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車載用燃料電池向けターボコンプレッサCT-2X用いて実アプリケーション時に生じる振動の影響について振動試験を基に説明
ターボコンプレッサは、車両などのモバイル燃料電池アプリケーションで使用する場合、振動と寿命の要件に対処する必要があります。ここでは、指定された振動要件を検証し、機能と寿命への影響を証明するために、テスト装置によるコンプレッサの振動試験の検証結果について説明します。
このカタログについて
ドキュメント名 | Celeroton社製ターボコンプレッサCT-2Xの振動試験技術概要 |
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ドキュメント種別 | ハンドブック |
ファイルサイズ | 403.9Kb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | 日本シュネーベルガー株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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技術概要
自動車用燃料電池向け空気軸受ターボ
コンプレッサCT-2Xの振動試験
序論
ターボコンプレッサは、車両などのモバイル燃料電池アプリケーションで使用する場合、振動
と寿命の要件に対処する必要があります。玉軸受のコンプレッサの場合、振動レベルは軸受の
摩耗を引き起こし、寿命に影響を与えます。ただし、CT-2Xコンプレッサなどの空気軸受コン
プレッサでは異なります。振動レベルが、空気軸受コンプレッサの寿命に影響があるかどうか
を定義する必要があります。このため、指定された振動要件を検証し、機能と寿命への影響に
ついてテスト装置を用いてコンプレッサの検証を行いました。
1. 振動試験の背景
Celerotonは、軸受技術として空気動圧軸受を採用しています。ローターが浮かぶ空気膜は、回転するローターによって構
築されます。リフトオフ速度を下回るとスライド摩擦が発生します。この速度を超えると、回転によって構築された空気
膜は、ローターの重量を支えるのに十分な状態となります。ただし、リフトオフ速度では、外部から加えたれた加速度に
よってローターが変位しステーターに接触して、システムに不可逆的な損傷を与える可能性があります。速度を上げるこ
とにより、軸受の負荷容量が増加し、外部から加えられた加速度に対する堅牢性も向上します。負荷容量は、速度の他
に、軸受にかかる圧力と初期温度にも依存します。圧力は周囲圧力とほぼ同等であり、走行する車両の高度によって異な
ります。温度は低温から開始するか、常時動作しているかによって異なります。
図1 空気軸受ローターの回転速度vs摩擦 図2 空気軸受ローターの回転速度vs衝撃耐震能力
したがって、空気軸受コンプレッサの振動試験は、必要な振動レベルの動作を検証するために重要です。
ここでは、CT-2Xコンプレッサシリーズに焦点を当て振動試験がどのように実行されるかを示しています。図3で示す様に
すべてのテストがx、y、z軸に適用されます。
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図3 コンプレッサ軸の定義 図4 振動試験装置に搭載されたCT-2X
2.スイープ試験
まずはスイープ試験を実行します。この試験の目的は、システムの共振周波数を特定することです。共振は次の理由で
発生する可能性があります。
・空気軸受のローターの剛性/減衰
・ダンパ内のコンプレッサ本体
・コンプレッサのケーシング部品
3.衝撃試験
スイープ試験で問題の領域に共振周波数が示されない場合、次に衝撃試験を実施します。衝撃試験は、道路上の窪みでの
走行や車両の衝突など、限られた数の単一イベントをシミュレートするために適用されます。技術的に言えば衝撃試験
は、定義された持続時間(正弦波周期の半分)と振幅を持つ半正弦波加速度です。自動車の一般的な期間は11msです。この
間、100krpmで回転するコンプレッサは18回転します。これは、空気軸受の場合、11msがほぼ静的な負荷であることを意味
します。コンプレッサの運転中、そのような衝撃の間に空気軸受がまったく接触してはならないので、衝撃の回数は空気
軸受には関係ありません。したがって、衝撃は、一定の周波数と振幅(スイープとして)の完全な正弦波加速度で試験する
こともできます。ただし、システムレベルの部品(ケーシング部品、ネジなど)の場合、これはより厳しい試験となりま
す。
衝撃試験の仕様例を表1に示します。CT-2Xコンプレッサは、これらの仕様に従って正常に検証されています。
表1 衝撃試験仕様例
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4.ランダム振動試験
最後はランダム振動テストです。これは、試験対象のデバイスの標準的な寿命振動試験です。ネジやはんだ接合部な
ど、振動により緩んだり、摩耗したり、折れたりする可能性のある機械的安定性をチェックすることを目的としていま
す。ランダム振動試験は、パワースペクトル密度(PSD)プロファイルで定義されます。最大加速度は通常、rms加速度の
3倍です。自動車では、試験は通常10〜200 Hzの範囲で定義され、rms加速度は3〜5g(凡そ30〜50 m/s2)の範囲です。
PSD振動試験にはさまざまな基準があります。CT-2X振動試験の仕様は、自動車部品の要件を定義する規格「ISO-16750-
3試験IV-乗用車、バネマス(車体)」に基づいています。試験プロファイルは図5に要約されています。
図5 PSD振動プロファイル
ISO-16750-3テストIV-乗用車、バネマス(車体)
各試験の後、コンプレッサローターのリフトオフ速度(図1を参照)が検証されます。リフトオフ速度の変化は、空気軸
受の逸脱または損傷を示します。CelerotonターボコンプレッサCT-25-10000.GBおよびCT-22-12000.GBの場合、衝撃お
よび振動試験中、および試験後のリフトオフ速度の変化は観察されていません。さらに、コンプレッサの目視検査で
は、ネジの緩みやその他のコンプレッサの損傷は見られず、モバイルアプリケーション向けコンプレッサの堅牢性が証
明されています。
国内総代理店
日本シュネーベルガー株式会社
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