【ホワイトペーパー】HP Multi Jet Fusion テクノロジーの 3D プリンティングによる産業機械 生産・生産設備の合理化

ホワイトぺーパー HP Multi Jet Fusion テクノロジーの 3D プリンティングによる産業機械 生産・生産設備の合理化 産業動向の変化 これまで、産業機械生産・生産設備の部品生産は、CNC 加工や射出成形が主流でした。しかし、様々な産業で 業務効率化や顧客への付加価値を高める動きが進む中で、産業機械メーカー・生産ラインメーカーや運営 会社は、部品生産の強化と最適化を図るために、社内外の顧客に独自のカスタマイズソリューションを低コスト で提供し、軽量で機能性の高い部品により生産ラインを効率化して、設備稼働率の最大化を目指しています。 機械部品の生産に 3D プリンターを導入すべき理由 産業機械生産・生産設備の部品を 3D プリンターで造形することで、部品設計の効率化や保守部品の容易な管理 などの可能性が広がります。 HP Multi Jet Fusion テクノロジーは、HP Jet Fusion 3D プリンターに採用されている新しい 3D 造形技術です。従来の 技術に比べ、コスト1、スピード2、品質3 の点で破壊的（ディスラプティブ）なイノベーションを実現しています。

ホワイトぺーパー | HP Multi Jet Fusion テクノロジーの 3D プリンティングによる産業機械生産・生産設備の合理化 生産スピード HP Multi Jet Fusion を導入すると、カスタマイズされた純正部品や保守部品を社内で生産できるようになり、産業 機械生産・生産設備のダウンタイムや、それに伴うコストを最小限に抑えることができるだけでなく、従来の生産 方式では数日〜数週間かかっていたリードタイムを数時間に短縮できます。 また、必要に応じて複数の新規部品を同時にオンデマンドで生産できるため、生産ラインの柔軟な変更が可能 です。生産設備や生産ラインの操業も、生産ラインの変更に素早く対応し、最適な設計ソリューションを提供でき るようになります。 HP Multi Jet Fusion を導入すると生産スピードが格段に上がり、顧客の需要に応じて純正部品の予備をわずか数時間 で生産できるようになります。また、設備のメンテナンス費用を削減し、純正部品以外の部品を使用するリスク も低減できます。 軽量カスタムパーツを自由に設計 3D プリンティングは、これまで不可能だった複雑な形状にも対応でき、ラティス構造やトポロジー最適化により、 軽量で機能性の高い部品を造形できるのが特徴です。また、3D プリンティング材料は、アルミニウムやスチール に比べて軽量というメリットがあります。 HP Multi Jet Fusion なら、部品の堅牢性を維持しながら軽量化を実現し、優れた等方性を備えた機能的な部品を 造形することが可能です。3 そのため、部品を設計する際に機械的挙動を考慮する必要がなくなります。 右の写真は、HP 大判プリンターの部品の例です。左側の部品は CNC 加工品、右側の部品は HP Multi Jet Fusion 方式のプリンター用に再設計 されたものです。再設計された部品は、コスト 50% 減、重量 93% 減、 二酸化炭素排出量 95% 減を達成しています。4 設計を最適化し、部品の軽量化を実現できれば、エネルギー効率や生産 性の向上、設備寿命の長期化、メンテナンス費用の削減などを通じて 産業機械生産・生産設備のパフォーマンスを全体的に向上させることが できます。 HP Multi Jet Fusion なら複雑な形状の部品でも簡単に造形できるため、機械設備や設置場所に合わせてカスタマ イズしたソリューションを提供できます。従来の生産方式とは異なり、HP Multi Jet Fusion では、カスタマイズが 必要だったり、形状が複雑な部品でも、時間やコストを抑えた少量生産が可能になります。 コスト 3D プリンティングは、必要な数量だけを、コストを抑えて素早く生産できるため、従来の方式に比べて在庫や 輸送のコストを削減できます。 また、保守部品のリードタイムが短縮されることでダウンタイムを最小限に抑え、大幅なコスト削減を実現 できます。 生産設備や生産ラインの操業において、純正部品の予備を社内で生産できれば、修理やメンテナンス費用を 抑えることができます。 前述の通り、HP Multi Jet Fusion テクノロジーを導入すると、中空化やトポロジー最適化を駆使して設計を改良し、 機能的な部品を造形できるため、3D プリント材料を節約し、更なるコスト削減を実現できます。 他の 3D 造形技術に比べ、HP Multi Jet Fusion では、余剰パウダーを最大 80% まで再利用できる HP 3D High Reusability5 を使用するため、最小限のコストで高品質な部品の生産が可能です。1 事業の成長 HP Multi Jet Fusion を導入すると、産業機械生産・生産設備メーカーは、顧客に合わせてカスタマイズした独自の 純正部品を必要な分だけオンデマンドで提供できるため、在庫を最小限に抑えながら、事業を拡大することが できます。

ホワイトぺーパー | HP Multi Jet Fusion テクノロジーの 3D プリンティングによる産業機械生産・生産設備の合理化 HP Multi Jet Fusion 導入事例 SIGMADESIGN バキュームアプリケーター SIGMADESIGN は、コンセプトから最終製品の製造に至るサポートを はじめ、産業デザイン、品質保証・検査、エンジニアリング支援などの 幅広いサービスを提供する製品開発サービス会社です。 SIGMADESIGN は、果物のラベル貼り機のメーカーをクライアントに抱えて います。このメーカーは、果物を傷めることなく 1 時間に何千枚もの ラベルを貼ることができる高付加価値・少量生産のマシンを製造して いました。 クライアントからの SIGMADESIGN への依頼は、このマシンの特定部品を 改良し、コスト削減を達成することでした。 SIGMADESIGN 果物ラベル貼り機 SIGMADESIGN はまず、HP Multi Jet Fusion テクノロジーで次の部品の改良を 試みることにしました。 真空アプリケーター：リンゴにラベルを貼り付けるアームのグリッパー部分 部品はアルミニウム製で、真空圧 2〜3 psi で稼働していました。想定寿命は 約数千万サイクルで、この部品の寿命がマシン全体の寿命を規定してい バキュームアプリケーター ました。 この部品には、上部の各穴にネジインサートを熱かしめできるだけの精度が必要でした。また、ネジインサートと 部品の間に最大限の強度を持たせることができるよう、穴にも耐性が必要でした。 SIGMADESIGN は HP Multi Jet Fusion 方式で部品を造形することにより、この課題を無事解決しました。 CNC HP Jet Fusion 3D 断面図 加工部品 プリンターの造形品 HP Multi Jet Fusion による設計最適化 HP Multi Jet Fusion の導入効果: • CNC 加工では不可能だった造形を HP Multi Jet Fusion で達成。部品の内部に連続したエアフローチャネルを 造形し、空気漏れを防いで部品の性能を向上。 • CNC 加工の制約に合わせて設計された部品形状を最適化。定義された空間内で部品を稼働し、他の可動部品と の衝突を防止。 • 従来の設計に比べ、製造コストの 68% 減6を達成。 FICEP S3 - 自動塗装ラインのアーム FICEP Steel Surface Systems (S3) は、構造用鋼材加工機械の大手メーカーである FICEP グループの傘下で世界的に 事業を展開するハイテクエンジニアリングおよび研究開発会社です。FICEP S3 は、鉄骨製造設備の設置やメンテ ナンスサービスをはじめ、アフターサービスや予備部品の販売も行っています。予備部品の中には、HP Jet Fusion 3D プリンターで造形したものも含まれます。 daVINCI 自動塗装ラインは、構造用鋼材の下塗りと塗装を実施します。FICEP S3 は、この塗装ラインの開発中にいく つかの制約に直面し、HP Multi Jet Fusion テクノロジーによる解決策を検討しました。

ホワイトぺーパー | HP Multi Jet Fusion テクノロジーの 3D プリンティングによる産業機械生産・生産設備の合理化 自動塗装ラインに使用されている部品は、形状が複雑すぎて 機械加工ができないものもありました。また、金属部品は 重量があるため、他のシステムへの負荷が大きすぎることも ありました。射出成形も検討したものの、あまり適当では ないと判断しました。大きな問題のひとつは、部品の形状 が複雑なことでした。ある部品の場合、金型を作るのに 11 種類の部品が必要な上に、設計変更のたびに金型を作り直 さなければなりませんでした。また、強度にも難点があり ました。射出成形のような従来の方法では、日常的な使用に 耐える強度を備えた部品の製造は不可能で、特に、他の部品 と組み合わせた時に重量がネックになりました。 データ提供: FICEP S3 S.L 塗装ラインの速度と精度を上げるためには、部品を組み合わせても比較的軽量にする必要がありました。また、 機械的強度や耐薬品性、温度変化に対する耐性も必要でした。 HP Multi Jet Fusion の導入効果: • 自動塗装ラインのロボットアームの設計を最適化して小型化し、加減速時間を短縮してライン全体の精度を 向上。 • マシン総重量の削減 – FICEP S3 の試算によると、他社製品と比較して 72% の省エネ効果を達成。 • ロボットアームを支えるブラケットを再設計し、自動塗装ラインの部品（プーリー、車軸、構造部品など）のうち 40% 以上が HP Multi Jet Fusion テクノロジーで製造や改良が可能なことを確認。 • 大量の在庫を抱えることなく、低コストで素早く保守部品を製造。 • 特定の用途とニーズに合わせた部品のカスタマイズを実現。 「 他の技術では部品 1 個を製造するのに 12 時間かかりましたが、今は同じ時間で 100 個の部品を製造できる ようになりました。」 FICEP S3 社 最高経営責任者 ヌーノ・ネヴェス氏 HP Multi Jet Fusion テクノロジーの詳細はこちら: https://jp.ext.hp.com/printers/3d-printers/ HP Jet Fusion 3D プリンティングに関する お問い合わせ、または最新ニュースの購読: https://reinvent.hp.com/jp-ja-3dprint-cwu 1. 社内試験と公開データに基づいた結果です。2016 年 4 月時点で、HP Jet Fusion 3D 4210 プリンティング ソリューションの 1 部品あたりの平均造形コストは、 100,000～300,000 米ドルで市販されている同等の熱溶解積層法（FDM）および粉末焼結積層造形（SLS）プリンター ソリューションに比べて 65% 低コスト、 300,000～450,000 米ドルで市販されている同等の SLS プリンター ソリューションに比べて 50% 低コストです。コスト分析の基準：標準のソリューション構成価格、消耗品 の価格、メーカー推奨のメンテナンス費用を基準に分析。コスト基準：HP 3D High Reusability PA 12 材料を使用して、メーカー推奨の粉末再利用率を用い、充填率 10% で 30 m3 の部品を 1 年間、週 5 日にわたり、1 日あたり造形チャンバー 1.4 個分を高速造形モードで造形した場合。 2. 社内試験とシミュレーションに基づいた結果です。2016 年 4 月時点で、HP Jet Fusion 3D プリンターの平均造形時間は、100,000～300,000 米ドルで市販されている同等の 熱溶解積層法（FDM）および粉末焼結積層造形（SLS）プリンター ソリューションに比べて最大で 10 倍速です。HP Jet Fusion 4210/4200 3D プリンティング ソリューションの 試験変数：部品数量: 充填率 20% で、HP Jet Fusion 3D プリンターの造形チャンバー 1 個分と、上記の競合製品で造形した同数の部品を比較。部品サイズ：30 m3、レイヤー 厚：0.08 mm。 3. HP 独自のマルチエージェント造形プロセスに基づいた結果です。許容差の範囲内で優れた寸法精度と精密な細部を実現しています。寸法精度の基準: HP 3D High Reusability PA 12 材料を用いてサンドブラスト加工後に測定した場合、100 mm 以下の中空部品でXY方向に ±0.2 mm、100 mm 以上の中空部品で ±0.2%。造形材料の仕様に関する 詳細は hp.com/go/3Dmaterials をご覧ください。機械的特性の基準：引張強度 48 MPa（XYZ）、引張弾性率 1700 〜1800 MPa（XYZ）。3D High Reusability PA 12 材料を用 いて ASTM 規格試験を実施。造形材料の仕様に関する詳細は hp.com/go/3Dmaterials をご覧ください。 4. コスト削減率の計算基準：アルミニウム製部品 = 22 米ドル、HP Multi Jet Fusion 造形品 = 11 米ドル。重量削減率の計算基準：アルミニウム製部品 = 355g、HP Multi Jet Fusion 造形品 = 23 g。二酸化炭素排出量の削減率の計算基準：アルミニウム製部品の二酸化炭素排出量 = 19.7 kg CO2 eq、HP Multi Jet Fusion 造形品の二酸化炭素排出量 = 0.97 kg CO2 eq。 5. 業界最高の余剰パウダーの再利用率：推奨される充填率で HP 3D High Reusability PA 12 材料を使用した場合、粉末焼結積層造形（SLS）技術に比べて、機械の性能を損な うことなく高い再利用率を達成しています。3Dスキャナーを用いて ASTM D638、ASTM D256、ASTM D790、ASTM D648 の各規格に従って試験を実施し、統計的プロセス 制御を使用して確認しています。リットルは実際の材料の量ではなく、材料コンテナのサイズを示しています。材料はキログラムで測定されます。 6. コスト削減率は SIGMADESIGN 社のデータに基づいています。1 部品あたりのコストは、CNC 加工品 90 米ドル、HP Multi Jet Fusion 造形品 28.75 米ドルで計算しています。 © Copyright 2021 HP Development Company, L.P. HP 製品およびサービスに対する保証は、当該製品およびサービスに付随する保証規定に明示的に記載されているものに限られます。本書のいかなる 記載内容も、当該保証に新たに保証を追加するものではありません。本書の内容につきましては万全を期しておりますが、本書に含まれる技術的また は編集上の誤り記載漏れに対して HP は一切の法的責任を負いません。本書の記載内容は予告なく変更される場合があります。 4AA7-3038JPN, June 2021 202106