医療機器メーカー向け直動案内機構のカスタマイズ

WHITEPAPER 医療機器メーカー向け手引書 直動案内機構の カスタマイズ Nippon SCHNEEBERGER K.K.

医療機器メーカー向け 直動案内機構カスタマイズの手引き 序論 医療およびライフサイエンスデバイスの設計と製造は常に課題の多いアプリケーションです。これ らの機器および装置において、必要な形状、適合性そして機能を備えた直動案内のコンポーネン トは重要な部分です。そのようなコンポーネントのほとんどは既製品です。しかし、標準的な直動 案内製品が機能しない、適合しないまたは適切な性能を提供できない場合はどのようになるでし ょうか？ 医療およびライフサイエンス機器のメーカーとして、ご自身の選択肢をオープンにして、装置固有 のニーズに合わせてソリューションを調整できる直動案内のサプライヤーを探してください。 このレポートでは、直動案内のカスタマイズの問題、カスタマイズを希望するサプライヤーとの連 携方法およびカスタマイズによってもたらされる利点について説明します。適切に直動案内のコ ンポーネントとシステムをカスタマイズすることで、設計プロセスや性能および医療機器とライフ サイエンス機器の総所有コストを改善できます。 カスタマイズの懸念要素 る場合もあります。単一の直動案内メーカ 合は、上記の懸念は根拠が無いことが判り ーによりカスタマイズされた直動ステージ ます。余分な時間やトラブルを望まない場 多くの医療機器およびライフサイエンスの やガイドウェイによる制約を受けることを 合もありますが、カスタマイズの課題と利 装置メーカー(OEM)にとって、直動案内を 恐れる場合があります。 益を歓迎するサプライヤーもいます。 実装するには実証済みで間違いのないアプ ローチが必要です。装置メーカーは製品の 多くの医療機器メーカーが直動案内のカス カスタマイズが機能する理由 新しい設計またはアップグレード部分の仕 タマイズを試みない最後の理由は、比較的 様を開発しますが、標準に最も近いまたは 医療機器には厳密な特性が必要です。 少数のサプライヤーのみが直動案内のカス カタログのコンポーネントやシステムにつ 直 動案内コンポーネントを医療やライフ タマイズを提供できる、または提供する意 いては、直動案内の営業担当へ相談、購入 サ イエンス機器に統合しようとすると、 思があるためです。おそらく、直動案内製 し目的に合うように最善を尽くします。 一 般的な要件には高剛性、高い絶対精度 品メーカーの25%だけが真に「仕様から試 装置メーカーは実際には注文品をカスタマ と 位置決め再現性、スムーズな動き、非 作品を製作する」能力を有しています。 イズすることなど考えていません。彼ら 常 に低い起動摩擦、耐食性などの要素が は、コストが掛かり過ぎ、リードタイムが 含 まれる場合があります。 他の規模が小さなサプライヤーは必要なリ 長くなるのではないかと心配しています。 ソースが不足している可能性があります。 一部のメーカーでは、カスタマイズによっ 目的に合わせる または大規模な場合、大量に生産されるモ て設計された品質レベルの維持が困難にな デルを好みます。カスタマイズプロジェク ただし、かなり頻繁にさらに必要となりま るのではないかと心配する場合もありま トが要求する時間とリソースの投資が規模 す。時にはさらにたくさん。 す。 に見合う形である必要があるからです。 新規設計または更新する固有のデバイスで は、異なるサイズ、新しい形状、 コンポーネントにだけでなく、より精密な しかし、適切なサプライヤーが適切なカス 特殊なコーティングまたは非標準の材料が 直動案内システムのカスタマイズを検討す タマイズのニーズを満たすことができる場 必要になる場合があります。カスタマイズ

医療機器メーカー向け 直動案内機構カスタマイズの手引き を求めるOEMは、精度、速度、平坦度、予 医療機器の専門家です。自社設計が最終ユ ために努力することができます。 圧(内部クリアランスを排除して剛性を高 ーザーにとって許容できない状態となった めるため)、耐用年数、メンテナンスレベ 後に調査依頼を受けたコンポーネントのサ また、設計に少し時間を費やすことによ ルまたは価格など特定の目標を達成する製 プライヤーは、過度の振動、不十分な真 り、後の遅延により多くの時間が失われる 品またはシステムを求めることがよくあり 直度、過度のノイズ、ベアリングの不適切 ことを防ぐことができます。合理的なカス ます。 なサイズ選定(ヨーとロールの性能に繋が タマイズにより、製品の欠点を予測して排 る、不適切な位置の給油口位置、キャリッ 除し、潜在的な障害を回避することができ 既製の直動案内コンポーネントを使用する ジやワイパーの不足などにより結果として ます。これは特定地域の市況から発生した 場合は、それらを中心に設計する必要があ 生じる汚れによる故障など多くの問題点を こと、例えば米国食品医薬品局(FDA) の承 ります。これにより、他の部分においても 報告する形となります。 認が求められるような規制上の制約がある 選択が過度に制限されることがよくありま 場合でも、その厳しい要件を満たすことに す。例えば、特定の既製レールまたはキャ 対照的に専門のサプライヤーは直動案内技 役立ちます。 リッジを選択すると、特定のタイプのモー 術のノウハウと全ての利点を困難な医療機 ターまたはコントローラー、または特定の 器アプリケーションに適した機器をカスタ 驚くほど低コスト エンコーダーフィードバックを使用せざる マイズする実践的な経験と共に提供するこ を得なくなる場合があります。 とができます。 カスタマイズは思うほど費用が掛からない かもしれません。多くの場合、追加費用は 最終的には最適化されていない直動案内の 合理的なリードタイム 軽微またはほとんどなく、実際には費用を 構成になります。残念ながら、それはあな 節約できます。 スタマイズすることは過度の遅延を意味す たの製品があまりにも多くの機能を持って るものではありません。 いるかもしれないことを意味します。それ 確かに既製のコンポーネントを購入する場 は実際には必要のない機能に対して追加料 合と比較して完全にカスタマイズされた直 在庫するコンポーネントの簡単な調整は、 金を支払っていることになります。新製品 動案内機構を導入した場合では平均で約 驚くほど短時間で済みます。複雑さが増す に採用した既製のコンポーネントまたはシ 15%の増加が必要になる場合があります。 につれてリードタイムが長くなる可能性が ステムが全ての必要性能を満たすことがで あります。複雑なカスタマイズプロジェク きないため、結果を犠牲にしてしまう場合 しかし、全体像を整理すると適切なサプラ トは開始から試作機の製作まで12から16週 があります。多くの場合、その結果期待さ イヤーがあれば、そのコンポーネントまた 間かかる場合があります。 れる競争上の利益や主要な市場トレンド内 はシステムは、特定のコストとパフォーマ での利点を提供することができなくなりま ンスの目標に合せて設計されます。多くの ただし、逆の状態となるケースもあり、カ す。 場合、設計段階での費用の掛かるリスクを スタマイズすることによりプロジェクト全 回避でき、失敗が少なく、より長く、トラ 体のリードタイムが短くなる場合がありま 対照的にカスタマイズとは、望ましいプロ ブルなく、耐用年数に渡って優れた性能を す。 セスと目的の構造に対応するよう設計する 提供します。 ことを意味し、その逆ではありません。そ まず、製品設計プロセスのできる限り早い れは品質、性能および収益性の目標を達成 結果: 総所有コストは実際に低くなり、競 段階で直動案内のサプライヤーを関与させ するか、しないかの全ての違いを生む可能 争力があり、差別化のある優れた医療機器 ることが重要となります。仕様情報を共有 性があります。 を顧客へ提供できます。 することにより、サプライヤーは遅延を回 卓越した設計 避するための作業を早い段階から始めるこ 確実な品質管理 とができます。例えば、特定の仕様適した 社で行う」ことが必ずしも最良の結果が得 コンポーネントのリストを調べ、設計/材 お客様が在庫している既存製品を使用して られるとは限らないためです。 料/製造/出荷に最も時間が掛からないコン 独自の直動案内機構を設計する場合は、独 ポーネントを選択します。サプライヤーは 自のチェックを実行することで、必要な品 自社の設計者は直動案内の技術ではなく、 試作の迅速な完成と納期遵守を確実にする 質レベルを保証することができます。

医療機器メーカー向け 直動案内機構カスタマイズの手引き 期的な事業や技術ロードマップに協力する 談しました。初期の話し合いの段階でOEM 一方で、カスタマイズにおいては直動案内 ことができます。 の技術者は、機械内部が高湿度となり、溶 のサプライヤーが、カスタム製品に組込ん 剤がこぼれる可能性があることに言及しま だ品質を信頼し、その品質と性能を検証す 上記以外の多くの理由により、多くの主要 した。当社の技術者はこれが最終的に標準 るための厳密なテストを行う必要がありま な医療機器メーカーがこれらの機能を共有 部品の腐食に繋がる可能性がある事を認識 す。 しています。直動案内機構および同様分野 し、既存標準品は不適切と判断しました。 の外部設計は、この分野における大企業で 防錆コーティングを施したカスタマイズリ 解決策: 慎重に選択してください。低価 の開発の50%以上を占める可能性がありま ニアガイドウェイを提供することで、装置 格商品のビジネスモデルを採用しているサ す。 内の厳しい環境下でもそのリスクを排除す プライヤーは最良の選択ではないかもしれ ることができました。 ません。品質と真の顧客パートナーシップ カスタマイズの成功例 に重点を置いていると認められている経験 事例 2: ミクロトーム スイスを拠点とする老舗のグローバルサプ 豊富なカスタマイズの専門を探してくださ ミクロトームの大手メーカーは、最新の設 ライヤーであるシュネーベルガーはカスタ い。 計に正確な動きを実現するためのリニアベ ムデザインを専門としています。ステージ アリングを必要としていました。ただし、 価値のあるパートナーシップ およびシステムは常にカスタマイズされて 既知の直動案内サプライヤーの標準品では います。また、様々な標準製品から抽出さ 許容できないレベルの変形が発生し、加速 れたコンポーネントや部品でさえ、認定さ 多くのメーカーは、単一の直動案内システム 度も目標より劣っていまし れたOEM製品の試作機や量産機で使用する のカスタマイズを回避するのではなく、こ た。コンポーネントを独自に調整できるシ ために大幅にカスタマイズすることができ の種のパートナーシップを歓迎しています。 ュネーベルガーは特別なケージ防止ずれ機 ます。当社はカスタマイズを適用すること カスタムステージのソリューションに関心 構を備えたリニアベアリングをカスタマイ で、多くの医療機器メーカーの様々な問題 のある医療機器OEMは、研究開発、設計お ズしました。結果として得られた完成品 を解決してきました。 よび技術のリソースを自社の得意分野に専 は、必要な対変形剛性および仕様通りの加 念させたい場合があります。優れた直動案 速度を提供することを証明できました。( 事例 1: DNAシーケンサ 内サプライヤーとの真のパートナーシップ 当社は世界中のどのサプライヤーよりも多 DNAシーケンサのメーカーはリニアガイド により、協力して製造と性能改善およびコ くのミクロトーム用リニアベアリングを提 ウェイを選択する際に早い段階で当社へ相 スト削減策を実現し、相互利益のために長 供しています。)

医療機器メーカー向け 直動案内機構カスタマイズの手引き 医療機器の設計が提示する動きの問題の可 イズの未来 事例 3: 自動診断 能性と利点を迅速に特定するように取組む ベンチトップ型自動血液診断システムのメ 必要があります。そしてトレードオフを特 医療技術が進歩するにつれて、コンポーネ ーカーは、排出ユニットを計画通りに機能 定し、代替案を提案することができます。 ント動作の高精度な制御は常に重要とな させることに問題がありました。様々なサ 目標は盲点のある部分を回避できるように り、小型化への要求も高まっています。そ プライヤーのリニアガイドウェイのテスト することです。後日、修正が困難になった して予算への圧力は至る所にあります。主 を行い、想定時間の半分での動きが必要と ときに性能の欠点を防ぐことができます。 要な医療機器メーカーは特殊な設計、最適 なることが判りました。しかし時間短縮が 化された総所有コスト、および主要な直動 課題ではなく、排出ユニット独自の設計が 3. コストを考慮した設計。 コストは常 案内コンポーネントのこれまで以上に高い 標準的なリニアガイドウェイで想定され に最大の関心事です。サプライヤーへ意図 性能指標を備えたカスタマイズされたソリ た使用方法ではないことが要因でした。し した市場価格または目標を与えます。彼ら ューションにますます目を向ける可能性が かしながら、排出システムの設計は既に進 は品質や製品寿命を犠牲にすることなく、 あります。 んでおり、変更するには再検証と再設計に 目標を満たすために努力します。最終の目 将来の医療機器試作機に適用される可能性 非常に大きな労力が必要となります。解決 標は、装置の寿命全体にわたって最小の総 がある成功したカスタマイズプロジェクト 策: 当社は排出部のキャリッジが垂直に保 所有コストで最適な性能を実現することで には、独自のステージベース形状の使用が 持されたときにレール上で自由落下ができ す。 含まれます。例えば、異なる軸での異なる るように転がり抵抗を高めたカスタマイズ 駆動方式の組合せ(例えば、1軸はボールね レールを提供しました。. 医療機器の直動案内カスタマ じ、別軸はリニアモータなど)、またはカ スタマイズされたフレックスケーブル 、 直動案内のカスタマイズサプライ ヤーと協力する方法 多くの医療機器メーカーのリソースは限ら れています。経験豊富な直動案内のサプラ イヤーと提携することで実質的に技術開発 チームを拡大することができます。サプラ イヤーとの協力関係を形成し、カスタマイ ズのプロジェクトを成功させるための最良 の基盤を構築します: 1. 早めに始める。 直動案内のコンポーネ ン トまたはシステムは、多くの場合、装置の 設計と機能において基本的な役割を果たし ます。早めにサプライヤーへ連絡し、秘密 保持契約(NDA)を締結し、直動案内の要求 仕様をできるだけ早く定量化して理解させ てください。これにより、サプライヤーは 初期の計画から設計の最終凍結まで適切に カスタマイズされたソリューションを考案 するための最大の時間と範囲を得ることが できます。 2. 設計から性能まで。 サプライヤーは

医療機器メーカー向け 直動案内機構カスタマイズの手引き テージと統合するためのミネラルキャスト または鋳造ベースなど。 直動案内のカスタマイズが提供できる機能 や形状、適合性など完全に一致することが 必要とされる可能性のある最先端の医療機 器アプリケーションには、ロボット手術装 置や遺伝子編集技術(CRISPR)、義肢装具用 の3Dプリンター、仮想現実制御機器など多 くの機器があります。 結論 多くの医療およびライフサイエンスOEMが、独自の製品向けにカスタマイズされ た直動案内ソリューションの利点を模索しています。適切なサプライヤーは、 懸念や障害を克服して意図的な性能、専門的な設計、許容可能なリードタイ ム、総所有コストの削減、信頼できる品質、有益なパートナーシップなどの利 点を提供できます。

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