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このカタログについて
ドキュメント名 | 【はじめての生産スケジューラ】生産スケジューラってどんなことができるの? |
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ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
ファイルサイズ | 3.6Mb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | アスプローバ株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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生産スケジューリングについては、JIS規格(JIS Z 8141:2001
生産管理用語)に以下のように定義されています。
製品又は部品の製造を行うにあたって、使用可能な資源の
制約下で、製品又は部品をそれぞれの工程ごとの着手時期・
終了時期・着手順序・使用設備を決める活動。
生産スケジューラは生産スケジューリング専用の計算ソフト
ウェアです。
• 使用可能な資源の制約下で
• 工程ごとに着手日時、終了日時、着手順序、使用設備を
• 予め作成した計画シナリオを実行して自動計算し
• 場合によって手修正を施して
表計算ソフトより素早く計画を立案することができます。
計算結果をガントチャートで可視化でき、操作できる点が特徴
のひとつです。生産現場の未来の状況が見えることで新たな気
付きを得ることもできるでしょう。
このテキストでは、身近な行動を
例にして、生産スケジューラの
基本機能を理解していただく
ことを目的としています。
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週末は子供の誕生日パーティ!
‘‘ ゲストのためにカレーとシチューを作っ
ておこう。調理にかかる時間は…
自宅にある鍋は、小さい2リット
ル鍋と大きい4リットル鍋の2つ。
全部で16人分のカレーと4人分の
シチューを作っておきたい。
となると、全量を同時に作るのは難しいので、何回かに分けて
調理をおこなう必要があります。
野菜は冷蔵庫にある分で足りるかな?お肉は何時までに買って
おけばいいのかな?どういう順番で作ればいいかな?材料は纏
めて切っておこうかな。なんだか、職場でやっている生産スケ
ジューリングのようになってきました。
調理工程/材料/資源
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もやもやと浮かんでくる計画要件を書
‘‘ き出して、生産スケジューラで計画を
立案してみよう。
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これがちょっと面倒だけど…
‘‘ 製造BOM(マスターデータ)を登録
対象とする工程は2工程。最初の工程の下ごしらえでにんじん
とじゃがいもとたまねぎをカット。
次の工程が炒め&煮込みでカット済みにんじんとカット済み
じゃがいもとカット済みたまねぎ、それと購入してきた牛肉
を投入します。
カレールーを投入する工程は…まぁ今回は省くとしましょう。
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製造BOMの解説
まず、下ごしらえの工程ですが、カットじゃがいもを例に説明
します。
ここで最終的にアウトプットされる品目はカットじゃがいもな
ので「カットじゃがいも」を品目とします。工程番号は「10」
として、工程コードは「下ごしらえ」とします。
ピンク色のレコードは投入される材料を表します。ここでは
「じゃがいも」です。
緑色のレコードには使用可能なリソースを列挙します。ここで
は「カット担当」とします。
その右側の製造の欄にカットにかかる時間を入力します。ここ
では一人前あたり2.5分要するとして「2.5mp」と入力してあり
ます。カットたまねぎとカットにんじんも同様です。
次に、炒め&煮込み工程ですが、品目は最終的にアウトプット
される「特製カレー」となります。
工程番号は「10」として、工程コードは「炒め&煮込み」とし
ます。
入力指図ですが、投入される材料が複数種類あるので複数行に
分かれています。
また、使用指図も鍋が2種類あるので2行に分かれており、また、
調理担当が付きっきりになるので、
鍋と同時に調理担当が確保されるようにしておきます。
調理時間は30分をベースに何人前を作るかで伸び縮みするよう
に式を入力しています。
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オーダテーブルに「何を、いつまでに、
‘‘ 何人前作るのか」を登録してみよう。
ひとまず、特製カレーを4人前作るオーダだけをスケジューリ
ングしてみます。
計画パラメタの「フォワード割付け」を選択して実行します。
フォワード割付けは、計画基準日時付近に初工程から割付ける
「前詰め」の割付けとなります。
今回の例で言えば、今からカレーを作ったら何時に完成するか、
ということが分かります。
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リスケジュール結果の解説
野菜は冷蔵庫に50個ずつストックがあります。
牛肉は調理前に購入します。
作業の割り付き状況は資源ガントチャートで確認します。
鍋2Lにカレーを煮込む作業が割り付きます。調理担当が鍋を見
張っている前提なので、同時刻帯に調理担当にも作業が割り付
きます。
この二つの作業は主資源と副資源という関係なので、連動して
割り付いています。
続いて、カレーに必要な下ごしらえの工程が自動生成されて
カット担当に割り付いています。
これはオーダを登録していませんが、品目テーブルで品目展開
するように設定しているので、自動的にオーダが生成されて割
り付いています。
オーダテーブルのオーダ区分が「補充オーダ」となっている分
が自動生成されたオーダです。
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野菜のカットを3人に増員してみよう。
‘‘
先ほど立案した計画だと、たまねぎとにんじんを2個ずつ、
じゃがいもを4個カットするので、下ごしらえにかかる時間は、
トータルで20分かかっています。
友人2人が手伝ってくれるということで、3人で下ごしらえをし
たら、かかる時間はどれくらい短くなるでしょうか?
カレンダーテーブルでカット担当の資源量を「1→3」に変更し
ます。
すると1/3の時間、つまり約7分で下ごしらえが完了するように
なりました。
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野菜のカットを3人に増員した際のリスケジュール結果(全
体)はこのようになりました。
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更にカレーを4人前を作るオーダを
‘‘ 追加して、スケジューリングしてみよう。
オーダ「002」を追加して、フォワード割付けてみます。
すると、以下のような割付け結果になりました。
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リスケジュール結果の解説
炒め&煮込み作業は鍋4Lが選択されました。この作業は2Lの
鍋に作業を割付けることもできます。
マウスで該当の煮込む作業を移動(4L→2L)することができ
ます。
フォワード割付けでは、最短で完成する時間を算出しますが、
バックワードで3時に完成するための着手タイミングを計算す
ることもできます。
すると、1時45分頃から下ごしらえに着手すればよいことがわ
かりました。
また、下ごしらえは8人部をまとめてカットするようになって
いて、2つの煮込み作業に供給しています。
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段取り替え、副資源、ロットサイズを
‘‘ 考慮した計画を立案してみよう。
さらにオーダを増やしてみましょう。
3つ目のオーダは特製シチュー4人前、4つ目のオーダは特製カ
レー8人前です。
フォワード割付けの計画パラメタを実行して、資源ガント
チャートで割付き状況を確認してみます。
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リスケジュール結果の解説
まず、炒め&煮込み工程に4つの作業が割り付いています。鍋
が2つ(2L/4L)ありますので、この計画シナリオでは「負荷
分散」するように作業を割り振っています。
その際、副資源として調理担当のリソースも必要なわけですが、
ここでは一人が一つの鍋に付きっきりになるように設定してい
るので、二つの鍋が同時に使えていません。
多台持ちできるように設定を変えてリスケジュールすると以下
のようになります。
調理担当者に複数の作業バーが重なった状態(多台持ち)にな
り2つの鍋が同時に使用できるようになりました。
また、特製シチューの煮込み作業の前に、緑色の細いバーが割
り付いています。
これは「前段取り」を表しています。
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リスケジュール結果の解説
この前段取りは動的に生成されていて、左側にカレーが割り付
いていることで、調理する前に「鍋を洗う」、つまり洗浄段取
りを意味しています。洗浄作業はカット担当が行うように設定
してあります。
さらに、8人分を作る際は、2Lの鍋では容量オーバーなので4L
の鍋にしか割り付かないようにしてあります。当然、マウスで
移動することもできません。
次に、下ごしらえの工程ですが、4つの煮込み工程に必要な分
をまとめてカットしています。
ただし、じゃがいもについては二つの作業に分かれています。
これはじゃがいものカットが12個を超える場合は作業を分ける
ように「ロットサイズ」が設定されているためです。
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リスケジュール結果の解説
また、牛肉の購入についても必要なタイミングと量が計算され
ています。
ちなみに、買い忘れて、例えば「2時」に買い出しから帰った
とすると、その分、紐付いている作業の着手が遅れます。
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カレー16人分とシチュー4人分を調理
‘‘ するスケジュールが完成!
最後に計画のシナリオに大きく影響する要素をおさらいしてお
きます。
前頁のような計画結果が得られたわけですが、生産スケジュー
ラが結果を算出するのに、二つの要素が大きく影響しています。
一つ目が、ディスパッチングルールです。これはどの作業から
割付けていくかというのを制御しており、一般例で言えば「納
期が早い」ものから順に割付けるといった設定をします。
今回の例で言えば、シチューが3つ目に出現して割り付いてい
ますが、先にシチューを作りたい場合は、計画パラメタのディ
スパッチングルールを変更し、このような結果になります。
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二つ目が、資源評価です。これは複数の候補資源、つまり割付
け先があった場合に、どっちの資源を選択するかというルール
です。現在は負荷分散するように割付けていましたが、例えば、
「段取り時間が短くなる」ように割付けると、このような結果
になります。
以上のように、生産スケジューラは「ディスパッチングルー
ル」と「資源評価」で人間が考えるスケジューリングをルール
化することができます。加えて、諸々の制約条件が考慮できる
ので実行可能な作業指示を作成できることになります。
以上