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設計の自動化や、モックアップによる検証の 廃止でQLC を大幅に改善

事例紹介

電気制御・電装設計システム「E3.series」事例紹介

アメリカ航空宇宙局(NASA)からスペースシャトルの後継機に搭載するブースターロケッ
トのワイヤハーネスの設計を請け負っているATK 社(※取材当時)の「E3.series」導入事例。
前回プロジェクトよりチームを大幅に縮小するという条件が付けらるという難局を乗り切るためには、開発プロセスを一から見直す必要があり、図研の「E3.series」を採用し、生産性を大幅に向上させることに成功した経緯をご紹介します。

このカタログについて

ドキュメント名 設計の自動化や、モックアップによる検証の 廃止でQLC を大幅に改善
ドキュメント種別 事例紹介
ファイルサイズ 450.4Kb
登録カテゴリ
取り扱い企業 株式会社図研 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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設計の自動化や、モックアップによる検証の 廃止で QLC を大幅に改善 ─「 E3.series」海外導入事例 ─ ATK 社は、アメリカ航空宇宙局 (NASA)からスペースシャトルの後 継機に搭載するブースターロケッ Alliant Techsystems Inc. (ATK) 様 トのワイヤハーネスの設計を請け 負っています。 このプロジェクトでは、中止され た Ares I※ 1 プロジェクトよりチー ムを大幅に縮小するという条件が 付けられました。 この難局を乗り切るためには、開 発プロセスを一から見直す必要が あります。 新プロジェクトで図研の E3.series を採用し、生産性を大幅に向上 させることに成功した経緯を、担 当 し た ATK 社、Engineer PLM Processes Nathan Holyoak 氏 に伺いました。 Ares I ※ 1 Ares I(アレス I) アメリカ航空宇宙局 (NASA) のコンステレーショ ン計画で使用される予定だった 2 段式の有人使い 捨て型ロケット。 コンステレーション計画の中止に伴い開発が中止 導入前の課題 された。 ※ 記載されている商標はすべて、それぞれの所有 者に帰属します。 ・ワ イヤハーネスの配策検討を実物大のモックアップで行っていた ため設備や人件費などコストが膨大にかかっていた Speaker ・配 線図など図面作成は、Microsoft Visio を使っていたため、 設計変更や検証に時間がかかる上、品質が悪かった 導入効果 ・ CAD 上で配策検討できるため、モックアップによる物理検証 が不要になり、コストが大幅に削減できた ・ 電気設計 CAD を使用することで、設計変更や要件検証が Nathan Holyoak 氏 自動化され、作業時間の短縮と、品質向上を実現できた (ATK 社、Engineer PLM Processes)
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E3.series 導入前の ワイヤハーネス設計事情  17,000mph(≒ 時速 27,360km)で走る車を運転することを想 像してみてください。急激に加速するモーター(固体燃料ロケッ トエンジン)を装備したロケットを制御することはとても難しく、 そのシステムは複雑になります。Ares I プロジェクトでは、ケー ブルの配線をシミュレートするために、まずAres の第一段階 統合コンポーネントの実物大のモックアップ※ Ph2 を作成し、そ れにワイヤに見立てたロープを通したり、電子部品に見立てた 木箱を置いたりして試行錯誤を繰り返しました。所定の場所に Ph2:Ares I ブースターに使用されたプロトタイプ (ケーブルの配線は、ロープを使用してシミュレート) 何本のワイヤが収まるかをさまざまな太さのロープを使って確 認し、その後すべてのケーブル情報をスプレッドシートにまとめ、 電圧降下などの計算を行っていたのです。当時、電気配線図 NASA によるプログラム変更の衝撃 は Microsoft Visioで作成していました。機構図面は Siemens NX CAD システムを使い、すべてのワイヤハーネスは、固定断  ATK 社と NASA は Ares I での作業と経験を生かして後継 面径を用いた 3D で表現していました。そのため、計算量が非 機の SLS の設計をしようと考えていましたが、SLS の設計は 常に多くなりワイヤハーネス全体のシミュレーションと分析を行 Ares とは大きく異なり、ワイヤハーネスを一から設計しなおす うためには、複数台のエンジニアリングワークステーションを設 必要に迫られました。その上、契約条件により、Ares I のハー 置したテストラボが必要でした。そしてテストラボでの確認後、 ネスの開発チームよりも大幅に縮小したチームで開発しなけれ ようやくプロトタイプの開発を始められたのです。 ばならなかったのです。 「モックアップの保守には設計者が数人常勤する必要があった 「NASA から方向性を変更したいという話があったときには、 上に、スプレッドシートも大きく複雑になっていたため、管理 衝撃を受けました。多額の投資の価値が突然無くなったも同 には非常に多くの人手が必要でした。また、スプレッドシート 然でしたから。SLS ブースターは Ares の設計をベースにして のデータを正確かつ最新に保つことも難しく、何度も繰り返し いるにもかかわらず、両者の違いは大きく、新しいプロトタイプ、 測定し、計算結果を得るのに余分な時間がかかりました。我々 新しいスプレッドシート、新しい図面を作成して、一からスター の機構図面はハーネスを正しく表現していましたが、機能性は トしなければなりません。それまでのプロジェクトから流用で ありませんでした。Microsoft Visio を使った配線図などの図 きるものはほとんどありませんでした。また、我々のそれまで 面作成はすべて手動でしたので、変更には時間がかかります。 の手法では多くの人手が必要でしたが、今度のプロジェクトで プロトタイプ手法は効果的でなく、正確な設計指示図面もな は、より少ない人数で同じ規模の開発を行わなければなりま いことから、ワイヤハーネスの製造には膨大な費用がかかりま せん。そのため、早急に開発プロセスを改善する必要がある した。さらに、プロトタイプの設置場所が設計チームのオフィ と悟ったのです。」(Holyoak 氏) スから離れていたため、移動時間も無駄でした。」(Holyoak 氏) 開発背景と今後の予定  ATK 社は、退役したスペースシャトルに代わる NASA のスペースロー  ATK 社は先ごろ、 Ares I から SLS 向けに改良した 5 セグメント ンチシステム(SLS)で使用する新しい固体ロケットブースターの設計 のブースターモーターを検証する 3 度の静的燃焼試験に成功しま 製造企業の一つです。SLS は、宇宙飛行士をかつてないほど遠くへ した。先日のデモンストレーションモーター #3(DM-3)の試験は、 と送り出すことを目的としており、今後の有人宇宙探査の基盤となり NASA 史上最も多くの機器を利用した固体ロケットモーター試験(970 ます。NASA は、2017 年にケネディ宇宙センターから最初の無人試 を超える機器を使用して 37 の試験対象物を測定)となりましたが、成功 験飛行の打ち上げを計画しており、有人飛行は 2021 年に予定されて しました。これでブースターの基本設計審査(PDR)フェーズが完了し、 います。ATK 社が開発している固体ロケットブースターは、飛行の最 2017 年の打ち上げに向けて、予定どおりにスケジュールが進行してい 初の 2 分間燃焼し、地球の軌道を離れるために必要な初期推力の約 ます。PDR の完了に伴い、ATK 社の SLS ブースターはこの後、一連 80% を出力した後、大西洋に落下する予定です。 の静的試験を経て、詳細設計審査(CDR)へと進みます。 - 2 -
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少人数で効率よく設計するための デジタルアプローチを開発 E3.seriesで時間節約とコスト削減を実現 「我々は、人手を減らしながら、より簡単に変更に適応でき 「我々はこれまで、大人数で懸命に作業していました。しかし る CAD を活用したデジタルアプローチを開発することにしま 今では、自動化されたインターフェースにより、はるかに少な した。電気設計 CAD システムに関する必要な要件としては、 い人数でスマートに作業し、目覚ましい成果を挙げています。 ❶モックアップを作成することなく、ケーブルの適合性や、必 電気設計者が要件を入力すると、要件を満たしているかどう 要なケーブル長がすぐに確認できるように、既存の機構設計 かが自動的に確認できます。問題が発生しても、E3.series な CAD システムと連携できること ❷機構設計 CAD システムと ら設計者がシグナルをクリックするだけで、設計全体をたどっ データが統合できること ❸設計成果物のデータの変更は権限 て原因を究明できるので、検証時間が大幅に短縮されました。 があるユーザのみが変更できるようアクセス制御を行い、かつ 論理的・物理的な仮想モデルを作成する必要がなくなり、設 変更履歴が記録されること という 3 点を重視しました。その 計者たちの時間を節約できます。各チームがプロトタイプラボ 結果、要件をすべて満たす E3.series を選択しました。」 まで足を運ばなくても、CAD の画面で確認できるのです。自 (Holyoak 氏) 動チェックのおかげで正しい設計をしているという確信が得ら れるため、これまでチェックやダブルチェックに要していた膨 大な時間も節約できます。サプライヤに対して電子ドキュメン トを提供した場合、設計指示図面の作成にはどの程度の費用 電気設 計と機構設 計の 環境統合により、物理的 がかかるかと尋ねたところ、ブレイドの重なりなどの情報を図 なプロトタイプに頼るこ となく、ワイヤ長さ情報 面に追加する必要はあるが、元のコストと比べて大幅にコスト を直接転送可能 を削減できることも分かりました。」(Holyoak 氏)  SLS プログラム全体のケーブルは、E3.series と Siemens NX で開発したため、物理モデルを作成する必要がなくなり、プロ  ATK 社は、図研とシーメンスの SE とともに、電気設計 CAD トタイプラボは閉鎖されました。E3.series 内で検証が自動的に と機構設計 CAD を連携させました。NXのライブラリ担当者は、 行われることから、テストラボも不要になり、検証ラボとして再 ライブラリが同期できるように 3,000 個以上もの部品データを 利用されています。SLS プロジェクトは、Ares I プロジェクトと 作成・変更しました。図研のE3.seriesとSiemens NXの設計デー 同様の規模でありながら、大幅に少ない人員で、ほぼ同期間で タは、Siemens Teamcenter で管理し、出図を行います。以前 完了しました。 は部品の置換えをするたびに手動で行っていたさまざまな作業 は、図研 E3.series によって自動化されました。E3.series で論 理設計を行い、物理設計の整合性を確認することにより、プロ ジェクト全体の整合性が確保できるようになったのはもちろん、 コネクタの整合性チェック、コネクタ内のピン数が各ワイヤに 対応するだけあるかなども確認できます。さらに、使用してい る部品も自動的に追跡できます。Siemens NX で計算したワイ ヤ長を E3.series にフィードバックし、E3.series でケーブルの電 E3.Series で生成したデータによって、 圧降下を計算するなど、今まで設計者が手動で作図していた設 さまざまな作業が自動化 計指示図面やケーブルのドキュメントを、連携された情報を切 「当社は、このようなブースターのさまざまな設計を依頼され り替えるだけで簡単に作成できるようになりました。 るようになりました。以前は、ワイヤハーネスを設計し、POC (概念実証)に合意するまでに数か月かかることもありました が、今では既存のモデルを流用し変更を加えることで、数週 間で実現可能性テストを実施できます。数か月から数週間に 短縮されたことで、ATK はより高い競争力を得ただけでなく、 NASA の信頼できるパートナーとしての地位を確立しました。 また、より短時間で正しい設計を行っているという確信も深め ることができました。そして図研は、このプロセス全体を通し て卓越したパートナーとして支援してくれました。」(Holyoak 氏) Siemens NX の一般的な機構設計図面 (取材日 2015 年 6 月) - 3 -
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E3.Series 図研のワイヤ・制御系/油圧・空圧の設計に適 した Windows ベースのシステム。学習しやす く、拡張性にも優れています。追加設定なしで Alliant Techsystems Inc. (ATK) すぐに使えるこのシステムには、配線図(回路 ATK Aerospace Group は、固体ロケット推進システムの世界最大手のメーカーである 図および流体図に使用)、ケーブル(高度な電装お と同時に、軍用・商用航空機構造物の主要サプライヤでもあります。さらに、小型/ よび流体設計に使用)、パネル(キャビネッおよび マイクロ衛星、衛星コンポーネント/サブシステム、軽量な宇宙展開構造物/太陽電 パネルレイアウトに使用)、フォームボード(1:1 池、迅速な市場投入を実現する低コストな打ち上げソリューション、フレア/デコイ、 の製造用ワイヤハーネス図面に使用)といった機 エネルギー物質および関連テクノロジーを専門にしています。ATK グループは、有人 能が用意されています。M-CAD と統合するこ 3 および宇宙ペイロードミッションを幅広くサポートしてきました。 とで、E .series は、構想から物理的実現化、製 造用の出力まで、すべてのプロセスを網羅する ※ 2015 年に ATK の航空宇宙・防衛グループとオービタル・サイエンスの合併によって Orbital ATK と社名が変更され 総合的な設計エンジニアリングソリューション ています。取材当時の所属会社名、部署名で掲載させていただいています。 となります。 ※本資料に記載されている会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。 株式会社 図研 オートモーティブ&マシナリー事業部 http://www.zuken.co.jp/ ■ センター南ビル ■ 関西支社 ■ 名古屋支社 〒224-8580 〒530-0004 〒460-0002 横浜市都筑区茅ケ崎中央32-11 大阪 市 北 区 堂 島 浜 2- 2 - 2 8 堂島アクシスビル9F 名古屋市中区丸の内3-23-20 HF桜通ビルディング6F TEL 045-942-2146 TEL 06-6343-114(1 代) TEL 052-950-3671(代) © 2016 ZUKEN Inc.