。今年 4月にドイツで行われたハノーバー・メッ 進していくためには、EtherCAT 対応機器などを速やかに セの ETG(EtherCAT Technology Group)プレスカ 調達できることが不可欠だ。サプライヤーには品質とコスト ンファレンスで、同社の大倉守彦先進技術開発カンパニー工 パフォーマンスが高い EtherCAT 対応機器を遅滞なく供給 程改善部長が明らかにした。採用を決めた理由として、その することをお願いしたい。地元の設備仕入れ先には 3月に 高速性と EteherCAT Pによる省配線を挙げている。 案内を差し上げたが、ハノーバーメッセでは世界の他の国々  大倉氏は「トヨタが今後、新たに稼働させていく新工場に のサプライヤーにも同様の案内をしている」という。 ̶ 3 ̶
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インダストリー 4.0̶IoT ナビ Vol.3 潮 流 日本発 工場特化型IoTプラットフォームの勝算は? ファナック主導のField Systemの可能性 GEの Predix、Microsoft Azure といった IoT プラットフォームと呼ばれるもの の多くは、IT側の上位概念から出てきている。産業問わず使えるメリットがある一方、 工場や製造現場にとっては特有の課題や要望を十分満たせるのか不安という声は多 い。それに対し、工場、製造現場に特化したIoTプラットフォームとして登場したのが、 ファナックの提唱している「Field system」である。 日本の強みである工場や製造現場から出てきた、オープンな IoT プラットフォームと して期待を寄せられている。 IはoHじまがり重は要ゼでロあダるウ理ン由タイム(ZDT) トメーションの大手の米・ロックウェルオートメーション、シスコシステムズ、Preferred Networks、NTTグループが中  ファナックは、2015 年にロボットの状態を監視して予防保 心となって進める。ファナックがマシンの信頼性、品質、スピー 全を行う「ゼロダウンタイム(ZDT)」を発表し、自社のロボッ ドの向上に必要な主要指標を追跡するためのセンサが埋め込 トに対する IoTサービスの展開を始めた。ロボットはネット まれたCNCとロボットを提供、ロックウェルとシスコシステ ワークでエッジコンピューティングのデータ収集装置につなが ムズは、CNC、ロボット、その他セル装置をフィールドシステ り、同じく工場内にある解析サーバーでロボットの稼働状況を ムのアプリケーションに接続するためのネットワーキング、コ 分析し、故障予知を行うことで、定期メンテナンス時の部品 ンピューティング、セキュリティインフラストラクチャを提供す 交換や不意の生産停止などを避けることができる機能である。 る。Preferred Networks のオープンなディープラーニング このシステム構築のために手を組んだのが、エッジコンピュー フレームワークや IoT向けのストリームエンジンで活用、NTT ティングに強いシスコシステムズと、リアルタイム機械学習技 グループ 3 社ははエッジコンピューティング技術とネットワー 術を持つPreferred Networksで、機械や工場内に最適な ク基盤などで協力していく。 形での IoTの仕組みを構築した。  Field systemでは技術仕様を共有するためのAPI を公開 し、サードパーティーが機器やシステムをオープンに開発でき 工場・製造現場に特化した IoT 基盤  FIELD system 誕生 るようになっている。こうした構想に対し、日立製作所、オムロン、IDEC、富士電機、富士電機機器制御、アズビル、パナ  2016 年 7月には、ロボットだけでなく、CNC 装置や工 ソニック、東芝、NECなどの FA 機器メーカーをはじめ、空 作機械に加え、周辺デバイスやセンサまで範囲を広げ、製 圧機器、センサ、コネクタなどのデバイスメーカー、工作機械、 造と生産を最適化する IoT プラットフォームである「FIELD 産業機械、ネットワークインテグレータなどが賛同している。 system」 を 発 表 し た。FIELD は「FANUC Intelligent またユーザーとしてもトヨタ自動車、本田技研工業、日産自動 Edge Link and Drive system」の頭文字を取ったもので、 車をはじめとする各社が歓迎している。 字面では同社の IoTプラットフォームの色が濃いが、実際には  ファナックの稲葉善治代表取締役会長兼 CEOは「フィール オープンなプラットフォームとなっている。人工知能とエッジ ドシステムは、ものづくりシステム全体のコストを最小限にし、 コンピューティング技術を組み合わせた分散型機械学習によっ セキュリティ性の高いオープンなプラットフォームである。当社 て、機械から集めたデータを工場内のエッジでリアルタイム処 以外の機器も接続可能であるから、各社の得意分野で参加し 理して、柔軟で賢く、協調した製造現場を実現する。 てもらいたい」と話している。  ここで前述の2社に加え、NTTグループ3社が協業に参加。 NTTは工場内のエッジサーバへの各種アプリケーションの配 期待が高まる工場に最適化された IoT プラットフォーム 信と管理を担当し、NTTコミュニケーションズはネットワーク  工場、製造現場は堅牢なセキュリティと、リアルタイム性、 インテグレータとして運用管理システムを構築。NTTデータ 柔軟性が求められ、一般的に言われている IoTとは求められ はデータ解析技術や業務コンサルの知見を生かし、アプリケー る要素の優先順位が異なる。ここを懸念する企業は多く、IoT ション開発者として参画する。 の普及がなかなか進んでいかないのはこうした理由もある。 年内に第1弾発売を予定   Field system はほかの IoT プラットフォームと異なり、工 日本企業を中心に 200 社が賛同 場のため、製造現場で必要な要素、機能を満たしたものとし て登場した。工場、製造工程に特化したことで自動車メーカー  8月29日にはField systemのパートナーを集めたカンファ をはじめ、機器や装置メーカー、SIまで多くの支持を得るこ レンスを開催。ユーザーとなる自動車や、FA 機器・装置メー とに成功している。製造におけるキープレイヤーが揃っており、 カー、SI など 200 社以上が参加した。 大きな可能性を秘めている。  Field system の開発体制は、同社を筆頭に、産業用オー ̶ 6 ̶
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インダストリー 4.0̶IoT ナビ Vol.3 インタビュー 安川版インダストリー4.0実現へ製品と生産方法 を見直し、ショールームとして提案 小笠原 浩 株式会社安川電機 代表取締役社長 安川電機は 2016 年度から2025年度までの10 年間の長期経営計画「2025年ビジョン」 を推進している。16 年度~18 年度までの「Dash 25」、19 年度~22 年度までの「Ch allenge 25」、23 年度~25 年度までの「Realize 25」の3段階を通じて、「コア 技術の進化とオープンイノベーションの融合により、社会に対し新たな価値を提供する」こ とを目指している。小笠原浩社長に最初の3年間の「Dash 25」計画を中心に、その概要、 インダストリー4.0」への取り組みなど、新しいものづくり構想を聞いた。 ―2016年4月から3年間の中期経営計画「Dash 25」 りと見ておく必要がある。I4.0の考え方は、自動車やスマホ をスタートされていますが、そのキーワードは何になりますか など大量に生産するディスクリート製品には合う構想であると  基本は「環境エネルギー」と「ロボティックス」である。環 思う。当社も国内外で生産を行っていることもあり、これを今 境エネルギーでは、創エネ、風力発電、PV(太陽光発電)を 後どう展開していくかは常に考えている。I4.0が導入された 中心にがんばっていく。ただ、これらは日本にほとんど市場が 時に、製品がどう変わらなければならないかという点と、当社 ないのが課題である。風力発電は欧州、PVはアメリカを中心 の生産ラインをどう変えていかなければならないかという2つ に取り組み、それぞれ会社を買収して、強化している。環境エ の面から考えておく必要がある。そこで「安川版インダストリー ネルギーでは中国も重要で、大気汚染対策もあって中国政府も 4.0」的な生産ラインを社内に作って、サーボモータやインバー 取り組みを強めている。中国では風力、PVに、環境問題上か タ、ロボットなどを生産する。当社製品を使った工場をショー らEV(電気自動車)も加える必要があり、その一環としてE ルーム化し、販売に活用していくやり方である。サーボモータ Vで中国に合弁会社を設立した。中国はガソリン車を規制する 生産の入間工場(埼玉県入間市)やロボット工場(北九州市) ために、EVとPHV(プラグインハイブリッドカー)のみに補 をステップアップしていく。I4.0の概念も少しずつ変わって 助金を出して普及に努めていることもあり、急速にEV・PHV くるが、製品を設計して出荷するというサプライチェーン(SC の車の生産が増えている。 M)を一生懸命に実現していくことが重要であると思う。I4.0 のキーワードはあるが、これがI4.0だという固定した考えが ―もう一つのロボティックスはどう取り組みますか。 あるわけでない。色々なことをやりながらI4.0に進めていく  ロボットというキーワードが変わりつつある。従来の産業用 ことになるだろう。ただ、自社で全部できるわけでないため、 ロボットの垂直多関節やスカラなどをロボットと呼ぶだけでな 世の中の流れに合わせながら取り組む必要がある。例えばロ く、動くものすべてをロボットと呼びだしている。特に中国で ボットを活用した生産ラインでは、ロボットがトラブルで停止し は複合機械の中にロボットを組み込み、一つの機械として登場 た時の再始動が大変であるが、I4.0を活用することで、停止 してくることが予想され、中に入るロボットの形態も異なってく しても確実に次の作業から動かすとことをできるようになるこ ることになる。この流れは意外に速く10 年で様変わりするか とも可能になるだろう。 もしれず、そのために最初の3年間で仕込んでおく必要がある。 当社としては、これらの複合機械にサー ―ありがとうございました。 ボモータなどを、環境エネルギーにイン バータを販売していく。ロボットを活用 安川版インダストリ4.0の実現に向けて した生産は自動車などのように大量生産 BTOで実現 フレキシブルな生産体制(変種変量生産、最適生産アロ 型では生産効率も上がり、品質も安定す できること ケーション)、納期短縮、製品在庫削減、業務効率化 る。ただ、日本には大量生産するものは 少ないため、IoTやAI(人工頭脳)な 市場拡大自社工場 進化した ユ どを駆使してロボットをインテリジェント BTOラインの進化 コンポーネントの外販 ーザ 化し、多能工化する必要がある。 オ ー 新製品/技術開発(進化したコンポーネント) ―インダストリー4.0(I4.0)やイ プ ンダストリアル・インタネット・コンソー ンイ カストマに展開(ニーズ吸い上げ、不足技術の把握) シアム(IIC)などに代表されるIoTを ノ 活用した新しいものづくり構想への取り ベー 自社工場でのBTO自動化ライン構築 組みが盛んですが。 シ 自動化コンポーネント 新生産技術開発ョ  これらの考えは作るものによって捉え ン 外部 自社 革新的な 高度なコンポーネント コンポーネント 生産技術 IoT技術活用 方が異なる。IoTの中には製造業以外 の部分も入ってくる。こうした点をしっか ̶ 8 ̶
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インダストリー 4.0̶IoT ナビ Vol.3 インタビュー 1社では実現できない製造業のデジタル変革 専門領域の力を結集してデータを 河野 真一郎アクセンチュア株式会社 ビジネスに活かす マネジング・ディレクター製造・流通本部インダストリアルグループ アジアパシフィック統括  IoT 活用をはじめとしたデジタル化に対し、日本では準備が整っていない企業が多い。米 国の IIC(インダストリアル・インターネット・コンソーシアム)のメンバーであり、世界中の 企業のデジタル変革を支援するアクセンチュア。世界の製造業はどう進み、日本企業はどう すべきか?またデジタル変革において同社が果たす役割とは?河野真一郎マネジング・ディレ クター 製造・流通本部インダストリアルグループアジアパシフィック統括に話を聞いた。 ̶御社はコンサルティング会社として、製造業の IoT 活用 周辺のデータを元にそのデータを計算できる仕組みが整って をどう支援していますか? いるケースが増えています。日本では多くの場合、それがベテ  IoT は、メーカーが製造・販売する製品や、工場内の製造 ランの勘と経験頼みになっています。日本ではまずその計算 装置などにセンサを付け、蓄積した大量のデータを分析して、 式を作るところから始めなければなりません。ここに大きな壁 ビジネスに還元する仕組みと言えます。 があると感じています。  この実現には、ユーザー企業をはじめ、センサや製造装置、 ̶日本企業はどうしたらいいでしょうか? 通信・ネットワーク機器を提供する企業、ネットワークを構築  日本が技術的には負けることはないと思います。ただビジ するSI、データ収集・分析のベースとなる IoTプラットフォー ネスにつなげられていないだけで、そこが海外勢との差になっ ムを提供する事業者、アプリケーションを開発するソフトウェ ています。 ア企業など、多くの専門家とモノが必要です。当社はお客様の  IoTには、「先に目的があって、それを実現するために必要 デジタル変革を支援するために、IoT 活用の戦略立案から実 なデータを取る」のと、「データを取ってみたら何かが見えてく 践までを一気通貫で支援しています。 る」という2つの特徴があります。  IoTビジネスでは、膨大なデータを分析するデータサイエン  前者は海外の事例でよく見られます。例えば、GEは、航空 ティストの活用も重要です。こうしたアナリティクス領域のサー 機エンジンの故障によるフライト遅延や欠航による損失を減 ビスは当社が得意とするサービスの1つであり、世界の製造 らすために、エンジンの温度や振動などのデータをセンサで 事業者が求めています。これまで製造業の中ではアナリティク 検知し、ネットワーク経由で収集して分析しています。またミ ス領域の専門家がなかなかいませんでしたが、IoT 時代におい シュランは、顧客に寄り添ったサービスを提供するため、タイ ては必ず重要になっていきます。 ヤに設置したセンサとアナリティクスを活用して、走行距離ベー ̶日本の製造業の IoT 活用に対し、どう感じていますか? スでのタイヤ使用料支払いサービスを運送会社向けに提供して  設計や生産技術、製造、品質管理など工程ごとに考え方が います。 異なり、それぞれが今抱えている課題に対して IoTを使って  それに対し、「データを取ってみたら何かが分かる」という どうにかしようという内向きな視点になっている印象を受けま のは、気づきの力が高い日本人に向いていると思います。製 す。 造業で言えば「カイゼン」が良い例です。まずはデータを取っ  また社外とのコミュニケーションという観点で、現場の技術 て分析してみる。そこから始めるのも良いと思います。 者は自社の IT 部門や外部のパートナー企業を懐疑的に見がち ̶今後について教えて下さい。 です。製造工程は現場の技術者でないと分からないのと同じ く、例えば、集めたデータの処理・分析方法はとても複雑で  IoTによる成功は1社だけでは実現できません。製造現場 あり、現場の技術者が見ても分からないものです。それぞれ の各工程の人だけでなく、システムを作る人、機器を提供する 得意な領域が異なるので、それを組み合わせることでより良い 人、メンテナンスする人、データを分析する人など、多くの人 ものを生み出すことが IoTビジネスにおける成功の要諦です。 の力が必要であり、これをプロジェクト管理の発想で推進して いくことが重要です。アクセンチュアが日々のコンサルティン ̶データ収集や見える化は、日本でも多くの企業が実行し グ業務で行っていることとまさに同じ発想です。 ています。  いまは海外の先進事例が目立っていますが、欧米の動きに  確かにそうだと思います。でも、そこからうまく価値を生み 惑わされる必要はありません。当社では、お客様が自社の強 出せていないことが問題なのです。特に、集めたデータが分 みを活かしてデジタル変革を実現できるよう、引き続き IoTの 析に使えない状態であることが多いです。海外では、実際に 活用支援をしていきたいと思います。 取れていないデータ、欠損しているデータであっても、前後や ̶ 9 ̶
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インダストリー 4.0̶IoT ナビ Vol.3 インタビュー IoTによる工場全体の最適化を実現する統合 アーキテクチャ「コネクテッドエンタープライズ」 米国を代表するFA・PA機器メーカー、ロックウェル・オートメーションは、永年にわたっ て世界のものづくりに携わり、豊富なノウハウを蓄積してきた。IoTへの対応が求められる 中で、同社では統合アーキテクチャ「コネクテッドエンタープライズ」の考えを提案している。 データを情報に変え、さらに知識に変え、最終的に英知に変えることで、ユーザーの本当の 価値をつくりだそうというもの。ロックウェル オートメーション ジャパンの畝忠孝マーケティ ング部長に、現在の製造業の課題と同社の統合アーキテクチャの特徴を聞いた。 畝 忠孝  ロックウェル オートメーション ジャパン株式会社 マーケティング 部長 ―現在、製造業が求められている課題を聞かせてください。 ―コネクテッドエンタープライズの導入では何が課題になります  大きく5点あると思います。1つ目は汎用IoT技術と既存の か。 資産を活用することで、いかに投資効率をよくできるか、2つ目  当社の場合、PLCをはじめ、プログラマブル表示器、ドライ はSCM(サプライチェーン)や生産管理システム等が適切な需 ブシステムなど、すべての機器はEthernetでつながるよう 要対応、歩留り率の改善を実行できるか、3つ目は従業員の生 になっており、大きな障害はありません。これを上位側とつなぐ 産性を向上することによる労働効率の改善、4つ目は IoT 技術 時に、ネットワークのインフラをどのように構築していくのか、セ を使用することによる受注CS(顧客満足)の向上、5つ目が製 キュリティ対策をどうするのか、さらに海外とつなぐ場合にはク 品投入サイクルを短縮するイノベーションの確立です。 ラウドを導入したほうがよいのかというような課題があります。 ―コネクテッドエンタープライズでは、データの活用方法が大 現場側OTレイヤーだけでなく、ITレイヤーまで一気通貫のシス きなポイントのようですが。 テムにしないと効果を上げづらいので、当社ではパートナーと協  データベースは、製造側、品質管理側、エンタープライズ側 力しながら、トータルソリューションの提案をさせていただいて 等、いろいろな場所に存在し、またその中で必要とされる有効 います。 データを、どこからどのように持ってきて活用するかがポイント  これまでお客様に提案させていただいてきた中で、IoT推進 になります。当社では数あるソリューションのひとつとして、こ の課題として、今後少なくとも10年、最新の生産システムで運 れらの情報の抽出、加工、組み合わせを可能とするレポートツー 用できるかどうかということを伺いました。ウェアラブル技術の ル「Factory Talk VantagePoint EMI」を提供しています。お 発展や現場機器の性能向上を考えますと、常に最新技術に対応 客様はMicrosoft Excel を使用してデータベースから必要な情 するためにシステムをアップグレードするということは、場合に 報をレポート化することで、レポート作成時間や変更時間を大 よっては時間も費用もかかります。今後、そういった問題に対応 幅に短縮すること していくためにも、基本的な機能をメーカー側でアップグレード ができます。また、 保証できるパッケージソフトの導入検討をお勧めしています。 Webブラウザ経由 ―つながることでのセキュリティのリスクも高まっていますが、 でこの最新情報を これへの対策はどうなっていますか。 配信し、どこからで  当社では、内部及び外部からのセキュリティ脅威からシステム もKPI などをリア を保護するために多層防御アプローチの導入を推奨しています。 ルタイムで見ること セキュリティ対策では、第 3 者がネットワークに侵入するサイバー ができます。 セキュリティがよく話題になりますが、もっとも身近で懸念され ―これまでの導入実績はいかがですか。 ることとしては、直接工場現場やシステムに接続する人に対応す  自動車工場等、様々な分野で利用されています。工場では生 るためのセキュリティ対策です。社員や外注業者、退職者に対す 産管理など様々なシステムが導入されていますが、当社のレポー るセキュリティ対策を強化するためには、今後、プログラムやシ トツールを使用することで既存の資産にあるデータを生かしなが ステムの変更履歴管理(いつ、誰が、どこから、どのような変更 ら見える化を統合実現できます。生産ラインでは、工程ごとに使 を実施したか等)を適切に行う必要があると考えており、当社 用されているシステムが異なることもありますし、国内と海外工 でも資産管理ソフトを使用したソリューションを提案しています。 場で違うものを使っていることもあります。そのため、分析デー ―日本は中小企業の数が大企業に比べ圧倒的に多くあります。 タを一元管理できず、KPIを見ただけではわからないということ コネクテッドエンタープライズの導入に当たってはどういうス が起こります。デー テップが必要になりますか。 タの共有化を実現  コネクテッドエンタープライズの成熟度モデルは、インテリジェ させることで、権限 ントなOT/ITネットワーク導入時の懸念を解消するものであ さえあれば誰でも り、当社ではこれを5段階のステージで提案しています。まずは、 WEB 経由で、リア 現状の資産、システム評価を実施し、IoT 導入への青写真を作成 ルタイムに同じ観点 いただくことが第1ステージとなり、導入にあたっては、小規模 からの情報を見るこ から大規模まで対応可能な、スケーラブルなシステムを導入され とができます。 ることをお勧めしています。 ̶ 17 ̶