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レーザ溶接業界注目の新技術「OCT溶接深さ検査」の初級編技術資料です。アペルザTV「未来のクルマ Technology ONLINE 2022 Summer」のウェビナーをもとに作成しています。
レーザ溶接業界注目の新技術である「OCT溶接深さ検査」に関して、近年のレーザ溶接業界の動向・背景から説明する初級編の技術資料になります。
目次:
1.レーザ溶接の最新動向
2.レーザ溶接の新たなモニタリング技術(OCT溶接深さ検査)
3.「OCT溶接深さ検査」の検証事例のご紹介
4.「OCT溶接深さ検査」の想定事例のご紹介
5.弊社アプリケーションラボのご紹介
6.ポイントまとめ
また、下記の元動画(アペルザTV)もご参考に活用下さい。
https://tv.aperza.com/watch/715
このカタログについて
ドキュメント名 | 「OCT溶接深さ検査」技術資料(初級編) |
---|---|
ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
ファイルサイズ | 2.3Mb |
取り扱い企業 | パナソニックプロダクションエンジニアリング株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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初級編
ホワイトペーパー
レーザ溶接業界、
注目の新技術!
「OCT溶接深さ検査」
In-process inspection
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スライド 2
はじめに
レーザ溶接では、難しいとされる「溶接深さ検査」。
車載の電動化で急激に拡大する需要に対応するため、レーザ溶
接工程のさらなる効率化が求められます。
このホワイトペーターでは、レーザ溶接中のリアルタイム、非
破壊、全数検査を、可能にする「OCT(光干渉断層法)」を活
用した溶接深さ検査についてご紹介いたします。
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目次 ※Ver1.0(2023年9月25日)
1 レーザ溶接の最新動向
1.1 レーザ溶接業界のトレンド ……………………………4
1.2 溶接検査の重要性 ………………………………………5
1.3 溶接検査の分類 …………………………………………6
1.4 OCTが注目される理由 …………………………………8
2 レーザ溶接の新たなモニタリング技術
2.1 新技術「OCT(光干渉断層法)」とは? ……………9
2.2 新技術「OCT(光干渉断層法)」の活用方法 ………10
2.3 新技術「OCT(光干渉断層法)」の導入メリット …11
2.4『 OCT溶接深さ検査』の特長 …………………………12
2.5『OCT搭載ガルバノヘッド』の特長 …………………12
3 検証事例のご紹介 ……………………………………………13
4 想定事例のご紹介 ……………………………………………15
5 アプリケーションラボのご紹介 ……………………………16
6 ポイントまとめ ………………………………………………17
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1 レーザ溶接の最新動向
1.1 レーザ溶接業界のトレンド
近年の電動車の急激な増加により、バッテリー・インバータ・
モータなど、急激に需要が拡大することが見込まれます。
それにともない、レーザ溶接の生産性向上が重要になるととも
に、従来からある生産性の低い他の工法からレーザ溶接への置
き換えが期待されています。
生産量の急激な増加に向けて、
レーザ溶接への期待アップ
プライムプラネットエナジー&ソリューションズ様プレスリリース資料を引用
技術面では、大きく3点の新技術が注目されています。
①新たな発振器の登場
→Greenレーザ、Blueレーザ
②新たなモニタリング技術(検査技術)の登場
→インプロセス溶接検査の進化
③AIの活用
このホワイトペーパーでは、2つ目の新たな検査技術についてご
紹介します。
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1 レーザ溶接の最新動向
1.2 溶接検査の重要性
なぜ溶接検査が必要か?
レーザ溶接では、「品質の作り込み」と「検査」はセットと言
う概念が重要になります。
これは、「品質の作り込み」のみに注力して開発しても、量産
工程に導入する時に検査技術が確立していなければ、開発した
製品を量産し、世の中に出すことが出来ないためです。
したがって、品質確保のため、「品質の作り込み」だけでなく、
常に「検査」を一緒に考えることが必須となります。
「品質の作り込み」と「検査」はセット
品質確保
「品質の作り込み」 「検査」
確立 確立
溶接検査では、各溶接欠陥に応じて検査する必要がありますが、
溶接欠陥は内部欠陥と表面欠陥に分けられます。
特に内部欠陥は、「内部がどのように溶けて、接合されている
か?」あるいは、「内部のどこまで、溶け込み深さが確保でき
ているか?」などを外観からは確認することが出来ないため、
検査に悩むことになります。
特に、「溶接内部の検査」が難しい
内部がどこまで
溶けているか?
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1 レーザ溶接の最新動向
1.3 溶接検査の分類
レーザ溶接の検査は、大きく分けると2種類に分類できます。
1つは「溶接後検査」、そしてもう1つは「インプロセス検査」
です。
Point!
溶接後検査 インプロセス検査
抜取り検査 インライン検査 パッシブ式 アクティブ式
断面研磨 X線検査 画像検査 戻り光モニタ OCT
引張り試験 各種探傷検査 高さ検査
方式 気密試験
抵抗検査
○ ○
内部欠陥 ○ ‐ ‐
破壊検査 溶接深さ検査
溶接欠陥
表面欠陥 ‐ ‐ ○ △ ‐
非破壊・全数検査 × △ ○ ○ ○
リアルタイム × × × ○ ○
1つ目の「溶接後検査」とは大きく「抜取り検査」と「インライ
ン検査」に分けることが出来ます。
「抜取り検査」は、定期的に製品を抜取り破壊検査するものが
多いですが、欠点は、破壊検査によるロスコストの発生や全数
検査出来ない点になります。
また、「インライン検査」は、溶接後の後工程に検査工程を設
けることを指します。この検査は、非破壊・全数検査出来るの
ですが、当然、後工程のため、リアルタイムに検査することは
できません。
逆に、もう一方の「インプロセス検査」はリアルタイムで、非
破壊・全数検査が可能になります。
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スライド 7
1 レーザ溶接の最新動向
インプロセス検査にも、ここに示す「パッシブ式」と「アク
ティブ式」の2つの方式がありますが、特に、溶接内部の様子で
ある溶け込み深さが可能なもの(溶接深さ検査が可能なもの)
は、OCTしかないということです。
Point!
溶接後検査 インプロセス検査
抜取り検査 インライン検査 パッシブ式 アクティブ式
断面研磨 X線検査 画像検査 戻り光モニタ OCT
引張り試験 各種探傷検査 高さ検査
方式 気密試験
抵抗検査
OCT技術が注目
○ ○
内部欠陥 ○ ‐ ‐
破壊検査 溶接深さ検査
溶接欠陥
表面欠陥 ‐ ‐ ○ △ ‐
非破壊・全数検査 × △ ○ ○ ○
リアルタイム × × × ○ ○
溶け込み深さを検査するというのは、具体的にどのような検査
なのか?をOCTが注目されている理由とともにご紹介します。
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スライド 8
1 レーザ溶接の最新動向
1.4 OCTが注目される理由
まずは前提として、レーザ溶接プロセスについて説明します。
レーザ溶接プロセスは、
「熱伝導溶接」と「キーホール溶接」の2種類あります。
熱伝導溶接 キーホール溶接
低パワー密度 高パワー密度
キーホール
「熱伝導溶接」は、照射するレーザが、低 「キーホール溶接」は、照射するレーザが、
パワー密度のため、表面のみがじわっと溶 高パワー密度のため、レーザ照射部分に、
ける溶接現象と理解すると分かりやすいと 小さな穴が開く、溶接プロセスです。
思います。
車載の電動化で増える製品(バッテリー・インバータ・モータな
ど)で使用されるレーザ溶接の大半は、キーホール溶接であり、
一定の溶け込み深さの確保が必要になる溶接です。
溶け込み深さ検査が行える「OCT」が注目!
インバータ
バッテリー
モータ 8
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スライド 9
2 レーザ溶接の新たなモニタリング技術
2.1 新技術「OCT(光干渉断層法)」とは?
OCTとは、「Optical Coherence Tomography」の略ですが、
日本語にすると「光干渉断層計測」になります。
歴史は、眼科用の検査器として発展した技術になります。
Optical Coherence Tomography
光 干渉 断層計測
・歴史
→1985年に原理が報告され,1991年に装置実現
→医療用途(眼科用検査器)として普及し,
その後に産業用途として発展
眼科用検査の事例(TOPCON様HPより引用)
OCTの原理とは、物体からの反射/散乱光を干渉計測することで、
距離測定を行うものであり、「光干渉を利用した精密な距離計
測」と理解して下さい。
「光干渉を利用した精密な計測距離」とは具体的に、計測用の
測定光を物体に照射して戻ってくる物体光と参照ミラーを通し
て戻った参照光を干渉計測することで、距離計測を行っていま
す。
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=
=
=
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スライド 10
2 レーザ溶接の新たなモニタリング技術
2.2 新技術「OCT(光干渉断層法)」の活用方法
OCTをレーザ溶接の溶接深さ検査に活用するための、前提条件
とは、「キーホール溶接に適用可能ですが、熱伝導溶接には適
用不可」になります。
これは、レーザ溶接中のキーホール底の到達位置を測定するこ
とで、溶け込み深さとの相関が得られ、「溶接深さ検査」に活
用しているためです。
・前提条件
→キーホール溶接に適用可能(熱伝導溶接には適用不可)
OCT計測光
溶接レーザ光
溶融
金属
キーホール底
凝固部
精密に計測
金属部材
キーホール
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スライド 11
2 レーザ溶接の新たなモニタリング技術
2.3 新技術「OCT(光干渉断層法)」の導入メリット
・検査工程・検査工数を削減できるメリット
現状の工程では、「溶接後の後工程での検査」と「抜取りによ
る破壊検査」が多く行われています。
これに対して、OCT導入後は、レーザ溶接中にOCT溶接深さ検
査を同時に行うことになります。
OCTを導入することで、多くの工程を圧縮することが出来ます。
Before After
溶接 溶接
+
OCT溶接深さ検査
外観検査
抜取検査
※断面検査
※引張試験
完成品 完成品
「量産時」と「開発・試作時」のメリットは、下に示すような
ものがあります。
量産時 【現状の量産工程課題】
「リアルタイムによる非破壊・全数検査」 ・過剰な検査、保全によるロス
1
→インプロセス溶接保証への展開が可能 ・突発不具合による事後調査によるロス
「検査工程・検査工数の削減」、「稼働率向上」
2
→Totalコスト削減が可能 【導入後】
「全数の溶接品質裏付けデータを集積・保管」
3 検査頻度、保全タイミングを最適化し、
→トレーサビリティ―が可能 Totalコストが削減可能
開発・試作時
「評価工数の削減」、「リードタイムの削減」
1
→開発検証サイクルを素早く回すことが可能
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スライド 12
2 レーザ溶接の新たなモニタリング技術
2.4 『OCT溶接深さ検査』の特長
ガルバノスキャン式光学系で「OCT溶接深さ検査」を実現して
います。
OCT用レーザ
ガルバノ
加工用レーザ
「OCT搭載ガルバノスキャン式光学系」の概略図 「OCT搭載ガルバノヘッド」の外観
2.5 『OCT搭載ガルバノヘッド』特長
「OCT搭載ガルバノヘッド」は、大きく4つの特長があります。
特に上3つは、一般のものより、性能が優れていると考えていま
す。
特長 弊社 一般
Wobbling動作に追従した溶接深さ検査が可能
1 ○ ×
(キーホール底位置を追い続けた測定が可能)
シングルモードファイバーレーザでも測定可能
2 ○ ×
(マイクロキーホールでも測定可能)
3 測定が難しいと言われるアルミ材も測定可能 ○ ×~△
4 初期調整時におけるキーホール底の位置合せ容易性 ○ △
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スライド 13
3 検証事例のご紹介
Wobbling加工時のOCT計測結果(銅材)
Wobbling加工時のOCT計測事例です。
材料は銅で、溶接形態は、この絵のような「突合せ溶接」になり
ます。発振器は、シングルモードファイバーレーザを使用してい
ます。
繰り返し円を描くWobbling加工を行っておりますが、常にキー
ホール底位置を追従して計測しています。
⚫ 実験条件 ⚫ 実験結果
・部材 :C1020(2×4mm)
・溶接形態 :突合せ溶接
・発振器 :シングルモードファイバー使用
・溶接条件 上面写真
・溶接送り速度 :6㎜/s
・Wobbling直径 :φ1㎜
・Wobbling周波数 :100Hz
断面写真 約1.4mm
Cu小片
Cu小片 約1.4mm
OCT検査
断面写真とOCT検査の結果が一致
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スライド 14
3 検証事例のご紹介
Wobbling加工時のOCT計測結果(アルミ材)
Wobbling加工時のOCT計測事例です。
材料はアルミで、溶接形態は、この絵のような「重ね合わせ溶
接」になります。この事例も発振器は、シングルモードファイ
バーレーザを使用しています。
実験結果の通り、断面写真とOCT検査の結果が一致していて、測
定が難しいと言われるアルミが測定出来ていることが分かります。
⚫ 実験条件 ⚫ 実験結果
・部材 :A1050(t0.5mm、t2.0mm)
・溶接形態 :重ね合わせ溶接
・発振器 :シングルモードファイバー使用
・溶接条件 上面写真
・溶接送り速度 :6㎜/s
・Wobbling直径 :φ1㎜
・Wobbling周波数 :100Hz
断面写真 約1.6mm
Al板
約1.6mm
Al板 OCT検査
断面写真とOCT検査の結果が一致
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スライド 15
4 想定事例のご紹介
具体的なアプリケーションをご紹介
車載の電動化で需要が拡大するバッテリー、モータ、インバータ
で適合可能です。
・バッテリー関係では、セル工程の各種溶接や、ここに示すモ
ジュール工程のバスバー溶接で導入が進むと考えています。
・モータ関係でも、ヘアピン溶接やその他の各種溶接に適合可能
と考えてります。
・インバータ関係ですが、バスバー溶接やアルミダイキャストの
ケーシングなど、各種用途を想定しています。
いろいろな分野に展開可能で、最近は、抵抗溶接・TIG溶接・FSW
(摩擦撹拌接合)からの置換え相談も多く頂いております。
これら工法は、いずれも溶接速度が遅く、溶接検査が難しい点が
欠点ですが、レーザ溶接とOCTの組合せで課題解決ができます。
インバータ
(バスバー溶接、FSW置換え)
バッテリー
モータ (セル工程の各種溶接、モジュール工程のバスバー溶接)
(ヘアピン溶接、各種溶接)
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5 アプリケーションラボのご紹介
弊社アプリケーションラボでは、「OCT搭載ガルバノヘッド」を
用いた評価、および各案件に最適なレーザ溶接ソリューションを
ご提供します。
※アプリケーションラボは大阪に設けており、各種テスト加工が
対応可能です。お気軽にお問合せください。
弊社アプリケーションラボ(大阪府門真市)
■問合せ先:パナソニック プロダクションエンジニアリング株式会社
Eメール: ppe_contact@ml.jp.panasonic.com
URL: https://www.panasonic.com/jp/company/ppe.html
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スライド 17
6 ポイントまとめ
レーザ溶接では、「溶接深さ検査」が難しいとされておりますが、
『OCT溶接深さ検査』なら、レーザ溶接中のリアルタイムによる
非破壊・全数検査が可能になります。
レーザ溶接の新たな検査技術『OCT溶接深さ検査』をぜひご検討
下さい。
さらに詳しく知りたい方はこちら>> https://tv.aperza.com/watch/715
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