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オシロスコープを用いたパワーエレクトロニクス評価のアプリケーションノート
スイッチングコンバーターの安定度を検証することは、電源の設計に不可欠です。スイッチングコンバーターの安定度を確認するためには、周波数ループ応答と負荷過渡応答が多く使用されます。設計の検証に対しては周波数ループ応答がますます重要になっていますが、これまでと変わらず負荷過渡応答も一般的に使用されています。負荷過渡応答は、パルス幅変調(PWM)信号の正のデューティーサイクルを時間軸上に可視化することで増強することもできます。最新のオシロスコープはこれを行えるだけでなく、未知のコンバーター効果を特定するのにも役立ちます。
このカタログについて
ドキュメント名 | 負荷過渡応答 – ループ安定度テストの強化 |
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ドキュメント種別 | 製品カタログ |
ファイルサイズ | 993.4Kb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | ローデ・シュワルツ・ジャパン株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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負荷過渡応答 – ループ安定度テス
トの強化
スイッチングコンバーターの安定度を検証することは、電源の設計に不可欠です。スイッチン
グコンバーターの安定度を確認するためには、周波数ループ応答と負荷過渡応答が多く使
用されます。設計の検証に対しては周波数ループ応答がますます重要になっていますが、これ
までと変わらず負荷過渡応答も一般的に使用されています。負荷過渡応答は、パルス幅変調
(PWM)信号の正のデューティーサイクルを時間軸上に可視化することで増強することもでき
ます。最新のオシロスコープはこれを行えるだけでなく、未知のコンバーター効果を特定する
のにも役立ちます。
課題
適切で安定した動作を確保するループ安定度を実現するには、
電源の設計を検証する必要があります。現在、周波数ループ応
答が、コンバーターのループ安定度を測定するための第1の選
択肢です。周波数ループ応答では、小信号AC解析を使用しま
す。小さな正弦波信号をループに注入して、開ループにて広い
周波数範囲で利得と位相を測定します。
この場合、測定した利得と位相の周波数変化をボード線図に
表示して、ゲインマージン、位相マージン、クロスオーバー周波
数を直接読み取ります。負荷ステップ応答テストでは、大電流ス
テップを印加してから、電圧応答を測定/解析する必要があり
ます。大信号測定は閉ループで実行します。これは開ループシ
ステムとはかなり異なります。出力電圧をタイムドメインで解
析して、コンバーターの安定度を予測し判断する必要がありま
R&S®MXO 4 オシロスコープ す。図1の例は、ステップダウンコンバーターを使用して負荷過
渡応答をテストするものです。
負荷電流を急速に変化させる場合には、負荷ステップ発生
器をコンバーターの出力端子に接続することが不可欠で
す。PWM信号が制御ループの発電部分を制御します。そのた
め、負荷ステップの印加中に正のデューティーサイクルを測定
すれば、未知の効果を可視化するときに負荷過渡応答を増強
することができます。
この測定には、記録時間全体にわたって高いサンプリングレー
トで正のデューティーサイクルを測定できる測定器が必要にな
ります。サイクルごとの測定を波形対時間として表示する必要
があります。
Application Card | Version 01.00
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ローデ・シュワルツのソリューション アプリケーション
R&S®MXO 4 オシロスコープは、PWMスイッチング周波数が 同期整流機能を備えたフルブリッジ回路のDC/DCスイッチング
高い場合でも長い記録時間にわたって正のデューティーサイク コンバーターで、トラック機能を実現しています。絶縁されたコ
ルを測定することができるので、このような難しい作業に最適 ンバーターは100 kHzのスイッチング周波数で動作して、48 V
です。十分な帯域幅、高いサンプリングレート、大容量メモリの の入力電圧を12 Vの出力電圧に変換します。出力電流は最大
すべてが必要になります。収集されたすべての正のデューティ 8 Aに設定され、電子負荷を用いて出力負荷ステップが出力さ
ーサイクルを使用して、トラックの収集期間全体にわたる変化 れます。
を可視化することができます。1サイクルの測定ごとのトラック
を時間軸上に表示することができます。トラック波形に含まれ デバイス設定
る一般的な負荷過渡波形を図2に示します。 正のデューティーサイクルをトラック波形として可視化するた
めには、コンバーター出力にて負荷ステップを印加する前に、
図2には、3つの連続した負荷ステップの標準的な出力電圧と いくつかの作業を事前に完了しておく必要があります。
出力電流の波形が表示されています。コントローラー出力の正 ► チャネルをセットアップしてプローブを選択します。
のデューティーサイクルも表示されています。これは、トラック ► コントローラー出力にて負荷ステップイベントを捕捉するた
を構成するために使用されるものです。理論的には、デューティ めのトリガを定義します。
ーサイクルが発電部をレギュレートして一定の出力電圧を維持 ► 正のデューティーサイクル測定機能を有効化し、基準電圧の
するので、トラック波形は出力電圧波形を反映しています。 パーセントレベル(20 %、50 %、80 %)を設定します。
► エッジが急峻なPWM信号を正確に測定するために、十分
なサンプリングレート(≧100 Mサンプル/秒)を設定する
必要があります。
► シーケンス全体(ローからハイ、次のハイからローを含む1
つ以上の電流ステップ)を捕捉するのに十分な記録長が必
要です。
► 測定サブメニューの中でトラック機能を有効化して、表示ス
ケールを最適化します。
過渡負荷の測定
図1:ステップダウンコンバーターの負荷過渡テストセット セットアップを完了した後、電子負荷を設定して、低電流値(最
アップ 大負荷の20 %)と高電流値(最大負荷の80 %)の間で変化す
る負荷ステップを印加します。トリガが有効なトリガ条件を検出
Vin Vout するとすぐに、画面上に波形が表示されます(図3参照)。上部
Vref のウィンドウに表示されているのは、収集された2つの両方向
+ の負荷ステップです。出力電圧はチャネル1で測定し、出力電流
PWM
– はチャネル2で測定しています。PWM制御信号(チャネル3)と
正のデューティーサイクルのトラック波形も表示されています。
Load
step ズームウィンドウの表示により、定常状態動作に再度入る前の
出力電圧降下はわずか300 μs程度であることがわかります。カ
ーソル機能による測定では、定常状態での20 %負荷と80 %負
荷の間の差はわずか2.4 mVです。コンバーターが定常状態に
入った後、トラック波形には異なるレベル(24 %ではなく26 %
)が表示されます。この差により効果が明らかになり、図2に記
図2:負荷過渡応答 載されている予測値に合わないことがわかります。定義と理論
に従うと、デューティーサイクルは負荷電流の影響を受けない
Output
+5%
voltage はずです。
–5%
Recovery time
Output 制御理論を吟味すると、2 %の差は、高い出力電流により生じ
80%
current た高い伝導損失が原因であることがわかります。高い損失は主
20% に、変圧器と出力整流器で発生しています。正のデューティーサ
イクルを大きくして追加損失を等価にする必要があります。トラ
PWM_L ック機能を使用すれば、この複雑な測定作業を実行することが
できます。
Track
positive
duty cycle
Time in ms
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図3:ステップダウンコンバーターの負荷過渡テストセットアップ
まとめ
システムの詳細な動作を明らかにするために詳細な解析が求
められる場合、R&S®MXO 4 オシロスコープは、PWM制御式
のあらゆるパワーコンバーターの負荷過渡現象を検証するの
に最適です。大容量メモリストレージやトラック機能などの優
れた機能は、ユーザーがコンバーター動作の詳細を観測して
理解するために役立ちます。
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Rohde & Schwarz 負荷過渡応答 – ループ安定度テストの強化 3
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ローデ・シュワルツ
ローデ・シュワルツのサービス ローデ・シュワルツはテクノロジーグループとして、電子計測、
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負荷過渡応答 – ループ安定度テストの強化
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