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次世代に向けた大きな動き「産業ネットワークナビ2019」【完全版】

ホワイトペーパー

新たな産業ネットワーク技術

ものづくりを応援する業界紙・オートメーション新聞が展開する別冊「産業ネットワークナビ2019」【完全版】は、IoT時代の産業ネットワーク情報をまとめたムック本です。

IO-Link、FL-net、CC-Link IE TSN、PROFINET、MECHATROLINK-4 / Σ-LINK Ⅱ、ORiNなどの主要ネットワークの特長や最新トレンド、B&R、ピーアンドエフ、ロックウェル・オートメーション ジャパン、フエニックス・コンタクト、ヒルシャー・ジャパンなど主要各社の注力製品や技術が満載の1冊。

このほか、産業用ネットワーク市場シェア分析や、OSSセキュリティに関する報告書など、産業ネットワーク技術に関する最新情報をお届けします。

このカタログについて

ドキュメント名 次世代に向けた大きな動き「産業ネットワークナビ2019」【完全版】
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
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産業ネットワークナビ I n d u s t r i a l N e two r k 2019 次世代に向けた 大きな動き 新たな産業ネットワーク技術 主要ネットワークの最新トレンド IO-Link、FL-net 、CC-Link、PROFIBUS、 MECHATROLINK、ORiNなど 主要各社の注力製品・技術 B&R、ヒルシャー、ピーアンドエフ、 ロックウェル、フエニックス・コンタクトほか 産業用ネットワーク市場シェア分析2019 株式会社アペルザ オートメーション新聞社
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表2
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Unlocking added value. Discovering flexibility. Enabling Industry 4.0. IO-Link対応製品 IO-Linkマスタ 光電センサ・近接センサ・超音波センサ・レーザセンサ RFID Smart Bridgeアダプタ(IO-Link-Bluetooth) 豊富なIO-Link製品群でIIoTを実現します! メンテナンスの簡素化とダウンタイムの削減! www.pepperl-fuchs.com/tr-io-link 表2対向
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前付1
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INDEX 産業ネットワークナビ 2019 I N DEX 【ネットワーク団体】 現場センサ、アクチュエータのためのデジタル通信技術                  IO-Link コミュニティ ジャパン …………… 1~ 2 マルチベンダー環境を実現する産業用オープンネットワーク FL-net             一般社団法人 日本電機工業会 ネットワーク推進特別委員会 …………… 3~ 4 次世代を担う新たな産業用オープンネットワーク「 CC-Link IE TSN」            一般社団法人 CC-Link 協会 …………… 5~ 6 産業用Ethernet・PROFINET  制御通信と情報通信の共存            NPO法人 日本プロフィバス協会 ………………7~ 8 新世代の産業ネットワーク “MECHATROLINK-4 / Σ-LINK Ⅱ” MECHATROLINK協会 ………… 9~ 10 【寄稿】 OPC UA over TSN インダストリー4.0時代の標準ネットワークがフィールドレベルへ              B&R株式会社 青木 文康 ………… 11 ~ 13 産業オートメーション向け オープンミドルウェア ORiN               ORiN協議会 広報委員会 米山 宗俊 ………… 15 ~ 16 プロセス産業のディジタル化を支える HART通信インターフェース 株式会社ピーアンドエフ シニアテクニカルマネージャ 鈴木 哲 ………… 17 ~ 18 スマートマニュファクチャリングにおける リスク管理    ロックウェル・オートメーション ジャパン株式会社      セキュリティ担当ディレクタ メーガン・サムフォード ………………… 19 産業用システムの可視化を促進する HTML5対応産業用ウェブパネル              フエニックス・コンタクト株式会社 ………………… 20 netX 90超小型IoT&産業用機器向け多機能通信 コントローラ ヒルシャー・ジャパン株式会社 ………………… 23 【潮流】 産業用ネットワーク市場シェア分析2019 …………………………………………………………………………………… 14 シエナ、ネットワーク自動化時代をリード デジタル革命の第2フェーズに突入 …………………………………………… 21 シノプシス、OSSセキュリティに関する報告書 ………………………………………………………………………………… 22 【 広告】 フエニックス・コンタクト株式会社 ……………………………………………………………………………………………… 表2 株式会社 ピーアンドエフ ………………………………………………………………………………………………… 表2対向 B&R株式会社  … … … … … … … … … … … … … … … …………………………………………………………………………… 前付1 ヒルシャー・ジャパン株式会社  ………………………………………………………………………………………………… 表3 ロックウェル・オートメーション ジャパン株式会社 ………………………………………………………………………… 表4 産業ネットワークナビ 2019  発行所:株式会社アペルザ オートメーション新聞社   発行日:2019年7月17日    〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町23番地 日土地山下町ビル13F 電 話 : 045 -228 -8873 FAX : 045 -345 -4790       メール : info@automation-news.jp オートメーション新聞WEB版 http://www.automation-news.jp/
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産業ネットワークナビ 2019 ネットワーク団体 現場センサ、アクチュエータのためのデジタル通信技術 IO-Link コミュニティ ジャパン  はじめに  産業用オートメーションにデジタル通信技術が導入されて、すでに25年以上となる。工場現場では各種フィールドバ ス、産業用Ethernet等を使用して、多くのオートメーション機器間で、自由にデータと情報のやり取りができるように なっている。  ただし、オートメーションをさらに進化させるためには、工場のすべての機器がデジタル通信でつながって、情報を共 有する必要があるが、現実にはまだそうなってはいない。  特に工場現場に一番近いセンサ、アクチュエータは(一般的に)非常に安いコストで供給されることが求められてお り、Ethernetなどを使ったデジタル通信機能を搭載すると価格が高くなっ てしまう。そのため、工場で多く使用されているにもかかわらず、センサ・ア IO‐Linkノード数 クチュエータまでにはデジタル通信が届いていないことが多い。 1,500万  IO-Linkはこの課題を解決するため、現場の(比較的価格の安い)機 1140万 器もデジタルネットワークに接続し、測定値、操作値だけでなく、パラメー 1,000万810万 タデータ、診断データ、そしてイベントの通信可能にする技術である。IO- 530万 Linkのコンセプトはすでにマーケットで受け入れられ、2018年末までに累 500万 計1140万台の機器が全世界で納入された。(図1参照)累積出荷台数が 1000万台を超えたことは、すでにIO-Linkが新しい技術でなく、普通に使 図1 IO‐Link累計出荷数 われている技術と認知されているとご理解いただきたい。 図 1: IO-Link 累計出荷数 1. IO-Linkとは DeviceNet、AS-Interface、seria、USBなど多彩なプロト コルが用意されている。この多様な接続性がIO-Linkの魅力  IO-Linkシステムではマスタとデバイスを3本の導線(シー の1つである。つまり、IO-Linkは既存のフィールドバス、産業 ルド不要)を使って1対1に接続する。多くの場合、IO-Linkマ 用Ethernetと競合しないうえ、どのネットワークとも接続でき スタはリモートIOまたは制御機器(例;PLC)の入出力カード るオープン性を持つ。 となっている。マスタは複数のポートを持っており、複数のIO-  また、デバイスの種類も エンコーダ、圧力センサ、レベル Linkデバイスと接続する。(図2参照) センサ、温度センサ、近接センサ、超音波センサ、ビジョンセン サ、流量センサ、 距離計、RFIDシ ステム、低電圧 ス イッチギア 、 真空機器、バル ブ 、回 転 機 、信 号灯など9000 種類以上の機器 がマーケットで 販売されている。 (写真1参照) 写真1:ヨ写真ー1 ヨーロロッッパの展パ示会の( ハノ展ーバ示メッセ2会01(8)におハけるIノO‐Linーkパネバル メッセ 2018)におけるIO- Linkパネル 2. 技術概要 図 2: IO-Link システム構成 (1)Point-to-Point接続    IO-Linkマ図ス2タIOは‐LIinOkシ-Lスinテkムデ構バ成イスと上位の制御機器との間 マスタの各ポートが1個のIO-Linkデバイス(現場機器)とつな に位置して、データのやり取りを仲介する。たとえば、IO-Link がり、中間に機器は接続されない。つまり、マスタとデバイスの マスタがリモートIOの場合、上位通信としてフィールドバス、ま Point-to-Point接続であり、バス接続でない。 たは産業用Ethernetとつながることが多い。現在マーケット (2)信号線は3線式、電源供給も可能 (24V) で販売されているIO-Linkマスタでサポートされているフィー (3)ケーブル最大長 20m ルドバス、産業用EthernetはPROFIBUS、PROFINET、 (4)インタフェース部はM12、M8コネクタ、または端子接続を Interbus、EtherCAT、Powerl ink EtherNet/ IP、 使うのが一般的。 Modbus TCP、SERCOS III、CC-Link、CC-Link/IE、 (5)通信速度 4.8kbps、38.4kbps、230.4kbpsの3種類 — 1 —
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産業ネットワークナビ 2019 IO-Link コミュニティ ジャパン (6)データ更新周期 38.4kbpsの通信速度で約2msecごと のような無線規格は産業用に求められる「小さいデータを、繰 にデータ更新 り返し高速に、信頼性をもって通信する」という要求を必ずしも (7)IO-Linkでは以下の4種類のタイプのデータを通信できる。 満足させていなかった。 1)プロセスデータ   IO-Link Wirelessは工場現場のしかもセンサ・アクチュエー   現場機器の測定値と操作値であり、周期的に通信される。 タ通信用に開発された無線通信規格である。   最大長は32バイト。  主な仕様は 2)バリューステータス ・マスタ1台当たり最大40個のセンサ/アクチュエータを接続 可能   バリューステータスとはプロセスデータの有効/無効を示 ・周期時間は5msec   す値であり、プロセスデータと共に通信される。 ・マスタとデバイス間は20m以内  3)デバイスデータ ・実配線並みのエラーレートを実現   デバイスデータとはパラメータ、機器の識別データ、そし ・2.4Ghz帯を使用     て診断データとなる。これらのデータはマスタからのリクエ となる。   ストにより、非周期で通信される。  IO-Link wirelessを使って、いままで配線に制限があるア  4)イベント プリケーションとか、可動部があるロボットなどにもIO-Linkの   アラーム等のイベントがデバイスで発生した場合、デバイ 適用範囲が広がることが期待されている。   スはマスタにこのイベントを読むようリクエストすることが (2)IO-Link Safety   できる。  工場の中には制御アプリケーションのほかに安全アプリケー (8)IO-Linkデバイスの仕様を規定するXML形式のIODDが ションがある。最近は安全アプリケーションのデータ伝送にもデ デバイスベンダーから提供される。各機器のIODDは一般に公 ジタル通信を使うようになってきている。 開されており、IODDFinder https://ioddfinder.io-link.  IO-Link Safetyは単独でも安全ネットワークとして動作す com からダウンロードできる。 るが、ほかの産業用ネットワーク団体が提供する安全プロトコ ルとつないで、センサー・アクチュエータレベルに接続する部分 3. IO-Linkを採用するメリット の安全通信をカバーできるというメリットも持っている。 (1)IO-Linkは使うと、今までアクセスできなかった、センサ・ア クチュエータ内のデバイスデータも監視・設定できるようにな 5. 日本でのサポート る。たとえば、機器管理パラメータを使って、実際に稼働してい  IO-Linkの日本での普及をサポートするために、IO-Linkコ るセンサ・アクチュエータの機器情報(例:ベンダー名、モデル ミュニティ ジャパンが2017年4月に発足した。2019年6月現 名、シリアル番号、バージョン等)を機器自身から読み取ること 在、32社が参加しており、 ができる。工場の中には数千台、数万台のセンサ・アクチュエー (1)早稲田大学理工学研究所にて、IO-Link体験コースと技術 タが存在する。正確な機器情報を持つことは、ラインの安定稼   コースを開催 働に欠かせない。 (2)IO-Linkの概要説明とベンダデモを行うIO-Link紹介セミ (2)今までセンサ、アクチュエータの接続は、2線式、3線式、無   ナの開催  電圧、有電圧など、機器によりさまざまであった。IO-Linkでは (3)HPの開設 ハードの接続を統一できる。つまり、ケーブル接続の間違いが (4)カタログ、技術資料の公開 なくなる。また、設定と異なるIO-Linkのデバイスをマスタに接 (5)展示会への参加 続するとエラーを出すこともできるので、間違った機器をつな など、積極的に活動を進めている。 ぐことがなくなる。  繰り返すが、次世代工場では、デジタル技術を今よりもっと (3)センサ、アクチュエータをそれぞれ配線するより、IO-Link 活用するために、工場内のすべての機器がデジタル通信でつ とフィールドバスまたは産業用Ethernetを採用すると、配線 ながることが求められる。IO-Linkは現場に最も近いセンサ・ 工数が削減できる。 アクチュエータのデータを取り込み、フィールドバス、産業用 Ethernetと共にスマート工場を構築する技術として、ご注目 4. IO-Link の新しい技術 いただきたい。  IO-Linkをより使いやすくするために、IO-Link Wireless (無線)とIO-Link Safety( 安全)の仕様が最近公開された。 ※記載されている会社名、協会名と製品名につきましては、各 (1)IO-Link Wireless (写真2) 社、各協会の登録商標または商標です。  工場の現場通 信として無線を 使いたい要求は 以 前 からあり、 問い合わせ先 B l u e t o o t h 、 IO-Link コミュニティ ジャパン〒 141-0022 ZigBee , Wi-Fi 東京都品川区東五反田 3-1-6 ウエストワールドビル 4F などを媒体とし 日本プロフィバス協会内 て 使 う 場 合 も Tel/Fax:03-6450-3739 あった。ただ、こ 写真 2:IO-Link Wireless のデモ E-mail: info@io-link.jp HP: http://www.io-link.jp 写真2 IO‐Link Wirelessのデモ — 2 —
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マルチベンダ環境を実現する産業用オープンネットワーク FL-net 産業ネットワークナビ 2019 一般社団法人 日本電機工業会 ネットワーク推進特別委員会 ネットワーク団体 1. FL-net とは マルチベンダ環境を実現する産業用オープンネットワーク FL-net (2)コモンメモリ方式 FマL-nルet チ 一般社団法人 日本電機工業会 ネットワーク推進特別委員会 (図1)ベはン自動ダ車工環業会境からをの要実求仕現様するFL-net機器は 8Kビット+8Kワードのコモンメ に対産して業、制用御機オ器メーーカプ各社ンが共ネ同でッ開ト発しワた日ークモリFと呼Lば-れnるeメtモリエリアを共有しており(図 本発祥のオープンネットワークである。FL-net の 2)、コモンメモリ内のデータは、サイクリック通 1. F 名称は FLA-n Leitnとk はNe twork (2)コモンメモリ方式 の頭文字を取っている。 信メにージよをり持周つこ期と的がに可能更と新な・る同。期化される。ユーザは通 1F.FLL--nneett(とは図1)は自動車工業会からの要求仕様 FL-net機器は 8Kビット+8Kワードのコモンメ 信(3を)意汎用識のすイるーこサネとッなトをくベ、すースべとてしのた産機業器用でオ同ープじンデネーットタ に 対FLし-nてe(t、図制1御)は機自器動メ車ー工業カ会各か社らがの要共求同仕で様開に対発ししてた、制日  モ リワとーク呼ばれるメモリエリアを共有 しており(図御機器メーカ各社が共同で開発した日本発祥のオープンネット イメージを持つことが可能となる。 本  ワ発ーク祥でのあオる。ーFLプ-nンetネの名ッ称トはワFAー Lクinでk あNeるtw。orFkLの-頭ne文t字の 2 F)L、-nコetモは汎ン用メのモイリーサ内ネのットデをー利タ用しはて、いサながイらク、汎リ用ッのク通通 (3信で)は汎保用障のされイてーいサなネいリッアトルをタイベムー性ス、すとなしわたち、産一業定用時間オ 名を称取っはてFいAる 。Link Network の頭文字を取っている。 内信にに通よ信りのサ周イ期ク的ルがに終更了新す・る同機期能を化持さつれ。まるた。、ユ Wi ーndザowはs通 ープンネットワーク 版信のをサ意ンプ識ルすソるースこがとJなEMくAの、すWべebて上にの公機開器さでれて同いじるデ。ータ FL-net は汎用のイーサネットを利用していなが (イら4、汎) メマースタジレをス持:特つこと用の通信で定は局に保依 が 障存 可しな能いとされてシ なスる。いなテムい構 リ築アルタイム ( 3通)常の汎ネ用ットのワイーークでサはネマッストタがを管ベ理ー機ス能をと実し行たする産の業に用対オ 性し、てす、FなL-わneちtで、は一ネッ定ト時ワー間ク内にに参加通す信 る のノーサドイがク分担ルしがて終、管了 ープンネットワークす理る機機能を能実を行持すつるマ。スまタレたス、方W式(i「ndマoルwチs マ版スのタサ」とンもプ呼ぶル方ソ 式)をFL採-用nしetてはい汎る。用のイーサネットを利用していなが 図1 産業用通信の中の FL-net の位置 ースが JEMA の Web 上に公開されている。 3ら.仕、汎様用の通信では保障されていないリアルタイム (4)マスタレス:特定局に依存しないシステム構   性表、1すになFLわ-nちetの、一仕様定を時示間す内。FにL-通ne信tはの通サ信イの互ク換ル性がを終持了 2. 特長 築 ちす、Vるe機r.2能とをVe持r.3つの。機器まがた互、いWに通in信doすwるs。版のサンプルソ (1)国内主要図コ1 ン産ト業用ロ通ー信ラの中メのーFLカF-nLがe-tnの対e位t応置し、コン  通表常1のの仕ネ様にッおトいワてー、ネクットワーク JEMA Webではマ のストポタロがジ(管接理続機の形能)をは、実 図1 産業用通信の中の の位置 ースが の 上に公開されている。 トロ ーラ間の接続が容易 行するのに対して、F(4)マス表タ1レ FスL-:ne特t のL仕-net ではネッ定局様(にF依L-n存et しVeなrト.3)ワークに参2.特長 いシステム構 2FL-n et は国内外の 34 社が製品を提供している 加するノードが分担して、管理機能を実行するマス(.1)特 仕様項目 仕様国内長主 要コントローラメーカが対応し、コントローラ間の 築 オー プ 接ン続ながネ容ッ易トワークである。FL-net を利用す タ伝レ送媒ス体方式(「マルチ10BマASスE-2タ,5,」T と10も0BA呼SEぶ-TX方,FX式)を採(1)国内主要コントローラメーカが対応し、コン 通常のネットワークではマスタが管理機能を実  FL-netは国内外の34社が製品を提供しているオープンな 物理層規格 IEEE 802.3ることにより、マルチベン ダの製造ラインとして、 用している。 トネロッートワラー間クので接ある続。がFL容-ne易tを利用することにより、マルチベン 行トポすロジるのに対してバ、スF型L、-スnタeーt型ではネットワークに参 個々ダFののL製メ-n造ーeラtカインがと持してつ特長をは国内外、の個々3の4メ生社ーかがカがし持たつシステ製品を特提長を供生ムかしをしてた構いシる 加最大す接続る局ノ(ノーード)が数分2担54し局て 、管理機能を実行するマス 築すスるテムこをオープンと 構が築す可る能ことがな可能となる。なネットワーるク。で ある。FL-net を利用す 3.タ交信レ 仕権制ス様御方方 式式(「マルトチークマンパススタ方式」とも呼ぶ方式)を採 通表信局1管に理方式FL-n et のマ仕スタレス方式 (マルチマスタとも呼ぶ)ることにより、マルチベンダの製造ラインとして、 用している。 様を示す。FL-net は通信の プロトコル(制御用通信V)er.U2DP/IPVベeーr.ス3FAリンクプロトコル個々のメーカが持つ特長を生かしたシステムを構 互換性を持ち、 と の機器が互いに通信 ネットワ ーク設定通信 ネットワーク設定パラメータ用の 専用サーバ機能を搭載(TCP/IP 通信) 築することが可能となる。 す3る.。 仕様 汎表用表通1信1重の畳仕様におい TCてP/IP、、ネUDッP/IPに FL-net 以の外仕の通様信をの重示畳ト なワどーFAクリンのクプがす可。能FL-netト ロトコル はポ通ロ信ジの (互接換続性のを形持)ちは、、V汎eサ用r.イ2のクとリイッVークe伝rサ送.3サネのーッビ機スト器とが同互様いにに、通バ信  全局で8Kbit+8KWord のコモンメモリ スす型る、。ス ター型で接続し、最大接続局(ノード)数メッセージ伝送サービス は伝、送  1:1 伝送 /1:N 伝送(ブロードキャスト通信)  表サ25ー41ビス局ので仕あ様るに。お  い最大て10、24ネByッteトワークのトポロジ 図 2 図F2L -nFeLt-nのetコのコモモンンメメモリモ方リ式方式 (伝接送続速の度形は)、はノ、ー汎負ド荷用数測の定(サイ端ーービ末スサ数ネ)ッにトよとっ同て様変に化、すバ (2)コモンメモリ方式 るスが型、3、2ス局タでー、2型kでbi接ItOの定続義Oし設N定、サ/O最ーFビ大Fス接、信勧続号誘サ局とー(ビ2スノkーWドOR)D数  FL-net機器は8Kビット+8Kワードのコモンメモリと呼ばれ 32局、2Kbit+2KWord データを るメモリエリアを共有しており(図2)、コモンメモリ内のデータ は伝送、性能254 局である。50m s 以下でリフレッシュ可能 は、サイクリ図ック2 通信FLに-よnりet周の期コ的モに更ン新メ・同モ期リ化方さ式れる 。ユー1 デバ伝イス送レ速ベル度通は信 、ノーI/Oドマス数タ(ー(端特末定局数))と通に信よって変化すザは 通信を意識することなく、すべての機器で同じデータイ  固定マップ /任意マップ 2方式 るが、32局で、2kbitのON/OFF信号と2kWORD — 3 — 1
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産業ネットワークナビ 2019 一般社団法人 日本電機工業会 ネットワーク推進特別委員会 汎用のイーサネットと同様に、バス型、スター型で接続し、最大 6.開発サポート 接続局(ノード)数は、254局である。  伝送速度は、ノード数(端末数)によって変化するが、32局  近年、主要マイクロプロセッサメーカやそのサードパーティ で、2kbitのON/OFF信号と2kWORDのデータ信号のデータ メーカからFL-netの開発をサポートするハードウェアやソフト 量を送受信する場合には、50msec以下でリフレッシュ可能で ウェアの開発キットが発売され、コントローラメーカにとっては あり、定時間内に通信が終了するリアルタイム性を持つ。 FL-net対応製品の開発環境が整いつつある。 4 .適用分野 7.国際規格化推進と国内規格  FL-netの適用分野を表2に示す。  FL-netを国際規格にするため、IEC(Internat ional Electrotechnical Commission)にFL-net規格を提案し、 表2 FL-netの適用分野 2019年6月にIEC61784-2/IEC61158としてIEC規格内 プロセス産業 公共・社会システム に採用された。さらに国内規格(JISなど)もIEC規格に関連し加工組立産業 食品・薬品産業 その他 て改訂して行く計画である。 自動車 製鉄・鉄鋼 紙パルプ ダム監視・管理 電気機器・電線 化学 上下水道 機械 窯業 ゴミ処理 輸送機器 石油 食品 電力監視・制御 半導体 薬品 ビル管理 表示デバイス 印刷  FL-netは自動車を始めとする加工組立産業や、プロセス産 図 5. 図I4E CIE規C規格格化化の推進進と国と内国規内格規整備格整備 のデータ信号のデータ量を送受信する場合には、 成業2、8食年品・薬8 品月産)」業内などにでは幅、広FくL適-用neさtれがて仕い様ると。ましたて、公記共載・ 社会システムではダム監視・管理や上下水道などに適用されて 50msec 以下でリフレッシュ可能であり、定時間内 されている。 8.推進体制・認証体制おり、国交省発行の「ダム管理用制御処理設備 標準設計仕 8.推進体制・認証体制 に通信が終了するリアルタイム性を持つ。 様 書(平成28年8月)」内には、FL-netが仕様として記載され  (一社)日本電機工業会 ネットワーク推進特別委員会が ( ている。 FL 一-n社etの)日規格本作電成機と工改訂業、会国 際ネ標準ッ化ト、ワ普及ー拡ク大推の進た特めの別活 5.出荷実績 委動員を会行がってFいLる-n。eまtたの、ネ規ッ格トワ作ー成クと認証改特訂別、委国員際会と標地準方化独、立 表 1 FL-net の仕様(FL-net Ver.3) 5図.出3荷に実績FL-netの出荷実績台数の調査結果を示す。行政法人 神奈川県立産業技術総合研究所がFL-net製品の 普及拡大のための活動を行っている。また、ネット 2 00図8 3に20F0L9- n e t の 出 荷 実 績 台 数 の 調 査 結 果を示 す 。 認証試験を実施している。~ 年度(リーマンショック時)には出荷 仕様項目 仕様 ワーク認証特別委員会と地方独立行政法人 神奈 2008~2009年度(リーマンショック時)には出荷台数が減少 伝送媒体 10BASE-2,5,T 100BASE-TX,FX 台数が減少したが、その後出荷台数は拡大を続けて したが、その後出荷台数は拡大を続けている。2018年度は過 川県立産業技術総合研究所がFL-net製品の認証試物理層規格 IEEE 802.3 い去る最。高の20出1荷8台年数度とはなっ過た去。最高の出荷台数となった。 トポロジ バス型、スター型 験を実施している。 最大接続局(ノード)数 254局 交信権制御方式 トークンパス方式 通信局管理方式 マスタレス方式 (マルチマスタとも呼ぶ) プロトコル(制御用通信) UDP/IPベースFAリンクプロトコル ネットワーク設定パラメータ用の ネットワーク設定通信 専用サーバ機能を搭載(TCP/IP通信) TCP/IP、UDP/IPなどFAリンクプロトコル 汎用通信重畳 以外の通信の重畳が可能 図 6.図 5 FLFL-n-neettのロロゴゴ サイクリック伝送サービス  全局で8Kbit+8KWordのコモンメモリ メッセージ伝送サービス 伝送サービス  1:1伝送/1:N伝送(ブロードキャスト通信)  最大1024Byte 負荷測定サービス IO定義設定サービス、勧誘サービス 32局、2Kbit+2KWordデータを 伝送性能 50ms以下でリフレッシュ可能 I/Oマスター(特定局)と通信 デバイスレベル通信 図3 FL-netの出荷実績調査結果  固定マップ/任意マップ 2方式 図 3. FL-net の出荷実績調査結果 — 4 — 4. 適用分野 6.開発サポート FL-net の適用分野を表 2 に示す。 近年、主要マイクロプロセッサメーカやそのサー ドパーティメーカからFL-netの開発をサポートす 表 2 FL-net の適用分野 るハードウェアやソフトウェアの開発キットが発 売され、コントローラメーカにとっては FL-net 対 プロセス産業 公共・社会システム 加工組立産業 食品・薬品産業 その他 応製品の開発環境が整いつつある。 自動車 製鉄・鉄鋼 ダム監視・管理 紙パルプ 電気機器・電線 化学 上下水道 7.国際規格化推進と国内規格 機械 窯業 ゴミ処理 FL-net を国際規格にするため、IEC 輸送機器 石油 (International Electrotechnical Commission)に 食品 電力監視・制御 半導体 薬品 FL-net 規格を提案し、2019 年 6 月に 3 表示デバイス 印刷 ビル管理 IEC61784-2/IEC61158 として IEC 規格内に採用 された。さらに国内規格(JIS 規格など)も IEC FL-net は自動車を始めとする加工組立産業や、 規格に関連して改訂して行く計画である。 プロセス産業、食品・薬品産業などで幅広く適用さ れている。また、公共・社会システムではダム監視・ 管理や上下水道などに適用されており、国交省発行 の「ダム管理用制御処理設備 標準設計仕様書(平 2
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産業ネットワークナビ 2019 ネットワーク団体  CC-Link IEの次世代を担うネットワークとして、 2018年11月に仕様公開した新たな産業用オープンネットワーク 「CC-Link IE TSN」を紹介。 1. はじめに  これらの要求に応えるのがCC-Link IE TSNだ。従来のCC-Link IEの特長を継  2018年11月、CC-Link協会はCC-Link IEの次世代を担 承しつつ、時分割でリアルタイム性を実 うネットワークとして、新たな産業用オープンネットワーク「CC- 現するTSN技術を採用することにより、 Link IE TSN」の仕様を公開した。 同一幹線上で複数の異なるネットワーク  今回新たに仕様を策定したCC-L ink IE TSNは、標 の混在を可能とする。さらに、効率的なプ 準Ethernet規格を拡張した「TSN(Time Sens i t ive ロトコルにより、高速・高精度なモーション テクニカル部会 部会長 Networking)」を世界に先駆けて採用した。TSNはIEEEの国 制御を実現する。これによりCC-Link IE 有馬 亮司 際標準化と並行して、さまざまな産業用オープンネットワークへ TSNは、上位のITシステムから生産現場のFAシステムの階層 の適用検討が進められており、従来のEthernet通信ではでき を意識することなく、シームレスに連携し、製造業におけるさま なかった制御通信(リアルタイム性の確保)と情報通信(非リア ざまなアプリケーションの活用拡大が可能となる。 ルタイム通信)の混在を、時分割通信方式により可能にするも のである。 3. 技術的な仕組みと他オープン技術の活用  CC-Link IE TSNはTSN技術を採用することで、よりオープ (1)TSN技術及びプロトコル階層 ンな産業用ネットワークとすると共に、効率的なプロトコルによ  CC-Link IE TSNは、OSI参照モデルの第2層に位置する り従来CC-Link IEが有する性能・機能をさらに強化した。また、 TSN技術をベースに、第3層~7層のCC-Link IE TSN独自プ 開発手法の多様化により様々なタイプの機器への実装を容易に ロトコルとEthernet標準プロトコルで構成されている。 し、対応製品の充実化を図ることで、IoTを活用したスマート工 場の構築を加速させることが期待される。 2. 開発の背景  顧客ニーズの多様化や高度化に伴い、製造業では自動化、 TCO(Total Cost of Ownership)削減や品質向上ととも に、変種変量生産など新たなものづくりを志向する動きが加速 している。また、センシング技術の発展、ネットワークの高速化、  TSNは、複数の国際標準規格で構成されており、主なものに クラウド・エッジコンピューティングの普及、及びA(I 人工知能) 時刻同期方式を規定したIEEE802.1AS、時分割方式を規定 の進化など、ITによってデータを活用するデータ駆動型社会が したIEEE802.1Qbvがある。これらの規格を組み合わせること 進展している。 で、一定時間内での伝送を保証する定時性や異なる通信プロト  製造業でのIoT活用に向け、欧州のIndustry 4.0や米国の コルとの混在が実現可能となる。 IIC(Industrial Internet Consortium)、中国の智能製造、  これに加えてTCP/IP、UDP/IPを使用するSNMP、HTTP 日本のConnected Industriesなど、グローバルレベルでさま やFTPなどのEthernet標準プロトコルが使用可能だ。これによ ざまなメガトレンドが立ち上がっている。それらに共通するのが、 り、ネットワークの診断に汎用のEthernet 診断ツールが使え あらゆるものをつないでデータを最大限に活用し、自律的で最 るようになるなど、ネットワーク運用の柔軟性が高まる。 適なものづくりを目指す「スマート工場」の実現だ。 (2)通信方式  スマート工場を実現するためには、生産現場のデータをリア  CC-Link IE TSNは、サイクリック通信の方式を刷新した。従 ルタイムに収集し、そのデータをエッジコンピューティングで一 来のCC-Link IEは、1ネットワーク中でトークン(送信権)を保 次処理した上でITシステムへシームレスに送ることが重要とな 有しているノードが自局の送信データを送信した後に、隣接局に る。生産現場のデータを活用するには、高速・安定した制御通信 トークンを譲渡するトークンパッシング方式を採用している。 やITシステムへの大容量の情報伝送が可能なネットワークが欠  これに対してCC-Link IE TSNは、時分割方式を採用した。 かせない。すなわち、生産現場における産業用ネットワークとIT システムにおけるネットワークの融合が重要である。  現在さまざまな産業用ネットワークが使用されているが、ス イッチや配線などネットワークを構成する要素でも、リアルタイ ム性を確保するために独自仕様のものを使う必要があり、IT用 ネットワークや他の産業用ネットワークとの間で回線やデバイス の共有ができないといった課題があった。また、スマート工場実 現のためには、装置や設備の高性能化・高機能化による生産性 向上が求められており、高度なモーション制御用ネットワークが 必要とされる。特に、半導体やバッテリー製造などの業種におい て、要求が顕著である。 — 5 —
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産業ネットワークナビ 2019 一般社団法人 CC-Link 協会 ネットワーク内で同期している時刻を活用し、決められた時刻 Link IE TSNでは、同一ネットワーク内で複数の通信周期で運 で、出力と入力の通信フレームを双方向に同時に送信すること 用することができる。 で、ネットワーク全体のサイクリックデータを更新する時間を短  これにより、サーボアンプのような高性能の通信周期を必要 縮させることが可能だ。 とする機器の性能を維持したまま、リモートI/Oなど高速な通信  この方式とTSN技術を組み合わせることで、制御通信と情報 周期を必要としない機器をつなぐなど、それぞれの機器の特性 通信の混在が可能となる。 に合わせ通信周期を最適化することが可能になり、ネットワーク 4. 特長 上のスレーブ機器が持つポテンシャルを最大限に活用し、システム全体の生産性を高めることができる。  CC-Link IE TSNの大きな特長は次の4つである。 (1)制御通信と情報通信の融合  リアルタイム性を確保した制御通信を実施しながら、他オー プンネットワークの通信やITシステムとの情報通信を同一ネット ワークで融合可能とすることで、システム構成の自由度を向上 し、配線コストを大幅に削減できる。 (4)対応製品の充実化  従来のCC-Link IEは、1Gbpsの広帯域を有効に使用するた め、機器開発ベンダは、マスタ機器とスレーブ機器いずれも専 用ASICかFPGAを用いて対応製品を開発(ハードウェア実装) する必要があった。  CC-Link IE TSNは、ハードウェア実装のみならず、ソフト ウェアでも実装可能とする。従来通り高速な制御を実現する ための専用ASICやFPGAで実装する方法に加え、汎用の (2)システムの早期立ち上げや高度な予知保全 Ethernetチップにソフトウェアのプロトコルスタックで実装する  CC-Link IE TSNは、ネットワーク機器の診断容易化を実現 方法が、マスタ機器、スレーブ機器ともに適用できる。通信速度 するため、SNMPにも対応した。従来は個別のツールを必要と も1Gbpsに加えて、100Mbpsにも対応できる。 していた機器の状態収集を、汎用のSNMP監視ツールにより、  ハードウェア実装だけでなくソフトウェア実装という選択肢 CC-Link IE TSNに対応した機器のみでなく、スイッチやルー と、通信速度が100Mbpsおよび1Gbpsという選択肢が加わっ タなどIP通信に対応した機器もまとめて収集・分析可能となる。 たことで、機器開発ベンダは最適な開発手法でCC-Link IE これによりシステム立ち上げ時や、システム運用・メンテナンス TSN対応機器を開発できるようになる。このことは対応機器の 時の機器動作状態の確認にかかる工数を削減できる。 充実化という形でユーザにも効果をもたらす。  またTSNで規定された時刻同期プロトコルにより、CC-Link IE TSNに対応した機器は機器間の時刻のズレを補正し、高精 度な時刻同期を行っている。マスタやスレーブがそれぞれ持つ 時刻情報をマイクロ秒単位で合わせているため、例えばネット ワークに異常が発生したときの動作ログ解析時に、異常に至る までの事象を正確な時系列で追えるようになる。これによりトラ ブルの原因究明と早期復旧を行うことができる。  さらには、ITシステムへ生産現場の情報と正確な時刻情報を 5. 今後の展開 紐づけて提供することが可能となり、AIを活用したデータ解析  今回仕様策定したCC-Link IE TSNでは、Ethernet上で時 アプリケーションによる予知保全などで、より一層の精度向上 分割通信するTSNの技術を採用したことで、Ethernet機器の が期待できる。 活用を容易にするとともに、高速なサイクリック通信を実現す (3)駆動制御の性能を最大化してタクトタイム短縮 るプロトコルに一新したことで、FA分野における一般制御及び  CC-Link IE TSNは、時分割方式により、31.25μs以下とい モーション制御の性能・機能を大幅に向上させた。今後は、安全 う高速な通信性能を実現した。従来のネットワークで運用して 通信を必要とする分野や光ケーブル対応開発による長距離及 いたシステム規模と比較して、CC-Link IE TSNで運用するシ び高ノイズ耐量を必要とする分野への拡大を目指す予定であ ステムでは、センサを追加したり、ライン増設などで制御に必要 る。また、現行のCC-Link IEで取得済みの国際標準規格「IEC なサーボアンプの軸数が増えても、全体のタクトタイムへの影響 61784」をはじめ、半導体・FPD業界国際スタンダードSEMI、中 を最小限に抑えられるどころか、従来のネットワークで運用して 国および韓国など各国の国家規格の取得を進めていく。さらに、 いたシステムよりもタクトタイム短縮を図ることも可能だ。 TSNの技術を介した他産業用オープンネットワークとの相互接  CC-Link IE TSNでは、性能が異なる機器をそれぞれの通 続性強化を図り、あらゆるものをつないでデータを最大限に活用 信周期で組み合わせて使用することが可能になる。従来、同一 できるようにする。これらにより、CC-Link IE TSNの適用分野を のマスタ局に接続する機器は、ネットワーク全体で1つのサイク さらに広め、自律的で最適なものづくりを目指す「スマート工場」 リック通信周期(リンクスキャン)で運用する必要があった。CC- の基盤となる産業用オープンネットワークへと成長させていく。 — 6 —
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産業ネットワークナビ 2019 ネットワーク団体 産業用Ethernet・PROFINET  制御通信と情報通信の共存 NPO法人 日本プロフィバス協会 元吉伸一 1. なぜ産業用ネットワークを使うのか 工場内の制御アプリケーションはさまざまであり、PROFINET はTCP/IP通信と共存しても、求められるリアルタイム通信の  近年、工場現場で使用されている機器・機械は内部にCPUを 通信周期を提供できる。具体的にはNon-Realtime, Realtime 持ち、自身のなかで診断、測定または制御の演算を実行してい (周期通信:10msec程度),Isochronous Realtime(周期通 る。このような機器・機械間をネットワークで接続し、デジタル通 信:31.25μsec以上) の3つのパフォーマンスレベルを持つ。 信で自由にデータ、アラームなどの情報をやり取りすることで、 より効率的な生産を達成できる。このメリットに加えて、オート 2. PROFINETが選ばれる理由 メーションシステム全体をデジタル的に取り扱うことで、工場内   2 0 1 8 年 末までにP R O F I B U S 機 器は累 計 6 0 8 0 万 に点在する重要機器の内部パラメータ、診断データ、または予 台、PROF INET機器は累計2600万台が出荷され、全 知診断データを中央で一括して監視・管理して、保守、設計の効 世 界で稼 働している( 図 2 、図 3 )。累 計の出 荷 台 数とし 率化も図ることを産業用ネットワークは期待されている。 ては、まだPROFIBUSが多いが、2017年の1年間で見 P(I PROFIBUS & PROFINET) Internationa(l 国際プ ると、PROFIBUS機器は240万台が出荷されたのに対 ロフィバス・プロフィネット協会)は産業用ネットワークとして し、PROF INET機器は510万台の機器が出荷された。 PROFIBUSとPROFINETの普及を続けている。 PROFIBUSは世界でもまだまだメジャーな産業用ネットワーク (1)FA・PAを統合サポートするPROFIBUS といえるが、現在はそれ以上のマーケットで産業用Ethernetで  PROFIBUS(プロフィバス)は世界で最も普及しているオー あるPROFINETが使用されている。 プンなフィールドバスである。  フィールドバスがその役割を徐々に産業用Ethernetに移行  PROFIBUS DPは工場の現場で使うインバータ、サーボ、 していく理由として、工場の現場にITの技術を導入し、オート リモートIO、エンコーダ、遮断機、ロボット、NC機械、重量計、 メーションを進化させるというPROFINETのコンセプトが理解 温調計、分析計、ポンプ、油圧機器などさまざまな機器・機械 されていることに原因がある。 が接続できる。PROFIBUS DPラインには最大126台の  PROFINETが選ばれる理由を以下に述べる。 PROFIBUS機器を接続でき、最高スピード12Mbpsで通信で (1)フィールドバスのリアルタイム性を超えている きる。12Mbpsで通信をした場合、30台程度の機器をつなぐと  もともとフィールドバスは、現場機器と制御機器間でON/ 大体2から5msec程度で1周期の通信が終了する。 OFFデータまたは数バイトの数値データをリアルタイムに伝送  また、PROFIBUS PAはプロセス産業の要求する2線式伝 するために開発された。フィールドバスの多くは物理層として 送と本質安全防爆(オプション)に対応できる。 RS-485を採用しているため、500kbpsから10Mbps程度の (2)工場通信の幹線ラインとなるPROFINET 通信速度でいかにリアルタイム性を満足させながら制御通信を  PROFINET(プロフィネット) は産業用Ethernetである。 行うかの性能がまず求められた。 Ethernetの広い帯域を利用して、PROFINETは制御で使う  それに対して、Ethernetでは100Mbpsが広く使われてい データとか診断の通信だけでなく、TCP/IP通信を含む工場内 る。そして、1Gbps、10Gbpsさらには40Gbpsと通信速度を のす図1べPてROのF通INE信T+要P求ROにFIB1U本S+のIOバ-Liスnkシでス汎テム用的に対応するよう設計 上げている。たとえば、1GbpsのEthernetでは500kbpsの 1 されている。(図1) フィールドバスに比べて、単純には2000倍データを早く、また は多量に送ることができる。 OPC リアルタイムIO コントローラ間接続 垂直統合  PROFINETは高速のEthernetを採用し、Ethernet Controller Controller Controller Controller Office Network の進化にそのまま同期している。Ethernetが高速化す モーション制御 Firewall Wireless るだけで、そのままPROFINETもリアルタイム通信を I/O Switch セキュリティ 実現しやすい構造となっている。 XX55 I/O CE Proxy Proxy OPC  PROFINETはPROFIBUSのリアルタイム性を超えDeviceNet Drives HMI Allen-Bradley ており、1msec程度の周期通信だけなく、31.25μsec フィールドバス統合 安全 の高速周期でも使用できる。 WSANゲートウェイ PROFIBUS DP (2)現場機器の進化に対応している AS-interface 1990年代にフィールドバスが登場した当時と比べて、 PROFIBUS PA 現在の工場で稼働する現場機器は能力が大きく向上し 無線センサー 1 ている。ON/OFFの接点だけの通信から、ロボット、工 業用カメラなど大容量データをネットワークを使ってや 図 1:PROFINET+PROFIBUS+IO-Link システム り取りする時代となった。 — 7 —
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産業ネットワークナビ 2019 NPO法人 日本プロフィバス協会 ハノーバで開催されたハノー PROFIBUS ノード数 バメッセにて、PIはTSNを採 6,080万 5,840 6,500万万 用したPROFINETのデモシ 5,610万 ステムを展示した。(写真1) 5,000万  TSNをPROFINETの中に 取り込むことで、今後は以下 のメリットが期待できる。 2,500万 (1)産業用ネットワーク上で の制御通信と情報通信の融 合がより図りやすくなる。 (2)IEEEの標準技術にこ れからも準 拠 することで、 図2図P2R:OPFRIBOUFSIB機U器Sの機累器計出の荷累台計数出荷台数 現在の最新技術(ギガビット 写真 1:TSN のデモ PROFINET Ethernet、IPv6など)をフォ PROFINET ローできるだけでなく、将来開発される最も新しい技術をそのま ノード数 3,000 まPROFINETの中に取り込むことができる。万 2,600万 (3)TSNはIEEEの標準技術なので、世界中で多くのメーカが 写真1 TSNのデモ PROFINET これに基づく素子をより広いレンジで提供できるようになる。し 2,090万 2,000万 たがって、チップの価格がより安くなる。(つまり、製品の価格が 1,640万 安く提供できるようになる) (4)汎用のEthernet技術が制御現場に入ってくることによ 1,000万 り、PROFINETが異なる制御プロトコルと同居する可能性が ある。PIはIEC60802 のワーキンググループでOPC協会殿、 ODVA殿などとTSNのエンジニアリングインタフェースの標準 化について検討を進めている。TSNを採用しても、その協会の プロトコル上だけでしか動かないTSNであればオープンとは言 図 3:PROFINET 機器の累計出荷台数 図3 PROFINET機器の累計出荷台数 えない。PIはTSNを採用するメリットをより高めるため、ほかの PROFINETはTCP/IP通信とそのまま共存できる。また、 協会のプロトコルも同時に動くTSNを目指している。 PROFINET機器自身にIPアドレスを持つことができるので、現 (5)TSNはデータリンク層の技術なので、PROFINETの場合 場機器のWEBサーバ機能を生かすこともできるし、FTPで大 は現在用いているリアルタイム技術RTとIRTにTSNを追加す 量のデータをおくることもできる。つまり、現場機器の持つ能力 るだけの変更となり、今までのアプリケーション資産をそのまま があがり、通信データが画期的に増えても、PROFINETはその 継承できる。 進化に対応できる。 4. おわりに (3)情報通信との共存  TCP/IPメッセージをそのまま流せることは、制御通信  日本プロフィバス協会は、1997年に発足し、2003年に と情報通信を1つのラインでともに流せることにつながる。 NPO法人となった。現在、協会の会員数は150 社以上となり、 PROFINET機器は制御用コントローラからだけでなく、PCま 日本国内でのPROFIBUS、PROFINET、IO-Linkの普及のた たはエンジニアリングステーション、そして上位システムから めに展示会出展、定期セミナーの開催、技術サポート、インター も直接アクセスできる。たとえば、ネットワークの保全に使われ ネット広報、技術資料販売、認証試験などの活動を進めている。 るLLDP、SNMP、MIBなどの標準技術もサポートしているの  日本国内でも産業用ネットワークの普及が進んでいる。最近 で、標準のネットワークアナライザでPROFINETシステムをメ は単に制御の品質を上げるだけでなく、ネットワークを使うこと ンテナンスできるようになる。また、OPC-UAのメッセージも で生産現場をいかにして安定稼働させるかの問い合わせが増 PROFINETのラインにそのまま流すことができる。 えているよう思える。  世界で普及しているPROFIBUS、PROFINET、IO-Linkに 3. PROFINET の新しい技術 :TSNについて ご興味のある方は、ご遠慮なくお問い合わせいただきたい。  Ethernetは産業用だけでなく、オフィス用、家庭用、さら には車載用を含めて、広く使用され、その機能をますます進 問い合わせ先 化させている。最新のEthernetの機能進化の1つが汎用 NPO 法人 日本プロフィバス協会〒 141-0022 Ethernetにリアルタイム性を付加するためのTSN(Time 東京都品川区東五反田 3-1-6 ウエストワールドビル 4F Sensitive Networking) 技術であり、IEEEで標準化が進ん Tel/Fax:03-6450-3739 E-mail: info@profibus.jp でいる。PROFINETはEthernetに完全に準拠しているため、 HP: 日本プロフィバス協会 http://www.profi bus.jpPROFIBUS協会本部   http://www.profi bus.com Ethernetの進化にそのまま追随できる。2019年4月にドイツ・ — 8 —
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産業ネットワークナビ 2019 ネットワーク団体 新世代の産業ネットワーク “MECHATROLINK-4 / Σ-LINK Ⅱ” - 制御の想像を超えた、その先へ - MECHATROLINK協会 1. 新世代の産業ネットワーク (2)複数の伝送周期  スレーブ毎に異なる周期設定が可能。同一ネットワーク上に複数  近年、産業界をとりまく環境は、生産やそのオペレーションのス の伝送周期を存在させ、各スレーブ機器を最適な伝送周期で制御 マート化、IoT・AI を活用したフレキシブルかつ安定生産の実現な することができる。 ど、大きく変化しようとしている。生産現場における様々な機械や ●速い伝送周期と遅い伝送周期を同一ネットワーク上に設定可能。 設備において、製品品質の確保や予知保全用等の各種センサが大 ●速い周期制御が必要ないI/O機器でも、通信の負荷を増やさず 量に接続され始めており、それらから生まれる製品データの収集と  に高速化されたネットワークに接続ができる。 活用が求められている。 ●遅い周期で通信するスレーブ機器の通信タイミングを分散させ  このようなニーズに応えるため、モーション制御に最適なネット  ることで、より多くの機器を接続できる。 ワークとしてMECHATROLINK-4 、また、センサやI/O 機器を接 ●スレーブ毎に最適な伝送周期を設定することで、マスタ側プログ 続するΣ-LINK Ⅱを発表した。MECHATROLINK-4 とΣ-LINK Ⅱ  ラムの効率化が可能。 を活用することで、モーション制御に関連するデータだけでなく、 各種センサのデータも簡単に同期して取得したり、制御に活かす ことが可能となる。これにより、生産性を更に向上させるとともに、 IoT やAI を活用した新しいものづくりの提案を進めていく。 図 2: 複数の伝送周期 (3)マルチ制御ドメインへの対応  同一ネットワーク上に複数のマスタ(最大8局)が存在するシステ ム構成が可能。これを活用することで、装置のパフォーマンス向上 などを行うことができる。 ●各マスタとその制御下のスレーブは、「制御ドメイン」と呼ばれる  論理的なグループを構成する。 ●一つのマスタで複数の制御ドメインを管理することが可能 ●スレーブは複数の制御ドメインに所属することが可能。 【並列なI/O伝送の実行】  MECHATROLINK-4 では、通信設定により、複数の制御ドメイ ン内の制御伝送を同時刻に並列に行うこともできる。これにより、 オプションユニットの追加が必要となった場合でも、全体の伝送周 図 1: ネットワーク導入による構成イメージ 期に影響をあたえることなく、また基本ユニットとオプションユニッ トの開発、生産、維持管理の面でも、ユニット単位で行うことがで 2. MECHATROLINK-4 の特長 き、効率的な運営が出来るようになる。  MECHATROLINK-4は従来のMECHATROLINK-Ⅲの持つ (4)Safety システム対応 高機能・高性能・高信頼性と使いやすさを、互換性を保ちつつ維持  マルチ制御ドメインのシステム構成を取ることができるため、 し、同一条件で約4倍の性能向上を実現。従来にない新しい仕様 Safety システムへの対応が可能となる(将来)。スレーブは複数 を盛り込んだ、次世代のモーションフィールドネットワークとなって の制御ドメインに所属することができるため、Safety スレーブは いる。 制御マスタとSafety マスタのそれぞれのスレーブとなり、Safety (1)通信手順の効率化 システムを構築することができる。  MECHATROLINK-4 では、全二重通信に切り替えることで伝 (5)Ethernet 機器との接続 送効率を大幅に向上し、更なる装置の高性能化や高機能化に対応  Ethernet 機器をダイレクトに接続できる。伝送効率の向上によ できる。 りできた伝送周期内の空き帯域を、IP 通信帯域として使用し、IP ●制御性能の向上:同一台数であれば伝送周期を従来比の約4分 通信帯域は制御伝送に影響を与えることなく、直接PC やエンジニ  の1に短縮し、より細かい制御が可能。 アリングツールの接続が可能となり、各種パラメータ設定や、デー ●システム(装置)の大規模化に対応:同一伝送周期に接続可能な タの読み書きが可能となる。  スレーブ機器の台数はMECHATROLINK-Ⅲの約4倍。 ●マスタアプリケーションの処理負荷が軽減。 ●伝送周期を据え置いて空いた時間をIP通信、メッセージ通信、リ ●マスタアプリケーションへの影響なしに、PC やエンジニアリン  トライ通信に活用もできる。  グツールからの操作が可能。 — 9 —
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産業ネットワークナビ 2019 MECHATROLINK協会 (6)MECHATROLINK-4 の開発、実装手段 ていることからもMECHATROLINKへの強い関心の高さが表れ  多彩な通信への応用を容易にするためにマルチプロトコル対応 ていると言える。 のプラットフォームを準備する。またPC プラットフォームへの対応  中国をはじめ、アジア圏を中心として普及が進んでいるオープン 強化のため、新たにソフトウェア・プロコトルスタックを準備し、多様 フィールドネットワーク「MECHATROLINK」は、メンバ数の増加 な実装ニーズへの対応を進める。 と対応製品(マスタ・スレーブ機器)の増加によって様々な装置へ ●マルチプロトコルASIC(マスタ、スレーブ) の適用が拡大している。モーション制御を中心に、半導体、液晶、 ●ソフトウェア・プロトコルスタック(マスタ) LEDなど最先端技術をはじめ、工作機械、板金加工、巻線機械、ロ ●FPGA IP コア(マスタ、スレーブ:計画中) ボット、食品機械、薬品検査など多くの装置に採用されている。そ  開発ツールとしても、マルチプロトコル対応のネットワークアナラ の結果、MECHATROLINKの対応製品の累積出荷ノード数も同  イザを準備。 様に延びており、2019年3月末時点で775万ノードまで増加して ●開発、生産、維持管理の効率化が可能。 いる。 3.Σ-LINK Ⅱの特長  Σ-LINKは、(株)安川電機が開発した、サーボアンプとエンコー ダ間の通信プロトコルで、Σ-LINK Ⅱからオープン化される新しい センサ・I/Oネットワークである。従来のエンコーダ用通信としての 高機能・高信頼性通信を維持しつつ、MECHATROLINK のような カスケード接続、あるいは分岐コネクタを使用した接続が可能で、 エンコーダ配線にセンサやI/O 機器などの機械側に設置される機 器を拡張できる。単に省配線になるだけでなく、モーションデータと センサデータの親和性を向上することにより、システムの更なる高 機能化・高性能化を実現する。 図 5: MECHATROLINK ノード数(累積) 6. 様々なプロモーション活動  日本をはじめ、アジア諸国や欧州での展示会に出展し、最新製 品やソリューション提案のデモ展示を行なっている。新規顧客への PRだけでなく、既存顧客との定期的な情報交換など、それぞれの 地域でのニーズに合ったプロモーション活動を通じて展開を図って いる。 図 3: 接続構成例  6月に開催された総会では、新製品発表会や基調講演など、メン バ間同士の交流を通じて最新情報を発信している。 4.MECHATROLINK協会について  オープンネットワーク団体であるMECHATROLINK協会(以 下、MMA)は、高速同期制御を得意とし、その高い精度と信頼性 を特長とするMECHATROLINKを世界に普及推進するため、 2003年に発足した。MMAは、幹事会社9社を中心に運営されて おり、世界各地の機器メーカーやユーザ、関連企業や教育機関な ど様々な法人の参画により構成され、展示会への出展や雑誌媒体 等を通じて、グローバルでのプロモーション活動を行っている。海 外の8地区に支部があり、各国で現地に密着した技術サポートを展 開している。 2019 年度総会の様子 7. 入会のご案内  MMAでは、ウェブサイトに様々な資料を公開している。入会金 や年会費は一切かからず「無料」となっており (情報会員)、誰で も最新情報の入手や採用検討ができる。申込やお問い合わせは、 協会ウェブサイトより随時受け付けているので、是非活用いただき 図 4: サポート体制の整ったグローバル拠点 たい。 5. アジアを中心としグローバルで支持されるオープン団体 MECHATROLINK 協会  MMAの加入企業メンバ数は、2019年3月末時点では、51の国 〒 358-0013 埼玉県入間市上藤沢 480 から3250社を超えており、そのうちの半数以上は中国からの入会 電話 :(04)2962-7920 で構成されている。メンバ数は着実に増加し続けており、アジアを Email: mma@mechatrolink.org 中心としグローバルで支持されるオープンで支持される団体となっ URL: www.mechatrolink.org — 10 —
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産業ネットワークナビ 2019 寄 稿 OPC UA over TSN インダストリー4.0時代の 標準ネットワークがフィールドレベルへ B&R株式会社 青木 文康 ■ OPC UA over TSNの夜明け 割を担っています。言うまでもありませんが、OPC UAがベー スになっていることに価値があります。現在、コントローラか  OPC UAが登場してすでに十数年が経過し、すっかり産 らフィールドレベルまである様々な産業用ネットワークにおい 業用ネットワークの上位層としてはデファクトになりました。こ て、将来的に真に統合されたアーキテクチャを構成できるスタ のためユーザーにおいて何を使うのか、ではなく“どう使うか” ンダードであることがユーザーでのメリットを最大化できます。 の議論になります。インダストリー4.0のRAMIモデルでも標 準として採用され、IIoT(Industrial IoT)時代の主役に躍り  2018年のSPS IPC Drivesで、85%以上のシェアを握る 出ました。しかしコントローラからフィールドデバイス側を見る 主要なグローバルサプライヤーがプレスカンファレンスを行い とやはり各メーカーの色が濃く出た独自ネットワーク規格が OPC UA over TSNの取り組みを表明しています。これは現 群雄割拠の状態です。この状況を打破できる大型ルーキーが 在の主要なベンダーもOPC UA over TSNこそがユーザー OPC UA over TSNです。決定論的通信を保証する Time に貢献できると考えている証左でもあります。 sensitive network拡張に対応することで、リアルタイム性 またOPC foundationのHPには、各業界団体のみならず、 を大幅に改善します。B&Rはこの拡張規格普及の中心的な役 既存のフィールドバス団体や標準化団体、各イニシアチブの — 11 —
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産業ネットワークナビ 2019 B&R株式会社 推進団体が各自のインフォメーションモデル策定を進めてお 2000年代は既存のフィールドバスに、「モーション」「時刻同 り、ますますユーザーでの採用が加速するものと考えられてお 期」「簡単設定」「バンド幅拡大」などの付加価値が要求されま ります。過去に例を見ないほどの規模とスピードで標準化と普 した。今日のIIoT時代には、それに加えて「セキュリティ」「プ 及が進んでおり、ユーザーが活用できるのももうすぐです。 ラグ&生産」「オープンスタンダードとエコシステム」「簡単診 断」「ビッグデータ」「機械間、ライン間、工場間などより大き ■ OPC UA over TSNが普及する世界 なネットワークでのリアルタイム性」が要求されています。ま  TSNは、IEC/IEEE 60802のジョイントワーキンググ さにこれをすべて実現できるのがOPC UAでありOPC UA ループに準拠しています。時刻同期のIEEE802.1AS/AS- over TSNです。 2019、ネットワーク管理のIEEE802.1Qcc、スケジューリン  さらに前述のように、各業界団体などが当該機械向けなどに グ/遅延のIEEE802.1QbvとIEEE802.1Qav、信頼性/冗 コンパニオン仕様を策定しています。インフォメーションモデ 長性のIEEE802.1CBをベースにしております。 ルとしてエンドユーザーも機械メーカーも強力に標準化をプッ  ギガビットイーサネットにおけるOPC UA over TSNの シュしており、この中でOPC UAの果たす役割は非常に大き パフォーマンスは既存の超高速ネットワークより安定的に いものとなっております。 高速化されており、すでにB&Rでも2018年のSPS/IPC/  同様にフィールド機器についてもコンパニオン仕様が策定 Drivesにて実機のデモを行っております。1台のPLCに200 されつつあり、たとえばモーションやセーフティなどはOPC 台のスレーブ機器を接続したシステムに5台のHDカメラでビ UA over TSNがあって初めて成り立つインフォメーションモ デオストリーミングさせながら、100nsの時刻同期性能、100 デルになります。また、5G通信での活用もターゲットに入って μsのサイクルタイム、50μsのスレーブ間通信を実現し会場 おり、より進んだソリューションへの展開に期待が高まってい を沸かせました。2020年には順次対応製品の販売を開始す ます。このようにOPC UAとOPC UA over TSNを最大限 る予定となっております。 活用することにより、インダストリー4.0時代の機械やラインそ してサービスまでも簡単かつ効果的にスケールさせることが 可能になります。 ■ セキュリティは、OPC UAのコアバリュー 生産設備やラインをインターネットやクラウドに接続する上 でどうしても障壁となるのがセキュリティです。EUでは2018 年5月に「一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)」が施行され、2019年6月27日からは EUサイバーセキュリティ法(EU Cybersecurity Act)が  もともとOPC UAはクライアントサーバー型の通信でした 施行されています。新たにサイバーセキュリティ認証制度もス が、OPC UA over TSNではリアルタイム性を改善するた タートし特にEUでのビジネスへの影響が多大です。NIS指令 めに パブリッシャ(出版者)サブスクライバ(購読者)モデル (Network and Information Security Directive)と を採用しています。これにより1:NおよびN:N通信の実現と、 合わせて、ビジネスとして必須の要件となり各社が対応を迫ら データ転送間隔の正確な設定が可能になりました。 れている状況です。EUだけではなくグローバルマーケットに  OPC UA over TSNのメリットはこれだけではありません。 おいて、産業機械にもセキュリティ対策が求められる時代にな りました。  セキュリティのベーシッ クとして、「接続の暗号化」 「データの暗号化」「デー タ保管の暗号化」が求めら れますが、OPC UAは統 合されたセキュリティ機能 として「認証」「認可」「暗 号化」「署名によるデータ の完全性」を提供していま す。  B&Rでは、OPC UAの セキュリティ設定も、今ま で同様単一のエンジニアリ OPC UA over TSN インフォメーションモデル ングツール「Automation — 12 —
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産業ネットワークナビ 2019 B&R株式会社 studio」の中ですべて設定ができます。 より詳細な情報はB&RのHPにてご確認ください。  ほかにいろいろ覚える必要はありません。役割と権限の設定 https://www.br-automation.com/ja/technologies/ とそれをアクティブディレクトリーにインポート・エクスポートす opc-ua/ る、認証と認可の管理などがすべてAutomation studioだ けで完結できます。 ■IIoT時 代に最適なB&Rエッジアーキテクチャ  たとえばほかのプロトコル(MT ConnectやMQTTなど)と  本格的なIIoT時代が到来したと言われて随分経ちます。接 比較しても、セキュリティは万全です。今後ますますコントロー 続されるデバイスの数は飛躍的に増え、2015年の60億個か ラやフィールド機器のようなリアルタイムソリューションにおい ら2025年には270億個になると予想されています。 ても高いセキュリティ要件が求められ、OPC UA over TSN  IIoTの価値は「資産の有効活用」「新しいビジネスモデル」 のニーズも高まってくるでしょう。 「アフターセールスやサービスの強化」と言われていますが、 その価値を実際に手にするためにはすでに現場にある多量の ■ OPC UA@B&R データを意味のある情報へと変える必要があります。  ここまで述べてきたように、B&Rはお客様のメリットを追求  B&Rのエッジアーキテクチャは、単なる接続性の提供から しソリューションプロバイダーとして強力にOPC UAを推進 AIや機械学習のような高度な付加価値の提供をどのレベルま し、OPC UAを自社のオートメーション製品に密接に組み入 で生産現場で付与するかにより3つのソリューションを準備し れています。 したがって、どんなB&Rコントローラでも OPC ています。現場でなるべくやってしまういわゆるエッジコント UAサーバ、またはクライアントとして実装することが可能で ローラから、コストとパフォーマンスの最適バランスを目指す す。 これによって、SCADA、MES、ERPシステムとの垂直方 エッジエンベデッド、シンプルな接続性を提供するエッジコネク 向の通信や、 PLCからPLCへの ベンダー独立型通信が可能 ト、とユーザーのターゲットに合わせたスケーラブルな構成が になります。 可能です。  B&Rの Automation Studio エンジニアリング環境で OPC UAデバイスのコンフィギュレーションを行ったり、アク セス権の設定を行ったりするには、数回クリックするだけで OKです。 オートメーション・プロジェクトでOPC UAファンク ションを導入するには、PLCopenファンクション・ブロック を 使います。また、B&RのOPC UA製品はOPCファウンデー ションの認証プロセスを完了しています。OPC UA 仕様書へ の準拠を確認するために、製品はそれぞれ、600のテストに合 格しなくてはなりません。 *左からエッジコントローラ、エッジエンベデッド、エッジコネクト  いずれにせよ多くの優位性があるため、B&RはOPC UAを ベンダー独立型水平・垂直方向通信以外にも使用しています。 B&RのIIoTソリューションは、食品飲料産業、船舶業、自動車 このプロトコルはB&R製品どうしの通信にも使われています。 製造を始め幅広い分野で豊富な実例と実績を持っております。 例えば、ウェブベースのmapp View HMIソリューションは、 ぜひB&RのHPをご覧下さい。 OPC UAを使って機械・システムと必要なデータを交換しま https://www.br-automation.com/ja/technologies/ す。 これは非常に 柔軟性の高いモジュラー型のHMI ソリュー industrial-iot/ ションの開発に役立ち ます。 — 13 —
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産業ネットワークナビ 2019 潮 流 産業用ネットワーク市場シェア分析2019 産業用Ethernet成長を維持  「産業機器のネットワークへの接続は2019年も続き、新規設置ノード数は10%成長する」という予測が、HMSインダ ストリアルネットワークスがまとめた「2019年版産業用ネットワーク市場シェア」で明らかになった。  また、グローバル市場で、産業用Ethernetが18年の新規設置ノード数の59%を占め、17年の52%から7ポイント上 昇して、17年に逆転したフィールドバスとの差をさらに広げた。フィールドバスは17年の42%から35%に低下、初めて 減少した。ネットワーク別では、EtherNet/IPが17年と同じ15%のシェアで、最も多く設置されたネットワークを維持 したものの、PROFINETが17年から2ポイント増えて14%となり、1ポイント差まで近づいている。さらに、ワイヤレス 通信技術も安定した発展を続けており、18年も17年同様6%を堅持している。 成長する産業用Ethernet 減少傾向のフィールドバス  産業用Ethernetの18年の成長率は20%で、17年の22%  一方、フィールドバスは17年に6%伸長したが、18年は初め に続き安定した成長率を示している。ネットワーク別では、Ethe て5%減少した。フィールドバス別では、依然としてPROFIBU rNet/IP15%、 PROFINET14%に次いで、EtherCATが Sが世界市場の10%を占め、CC-Link6%、Modbus-RT Uが 7%(17年7%)、Ethernet POWERLINKの5%(同4%)、 5%となっている。 Modbus-TCPの4%(同4%)が続く。  HMSのハンソンCMOは「産業用Ethernetへの移行が続い 堅調拡大するワイヤレス通信 ているのは、高い性能に対するニーズに加え、工場設備やITシ  ワイヤレス技術も、17年の32%に続き18年も30%と着実 ステム/IoTアプリケーション間の統合ニーズが後押ししてい に伸長し、全市場の6%維持。ワイヤレスの中ではWLANが最 るためである。1990年代にEthernetベースのネットワークの も普及しており、続いてBluetoothとなっている。 発展多くの人が予想した状況とは違い、未だに産業用Ethern この動きについてハンソンCMOは「新しく革新的な自動化 etが1つの規格に標準化されていないことがそれを示してい アーキテクチャーを実現するために、機械メーカーやシステム る。」と分析する。 インテグレーターの間でワイヤレス通信の採用がますます進ん  地域ごとでは、欧州および中東で、EtherNet/IPとPROFI でいる。配線の削減が可能な上、接続性や制御性に関する新し NETがリードし、PROFIBUSもまだ広く使われている。また、E いソリューションを創出できるからだ。さらに、工場でのスマート therCATとEthernet POWERLINKも普及している。 かつフレキシブルな生産を可能にするものとして、モバイル通 米国市場では、CIP ネットワークが支配的であり、EtherNet/ 信技術(プライベートLTE/5Gネットワークなど)も世界的に IPへの移行が明確となっている一方、EtherCATの市場シェ 活躍の場を広げている」としている。 ア拡大している。  アジアでは、市場をリードす るような突出したネットワーク がなく、PROFINET、 Ether Net/IP、PROFIBUS、Ethe rCAT・Modbus、 CC-Link が広く使われ、Ethernet 系 の CC-Link IE Fieldの勢い が増している。 — 14 —
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産業ネットワークナビ 2019 寄 稿 産業オートメーション向け オープンミドルウェア ORiN ORiN協議会 広報委員会 米山 宗俊 ORiNの開発背景  また、PCの汎用言語(C#、C++、Visual Basic、Lab VIEW、Javaなど)で開発できることから、産業用PCから各種  スマート工場を実現するためには、設備を構成する多様な機 FA機器のコントローラを制御したり情報収集することが可能と 器と接続し、分析に必要な情報を取得する技術が必要になる。 なり、ソフトウェア開発の工数削減やソフトウェアの再利用性、 また、生産設備の稼働率、品質の向上、多種・多世代・量変動 さらに保守性の向上が期待できる。 などに対応するために、生産ラインの機器内に収められた情報 (動作状況データ)を収集・分析し、迅速な改善やリアルタイム ORiNの歴史 に適切な処置を実施する環境が必要になる。  ORiNのプロジェクトは、1999年度からNEDOの3ヵ年プロ  しかし、工場においてこれらの「つながる」環境を構築するこ ジェクトとして、日本ロボット工業会が主体となり開発が進めら とは容易ではない。生産ラインにはロボットやPLCを始め、さま れた。国内主要ロボットメーカも参加し、1999年、2001年の ざまなメーカによる多様な機器が混在しており、それぞれの通 国際ロボット展における実証試験を経て実用性を高めてきた。 信仕様が存在する。そして、情報を取得したい機器に対し「一  2001年度に、ORiN Ver1.0仕様を制定すると共に、 品物」の通信インターフェースから開発を始めなければならな Ver1.0仕様に準拠したORiNソフトウェアの開発を完了し、 いため、開発工数やメンテナンス費用の増大、そしてシステム 2002年度、ORiN の普及やニーズに対応した改良を目的に 構成が複雑になるなどの問題に悩まされる。 ORiN協議会を設立した。  これらの問題を解決する手段として、多様なデバイスの情報  2005年度にはORiN Ver2.0仕様が完成し、2006年度 を効率よく収集し、FA機器に対して統一的な接続を可能とす に「ORiN2 SDK」としてデンソーが商品化、2011年度には る。 ORiN Ver2.0仕様の一部がISO20242-4としてIS発行さ ORiNの開発背景 れ、国際標準規格と認められた。  そして2016年度、NEDOの支援を受け「Industrie 4.0」  ORiN(Open Resource interface for the Network) 「IoT」を考慮した新しい規格として「ORiN3プロジェクト」が とは、ORiN協議会により制定された工場情報システムのため 本格的に始動した。 の標準ミドルウェア仕様である。 「ORiN2 SDK」として実用化され、PCのアプリケーションソ ORiNの技術 フトウェアから、異なるメーカのロボット、PLC、NC工作機械な  ORiNは、ロボットを含むFA機器にアクセスするためのイン ど、メーカ固有の制御装置へのアクセス方法に合わせることな ターフェースで、アプリケーション向けとデバイス向けの二つの く、統一的なアクセスが可能となる。(図1) インターフェース(アプリケーション:エンジン、デバイス:プロバ イダ)を提供している。  エンジンは、標準プログラムインターフェースと共通の機能 を持ち、各デバイスの違いを意識することのないアプリケー ション開発環境を提供する。プロバイダは、各種FA 機器とPC を接続する通信インターフェースを持ち、機器毎に異なる通信 仕様の差異を吸収することで、上位アプリケーションに統一的 なアクセス手段を提供する。  これにより、アプリケーションベンダは各種FA機器に依存し ないでクライアントアプリケーションを開発することができ、FA 機器メーカはクライアントアプリケーションに依存せずにデバイ スが持つ機能を公開することができる。 ORiNの活用  ORiNの活用には、二つの方向性がある。  一つは「制御」的活用である。これまで日本の自動車業界で は、製造工程の設備を制御する手法として、ロボットを含むFA 機器は各メーカが提供する専用言語を使用し、ラインの統括 図1 ORiNイメージ 制御をPLC(ラダー言語)で行うのが一般的であった。この手 — 15 —