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「Industry4.0・IoTナビ」Vol.5【完全版】〜日本版IoTの勝ちパターン〜

ホワイトペーパー

かんたんIoTで現場力を活かす

ものづくりを応援する業界紙・オートメーション新聞の別冊「Industry4.0・IoTナビ」【完全版】は、インダストリー4.0やIoT、スマートファクトリーに関する各種情報をまとめたムック本です。

第5弾となる今回は、簡単で安く導入して効果を実感できるIoTツール&レシピやポカヨケの仕組みなどFAメーカー各社の最新動向とともに多数掲載しています。

<掲載内容>(一部抜粋)
○日本製造業のIoT・データ利活用の実情「集める」から「活用」ステージへ
○第4次産業革命、日本は本当に遅れているのか?欧米各国との比較
◯IoTは本当に収益につながるのか?「スマート保全」の成功事例紹介
など

※ダウンロードされたお客様の情報は弊社プライバシーポリシーに則り協賛企業へ共有させていただきます。あらかじめご了承下さい。

【協賛企業】フエニックス・コンタクト株式会社、ヒルシャー・ジャパン株式会社、B&R Industrial Automation株式会社、EPLAN Software & Services株式会社、日東工業株式会社、株式会社新愛知電機製作所、株式会社FAプロダクツ、ベッコフオートメーション株式会社、アンフェノールジャパン株式会社、ワゴジャパン株式会社、ロックウェル オートメーション ジャパン株式会社

このカタログについて

ドキュメント名 「Industry4.0・IoTナビ」Vol.5【完全版】〜日本版IoTの勝ちパターン〜
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
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このカタログの内容

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別冊 Industry4.0-IoTナビ Industry4.0, Indsutrial IoT, Industrial Internet,Smart Factory Vol.5 小さくはじめて大きく育てる 日本版IoTの   勝ちパターン ~かんたんIoTで現場力を活かす~ インタビュー キヤノンITソリューションズ、インフィニオンテクノロジーズ 日本はIoTで遅れているのは本当か? スマート保全で収益化 IoTの成功事例 現場のAI活用の期待と課題 中小製造業向けかんたんIoTツール&レシピ 既存設備を活かすスマートファクトリー 設備効率を改善活動に活用する 三菱、オムロンなどFAメーカー各社、最新動向
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A MEMBER THE ABB GROUP
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INDEX インダストリー 4.0 -IoT ナビ Vol.5 I N D E X 日本版インダストリー4.0「コネクテッドインダストリーズ」 ものづくり・ロボティクス分野を推進 ……………………………… 1 日本製造業のIoT・データ利活用の実情 「集める」から「活用」ステージへ …………………………………………………………… 2 第4次産業革命、日本は本当に遅れているのか?欧米各国との比較 ……………………………………………………………………… 3 IoTは本当に収益につながるのか?「 スマート保全」の成功事例紹介 …………………………………………………………………… 4 製造業における故障予知とAI活用の現場と課題 ………………………………………………………………………………………… 5 中小製造業向けIoTツール&レシピ かんたん・安く導入して効果を実感 ……………………………………………………………… 6 作業ミスを防ぐIoTポカヨケツール 現場で使える便利グッズ …………………………………………………………………… 7 〜 8 SCADA普及に努めて25年 三現主義で最適なIoTシステムを考える  原木 裕 キヤノンITソリューションズ株式会社 プロダクトソリューション事業本部  東日本事業部 事業部長 兼 企画販推部長 ……………………………………………………………………………………………… 9 IoT時代のセキュリティ ハードとソフトの2重構造で情報を守る  鈴木 雅之 インフィニオンテクノロジーズジャパン株式会社 チップカード&セキュリティ事業本部 本部長 ………………… 10 既存設備を活かすSmart Factory 〜大掛かりな改造なしで稼働監視を実現〜  貴田 義和 株式会社FAプロダクツ 代表取締役社長 …………………………………………………………………………………… 11 オートメーションネットワーク対応netIoT Edge エッジゲートウェイ  ヒルシャー・ジャパン株式会社 …………………………………………………………………………………………………………… 12 IoTやAIを活用した新しいものづくりの実現をサポートする 新たな産業用モーションネットワーク  MECHATROLINK協会 …………………………………………………………………………………………………………… 13 〜 14 設備の効率を測って改善活動に活用する  行司 正成 東洋ビジネスエンジニアリング株式会社 新商品開発本部 商品企画2部 中小企業診断士 …………………………… 15 IIoT・AIを活用した拡張性のある分析システム - FactoryTalk Analytics for Devices  ロックウェル オートメーション ジャパン株式会社 ………………………………………………………………………………… 16 建設機械におけるデータ活用 お客様の生産性向上をサポート  鷲見 豊 日本キャタピラー合同会社 プロダクトサポート事業本部 サービス業務支援部 EMCM推進課 課長 …………… 17 〜 18   電気設計の自動化・標準化へ最適ツールを提供  EPLAN Software & Services 株式会社 ………………………………………………………………………………………………… 19 ワゴ、IoT・M2Mを簡単に進めるためのWAGOからの提案 データを集めることで次への取り組みが見えてくる。 ……………… 20 日東工業、環境に優しい新冷媒を使ったコンプレッサクーラが好評 ………………………………………………………………… 21 新愛知電機製作所、無停電に貢献する技術を提供。電力不安の解消へ ………………………………………………………………… 22 ベライゾン、IT変革を推進するテクノロジートレンド発表。IoT時代を成功に導くCIOの重要性 …………………………………… 23 ボーダフォン「、2017−18年度版IoT普及状況調査レポート」 ………………………………………………………………………… 24 エクストリームネットワークス、IoT導入に関する世界調査。導入済み企業は8割弱 ………………………………………………… 25 JMAC、製造業IoT実態調査2017。IoTの取り組み活発化 ………………………………………………………………………………… 26 エレコム、産業用PCなどエンバデッド事業強化。カスタムで需要取り込む …………………………………………………………… 27 三菱電機、IoT活用へ新プラットフォーム提案。生産現場とITシステムをつないでスマート化へ オムロン、IoT基盤「i-BELT」を立ち上げ。予兆監視やリアルタイム制御を提供へ …………………………………………………… 28 安川電機、新ソリューションコンセプト「i3−MECHATRONICS」発表 ファナック、FIELD systemサービス開始 製造現場に特化したIoTプラットフォーム …………………………………………… 29 シュナイダー、日本国内におけるFA事業本格化。HMI専業のデジタルと経営統合 シーメンス、日本国内でもデジタル事業拡大へ MindSphereなど本格展開 ………………………………………………………… 30 京セラコミュニケーションシステム、IoT向け通信環境で注目が集まるLPWA「Sigfox」……………………………………………… 31 インダストリー4.0 -IoTナビ Vol . 5  発行所:株式会社アペルザ オートメーション新聞社   発行日:2017年11月22日    〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町23番地 日土地山下町ビル13F 電 話 : 045 -228 -8873 FAX : 045 -345 -4790       メール : info@automation-news.jp オートメーション新聞WEB版 http://www.automation-news.jp/
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インダストリー 4.0 —IoT ナビ Vol.5 潮 流 日本版インダストリー4.0 「コネクテッドインダストリーズ」 ものづくり・ロボティクス分野を推進  経済産業省は、日本版インダストリー 4・0 とも言える「Connected Industries(コネクテッドインダストリーズ)」 について、注力 5 分野と今後の進め方が決定した。ものづくり・ロボット分野はロボット革命イニシアティブが主体となっ て進め、現場力を活かしたソリューションや人材不足の解消に向けて、これまでの動きをさらに加速していく。  コネクテッドインダストリーズは、既存産業とデジタル 社会や顧客の課題を解決するようなソリューションの提供 技術の「つながり」をはじめとして、機械、データ、技術、 によって上記の課題を解決していく必要があるとしている。 ヒト、組織など様々なものの繋がりによって新たな付加価  今後は、RRI の活動を通じ、国際標準化やサイバーセキュ 値の創出や社会課題の解決を目指す活動のこと。8 月 31 日 リティなどの協調領域の最大化に向け、主要企業の経営トッ の大臣懇談会で注力する 5 分野が決まった。5 分野とは、「自 プを中心に議論し深化させる。またデジタル人材の育成に 動走行・モビリティサービス」「ものづくり・ロボティクス」 も取り組んでいくとしている。 「バイオ・素材」「プラント・インフラ保安」「スマートライフ」。  ほか 4 分野については、自動走行・モビリティサービスは、 市場成長性と日本の強みを勘案して選定された。 自動走行ビジネス検討会を主体とし、実証実験を拡充して  「ものづくり・ロボティクス」は、生産の全体最適 ・止ま データ共有を進める。バイオ・素材は、産業競争力懇談会 らない工場 ・事故や環境負荷の低減を目指し、ロボット革 や日本化学協会等が中心となり、バイオ素材の市場拡大を 命イニシアティブ協議会(RRI)が主体となって進めていく。 進める。プラント・インフラ保安は、プラントデータ活用  この分野には、製造業のサービス化のような日本の強み 等促進会議を主体とし、保安エコシステムを構築していく。 を活かした価値創出と、国内の人手不足の解消という課題  スマートライフは、IoT 推進コンソーシアムを中心に、デー に直面している。日本には機械系メーカーを中心に、グロー タ連携と企業間アライアンス、協調領域の整理などを行っ バル競争力のある企業が多数存在し、高い技術力と現場力 ていくとしている。 という優位性がある。それを活かし、人間本位の考え方で 図 1 ものづくり・ロボティクス今後の取り組みの方向性 (出典 : 経済産業省発表資料より) — 1 —
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インダストリー 4.0 —IoT ナビ Vol.5 潮 流 日本の製造業のIoT・データ利活用の実情 「集める」から「活用」ステージへ  機械の稼働率を知る、製造装置の状態を把握する、良品 / 不良品を管理する、故障時期を予測するなど、さらなる 現場効率化には IoT 導入が欠かせない。IoT の導入ステップ、実行サイクルは、①データを集め ②見える化し ③分 析し ④活用する の 4 段階。それぞれに応じた機器・システムを導入し、運用していくことが「IoT 化」と言われるも のだ。日本では IoT 化が進んでいないと言われるが、実際はどうなのか ? データ収集をしている企業は 40% から 60% へ増加 は、すでに「(データ活用を)実施している」と回答した割 合はいずれも 20% 以下。例えば、「(集めたデータを使って)  経済産業省の「2017 年度ものづくり白書」によると、製 機械の稼働状況を見える化してプロセス改善に取り組んでい 造現場で生産プロセスに関する設備の稼働データを収集して る」という企業は 15.5%、同様のことをラインや生産工程 いる企業は、2015 年には 40% だったものが、2016 年に 全般まで広げている企業は 13.9%、人員の稼働まで踏み込 は 66% まで上昇。1 年間で 26% も増加し、工場内でのデー んでいる企業は 9.1% に止まっている。 タ収集に取り組む企業が確実に増えている。  しかしながら、活用への関心が高まっているのは事実。  業種別では、自動化と中央制御によって人の介在余地が少 「(データ活用について)可能であれば実施したい」という回 ないシステムである非鉄や金属、鉄鋼、化学産業などプロセ 答が 30% 程度集まり、2015 年の調査時の 15% 前後に比 ス産業では先行して進んでおり、昨年のデータでは 40% を べて大幅に増加している(図 2)。 超えていた。人手作業の多い組み立て製造業の機械や電子機 器は 30% 台だった。しかし 2016 年のデータでは軒並み増 経営層がもっとデータ活用して新しい収益の柱を作れ 加し、一般機械を除くすべての産業で 60% を超え、化学、  どこでデータを集め、それを誰が活用しているのか ? とい 非鉄では 75% 超となった。IoT の最初のステップとなるデー う質問では、製造部門が 44% とトップで、経営者・経営戦 タ収集は、ほとんどの企業でクリアしていることが分かった 略部門は 29%。情報システム部門は 7% だった。 (図 1)。  これについてものづくり白書は「機械や装置の稼働データ を収集して品質管理や予知保全、設備や人員配置の最適化な データ活用している企業はまだ 20%。関心は高まる ど、製造や生産の現場改善にスポットが当たることが多く、  IoT を有効利用するためには、集めたデータを実際に活用 それに偏っている」と指摘。世界では経営層がデータを有効 することが不可欠だが、日本の製造業の多くはそこまで手が 活用しており、ビジネスモデルの変革や価値の創造など、よ つけられていない様子。 りダイナミックな経営革新に取り組んでおり、日本ではそこ  実際に収集したデータをどう活用しているかという質問で の視点が不足していることに警鐘を鳴らしている。 図 1  図 2  2016 年業種別 生産プロセスにおいて何らかのデー 収集データの「見える化」やトレーサビリティ管理などの生産プロセスの改善・向上など タ収集を行っているか(出典 :2017 年版ものづくり への活用度合いの昨年度比較(出典 :2017 年版ものづくり白書) 白書) — 2 —
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インダストリー 4.0 —IoT ナビ Vol.5 潮 流 第4次産業革命、日本は本当に遅れているのか? 欧米各国との比較 〜情報通信白書より〜  いまや日本の製造業の活動は世界規模に広がっている。海外の企業が顧客やパートナー、競争相手となるなかで、彼 らの第 4 次産業革命や IoT に対する意識はどうなっているのか ? 日本は遅れているというが本当にそうなのか ? 総務省 が発表した「2017 年版情報通信白書」のなかで行った日本企業と海外企業へのアンケート調査をもとに、それらを探る。 第 4 次産業革命への期待 日本は個人・企業ともに低め 立っていない企業が 4 割あり、取り組みを始めた後も出遅 れが目立つ。  「第 4 次産業革命に対する期待(個人・企業)」について (図 1)、日本は個人と企業ともにポジティブな認識は低め。 製造業はこれから 中小企業の強化と支援がカギ 特に企業は他国に比べて非常に低い。イギリスとドイツは、  業種別では、製造業で取り組んでいる企業は 55% にと 個人は日本と同程度だが、企業はポジティブ。アメリカは どまる。エネルギー・インフラの 71%、情報通信の 63% 個人、企業ともにポジティブ傾向が強い。 に比べて低め。また企業規模別では、売上高が大きいほど  日本の業種別で見ると、製造業でポジティブに捉えてい 取り組みをはじめている傾向があり、10 億〜 50 億ドル る企業は 27%。IT に積極的で先進的な取り組みを行ってい (1130 億〜 5650 億円)未満の大企業の 73%、5 〜 10 る ITAC 企業に限定すると、製造業ではポジティブが 85% 億ドルの 67% が着手している。一方、1 億ドル(約 113 に達している。 億円)未満の中小企業は 45% にとどまり、特に中小企業の 取り組み強化と支援がカギとなる。 第 4 次産業革命で変革する国 日本は 2 位評価 強みがある日本の製造業 影響力があるうちにチャレンジを  自分の国以外で「第 4 次産業革命で変革がもたらされる 国」について、日本はアメリカに次ぐ 2 位の高評価。1 位  情報通信白書ではまとめとして、いくつかの厳しい指摘 のアメリカは飛び抜けており、第 4 次産業革命をリードす を行っている。例えば、日本は他国から第 4 次産業革命の る国として他国企業も認識している。3 位は中国となって 恩恵を受ける国と期待されているにもかかわらず、日本の いる。 企業や産業・社会システム、国民意識が変化に対して抵抗 感がある。企業のバランスシートは改善した反面、経営・ 第 4 次産業革命の対応状況 日本は遅れ 組織・個人が新市場に挑戦するような力が弱まっている。  第 4 次産業革命への対応について、「すでに取り組んでい 他国に比べてオープンイノベーションや外部連携への志向 る」と答えた企業は日本では 59%。6 割は高めに見えるが、 が低く、既存事業の維持にこだわり、中小企業もピラミッ 他国ではドイツ 92%、アメリカ 90%、イギリス 89% と ド型の垂直統合型のビジネスから抜け出せいないなど。 取り組んでいる企業はほぼ 9 割に達する。  日本の製造業は、いまだ世界でも一定規模の影響力を保  さらに対応の進捗状況について、「検討段階」「導入〜基 持し、技術的蓄積もある。この強みがあるうちに IoT や新 盤化段階」「利活用〜変革段階」の 3 段階で調査したところ しい考え方や技術を活用し、第 4 次産業革命下で強い経営 (図 2)、日本は検討段階が、ほぼ半数の 48%。一方海外企 体質を作り上げていく必要がある。 業の場合、ドイツ企業の 69%、イギリス企業の 65%、ア メリカ企業の 53% が、検討段階の次のステップである導入 〜基盤化段階に踏み込んでいる。日本はスタートラインに 図 1  個人及び企業における第 4 次産業革命に対する期待 図 2 第 4 次産業革命への対応の段階 — 3 —
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インダストリー 4.0 —IoT ナビ Vol.5 潮 流 IoTは本当に収益につながるのか? 「スマート保全」の成功事例紹介  IoT は本当に儲かるのか ? 経済産業省は、設備の老朽化や作業員の高齢化といった課題に直面しているプラント産業 について、IoT やビッグデータを使った「スマート保安」に取り組む企業 25 社の調査結果を「スマート保安先行事例集 〜安全性と収益性の両立に向けて〜」としてまとめた。そのなかから収益向上につながった事例を紹介する。 ①エネルギーコスト削減 花王・ダイセル 収益源の要因となる品質のばらつきを抑えることに成功した。  花王和歌山工場では、電力配分はベテランの経験で決めてい  JNC 石油化学市原製造所は、設備台帳や保全履歴をデータ たが、それを数理計算手法や過去の実績値、熟練工のノウハウ ベース化し、保全活動の傾向やよく腐食する箇所の特定を実 を入れて最適化できる運転支援システムを導入。結果、工場全 現。また手作業で行っていた修理計画や発注書作成などを自動 体の総光熱費を 1.2% 削減につながった。 化し、業務工数を 4 分の 1 に提言。これにより得た時間を改  ダイセル網干工場では、熟練運転員の減少と競争の激化に備 善やプロジェクト的な活動にあてるなど最適化した。 えるため、熟練運転員の意思決定プロセスを整理し、840 万 ③維持修繕におけるコスト削減 昭和電工、丸善石油など 件のノウハウをシステムに組み込んだ「運転支援システム」を  昭和電工川崎事業所は、センサ付きバルブを導入し、稼動し 構築。運転員に必要な情報を提供することで意思決定を支援。 ながらバルブ状態を監視することで、使用期間を基準としてメ これにより運転員の作業負荷件数が 90% 削減できたほか、総 ンテナンスを行う「TBM」から、機器の状態をベースとする 原価を 30% 削減。生産性 3 倍を実現した。 メンテナンス方式「CBM」への移行を実現。不要なメンテナ ②生産性向上で売上拡大 宇部興産、三菱ガス化学など ンスを 1 割回避、コスト削減につなげた。  宇部興産宇部ケミカル工場は、ナイロン原料や樹脂等を製造  丸善石油千葉工場は、設備の図面や保全履歴を電子化。業務 する主要工場で、爆発や火災の危険性がある物質を扱っている。 の 10% を占めていた文書の検索作業を効率化し、同時に工事 一度事故を起こすと認定取消や一定期間の運転停止処分となる 発注書の仕様書の自動作成によって、プラント運転や保全に関 可能性があり、そうなると顧客は調達先を変更しかねず、事故 わる従業員の工数を年間 180 時間も削減した。 防止と安定稼動が必須。そこで同工場では異常予知検知システ  東京ガスは、大規模地震発生時にガス供給を遠隔操作で遮断 ムを導入。異常が発生する際の温度や流量、圧力などの数値の する「地震防災システム」を導入。2 次被害を防ぐ目的だが、 相関性を把握しておき、それを予測することで異常の予兆を検 収益面に対しても 40 時間の停止作業が 10 分程度になり、大 知できるようにした。これにより安定稼動を実現し、同時に品 きな効果をもたらしている。 質のブレ幅を減少。低品質は値下げの要因となっていたが、そ ④新ビジネス創出を通じた売上拡大 中部電力 れを解消することで売上向上につながった。  IoT 導入で最も期待されているのが新ビジネスの創出だが、  三菱ガス化学四日市工場は、タブレットを導入して、作業履 実際にはなかなか難しい。しかし中部電力碧南火力発電所では、 歴や品質情報の電子データ管理を導入。情報の可視化や過去の センサ・計器からのデータ分析して異常を早期に検知する技術 事例の検索などを容易にできるようにして品質トレンドの監視 を開発し、それを国内外の火力発電事業者にソリューションと を強化。入力データがしきい値を超えていた場合にタブレット して提供を計画している。 が振動して異常を知らせるなど、異常の早期発見などを通じて まとめ  保全業務は直接的に新たな収益をつくる業務ではないが、業 務を効率化してコストダウンすることで収益を生み出す。エネ ルギー使用量の削減、安定稼動と品質向上、メンテナンス工数 削減、新ビジネスの創出とその影響範囲は広い。  ここで挙げたプラントは、機械や電子機器等の組立製造業と は設備や生産肯定、使われている機器も異なる。また、インフ ラや石油化学、素材系プラントは規模が大きく、特殊な事例で もある。しかしながら大きく製造業として捉えると、熟練技術 者の引退、設備の老朽化、海外企業との競争激化、安定稼動と 品質管理など、抱えている課題は同じであり、他産業でも参考 になる要素は多い。特に予知保全、稼動監視等は他の産業でも 同じであり、参考になる例は多い。  保全業務ひとつとっても、スマート化はコストダウン効果が 大きく、収益を生み出すのは実証済みである。 参考 : 経済産業省「スマート保安先行事例集〜安全性と収益性 の両立に向けて〜」 http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170410002/20170 図 : スマート化技術の代表例(出典 : スマート保安先行事例集) 410002.html — 4 —
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インダストリー 4.0 —IoT ナビ Vol.5 潮 流 製造業における故障予知とAI活用の現場と課題  ここ1 年の間に製造現場への AI 活用に対する情報が急激に増えてきた。特に機械の状態データから故障時期を予測 し、故障で停止する前にメンテナンスを行って損失を防ぐ、または効率的なメンテナンスを行うための予知保全(予兆保 全)に注目が集まっている。矢野経済研究所は、AI 活用や故障予知ソリューションの動向調査を実施した。これをもと に製造業における AI 活用についての課題を考えてみる。  矢野経済研究所の調査は、2016 年 10 月から 2017 年 7 個々に異なり、横展開がしにくいなど、AI の予知精度に課題 月にかけて、設備機器ベンダーやプラント事業者、IT ソリュー が残っている。 ションベンダーに故障予知ソリューション動向に対して行わ  例えば、過去データから正常の範囲を判断し、それをもと れた。これによると、①製造・保全分野への AI 活用は、関 に現実のデータで乖離があったら警告を発するという仕組み 心は高いが、その一方で足踏みは慎重。②課題も多く、実際 でも、実際には異常値でも正常に動いていることが多い。ユー には進展具合は緩やか。③しかしながら、リアルな現場と ザーは高い的中精度を求めるため、そこが解決されない限り バーチャルな現場を同期化させるサイバーフィジカルシステ スピードアップは望めない。 ム(CPS)の実現に向けて故障予知の研究開発は重要な意味  実際に「どの程度まで精度が上がれば導入してもよいと考 を持ち、このまま関心高く続くだろうとしている。 えるか ?」と質問したところ(図 1)、回答 217 社中「10 回 のうち 8 回」が 58 社(構成比 36.5%)、次いで「10 回のう AI 活用に慎重な理由 ち 5 回」が 38 社(同 23.9%)「、10 回のうち 7 回」が 25 社(構 成比 15.7%)となり、かなりの高精度を求めていることが分  ①の慎重さについては、製造業ビッグデータと商業向けの かる。 ビッグデータの違い(表 1)が大きく影響している。これま  また、仮に故障を予知できたとしても、ディープラーニン での AI 活用はビッグデータを背景に Web マーケティング等 グでは複雑な処理をかけていることから、故障の時期はわ の商業向けで行われてきた。製造業はデータの正確性が事故 かっても原因の特定は難しいとされる。そのため対処も難し や品質、人命に及びかねないことからデータの扱いや結果に く、設置環境によってもデータが変わることから横展開が厳 対して高い精度が要求される。データポイント間の関係性や しい。一方、ディープラーニングとは別の方法もあるが、そ 構造など因果関係を把握することが重要視される点などが商 こはまだ研究段階だという。 業向けとは異なり、慎重さを生んでいるとしている。 故障予知における AI 活用の課題 製造業における AI 活用の今後  IoT で機器の状態監視技術が進んだことから、保全のあり 方が、一定期間の経過を基準とする TBM(タイムベースドメ  CPS を実現し、データ活用を進めていくには、予兆保全と ンテナンス)から、機器の状態から保全を行う CBM(コンディ AI 活用が欠かせない。特にデータから物理現象をモデル化し、 ションベースドメンテナンス)に変わりつつある。  メカニズムを解明するには故障予知ソリューションの研究を  このため機器から集めたデータに対して AI を使った故障 通じた解明が期待されている。 予知に対する期待が高まっているが、一方で AI が異常と判  今後大手製造業の工場では 2019 年に 30 社程度、2025 年 断してもそれが本当かどうか分からない、故障を予知したと ころには 85 社程度がビッグデータや AI を活用した故障予知 しても次に何をすればいいか分からない、予知のモデルが ソリューションを貢献する見通しだとしている。 — 5 —
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インダストリー 4.0 —IoT ナビ Vol.5 潮 流 中堅・中小製造業向けIoTツール&レシピ かんたん・安く導入してIoTの効果を実感  ある料理を作る時、どんな材料が必要で、どう調理をすれ 視システム alkartlive」、オークマの「オークマコネクトプラン」 ば良いかが解説されたレシピを見れば、誰でも最低限は作る など、19 種類のレシピが登録されている。 ことができる。IoT もまったく同じ。このツールを組み合わ  また「製造プロセス最適化」領域の「技能継承・人材育成」 せればこんなことが実現できるということが明らかであれ 目的のユースケース「技能の継承」には 4 つのレシピが登録。 ば、ユーザーも安心して導入できる。日本の IoT 推進を主導 シュナイダーエレクトリックの新旧の設備データを簡単に収集 するロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)は、IoT ツー して生産情報を最大限に活用するシステム、シーイーシーのリ ル 96 件とレシピ 28 件を公開した。 アルタイム最適作業指示の「Visual Factory」が登録されて  いずれも中小製造業を対象にし、小規模で簡単に低コストで いる。 できるものから選ばれた。領域別に「現場カイゼン」「業務プ  こうした中堅・中小製造業向け IoT ツールとレシピが揃いは ロセス改善」「製造プロセス最適化」「その他」に分かれ、さら じめたことに対して、選定に関わった審査員は、「地方発の知 にそれを「品質安定化・不良率低減」、「生産性向上・コスト削 名度が必ずしも高くないツールへの注目も大きな驚きだった。 減」「技能継承・人材育成」「リードタイム削減」「顧客基盤拡大」 大企業からの中小企業の課題に沿った、使い勝手の良さそうな という目的別に分類。より業務に落とし込んだユースケースに 提案も数多くあったことが非常に頼もしく感じた」「IoT が身 区分けしている。 近に感じられ、試しに導入してみようという気になるツールが  例えば、「現場カイゼン」領域の「生産性向上・コスト削減」 増えてきたように感じた」「IoT のツールやレシピを公明正大 目的のユースケース「設備・人の稼働率向上」には、パナソニッ な場で一堂に会する意義は極めて大きいと感じた。次は、これ クデバイス SUNX の既存の工場設備に PLC を後付けするだ らのツールやレシピがどのように中小製造業に対し、伝えるこ けで IoT 化できる「後付けポンッ ! で簡単見える化 IoT」をは とができるか、使ってもらって効果を発揮してもらえるかが重 じめ、東洋ビジネスエンジニアリングの「カンタン IoT で明日 要な課題だ」などとしている。 から設備稼働モニタリング」、オプテックス・エフエーの「画 像処理用 LED 照明の明るさ管理ソリューション」、たけびしの ロボット革命イニシアティブ協議会、スマートものづくり 「設備異常追跡システム」、シチズンマシナリーの「製造現場監 応援ツール・レシピ https://www.jmfrri.gr.jp/event/seminar/618/ ■スマートものづくり応援レシピ一覧 No. レシピ名 企業名 都道府県 1 ものづくりスマートトレースシステム <HiMES-Tracer> ヒロコン 広島県 2 IoT 現場管理システム WorkWatch 汎建大阪製作所 兵庫県 3 AUPA style IoT オーパシステムエンジニアリング 神奈川県 4  後付けポンッ ! で簡単見える化 IoT! パナソニック デバイス SUNX 愛知県 5 自社販売したプリント基板製造関連設備における、顧客サービスを提供する。 ショーダテクトロン 静岡県 6 人が高付加価値の仕事に注力するためのレシピ i Smart Technologies 愛知県 7 稼働監視システム is-Look 飯山精器 長野県 8 いろあと インフォファーム 岐阜県 9 “ カンタン ” IoT で明日から設備稼働モニタリング 東洋ビジネスエンジニアリング 東京都 10 ハンズフリーで検査結果を記録、即時分析 東洋ビジネスエンジニアリング 東京都 11 製造現場の設備、モノ、ヒトデータの統合分析ソリューション 東洋ビジネスエンジニアリング 東京都 12 VR による、工程設計時の作業性検証ソリューション 東洋ビジネスエンジニアリング 東京都 13 画像処理用 LED 照明の明るさ管理ソリューション オプテックス・エフエー 京都府 14 BIMMS on Cloud による工場の「見える化」 武州工業 東京都 15 NFC カードを活用した出荷管理システム 一般社団法人 ITC-Pro 東京 東京都 16 働き方改革への IoT 活用 一般社団法人 ITC-Pro 東京 東京都 17 超並列シミュレーションによる動的最適化生産 レクサー・リサーチ 鳥取県 18 保守サービス対象の物流設備における、顧客サービスを提供する。 オークラサービス 兵庫県 19 大型車・輸送に関する安全性向上とデータ活用による業務改善 アイネット 神奈川県 20 新旧の設備データを簡単に収集し、生産情報を最大限に活用 ! シュナイダーエレクトリックホールディングス 東京都 21 設備異常追跡システム たけびし 京都府 22 装置トラブルの原因調査を迅速に。データの確認作業を効率化 ! 三菱電機 愛知県 23 IoT 活用による製造装置リモートメンテナンス インフォコーパス 東京都 24 Visual Factory (ビジュアル ファクトリー) シーイーシー 東京都 25 製造現場監視システム alkartliveLITE(アルカートライブライト) シチズンマシナリー 長野県 26 製造現場監視システム alkartliveFIRST(アルカートライブファースト) シチズンマシナリー 長野県 27 オークマ Connect Plan( コネクトプラン) オークマ 愛知県 28 地域専門商社のビジネスモデル有効性実証実験用ツールとレシピ 産業インテグレーションサービス 岡山県 — 6 —
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潮 流 作業ミスを防ぐIoTポカヨケツール 現場で使える便利グッズ  人は必ず作業ミスをする。それが分かっていても、上司をはじめ周りはそれを厳しく指摘し、当人もミスを悔やむこと で心身ともに負荷がかかる。そうすることでミスを繰り返して効率が下がるというのは現場でありがちだ。ミスを減らす ためには教育も必要だが、一方でミスを減らす仕組みを作ることも重要。それがいわゆる「ポカヨケ」と言われるものだ。 ここでは、ロボット革命イニシアティブ協議会のスマートものづくり応援ツールから、IoT を活用して誰でも簡単に安く導 入できるポカヨケの仕組みをいくつか紹介する。  ポカの原因は、ほとんどが作業をし忘れるか過剰に行ってしまうかのどちらか。作業手順をきちんと整備しておき、作 業が適切に行われたかをチェックして、忘れと過剰をその場で把握して注意をすれば防ぐことができる。そこでは第 3 者 が作業をチェックするという仕組みがキモとなる。  しかしチェック用の第 3 者を作業者に張り付かせておくというのは非現実的。また作業者の動きをカメラで監視して画 像処理で確認するという方法もあるが、それには大規模なシステムと投資が必要となる。それに対し、もっと簡単で手軽に、 しかも安くて誰でも使えるポカヨケの仕組みが IoT によって実現している。 国内外の自動車メーカーも採用 ポカヨケツール ている。海外でもアメリカ・カナダ・メキシコ・中国・インド・ タイ・マレーシア・インドネシアの無線認証取得済みであり、  ヘルツ電子(浜松市北区)の「ポカヨケツール」は、トル 各国の工場で利用実績がある。 クレンチ、電動ツール、ペン、スタンプ等の工具を使う製造  対応工具も豊富で、マキタ、瓜生製作所、中村製作所等の 工程に受信機を設置し、工具ごとに送信機を装着。作業者が 主要工具メーカーとコラボレーション商品を展開している。 工具を利用するごとに受信機に利用データが無線で送られ、 ペンも三菱鉛筆、シャチハタ、寺西化学工業、パイロットコー 受信機で作業データ管理やシリアル・LAN 等への出力がで ポレーション等の市販ペンに対応している。受信機も 5 種類 きるというもの。 を揃え、セル内で工具と受信機の 1 対 1 で使ったり、複数の  例えばボルトの増し締めでカウント機能付き無線受信機 工具に対応し、構内ネットワークに乗せて上位システム側で 「TW—800R—SC」を使った場合、ワークの数を事前に登録 一括で管理するなど、状況と環境に応じて使い分けが可能と しておくと、増し締めを行うごとに音と表示で回数を知らせ、 なっている。 設定数に到達すると終了の音が鳴る。終了音が鳴っていない 場合は回数が不足、また回数を超えて行うと別のブザー音が 後付け式で電動ドライバを IoT 化「Fiot デバイス」 なって作業者に注意を促してポカヨケを行う。  Fiot(浜松市中区)が開発し、サンテクノ(鳥取市)が販  すでに国内外の自動車・自動二輪メーカー、自動車部品メー 売する「Fiot デバイス」は、電動ドライバやデジタル測定機 カー、電子機器や建機、空調、建材などの大手工場で使われ 器などに後付けするだけで、締付完了信号や回転数、充電池 電圧値、測定器の表示値などをタイムスタンプと一緒にパソ コンに送信してくれる。これにより作業忘れや過剰を管理で きるだけでなく、作業チェックシートや帳票への手書き入力、 その後の表計算ソフトへの入力などの作業も必要なくなる。 そこでのミスも減らすことができて一石二鳥。  現在、パナソニックの充電式電動ドライバにのみ対応して おり、順次拡大していく予定。ミツトヨのノギスやハイトゲー ジなどデジタル測定器対応の測定機も 9 月に発売。鳥取県内 の企業で試験運用し、セル生産におけるポカヨケと生産実績 の収集に使われている。  簡単な組み立てセル 1 台分を想定したスターターキットと (株式会社サンテクノHPより) して、受信デバイスと電動ドライバに組み込み済みの送信デ バイス 2 個、設定用ツールをセットにして 7 万 9800 円から。 — 7 —
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インダストリー 4.0 —IoT ナビ Vol.5 受信デバイス単体は 1 万 2800 円、送信機は 9800 円を予 システム」をコンセプトに、カメラと画像認識、アプリケー 定し、規模に応じて追加もできるようになっている。 ションを内蔵したカメラシステムとディスプレイを作業台に 設置。正しい作業画像を事前登録してマウスとキーボードで 簡単にセットアップしたら、あとは作業者が画面表示に従っ て作業するだけというパッケージシステム。  カメラで作業を監視しながら画像認識で間違いやすい部品 や組み立て状態の整合性をチェック。正しくない場合はエ ラー音とディスプレイ表示でリアルタイムに作業者へ通知 し、作業自体も次に進むことができないのでポカヨケとなる。  実際にネジ締めや部品の組み立て以外にも、すでに数十社 でラベルやシールなどの貼り物、グリスなどの塗布物、梱包 時の取扱説明書やケーブルなどの同梱品のチェックなどに使 われているという。 三菱電機 iQ Monozukuri ねじ締め作業支援  ポカヨケだけでなく、作業支援全般まで範囲を広げたもの が、三菱電機の「iQ Monozukuri ねじ締め作業支援」。セ ル生産方式は生産性や品質が作業者の習熟度に依存し、作業 ミスの発生やタクトタイムのばらつき、作業者教育コストの 増加が課題とされている。それに対し同社は、MES インタ フェース機能によるデータ収集と BI(ビジネスインテリジェ ンス)ツールによる見える化を活用した「iQ Monozukuri ねじ締め作業支援」を国内外の電気電子メーカを中心に採用 されている。  製品ごとに表示器へ作業手順を表示し、作業者はその表示 に従って部材組付けやねじ締めを行う。使用するねじ箱や電 動ドライバは LED で点灯表示してガイドするので、誰でも 作業習熟度に依存することなく指示通りに作業を行うことが できる。電動ドライバの作業状態は常時 PLC とデータを送 受信しており、適切なドライバで正しい数量でネジを締めた かなどを自動チェックしてくれる。これらの作業情報は上位 のデータベースに記録され、そのデータから手順や作業者ご との作業時間を見える化することもでき、改善のネタとして 利用することもできる。不良の多い作業者や工程を発見し、 教育をすると同時に設計部門に設計変更の提案をするなどに も役立つ。  実際に三菱電機名古屋製作所で導入したところ、ねじ締め ミスが 10 分の 1 に減り、部品の取り間違いはゼロに。新人 作業者の習熟期間が半分になり、監督者の教育工数も 3 分の 紹介した製品 1 まで短縮できたという。 ・ヘルツ電子「ポカヨケツール」  また、システムに作業者を登録してログイン制御をするこ http://www.herutu.co.jp/product/product. とで不正な操作を防げるほか、登録情報の改ざんも防止。作 php?categid1=3 業者がストレスなくスムーズに作業できるような環境を整え ・Fiot・サンテクノ「Fiot デバイス」 つつ、同時にセキュリティや品質管理も実現している。 http://stekuno.com/ ・三菱電機「iQ Monozukuri ねじ締め作業支援」 リコー、画像認識で手軽にポカヨケを発見防止 http://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/index.html ・リコージャパン作業支援カメラシステム「RICOH SC-10」  リコージャパンの作業支援カメラシステム「RICOH SC- https://industry.ricoh.com/fa_camera_lens/ics/sc-10a/ 10」シリーズは、「オールインワンで簡単に使える画像認識 — 8 —
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インダストリー 4.0 —IoT ナビ Vol.5 インタビュー SCADA普及に努めて25年 三現主義(現場・現物・現実)で最適なIoTシステムを考える  IoT やスマートファクトリーを背景に、SCADA への関心が高まっている。特に中小企業にとって SCADA はス マートファクトリーへの入口、基盤として最適。そんな SCADA の導入について、いまや世界トップブランドとなった Wonderware を 25 年前から取り扱い、日本の工場への導入を推し進めたキヤノン IT ソリューションズで話を聞いた。 見と実績を積み重ねてきました。その経験とノウハウが当社 の強みであり、財産です。  そして 2003 年にキヤノングループの企業となり、鉄鋼 キヤノン IT ソリューションズ などプロセス系製造業に、キヤノンが長年培ってきた精密機 プロダクトソリューション事業本部 器のものづくり、セル生産などのノウハウが加わりました。 東日本事業部 事業部長 兼 プロセス系と組み立て系の両方に長けているというのが最大 企画販推部長 原木 裕 の強みです。 — 今後について教えて下さい — 25 年前から SCADA を取り扱っていたとは驚きです  現場からデータを集め、分析して活用することは一通り経  1990 年代から製造装置や機器からデータを収集し、工場 験してきました。今は、データの種類も量も大きくなり、そ の見える化を行ってきました。だから IoT や見える化といっ れがビッグデータになりました。ユーザーのニーズも「デー た概念は特別に新しいものではないが、SCADA 普及の追い タが見えればいい」から「データを活用したい」と変わり、 風になっていることは確かです。 これまでとは違った課題も出てきています。  当社が扱っているのは、SCADA では世界ナンバーワ  例えばデータ分析の専門家の不足と不在があります。デー ンと言われる製造業向けソフトウェアソリューション タを活用するには分析の専門家が不可欠ですが、人材はど 「Wonderware」。HMI/SCADA はもちろん、実績収集管 こも不足しています。そこで専門家のような分析ができ 理と分析、レポーティング、Web 遠隔監視、工程品質管理、 る「QIAnalyst」、ビッグデータの 0 次分析を「BIGDAT@ 製造実行システム(MES)までオートメーションに必要な Viewer」といった専門家がいなくてもデータ活用ができるソ 機能をすべて備えた優れたソフトウェアです。 フトの提供を開始したところ、非常に順調に推移しています。  2014 年にシュナイダー・エレクトリックの傘下に入り  IoT はソフトウェアありきではなく、どのデータをどのよ ましたが、25 年前の Wonderware はできたばかりのベン うに集めるかが大事です。データの取り方が間違っていたら チャー企業でした。その当時から Wonderware による工場 意味がありません。その意味では現場を知っていることは重 の見える化、SCADA の導入に取り組んできました。 要で、三現主義(現場・現物・現実)が大切です。当社は 25 — SCADA を取り扱いはじめたきっかけは ? 年以上もずっと現場の見える化を手がけてきた実績を生かし、  もともと当社は住友金属の情報部門でした。鉄鋼業と鉄道、 コンサルティングも含めて提供していきたいと思います。 電力は、他の業界に先駆けて情報システムを導入した業界と 言われますが、当社もその一つとして 1990 年代から製造 現場の情報化、今で言う IoT に取り組んできました。  当時、構内にはネットワークがなく、いまのようなセンサ もありませんでした。コンピュータも非力で、できることは 限られていました。それでも自分でセンサを作り、ネットワー クを組み、1500 度の溶けた鉄が流れている横で汗を流しな がらデータ収集をするなど、現場で試行錯誤しながら見える 化の仕組みを整えていきました。  それが完成すると、今度は外販をしようということになり、 その時に Wonderware と出会いました。当時の PR ポイン トは「製造業の会社が販売する製造業用ソフトウェア」。当 時は製造現場が分かる IT ベンダーは数えるほどしかありま せんでした。製造業の現場から生まれ、製造業の技術と現場 の仕組みを知っている。それを 25 年も積み重ねてきて、鉄 鋼はもちろん、自動車や化学、飲食料品、医薬品、電子・電 気、電力、水処理、建設、空調、紙・パルプなど、多くの知 — 9 —
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インダストリー 4.0 —IoT ナビ Vol.5 インタビュー 半導体セキュリティの世界トップ企業が提案する IoT 時代のセキュリティ ハードウェアとソフトウェアの2重構造で情報を守れ  クレジットカードやキャッシュカードといったカードは個人情報の塊。そこでのセキュリティ の技術と仕組みは最高レベルだ。半導体の世界トップメーカーのインフィニオンテクノロジー ズは、カードセキュリティ分野の半導体で世界トップシェアを持つ情報保護チップのスペシャ リスト。IoT の普及によって産業界でセキュリティの関心が高まるなか、カード業界で培った セキュリティ技術とノウハウで堅牢でセキュアな環境づくりを提案し、存在感を高めている。 インフィニオンテクノロジーズジャパン チップカード & セキュリティ事業本部本部長 鈴木 雅之 ― チップカード & セキュリティ(CCS)事業部の概要を教 カードの世界ではすでに高いセキュリティ性が確立されてい えてください る。その仕組みや技術をエンベデッドや IoT や産業向けに展  当事業部は、カードセキュリティとして、銀行のカードや 開していきたい。 クレジットカード、政府系身分証明書、パスポートなどのカー ― 具体的にどのようにセキュリティを進めていきますか ? ドに入っているセキュリティチップを供給して個人データな どの保護に取り組んでいる。もう一つは IoT 分野でのエンべ  IoT とワイヤレス通信化が進むと、Over the Air でクラ デッド(組み込み)システムとして、自動車の ADAS(先進 ウドから情報を入れることが広がっていく。そこでのセキュ 運転支援システム)などでのハードウェアのセキュリティに リティは、セキュリティ機能を搭載した通信用の SIM を使い、 取り組んでいる。セキュリティ事業で現在、当社は世界でナ 各機器には暗号化の鍵を格納した TPM(セキュリティチップ) ンバー 1 のシェアを有している。 とソフトウェアセキュリティの 2 重構造でセキュア環境を実 現してくことになるだろう。 ―セキュリティチップに搭載されている「Integrity   まず先行していくのは自動車産業と見ている。すでに ECU Guard」とは具体的にはどのような技術ですか。 はソフトウェアセキュリティで守られている。外部との情報  当社にしかない最先端の技術で、高いセキュリティ性をキー の出入口となるインフォマティクス機器やセンサにも TPM を プするためのハードウェア技術だ。ワンチップの中に 2 つの ソフトウェアとハードウェアで安全性を守る仕組みが検討さ CPU を設け、通常は同じ動作をしているが、外部からアタッ れている。自動車がハッキングされる事件によって重大性を クがあった場合に、1 つの CPU で通常処理をしながら、別の 実感し、ようやくセキュリティを重視するようになってきた。 CPU でアタック信号を検知して、シャットダウンする 2 重構  今後 FA でも同じようなシステムが導入されていくだろう。 造になっている。 例えば工場で使われているアームロボットは、各軸にサーボ  CPU が 1 つの場合、不正なアタックかノイズなのか判断が モータが使われている。ロボット単体として、そのファーム できず、本当に外部からのアタックだった場合にデータを取 ウェアを守るためのセキュリティが必要だ。さらに、工場で られてしまう恐れがある。ここはソフトウェアセキュリティ は複数台の装置がつながり、中央のコントローラで制御して に併せて、ハードウェアセキュリティで高い堅牢性を保つ。 いる。中央のコントローラと核装置にも TPM を入れ、セキュ リティ性を高めるという形になっていくだろう。 ― 他にセキュリティ対策で取り組んでいることがありますか  また、機械に誰でも近づいて触れる状態はセキュアではな  内部のメモリを ROM からフラッシュメモリに変え、ソフト い。設備の使用者や管理者であると認証した上で機器を操作 の開発期間短縮やコスト低減ができるようになった。入れた できるようにしておくことも大事だ。当社はパートナーとし データには鍵をかけて出せないようにすることで、ROM と同 て電子証明・認証のトップ企業様と協業し、こうした認証 + 等レベルのセキュリティ性を確保。またアップデート時には セキュリティのハイレベルなセキュア環境も提供できる。 鍵を開けて書き直し、再び鍵をかけることで開発者にとって 安全性が高く扱いやすい。IoT ではコピー製品や外部アタック ― これからの方向性を聞かせてください が頻繁にあり、もし問題があった時でもフラッシュメモリな  IoT はセキュリティの必要性から入っていく必要があり、そ らファームウェアの書換えだけで対応できる。 のための布教活動が必要だ。ホーム、自動車、工場分野にフォー カスし、パートナーと一緒になって取り組んでいく。 ― 工場などで使用される FA や産業機器でもセキュリティ  セキュリティの市場性は高くニーズも絶対あるとみている。 意識が高まっています。 この具現化の価値を問いながら信頼性を確保していくことで  IoT は便利な半面、外から誰でもアクセスできるという危険 社会的なインフラとしてのセキュリティは確立される、期待 性がある。だからパブリックに上げていないものは徹底的に している。 守る必要がある。しかし、その対策が十分でないという印象だ。 — 10 —
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インダストリー 4.0 —IoT ナビ Vol.5 寄 稿 既存設備を活かすSmart Factory  ~大掛かりな改造無しで稼働監視を実現~  Smart Factory支援システム「Smart をイメージしていただけるとわかりやすい。 Factory Conductor シリーズ」を展  CT センサとの最大の違いが、微弱な DC 電流を検知でき 開する FA プロダクツ(東京都港区、貴 る点。発電所、鉄道などの重要インフラでも使われている技 田義和代表取締役社長)は、既存設備 術を FA 分野に応用し、専門メーカーと共同開発を行った。 を改造無しで稼働監視できるツールと そのため、ノイズ対策を含めた して、インテリジェントケーブルスキャ 信頼性を担保した製品ができた ナ「ICS シリーズ」を発売した。 と自負している。活用方法は 株式会社 FA プロダクツ PLC に入力したり、各種 IoT 代表取締役社長 貴田義和 ゲートウェイに入力したりと、 既存システムや現場の状況にあ ■スモールスタートに最適な稼働監視 わせて選択ができる。  Smart Factory は大企業から中小企業まで幅広く恩恵を ICS シリーズ接続例 受けられる潮流だと弊社は考えている。IoT 技術を活用すれ ■センサと稼働監視パッケージの活用事例 ば、生産現場の最適化が進み、貴重な人的資源を最大限に活  当社ではインテリジェントケーブルスキャナ「ICS シリー 用することができる。成功している企業の多くは小規模な取 ズ」の接続先として、「稼働監視パッケージ」の提供を行い、 り組みからはじめ、その成功を水平展開している。 既に多くの顧客で活用頂いている。これは、入力・表示機能 ■稼働監視を実現するための壁 を兼ねた IoT サーバーを中核に据えたシステムで、PLC を  IoT 技術は生産現場では大きく次の 4 つの活用方法がある はじめとした 300 種類以上の産業機器用プロトコルに対応、 と考えている。「製造管理→最適な稼働状況の実現」「品質管 プログラム無しでデータを集約することができる。稼働監視 理→不良を作らない」「在庫管理→納期遅延ゼロと最小在庫 に関連する基本画面データ、演算処理はすでに内蔵されてい の両立」「保全管理→止めない設備と保守コスト削減」である。 るため信号の割り付けを行うだけですぐに現場に導入できる 実は当社でも様々なプロジェクトに関わらせていただき、そ 点が高い評価を頂いている。基本パッケージは50万円とロー れぞれの実現に際してのハードルが存在する。 コストなうえ、PLC の知識がある方であれば簡単に自由に  その中でも比較的「稼働監視」は構造がシンプルで、設備 編集ができ、変更・拡張も自社で実現できるため、運用コス の運転状況、停止要因が何らかの方法でデータ化できれば実 トがかからない。エクセルを活用した帳票自動化にも対応し 現できる。また、データ化(= 見える化)ができれば、次の ている。 改善ポイントが明確になり、稼働率向上が実現できる。例え  活用事例としては、持ち運びできる制御盤に「稼働監視パッ ば 1 日 1000 万円分の生産をしているラインで、5% 稼働率 ケージ」と「ICS シリーズ」を入れて「ポータブル稼働監視 が上がれば 50 万円 / 日の生産性改善となるため、費用対効 ユニット」を作った事例が挙げられる。コンセントに接続し、 果も非常にわかりやすい。 ICS シリーズを該当装置の「稼働中ランプ」の信号線にクラ ■稼働監視を実現するための壁 ンプすることで稼働監視を実現できるため、複数の設備を日  とはいえ、そこに信号があるのはわかっているものの、古 替わりで監視できる。停止要因などはタッチパネルでのボタ い設備などから信号を取集するのは容易ではない。また、プ ン選択や、市販タブレットからのフリック入力での自由記述 レス装置、成型機、NC 加工機、包装機などは専用基盤で制 にも対応できる。 御され、外部信号出力の機能を持っていない場合も多い。 ■今後の展望  多くの IT 系ベンダーや大手装置メーカーが「IoT プラット  「日本の製造業を元気にしたい」という想いで、2011 年 フォーム」として、工場の設備から簡単にデータを収取し、 FA プロダクツは創業した。IT(情報技術)と OT(製造技 稼働監視をはじめとした見える化を実現できるソリューショ 術)両方の知見を活かし、多くの企業に喜んでいただけるソ ン提案を行っているものの、そのデータの基となる「信号」 リューションを開発していきたい。 が取得できないとそのソリューションは絵にかいた餅になっ てしまう。稼働監視の最大の壁は「信号の取得」にあると言っ ても過言ではない。 ■解決策としてのセンサ  そこで弊社は設備改造無しで稼働信号を取得できるインテ リジェントケーブルスキャナ「ICS シリーズ」を開発した。 これを用いると稼働中ランプ、製品排出センサなどの信号線 に洗濯ばさみの様にクランプするだけでその信号が設備に影 響を与えず横取りできる。使用電力を測る市販の CT センサ 稼働監視パッケージ システム構成 — 11 —
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インダストリー 4.0 —IoT ナビ Vol.5 寄 稿 オートメーションネットワーク対応 netIOT Edge エッジゲートウェイ ヒルシャー・ジャパン株式会社 既存システムでも IoT化を進めることは可能です。逆に言えば既に稼働しているプラットフォームに変更を加え るというリスクを犯したくはありません。IoT化によって稼働率を向上させ、それに伴うアップグレードが現在、 将来に渡って低リスク、低コストで実現できないか。エッジゲートウェイはその様な希望に応えてくれます。 フィールドネットワークから産業用クラウドサービスへの接続 ターで ” ノード ” と呼ばれるグラフィカルブロックを用い てデータフローの配線を簡単に行う事ができます。” ドラッ  ヒルシャーはリアルタイム・イーサネットやフィールドバ グ、ドロップ & クリック ” でフローを構築します。フロー スといった産業用通信向けソリューションを提供することで ファンクションは ” ユーザーライブラリにある各 ” ノード ” 主に制御を主体としたフィールドネットワーク対応機器の開 を選択することで作成され、画面上にそれらをドラッグし 発に貢献してきました。既存のフィールド機器には他にも てクリック - 接続します。“ ノード ” は基本的な READ 及び 様々な情報が備わっており、それらをクラウドサービスまで WRITE から高度なルールベースのデシジョンメーキングに 展開することで IoT ならではの予知保全や視覚化といった までおよびます。オートメーション産業に関連したシリアル 有効活用が可能となります。ヒルシャーが提供するハード 通信、MQTT プロトコル変換、TCP/UDP 通信といったノー ウェア、ソフトウェアにはその様な有益な情報を処理する ドがあり、IBM の Bluemix、Microsoft の Azure、SAP の 技術が既に備わっており、更に新たな技術を組み合わせる事 HANA といった様々なクラウドサービスに接続する為のノー で、既存プラットフォームに大きな変更を加えずに IoT 化を ドも用意されています。更にユーザーはヒルシャーから提供 進めることができます。その一つの答えが OT(Operation される REST API を用いて独自に作成したアプリケーショ Technology)と IT(Information Technology) をつなぎ合 ンに接続するノードを作成することもできます。 わせる netIOT Edge ゲートウェイです。 Docker: オープンソース ” コンテナ ” プラットフォーム netIOT Edge: 製品概要  netIOT Edge は Docker に対応しています。オープンソー  netIOT Edge にはヒルシャーの産業用マルチプロトコ スの開発コミュニティで様々な ” コンテナ ” が提供されてお ル 対 応 ASIC「 netX」 と 86 系 CPU が 搭 載 さ れ て お り、 り、それらを活用することでエッジゲートウェイ上において PROFINET や EtherNet/IP といった従来のリアルタイム・ SCADA やポーリング、アナリティクス等のアプリケーショ イーサネットへの接続に加えてクラウドサービスへの接続用 ンを動かすことが可能で、低遅延のレスポンスタイムでより プロトコル OPC-UA や MQTT にも対応しています。そこで 有効に働きます。 集約されたデータは Linux や Node-RED、更に Docker と  Docker は Node-RED と Linux ベ ー ス の netX カ ー ネ の組み合わせによりパワフル且つ効率的な処理、解析が行わ ルの組み合わせで IoT アプリケーションにおける netIOT れ IoT に最適化された分配を可能とします。様々なオペレー Edge にハイバリューな機能をローカルで提供します。 ションモードのうち例えばアクティブモードでは netIOT Edge は PLC に制御さ れたオートメーション ネットワークの中で一 つのスレーブデバイス となり、PLC はデータ をそこへ送り出します。 netIOT Edge を 1 台追 加するだけでアラーム ./ イベントドリブンに固定 されたソリューションと なるのです。  このように netIOT Edge には既存インフラ上で動作する IoT 技術が全て網羅されており、IoT として収集されたデー Node-RED:IoT ワイヤリングエディタ タも制御データもリアルタイム・イーサネットで使用される 同じケーブル一本に集約することができます。これが既存シ  Node-RED プロジェクトは ” オープンソース ” で IT 産業 ステムでも現在のみならず、将来をも見据えた高付加価値で において広くサポートされているブラウザーベースのエディ 且つ高度に柔軟な IoT 化を進められる理由です。 — 12 —
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寄 稿 IoTやAIを活用した新しいものづくりの実現を サポートする新たな産業用モーションネットワーク – MECHATROLINK-4/Σ-LINK Ⅱによるモーションデータとセンサデータ同期・連携 –  近年、産業界をとりまく環境は、生産やそのオペレーショ していた半二重通信から全二重通信に通信手順を切り替えるこ ンのスマート化、IoT・AI を活用したフレキシブルかつ安定 とで伝送効率を大幅に向上させた。これにより、同一伝送周期 生産の実現など、大きく変化しようとしている。このような に接続可能なスレーブ機器の台数は MECHATROLINK- Ⅲの 背景から、生産現場における様々な機械や設備において、製 約 4 倍に増やし、より大規模な装置に対応できるようになった。 品品質の確保や予知保全用等の各種センサが大量に接続され 同一台数であれば伝送周期を約 4 分の 1 に短縮してより細か 始めており、それらから生まれる製品データの収集と活用が く制御したり、伝送周期を据え置いて空いた時間を IP 通信に 求められている。 利用したりして、装置の機能を拡充することができる。  このようなニーズに応えるため、MECHATROLINK 協  サーボドライブなどのモーション制御機器は、伝送周期を短 会(MMA)では、幹事会を中心に新世代の産業用ネット 縮することで、より高精度な制御が可能になる。ただし、I/O ワーク技術の仕様検討を進め、モーション制御に最適なネッ 機器など高速な周期制御が必要ない機器を設計する際は注意を トワークとして開発・製品化した MECHATROLINK- Ⅲと 要する。伝送周期が短縮されても、通信負荷が増えるだけだか サーボアンプとエンコーダ通信として開発・製品化したΣ らだ。こうした問題に対応できるように MECHATROLINK-4 -LINK をベースに、新世代の産業用オープンネットワーク技 では伝送周期が自由に設定できる機能も盛り込まれた。スレー 術(MECHATROLINK-4 とΣ -LINK Ⅱ)を開発した。これ ブごとに異なる設定ができるので、同一ネットワーク上に複数 らの技術を組み合わせて使用することで、モーション制御に の伝送周期のデータを存在させ、スレーブ機器を必要な伝送周 関連するデータだけでなく、各種センサのデータも簡単に同 期で制御することも可能だ。(図 2) 期して取得することが可能となる。これにより、生産性を更  これによって I/O 機器など高速な周期制御が必要ない機器で に向上させるとともに、IoT や AI を活用した新しいものづく も、通信の負荷を増やさずに高速化されたネットワークに接続 りの実現を支援していく。(図 1) できる。また遅い周期で通信するスレーブ機器の通信タイミン グを分散させることでより多くの機器を接続することができる。 MECHATROLINK-4 のキーポイント (2)同一ネットワーク上に複数のマスタ  産業機器の高性能化・大規模化のトレンドを受けて、基本  MECHATROLINK-4 では、同一ネットワーク上に複数の 的なパフォーマンスの向上を図るとともに、ネットワーク上 マスタが存在するマルチマスタのネットワークを実現でき、 に複数のマスタを配置できる「マルチマスタシステム」など 装置の分散化を効率よく実現できる。例えばメインユニット の先進的な機能を追加し、IoT への対応を見据えた新技術を にオプションユニットを組み合わせて構成する装置を開発す 採用している。 る場合、全てのユニットを 1 台のマスタで制御する集中シス (1)格段に向上した伝送効率 テムのマスタアプリケーションは、メインユニットの制御以  MECHATROLINK- 4 では、MECHATROLINK- Ⅲで採用 外にオプションユニットの制御に必要な伝送時間を含めて伝 送周期を設定し、演算時間やメモリなどのリソー スもあらかじめ考慮しなければならない。しかし、 それらのリソースはオプションを使用しない場合 は無駄になる。さらにオプションを変更すると、 メインユニットの処理との競合チェックなど再度 システム全体のアプリケーションを開発する必要 がある。しかも、アプリケーション開発時にもメ インユニットが必要となるため開発効率が悪い。 MECHATROLINK-4 のマルチマスタ構成を利用 した分散システムでは、各ユニットのアプリケー ションが相互に独立している。このためメインユ ニットの演算時間やメモリはオプションユニット 分を考慮する必要がない。またユニット単独で開 発ができるので、開発効率向上にも貢献する。さ らに同一の MECHATROLINK-4 ネットワークに つながりながら、各ユニットが同時に制御伝送で きるので、伝送周期はオプションの有無に影響さ れない。この機能により、MECHATROLINK-4 でつながれた分散制御システムでは、機器が追加 図1 MECHATROLINK-4 とΣ -LINKⅡで構成した制御システムの例 されても伝送周期は変わらないため、オプション — 13 —
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インダストリー 4.0 —IoT ナビ Vol.5 ユニットの追加・変換が容易に行える。 りセンサデータとモーションデータを同期させることが可能  ネットワーク内には主マスタが 1 台存在し、非主マスタ だ。(図 4) を制御ドメイン配下に入れることができる。機器間で連携 した制御システムをM構EC築HAすTるROLINK-4 (1)モータとセンサ / エンコーダをカスケード接続 際に便利な特徴だ。このほか、  Σ -LINK Ⅱでは、モータだけでなく各種センサやエンコー MECHATROLINK-4 のマルチマスタ構成では、スレーブが ダをカスケード接続して、同時に制御できる。大きな利点は、 複数の制御ドメインに所属できるので、Safety マスタの傘 もっともシンプルな経路でセンサ情報を直接サーボアンプに マ下スタにあるスレーブを、制御マスタが管理する制御ドメインに 入力できることである。上位コントローラを経由してセンサ も#1所属させるスこレーとブがスレでーきブ る。制御スレマースブ タスレのーアブ プリケーションスレーブ情報を取得した場合よりも、サーボ動作の応答性が向上する。 スレーブは毎にSafety 機器#1の有#無2に影響され#な3 い。#ス4 レーブの Safety #5〜10 通信タイミングを分散 ⾼速な周期制御が必要な機器 ⾼速な周期制御が必ま要たでなΣい機-器LINK Ⅱによる各種センサ情報を活用したサーボアン ユニットと Safety (マサースボドタライをブなSどa)fety オプションとして、(I/Oなプど)の機能追加なども期待できる。 伝送Sa周fe期ty への対1応25/μ非s対応を簡単に5切00りμ替sえられ、合理的な1000(μ2sSafety システムを構成することが可能だ。(図 3) )MECHATROLINK と同期 通信回数 毎回 MECHATROL2IN伝K-4送周期に1回 8伝送周期  にΣ -LINK Ⅱと MECHATROLINK の伝送タイミングを同期さ1せ回ることが可能だ。これによって、Σ -LINK Ⅱを経由し て取得したセンサ情報を MECHATROLINK で伝送するモー 図2 伝送周マ期スタ ションデータに同期させたうえで、上位コントローラに渡せ#1 が異なる機器を同じネットワークに接続(複数伝送周期) スレーブ スレーブ スレーブ スレーブ スレーブ スレーブ毎に #1 #2 #3 #4 #5~10 る。つまり、上位コントローラはセンサ情報の入力タイミン 通信タイミングを分散 高速な周期制御が必要な機器 高速な周期制御が必要でない機器 (サーボドライブなど) (I/Oなど) グをより正確に取得できる。これによって、より高精度の制 伝送周期 125μs 500μs 1000μs 御が可能になるだけでなく予知保全等データ解析の精度や信 通信回数 毎回 4伝送周期に1回 8伝送周期に1回 頼性向上が可能となる。 図2 伝送周期が異なる機器を同じネットワークに接続(複数伝送周期) 図2 伝送周期が異なる機器を同じネットワークに接続(複数伝送周期) (3)配線ケーブルの合理化に貢献  サーボアンプや上位コントローラは制御盤に配置し、サー ボモータやその付近に接続されるセンサ類は装置側に配置す + るのが一般的だ。ところが、この接続構成だと装置側にある オプション盤 センサ類と制御盤の間に多数の接続ケーブルを設ける必要が 制御ドメイン#1 ある。しかも、装置に取り付けるセンサの数が増えるにつれ 制御ドメイン#2 MECHATROLINK-+4 て、この接続ケーブルの数が増える一方だ。これに対して、 オプション盤 制御ドメイン#1 装置側のセンサ類をΣ -LINK Ⅱで接続すれば、センサ類の配 制御ドメイン#2 No MECHATROLINK-4 線を機器内で完結し、配電盤と機器間の配線ケーブルの数を Safety Safety マスタ No マスタ 格段に減らせる。こうした省配線化により接続ケーブルの取Safety Safety マスタ マスタ り回しにかかる作業の負担が減るうえに、センサ類を接続す SafetySafety る中間的な機器が不要になる。 ユニッユトニット Safety 領域 Safety 領域 図3 Safety 対応の追加 図3 Safety対応の追加 図(3 3S)afEettyh対er応neのt追機加器とダイレクトに接続  MECHATROLINK-4 のポートには、Ethernet 機器をダ イレクトに接続できる。伝送効率が向上したことによりでき 2 た伝送周期内の空き帯域を IP 通信帯域として IoT 対応など 有効に活用できるようにした。IP 通信帯域内の通信は帯域制 2 御によって制御伝送に影響を与えない。  MECHATROLINK-4 機器に TCP/IP スタックとアプリ 図4 Σ -LINKⅡの接続構成と応用例 ケーションを実装すれば、Ethernet 機器との直接通信も可 図4 Σ-LINKⅡの接続構成と応⽤例 能だ。PC、エンジニアリングツールを MECHATROLINK-4 MECHATROLINK協会について ネットワークにつなげ、スレーブ機器とデータ交換すること  2018 年 1 月で 15 周年の節目を迎える MECHATROLINK で、メンテナンス性・エンジニアリング性が向上する。この 協会には、51カ国から3000社を超える企業が参画している。 際、マスタ機器を経由しないので、マスタアプリケーション 新技術の仕様は 2018 年春以降に公開予定で、ウェブやセミ の処理負荷が軽減する。またエンジニアリングツールを更新・ ナーなどを通じて発信していく。無料会員登録で、最新情報 変更してもマスタアプリケーションへの影響が無い。 のタイムリーな入手が可能。(協会ウェブから簡単申込あり) Σ -LINIKⅡのキーポイント MECHATROLINK協会  (株)安川電機が開発したサーボアンプとエンコーダ間の 〒 358-0013  通信プロトコル(Σ -LINK)を、センサなどの I/O 機器を接 埼玉県入間市上藤沢 480 番地 続できる I/O ネットワークへと発展させたものがΣ -LINK TEL:04-2962-7920 Ⅱだ。センサなどの情報を直接サーボアンプに取り込むこと http://www.mechatrolink.org で応答性が格段に向上し、MECHATROLINK との連携によ ※ Ethernet: 富士ゼロックス株式会社の商標 — 14 — 3
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インダストリー 4.0 —IoT ナビ Vol.5 寄 稿 設備の効備率を測のって改効善活動に率活用すをる 測って改善活動に活用する 東洋ビジネスエンジニアリング株式会社 新商品開発本部 商品企画 2部 中小企業診断士  東洋ビジネスエンジニアリングは、「簡単 IoT」というコンセプトで、2016 年 6 月に mcframe 行司正成 SIGNAL CHAIN( 以下 SIGNAL CHAIN)「稼働モニタリング」の提 供を開始した。以降、 2017 年 11月1日現在、世界 7 か国 25 社への導入実績がある。ここでは SIGNAL CHAIN 東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)は、「簡単 IoT」というコンセプトで、2016 年 6 月 で管理指標として取り入れた OEE(Overall Equipment Effectiveness) を紹介したい。OEE に mcframe SIGNAL CHAIN(以下 SIGNAL CHAIN)「稼働モニタリング」の提供を開始した。以 は日本プラントメンテナンス協会が開発・提唱した設備総合効率の略称で、設備がどの程度効率 降、2017 年 11 月 1 日現在、世界 7か国 25 社への導入実績がある。 よく活用できているかを測る指標である。日本国内にとどまらず、国外でも多くの企業で採用さ れている。 こ こ で は SIGNAL CHAIN で 管 理 指 標 と し て 取 り 入 れ た OEE(Overall Equipment 東洋ビジネスエンジニアリング株式会社 新商品開発本部 商品企画 2 部 中小企業診断士 Effectiveness)を紹介したい。OEE は日本プラントメンテナンス協会が開発・提唱した設備 行司正成 総合効率の略称で、設備がどの程度効率よく活用できているかを測る指標である。日本国内 にOとEどEまはら三ずつ、国の外指で標もに多く分の解企で業きで採る用されている。 の定義から言うと、稼働率 = 稼働時間 ÷ 負荷時間となる。  OEE の何が総合なのかは、OEE を構成する三つの下位指 これだけを見ると、とても簡単だと思われるかもしれない。 OEE は三つの指標に分解できる 標を見ると分かる。 OEE の何が総合なのかは、OEE を構成する三つの下位指標を見ると分かる。 稼働率の分母は ? 一つ目は「稼働率」。計画通りに設備が稼働できているか。二 一つ目は「稼働率」。計画通りに設備が稼働できているか。二つ目は「性能」。と設こ備ろをがスペ、ッ分母の負荷時間をどうするかが意外に難しい。 つ目は「性能」。設備をスペック上の性能通りに運用できてい ク上の性能通りに運用できているか。最後は「品質」。ねらった品質で生産で多きくてはいる稼か働を率管理の目的に応じて、また、かける手間と効果 るか。最後は「品質」。ねらった品質で生産できているかを示 示している。まさに設備の利用効率を総合的に測る指標だ。 を天秤にかけて負荷時間の定義を決めている。一般的には次 している。まさに設備の利用効率を総合的に測る指標だ。 ※ OEE = 稼働率 x 性能 x 品質 の三つのいずれかに近い考え方が採用される。 ※ OEE = 稼働率 x 性能 x 品質 ①負荷時間を 365 日 24 時間とする シンプルだが、現場で管理できない計画休止分のロスが相当 紛れ込む。例えば受注不足や長期休暇などでも稼働率が下が る。そのため OEE の活用目的であるロス対策の指標にはな りにくい。 ②負荷時間を工場の操業時間とする 工場の操業カレンダーを使って実際に工場が操業する時間を 基準にする。①よりは現場向けの指標に近づくが、定期メン テナンスなど設備個々の状況の考慮が漏れる。ただ、計算は 簡単なので現実的な案と言えるかもしれない。 OEE(設備O総EE合(設効備率総)合と効は率)とは ③負荷時間を生産計画時間とする 現場が本来モノづくりをすべき時間を基準にする。トヨタ生 OOEEEをE改を善改活動善に活活動用にする活 用する 産方式でよく知られたベキ動率という指標があるが、この考  では OEE をど え方に近い。ただ、設備ごとの生産計画時間を日々メンテナでは OEE をどう使えばうよ使いえのばかよ。OいEEのをか測。っOたE結E果を、そ測れっぞたれ結の果指、標をそ押し下げる原因とな るれロぞスれをの探指り標当てをて押改し善下しげてるいく原。因ロとスなはる7 大ロロススをに探分り類で当きて、てそ改善 ンスする必要があり、一番手間がかかる。れぞれが三つの指標に関 していく。ロスは 7 大ロスに分類でき、それぞれが三つの指 稼働率の分子は ? 標に関連付けられる。①故障、②刃具交換、③立上がり、④ 分子となる稼働時間の定義がぶれることは少ないが、そもそ 段連付取け・ら調れる整。は①「故障稼、働②刃率具」交に換、、③⑤立チ上がョりコ、停④段・取空・転調整、は⑥「速稼働度率低」下に、⑤チもョコどうやってデータを集めればよいかが問題になる。手作業 は停・「空性転、能⑥」速に度低、下⑦は不「性良能・」手に、直⑦し不は良・「手品直質しは」「に品影質」響にす影る響す。るこ。のこのようでに指つけた日報を集計する企業も多いが、これでは負担がかか よ標とうロにス指が密標にと関ロ連しスてがい密るたにめ関、連責任し範て囲いと改る善た活め動の、ポ責イ任ント範が囲明と確に改な善る。 り正確性にも疑問が残る。ここで IoT の登場である。IoT を 活 動のポイントが明確になる。 活用すれば設備の稼働状況を簡単に収集できるようになって 稼稼働働率率 きている。集計の労力が無くなり正確性も格段に向上する。 三つの下位指標のうち稼働率について掘り下げたい。OEE の定義から言うと、稼働率 = 稼 三働時つ間の ÷下 負位荷指時間標とのなうる。ちこ稼れだ働け率をに見るつとい、てとて掘もり簡単下だげとた思わいれ。るOかEもEし れないS。IG NAL CHAIN の狙いのひとつはこれである。 最後に OEE を活用している企業ではこれをうまく改善活動 のための指標に組み込んでいる。ただ、収集した稼働 率や稼働状況の正確性に課題を持つ企業もまだ多い。 IoT の普及はその解決の一助になっている。 今回は OEE の下位指標のうち稼働率を紹介したが、 性能についても各様の考え方があり面白い。機会があ れば紹介させていただきたい。 稼働率 稼働率の分母は? — 15 — ところが、分母の負荷時間をどうするかが意外に難しい。 多くは稼働率管理の目的に応じて、また、かける手間と効果を天秤にかけて負荷時間の定義 を決めている。一般的には次の三つのいずれかに近い考え方が採用される。 ① 負荷時間を 365 日 24 時間とする シンプルだが、現場で管理できない計画休止分のロスが相当紛れ込む。例えば受注不足や長 期休暇などでも稼働率が下がる。そのため OEE の活用目的であるロス対策の指標にはなり にくい。 ② 負荷時間を工場の操業時間とする 工場の操業カレンダーを使って実際に工場が操業する時間を基準にする。①よりは現場向 けの指標に近づくが、定期メンテナンスなど設備個々の状況の考慮が漏れる。ただ、計算は 簡単なので現実的な案と言えるかもしれない。 ③ 負荷時間を生産計画時間とする 現場が本来モノづくりをすべき時間を基準にする。トヨタ生産方式でよく知られたベキ動 率という指標があるが、この考え方に近い。ただ、設備ごとの生産計画時間を日々メンテナ