B&R Japan e-Book – mapp 01
リニア搬送システムを成功へ導くソフトウェアソリューション
mappテクノロジー
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Contents
1. 効率的なイノベーション ........................................................................................ 2
1.1 エンジニアリングの現実 ......................................................................................... 2
1.2 プロジェクトへの影響 ............................................................................................ 2
1.3 エンジニアリングの役割分担 ..................................................................................... 3
2. 高品質かつ短期間で実装可能なmapp テクノロジー ....................................................... 4
2.1 mapp とは ....................................................................................................... 4
2.2 mapp が提供する機能 ........................................................................................ 4
2.3 アプリケーションの連携 ........................................................................................... 5
3. 代表的なmapp コンポーネント .............................................................................. 6
3.1 MpAlarmX - 完全なアラーム管理 ........................................................................... 6
3.2 MpAlarmXHistory - アラームの履歴 ....................................................................... 6
3.3 MpAudit - オーディットトレール(21 CFR Part11) ......................................................... 7
3.4 MpUserX – ユーザーマネジメント ............................................................................. 8
3.5 MpData – データロギング ...................................................................................... 8
3.6 MpOee, MpAssetInt - 設備効率の見える化 ............................................................. 9
3.7 mappTrak – ACOPOStrak の簡単なプログラミング ...................................................... 9
4. mappView - Web テクノロジーを HMI ソリューションへ ................................................... 12
4.1 Web とオートメーションの出会い .............................................................................. 12
4.2 HMI におけるイノベーション .................................................................................... 12
4.3 作りやすく使いやすい HMI / mappView ................................................................... 13
4.4 mappView のウィジェット ..................................................................................... 13
4.5 マルチクライアント/マルチユーザー ............................................................................ 14
4.6 OPC UA に準拠 ............................................................................................... 14
5. ライセンスモデル ............................................................................................... 15
6. ソフトウェア・エンジニアリングの未来........................................................................... 16
6.1 ソフトウェア開発リスク軽減とライフサイクルコスト低減 ........................................................ 16
6.2 イノベーションの時間を稼ぎましょう ............................................................................. 16
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1. 効率的なイノベーション、1.1 エンジニアリングの現実、1.2 プロジェクトへの影響
1. 効率的なイノベーション
想像してみて下さい。あなたは今、全く新しいリニア搬送システムのプロジェクトを任され、しかも数多くのメカ部品が
続々と入荷してくる状況の真っ只中にいるとします。このプロジェクトの成功は、今後の会社の命運を左右するかもしれ
ません。
「既存のプログラムを活用できない、どうしよう」「どんなファンクションブロックを作ればいいだろうか」「自社設備との連携
や受け渡しは大丈夫だろうか」、「HMI のデザインはどうしよう」「そもそも間に合うのだろうか」・・・
たくさんの不安が次々に襲ってきて、とてもプロジェクトの成功をイメージ出来ないかもしれません。
(リニア搬送システムの詳細については、公開されている以下の資料をご参考下さい)
• 革新的なリニア搬送システム ACOPOStrak(アコポストラック)
https://www.aperza.com/catalog/page/13/21284/
• 次世代のリニア搬送システム SuperTrak(スーパートラック)
https://www.aperza.com/catalog/page/13/33672/
1.1 エンジニアリングの現実
装置メーカーにとって解決すべき課題は数多く見受けられますが、業種、規模、地域やビジネス環境が異なっていても
共通している課題があるようです。これらに対するアプローチは通常、トップダウンで行われますが、現場のエンジニアにと
っても避けられないものです。いくつか挙げてみますが、これ以外にも指摘されるべき課題は多数あるかもしれません。
継続的なイノベーション スタマイズ対応と設計工数増大
マーケットシェアの拡大 プロジェクト期間の長期化
試運転期間の短縮 出荷後のサービス提供体制
その中でも、装置メーカーが競争力を維持し続けるという観点で、イノベーション、品質、短いプロジェクト期間の3点
は、業種を問わず全てのメーカーに共通かつ欠かせないものと言えるでしょう。
1.2 プロジェクトへの影響
新規に装置を開発するプロジェクトにおいて、以下の3つを同時に実現することが理想的とされています。
イノベーションは最大に
品質は最高に
プロジェクト期間は最短に
しかしながら、一般的にイノベーションの最大化を目指すことには、品質の低下とプロジェクト期間の長期化につながり
かねません。また、高いレベルの品質を維持するために、試運転期間の長期化、新規性のあるテクノロジーの不採用
(すなわち、イノベーションが低下する)が発生しがちです。
同様に、市場投入を急ぐあまり、プロジェクト期間が過剰に短くなると、新機能の実装の見送り、試運転期間の短
縮、品質の劣化のような結果を招いてしまいます。
プロジェクト期間を短縮しつつ、品質も維持しながら、いかに新規性のあるテクノロジーを実装していくか、そこに効率的
なイノベーション(の導入)が求められます。
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1.3 エンジニアリングの役割分担
装置メーカーがユーザーに訴求すべき高い競争力と有益なテクノロジーは、プロジェクト開発における要ですが、B&R
はプロジェクト開発の中身を以下の2つに分けて定義付けをしています。
マシンプロセス: ソフトウェアのうち装置メーカー独自のプロセスノウハウを含む部分
スタンダードテクノロジー: プロセスノウハウを含まない、一般的な、共通のファンクション
この両方に対して大規模な投資が可能であれば問題は顕在化しないのですが、資源には限りがあります。そこで装置
メーカーは、自社独自のマシンプロセスに集中投資することで、大きな差別化要素とそれに基づく競争力を生み出すこ
とが出来ます。
対して、必ずしも自社独自のノウハウを含む必要のない部分、つまりスタンダードテクノロジーに対しては、実証済みの
テクノロジーを利用することにより、高いイノベーションを短期間かつ高品質に導入することが出来ます。次章以降で紹
介するmapp テクノロジーは、この実証済みのスタンダードテクノロジーに当たります。これこそがまさに、B&R がプロジェ
クト開発を分割して定義している意義になります。
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2. 高品質かつ短期間で実装可能なmappテクノロジー、2.1 mappとは、2.2 mappが提供する機能
2. 高品質かつ短期間で実装可能なmapp テクノロジー
前章であなたは、続々と搬入されてくる新しいリニア搬送システムの部品に囲まれながらも、以下の事実を知ることが出
来ました。
スタンダードテクノロジーには実証済みのテクノロジーが利用出来る
装置メーカーの担当者として、自社独自のマシンプロセスに集中すればよい
どうやら、B&R から提供されるスタンダードテクノロジーについて理解することで、多くの不安が解消されるようです。
またこれらを最大限活用することにより、プロジェクト期間を短縮し、自社設備との連携や受け渡しのテストにより多くの
時間が使えそうです。これなら納期に間に合わせながらも、高い品質を維持出来るかもしれません。
この章では、B&R がスタンダードテクノロジーとして開発し、また動作品質を保証しているソフトウェアフレームワーク
「mapp」 について見ていきましょう。
2.1 mapp とは
mapp (modular application technology) はアプリケーション層の一部であり、再利用可能な機能を効率的に
実装する方法を提供することで、マシンおよびシステムアプリケーションの開発をサポートします。
mapp は、複数のテクノロジーパッケージからなる機能の総称です。
2.2 mapp が提供する機能
mapp テクノロジーには、以下の機能群が含まれます。
mappControl ··················· 幅広い制御プロセスを実装するためのツールです
mappService ··················· マシン全体のインフラ(基本機能)を設定する機能です
mappVision····················· ビジョンシステムにおける画像認識と照明の設定に使用されます
mappSafety ···················· マシンにセーフティーテクノロジーを実装するツールです
mappMotion ···················· ドライブのセットアップと軸の動作に使用する機能です
mappView ······················ HMIアプリケーションをデザインするための強力なツールです
mappCockpit ··················· 診断及び試運転に使用する機能です
各々の機能群に対し、それぞれ多数のコンポーネントが使用可能です。例えばmappMotion には単軸用プログラミ
ングコンポーネントであるmappAxis、リニア搬送システム用のコンポーネントmappTrak等が含まれます。
装置メーカーはこれらのコンポーネントを個々に、ないし複数使用することによって、一般的かつ汎用性の高い機能を
短期間かつ高品質に実装することが出来ます。
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一例として、mappAxis では、電源、ホーミング、停止など、必要な機能
がファンクションブロックとして事前に構成されています。それにより、プログラ
ミングが大幅に高速化され、かつ簡単になります。また、多くのファンクション
ブロックは PLCopen に基づいて(IEC 61131準拠)構造化されていま
す。
mapp テクノロジーの利用によって短縮された開発期間を生かして、装置
メーカーはより高度なプロセスノウハウを含むイノベーションを実装出来る可
能性を手にすることが出来るのです。
2.3 アプリケーションの連携
スマートフォンに新しいアプリがインストールされた場合、バックグラウンドで既存のデータを利用する機能が存在していま
す。例えば、スマートフォンにカメラアプリをインストールすると、アプリで GPS位置情報をスナップショットに追加したり、ス
マートフォンの時計にアクセスして画像に現在の時刻をスタンプしたり出来ることは、多くの人が既に体験しています。
mapp はスマートフォンと同様の原理で動作します。例えば、mappAxis コンポーネントでサーボ軸が新たに追加され
ると、そのアラームはすぐにmapp アラーム管理システムに伝達されます。同様に、サーボ軸はそのエネルギー消費に関
する情報を、エネルギーデータを分析するmappEnergy に渡します。
mappCockpit を使用すれば、Web ブラウザ上でサーボ軸のトラブルシュートをすることも出来ます。mapp における
それぞれのコンポーネントは、ユーザーの特別な操作がなくても、複雑なmapp フレームワークへ簡単に連携、統合さ
れるのです。
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3. 代表的なmappコンポーネント、3.1 MpAlarmX - 完全なアラーム管理、3.2 MpAlarmXHistory - アラームの履歴
3. 代表的なmapp コンポーネント
mapp テクノロジーとして多種多様なコンポーネントが利用可能です。装置の基本となるユーザー管理システムやアラ
ームシステム、モーション制御のシーケンスをゼロから何百行にも及ぶプログラミングコードを書き、作り出す必要はありま
せん。各々のコンポーネントは B&R によって品質にフォーカスし開発が行われています。
3.1 MpAlarmX - 完全なアラーム管理
リニア搬送システムにラベル貼付け装置(ラベラー)が連動していると仮定します。この場合、ラベラーに供給されているラ
ベルの残量が少なくなったとき、新たなラベルの供給を通知する必要があります。また、ラベルを供給するラインが詰まっ
た場合(供給軸をmappAxis で制御していて、mappAxis のアラームの1つがアクティブになったとき)も、通知する
必要があります。
機能概要
同じ階層内(Hierachy)のアラームハンドリング、アラームに対してのアクション(Reaction)、アラームの情報
収集を行い、現在発生しているアラームの一覧を表示するためのコンポーネント
この mappを使用する利点
アラーム情報の収集及び、リスト化を容易に行うことが出来る
アラームの種類及び状態に応じて実行するプログラムを使い分けることが出来る
3.2 MpAlarmXHistory - アラームの履歴
前項ではリニア搬送システムとラベラーを MpAlarmX により連携させました。これを一歩進めて、アラームがどのタイミン
グで何回発生したかを事後的に調査出来ると理想的です。つまり、ラベル残量が低下したり、ラベル詰まりが発生した
りした履歴をデータストレージにエクスポートしておく、ということです。
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3.3 MpAudit - オーディットトレール(21 CFR Part11)
機能概要
現在発生している、または過去に発生したアラームの状態を履歴として保存、一覧表示するためのコンポーネ
ント
この mappを使用する利点
MpAlarmX で収集される全てのアラームを履歴として自動的に保存、取りこぼしが発生しない
履歴は関数を使用しない限り消去することが出来ない
3.3 MpAudit - オーディットトレール(21 CFR Part11)
ある日突然、あなたは装置メーカーの担当者として顧客から FDA Part11(21 CFR Part11)対応のシステム納入
の要請を受けました。さて、まず何から手を付けましょうか。顧客からの要請は以下のようなものです。
1日(1週)を通して装置に発生する全てのアクションのリストが必要です(例えば、ユーザーA がログインし
た、ユーザーB が装置を起動した、ユーザーC が搬送速度を 2.0 m/s から 1.9 m/s に変更した、ユーザー
D がログアウトした、等々)
オーディットトレール(監査証跡)を事後的に操作出来ないように保存しておく必要があります
発生した全てのアクションをアーカイブしておく必要があります
このようなアプリケーションを作り上げるために、どれくらいの工数が必要になるでしょうか。
機能概要
ユーザーが行ったアクションを記録していくためのコンポーネント
この mappを使用する利点
全てのユーザーアクションを、時刻及びユーザー名と共に記録しておくことが出来る
21 CFR Part 11 に対応したアプリケーションを素早く作り上げることが出来る
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3.4 MpUserX – ユーザーマネジメント、3.5 MpData – データロギング
3.4 MpUserX – ユーザーマネジメント
パソコンを使用する際にユーザーのログイン、パスワードの入力、一定期間でのパスワード変更、パスワードへの大文字
や記号の混在等が求められるようになって久しく、今では当たり前の日常になりました。これはパソコンだけに限らず、生
産設備等のシステムにも当然のように求められます。しかしながら、ユーザーをグループに分けて権限を管理することや、
定期的なパスワード変更、高度なパスワードを要求することを生産設備に実装することは、広く実現出来ているでしょ
うか。
機能概要
ユーザー管理を行うためのコンポーネント
この mappを使用する利点
各ユーザーの役割や権限についての設定、署名機能等によりユーザー管理を簡単に行うことが出来る
MpAudit のようなユーザー情報を使用出来るmapp と連携することが出来る
3.5 MpData – データロギング
いよいよあなたが設計した装置の試運転が始まります。今回の装置には初採用のリニア搬送システムが搭載されてい
ます。さて、システムが安定稼働するかどうか検証するためには、どのような機能が求められるでしょうか。
• 装置の動作状況、現在のステータスを HMI アプリケーションで確認したい
• 過去数日から数週間に渡るシステムプロパティ(温度、速度など)の履歴を表示したい
• 様々なプロセス変数をログに記録して、装置の動作に関する洞察を得られるようにしたい
• ログエントリは様々なトリガー(値の変更、ユーザー定義のトリガー、または定期的なトリガー)に基づいて生成
したい
• ログに記録されたプロセス変数に追加のデータ(説明、スケーリング、単位など)を入力したい
• 停電時でもデータを保持したい
機能概要
プログラム上の変数の値をタイムスタンプと共にファイルに出力するためのコンポーネント
この mappを使用する利点
変数の値の変化を長時間にわたりファイルに出力し続けることが出来る
(使用例)リニア搬送システムのセクション毎に温度センサーの値を一定間隔で取得
ファイルに保存しているため、途中で APC がシャットダウンしたとしてもデータをファイルとして残しておくことが出
来る
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3.6 MpOee, MpAssetInt - 設備効率の見える化、3.7 mappTrak – ACOPOStrakの簡単なプログラミング
3.6 MpOee, MpAssetInt - 設備効率の見える化
あなたはリニア搬送システムを活用して、並列処理による負荷分散、ゼロダウンタイムの段取り替え等の機能を持つ、
柔軟かつ設備効率の高い生産システムという新しい価値を顧客に提供することが出来ました。顧客はこの新しいシス
テムに大変満足していますが、生産者としての顧客から次に要求される事項は以下のようなものかもしれません。
• 新しいシステムの有効性を定量的に測定したい
• システムの品質、パフォーマンス(生産速度)及び可用性(ダウンタイム)に関する情報を取得したい
• 設備効率に関係するデータをエクスポートしてさらに分析出来るようにしたい
• 様々な方法でシステムの設備効率データを HMI に直接表示出来るようにしたい(例えば、シフト毎の傾向と
して、最後のイベントのタイムラインとして、全てのシフトのリストとして)
• 設備効率を生産データから自分で計算したくありません
これらの要求に応えるためには、データ出力の機能だけでなく、視覚的なアプリケーションの実装も必要になりそうです。
機能概要
装置の総合設備効率(OEE)を計測するためのコンポーネント。Shift や Job の生産効率を数値化する。
この mappを使用する利点
装置の効率を数値化し、可視化することが出来る。特にダウンタイムに関しては、どこで、なぜそのダウンタイム
が起きたのか統計を取り、装置効率改善の指針にすることが出来る。
3.7 mappTrak – ACOPOStrak の簡単なプログラミング
mapp テクノロジーはリニア搬送システム自体のプログラミングにも数多くのメリットを提供しています。ACOPOStrak の
システムコンセプト自体が内在する複雑性に対し、品質の高い制御プログラムを簡単かつ再利用可能な形で実現す
るコンポーネントがmappTrak です。
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機能概要
mappTrak は次世代のリニア搬送システムである ACOPOStrak への簡単なプログラミングアクセスを提供しま
す。この搬送システムの特徴は、複数のパラダイムを1つのシステムに統合することにあります。モジュール式かつ柔
軟な構造により、分岐と合流を備えた製品フローや大規模な搬送ネットワークまで、シンプルなカーブ及び直線セク
ションの組み合わせで実現出来ます。
シャトルが個別にアクチュエートされることにより、独立したシャトルの動作だけでなく、2つ以上のシャトル同士の協
調、ロボットとの相互運用まで、柔軟かつ動的なプロセス設計が可能になります。
プログラミングコンセプトである様々な抽象化レベルは、個々の軸からロジスティック関数やプロセス設計にまで及び
ます。標準化されたプログラミングインターフェイスを備えた新しいmapp コンポーネントは、開発と試運転の時間を
大幅に短縮します。
1つの軸としてのシャトル
mappTrak では、シャトルは標準の PLCopen ファンクションブロックを使用してプログラムされた軸として表されま
す。シャトルは搬送ルートを構成するセグメントとは独立してプログラムされており、ダイバータ(分岐、合流)において
も特別な処理は必要ありません。基礎となるコンセプトは、再利用可能なプログラムコードの開発を促進にありま
す。
シャトルは、使い慣れた単軸モーションコントロールの概念に組み込まれています。さらに場所と位置は、ロボットとの
相互運用性等のために3次元空間で利用できます。
統合された衝突回避機能
シャトル同士の衝突を回避することは、mappTrak にとって不可欠な要素です。mappTrak は特に、シャトルが
衝突することなく前方のシャトルを追跡するために、シャトルが一時的に速度を落とすエラスティックムーブメント(弾
性的な運動)のコンセプトを提供します。このシステムはダイバータ(分岐、合流)部においても制御された衝突のな
いアクセスを保証します。
ロジスティック機能
ダイバータ(分岐、合流)エリアを経由する異なるプロセスセクション間のシャトル移動のために、mappTrak はファン
クションブロックを提供し、システムが目的地に至るルートを自動的に決定出来るようにします。必要に応じて、統合
衝突回避機能のエラスティックムーブメント(弾性的な運動)により、シャトルはダイバータ部(合流の手前)で待機す
るか、指定された目的地に正常に到達するために、周囲のシャトルに運動を適応させることが出来ます。
プロセス指向プログラミング
mappTrak を使用すると個々のシャトルとは独立してプロセスを実装出来るため(特に運用中に)、アプリケーショ
ンに影響を与えることなく、シャトルをシステムから削除または追加することが出来ます。プロセスポイントの概念によ
り、場所に応じてシャトルの流れを制御したり、個々のシャトルの動きに影響を与えたり、シャトルに割り当てられた
アプリケーションデータを読み取ったり変更したりすることが出来ます。
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単軸インターフェースと、ロジスティック機能のファンクションブロックとを組み合わせて使用する単純なプログラミングに
より、mappTrak によって制御される完全なシステムが得られます。個々のプロセス開発は分離され、再利用可
能で、より簡単になります。
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4. mappView - WebテクノロジーをHMIソリューションへ、4.1 Webとオートメーションの出会い、4.2 HMIにおけるイノベーション
4. mappView - Web テクノロジーを HMI ソリューションへ
4.1 Web とオートメーションの出会い
スマートフォンの世界出荷台数は年間約 13億台といわれています。不可逆的な便利さは、民生用途だけに留まらず
産業用途、オートメーションの世界にも範囲を拡大しつつあります。
ところで、デジタルネイティブ世代の中にはパソコンがうまく使えない、または一度も使ったことが無い子供達がいる、という
話を耳にされたことがあるかもしれません。生まれたころからスマートフォンやタブレット端末等のタッチパネルが身近にあ
り、誰に教えられるでもなくタップやスワイプで必要な機能にアクセスしていた世代です。彼らや彼女らが、あなたが設計
したシステムのオペレーターになる時代はそう遠くないかもしれませんし、海外に目を向ければ決して将来的な話ではな
く、顕在化している状況かもしれません。
当然、デジタルネイティブ世代のオペレーターにとって使いやすいオートメーション用の HMI は、以下のようなものになる
でしょう。
直感的で分かりやすく、キレイなデザイン
タッチパネルベースの操作性(フリック、ピンチ、スワイプ、フィードバック etc.)
プラットフォームに独立、オープン(装置を問わず同様の操作性)
しかしながら、装置メーカーはこのようなニーズを満たすために、スマートフォンのエンジニアを雇用しなければならないので
しょうか?
4.2 HMI におけるイノベーション
Web テクノロジー以外にも、産業用途の HMI におけるイノベーションとして求められる機能は多くあります。例えば以
下のような機能を実装する場合、技術的なハードルのためソフトウェアエンジニアの負荷はますます大きくなります。
ラインの統合 複数の装置から HMI アプリケーションを表示
アニメーション ユーザーガイダンスを向上
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4.3 作りやすく使いやすいHMI / mappView、4.4 mappViewのウィジェット
文書化 PDF レポートの自動作成
マルチタッチ ジェスチャーコントロール
ビデオ メンテナンスを補助
4.3 作りやすく使いやすい HMI / mappView
mappView を使用すると、エンジニアはパワフルかつ直感的な HMI アプリケーションを作成するために必要なすべての
ツールを利用出来ます。ベースとなる技術はWeb テクノロジーですが、エンジニアは HTML5 や CSS3、JavaScript
を自ら扱う必要はありません。
このテクノロジーは個々のウィジェットとパッケージされており、ウィジェットをドラッグアンドドロップして所定の位置に配置す
るだけで、HMI アプリケーションが構成出来ます。
4.4 mappView のウィジェット
mappView において、HMI に使用する基本機能はウィジェットとして予め準備されています。また、個々のウィジェット
の動作品質は B&R によって担保(保障)されています。mappView を使用すれば、基本機能を開発するコストは全
く必要ありません。
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4.5 マルチクライアント/マルチユーザー、4.6 OPC UAに準拠
また、mappView では HMI アプリケーションのコンテンツとレイアウトは、装置の動作ロジックから完全に分離されてい
ます。
しかしながら、HMI のデザインと装置動作のデザインはどちらも Automation Studio(B&R の開発環境)という単一
のツールで構成出来ます。これにより開発時間を大幅に短縮しながら、最大限の再利用性が実現できます。
4.5 マルチクライアント/マルチユーザー
さまざまなユーザーがパーソナライズされた(ユーザー専用の)コンテンツを求めています。
mappView を使用すると、装置のアプリケーション自体へプログラムすることなく、役割ベースの専用ビューを実装出来
ます。これらのカスタマイズされたページは、例えば制御盤上のタッチパネルと管理者用の PC、さらにはスマートフォン等
を含む異なるデバイスで同時に表示することも出来ます。
4.6 OPC UA に準拠
mappView のデータ管理は、産業通信用の標準規格である OPC UA(OPC Unified Architecture)に基づいて
います。これにより、複数ベンダーのデータソースであっても HMI アプリケーションへ簡単に統合出来ます。このデータは、
ローカルに表示することも標準のWeb ブラウザからリモートで表示することも出来ます。これにより、開発時間を節約
し、様々な画面サイズでも最大限の再利用性を確保出来ます。
OPC UA の詳細については OPC Foundation の公式サイトをご参考下さい。
https://jp.opcfoundation.org/
https://youtu.be/AyueO4Yr1Yw
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5. ライセンスモデル
ライセンスモデルは、3つの異なるライセンスパッケージに区分されています。これらは、mapp のテクノロジーパッケージ
ごとに個別に適用されます。ターゲットシステムごとに1つのライセンスが必要となります。
スターター・パッケージ
mapp テクノロジーパッケージの基本機能を提供します。コンポーネントは無償で使用可能です。例えば、
mappService のスターターパッケージにはmappAlarmX およびmappRecipe のコンポーネントが含ま
れています。
プレミアム・パッケージ
本パッケージを購入すると、基本機能に加えて追加のコンポーネントを使用することが出来ます。
アルティメット・パッケージ
このパッケージは、mapp テクノロジーパッケージに含まれる全ての機能を使用することが可能です。
mapp コンポーネントがスターター(無償)パッケージ以外に含まれている場合は、AutomationStudio のツールボック
スに直接表示されます。対象のコンポーネントは、左側の青いバー(下図では BarChart)で示されます。
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6. ソフトウェア・エンジニアリングの未来、6.1 ソフトウェア開発リスク軽減とライフサイクルコスト低減、6.2 イノベーションの時間を稼ぎましょう
6. ソフトウェア・エンジニアリングの未来
ここまで読み進めて下さった皆さんは、ハードウェアとしてのリニア搬送システムを採用するだけではなく、複数のmapp
コンポーネントを組み合わせることによって、あなたの顧客に対して多くのメリットをもたらすソフトウェアが提供出来ること
をご理解頂けていると思います。例えばそれは、きめ細やかなログイン権限の付与であったり(MpUserX)、FDA 21
CFR Part11 に規定されるオーディットトレールへの対応であったり(MpAudit)、数週間に渡るシステムプロパティの完
全なログデータであったり(MpData)、自動的にグラフ化され HMI に表示される総合設備効率(OEE)のデータであっ
たり(MpOee)、搬送システム上を動作するシャトルの統合された衝突防止機能であったり(mappTrak)、デジタルネ
イティブ世代にも直感的に操作出来る HMI であったり(mappView)、様々な機能となって実現されていました。
重要なことはこれらの機能が非常に高い品質で、また極めて短時間に実装可能であるということです。
6.1 ソフトウェア開発リスク軽減とライフサイクルコスト低減
mapp テクノロジーは B&R が管理するソフトウェアの基本機能です。基本機能に関するノウハウ分散、散逸のリスクを
防ぎ、ソフトウェア保守コストを削減します。機能の追加も B&R により定期的に実施され、互換性も保たれています。
基本機能のメンテナンスは B&R にお任せください。
6.2 イノベーションの時間を稼ぎましょう
mapp テクノロジーによりシステムにおけるスタンダードテクノロジーの部分をカバーすることで、装置メーカーは付加価値
を高めるマシンプロセスに集中し、装置の更なる競争力を高めることが出来ます。67%速い開発スピードで捻出できた
時間を、新しい市場の開拓やイノベーションに焦点を当て、競争力を積極的に高めましょう。
B&R のホームページでもご紹介しております。ぜひご参照ください。
mapp テクノロジー
著者紹介
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