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適切な避難用呼吸用保護具で硫化水素事故対応時でも安全な呼吸を確保
硫化水素に暴露する事故に直面した場合、重要なのは作業員の手が
届くところに避難用呼吸用保護具が常備されていること、そして、
要求される脱出安全手順とプロトコルに確実に従うことです。
硫化水素中毒を防ぐためには、危険な作業を行う作業員は、作業現場は
米国労働安全衛生庁(OSHA)ガイドラインに従い、少なくとも「3つの防護線」
により防護されなければなりません。
当資料では、これらの効果を発揮するために、同時に導入する必要がある
3つのガイドラインをはじめ、硫化水素事故時の避難用の呼吸保護具の
選択方法などを掲載しています。
【掲載内容(抜粋)】
■硫化水素事故時の避難用の呼吸保護具の選択方法
■適切な呼吸保護具 + 適切なトレーニング = 準備万端のチーム
■まとめ
※詳しくはPDF資料をご覧いただくか、お気軽にお問い合わせ下さい。
このカタログについて
ドキュメント名 | 適切な避難用呼吸用保護具で硫化水素事故対応時でも安全な呼吸を確保 |
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ドキュメント種別 | 事例紹介 |
ファイルサイズ | 1.2Mb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | ドレーゲルジャパン株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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適切な避難用呼吸用保護具で
硫化水素事故対応時でも安全な呼吸を確保
硫化水素に暴露する事故に直面した場合、最も重要
なのは、作業員の手が届くところに避難用呼吸用保護具が
常備されていること、そして、要求される脱出安全手順と
プロトコルに確実に従うことです。
職場におけるガス中毒関連死では、硫化水素(H2S)中毒 3. 緊急時の対応 :第一と第二の防護措置が機能しなかっ
が大きな割合を占めています。事実、米国労働統計局に た場合は、避難/対応手段を提供することでプラントと人
は、2003年から2012年までに64件の硫化水素中毒による死 的資産を守ります。シンプルな避難計画から避難用呼
亡例があったことが報告されています。硫化水素事故から作 吸用保護具の提供を含む複雑な緊急時対応まで、状況
業員の身を守るためには、作業員の手が届くところに避難用 により内容は異なります。
呼吸用保護具を常備することが重要であり、要求される脱出
安全手順とプロトコルに確実に従うことが推奨されます。 OSHA 29 CFR 1910.110 付属書 C で規定されている緊急時
の対応はしばしば見過ごされている場合があります。というの
硫化水素が存在する環境において、硫化水素の漏洩を防 も、硫化水素による災害そのものを防ぐわけではないため、
ぐことが最大の目標です。それが守られた作業現場であれ 避難用呼吸保護具は冗長的な順守措置にすぎないと考えら
ば安全に作業ができます。硫化水素中毒を防ぐためには、 れる場合があるからです。
危険な作業を行う作業員は、作業現場は米国労働安全衛
生庁(OSHA)ガイドラインに従い、少なくとも「3つの防護線」 とはいえ、硫化水素災害時に作業員を保護するには、このガ
(OSHA 29 CFR 1910.110 付属書 C、プロセス安全管理に関 イドラインに必ず従う必要があります。その一環として挙げら
する順守ガイドラインと推奨)により防護されなければなりま れるのが質の高い避難用呼吸用保護具への投資です。硫化
せん。 水素は、主な暴露経路が呼吸による吸入であり、急速に肺に
吸収されることから、人の呼吸器系に悪影響を及ぼす危険な
これらの効果を発揮するために、次の3つのガイドラインを同 物質です。その濃度と暴露時間により、症状は様々ですが、
時に導入する必要があります。というのも、一つでも欠けてい 硫化水素中毒の症状には次のものが含まれます :
ると、硫化水素中毒による死亡を含め、災害の規模が大きく
なる可能性があるからです。 軽度 : 目、鼻、喉の刺激痛、息切れ
中度 :目や呼吸器への激しい刺激痛(せき、呼吸困難、
1. 封じ込め :標準操作手順書(SOP)と有害物質を制御す 胸腔内液の増加を含む)、めまい、嘔吐、ふらつき
るために設計された工学的手法を用います。例えば、規 重度 :ショック、痙攣、呼吸不能、急速な意識喪失
格に適合した装置、配管、弁、プロセス設計仕様などに 昏睡、死亡の可能性
より、封じ込めを行います。
2. バックアップ制御 :最初の防護措置がうまくいかなかっ
た場合は、作業員および環境への暴露を制御あるいは
軽減する措置をとります。例えば、リリーフ弁、スクラバ
ー、フレア、サージ/ オーバーフロータンク、消火システ
ムなどを用いて物質の拡散を制御します。
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02 | 適切な避難用呼吸用保護具で硫化水素事故対応時でも安全な呼吸を確保
空気を求めて
硫化水素事故の緊急対応計画を検討する場
合、最も適切な避難用呼吸用保護具を選択
し、事故の重大度と潜在的な暴露レベルを評
価する必要があります。
米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)作成
の「CBRN 災害時のろ過式避難用呼吸器の
基準コンセプト」では、災害の重大度を高い、
特定、低いの三つに分類しています。
高い :有害物質が種類および濃度が不
明の場合、あるいは高濃度で放出、ある
いは存在するシナリオ。酸素欠乏環境
(体積の19.5%未満)も含む。
特定 :既知の有害物質が既知の濃度で
放出、あるいは存在するシナリオ。
(「特定」の危険が存在する環境には十
分な酸素があること)
低い : 特定された有害物質が低濃度で
放出された、あるいは存在するシナリ
オ。(「重要度が低い」危険が存在する
環境には十分な酸素があること)
暴露レベル
OSHAが定める硫化水素の許容暴露限界値
(PEL)は20 ppmです。ただし、これは8時間
のシフトにおいてその他の測定可能な暴露
がなかった場合であり、20ppmを超える暴露
があっても10分間で50 ppmを超えてはなりま
せん。建設業と海運業におけるPELは10 ppm
です。
指定防護係数(APF)は予想される大気汚染
物質の濃度を暴露限界で割った数値より高く
なければなりません。NIOSHでは硫化水素に
関して次のAPFを推奨しています。
100 ppmまで:
(APF = 25) 対象物質を除去することが
できるカートリッジ(吸収缶)がついた電
動ファン付き呼吸用保護具 (PAPR)
(APF = 50) 対象物質を除去することが
できる直結式の吸収缶、あるいは前面
あるいは背面マウントの隔離式吸収缶
のついた全面形ろ過式呼吸用保護具
(APR) (防毒マスク)
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(APF = 10) 給気式呼吸用保護具 濃度とリスクを予想できる作業現場の場合、 適切なトレーニングと教育を継続的に行う
(SAR) 給気式の避難用保護具も適していますが、 ことが重要です。硫化水素のTLVを1 ppm
(APF = 50) 全面形面体のついた自給 必要以上の保護と言えるかもしれません。こ に引き下げるという米国政府産業衛生会議
式呼吸保護具(SCBA) れらの呼吸用保護具は高価であり、定期的 (ACGIH)の勧告に関する調査結果からも、
なメンテナンスが必要で、重くて持ち運びに そのことは明らかです。「硫化水素の閾値
緊急時、あるいは濃度不明の区画への計画 不便で、空気を使い果たしてしまえば防護機 が1 ppmに:準備はできていますか?」と題さ
された進入作業、あるいは「生命および健康 能はなくなります。これの代替となるのがろ れた調査はDrägerと米国安全専門家協会
に直ちに危険を及ぼす(IDLH)」環境への進 過式の呼吸用保護具(APR)、または APRと (ASSE)が共同で実施したもので、ASSE会
入作業: 避難用フードの組み合わせです。十分な酸 員企業を対象にACGIHが提起している新し
(APF = 10,000) 全面形面体がついたプ 素濃度レベル(19.5vol%以上)の環境下にお い硫化水素のTLVに関する認識と対応準備
レッシャデマンド形あるいは陽圧式の自 いて、濃度の高い有毒ガスを効果的にろ過 状況を尋ねたものです。調査の結果、石油・
給式空気呼吸器(SCBA) し、より手頃な価格で、メンテナンスの必要 ガス産業界の安全専門家の53%が、硫化水
(APF = 10,000) 全面形面体をもつプレ 性も低く、軽量小型、ベルトに取り付けて持 素暴露関連の事故を防ぐための新しい閾値
ッシャデマンド形あるいは陽圧形の給 ち運ぶことができ、濃度にもよりますが、長い について知らないことが明らかになりました。
気式呼吸用保護具(SAR)と補助的な自 時間避難することができます。
給式空気呼吸器との組み合わせ(複合 さらにこの調査から、業界内でも現行の警
式エアラインマスク) 報設定値にばらつきがあることが明らかとな
適切な呼吸保護具 + 適切なトレーニング = り、10 ppmから15 ppmを採用している会社
避難: 準備万端のチーム は39%、10 ppmから20 ppmは15%であること
(APF = 50) 対象物質を除去することが 硫化水素事故が起こった場合、適切な呼吸 がわかりました。低レベルの警報値である場
できる直結式の吸収缶、あるいは前面 保護具を選び、適切な使用方法を知ってい 合、より低濃度で早期に警報が発せられば、
あるいは背面マウントの隔離式吸収缶 る場合に限り、作業員は最適な安全性を得 より安価で簡単に使える避難用呼吸保護具
のついたろ過式呼吸用保護具(APR 、 ることができます。このような状況ではパニッ を利用するだけですむことになります。言い
防毒マスク) クに陥りやすいものです。なぜ避難用の呼吸 換えれば、最も低いコストで最適な安全な呼
避難用自給式呼吸用保護具。 器が必要なのか、それがどのような保護を 吸保護具が使えることになります。
提供するのかを学び、使い方を練習すること
が大切です。
硫化水素事故時の避難用の呼吸保護具の
選択方法
潜在的な硫化水素事故の重大度と暴露レベ
ルを評価することにより、緊急時対応計画に
含むべき最も適切な避難用呼吸用保護具を
決定することができます。
まず、大規模な放出のおそれのある危険区
域に関しては2つのオプションがあります。エ
アラインマスクを使用しての作業において、
近くに「安全ゾーン」がある場合は、避難用
ボンベ付きのエアラインマスクが最適です
が、「安全ゾーン」が遠い場合はエアラインバ
イパスホース付き空気呼吸器の着用が最も
安全です。
潜在的な危険性が正確に定量化できない作
業現場や酸素欠乏の可能性がある場所に
おいて、短い距離を避難する場合はボンベ
がついた5〜10分の緊急避難用呼吸保護具
が、また、長い距離を避難する場合は自給
式空気呼吸器が適しています。
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04 | 適切な避難用呼吸用保護具で硫化水素事故対応時でも安全な呼吸を確保
まとめ 参考資料
自分が避難用呼吸保護具を必要とする状況に直面するこ 1. https://www.osha.gov/SLTC/hydrogensulfide/hazards.html
とを予期している人は、あまりいません。それでも、様々な
呼吸用保護具の長所と短所を理解することは、硫化水素
事故において実際に呼吸用保護具を用いるユーザーの生
死に関わってくる可能性があると言えます。硫化水素の存
在をいち早く検知し、適切な呼吸用保護具を準備すること
が作業員の命と会社の資産を守ることになるのです。
全製品、機能、またはサービスがすべての国で販売されているとは限りません。
記載された商標は、一部の国でのみ登録されており、この資料が公開される国で登録されているとは限りません。
現在の状況については、 www.draeger.com/trademarks でご覧ください。 記載内容は、予告なく変更する場合があります。
本社 ドレーゲルジャパン株式会社 大阪営業所
Drägerwerk AG & Co. KGaA 東京本社 〒564-0062
Moislinger Allee 53–55 〒 141-0021 大阪府吹田市垂水町3–3–17
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